(第1の実施の形態)
以下、図1〜図3を用いて第1の実施の形態に係る「液体ポンプ」としてのウォータポンプ10について説明する。
第1の実施の形態に係るウォータポンプ10は、例えば車両(自動車)のエアコンヒータ用の冷却水(液体)を圧送するためのポンプとして用いられている。図3に示されるように、ウォータポンプ10は、インペラ70が収容され且つ冷却水を圧送するポンプ部12と、インペラ70を回転させるためのモータ部60と、を備えている。また、ウォータポンプ10は、モータ部60を収容するモータハウジング30と、モータ部60を駆動制御するための回路装置90と、を備えている。以下、ウォータポンプ10の全体の構成について、ポンプ部12、モータハウジング30、モータ部60、及び回路装置90の順で説明し、次いで、本発明の要部であるポンプ部12の内部構造について説明する。なお、ウォータポンプ10は、全体として略円柱形状に形成されており、以下の説明では、図面に適宜示される矢印A方向を上方とし、矢印B方向を下方(ウォータポンプ10の軸方向一方側)としている。
(ポンプ部12について)
図3に示されるように、ポンプ部12はウォータポンプ10の上部を構成している。ポンプ部12はポンプケース14を備えており、ポンプケース14はポンプ部12の外周部分を構成している。このポンプケース14はケース本体部16を有しており、ケース本体部16は下方側へ開放された略有底円筒形状に形成されている。ケース本体部16の内部には、中央部において、インペラ70を収容するインペラ収容部18が形成されており、インペラ収容部18は、下方側へ開放された略凹状に形成されている。
また、ケース本体部16の上壁には、中央部(ウォータポンプ10の軸心部)において、入口管22が一体に形成されている。入口管22は、管状に形成されて、ケース本体部16から上方側へ延出されており、入口管22の上端部の開口部分が流入口22Aとされている。また、入口管22はインペラ収容部18と連通されており、冷却水が入口管22の流入口22Aからケース本体部16の内部(インペラ収容部18)へ流入されるようになっている。
さらに、ケース本体部16の外周部には、出口管24(図1参照)が一体に形成されている。この出口管24は、管状に形成されて、ケース本体部16の側壁16Aからウォータポンプ10の軸線に対して直交する方向に延出されており、出口管24の先端部の開口部分が吐出口24Aとされている。そして、出口管24は、後述する連通部108を介してインペラ収容部18と連通されており、ケース本体部16内に流入された冷却水が出口管24から流出されるようになっている。
また、ケース本体部16の開放端部(ケース本体の軸方向一方側の端部)には、ポンプ側フランジ部26が一体に形成されており、ポンプ側フランジ部26は、ケース本体部16からケース本体部16の径方向外側へ突出されると共に、ケース本体部16の全周に亘って略リング状に形成されている。このポンプ側フランジ部26の下面には、略円筒形状のリブ26Aが立設されており、リブ26Aはケース本体部16の全周に亘って形成されて、ポンプ側フランジ部26から下方側へ突出されている。
(モータハウジング30について)
モータハウジング30は、ウォータポンプ10の上下方向中間部を構成すると共に、ポンプ部12に対して下方側に配置されている。このモータハウジング30は、全体として下方側へ開放された略有底円筒状に形成されて、入口管22(ウォータポンプ10の軸線)と同軸上に配置されている。具体的には、モータハウジング30は、モータハウジング30の径方向外側部分を構成する外筒部32を有しており、外筒部32は下方側へ開放された略有底円筒状に形成されている。また、モータハウジング30は、モータハウジング30の径方向内側部分を構成する内筒部34を有している。この内筒部34は、上方側へ開放された略有底円筒状に形成されており、内筒部34の開放端(上端)が外筒部32の底壁に結合されている。
そして、外筒部32と内筒部34との間の空間が、後述するステータ80を収容するためのステータ収容部36とされており、ステータ収容部36は下方側へ開放された略円環状の空間に形成されている。さらに、内筒部34の内側の空間が、後述するロータ62を収容するためのロータ収容部38とされている。
