JP6353530B2 - キナーゼ阻害剤として有用なカルバゾールカルボキサミド化合物 - Google Patents

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Description

(関連出願の相互関係)
本出願は、米国特許出願第61/839,130号(2013年6月25日出願)の優先権の利益を主張し、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的に、キナーゼ阻害剤として有用な[例えば、ブルトンチロシンキナーゼ(Btk)および他のTecファミリーキナーゼ(例えば、Itkなど)の変調が挙げられる]、カルバゾールカルボキサミド化合物に関する。本明細書では、カルバゾールカルボキサミド化合物、そのような化合物を含む組成物、並びにそれらの使用方法が提供される。本発明はさらに、キナーゼ[例えばBtkおよび他のTecファミリーキナーゼ(例えば、Itk)]の調節に関連する症状の治療に有用な本発明の化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物、および哺乳類におけるキナーゼ[Btkおよび他のTecファミリーキナーゼ(例えば、Itkなど)が含まれる]の活性を阻害する方法に関連する。
ヒト酵素群の最大ファミリーであるプロテインキナーゼは、500をはるかに超えるタンパク質を包含する。Btkは、チロシンキナーゼのTecファミリーの一員であり、初期B細胞発生、並びに成熟B細胞活性化、シグナル伝達および生存の制御因子である。
B細胞受容体(BCR)を介したB細胞シグナル伝達は、B細胞の発達段階に依存する様々な生物学的アウトプットをもたらす。BCRシグナルの規模および持続時間は、正確に制御されなければならない。異常なBCR介在性シグナル伝達は、B細胞活性化の調節不全および/または病原性自己抗体の形成を引き起こし、複数の自己免疫疾患および/または炎症性疾患に至る可能性がある。ヒトにおけるBtkの突然変異は、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)をもたらす。この疾患は、BCR刺激により、B細胞の成熟障害、免疫グロブリン産生の減少、T細胞非依存性免疫応答不全および持続性カルシウムシグナルの著しい減衰を伴う。
アレルギー性疾患および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患におけるBtkの役割に関する証拠は、Btk欠乏マウスモデルで実証されている。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)の標準マウスの前臨床モデルでは、Btkが欠損すると、疾患進行を著しく改善する結果がもたらされることが示されている。さらに、Btk欠乏マウスは、コラーゲン誘導性関節炎の発症もしにくく、またブドウ球菌誘導性関節炎にもかかりにくい。
多くの証拠が、自己免疫疾患および/または炎症性疾患の発症における、B細胞および体液性免疫系の役割を裏付けている。B細胞を枯渇させるように開発されたタンパク質ベースの治療法[例えば、RITUXAN(登録商標)]は、多くの自己免疫疾患および/または炎症性疾患の治療に対する重要なアプローチを示す。B細胞活性化におけるBtkの役割のために、Btk阻害剤は、B細胞を介した病原性活性(例えば、自己抗体産生)の阻害剤として有用であり得る。
Btkは、マスト細胞および単球においても発現し、これらの細胞の機能にとって重要な役割を果たすことが示されている。例えば、Btkを欠くマウスは、IgE介在性マスト細胞活性化の障害(TNF−αおよび他の炎症性サイトカインの放出の著しい減少)を伴い、またBtkを欠くヒトでは活性化された単球による、TNF−α産生の大幅な減少を伴う。
従って、Btk活性の阻害は、アレルギー性障害および/または自己免疫および/または炎症性疾患[SLE、関節リウマチ、多発性血管炎、突発性血小板減少性紫斑病(ITP)、重症筋無力症、アレルギー性鼻炎、多発性硬化症(MS)、移植拒絶反応、1型糖尿病、膜性腎症、炎症性腸疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫甲状腺炎、寒冷および温暖凝集素症、エバンス症候群、溶血性尿毒症性症候群/血栓血小板減少性紫斑病(HUS/TTP)、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、末梢神経障害(例えば、ギランバレー症候群)、尋常性天疱瘡および喘息が含まれるが、これらに限定されない]の治療に有用であり得る。
さらに、Btkは、特定のB細胞癌においてB細胞の生存を調節する役割を果たすことが報告されている。例えば、Btkは、BCR−Abl−陽性B細胞急性リンパ芽球性白血病細胞の生存に重要であることが示されている。したがって、Btk活性の阻害は、B細胞リンパ腫および白血病の治療のために有用であり得る。
プロテインキナーゼの調節が係わる治療によって恩恵を得ると考えられる数多くの症状を考慮すれば、Btkなどのプロテインキナーゼを調節し得る新規化合物ならびにこれらの化合物の使用方法が、多種多様な患者に対して多大な治療上の効用を提供することは自明である。
米国特許第8,084,620号およびWO2011/159857は、キナーゼ阻害剤(Btkおよび他のTecファミリーキナーゼの調節を含む)として有用な三環式カルボキサミド化合物を開示している。
Btk阻害剤として有用で、かつJak2チロシンキナーゼを超える選択性を有する化合物についての必要性が依然として存在している。さらに、Jak2チロシンキナーゼを超える選択性を有し、かつ全血BCR刺激性のCD69発現アッセイにおいて改善された効力を有するBtk阻害剤として有用な化合物が依然として必要である。
出願人らは、強力なBtk阻害剤としての活性を有する化合物を見出した。また更に、出願人らは、これらの化合物が、Btk阻害剤として活性を有し、かつJak2チロシンキナーゼよりも選択的であることを見出した。またさらに、出願人らは、Btk阻害剤として活性を有する化合物が、Jak2チロシンキナーゼよりも選択であり、かつ全血BCR刺激性のCD69発現アッセイにおいて改善された効力を示したことを見出した。これらの化合物は、医薬可能性にとって重要である望ましい安定性、バイオアベイラビリティー、治療インデックスおよび毒性値を有する医薬としての価値を提供する。
本発明は、Btkの阻害剤として有用であり、かつ増殖性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患の治療に有用であるカルバゾール化合物(その塩ならびにそのプロドラッグを含む)を提供する。
本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、および医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物も提供する。
本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、治療が必要な哺乳類に投与することを特徴とする、Btk活性を阻害する方法も提供する。
本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、治療の必要のある哺乳類に投与することを特徴とする、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および/または炎症性疾患の治療方法もまた提供する。
本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を、治療の必要のある哺乳類に投与することを特徴とする、増殖性疾患、例えば癌の治療方法もまた提供する。
本発明は、少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を治療の必要のある哺乳類に投与することを特徴とする、Btk活性に関連のある疾患または障害の治療方法を提供する。
本発明は、式(I)の化合物および/またはその塩を製造するための方法および中間体も提供する。
本発明は、治療における使用のための式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩も提供する。
本発明は、Btk関連症状、例えば増殖性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患の治療または予防のための医薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用も提供する。
本発明は、癌を治療するための医薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用も提供する。
式(I)の化合物および式(I)の化合物を含む組成物は、様々なBtk関連症状を治療、予防または治癒する際に使用され得る。これらの化合物を含む医薬組成物は、種々の治療領域、例えば、増殖性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患および炎症性疾患における疾患または障害の進行を治療、予防または遅延させる際に有用である。
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、以下の本開示においてその広い形態で記載される。
本発明は、以下に記述される添付の図面を参照して説明される。
図1は、中間体15の絶対立体化学を示す。 図2は、実施例3の2つの相互変換するジアステレオマーの絶対立体化学を示す。 図3は、実施例3の一水和物,結晶形態H1−6の実測およびシュミレーションPXRDパターン(CuKα線 λ=1.5418Å)を示す。
本発明の第1態様は、少なくとも1つの式(I):
Figure 0006353530

[式中、
Qは、
Figure 0006353530
であり;
は、−C(CH)OH、−NHC(=O)C(CH)、−N(CH)または−CHであり;
は、Clまたは−CHであり;
は、H、Fまたは−CHであり;
は、Hまたは−CHであり;
は、H、F、Clまたは−OCHであり;
は、HまたはFであり;および
は、−OH、−OCH、−NHC(=O)CHまたは
Figure 0006353530
である]
の化合物、またはその塩を提供する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;Q、RおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Rが−NHC(=O)C(CH)であり;Q、RおよびRが、第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Rが−N(CH)であり;Q、RおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、Rが−CHであり;Q、R、RおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、RがClであり;Q、RおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、Rが−CHであり;Q、RおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;RがClであり;QおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;RがClであり;RがHであり;Qが第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;Rが−CHであり;QおよびRが第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;Rが−CHであり;RがHであり;Qが第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;Rが−CHであり;Rが−CHであり;Qが第1態様に規定されている、式(I)の化合物を提供する。
一実施形態は、Qが、
Figure 0006353530

であり;R、R、RおよびRが、第1態様に規定されている、式(I)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態の化合物は、式(II):
Figure 0006353530

の構造を有する。
この実施形態に含まれるものは、Qが
Figure 0006353530

である、式(II)の化合物である。
一実施形態は、Rが、−C(CH)OHであり;R、R、RおよびRが第1態様に規定される、式(II)の化合物を提供する。この実施形態の化合物は、式(IIA):
Figure 0006353530

の構造を有する。
この実施形態に含まれるものは、RがClまたは−CHであり;RがHであり;RがHまたは−CH(−CDを含む)であり;RがH、Fまたは−OCHである、式(IIA)の化合物である。さらに、この実施形態に含まれるものは、Qが、
Figure 0006353530

である、式(IIA)の化合物である。
一実施形態は、化合物が、4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(1および2);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(3);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4);4−(2−クロロ−3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(5);4−(2−クロロ−3−(1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(6);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(8−メトキシ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(7);4−(3−(6−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(8);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(24);4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(25);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(26);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(27);ならびに、8−フルオロ−4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(33)、
から選択される式(II)の化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、Qが、
Figure 0006353530

であり;R、R、R、RおよびRが、第1態様に規定される、式(I)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態の化合物は、式(III):
Figure 0006353530

の構造を有する。
この実施形態に含まれるものは、Qが、
Figure 0006353530

である、式(III)の化合物である。
一実施形態は、Rが−CHであり;R、R、RおよびRが第1態様に規定されている、式(III)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態の化合物は、式(IIIA):
Figure 0006353530
の構造を有する。
この実施形態に含まれるものは、Rが、−C(CH)OH、−NHC(=O)C(CH)、−N(CH)または−CHであり;RがH、Fまたは−CHであり;Rが、H、F、Clまたは−OCHであり;Rが、HまたはFであり;Rが−OH、−OCH、−NHC(=O)CHまたは
Figure 0006353530

である、式(IIIA)の化合物である。またこの実施形態にも含まれるものは、RがHである化合物である。
一実施形態は、化合物が、7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(7−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(10);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(6−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(11);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(5−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(12);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(13);4−(3−(R)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(14);4−(3−(S)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(15);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(16);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(17);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(18);4−(3−(4−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(19);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(21);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(22および23);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(28);7−(ジメチルアミノ)−4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(29);7−(アセトアミドメチル)−4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(30);ならびに、4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(ピロリジン−1−イルメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(31)、
から選択される式(III)の化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、Qが、
Figure 0006353530

であり;R、RおよびRが第1態様に規定される、式(I)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態の化合物は、式(IV)の構造:
Figure 0006353530

を有する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHであり;RおよびRが第1態様に規定される、式(IV)の化合物を提供する。この実施形態の化合物は、式(IVA):
Figure 0006353530

の構造を有する。
この実施形態に含まれるものは、Rが−CHである式(IVA)の化合物である。また、この実施形態に含まれるものは、RがHである式(IVA)の化合物である。
一実施形態は、Qが、
Figure 0006353530

である、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
この実施形態の化合物は、式(V)の構造:
Figure 0006353530

(式中、R、RおよびRが、第1態様に規定されている)
を有する。
一実施形態は、Rが−C(CH)OHである、式(V)の化合物を提供する。この実施形態の化合物は、式(Va):
Figure 0006353530

(式中、RおよびRは、第1態様に規定されている)
の構造を有する。この実施形態に含まれるものは、Rが−CHである式(Va)の化合物である。この実施形態に含まれるものは、RがHである式(Va)の化合物である。
一実施形態は、Rが−CHであり;R、RおよびQが、第1態様に規定されている式(I)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態に含まれるものは、式(IA):
Figure 0006353530
の構造を有する化合物である。
またこの実施形態に含まれるものは、Rが−C(CH)OHである式(I)の化合物および式(VI)の化合物である。
一実施形態は、化合物が、4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(1および2);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(3);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4);4−(2−クロロ−3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(5);4−(2−クロロ−3−(1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(6);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(8−メトキシ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(7);4−(3−(6−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(8);4−(3−(3−(4−フルオロフェニル)−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(9);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(7−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(10);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(6−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(11);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(5−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(12);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(13);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(14および15);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(16);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(17);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(18);4−(3−(4−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(19);4−(3−(5,7−ジオキソ−5H−チアゾロ[3,2−c]ピリミジン−6(7H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(20);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(21);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(22および23);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(24);4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(25);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(26);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(27);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(28);7−(ジメチルアミノ)−4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(29);7−(アセトアミドメチル)−4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(30);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(ピロリジン−1−イルメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(31);ならびに、4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(32)、
から選択される式(I)の化合物またはその塩を提供する。
アトロプ異性体は、個々の回転異性体を単離することができる程度に回転障壁が十分に大きい単結合軸の周りの束縛回転により生じる立体異性体である(LaPlante et al.,J. Med. Chem.,54:7005-7022(2011).)。
式(I):
Figure 0006353530

の化合物は、2つの立体配置の軸:三環式カルバゾール基およびフェニル基の間の結合(a);ならびに対称的な複素環ジオン基Qおよびフェニル基の間の結合(b)を有する。表示したaおよびbの単結合により連結された環上の置換基の非対称的性質のため、および立体障害により生じるこれらの結合の周りの制約された回転のために、式(I)の化合物は回転異性体を形成することができる。回転障壁エネルギーが十分に高いならば、結合(a)および/または結合(b)についての束縛回転は、異なる化合物として分離されるアトロプ異性体を単離し得る程度に十分遅い速度で起こる。このため、式(I)の化合物は、4つの回転異性体を形成することが可能であり、これを特定の条件下で、例えばキラル固定相でのクロマトグラフィーにより、個々のアトロプ異性体へと分離することができる。溶液中では、式(I)の化合物は、4つのジアステレオマー混合物、または2対のジアステレオマー混合物あるいは単一のアトロプ異性体として提供され得る。
式(I)の化合物について、立体配置の軸(a)周りの束縛回転により形成された1対の回転異性体は、式(I)の化合物および下記構造:
Figure 0006353530

により示され、分離できることが判った。しかし、周囲温度およびそれ以上では、個々の回転異性体の1つを含有する溶液は、立体配置の軸(a)の周りにラセミ化を受けて、アトロプ異性体の混合物を、例えば数時間かけて、形成することが判った。立体配置の軸(b)周りの束縛回転により形成した安定な回転異性体は単離され、周囲温度および生理学的温度で溶液中において安定であることが判った。
立体配置の軸(b)について束縛回転により形成した式(II)の化合物に関する2つの回転異性体は、以下のとおりに示され得る:
Figure 0006353530
立体配置の軸(b)について束縛回転により形成した式(III)の化合物の2つの回転異性体は、以下のとおりに示され得る:
Figure 0006353530
立体配置の軸(b)周りの束縛回転により形成した式(IV)の化合物の2つの回転異性体は、以下のとおりに示され得る:
Figure 0006353530
立体配置の軸(b)周りの束縛回転により形成した式(V)の化合物の2つの回転異性体は、以下のとおりに示され得る:
Figure 0006353530
アトロプ異性体の絶対空間配置は、単結晶X線結晶解析により決定され得る。
こうして、式(I)の化合物は、個々のアトロプ異性体として、2つのアトロプ異性体を含む混合物として、または安定な対のジアステレオマーとして単離され得る;ここで、一対は、結合(b)に関して(R)配置を有するが、結合(a)に関しては(R)および(S)配置の混合物であり、もう一方の対は、結合(b)に関して(S)配置であるが、結合(a)に関して(R)および(S)配置の混合物である。
式(I)の化合物は、結合(b)に関して単一の絶対配置を有する一組のジアステレオマーに分離できるが、結合(a)に関して2つの相互変換する絶対配置の混合物である;あるいは、結合(a)に関して単一の絶対配置を有するジアステレオマーであるが、結合(b)に関して2つの相互変換する絶対配置の混合物である。かかる分離は、当分野において既知の方法、例えばキラル固定相上の分取クロマトグラフィーを用いて達成され得る。
本発明の化合物は、好ましくは様々な技術(超臨海液体クロマトグラフィー(SFC)を含めた)により分離され得る4つのアトロプ異性体の混合物として存在しており、個々のアトロプ異性体または2つのアトロプ異性体の混合物を得ることができる。順相HPLCの1つの形態であるSFCは、移動相として超臨界/臨界未満の流体COおよび極性の有機補助溶媒(modifier)(例えばアルコール)を用いる分離技術である(White et al., J. Chromatography A 1074:175-185(2005))。
一実施形態は、R、R、RおよびRが、第1態様に規定されている式(II−1)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態に含まれるものは、Rが、Clまたは−CHであり;Rが、H、Fまたは−CHであり;Rが、Hまたは−CH(−CDを含む)であり;Rが、H、Fまたは−OCHである、式(II−1)の化合物である。
一実施形態は、R、R、RおよびRが、第1態様に規定されている式(III−2)の化合物またはその塩を提供する。この実施形態に含まれるものは、Rが−C(CH)OH、−NHC(=O)C(CH)、−N(CH)または−CHであり;Rが、H、Fまたは−CHであり;Rが、H、F、Clまたは−OCHであり;Rが、HまたはFであり;Rが、−OH、−OCH、−NHC(=O)CHまたは
Figure 0006353530