また、外筒部32の外周部分を構成する外筒壁32Aの上端部(ウォータポンプ10の軸方向一方側の端部)には、第1結合部40が一体に形成されている。第1結合部40は、外筒壁32Aからモータハウジング30の径方向外側へ突出され、外筒壁32Aの全周に亘って略リング状に形成されると共に、前述したポンプ側フランジ部26と上下方向に対向して配置されている。また、第1結合部40の上面には、前述したポンプ側フランジ部26のリブ26Aと対応する位置において、リブ収容凹部40Aが形成されている。リブ収容凹部40Aは、上方側へ開放されると共に、モータハウジング30の軸方向から見て円環状(リング状)に形成されている。そして、リブ収容凹部40A内にポンプケース14のリブ26Aが収容された状態で、第1結合部40とポンプ側フランジ部26とが結合されている。また、この状態では、外筒部32の底壁がポンプケース14内に入り込むと共に、ポンプケース14内とロータ収容部38内とが連通されている。
一方、外筒壁32Aの下端部には、第2結合部42が一体に形成されている。第2結合部42は、外筒壁32Aからモータハウジング30の径方向外側へ突出されると共に、外筒壁32Aの全周に亘って所定の形状に形成されている。また、第2結合部42の下面には、第2結合部42の外周部分において、囲繞壁42Aが一体に形成されている。囲繞壁42Aは、第2結合部42から下方側へ突出されると共に、第2結合部42の全周に亘って形成されている。
なお、第2結合部42には、外部コネクタ(図示省略)と嵌合されるコネクタ部(図示省略)が一体に形成されている。このコネクタ部は、下方側(図3の矢印B方向側)へ開放された略有底矩形筒状に形成されて、第2結合部42から下方側へ突出されている。さらに、コネクタ部内には、外部コネクタと接続されるコネクタターミナル(図示省略)の一端が設けられており、コネクタターミナルは所定の形状に屈曲されて、コネクタターミナルの他端部が、モータハウジング30から下方側へ延出されて、後述する回路基板96に接続されている。
また、内筒部34の底壁には、中央部において、略円筒形状の支持部48が一体に形成されている。支持部48は、ポンプ部12の入口管22と同軸上に配置されて、内筒部34の底壁から上方側へ突出されている。さらに、内筒部34内には、円柱状の回転軸50が設けられており、回転軸50は支持部48と同軸上に配置されている。そして、回転軸50の下端部が支持部48に固定支持されており、回転軸50は支持部48から上方側へ突出されている。
(モータ部60について)
モータ部60は、ロータ62とステータ80とを含んで構成されている。ロータ62は、モータハウジング30のロータ収容部38内に収容されている。また、ロータ62は、略円筒状に形成されると共に、回転軸50の径方向外側で且つ回転軸50と同軸上に配置されている。このロータ62の内部には、複数のマグネット(図示省略)が設けられており、マグネットはロータ62の周方向に沿って配置されている。また、ロータ62の径方向内側には、軸受64がロータ62とは離間して設けられている。この軸受64は、略円筒形状に形成されて、回転軸50に回転可能に支持されている。そして、軸受64とロータ62とが、樹脂材により構成されたモールド部66によって一体に成形されている。これにより、ロータ62が軸受64を介して回転軸50に回転可能に支持されている。
また、モールド部66の上端部(ウォータポンプ10の軸方向一方側の端部)には、インペラ70を構成する第1円盤部72及びブレード74が一体に形成されている。第1円盤部72は、略円板状に形成されて、板厚方向を回転軸50の軸方向にして回転軸50と同軸上に配置されている。また、ブレード74は、第1円盤部72から上方側へ突出されている。さらに、ブレード74の上側には、インペラ70を構成する第2円盤部76が設けられている。第2円盤部76は、略円板状に形成されると共に、第1円盤部72とブレード74を介して対向するように配置されて、ブレード74と一体に結合されている。そして、モータ部60の駆動によって、インペラ70が図1に示される矢印C方向に回転するようになっている。
ステータ80は、環状に形成されたステータコア82と、導電性を有する巻線84と、を含んで構成されて、モータハウジング30のステータ収容部36内に収容されている。ステータコア82は、所定の形状に打ち抜かれた複数の鋼板によって構成されており、当該鋼板が板厚方向を上下方向にして上下方向に積層されている。そして、ステータコア82には、自身の径方向外側へ延びる複数のティース部82Aが形成されている。
巻線84は、ステータコア82のティース部82Aに巻回されている。これにより、ティース部82Aの外周部に沿って巻き回された巻線部84Aが形成されている。また、巻線84の端末部は、モータハウジング30(ステータ収容部36)から下方側へ延出されて、後述する回路基板96に接続されている。なお、巻線部84Aとティース部82Aとの間には、絶縁部材85が介装されている。
また、ステータ80は、ステータホルダ86によって覆われている。ステータホルダ86は、鋼板で製作されると共に、下方側へ開放された略有底円筒形状に形成されている。また、ステータホルダ86の底壁には、円形状の配置孔86Aが上下方向に貫通形成されている。そして、ステータ80がステータホルダ86内に配置された状態で、ステータ80及びステータホルダ86がステータ収容部36内に収容されている。また、この状態では、モータハウジング30の内筒部34が配置孔86Aの内側に配置されている。
また、ステータホルダ86の開放端(下端)には、ホルダ側フランジ部86Bが一体に形成されている。このホルダ側フランジ部86Bは、ステータホルダ86の開放端からステータホルダ86の径方向外側へ延出されて、モータハウジング30の第2結合部42の下側で且つ囲繞壁42Aの内側に配置されている。
(回路装置90について)
回路装置90は、ウォータポンプ10の下部を構成すると共に、モータハウジング30の下方側に配置されている。また、回路装置90は、プレートユニット92と、回路基板96と、回路カバー98と、を含んで構成されている。
プレートユニット92は、略円盤状に形成されて、モータハウジング30に対して下方側に配置されている。このプレートユニット92は、樹脂材で構成されたプレート本体93と、鋼板で構成され且つ略リング状に形成されたリングプレート94と、を有している。そして、リングプレート94がプレート本体93の上方側に配置された状態で、プレート本体93及びリングプレート94が一体に成形されている。
さらに、リングプレート94には、複数の固定孔(図示省略)が形成されている。そして、リングプレート94がステータホルダ86のホルダ側フランジ部86Bと上下方向に対向して配置されており、固定孔内にネジ等の締結部材が挿入されて、プレートユニット92がホルダ側フランジ部86Bに締結固定されている。
また、リングプレート94には、後述する回路基板96を固定するための複数の固定片94Bが一体に形成されている。この固定片94Bは、リングプレート94の外周部から下方側へ延出されており、固定片94Bの先端部がリングプレート94の径方向内側へ屈曲されている。そして、固定片94Bの先端部には、後述する回路基板96を締結するためのバーリング94Cが形成されており、バーリング94Cは下方側へ開放された略有底円筒状に形成されている。
さらに、プレートユニット92には、図示しないガイド孔が上下方向に貫通形成されており、ガイド孔内に、前述したコネクタターミナルの他端部及び巻線84の端末部が挿入されるようになっている。
回路基板96は、略円板状に形成されて、板厚方向を上下方向にしてプレートユニット92の下方側に配置されている。そして、前述したリングプレート94のバーリング94Cにネジ(図示省略)が挿入されて、該ネジによって回路基板96がプレートユニット92に固定されている。また、回路基板96には、複数の回路素子96Aが実装されると共に、前述したコネクタターミナルの他端部及び巻線84の端末部が接続されている。
回路カバー98は、鋼板で製作されると共に、上方側へ開放された略有底円筒形状に形成されている。また、回路カバー98の開放端(上端)には、カバー側フランジ部98Aが一体に形成されており、カバー側フランジ部98Aは、回路カバー98の開放端から回路カバー98の径方向外側へ突出されると共に、回路カバー98の全周に亘って形成されている。そして、回路カバー98は、回路基板96及びプレートユニット92を覆うと共に、モータハウジング30の下端部を閉塞している。具体的には、カバー側フランジ部98Aが、モータハウジング30の囲繞壁42Aの内側で且つステータホルダ86のホルダ側フランジ部86Bと対向して配置されて、図示しないネジ等の締結部材によってホルダ側フランジ部86Bと共にモータハウジング30の第2結合部42に締結固定されている。
(ポンプ部12の内部構造について)