である、式(III−2)の化合物である。またこの実施形態に含まれるものは、RがHである化合物である。
一実施形態は、第1態様の範囲内にある例示の実施形態から選択される化合物またはその塩を提供する。
一実施形態は、第1態様の範囲内にあるか、または上記実施態様のいずれかの範囲内の化合物またはその塩のサブセットリストのいずれかから選択される化合物を提供する。
一実施形態において、式(II)の化合物またはその塩を含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、任意の比率の(i)式(II−1)の化合物および(ii)式(II−2)の化合物またはその塩の混合物を含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(II−1)の化合物および式(II−2)の化合物の総当量重量を基準にして、式(II−1)の化合物および式(II−2)の化合物から選択される化合物を、少なくとも98当量重量%にて含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、式(II−1)の化合物および式(II−2)の化合物の総当量重量を基準にして、選択された化合物を、99当量重量%、99.5当量重量%、99.8当量重量%および99.9当量重量%にて含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(III)の化合物またはその塩を含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、任意の比率の(i)式(III−1)の化合物および(ii)式(III−2)の化合物またはその塩の混合物を含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(III−1)および式(III−2)の化合物の総当量重量を基準にして、式(III−1)の化合物および式(III−2)の化合物から選択される化合物を少なくとも98当量重量%にて含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、式(III−1)および式(III−2)の化合物の総当量重量を基準にして、選択された化合物を、99当量重量%、99.5当量重量%、99.8当量重量%および99.9当量重量%にて含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(IV)の化合物またはその塩を含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、任意の比率の(i)式(IV−1)の化合物および(ii)式(IV−2)の化合物またはその塩の混合物を含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(IV−1)および式(IV−2)の化合物の総当量重量を基準にして、式(IV−1)の化合物および式(IV−2)の化合物から選択される化合物を、少なくとも98当量重量%にて含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、式(IV−1)および式(IV−2)の化合物の総当量重量を基準にして、選択された化合物を、99当量重量%、99.5当量重量%、99.8当量重量%および99.9当量重量%にて含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(V)の化合物またはその塩を含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、任意の比率の(i)式(V−1)の化合物および(ii)式(V−2)の化合物またはその塩の混合物を含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
一実施形態において、式(V−1)および式(V−2)の化合物の総当量重量を基準にして、式(V−1)の化合物および式(V−2)の化合物から選択される化合物を、少なくとも98当量重量%にて含む組成物が提供される。この実施形態に含まれるものは、式(V−1)および式(V−2)の化合物の総当量重量を基準にして、選択された化合物を、99当量重量%、99.5当量重量%、99.8当量重量%および99.9当量重量%にて含む組成物である。この実施形態の組成物は、医薬組成物を包含する。
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化されうる。本発明は、本明細書に記載された本発明の態様および/または実施態様の全ての組み合わせを包含する。本発明のいずれかの実施態様またはあらゆる実施態様は、その他の実施態様(複数含む)を組み合わせて、別の実施態様を説明しうると理解される。また、実施態様のそれぞれ個々の要素は、いずれの実施態様からのあらゆる他の要素と組み合わされてさらなる実施態様を説明するものであることも理解される。
(定義)
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことで、当業者によってさらに容易に理解されうる。当然のことながら、上部および下部の別個の実施態様中に明確な根拠として記載された本発明のある特定の特徴を組み合わせて、単独の実施態様を形成してもよい。反対に、単独の実施態様中に簡潔な根拠として記載された本発明の様々な特徴を組み合わせて、それらのサブコンビネーションを形成してもよい。本明細書において、例として特定された実施態様または好ましい実施態様は、例示目的であって限定するものではないことが意図される。
本明細書において他に特に記載のない限り、単数形の言及には複数の言及もまた含まれうる。例えば、「a」および「an」は、1か、または1以上のいずれかを示しうる。
本明細書において、フレーズ「化合物またはその塩」は、少なくとも1つの化合物、少なくとも1つの化合物の塩、またはその組合せをいう。例えば、式(I)の化合物またはその塩とは、式(I)の化合物;2つの式(I)の化合物;式(I)の化合物の塩;1以上の式(I)の化合物および式(I)の化合物の塩;ならびに、2以上の式(I)の化合物の塩を包含する。
別段の記載がない限り、原子価が満たされていないあらゆるヘテロ原子は、その原子価を満たすのに十分な水素原子を有すると考える。
本明細書に記載の定義は、引用により本明細書に援用されるいずれの特許、特許出願、および/または特許出願公開に記載された定義よりも優先される。
本発明を説明するために用いられる様々な用語の定義を以下に記載する。これらの定義は、本明細書の全体を通して(それらが他に特定の場合に限定されない限り)、個別に、またはより大きな基の一部としてのいずれかで用いられる用語に適用される。
本明細書の全体を通して、基およびそれらの置換基は、安定な部分および化合物をもたらすように、当業者により選択されうる。
当分野で用いられる慣習に従って、
Figure 0006353530
は、本明細書において、コアまたは骨格構造への反応基または置換基の結合点である結合を表すために、構造式中で用いられる。
フレーズ「医薬的に許容され得る」は本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触して用いるのに適した、化合物、物質、組成物および/または剤形を意味するように用いられる。
式(I)の化合物は、塩を形成することができ、これもまた本発明の範囲内にある。別段の記載がなければ、本発明の化合物についての言及には、1以上のその塩についての言及が含まれると理解される。医薬的に許容され得る(即ち、無毒であり、生理的に許容される)塩が好ましく、この塩のアニオンは該塩の毒性活性または生物学的活性に有意に寄与しないものである。しかしながら、他の塩も、例えば、製造中の単離または精製段階において有用であり得るため、本発明の範囲に包含されると意図される。式(I)の化合物の塩は、例えば、式(I)の化合物を適量、例えば等量の酸または塩基と、塩が沈殿するような溶媒中で反応させることによるか、または水性溶媒中で反応させて、次いで凍結乾燥させることにより、形成させることができる。
酸付加塩の例は、例えば、酢酸塩(例えば、酢酸またはトリハロ酢酸、例えばトリフルオロ酢酸と形成される塩)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩(塩酸と形成される)、臭化水素酸塩(臭化水素と形成される)、ヨウ化水素酸塩、マレイン酸塩(マレイン酸と形成される)、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸と形成される)、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピルビン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(硫酸と形成されるもの)、スルホン酸塩(本明細書中で言及されるものなど)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(例えば、トシル酸塩など)、ウンデカン酸塩などである。
式(I)の化合物は、非晶質の固形物または結晶性の固形物として提供され得る。凍結乾燥を行ない、固形物として式(I)の化合物を提供することができる。
式(I)の化合物の溶媒和物(例えば、水和物)は、本発明の範囲内であることもまた理解されるべきである。用語「溶媒和物」とは、式(I)の化合物と、1つ以上の溶媒分子(有機または無機であってもよい)との物理的会合を意味する。この物理的会合には、水素結合が含まれる。特定の例において、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子内に組み込まれている場合には、溶媒和物を単離することができる。「溶媒和物」には、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方が含まれる。溶媒和物の例示には、水和物、エタノレート、メタノレート、イソプロパノレート、アセトニトリル溶媒和物、酢酸エチル溶媒和物が挙げられる。溶媒和物化に関する方法は、当分野では既知である。
様々な形態のプロドラッグが当分野において周知であり、以下:
a)Wermuth, C.G. et al., The Practice of Medicinal Chemistry, Chapter 31, Academic Press (1996);
b)Bundgaard, H. ed., Design of Prodrugs, Elsevier (1985);
c)Bundgaard, H., Chapter 5, “Design and Application of Prodrugs,” Krogsgaard-Larsen, P. et al., eds., A Textbook of Drug Design and Development, pp. 113-191, Krogsgaard-Larsen, P. et al., eds., Harwood Academic Publishers (1991);および、
d)Testa, B. et al., Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism, Wiley-VCH(2003)
に記載されている。
加えて、式(I)の化合物は、製造後に単離および精製されて、重量で99%以上の式(I)の化合物(「実質的に純粋な」)を含む組成物を得て、次いでこれを本明細書に記載のとおりに用いるか、または製剤化されるのが好ましい。そのような「実質的に純粋な」式(I)の化合物も、本発明の一部として本明細書において意図される。
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物から有用な純度への単離、および有効な治療薬への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を示すことが意図される。本発明は、安定な化合物を具体化するものと意図される。
「治療上有効な量」とは、Btkに対して阻害剤として作用するのに有効であるか、または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の症状、例えば、全身性エリトマトーデス、多発性硬化症およびリウマチ関節炎を治療または予防するのに有効である、本発明の化合物単独の量か、特許請求された化合物を組み合わせた量か、または他の活性成分と組み合わされた本発明の化合物の量を包含することが意図される。
本明細書で用いる「治療すること」または「治療」には、哺乳動物、とりわけヒトにおける疾患状態の治療が含まれ、ならびに:(a)とりわけ、哺乳動物が疾患状態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合において、哺乳動物で疾患状態が生じるのを予防すること;(b)疾患状態の抑制、すなわち、その進行を抑止すること;および/または(c)疾患状態を緩和すること、すなわち、疾患状態の退行をもたらすこと、が含まれる。
本発明の化合物は、本発明の化合物に出現する原子の全ての同位体を含むことを意図する。同位体には、原子番号が同一であるが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、水素の同位体にはジュウテリウム(D)およびトリチウム(T)が含まれるが、これらに限定するものではない。炭素の同位体としては13Cおよび14Cが挙げられる。同位体で標識された本発明の化合物は一般に、当業者に公知の通常の技法によるか、または本明細書に記載されたものと類似した方法によって、他で用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体−標識試薬を用いて、製造することができる。例えば、メチル(−CH)には、ジュウテリウムを含むメチル基(例えば、−CD)も挙げられる。
式(I)および/またはその医薬的に許容され得る塩で示される化合物は、治療する症状に適切ないずれの方法によっても投与されることができ、これは部位特異的治療の必要性、または送達される式(I)の化合物の量に依存し得る。
本発明に含まれるものは、式(I)の化合物および/またはその医薬的に許容され得る塩;ならびに1以上の非毒性の医薬的に許容され得る担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(本明細書においてまとめて「担体」物質と称される)、必要に応じて、他の活性成分を含む医薬組成物のクラスである。式(I)の化合物は、あらゆる適切な経路によって、好ましくはそのような経路に適応した医薬組成物の形態で、目的の治療に対して有効な量にて投与されうる。本発明の化合物および組成物は、例えば、通常の医薬的に許容され得る担体、アジュバント、およびビヒクルを含む用量単位剤形で、経口、粘膜、または非経口(parentally)(血管内、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、および胸骨内を含む)で投与されてもよい。例えば、該医薬担体は、マンニトールもしくはラクトースおよび微結晶セルロースの混合物を含んでよい。該混合物は、別の成分、例えば、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)および崩壊剤(例えばクロスポビドン)を含んでもよい。該担体混合物は、ゼラチンカプセルに詰められるか、または錠剤として圧縮されてもよい。該医薬組成物は、例えば、経口剤形または注入液として投与されてもよい。
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、液体カプセル剤、懸濁剤または液剤の形態であってもよい。該医薬組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含む用量単位の形態で製造される。例えば、該医薬組成物は、約0.1〜1000mg、好ましくは約0.25〜250mg、およびさらに好ましくは約0.5〜100mgの範囲の量の活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤として提供されてもよい。ヒトまたは他の哺乳動物に対する適切な1日用量は、患者の症状および他の因子に応じて幅広く変化させてもよいが、ルーチンな方法を用いて決定することができる。
本明細書において意図されるいずれの医薬組成物も、例えば、任意の許容可能で適切な経口製剤によって経口で送達され得る。経口製剤の例としては、例えば、錠剤、トローチ剤、ドロップ剤(lozenge)、水性もしくは油性懸濁剤、分散性粉末剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬もしくは軟カプセル剤、液体カプセル剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。経口投与用の医薬組成物は、経口投与用の医薬組成物の製造において当業者には公知のいずれかの方法に従って製造され得る。医薬的に服用しやすい(palatable)製剤を提供するために、本発明による医薬組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤、粘滑剤、抗酸化剤または保存剤から選択される少なくとも1つの剤を含み得る。
錠剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの塩と錠剤の製造に適した少なくとも1つの無毒の医薬的に許容され得る賦形剤を混合することによって製造され得る。賦形剤の例としては、限定はされないが、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、およびリン酸ナトリウムなど;造粒および崩壊剤、例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、およびアルギン酸など;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、およびアラビアガム(acacia)など;ならびに、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどが挙げられる。加えて、錠剤は、コーティングされないか、あるいは不快な味の薬剤の嫌な味をマスクするかまたは消化管での活性成分の崩壊および吸収を遅延させることによって活性成分の効果を長時間持続させるために公知の技法によってコーティングされ得る。水溶性矯味物質の例としては、限定はされないが、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。時間遅延物質(time delay material)の例としては、限定はされないが、エチルセルロースおよび酢酸酪酸セルロースが挙げられる。
硬ゼラチンカプセル剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの塩と少なくとも1つの不活性固形物希釈剤(例えば、炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;およびカオリンなど)を混合することによって製造され得る。
軟ゼラチンカプセル剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの医薬的に許容され得る塩を、少なくとも1つの水溶性担体(例えば、ポリエチレングリコールなど);および少なくとも1つの油媒体(例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、およびオリーブ油など)と混合することによって製造され得る。
水性懸濁剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの医薬的に許容され得る塩を水性懸濁剤の製造に適した少なくとも1つの賦形剤と混合することによって製造され得る。水性懸濁剤の製造に適した賦形剤の例としては、限定はされないが、例えば、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム(gum tragacanth)、およびアカシアガムなど);崩壊剤または湿潤剤(例えば、天然のリン脂質(例えばレシチン)など);アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレートなど);エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレン-オキシセタノール(oxycetanol)など);エチレンオキシドと部分エステル(脂肪酸およびヘキシトールに由来)との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど);および、エチレンオキシドと部分エステル(脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来)との縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートなど)が挙げられる。水性懸濁剤はまた、少なくとも1つの保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチルおよびp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなど);少なくとも1つの着色剤;少なくとも1つの香味剤;および/または、少なくとも1つの甘味剤(限定はされないが、例えば、スクロース、サッカリン、およびアスパルテームを含む)を含むことができる。
油性懸濁剤は、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの医薬的に許容され得る塩を、植物油(例えば、ラッカセイ油;オリーブ油;ゴマ油;およびヤシ油など);または鉱物油(例えば、流動パラフィンなど)のいずれかの中に懸濁させることによって製造することができる。油性懸濁剤はまた、少なくとも1つの増粘剤、例えば、蜜ロウ;固形パラフィン;およびセチルアルコールなどを含むことができる。風味のよい(palatable)油性懸濁剤を提供するために、すでに上述した甘味剤のうちの少なくとも1つ、および/または少なくとも1つの香味剤を、該油性懸濁剤に加えることができる。油性懸濁剤は、限定はされないが、例えば、抗酸化剤(例えば、ブチルヒドロキシアニソール、およびα-トコフェロールなど)を含めた少なくとも1つの保存剤をさらに含むことができる。
分散性散剤および顆粒剤を、例えば、少なくとも1つの式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの医薬的に許容され得る塩と、少なくとも1つの分散剤および/または湿潤剤;少なくとも1つの懸濁化剤;ならびに/あるいは少なくとも1つの保存剤とを混合させることによって製造することができる。適切な分散剤、湿潤剤、および懸濁化剤は、すでに上述したものである。保存剤の例としては、例えば、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、分散性散剤および顆粒剤はまた、少なくとも1つの賦形剤(限定はされないが、例えば、甘味剤;香味剤;および着色剤を含む)を含むことができる。
少なくとも1つのその式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの医薬的に許容され得る塩の乳剤は、例えば、水中油型乳剤として製造され得る。式(I)の化合物を含有する乳剤の油性相は、公知の方法で公知の成分から構成されうる。該油相は、限定はされないが、例えば、植物油(例えば、オリーブ油およびラッカセイ油など);鉱物油(例えば、流動パラフィンなど);およびそれらの混合物によって製造され得る。該相は、単に乳化剤のみを含有してもよいが、少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪と油の両者との混合物を含有してもよい。適切な乳化剤としては、限定はされないが、例えば、天然のリン脂質(例えば、大豆レシチン);脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られたエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエートなど);および部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど)が挙げられる。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。また、油および脂肪の両方が含まれることが好ましい。安定剤の有無にかかわらず乳化剤はいわゆる乳化ワックスを形成し、該ワックスは油および脂肪と一緒に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を形成する。乳剤は、甘味剤、香味剤、保存剤、および/または抗酸化剤を含むこともできる。本発明の製剤における使用に適切な乳化剤および乳化安定剤には、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリルジステアレートが、単独かまたはワックスもしくは当分野で周知の他の物質と共に含まれる。
式(I)の化合物および/またはその少なくとも1つの医薬的に許容され得る塩はまた、例えば、静脈内、皮下、および/または筋肉内に、いずれの医薬的に許容され得る適切な注射可能な形態によっても投与され得る。注射可能な形態の例としては、例えば、許容可能なビヒクルおよび溶媒(例えば、水、リンガー液、および生理食塩水など)を含有する無菌の水溶液;無菌の水中油型マイクロエマルション;および水性もしくは油性の懸濁液が挙げられるが、これらに限定するものではない。
非経口投与用の製剤は、水性または非水性の等張で無菌の注射液剤または懸濁剤の形態であってもよい。これらの液剤および懸濁剤は、無菌の粉末または顆粒から、経口投与用の製剤での使用において言及した担体または希釈剤のうちの1つ以上を用いるか、または他の適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を用いることによって、製造されうる。該化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガム(tragacanth gum)、および/または様々な緩衝剤中に溶解されうる。他のアジュバントおよび投与様式は、製薬分野において周知である。また、活性成分を、適切な担体(生理食塩水、ブドウ糖(dextrose)または水を含む)との組成物、あるいはシクロデキストリン(すなわち、CAPTISOL(登録商標))、共溶媒可溶化剤(すなわち、プロピレングリコール)またはミセル可溶化剤(すなわち、Tween 80)との組成物として、注射により投与してもよい。
無菌の注射製剤はまた、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液)であってよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中で用いてもよいものは、水、リンガー液、および生理食塩水である。加えて、無菌の固定油が、溶媒または懸濁化媒質として通常用いられる。この目的のために、いずれの刺激の少ない固定油(合成モノ-またはジグリセリドが含まれる)を用いてもよい。さらに、脂肪酸(例えばオレイン酸など)が注射剤の製造において用いられる。
無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルションは、例えば、1)少なくとも1つの式(I)の化合物を油性相(例えば、大豆油およびレシチンの混合物など)中に溶解させること;2)式(I)を含有する油性相を水とグリセロールの混合液と合わせること;ならびに、3)この合わせた混合液を処理してマイクロエマルションを形成させることによって、製造され得る。
無菌の水性もしくは油性の懸濁剤は、当分野で既に公知の方法に従って製造され得る。例えば、無菌の水性の液剤または懸濁剤は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒(例えば、1,3-ブタンジオールなど)を用いて製造され得る;ならびに無菌の油性の懸濁剤は、無菌で無毒の許容され得る溶媒または懸濁化媒質[例えば、無菌の固定油(例えば、合成モノ-またはジグリセリド);および脂肪酸(例えばオレイン酸)など]を用いて製造され得る。
本発明の医薬組成物で使用してもよい医薬的に許容され得る担体、アジュバントおよびビヒクルとしては、限定はされないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化型ドラッグデリバリーシステム(SEDDS)(例えば、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール 1000 コハク酸塩)、医薬剤形で用いる界面活性剤(例えば、Tween、CREMOPHOR(登録商標)界面活性剤(BASF)を含むポリエトキシヒマシ油(polyethoxylated castor oil)、または他の同様のポリマーデリバリーマトリックス)、血清タンパク質(例えばヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム)、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリエチレングリコール)および羊毛脂が挙げられる。シクロデキストリン(例えば、α−、β−、およびγ−シクロデキストリン)または化学修飾誘導体(例えば、2−および3−ヒドロキシプロピル−シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン)、あるいは他の可溶化誘導体もまた、本明細書に記載した式の化合物の送達を高めるために有利に用いられうる。
本発明の医薬的に活性な化合物は、ヒトおよび他の哺乳動物を含む患者に投与するための薬剤を製造する薬学の通常の方法に従って加工され得る。医薬組成物は、通常の製薬工程(例えば、滅菌)で処理されてよく、ならびに/あるいは通常のアジュバント(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤など)を含んでもよい。加えて、錠剤および丸薬は、腸溶コーティングを用いて製造され得る。そのような組成物はまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤)を含有してもよい。
投与する化合物の量ならびに本発明の化合物および/または組成物を用いた疾患状態の治療のための投与レジメンは、対象の年齢、体重、性別および病状、疾患の種類、疾患の重篤性、投与経路および投与頻度、ならびに用いる特定の化合物を含む様々な因子に依存する。従って、投与レジメンは大きく変化させてもよいが、標準的な方法を用いてルーチン的に決定することができる。1日用量は、約0.001〜100mg/kg体重、好ましくは約0.0025〜約50mg/kg体重、最も好ましくは約0.005〜10mg/kg体重が適切でありうる。1日用量を、1日あたり1〜4回で投与することができる。その他の投与計画は、1週あたり1回および2日あたり1回の投与のサイクルをふくむ。
治療目的で、本発明の活性化合物は、通常、指定された投与経路に適する1つ以上のアジュバントと組み合わされる。経口投与の場合、化合物を、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混合した後、投与しやすいように錠剤化するかまたはカプセルに包んでもよい。そのようなカプセルまたは錠剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中に活性化合物が分散した状態で提供することができるような、徐放性製剤が含まれうる。
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物および/または少なくとも1つのその医薬的に許容され得る塩、ならびに、適宜、いずれかの医薬的に許容され得る担体、アジュバントおよびビヒクルから選択される別の物質(agent)を含有する。本発明の別の組成物は、本明細書に記載の式(I)の化合物またはそのプロドラッグ、ならびに医薬的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する。
(有用性)
本発明の化合物は、キナーゼ活性を調節する(Btkの調節も含まれる)。本発明の化合物によって調節され得るキナーゼ活性の他の種類には、Tecファミリー化合物(例えば、BMX、Btk、ITK、TXKおよびTec、並びにそれの変異体)が含まれるが、これに限定されるものではない。
したがって、式(I)の化合物は、キナーゼ活性の調節、特に、選択的なBtk活性の阻害に関連した症状を治療するのに有用である。そのような症状には、サイトカイン量が細胞内シグナル伝達の結果として調節されるB細胞介在性疾患が含まれる。
本明細書で用いるように、用語「治療すること」または「治療」は、反応性の処置および予防的処置の一方または両方を包含し、例えば、疾患または障害の開始を阻害または遅らせること、症候または病状の全部または一部を軽減させることを意図している処置、並びに/あるいは、疾患もしくは障害および/またはその症候を軽減、寛解、減少、または治癒することを意図している処置である。
選択的なBtk阻害剤としての活性を考慮して、式(I)の化合物は、サイトカイン関連症状を治療するのに有用であり、サイトカイン関連症状には、炎症性疾患(例えば、結腸クローン病および潰瘍性大腸炎、喘息、移植片対宿主疾患、慢性閉塞性肺疾患);自己免疫疾患、例えばグレーブス病、関節リウマチ関節炎、全身性エリテマトーデス、乾癬;破壊性骨障害、例えば骨吸収疾患、骨関節炎、骨粗鬆症、多発性の骨髄腫関連骨障害;増殖性疾患、例えば急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病;血管形成障害、例えば血管形成障害、例えば固形腫瘍、眼性新血管新生(ocular neovasculization)および乳児血管種が含まれる;感染症、例えば敗血症、敗血症ショックおよび細菌性赤痢;神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性疾患により生じる脳虚血または神経変性疾患、腫瘍性およびウイルス性疾患(例えば、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、並びにHIV感染およびCMV網膜炎、AIDS)が各々含まれるが、これらに限定されるものではない。
より具体的には、本発明の化合物で治療され得る特定の症状または疾患には、膵炎(急性または慢性)、喘息、アレルギー、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫胃炎、糖尿病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫好中球減少、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、エンドトキシンによって引き起こされる炎症反応、結核、アテローム性動脈硬化症、筋変性、悪液質、乾癬性関節炎、ライター症候群、痛風、外傷性関節炎、風疹性関節炎、急性滑膜炎、膵臓β細胞疾患;巨大好中球浸潤の特徴を有する疾患;リウマチ性脊椎炎、痛風関節炎および他の関節炎の症状、川崎病、慢性炎症脱髄性多発神経炎(CIDP)、皮膚筋炎、ぶどう膜炎、抗VIII因子疾患、強直性脊椎炎、重症筋無力症、グッドパスチャー症候群、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、皮膚筋炎/多発性筋炎、脳マラリア、慢性炎症性肺疾患、ケイ肺症、肺サルコイドーシス、骨吸収疾患、同種移植拒絶反応、感染による発熱および筋肉痛、感染に続く悪液質、ケロイド形成、瘢痕組織形成、潰瘍性大腸炎、発熱(pyresis)、インフルエンザ、骨粗鬆症、骨関節炎、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性メラノーマ、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、敗血症、敗血症ショックおよび細菌性赤痢;アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷性疾患により生じる脳虚血または神経変性疾患;血管形成障害(固形腫瘍、眼性新血管新生(ocular neovasculization)、および乳児血管種が含まれる);ウイルス性疾患、例えば急性肝炎感染(肝炎A、肝炎Bおよび肝炎Cを含む)、HIV感染およびCMV網膜炎、AIDS、ARCまたは悪性腫瘍ならびに疱疹;脳卒中、心筋虚血、卒中発作(stroke heart attacks)における虚血、組織低酸素症、血管過形成、心臓および腎臓の再灌流傷害、血栓症、心臓の肥大化、トロンビン誘導の血小板凝集、内毒血症および/または毒素ショック症候群、プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素−2に関連する症状ならびに尋常性天疱瘡が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい治療方法は、症状が、クローン病および潰瘍性大腸炎、同種移植拒絶反応、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎ならびに尋常性天疱瘡から選択される症状である。好ましい別の治療方法は、症状が虚血再灌流傷害(脳卒中から生じる脳虚血再灌流傷害および心筋梗塞から生じる心臓の虚血再灌流傷害が含まれる)から選択される治療である。好ましい別の治療方法は、症状が多発性骨髄腫である治療である。
また、本発明のBtk阻害剤は、誘導性の炎症促進性タンパク質(例えば、プロスタグランジンエンドペルオキシド合成酵素−2(PGHS−2)、これはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)ともいわれる)の発現を阻害する。したがって、さらなるBtk関連症状には、浮腫、鎮痛、発熱および疼痛(例えば、神経痛、頭痛、癌により生じる疼痛、歯痛および関節炎痛)が挙げられる。本発明の化合物は、獣医学的ウイルスの感染、例えば、レンチウイルス感染(ウマ伝染性貧血ウイルスが含まれるが、これに限定されない);またはレトロウイルス感染(ネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルスおよびイヌ免疫不全ウイルスが含まれる)を治療するのにも用いることができる。
用語「Btk関連症状」または「Btk関連疾患または障害」が本明細書で用いられる場合、この用語各々は、詳細に前記したような全ての症状ならびにBtkキナーゼ活性の影響を受けるその他のあらゆる症状を包含することが意図される。
「治療上の有効量」は、単独または併用投与した場合、Btk阻害に有効な量である本発明の化合物の一定量を含むことが意図される。
一実施態様は、それが必要な対象に少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容し得る塩を投与することを特徴とする、前記Btkキナーゼ関連症状の治療方法を提供する。かかる症状を治療するための治療上の有効量が投与され得る。本実施態様の方法は、Btkキナーゼ関連症状、例えばアレルギー性疾患および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患(例えば、SLE、リウマチ関節炎、多発性血管炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、重症筋無力症、アレルギー性鼻炎、多発性硬化症(MS)、移植拒絶反応、I型糖尿病、膜性腎炎、炎症性腸疾患、自己免疫溶血性貧血、自己免疫甲状腺症、寒冷および温式凝集疾患、エヴァンズ症候群、溶血性尿毒症症候群/血栓性血小板減少性紫斑病(HUS/TTP)、サルコイドーシス、シューグレン病、末梢神経症(例えば、ギランバレー症候群)、尋常性天疱瘡および喘息を治療するために用いることができる。
Btkキナーゼ関連症状の治療方法には、少なくとも1つの式(I)の化合物を単独または各々を併用して、および/またはそのような症状を治療するのに有用である他の適した治療薬を併用して投与することが含まれ得る。治療上の有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物および前記症状を治療するために適切な他の治療剤が投与されてもよい。したがって、「治療上の有効量」には、Btkを阻害するのに効果的である特許請求の範囲に記載の化合物を併用した量を含むことも意図される。化合物の併用は、相乗的な併用が好ましい。相乗効果とは、例えば、Chou and Talalay,Adv. Enzyme Regul. 22:27-55(1984)に記載されているように、併用投与したときの化合物の効果(ここでは、Btkの阻害)が、単剤として単独投与したときの化合物の相加効果よりも大きい場合に起こる。一般に、相乗効果は、化合物が最適濃度に及ばない濃度で最も明確に示される。相乗作用は、細胞毒性の低下、抗Btk効果の増加または個々の成分と比べて併用によってもたらされる他の多くの有益な効果という観点であり得る。
そのような他の治療薬の例示として、副腎皮質ステロイド、ロリプラム、カルフォスチン、サイトカイン抑制抗炎症剤(CSAID)、4−置換イミダゾ[1,2−A]キノキサリン(米国特許第4,200,750号に記載されている);インターロイキン10、グルココルチコイド、サリチル酸塩、一酸化窒素、および他の免疫抑制剤;核移行阻害剤(例えば、デオキシスパガリン(DSG));非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、イブプロフェン、セレコキシブおよびロフェコキシブ);ステロイド薬(例えば、プレドニゾンまたはデキサメタゾン);抗ウイルス薬(例えば、アバカビル);抗増殖剤(例えば、メトトレキセート、レフルノミド、FK506(タクロリムス、プログラフ(登録商標)));細胞毒性薬(例えば、アザチプリン(azathiprine)およびシクロホスファミド);TNF−α阻害剤(例えば、テニダップ、抗TNF抗体または可溶性TNF受容体)、およびラパマイシン(シロリムスまたはラパミューン(登録商標))あるいはそれらの誘導体が含まれる。
上記した他の治療薬は、本発明の化合物と併用して用いる場合に使用してもよく、例えば、医師用卓上教科書(PDR)に示されている量または特に断りがなければ当業者によって決定される量で用いる。本発明の方法において、そのような他の治療薬を、本発明の化合物の投与前に、同時または投与後に投与できる。本発明は、Btkキナーゼ関連症状(例えば、上記のIL−1、IL−6、IL−8、IFNγおよびTNFα−介在性症状が含まれる)を治療できる医薬組成物も提供する。
本発明の組成物は、上記の他の治療薬を適宜含むことができ、医薬製剤の分野で公知の技術により、例えば、通常の固体もしくは液体ビヒクルまたは希釈剤、並びに望ましい投与形態に適切なタイプの医薬品添加物(例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香味剤など)を用いることにより製剤できる。
別の実施態様は、治療において使用するための式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を提供する。本実施態様において、治療における使用は、治療上の有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の投与を含み得る。
本発明は、アレルギー性障害および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の治療または予防のための医薬製造における式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用も提供する。本実施態様において、医薬製造のための使用は、アレルギー性疾患および/または自己免疫疾患および/または炎症性疾患の治療または予防のために、治療上の有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の投与を特徴とする。
本発明は、癌を治療するための医薬製造のための式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用も提供する。本実施態様には、医薬製造のための使用が含まれ、これはアレルギー性疾患および/または自己免疫性疾患および/または炎症性疾患の治療または予防のための治療上の有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の投与を特徴とする。
従って、本発明は、1以上の式(I)の化合物および医薬的に許容され得る担体を含む組成物をさらに含む。
「医薬的に許容され得る担体」とは、一般的に、動物(特に哺乳類)に生理活性物質を送達するにあたり、当該技術分野で許容されている媒体を指す。医薬的に許容され得る担体は、当業者に周知の数多くの要因に従って製剤化される。これらには、製剤される活性薬剤の種類および性質、薬剤を含む組成物が投与される患者、意図されている組成物の投与経路、並びに標的とされている治療指標が含まれるが、これに限定するものではない。医薬的に許容され得る担体には、水性および非水性液体媒体の両方が含まれ、並びに様々な固形および半固形の剤形も含まれる。かかる担体は、活性薬剤に加えて数多くの異なる成分および添加物を含むことが可能であり、かかる別の成分は様々な理由、例えば、活性薬剤の安定化、結合剤などの当業者に周知の理由により製剤に含まれる。適切な医薬的に許容され得る担体、およびそれらの選択に関わる要因に関する記述は、多くの容易に入手可能な出版物(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,17th Edition(1985))に見出され、引用によりその全てを本明細書に組み込む。
式(I)の化合物は、治療する症状に適切ないずれの方法(部位特異的治療の必要性、または送達される式(I)の化合物の量に依存し得る)によっても投与されることができる。他の送達の様式も考慮されるが、局所投与が一般的に皮膚関連疾患にとって好ましく、また組織的処置は癌性または前癌性の症状にとって好ましい。例えば、化合物は経口的に(例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、または液体製剤(例えば、シロップ剤が含まれる)の形で);局所的に(例えば、液剤、懸濁剤、ゲル剤、または軟膏剤の形で);舌下で;頬内に;非経口的に(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内の注射または注入の技術による(例えば、滅菌注射可能な水性または非水性の液剤または懸濁剤));経鼻的に(例えば、吸入スプレーによる);局所的に(例えば、クリーム剤または軟膏剤の形で);直腸的に(例えば、坐剤の形で);または、リポソームにて送達することができる。非毒性の医薬的に許容され得るビヒクルまたは希釈剤が含まれる用量単位製剤を投与してもよい。化合物は、即時放出または持続放出に適当な形態で投与してもよい。即時放出または持続放出は、適当な医薬組成物、あるいは特に持続放出の場合に、皮下インプラントまたは浸透圧ポンプのようなデバイスを用いて達成することができる。
局所投与のための代表的な組成物には、局所用担体(例えば、プラスチベース(登録商標)(ポリエチレンでゲル化した鉱油))が含まれる。
経口投与のための代表的な組成物には、懸濁剤(これには、例えばバルクを分けるための微結晶セルロース、懸濁化剤としてのアルギニン酸またはアルギニン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロースおよび甘味剤または香料、例えば当技術分野で公知のものが含まれ得る);および即時放出錠剤(これには、例えば微結晶セルロース、リン酸ジカルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、および/またはラクトース、および/または他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤(例えば、当該技術分野で公知のもの)が含まれ得る)が含まれる。本発明の化合物はまた、舌下および/またはバッカル投与(例えば、成型、圧縮、または凍結乾燥した錠剤を用いる)によって経口的に送達してもよい。代表的な組成物には、速く溶解するための希釈剤(例えば、マンニトール、乳糖、ショ糖、および/またはシクロデキストリン)が含まれ得る。また、そのような製剤には、高分子賦形剤(例えば、セルロース(アビセル(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG));粘膜接着を助けるための賦形剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、および/または無水マレイン酸共重合体(例えば、ガントレツ);および、放出を制御するための薬剤(例えば、ポリアクリル酸共重合体(例えば、カルボポール934)も含まれ得る。滑沢剤、流動促進剤、香味料、着色剤および安定化剤もまた、製造および使用を容易にするために加えることができる。
経鼻エアロゾルまたは吸入投与のための代表的な組成物には、液剤が挙げられ、例えばベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、吸収および/またはバイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、および/または他の可溶化剤もしくは分散剤(例えば、当技術分野で公知のもの)が含まれ得る。
非経口投与のための代表的な組成物には、注射可能な液剤または懸濁剤が挙げられ、例えば、適当な非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤もしくは溶媒(例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー溶液、生理食塩液)、または他の適当な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤(例えば、合成されたモノグリセリドまたはジグリセリド)および脂肪酸(例えば、オレイン酸)が含まれ得る。
直腸投与のための代表的な組成物には、坐剤が挙げられ、例えば適当な非刺激性の賦形剤(例えば、ココアバター、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールを含んでおり、それらは通常の温度では固体であるが、直腸腔中では液化および/または溶解して、薬物を放出する)が含まれ得る。
本発明の化合物の治療上の有効量は、当業者によって決定されてもよく、哺乳類の代表的な投与量として、1日当たり[単回投与または個別の分割投与(例えば、1日当たり1〜4回)の形で投与され得る]の活性化合物が約0.05〜1000mg/体重Kg;1〜1000mg/体重Kg;1〜50mg/体重Kg;5〜250mg/体重Kg;250〜1000mg/体重Kgが含まれる。いずれの特定の被験者においても、具体的な用量レベルおよび投与の頻度を変えてもよく、また様々な要素(例えば、用いられる具体的な化合物の活性、その化合物の代謝的な安定性および作用の長さ、被験者の種類、年齢、体重、通常の健康、性別および食事、投与の様式および時間、排泄の割合、薬物の組み合わせ、並びに特定の症状の激しさが含まれる)に依存することが、理解される。治療にとって好ましい被験者には動物が含まれ、哺乳動物(例えば、ヒト)および家畜(例えば、イヌ、ネコ、ウマなど)が最も好ましい。したがって用語「被験者」が本明細書で用いられる場合、この用語は、Btk酵素レベルの媒介によって影響を受けるあらゆる被験者(最も好ましいのは哺乳類種)を含むことが意図される。
以下の「実施例」の項において特定されたような式(I)の化合物の例は、以下に記載した1以上のアッセイにて試験されている。
一実施態様において、式(I)の好ましい化合物は、ヒト組換えBtk酵素アッセイにより決定されたとおり、6nM以下、例えば0.001〜6nMのIC50値にてBtk酵素を阻害する。より好ましくは、式(I)の化合物は、2nM以下、例えば0.001〜2nMのIC50値にてBtk酵素を阻害する。他の好ましい化合物は、Btk酵素を、1.0nM以下、例えば0.001〜1.0nMのIC50値にて阻害する。
式(I)の好ましい化合物は、Jak2キナーゼの阻害を低下させ、Jak2チロシンキナーゼアッセイにより決定された場合に、50nMを超える、例えば250nMを超えるIC50値を有する。より好ましくは、式(I)の化合物は、400nMを超えるIC50値、例えば700nMを超えるIC50値にてJak2酵素を阻害する。
式(I)の好ましい化合物は、Jak2阻害活性を上回るBtk阻害活性のキナーゼ選択度を有しており、Jak2チロシンキナーゼアッセイにより決定した場合のJak2 IC50阻害値と、ヒト組換えBtk酵素アッセイにより決定した場合のBtkIC50阻害値との比が、150以上、例えば300以上の比を有する。より好ましくは、式(I)の化合物は、Jak2 IC50阻害値とBtk IC50阻害値との比が400以上、例えば500以上の比を有する。
式(I)の好ましい化合物は、BCRにより刺激されたCD69発現の全血アッセイにおいて、効力が改善されており、250nM以下、例えば0.1〜250nMのIC50値を有する。より好ましくは、式(I)の化合物は、BCRにより刺激されたCD69発現の全血アッセイにおいて、160nM以下、例えば0.1〜160nMのIC50値;および100nM以下、例えば0.1〜100nMのIC50値の効力を有する。
製造方法
式(I)の化合物は、スキーム1に示される方法を用いて製造され得る。置換されたカルバゾールカルボキサミド1(ここで、Yは適切な基、例えばBr、Clまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシ;好ましくはBrである)は、化学文献において公知の方法を用いて、対応するボロネートエステル2(R'=アルキル、または双方R'基は一緒になって環、例えば4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランまたは5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナンを形成する)に変換され得る(例えば、Ishiyama, T. et al., Tetrahedron, 57:9813(2001)およびその中の引用文献を参照されたい)。かかる方法の例は、適切な溶媒中で、塩基(例えば、酢酸カリウム)および適切な触媒(例えば、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド)の存在下において、1と4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)または5,5,5',5'−テトラメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボリナン)との反応である。
化合物2は、適切な化合物3(ここで、Y'は、適切な基、例えばBrまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシ、好ましくはBrである)との反応により、式(I)の化合物4(ここで、Zは置換された単環式または縮合二環式複素環式環(式(I)の化合物中の置換基Q)に変換され得る。この変換は、適切な溶媒中(例えば、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン)において、適宜、適切な共溶媒(例えば、水)と共に、好適な塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはカリウム三リン酸塩)および適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリドまたは1,1'−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド)を用いて達成され得る。このようなカップリング反応は、鈴木−宮浦カップリング反応として公知であり、化学文献(例えば、Heravi, M.M., Tetrahedron, 68:9145(2012)およびそこで引用された文献を参照されたい)においてよく知られている。
スキーム1
Figure 0006353530