図1(A)及び(B)に示されるように、上述したポンプケース14(ケース本体部16)の内部には、ボリュート部100が設けられている。ボリュート部100は、ケース本体部16の軸方向から見て一部開放された渦巻状に形成されている。具体的には、ボリュート部100は、ケース本体部16の側壁16Aからケース本体部16(インペラ70)の径方向内側へ突出されて、インペラ70(図1(A)及び(B)では不図示)の外周部とケース本体部16の径方向に対向して配置されている。
また、ボリュート部100は、出口管24の近傍に配置された巻始め端部102を一端として、巻始め端部102からケース本体部16の周方向一方側(インペラ70の回転方向であり、図1(A)及び(B)に示される矢印C方向側)へ渦巻状に延在されている。そして、ボリュート部100の内周面100Aが、ケース本体部16の軸方向から見てインボリュート曲線となっている。すなわち、側壁16Aからのボリュート部100の突出量が、巻始め端部102からケース本体部16の周方向一方側へ向かうに従い小さくなるように設定されている。また、ボリュート部100の一端面(端面)100Bは、ケース本体部16の軸方向から見て出口管24の延在方向に沿うように伸びている。
上述したインペラ収容部18内には、略円筒状の筒状部104が設けられている。この筒状部104は、ケース本体部16の上壁に立設されると共に、ケース本体部16と同軸上に配置されている。さらに、筒状部104は、ボリュート部100の径方向内側に配置されて、巻始め端部102と結合されている。また、巻始め端部102の一端面100Bが、筒状部104の外周面に接するように面一に配置されている。これにより、筒状部104とボリュート部100との間には、ケース本体部16の軸方向一方側へ開放された断面略U字形状の流路106(図3参照)が形成されている。そして、流路106の一端部は、筒状部104とボリュート部100とによって閉じられており、ケース本体部16の軸方向から見て、流路106の幅寸法がケース本体部16の周方向一方側へ向かうに従い大きくなるように設定されている。さらに、流路106の他端側の部分は、巻始め端部102の一端面100Bに隣接して延在されると共に、出口管24の内部と連通されている。そして、流路106における巻始め端部102と隣接した部分が、連通部108とされている。すなわち、連通部108の側面が、巻始め端部102の一端面100Bとされている。
さらに、図2(A)にも示されるように、ボリュート部100の頂面100C(ケース本体部16の軸方向一方側の面)には、巻始め端部102における側壁16Aと隣接する部位(以下、この部位を「側壁隣接部」という)に、溝部110が形成されている。溝部110は、ケース本体部16の軸方向一方側へ開口すると共に、側壁16Aの周方向に沿って延在されており、溝部110の長手方向一端が連通部108側へ開口されている。そして、溝部110の長手方向一端における開口部が、端部開口部112とされている。
また、溝部110は、ケース本体部16の軸方向一方側から見て、略三角形状に形成されている。すなわち、ケース本体部16の軸方向一方側から見て、溝部110の開口縁110Aがボリュート部100の渦巻方向(図1(A)及び(B)に示される矢印C方向)へ向かうに従い側壁16A側へ直線状に傾斜されており、溝部110の幅寸法W(図2(A)参照)が、溝部110の長手方向一端から長手方向他端へ向かうに従い小さくなるように設定されている。
さらに、図2(B)に示されるように、ケース本体部16の周方向から見て、溝部110の溝深さが開口縁110Aから側壁16A側へ向かうに従い深くなるように設定されており、溝部110と側壁16Aとの境界部分には、断面略円弧状の円弧面110Bが形成されている。この円弧面110Bは側壁16Aの周方向に沿って延在されている。また、溝部110の断面形状は、溝部110の長手方向一端から長手方向他端へ向かうに従い小さくなるように設定されており、溝部110の長手方向他端が、ボリュート部100の頂面100Cに収束されるようになっている。
次に本実施の形態の作用及び効果について説明する。
上記のように構成されたウォータポンプ10では、コネクタ部に外部コネクタが接続されて、モータ部60を駆動制御する電力が外部コネクタから回路装置90へ供給される。これにより、モータ部60が駆動して、モータ部60のロータ62が回転軸50の軸線回りに回転されると共に、インペラ70が回転軸50の軸線回りに回転される。そして、インペラ70が回転されることで、ポンプ部12の入口管22からポンプケース14内に流入された冷却水が圧送されて出口管24から流出される。