スキーム1に示されたaおよびbの単結合により連結された芳香環の非対称的性質を理由に、また立体障害を原因とするこれらの結合について制限された回転を理由に、式(I)の化合物は、アトロプ異性体の特性として知られるキラリティーを提示する。こうして、特定の条件下、例えばキラル固定相でのクロマトグラフィーにおいて、4つのジアステレオマー(2つのキラル結合のため)は、クロマトグラムにて4つの異なるピークとして観察され得る。結合bについての束縛回転は、通常の室温で安定である別々のアトロプ異性体を異なる化合物として単離できる程度に十分遅い速度で起こる。しかし、結合に関する束縛回転は、分離された場合に、これらのアトロプ異性体が室温にて迅速に相互転換して、結合に関して分離されたアトロプ異性体が、別々の安定な化合物として貯蔵できないような速度で起こり得る可能性がある。従って、式(I)の化合物は、4つのジアステレオマー混合物または安定な対のジアステレオマーとして単離され得る;ここで、一対は、結合bについて(R)配置を有するが、結合aについて(R)および(S)配置の混合物であり、もう一方の対は、結合bについて(S)配置を有するが、結合aについて(R)および(S)配置の混合物である。
式(I)の化合物4は、結合bについては単一の絶対配置(提示のものか、または反対の絶対配置のいずれか)を有するが、結合aについては2つの相互変換する絶対配置の混合物を有するジアステレオマー4aの複数対へと分離され得る。このような分離は、当分野では既知の方法を用いて、例えば、キラル固定相上の分取クロマトグラフィーを用いて達成され得る。別法として、上記ジアステレオマーの安定な対である式(I)の化合物4aは、上記した同じ鈴木−宮浦カップリング反応を介するが、3aまたは4aのラセミ体化が起こらないような条件である限り、単一のエナンチオマー3a(提示される絶対配置のもの、または反対の絶対配置のもの)を用いて、化合物2から製造され得る。
式(I)の化合物4は、スキーム2に示した方法を用いても製造され得る。置換されたボロン酸エステル5(ここで、Zは、置換された単環式または縮合二環式複素環式環(式(I)の化合物中の置換基Q)は、上記したとおりの鈴木−宮浦カップリング反応の条件下において、置換されたカルバゾールカルボキサミド1(Yは、適切な基、例えばBr、Clまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシ、好ましくはBrである)と反応させて、式(I)の化合物4を、4つのジアステレオマー混合物として提供され得る。適宜、上記したとおり、かかる化合物は、結合bについての単一の絶対配置(提示のものか、または反対の絶対配置のいずれか)ならびに結合aについての絶対配置の混合物を有する、相互変換するジアステレオマー4aの複数対に分離され得る。別法として、化合物5は、単一エナンチオマー5aに分離されて、5aのラセミ化をもたらさない条件下において、鈴木−宮浦カップリング反応において化合物1と反応して、式(I)の化合物4aを得ることができる。
スキーム2
Figure 0006353530
式(I)の特定化合物7の合成のための別法は、スキーム3に示される。適切に置換された4−アリールイミノ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2(4H)−オン6は、上記したとおりの鈴木−宮浦カップリング反応の条件下において、ボロン酸エステル2と反応して、式(I)の化合物7を4つのジアステレオマーの混合物として提供され得る。反応中に、6に存在する4−アリールイミノ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2(4H)−オンの化学基は、反応生成物7に存在する3−アリールキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオンの化学基を示す。
スキーム3
Figure 0006353530