ところで、インペラ70が回転すると、インペラ70が冷却水を圧送するため、ケース本体部16内に圧力が発生する。これにより、ケース本体部16には、当該圧力によって応力が生じる。この点について、図11に示される比較例と比較しつつ説明する。なお、比較例では、第1の実施の形態のポンプケース14(ケース本体部16)に対して溝部110が省略されており、図11では、第1の実施の形態のポンプケース14と同様に構成されている部位には同一の符号を付している。
図11に示されるように、比較例では、ボリュート部100において溝部110が省略されているため、巻始め端部102では、側壁16Aの内周面とボリュート部100の頂面100Cとが交差している。また、巻始め端部102では、ボリュート部100の頂面100Cと一端面100Bとが交差している。これにより、側壁16Aの内周面、ボリュート部100の頂面100C、及びボリュート部100の一端面100Bが、点Dで交差するようになっている。そして、インペラ70が回転されると、ボリュート部100の渦巻方向(図11の矢印C方向)に沿って圧送された冷却水が、ケース本体部16の連通部108から出口管24の内部へ流出される。このとき、インペラ70によって圧送された冷却水によってケース本体部16に生じる応力が、主にボリュート部100の巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分(特に点Dの周囲の部分)に集中する傾向にある。
これに対して、第1の実施の形態では、図1(A)及び(B)に示されるように、巻始め端部102の頂面100Cにおける側壁16Aと隣接する部位に、溝部110が形成されている。この溝部110はボリュート部100の渦巻方向に沿って延在されており、溝部110の長手方向一端が連通部108側へ開口した端部開口部112とされている。このため、ケース本体部16の連通部108から出口管24へ流出される冷却水の一部が、端部開口部112から溝部110内に流れ込んで溝部110内をボリュート部100の渦巻方向に沿って流れる。その結果、上記比較例と比べて、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分に生じる応力が低減される。したがって、ケース本体部16における応力集中を緩和できる。
また、溝部110における側壁16Aとの境界部分には、断面円弧状の円弧面110Bが形成されている。これにより、溝部110の側壁16Aとの境界部分に生じる応力を分散させることができる。したがって、ケース本体部16における応力集中を効果的に緩和できる。
(第2の実施の形態)
以下、図4及び図5を用いて第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、ケース本体部16に形成された溝部110の形状を除いて、第1の実施の形態と同様に構成されている。
すなわち、第2の実施の形態では、溝部110の幅寸法Wが、溝部110の長手方向他端部から長手方向一端へ向かうに従い小さくなるように設定されている。具体的には、ケース本体部16の軸方向一方側から見て、溝部110の開口縁110Aが、溝部110の長手方向一端からケース本体部16の側壁16Aに対して離間する方向へ略直線状に延びると共に、溝部110の長手方向他端部において略円弧状に湾曲して側壁16Aに接続されている。これにより、端部開口部112における幅寸法Wが、第1の実施の形態の端部開口部112における幅寸法Wよりも小さく設定されている。すなわち、第2の実施の形態では、端部開口部112における幅寸法Wが大きくなることを抑制するように構成されている。
また、溝部110の底面は、ケース本体部16の軸方向に対して略直交する方向に配置されており、端部開口部112は、溝部110の円弧面110Bによって構成されて、略四分円状に形成されている。
そして、第2の実施の形態においても、ボリュート部100における巻始め端部102の側壁隣接部に溝部110が形成されているため、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分における応力集中を緩和できる。これにより、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