式(I)の特定の化合物9の合成のための別法は、スキーム4に示される。4つのジアステレオマー混合物または2つの相互変換するジアステレオマー混合物のいずれかとして、式(I)の化合物8を、適切な溶媒中で(例えば、DMFまたはTHF)、好適な塩基(例えば、炭酸セシウムまたは炭酸カリウム)の存在下にて、アルキル化剤(例えば、ヨードメタンまたは三重水素ヨードメタン)で処理して、式(I)の化合物9(式中、Rは、使用したアルキル化剤から得られるアルキル基である)を得ることができる。
スキーム4
Figure 0006353530
式(I)の化合物の製造において使用された中間化合物1は、化学文献、例えば米国特許第8,084,620号にて既知の方法およびスキーム5に示される方法を用いて製造され得る。化学文献にて公知の方法により容易に製造される適切に置換されたシクロヘキサノン10および2−ヒドラジニル安息香酸11または適切な塩11、例えば塩酸塩(式中、Yは適切な基、例えばBr、Clまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシ、好ましくはBrである)の双方は、適切な触媒と共に適切な溶媒中で、例えば塩酸と共にエタノール、p−トルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸と共にトルエン、または酢酸(この場合、この溶媒は触媒としても働き得る)中で、適切な温度にて反応させて、対応するテトラヒドロカルバゾール誘導体12を得ることができる。この反応は、一般的にはFischerインドール合成として知られており、化学文献において十分知られている(例えば、Kamata, J. et al., Chem. Pharm. Bull., 52:1071 (2004)を参照されたい)。別法として、Fischerインドール合成は、2つの連続的な工程にて実施され得る:10を、適切な条件下に(例えば、適切な溶媒中、例えば、エタノールまたはトルエン、適宜、適切な触媒、例えばp−トルエンスルホン酸と共に)、11と反応させて、中間体ヒドラゾンを形成させることができ、これを単離して、その後適切な条件下にて(例えば、塩酸と共にエタノール、塩化亜鉛と共に酢酸またはトリフルオロ酢酸と共にトルエンを用いて)、更に反応させて、12を形成させ得る。
スキーム5
Figure 0006353530

カルボン酸12は、化学文献において公知の方法を用いて、カルボキサミド13に変換され得る;例えば、12を、塩化オキサリルまたは塩化チオニルで処理して、その後アンモニアで処理することにより酸塩化物に変換し得るか、または12を、アンモニアの存在下でカップリング試薬、例えば、カルボジイミドまたはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩および1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールと反応させて処理することにより酸塩化物に変換し得る。テトラヒドロカルバゾール13を、カルバゾール14に変換することは、化学文献において公知の方法を用いて、例えば13を、適切な溶媒中で、酸化剤、例えば2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノンを用いて処理することにより実施され得る。
14のエトキシカルボニル基を化合物1の置換基Rに変換することは、化学文献において公知の方法を用いて実施され得る。例えば、14を、試薬、例えばメチルリチウムまたはメチル塩化マグネシウムにより処理することにより、化合物1(式中、Rは2−ヒドロキシ−2−メチルエチル基である)を得ることができる。別法として、14を、還元剤、例えば水素化アルミニウムリチウムで処理することにより、化合物1(式中、Rはヒドロキシメチルである)を得ることができる。これらのR基および他のR基も、さらなる操作を行ない、更に別のR基を得ることができる。例えば、Rがヒドロキシメチルである化合物1を、塩化チオニルで処理して、その後Rがクロロメチルである中間化合物1をメタノールで処理することにより、Rがメトキシメチルである化合物1に変換できる。更なる例は、化学文献(例えば、米国特許第8,084,620号に報告されたとおり)において知られている。
式(I)の化合物4の製造において使用される中間化合物3および5は、様々な方法により製造され得る。幾つかのこれらの方法は、スキーム6に示される。イサト酸無水物15は、置換されたアニリン16と反応させて、アミド17を得ることができる。かかる反応は、様々な条件下において、例えば適切な溶媒中で加熱することによるか、または助剤、例えばトリメチルアルミニウムの存在下で加熱することにより実施され得る。化合物17は、例えば、適切な溶媒中でホスゲンまたはトリホスゲンを用いる処理により、置換されたキナゾリンジオン18(これは、スキーム1の化合物3の例である)に変換され得る。適宜、1を2に変換するために前記した方法を用いて(上記スキーム1に関する説明を参照されたい)、化合物18は、対応するボロネートエステル19(これは、スキーム2の化合物5の例である)に変換され得る。別法として、化学文献において公知の方法により、例えば、好適な塩基(例えば、炭酸セシウム)の存在下において、アルキル化剤(例えば、ヨードメタン)で処理することにより、化合物18を、化合物20(式中、Rはアルキル基である)(スキーム1の化合物3の例)に変換してもよい。
スキーム6
Figure 0006353530

化合物20は、適宜、上記と同じ方法を用いて、対応するボロネートエステル21へと変換され得る(これは、スキーム2の化合物5の例である)。また化合物19も、適宜、18を20に変換するために記述した方法と類似した方法により、対応する化合物21に変換され得る。
上記に説明したとおり、キナゾリンジオン中間体18、19、20および21は、表記した結合bについての束縛回転という理由よりキラリティーを示す。必要であれば、これらの中間体は、別々のエナンチオマーアトロプ異性体へと、例えば、キラル固定相でのクロマトグラフィーにより分割され得る。次いで、分離されたエナンチオマーを、適宜、上記変換に付して(18を19に、18を20に、19を21に、または20を21に)、スキーム1の3aまたはスキーム2の5aの化合物の特定の例を得ることができる。
スキーム3の中間化合物6は、スキーム7に示される方法を用いて製造され得る。N−置換されたイサト酸無水物22(式中、Rはアルキル基である)を、置換されたアニリン16と反応させて、アミド23を提供することができる。かかる反応は、種々の条件下にて、例えば適切な溶媒中で加熱することによるか、または助剤、例えばトリメチルアルミニウムの存在下で加熱することにより、実施され得る。化合物23は、例えば、適切な溶媒中で、ホスゲンまたはトリホスゲンと処理することにより、置換されたアリールイミノベンゾキサジノン6へと変換され得る。
スキーム7
Figure 0006353530
本発明の化合物4の製造において使用される化合物3および5を製造するために使用され得る幾つかの追加の方法は、スキーム8に示される。置換ピリジル−2−酢酸24または置換ピリジル−2−酢酸の塩、例えばナトリウム塩(購入し得るか、または文献において公知の方法)を、化学文献において公知の種々の方法の下で、アニリン16と反応させて、アミド25を得ることができる。例えば、この反応は、カップリング試薬、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)あるいは1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDC)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)の混合物の存在下で行われ得る。アミド25は、適切な溶媒(例えば、トルエン)中で、試薬(例えば、カルボニルジイミダゾール)と共に加熱することにより、対応する置換1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン26(これは、スキーム1の中間体化合物3の例である)へと変換され得る。
スキーム8
Figure 0006353530

中間体26は、1を2に変換するために前記した方法を用いて(上記スキーム1の説明を参照されたい)、対応するボロネートエステル27(これは、スキーム2の中間体化合物5の例である)へと適宜変換され得る。別法として、化合物25は、前記方法を用いて対応するボロネートエステル28へと変換され、その後試薬(例えば、カルボニルジイミダゾール)と共に加熱することにより、28を27に変換され得る。
スキーム8において、提示される構造中のピリジル環は、別の窒素複素環、例えばチアゾールで置換され得る。この場合において、構造26および28の対応する化合物は、提示される1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオンの化学基の代わりに、5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−5,7(6H)−ジオンの化学基を含有する。
上記したとおり、1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン化合物26および27は、bと示された結合について束縛回転のためにキラリティを示す。必要な場合、これらの中間体は、別々のエナンチオマーへと、例えばキラル固定相でのクロマトグラフィーにより分割されて、スキーム1の中間体化合物3aまたはスキーム2の中間体化合物5aの特定の例が提供され得る。
スキーム9
Figure 0006353530
スキーム9は、スキーム2の特定の中間体化合物5を製造するための別の方法を図示する。スキーム8に示されたように製造したアミド25を、適切な溶媒中において、フッ化剤、例えば1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)[SELECTFLUOR(登録商標)]を用いて処理して、フルオロ−置換アミド29を製造できる。次いで、この化合物は、スキーム8に記載した方法を用いて、フッ素化ボロネートエステル30に、その後中間体31(スキーム2の中間体化合物5の例である)に変換され得る。
スキーム10
Figure 0006353530

スキーム1の化合物3(式中、Zは、置換ピリミジン−1,3−ジオン部分を示す)の製造は、Cao, J. et al.(Synthetic Commun., 39:205(2009))により報告された一般方法に従って、スキーム10に示した方法を用いて達成され得る。化合物32は、p−メトキシベンジルアミン、メチルアクリレートおよびフェニル 過ブロモセレノイトを混合して、製造され得る。この物質を、アニリン16(スキーム6を参照されたい)から得られる適切なアリールイソシアネート33(これは、化学文献に公知の方法を用いて調製され得る)と反応させて、置換ジヒドロピリミジン−1,3−ジオン34を得ることができる。この化合物を、酸化剤(例えば、過酸化水素)で処理することにより、置換ピリミジン−1,3−ジオンの34を得ることができる。p−メトキシベンジル基の除去は、化学文献に報告された多くの方法を用いて、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸およびトリフルオロ酢酸(Wu, F. et al., J. Org. Chem., 69:9307(2004)により報告された)の混合物で処理することにより達成され得る。得られるピリミジン−1,3−ジオン35を、Jacobsen, M.F. et al.(J. Org. Chem., 71:9183(2006))に記述された条件を用いて、アリールボロン酸と反応させて、スキーム1の中間体化合物3である36を得ることもできる。
(実施例)
本発明の化合物、および本発明の化合物の製造において使用される中間体の製造は、以下の実施例および関連方法に示された方法を用いて製造され得る。これらの実施例に使用される方法および条件、ならびにこれらの実施例において製造された実在の化合物は、本発明の化合物がいかにして製造され得るかを示すことを意図するものであり、これらに限定することを意味しない。これらの実施例において使用される開始物質および試薬は、本明細書に記述された方法により製造されない場合、一般的には、購入されるか、あるいは化学文献に報告されるか、または化学文献に記述された方法を用いて製造され得る。本発明は、以下の実施例においてさらに明確にされる。実施例は例示のみを目的として提供されるということが理解されるべきである。上記の考察および例から、当業者であれば、本発明の本質的特徴を確認することができ、そして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および改変を行って本発明を様々な使用および条件に適応させることができる。結果として、本発明は、本明細書に記載の実例によって制限されるのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって定義される。
記載の実施例において、フレーズ「乾燥させて、濃縮して」とは、一般的には、有機溶媒中の溶液を、硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウムのいずれかの上で乾燥させ、その後の濾過および濾液から溶媒を(一般的には、減圧下にて、かつ製造される物質の安定性にとって適切な温度で)除去することをいう。
カラムクロマトグラフィーは、一般的に、提示された溶媒または溶媒混合液を用いて、フラッシュクロマトグラフィー技術(Still,W.C. et al.,J. Org. Chem.,43:2923(1978))を用いて行なうか、またはプレパックシリカゲルカートリッジと共にIsco 中圧液体クロマトグラフィー装置(Teledyne Corporation)を用いて行った。分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、一般的には、カラムサイズおよび達成するべき分離に適切な溶出速度にて、メタノールまたはアセトニトリル/水(また0.05%または0.1%トリフルオロ酢酸、あるいは10mM 酢酸アンモニウムを含有する)の濃度を漸増させるグラジエントにより溶出して、分離される物質の量に適するサイズの逆相カラム(Waters SunFire C18,Waters XBridge C18,PHENOMENEX(登録商標) Axia C18,YMC S5 ODSなど)を用いて行なった。エナンチオマーまたはジアステレオマーの対のキラル超臨界液体クロマトグラフィー分離は、個別ケースについて記述された条件を用いて行なわれた。質量スペクトルのデータを、エレクトロスプレーイオン化法を用いる液体クロマトグラフィー−質量スペクトル分析法により得た。
Bruker-AXS APEX2 CCDシステムにおいて、CuKα線(λ=1.5418Å)を用いて、単結晶X線解析データを集めた。測定した強度データの指標化および処理を、APEX2ソフトウェア パッケージ/プログラム一式を用いて行った(APEX2 User Manual,v1.27;Bruker AXS,Inc.,WI 53711 USAを参照されたい)。必要であれば、データ収集の間に、Oxford cryo systeam クーラー(Cosier,J.et al.,J.Appl.Cryst.,19:105(1986))の冷気流中で結晶を冷却した。構造を直接法によって解析し、SHELXTL(APEX2 User Mannual,vl.27;Bruker AXS,Inc.,WI53711 USA)を用いて、実測の反射に基づいて精密化した。得られた原子パラメーター(座標および温度因子)を、フルマトリックス最小二乗によって精密化した。精密化において最小化された関数は、Σ(|F|−|F|)であった。RはΣ||F|−|F||/Σ|F|と定義され、一方でR=[Σ(|F|−|F|)/Σ|F]1/2(式中、wは実測強度における誤差に基づく適切な重み関数である)である。精密化のあらゆる段階にて、相違マップを試験した。水素を、等方性の温度ファクターを有する理想的な位置に導入したが、水素パラメーターは変化しなかった。単位格子パラメーターを、Stout et al.,X-Ray Strucure etermination:A Practical Guide,MacMillan(1968)に記述された方法に従って得た。
化合物名を、CHEMDRAW(登録商標) Ultra, version 9.0.5(CambridgeSoft)を用いて決定した。以下の略語を使用した:
Figure 0006353530
中間体1:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体1A:2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−フルオロベンズアミド
Figure 0006353530

密封した反応バイアル内でジオキサン中(20mL)の8−フルオロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(2.00g,11.0mmol)および3−ブロモ−2−メチルアニリン(4.11g,22.1mmol)の溶液を、110℃で4日間加熱した。冷却混合物を、10% KCO水溶液で処理して、室温にて30分間攪拌した。混合溶液を、DCMで3回抽出して、有機相を合わせて、水で洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、エーテルで磨砕して、灰色固体(2.50g)を得た。母液を濃縮して、残留物を、再度エーテルで磨砕して、灰色固体(230mg)を得た。2つの固体を合わせて、2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−フルオロベンズアミド(2.73g,78%収率)を灰色固体として得た。質量スペクトル m/z 323, 325(M+H)+.
別法:
キシレン(50mL)中の8−フルオロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(3.00g,16.6mmol)の懸濁液を、3−ブロモ−2−メチルアニリン(3.08g,16.6mmol)で処理して、還流加熱した。6時間後に、混合溶液を、終夜室温に冷却した。得られる懸濁液を、ヘキサンで希釈して、沈殿物を濾取して、ヘキサンで濯ぎ、風乾させて、2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−フルオロベンズアミド(4.50g,84%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 323, 325(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 7.69(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.65(br. s., 1H), 7.50-7.46(m, 1H), 7.32(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.19-7.11(m, 2H), 6.73-6.64(m, 1H), 5.69(br. s., 2H), 2.44(s, 3H).
中間体1:
THF(100mL)中の2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−フルオロベンズアミド(5.70g,17.6mmol)の溶液を、室温にてビス(トリクロロメチル)カーボネート(トリホスゲン)(6.28g,21.2mmol)で処理して、15分間攪拌した。混合溶液を、EtOAcで希釈して、飽和NaHCO水溶液で注意深く処理して、ガスの発生が止むまで室温にて攪拌した。有機相を分離して、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで順に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、エーテルで磨砕して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(6g,97%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 349, 351(M+H)+.
中間体2
8−フルオロ−1−メチル−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体2A:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

DMF(25mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(4.80g,13.8mmol)の溶液を、CsCO(13.44g,41.2mmol)で処理した。懸濁液を、室温にて攪拌して、ヨードメタン(4.30mL,68.7mmol)を滴加して(迅速に)、すばやく室温にて1時間攪拌した。混合物を、EtOAcおよび水(200mL)で希釈した。有機相を分離して、水およびブラインで順に洗い、次いで乾燥させて、濃縮して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(4.80g,96%収率)を、褐色ガラス状の固体として得た。質量スペクトル m/z 363, 365(M+H)+.
中間体2:
ジオキサン(65mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(4.8g,13.2mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(4.36g,17.2mmol)、酢酸カリウム(3.89g,39.6mmol)およびPdCl(dppf)DCM付加物(0.540g,0.661mmol)の混合溶液を、2時間還流加熱した。室温に冷却した後に、混合溶液を、CELITE(登録商標)を通して濾過して、固体をEtOAcで洗った。濾液をEtOAcで希釈して、水で洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、シリカゲル(80g)でのカラムクロマトグラフィーに供し、EtOAc−ヘキサン(20〜50%のグラジエント)で溶出して、8−フルオロ−1−メチル−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(4.61g,85%収率)を、白色固体として得た。質量スペクトル m/z 411(M+H)+1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.14-8.08(m, 1H), 7.93(dd, J=7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.48(ddd, J=14.0, 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.34(t, J=7.6 Hz, 1H), 7.27-7.20(m, 2H), 3.88(d, J=7.9 Hz, 3H), 2.36(s, 3H), 1.36(s, 12H).
中間体3および3A
8−フルオロ−1−メチル−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン、および
8−フルオロ−1−メチル−3−(R)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

ラセミ体8−フルオロ−1−メチル−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体2]の試料を、下記のとおりキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:(R,R)-WHELK-O(登録商標)1(5 x 50 cm, 10 μm);移動相:CO−MeOH(76:24),100バール,40℃で290mL/分;試料調整:DCM−IPA(6:4)中で100mg/mL;注入量:10.0mL。カラムから溶出する第1のピークにより、(S)異性体の8−フルオロ−1−メチル−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体3]を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 411(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.14-8.08(m, 1H), 7.93(dd, J=7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.48(ddd, J=14.0, 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.34(t, J=7.6 Hz, 1H), 7.27-7.20(m, 2H), 3.88(d, J=7.9 Hz, 3H), 2.36(s, 3H), 1.36(s, 12H).
このカラムから溶出する第2のピークにより、(R)異性体の8−フルオロ−1−メチル−3−(R)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体3A]を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 411(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.13-8.08(m, 1H), 7.93(dd, J=7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.48(ddd, J=13.9, 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.37-7.31(m, 1H), 7.27-7.20(m, 2H), 3.88(d, J=7.9 Hz, 3H), 2.36(s, 3H), 1.36(s, 12H).
中間体4
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
Figure 0006353530
ジオキサン(30mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した](3.00g,8.64mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(2.19g,8.64mmol)および酢酸カリウム(2.12g,21.6mmol)の混合溶液を、5分間、窒素によりバブリングした。PdCl(dppf)DCM付加物(0.353g,0.432mmol)を加えて、この混合溶液を、さらに5分間窒素によりバブリングした。反応容器を密封して、90℃で終夜加熱した。混合溶液を冷却して、DCMで希釈して、水で2回洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(40g+12g充填済カラム)により精製して、7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2.79g,82%収率)を淡黄色固体として得た。質量スペクトル m/z 377(M+H-H2O)+.
中間体5
3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチル(d)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

DMF(2.25mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体1](203mg,0.581mmol)およびCsCO(379mg,1.16mmol)の混合溶液を、ヨードメタン−d(0.054mL,0.872mmol)で処理して、混合溶液を、室温にて1.5時間攪拌した。混合溶液を、水(約20mL)で希釈して、得られる物質を磨砕して、室温にて攪拌して、懸濁した固体を形成させた。沈殿物を、濾過により回収して、水で洗い、真空下にて乾燥させて、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチル(d)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(189.5mg,90%収率)を、オフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 366, 368(M+H)+.1H NMR(400 MHz, DMSO-d3)δ 7.93(d, J=7.0 Hz, 1H), 7.79-7.69(m, 2H), 7.39-7.25(m, 3H), 2.12(s, 3H).
中間体6
3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530
中間体6A:2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−メトキシベンズアミド
Figure 0006353530
トルエン(20mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(482mg,2.59mmol)および8−メトキシ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(500mg,2.59mmol)の混合溶液を、0℃で2M トリメチルアルミニウム/トルエン(3.24mL,6.47mmol)で処理した。混合溶液を、室温で10分間攪拌して、次いで70℃で終夜加熱した。混合溶液を、室温に冷却して、1M HCl水溶液で処理して、EtOActで3回抽出した。有機相を合わせて、飽和NaHCO水溶液および水で順に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーに供して、EtOAc−ヘキサン(0〜100%のグラジエント)で溶出し、2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−メトキシベンズアミド(302mg,35%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 335, 337(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 7.72(d, J=7.3 Hz, 2H), 7.46(dd, J=8.0, 0.8 Hz, 1H), 7.17-7.10(m, 2H), 6.90(dd, J=7.9, 0.9 Hz, 1H), 6.72-6.66(m, 1H), 5.88(br. s., 2H), 3.92(s, 3H), 2.43(s, 3H).
中間体6B:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

THF(20mL)中の2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−3−メトキシベンズアミド(302mg,0.901mmol)およびトリホスゲン(321mg,1.08mmol)の溶液を、室温で2時間攪拌した。混合溶液を、飽和NaHCO水溶液を用いて注意深く処理して、ガスの発生が止むまで攪拌した。混合溶液を、DCMで2回抽出して、有機相を合わせて、水で洗い、乾燥させて、濃縮して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(339mg)を得た。質量スペクトル m/z 361, 363(M+H)+.
中間体6:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
THF(20mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(535mg,1.48mmol)、ヨードメタン(0.185mL,2.96mmol)およびCsCO(965mg,2.96mmol)の混合溶液を、室温にて終夜攪拌した。混合溶液を、濾過して、濃縮した。残留物を、DCMに溶解して、飽和NaHCO水溶液および水で順に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーに供して、EtOAc−ヘキサン(0〜100%のグラジエント)で溶出して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(442mg)を得た。質量スペクトル m/z 375, 377(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 7.90(dd, J=7.2, 2.3 Hz, 1H), 7.66(dd, J=8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.31-7.22(m, 2H), 7.22-7.19(m, 1H), 7.17-7.13(m, 1H), 3.97(s, 3H), 3.89(s, 3H), 2.23(s, 3H).
中間体7
3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体7A:2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−5−フルオロベンズアミド
Figure 0006353530