また、第2の実施の形態では、溝部110の幅寸法Wが溝部110の長手方向他端部から長手方向一端へ向かうに従い小さくなるように設定されている。このため、溝部110の端部開口部112における開口面積を小さく設定できる。その結果、溝部110内へ流入される冷却水の量を抑制できる。これにより、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分における応力集中を緩和しつつ、ポンプ部12によるポンプ効率の低下を抑制できる。
この点について、図6を用いて説明する。図6では、ポンプ部12のポンプ効率を示しており、横軸がポンプ部12に流入された冷却水の流量とされ、縦軸が冷却水の各流量に対するポンプ部12のポンプ効率とされている。さらに、白抜きの丸印が、第1の実施の形態のポンプ部12におけるポンプ効率を示し、黒塗りの丸印が、第2の実施の形態のポンプ部12におけるポンプ効率を示し、白抜きの四角印が、比較例のポンプ部12におけるポンプ効率を示している。
そして、この図から明らかなように、第2の実施の形態におけるポンプ部12では、比較例のポンプ部12と同等のポンプ効率を有していることが分かる。これにより、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分における応力集中を緩和するために、ボリュート部100に溝部110を形成しても、ポンプ部12によるポンプ効率の低下を抑制できる。
(第3の実施の形態)
以下、図7及び図8を用いて第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、以下に示す点を除いて第1の実施の形態と同様に構成されている。すなわち、第3の実施の形態では、ボリュート部100の巻始め端部102に一端側壁部120が一体に形成されている。この一端側壁部120は、略矩形板状に形成されて、端部開口部112における側壁16Aとは反対側の部分(すなわち、ケース本体部16の径方向内側部分)を閉塞している。さらに、端部開口部112が、円弧面110Bによって構成されて、略四分円状に形成されている。
そして、第3の実施の形態においても、ボリュート部100における巻始め端部102の側壁隣接部に溝部110が形成されているため、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分における応力集中を緩和できる。これにより、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
また、第3の実施の形態では、ボリュート部100の巻始め端部102に一端側壁部120が一体に形成されており、一端側壁部120は、巻始め端部102における側壁16Aとは反対側の部分を閉塞している。このため、巻始め端部102における開口面積を小さく設定できる。その結果、溝部110内へ流入される冷却水の量を抑制できる。これにより、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分における応力集中を緩和しつつ、ポンプ部12によるポンプ効率の低下を抑制できる。
(第4の実施の形態)
以下、図9及び図10を用いて第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、以下に示す点を除いて第3の実施の形態と同様に構成されている。すなわち、第4の実施の形態では、ボリュート部100の溝部110の長手方向中間部に中間壁部122がさらに形成されている。この中間壁部122は、板状に形成されて、一端側壁部120と平行に配置されている。また、中間壁部122は、ケース本体部16の側壁16Aからケース本体部16の径方向内側へ延出されており、ケース本体部16の周方向から見て、中間壁部122の一部と一端側壁部120の一部とがオーバーラップするように配置されている。このため、第4の実施の形態では、一端側壁部120及び中間壁部122によって、溝部110が所謂ラビリンス構造とされている。
そして、第4の実施の形態においても、ボリュート部100における巻始め端部102の側壁隣接部に溝部110が形成されているため、巻始め端部102とケース本体部16の側壁16Aとの境界部分における応力集中を緩和できる。これにより、第4の実施の形態においても、第3の実施の形態と同様の作用及び効果を奏する。
また、上述したように、第4の実施の形態では、一端側壁部120及び中間壁部122によって、溝部110がラビリンス構造にされているため、溝部110内へ流入される冷却水の量を一層抑制できる。したがって、巻始め端部102の側壁隣接部における応力集中を緩和しつつ、ポンプ部12によるポンプ効率の低下を一層抑制できる。