トルエン(40mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(1.50g,8.06mmol)および6−フルオロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(1.46g,8.06mmol)の混合溶液を、氷水浴にて冷却して、2M トリメチルアルミニウム/トルエン(10.1mL,20.2mmol)を用いて数回に分けて処理した。混合溶液を、室温で30分間攪拌して、次いで70℃で終夜加熱した。混合溶液を、0℃に冷却して、1M HCl水溶液で注意深く処理して、EtOActで3回抽出した。有機相を合わせて、飽和NaHCO水溶液および水を用いて連続的に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(120g)でのカラムクロマトグラフィーに供して、EtOAc−ヘキサン(5〜40%のグラジエント)で溶出して、2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−5−フルオロベンズアミド(0.893g,87%純度,30%収率)を得た。質量スペクトル m/z 323, 325(M+H)+1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ 7.54(1 H, dd, J=8.03, 0.99 Hz), 7.48(1 H, dd, J=9.68, 3.08 Hz), 7.33(1 H, d, J=7.26 Hz), 7.16(1 H, t, J=7.92 Hz), 7.04-7.12(1 H, m), 6.83(1 H, dd, J=9.02, 4.62 Hz), 2.39(3 H, s).
中間体7B:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

THF(30mL)中の2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−5−フルオロベンズアミド(0.893g,2.76mmol)およびトリホスゲン(0.984g,3.32mmol)の溶液を、室温で2時間攪拌した。混合溶液を、飽和NaHCO水溶液を用いて慎重に処理して、ガスの発生が止むまで攪拌した。混合溶液を、DCMで抽出した。有機相を合わせて、水で洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、DCMで磨砕して、白色固体を得て、濾過により単離した。濾液を濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40g)に供して、EtOAc−ヘキサン(0〜80%のグラジエント)を用いて溶出して、更なる固体を得た。2つの固体を合わせて、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(845mg,87%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 349, 351(M+H)+.
中間体7:
THF(20mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(742mg,2.13mmol)、ヨードメタン(0.159mL,2.55mmol)およびCsCO(1.04g,3.19mmol)の混合溶液を、室温にて終夜攪拌した。混合溶液を、濾過して、濃縮した。残留物を、DCMに溶解して、飽和NaHCO水溶液および水を用いて連続的に洗い、乾燥させて、濃縮して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(742mg,96%収率)を得た。質量スペクトル m/z 363, 365(M+H)+.
中間体8
(Z)−4−((3−ブロモ−2−クロロフェニル)イミノ)−1−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2(4H)−オン
Figure 0006353530

中間体8A:N−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−2−(メチルアミノ)ベンズアミド
Figure 0006353530

0℃で、3−ブロモ−2−クロロアニリン[米国特許第8,242,260号に記述した方法に従って製造した](240mg,1.16mmol)およびトルエン(10mL)の混合溶液を、2M トリメチルアルミニウム/トルエン(0.99mL,1.98mmol)中でゆっくりと滴加した。混合溶液を、室温まで昇温させて、15分攪拌した。トルエン(4mL)中の1−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(300mg,1.52mmol)の部分的懸濁液を、ゆっくりと加えた。得られる混合溶液を、50℃で4時間加熱して、0℃に冷却して、ガスの発生がもはや観察されなくなるまで、1M HCl水溶液を滴加して処理した。混合溶液を、室温へ温めながら2時間攪拌して、その後EtOAcで抽出した。有機相を、NaHCOおよびブラインで順に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜30%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(80g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−2−(メチルアミノ)ベンズアミドを黄色の固体(110mg,28%収率)として得た。質量スペクトル m/z 339(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 10.00(s, 1H), 7.78(dd, J=7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.67(dd, J=8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.57(dd, J=8.0, 1.4 Hz, 1H), 7.53(d, J=1.3 Hz, 1H), 7.38(ddd, J=8.4, 7.1, 1.4 Hz, 1H), 7.32(t, J=8.0 Hz, 1H), 6.70(d, J=8.4 Hz, 1H), 6.68-6.61(m, 1H), 2.79(d, J=5.1 Hz, 3H).
中間体8:(Z)−4−((3−ブロモ−2−クロロフェニル)イミノ)−1−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2(4H)−オン
THF(15mL)中のN−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−2−(メチルアミノ)ベンズアミド(150mg,0.442mmol)の溶液を、0℃に冷却して、トリホスゲン(197mg,0.663mmol)で処理した。混合溶液を、室温にて1時間攪拌して、次いで0℃に冷却して、ガスの発生が止むまで水で処理した。混合溶液を、濃縮して、残留物を、EtOAcに溶解して、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで順に洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜50%のグラジエント)を用いて溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、(Z)−4−((3−ブロモ−2−クロロフェニル)イミノ)−1−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2(4H)−オン(130mg,81%収率)を肌色の固体として得た。1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.33(dd, J=7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.72-7.61(m, 1H), 7.41(dd, J=7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.36-7.28(m, 1H), 7.16-7.08(m, 2H), 7.07-7.01(m, 1H), 3.55(s, 3H).
中間体9
3−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−8−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体9A:2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−3−フルオロベンズアミド
Figure 0006353530
3−ブロモ−2−クロロアニリン[米国特許第8,242,260号に記述した方法に従って製造した](600mg,2.91mmol)およびトルエン(10mL)の混合溶液を、0℃に冷却して、トルエン(2.47mL,4.94mmol)中の2M トリメチルアルミニウムを用いてゆっくりと処理した。混合溶液を、室温まで昇温させて、15分攪拌した。次いで、8−フルオロ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(684mg,3.78mmol)を、一度に加えて、混合溶液を、16時間50℃に加熱した。混合溶液を、0℃に冷却して、ガスの発生が止むまで1M HCl水溶液を滴加して、室温まで昇温させながら2時間攪拌した。混合溶液を、EtOAcで3回抽出した。有機相を合わせて、飽和NaHCO水溶液およびブラインを用いて順に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜30%のグラジエント)を用いて溶出するシリカゲル(24g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−アミノ−N−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−3−フルオロベンズアミド(350mg,35%収率)を淡黄色固体として得た。質量スペクトル m/z 343(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.46(dd, J=8.4, 1.3 Hz, 1H), 8.42(br. s., 1H), 7.43(dd, J=8.0, 1.4 Hz, 1H), 7.34(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.22(t, J=8.3 Hz, 1H), 7.15(ddd, J=11.0, 8.0, 1.2 Hz, 1H), 6.69(td, J=8.0, 5.1 Hz, 1H), 5.72(br. s., 2H).
中間体9B:3−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

トリホスゲン(453mg,1.53mmol)を、アミノ−N−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−3−フルオロベンズアミド(350mg,1.02mmol)/THF(10mL)の溶液に、0℃で一度に加えた。混合溶液を、室温にて1時間攪拌して、次いで0℃に冷却して、ガスの発生が観察されなくなるまで水で処理した。混合溶液を、濃縮して、残留物を、EtOAcに溶解して、飽和NaHCO水溶液、水およびブラインで順に洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜50%のグラジエント)を用いて溶出するシリカゲル(24g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、3−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(320mg,85%収率)を黄色固体として得た。質量スペクトル m/z 369(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.54(br. s., 1H), 7.97(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.77(dd, J=6.8, 2.6 Hz, 1H), 7.46(ddd, J=9.8, 8.3, 1.2 Hz, 1H), 7.36-7.29(m, 2H), 7.24(td, J=8.0, 4.8 Hz, 1H).
中間体9:
ヨードメタン(0.102mL,1.623mmol)を、3−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(300mg,0.812mmol)、DMF(5mL)およびCsCO(529mg,1.62mmol)の混合溶液にゆっくりと加えた。混合溶液を、2時間室温にて攪拌して、次いでEtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜30%のグラジエント)により溶出するシリカゲル(24g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、3−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−8−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(280mg,90%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトルm/z 383(M+H)1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.09(dq, J=7.8, 0.8 Hz, 1H), 7.79-7.71(m, 1H), 7.49(ddd, J=13.9, 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.32-7.29(m, 2H), 7.29-7.22(m, 2H), 3.88(s, 1.5 H), 3.86(s, 1.5H).
中間体10
2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−5−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン
Figure 0006353530
中間体10A:エチル 2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセテート
Figure 0006353530

THF(2mL)中のジイソプロピルアミン(0.385mL,2.70mmol)の攪拌溶液を、0℃で、1.6M n−ブチルリチウム/ヘキサン(1.69mL,2.70mmol)を用いて処理した。混合溶液を、15分間攪拌して、次いで−78℃にてシリンジを介して、THF(5mL)中の3−メトキシ−2−ピコリン(0.133g,1.08mmol)および炭酸ジエチル(0.262mL,2.16mmol)の攪拌溶液を5分かけて加えた。45分以上攪拌した後に、冷却浴を外して、室温にて終夜、攪拌し続けた。混合溶液を、飽和NHCl水溶液で処理して、EtOAcで希釈した。有機相を、分離して、飽和NaHCO水溶液およびブラインで順に洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、50% EtOAc−ヘキサンで溶出するシリカゲル(12g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル 2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセテート(0.17g,81%収率)を油状物として得た。質量スペクトル m/z 196(M+H)+.
中間体10B:ナトリウム 2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセテート
Figure 0006353530

THF(2.5mL)中のエチル 2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセテート(0.17g,0.871mmol)の攪拌した溶液を、室温にて、3M NaOH水溶液(0.581mL,1.74mmol)で処理した。7時間後に、混合溶液を、濃縮して、THFを除去して、水性残留物を、ドライアイスで凍結させて、凍結乾燥して、ナトリウム 2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセテートを白色固体として得た。定量的収量が考えられ、この物質を更なる精製をせずに使用した。質量スペクトル m/z 168(M+H)+.
中間体10C:N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMF(4.0mL)中のナトリウム 2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセテート(0.166g,0.871mmol)、3−ブロモ−2−メチルアニリン(0.118mL,0.958mmol)、DIEA(0.608mL,3.48mmol)およびHATU(0.397g,1.045mmol)の混合溶液を、室温にて攪拌した。1時間後に、混合溶液をEtOAcで希釈して、10% LiCl水溶液、次いでブラインを用いて2回洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセトアミド(0.213g,73%収率)を淡黄色固体として得た。質量スペクトル m/z 335, 337(M+H)+.
中間体10:
トルエン(2mL)中のN−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−メトキシピリジン−2−イル)アセトアミド(0.136g,0.406mmol)およびCDI(0.263g,1.62mmol)の混合溶液を、110℃で加熱した。4時間後に、混合溶液を、冷却して、EtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。有機相を乾燥させて、濃縮して、残留物を、40% EtOAc−ヘキサンで溶出するシリカゲル(24g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−5−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(0.0729g,50%収率)を、黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 361, 363(M+H)+.
中間体11
2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン
Figure 0006353530

この中間体を、中間体10について記述した一般的な合成経路に従って4−メトキシ−2−メチルピリジンから製造した。質量スペクトル m/z 361, 363(M+H)+.
中間体12
2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−7−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン
Figure 0006353530

この中間体を、中間体10について記述した一般的な合成経路に従って3−メトキシ−6−ピコリンから合成した。質量スペクトル m/z 361, 363(M+H)+.
中間体13
5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(ラセミ体)
Figure 0006353530

中間体13A:ジエチル 2−(3−クロロピリジン−2−イル)マロネート
Figure 0006353530

DMSO(42mL)中の3−クロロ−2−フルオロピリジン(5.00g,38.0mmol)、ジエチルマロネート(14.61g,91mmol)およびCsCO(29.7g,91mmol)の混合溶液を、100℃で7時間加熱した。終夜室温にて攪拌した後に、混合溶液をEtOAcで希釈して、水の後にブラインで2回洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮して、さらなる精製をせずに粗製ジエチル 2−(3−クロロピリジン−2−イル)マロネートを無色油状物として得た。質量スペクトル m/z 272(M+H)+.
中間体13B:エチル 2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセテート
Figure 0006353530

DMSO(40mL)中のジエチル 2−(3−クロロピリジン−2−イル)マロネート(10.32g,38mmol)、塩化ナトリウム(5.55g,95mmol)および水(3.4mL,190mmol)の混合溶液を、145℃で8時間加熱した。混合溶液を、室温に冷却して、EtOAcで希釈して、水の後に2回洗った。有機相を乾燥させて、濃縮して、粗エチル 2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセテートを得て、これを更なる精製をせずに使用した。質量スペクトル m/z 200(M+H)+.
中間体13C:ナトリウム 2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセテート
Figure 0006353530

THF(76mL)中のエチル 2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセテート(7.59g,38mmol)の溶液を、室温にて、3M NaOH水溶液(25.3mL,76mmol)で処理した。混合溶液を、室温にて終夜攪拌して、濃縮して、THFを除去した。水性残留物を、ドライアイスで凍結させて、凍結乾燥させて、ナトリウム 2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセテートをオフホワイトの固体として得て、これを更なる精製をせずに使用した。質量スペクトル m/z 172,(M+H)+.
中間体13D:N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMF(127mL)中のナトリウム 2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセテート(7.39g,38mmol)、3−ブロモ−2−メチルアニリン(4.7mL,38.4mmol)、DIEA(13.3mL,76mmol)およびHATU(14.59g,38.4mmol)の混合溶液を、室温にて攪拌した。90分後に、混合溶液をEtOAcで希釈して、10% LiCl、次いでブラインで2回洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、少量へと濃縮した。溶液を、先のバッチ由来の結晶を種晶として用い、終夜静置させて、沈殿物を得て、これを濾取して、50% EtOAc−ヘキサンを用いて洗い、白色固体を得た。濾液を濃縮して、同じように3回再結晶化して、更なる固体を得る。固体を合わせて、N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセトアミド(11.43g,89%収率)を、白色固体として得た。質量スペクトル m/z 339, 341(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 9.76(br. s., 1H), 8.52(d, J=3.5 Hz, 1H), 7.92(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.80(dd, J=8.1, 1.1 Hz, 1H), 7.36(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.32-7.23(m, 1H), 7.06(t, J=8.0 Hz, 1H), 4.16(s, 2H), 2.39(s, 3H).
中間体13E:2−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMSO(5mL)およびジオキサン(25mL)中のN−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−クロロピリジン−2−イル)アセトアミド(4.0g,11.8mmol)および4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(3.29g,13.0mmol)の混合溶液を、7分間アルゴンでバブリングして、その後酢酸カリウム(2.89g,29.4mmol)を加えた。アルゴンによるバブリングを、7分間続けて、その後PdCl(dppf)DCM付加物(0.481g,0.589mmol)を加えた。混合溶液を、90℃で7時間加熱した。冷却した混合溶液を、EtOAcで希釈して、CELITE(登録商標)を通して濾過した。濾液を、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAcから再結晶化して、白色固体を得た。母液を濃縮して、残留物を、EtOAcから再結晶化した。2つの固体を合わせて、2−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセトアミド(3.88g,85%収率)を、白色固体として得た。質量スペクトル m/z 387, 389(M+H)+.
中間体13:
トルエン(2mL)中の2−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセトアミド(0.192g,0.497mmol)およびCDI(0.322g,1.99mmol)の混合溶液を、110℃で加熱した。5時間後に、冷却した混合溶液をEtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサンを用いて溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、ラセミ体5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(0.133g,65%収率)を、黄褐色固体として得た。質量スペクトル m/z 413(M+H)+.
中間体14および15
5−クロロ−2−(R)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(I−14)、および
5−クロロ−2−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(I−15)
Figure 0006353530

ラセミ体5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体13]の試料を、下記のとおりにキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:WHELK-O(登録商標)RR(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:200mL/分,100バール,35℃にてCO−MeOH(55:45);試料調整:MeCN−DCM(1:4)中で96mg/mL;注入量:5mL。カラムから溶出する第1のピークにより、5−クロロ−2−(R)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体14]を得た。このカラムから溶出する第2のピークにより、5−クロロ−2−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体15]を得た。エナンチオマー双方についての質量スペクトルおよびH NMRは、中間体13に関するものと同じであった。
中間体15の絶対配置を、化合物を過剰アセトン中に溶解して、室温にて溶媒をゆっくりと蒸発させて製造した結晶の単結晶X線解析により確認した。単位格子定数:a=19.6161(8)Å、b=9.1411(4)Å、c=12.7541(6)Å、α=90°、β=113.165(2)°、γ=90°;空間群:C2;中間体35の分子数/非対称ユニット(Z'):1;密度,calcg−cm−3:1.304。室温での分率原子座標を表1に示し、構造図を図1に示す。
表1:中間体15についての室温での分率原子座標
Figure 0006353530
別法として、ラセミ体5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体13]の試料を、下記に従いキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:WHELK-O(登録商標)RR(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:200mL/分,100バール,35℃でCO−CHCN(55:45);試料調整:MeCN−DCM(1:4)中で96mg/mL;注入量:5mL。カラムから溶出する第1のピークにより、5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体15]の1つのアトロプ異性体を得た。THF/ヘキサンに溶解して、得られる黄色の固体を回収することにより、この物質を更に精製することができる。
中間体16
4−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体16A:N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

1,2−ジクロロエタン(70mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(2.36mL,19.1mmol)、ピリジン−2−イル−酢酸 塩酸塩(3.32g,19.1mmol)、EDC(5.50g,28.7mmol)、HOBT(0.146g,0.956mmol)およびDIEA(13.4mL,76mmol)の混合溶液を、室温にて3時間攪拌した。混合溶液を、DCMで希釈して、水で2回洗った。水層を合わせて、DCMで抽出した。有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮して、体積を低下させて、その後ヘキサンで希釈した。沈殿した結晶を、濾過により回収した。濾液を濃縮して、DCM−ヘキサンから再結晶化して、追加の固体を得た。2つのバッチの固体を合わせて、N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(4.78g,82%収率)を褐色の固体として得た。質量スペクトル m/z 305, 307(M+H)+.
中間体16B:N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−フルオロ−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

1,2−ジクロロエタン(8.0mL)中のN−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(0.5g,1.64mmol)および1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス−(テトラフルオロボーレート)[SELECTFLUOR(登録商標)](0.871g,2.46mmol)の混合溶液を、90℃で終夜加熱した。追加のSELECTFLUOR(登録商標)(300mg)を加えて、混合溶液を終夜60℃で加熱した。1/3量のSELECTFLUOR(登録商標)(150mg)を加えて、加熱をさらに3時間継続させた。混合溶液を冷却して、EtOAcおよび水との相間に分配した。有機相を、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサンで溶出する(35%、次いで50%)シリカゲル(80g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−フルオロ−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(0.177g,33%収率)を、淡褐色の固体として得た。1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.84(br. s., 1H), 8.67(dt, J=4.8, 0.9 Hz, 1H), 7.91-7.79(m, 2H), 7.60(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.44-7.35(m, 2H), 7.08(t, J=8.1 Hz, 1H), 6.08-5.93(m, 1H), 2.41(s, 3H).
中間体16C:2−フルオロ−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMSO(0.6mL)およびジオキサン(3.0mL)中のN−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−フルオロ−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(0.122g,0.378mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(0.105g,0.415mmol)および酢酸カリウム(0.093g,0.944mmol)の混合溶液を、5分間窒素によりバブリングして、次いでPdCl(dppf)DCM付加物(0.015g,0.019mmol)を加えた。更に5分間窒素でバブリングした後に、混合溶液を、90℃で終夜加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、水で2回洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーに供し、EtOAc−ヘキサン(30%、次いで50%)で溶出して、2−フルオロ−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(0.11g,79%収率)を、淡く色づいた油状物として得た。質量スペクトル m/z 371(M+H)+.
中間体16:
トルエン(3.0mL)中の2−フルオロ−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2−(ピリジン−2−イル)アセトアミド(0.155g,0.419mmol)およびCDI(0.272g,1.675mmol)の混合溶液を、110℃で6時間攪拌した。混合溶液を冷却して、EtOAcと水の層間に分配して、水層をEtOAcで抽出した。有機層を合わせて、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮して、残留物を、EtOAc−ヘキサンを用いて溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(43.1mg,26%収率)を黄色の固体として得る。質量スペクトル m/z 397(M+H)+.
中間体17
6−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−5,7(6H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体17A:N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(チアゾール−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMF(15mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(0.764mL,6.20mmol)、1,3−チアゾール−2−イル酢酸(0.74g,5.17mmol)およびDIEA(1.63mL,9.30mmol)の混合溶液を、HATU(2.36g,6.20mmol)で処理した。終夜攪拌した後に、混合溶液を、EtOAcで希釈して、10% LiCl水溶液に続いてブラインで2回洗い、水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機層を合わせて、乾燥させて、濃縮して、残留物を、EtOAc−ヘキサンを用いて溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(チアゾール−2−イル)アセトアミド(0.681g,42%収率)を白色固体として得た。1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 9.84-9.65(m, 1H), 7.91(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.84(d, J=3.3 Hz, 1H), 7.42-7.35(m, 2H), 7.07(t, J=8.0 Hz, 1H), 4.18(s, 2H), 2.38(s, 3H).
中間体17B:N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2−(チアゾール−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMSO(1.6mL)およびジオキサン(8mL)中のN−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(チアゾール−2−イル)アセトアミド(0.53g,1.70mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(0.476g,1.87mmol)および酢酸カリウム(0.418g,4.26mmol)の混合溶液を、5分間窒素によりバブリングして、続いてPdCl(dppf)DCM付加物(0.070g,0.085mmol)を加えた。更に5分間窒素を用いてバブリングした後に、混合溶液を、90℃で7時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、CELITE(登録商標)を通して濾過した。濾液を、水およびブラインで順に洗い、乾燥して、濃縮した。残留物を、50% EtOAc−ヘキサンで溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2−(チアゾール−2−イル)アセトアミド(0.45g,74%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 359(M+H).
中間体17:
トルエン(6.5mL)中のN−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−2−(チアゾール−2−イル)アセトアミド(0.45g,1.26mmol)およびCDI(0.815g,5.02mmol)の混合溶液を、110℃で2時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcと水との層間に分配した。有機層を、ブラインで洗い、水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機層を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、70% EtOAc−ヘキサンで溶出して、6−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−5,7(6H)−ジオンを、褐色の固体(34%収率)として得た。質量スペクトル m/z 385(M+H)+.
中間体18
5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(ラセミ体)
Figure 0006353530

中間体18A:ジエチル 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)マロネート
Figure 0006353530

DMSO(19mL)中の2,3−ジフルオロピリジン(2.00g,17.4mmol)、CsCO(13.59g,41.7mmol)およびジエチルマロネート(6.68g,41.7mmol)の混合溶液を、100℃で4.5時間加熱した。混合溶液を、氷上に注ぎ、EtOAcで希釈して、有機相を分離して、水およびブラインで順に洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(順に10%、20%および30%)で溶出するシリカゲル(80g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジエチル 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)マロネート(2.68g,60%収率)を淡く色づいた油状物として得た。1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.42(dt, J=4.6, 1.3 Hz, 1H), 7.43(ddd, J=9.4, 8.3, 1.4 Hz, 1H), 7.30(dt, J=8.5, 4.3 Hz, 1H), 5.09(d, J=1.1 Hz, 1H), 4.30(q, J=7.0 Hz, 4H), 1.33-1.26(m, 6H).
中間体18B:エチル 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセテート
Figure 0006353530

DMSO(15mL)中のジエチル 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)マロネート(2.68g,10.5mmol)、塩化ナトリウム(0.675g,11.6mmol)および水(0.378mL,21.0mmol)の混合溶液を、145℃で4.5時間加熱した。混合溶液を、冷却して、EtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。有機相を乾燥させて、濃縮して、エチル 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセテート(1.9g,99%収率)を、淡く色づいた油状物として得た。質量スペクトル m/z 184(M+H)+.
中間体18C:ナトリウム 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセテート
Figure 0006353530

THF(26mL)中のエチル 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセテート(1.90g,10.4mmol)の攪拌した溶液を、3M NaOH水溶液(6.9mL,20.7mmol)で処理して、室温にて終夜攪拌した。混合溶液を、濃縮して、THFを除去して、残留する水溶液を凍結させて、凍結乾燥して、ナトリウム 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセテートを白色固体として得て、更なる精製をせずに使用した。質量スペクトル m/z 156(M+H).
中間体18D:N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセトアミド
Figure 0006353530

DMF(30mL)中のナトリウム 2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセテート(1.85g,10.4mmol)、3−ブロモ−2−メチルアニリン(1.4mL,11.4mmol)、DIEA(5.4mL,31.1mmol)およびHATU(4.73g,12.4mmol)の混合溶液を、室温にて1.25時間攪拌した。混合溶液をEtOAcで希釈して、10%のLiCl水溶液、次いでブラインを用いて2回洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、熱EtOAcで溶解して、冷却して、得られる白色固体を濾取して、60% EtOAc−ヘキサンで洗った。濾液を合わせて、濃縮して、残留物を、同じ方法を用いて2回再結晶化した。最終の濾液濃縮物由来の残留物を、EtOAc−ヘキサンを用いて溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、固体を得て、これを再結晶化したバッチと合わせて、N−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセトアミド(2.029g,61%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 323, 325(M+H)+.
中間体18E:2−(3−フルオロピリジン−2−イル)−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセトアミド
Figure 0006353530

ジオキサン(40mL)中のN−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−2−(3−フルオロピリジン−2−イル)アセトアミド(4.2g,13.6mmol)および4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(3.80g,14.9mmol)の混合溶液を、窒素を用いて10分間バブリングした。酢酸カリウム(3.33g,34.0mmol)を、混合溶液に加えて、更に5分間バブリングを続けて、PdCl(dppf)DCM付加物(0.555g,0.679mmol)を加えた。混合溶液を、終夜100℃で加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、水およびブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、DCM−メチルt−ブチルエーテルで溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−(3−フルオロピリジン−2−イル)−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセトアミド(3.80g,76%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 370(M+H)+.
中間体18:
トルエン(97mL)中の2−(3−フルオロピリジン−2−イル)−N−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)アセトアミド(9.01g,24.3mmol)およびCDI(15.78g,97mmol)の混合溶液を、120℃で7時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(20〜100%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(220g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(6.26g,65%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 397(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.11(dd, J=7.6, 0.8 Hz, 1H), 7.94(dd, J=7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.35(t, J=7.5 Hz, 1H), 7.23(dd, J=7.8, 1.4 Hz, 1H), 6.85-6.76(m, 1H), 6.35(td, J=7.4, 5.0 Hz, 1H), 6.09(s, 1H), 2.36(s, 3H), 1.36(s, 12H).
中間体19および20
5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(単一のエナンチオマー)
Figure 0006353530

ラセミ体の5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体18](7.50g)を、下記のとおりにキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:CHIRALCEL(登録商標)OD-H(5 x 25 cm, 5 μm);移動相:280mL/分,100バール,40℃にてCO−MeOH(76:24);試料調整:DCM−MeOH(1:1)中で62.5mg/mL;注入量:0.83mL.
カラムから溶出する第1のピークより、5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体19](3.20g,キラル純度99.3%)の1つのエナンチオマーを黄色の固体として得た。
このカラムから溶出する第2のピークにより、5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体20](2.98g,キラル純度98.6%)の別のエナンチオマーを黄色の固体として得た。
双方のエナンチオマーについての質量スペクトルおよびH NMRは、中間体18と同じ方法であった。
中間体21
3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−フルオロフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

中間体21A:メチル 3−(4−メトキシベンジルアミノ)−2−(フェニルセラニル)プロパノエート
Figure 0006353530

DCM(116mL)中のフェニル過ブロモセレノイト(5.54g,23.5mmol)および亜鉛(II)クロリド(1.27g,9.29mmol)の懸濁液を、メチルアクリレート(2.1mL,23.2mmol)で処理した。混合溶液を、室温で30分間攪拌して、(4−メトキシフェニル)メタンアミン(6.4mL,48.8mmol)で処理して、粘性懸濁液を形成させる。16時間攪拌した後に、沈殿物を、濾去して、EtOAcで洗い、濾液を合わせて濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜50%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(120g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、メチル 3−(4−メトキシベンジルアミノ)−2−(フェニルセラニル)プロパノエート(3.68g,42%収率)を淡褐色油として得た。質量スペクトル m/z 380(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 7.53-7.49(m, 2H), 7.39-7.28(m, 3H), 7.18(d, J=8.6 Hz, 2H), 6.88-6.82(m, 2H), 3.89(dd, J=8.8, 5.9 Hz, 1H), 3.73(s, 3H), 3.61(s, 2H), 3.55(s, 3H), 2.93-2.78(m, 2H).
中間体21B:1−ブロモ−3−イソシアナト−2−メチルベンゼン
Figure 0006353530

氷水浴中で冷却したトルエン(27mL)中のトリホスゲン(2.25g,7.58mmol)の溶液を、トルエン(5.4mL)中の3−ブロモ−2−メチルアニリン(3.00g,16.1mmol)およびDIEA(5.6mL,32.2mmol)の溶液を用いてゆっくりと処理した。得られる懸濁液を、室温で2時間攪拌した。沈殿物を濾去して、EtOAcで洗った。濾液を合わせて、EtOAcで希釈して、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮して、1−ブロモ−3−イソシアナト−2−メチルベンゼン(3.68g,98%)を褐色油状物として得た。1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 7.49(dd, J=8.1, 0.9 Hz, 1H), 7.31(dd, J=7.9, 0.7 Hz, 1H), 7.15(td, J=8.0, 0.7 Hz, 1H), 2.38(s, 3H).
中間体21C:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−(フェニルセラニル)ジヒドロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

DMF(49mL)中のメチル 3−((4−メトキシベンジル)アミノ)−2−(フェニルセラニル)プロパノエート(3.68g,9.73mmol)、1−ブロモ−3−イソシアナト−2−メチルベンゼン(2.27g,10.7mmol)およびKCO(0.672g,4.86mmol)の混合溶液を、65℃で5時間加熱した。混合溶液を冷却して、水とEtOAcとの層間に分配した。有機相を、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−(フェニルセラニル)ジヒドロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(5.43g)を、淡褐色固体として得た。質量スペクトル m/z 557, 559, 561(M+H)+.
中間体21D:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

THF(97mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−(フェニルセラニル)ジヒドロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(5.43g,9.73mmol)の溶液を、30%過酸化水素水溶液(5.0mL,48.6mmol)で処理して、混合溶液を30分間室温にて攪拌した。水を加えて、混合溶液を、EtOAcで抽出した。有機相を、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(220g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、EtOAc−ヘキサン(25〜70%のグラジエント)で溶出して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(2.10g,54%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 401, 403(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 7.95(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.70-7.65(m, 1H), 7.32-7.28(m, 2H), 7.25-7.22(m, 2H), 6.96-6.91(m, 2H), 5.86(d, J=7.9 Hz, 1H), 4.89(d, J=2.4 Hz, 2H), 3.74(s, 3H), 2.02(s, 3H).
中間体21E:3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

TFA(5.5mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(0.87g,2.17mmol)の溶液を、トリフルオロメタンスルホン酸(0.55mL)で処理して、混合溶液を、室温にて終夜攪拌した。混合溶液を、ゆっくりと氷上に注ぎ入れて、室温へ温めながら攪拌した。沈殿物を、濾過により回収して、水で洗い、乾燥させて、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(0.62g,96%収率)を紫色の固体として得た。質量スペクトル m/z 281, 283(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.36(d, J=4.4 Hz, 1H), 7.67(dd, J=6.5, 2.8 Hz, 1H), 7.60(dd, J=7.7, 5.9 Hz, 1H), 7.27-7.21(m, 2H), 5.72(dd, J=7.7, 1.3 Hz, 1H), 2.07(s, 3H).
中間体21:
乾燥DCM(25mL)中の銅(II)アセテート(0.543g,2.99mmol)、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(0.42g,1.49mmol)、(4−フルオロフェニル)ボロン酸(0.418g,2.99mmol)および活性化したモレキュラー・シーブ(750mg)の攪拌した懸濁液を、ピリジン(0.363mL,4.48mmol)で処理して、室温にて終夜攪拌した。混合溶液を、DCMで希釈して、CELITE(登録商標)を通して濾過して、固体を、DCMおよびTHFで洗った。濾液を合わせて、水で洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(20〜40%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−フルオロフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(0.36g,43%収率)を黄色のガラス状固体として得た。質量スペクトル m/z 375, 377(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 7.91(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.68(dd, J=7.9, 1.3 Hz, 1H), 7.60-7.51(m, 2H), 7.40-7.22(m, 4H), 5.95(d, J=7.9 Hz, 1H), 2.21-2.12(m, 3H).
中間体22
4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
Figure 0006353530

中間体22A:エチル 3−ヒドロキシ−5−メチルベンゾエート
Figure 0006353530

EtOH(100mL)中の3−ヒドロキシ−5−メチル安息香酸(Turner et al., J. Org. Chem., 24:1952(1959)の方法に従って製造した;2.50g,16.4mmol)の溶液を、硫酸(5mL,94mmol)で処理して、加熱して、油状浴で還流した。18時間後に、溶液を、室温に冷却した。溶液を濃縮して、体積を減少させて(20〜30mL)、水(100〜150mL)で希釈した。攪拌および磨砕時に固体となったガム状物が沈殿した。沈殿物を、濾過により回収して、水で洗い、真空乾燥させて、エチル 3−ヒドロキシ−5−メチルベンゾエート(2.63g,89%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 181(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 7.46(d, J=0.7 Hz, 1H), 7.40(s, 1H), 6.90(s, 1H), 4.39(q, J=7.0 Hz, 2H), 2.37(s, 3H), 1.41(t, J=7.2 Hz, 3H).
中間体22B:エチル 3−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート
Figure 0006353530

EtOH(50mL)中のエチル 3−ヒドロキシ−5−メチルベンゾエート(2.63g,14.6mmol)の溶液を、Parr圧力ビン内で5% ロジウム/アルミニウム(0.5g)と合わせて、水素雰囲気下にて(60 psig)、室温で攪拌した。21.5時間後に、容器を空にして、窒素により充填した。混合溶液を、CELITE(登録商標)を通して濾過して、固体をEtOHで洗浄した。濾液を合わせて、真空濃縮して、エチル 3−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(2.64g,97%収率)を無色油状液体物として得た。質量スペクトル m/z 187(M+H)+, 169(M+H-H2O)+
中間体22C:エチル 3−メチル−5−オキソシクロヘキサンカルボキシレート
Figure 0006353530

アセトン(45mL)中のエチル 3−ヒドロキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(2.64g,14.2mmol)の溶液を、氷水浴上で攪拌し、30分以上黄色の呈色が持続するまでジョーンズ試薬(4.25mL,14.9mmol)を用いて滴加処理した。混合溶液を、次いでイソプロパノール(約2mL)で処理して、黄色が消失するまで氷上で攪拌すると、混合溶液は青緑色のスラリーとなった。上清を、CELITE(登録商標)を通してデキャンタした。スラッジを、ほぼ粉状の固体となるまで新しいアセトンで数回磨砕して、このアセトン洗液を用いて、CELITE(登録商標)を通して濾過した。濾液を合わせて、洗液を濃縮した。残留物を、エーテルに溶解して、飽和ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮して、エチル 3−メチル−5−オキソシクロヘキサンカルボキシレート(2.275g,87%収率;ジアステレオマーの混合物,約95:5の比率)を、ほぼ無色の油状液体として得た。1H NMR(主要な異性体)(400 MHz, クロロホルム-d)δ 4.18(q, J=7.3 Hz, 2H), 2.72(tt, J=12.7, 4.0 Hz, 1H), 2.62-2.53(m, 1H), 2.50(dd, J=13.1, 1.0 Hz, 1H), 2.45-2.36(m, 1H), 2.16(dtt, J=13.3, 3.5, 1.8 Hz, 1H), 2.07-1.97(m, 1H), 1.97-1.82(m, 1H), 1.57-1.42(m, 1H), 1.29(t, J=7.2 Hz, 3H), 1.09(d, J=6.4 Hz, 3H).
中間体22D:5−ブロモ−2−エトキシカルボニル−4−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−8−カルボン酸
Figure 0006353530

酢酸(10mL)中の4−ブロモ−2−ヒドラジン安息香酸塩酸塩[米国特許第8,084,620号, 中間体46−1に記述した方法に従って製造した](605mg,2.26mmol)の懸濁液を、エチル 3−メチル−5−オキソシクロヘキサンカルボキシレート(500mg,2.71mmol)で処理して、混合溶液を、100〜105℃で加熱した。6時間後に、温度を95℃に低下させて、攪拌を終夜継続させた。22時間後に、全量の混合溶液を、室温に冷却して、大部分の溶媒を真空除去した。残留物を、EtOAc中で攪拌して、混合溶液を濾過して、少量の沈殿物を除去した。濾液を、水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、真空下にて濃縮して、粗製5−ブロモ−2−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−8−カルボン酸(ジアステレオマー混合物)(860mg)を暗褐色ガムとして得た。質量スペクトル m/z 380, 382(M+H)+.
中間体22E:エチル 5−ブロモ−8−カルバモイル−4−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−2−カルボキシレート
Figure 0006353530

THF(15mL)中の粗製5−ブロモ−2−(エトキシカルボニル)−4−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−8−カルボン酸(860mg)の溶液を、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(369mg,2.71mmol)およびEDC(520mg,2.71mmol)で処理して、懸濁液を室温にて攪拌した。2時間後に、混合溶液を、約2分間無水アンモニアでバブリングして、粘性橙色のスラリーを形成させた。2.5時間後に、さらに混合溶液を、水およびEtOAcで希釈して、層を分離した。水相を、再度EtOAcで抽出して、有機層を合わせて、1M NaOH水溶液およびブラインで順に洗い、乾燥して、濃縮した。残留物を、シリカゲル(80g)でのカラムクロマトグラフィーに供して、EtOAc−ヘキサン(25〜100%のグラジエント)で溶出して、純粋ではないエチル 5−ブロモ−8−カルバモイル−4−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−2−カルボキシレート(ジアステレオマー混合物)(265mg,31%収率)を黄褐色の固体として得た。質量スペクトル m/z 379, 381(M+H)+.
中間体22F:エチル 5−ブロモ−8−カルバモイル−4−メチル−9H−カルバゾール−2−カルボキシレート
Figure 0006353530

THF(7mL)中の純粋でないエチル 5−ブロモ−8−カルバモイル−4−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−2−カルボキシレート(250mg,0.659mmol)の溶液を、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベン超音波処理ゾキノン(329mg,1.45mmol)で処理して、60℃の油浴上で加熱した。2.4時間後に、混合溶液を、室温に冷却して、EtOAcで希釈した。混合溶液を濾過して、沈殿物をEtOAcで濯いで、真空下にて乾燥させて、非常に微細な白色固体(71.6mg)を得た。濾液を、飽和NaHCO水溶液、次いでブラインで4回洗った。有機相を乾燥させて、濃縮して、残留物を、EtOAcおよびMeOHの混合液中で超音波処理した。沈殿物を、濾過取して、EtOAcで洗い、乾燥させて、淡黄色固体(50.5mg)を得た。この濾液を、シリカゲル(12g)のカラムクロマトグラフィーに供して、EtOAc−ヘキサン(25〜100%のグラジエント)で溶出して、固体を得て、これを最少量のEtOAc中で超音波処理した。沈殿物を、濾過により回収して、最少量のEtOAcで濯ぎ、乾燥させて、淡黄色固体(5.2mg)を得た。3つの単離した固体を合わせて、エチル 5−ブロモ−8−カルバモイル−4−メチル−9H−カルバゾール−2−カルボキシレート(127mg,51%収率)を淡黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 375, 377(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 12.17(s, 1H), 8.42(d, J=1.1 Hz, 1H), 8.25(br. s., 1H), 7.88(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.62(br. s., 1H), 7.59(d, J=0.7 Hz, 1H), 7.56(d, J=8.1 Hz, 1H), 4.36(q, J=7.0 Hz, 2H), 3.20(s, 3H), 1.38(t, J=7.0 Hz, 3H).
中間体22:エチル 4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
THF(2.5mL)中のエチル 5−ブロモ−8−カルバモイル−4−メチル−9H−カルバゾール−2−カルボキシレート(120mg,0.320mmol)の懸濁液を、−78℃で攪拌して、約2.5分間かけて1.6 M メチルリチウム/エーテル(0.800mL,1.28mmol)を用いて滴加処理した。0.5時間以内に、混合溶液は黄色の固形塊となった。添加が完了してから45分後に、THF(1mL)を加えて、混合溶液を十分に温めて(0℃以下のまま)、部分的に混合して、次いで−78℃に再度冷却した。添加が完了してから90分後に、混合溶液を、飽和NHCl水溶液(2mL)および少量の水で処理して、しっかりと攪拌しながら室温に昇温させた。混合溶液を、EtOAcで2回抽出した。有機相を合わせて、飽和ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(12g)でのカラムクロマトグラフィーに供して、EtOAc−ヘキサン(40〜100%のグラジエント)で溶出して、4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(96.3mg,83%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 343, 345(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.73(s, 1H), 8.19(br. s., 1H), 7.82-7.73(m, 2H), 7.54(br. s., 1H), 7.45(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.14(d, J=0.9 Hz, 1H), 5.03(s, 1H), 3.14(s, 3H), 1.50(s, 6H).
中間体23
4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
Figure 0006353530

中間体22を製造するために使用した方法の後に、3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸を、4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミドに変換した。質量スペクトル m/z 343, 345(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 10.86(s, 1H), 8.38-8.26(m, 2H), 7.89(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.67(br. s., 1H), 7.44(d, J=8.1 Hz, 2H), 5.09(s, 1H), 2.81(s, 3H), 1.63(s, 6H).
中間体24および24A
8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−24)、および
8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(R)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(I−24A)
Figure 0006353530

中間体24B:8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(RS)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

ジオキサン(40mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチル(d)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体5](3.00g,8.19mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(2.70g,10.7mmol)および酢酸カリウム(2.41g,24.6mmol)の混合溶液を、約2分間超音波処理しながらアルゴンにてバブリングし、次いでPdCl(dppf)DCM付加物(0.335g,0.410mmol)で処理した。混合溶液を、90℃で15.75時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、CELITE(登録商標)を通して濾過して、固体をEtOAcで洗った。濾液を合わせて、濃縮して、残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜40%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(330g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(RS)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(3.23g,95%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 414(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.14-8.07(m, 1H), 7.93(dd, J=7.4, 1.4 Hz, 1H), 7.48(ddd, J=13.9, 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.37-7.31(m, 1H), 7.27-7.19(m, 2H), 2.36(s, 3H), 1.36(s, 12H).
中間体24および24A:
8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(RS)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24B]の試料を、下記に従って超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:WHELK-O(登録商標)R,R(3 x 25 cm, 5μm);移動相:200mL/分,100バール,30℃にてCO−MeOH(70:30);試料調整:MeOH中で3.7mg/mL;注入量:4.17mL。カラムから溶出する第1のピークにより、S−エナンチオマーの8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24]を白色固体として得た。このカラムから溶出する第2のピークにより、Rエナンチオマーの8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(R)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24A]を白色固体として得た。エナンチオマー双方についての質量スペクトルおよびH NMRは、中間体24Bと同じものであった。
8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24]の別の合成方法:
中間体24C:8−フルオロ−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

ジオキサン(20mL)およびDMSO(4mL)中の3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体1](0.349g,1.00mmol)、4,4,4',4',5,5,5',5'−オクタメチル−2,2'−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(0.305g,1.20mmol)、PdCl(dppf)DCM付加物(0.041g,0.050mmol)および酢酸カリウム(0.245g,2.50mmol)の攪拌した混合液を、5分間窒素によりバブリングして、次いで90℃で終夜加熱した。混合溶液を、室温に冷却して、EtOAcと水との層間に分配した。有機相を、飽和NaHCO水溶液およびブラインで順に洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、20% EtOAc−ヘキサンで溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、8−フルオロ−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(0.326g,82%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 397(M+H)+. 1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ 11.78(s, 1H), 7.80(d, J=7.2 Hz, 1H), 7.72(dd, J=7.4, 1.5 Hz, 1H), 7.71-7.56(m, 1H), 7.45-7.35(m, 1H), 7.35-7.29(m, 1H), 7.29-7.16(m, 1H), 2.22(s, 3H), 1.33(s, 12H).
中間体24D:8−フルオロ−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン
Figure 0006353530

8−フルオロ−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24C]の試料を、下記に従いキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:CHIRALCEL(登録商標)OD-H(5 x 25 cm, 5 μm);移動相:300mL/分でCO−MeOH(70:30),100バール,40℃;試料調整:DCM−MeOH(44:56)中で103mg/mL;注入量:5.0mL。このカラムから溶出する第2のピークにより、Sエナンチオマーの8−フルオロ−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオンを白色固体として得た。質量スペクトル m/z 397(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.19(s, 1H), 7.99(d, J=8.1 Hz, 1H), 7.95(dd, J=7.3, 1.3 Hz, 1H), 7.46(ddd, J=9.8, 8.3, 1.2 Hz, 1H), 7.39-7.32(m, 1H), 7.28-7.18(m, 2H), 2.39(s, 3H), 1.36(s, 12H).
中間体24:
THF(100mL)中の8−フルオロ−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24D](5.42g,13.7mmol)の溶液を、氷水浴上で攪拌して、CsCO(6.24g,19.2mmol)、次いでヨードメタン−d(1.02mL,16.4mmol)を用いて処理し、混合溶液を室温にて16.25時間攪拌した。混合溶液を濾過して、固体をEtOAcで濯ぎ、濾液を合わせて、濃縮した。残留物を、EtOAcに溶解して、水およびブラインで順に洗い、乾燥させて、濃縮して、8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(5.538g,98%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 414(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 8.11(dq, J=7.8, 0.8 Hz, 1H), 7.93(dd, J=7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.48(ddd, J=13.9, 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.38-7.30(m, 1H), 7.27-7.20(m, 2H), 2.36(s, 3H), 1.36(s, 12H).
中間体25
4−ブロモ−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
Figure 0006353530

THF(10mL)中の4−ブロモ−7−(ヒドロキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,実施例30−02に記述した方法に従って製造した](0.5g,1.57mmol)の懸濁液を攪拌して、塩化チオニル(0.252mL,3.45mmol)を用いて滴加処理して、混合溶液を室温にて1時間攪拌した。この混合溶液を、MeOH(0.2mL)で処理して、溶媒および過剰な塩化チオニルを、真空下にて除去した。残留物を、MeOH(10mL)に溶解して、ナトリウムメトキシド(0.423g,7.83mmol)を加えた。混合溶液を室温にて終夜攪拌した。混合溶液をEtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(0〜100%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−ブロモ−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(119mg,23%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 333, 335(M+H)+.
実施例1および2
4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

製造物1A:4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
THF(3mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(43.4mg,0.110mmol)[中間体4]、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン(32mg,0.092mmol)[中間体1]、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.3mg,4.58μmol)および炭酸カリウム(38.0mg,0.275mmol)の混合溶液を、バイアル内で密封して、90℃で終夜加熱した。混合溶液を冷却して、DCM−MeOH−NHOH(90:9:1〜97:2.7:0.3のグラジエント)により溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(6mg,13%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 519(M+H-H2O).
1H NMR(500 MHz, クロロホルム-d/ MeOH-d4)δ 7.70(d, J=1.5 Hz, 1H), 7.62-7.58(m, 1H), 7.55-7.47(m, 2H), 7.46-7.42(m, 1H), 7.38(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.28-7.19(m, 3H), 7.14(dd, J=8.4, 1.5 Hz, 1H), 7.10(dd, J=10.9, 7.9 Hz, 1H), 1.89(s, 3H), 1.61(dd, J=10.2, 3.2 Hz, 6H).
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.85(s, 0.5H), 11.79(s, 0.5H), 11.39(s, 1H), 8.16(br. s., 1H), 7.99(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.90-7.79(m, 2H), 7.69-7.61(m, 1H), 7.53-7.42(m, 3H), 7.35(dt, J=6.0, 3.3 Hz, 1H), 7.28-7.20(m, 1H), 7.11-7.06(m, 1H), 7.03(t, J=7.5 Hz, 2H), 4.98(s, 0.5H), 4.96(s, 0.5H), 1.76(s, 3H), 1.48-1.42(m, 6H).
19F NMR(376 MHz, DMSO-d6)δ -129.97(s, 1F), -130.02(s, 1F).
実施例1および2:
4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(1.2g)の試料を、下記に従うキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:CHIRALCEL(登録商標)OD-H(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:145mL/分,100バール,40℃にてCO−(1:1MeOH−アセトニトリル)(45:55);試料調整:DMSO−MeOH(1:1)中で50mg/mL;注入量:3.5mL。
カラムから溶出する第1のピークにより、一対の相互変換するジアステレオマーの4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[実施例1](603mg)を白色固体として得た。
このカラムから溶出する第2のピークにより、一対の相互変換するジアステレオマーの4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[実施例2](584mg)を白色固体として得た。
両化合物についての質量スペクトルおよびNMRスペクトルは、上記した4つのジアステレオマーの混合物についてのものと同じであった。実施例1および2の絶対立体化学は割り当てられていない。
実施例3
4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

製造物3A:4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

トルエン(27mL)およびEtOH(9mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って製造した](827mg,2.38mmol)、8−フルオロ−1−メチル−3−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体2](850mg,2.07mmol)、2M リン酸三カリウム水溶液(3.11mL,6.22mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(120mg,0.104mmol)の混合溶液を、窒素下にて終夜還流加熱した。混合溶液を、室温に冷却して、EtOAcで希釈して、水で洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(330g)でのカラムクロマトグラフィーに供して、DCM−MeOH−NHOH(90:9:1〜97:2.7:0.3のグラジエント)で溶出して、4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(860mg,74%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 533(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 10.56(s, 1H), 8.15(dd, J=9.8, 8.7 Hz, 1H), 7.71-7.64(m, 2H), 7.54-7.42(m, 3H), 7.36(dd, J=7.7, 1.3 Hz, 1H), 7.28-7.24(m, 3H), 7.18-7.11(m, 1H), 6.02(br. s., 2H), 3.91(dd, J=7.9, 2.9 Hz, 3H), 1.90(s, 3H), 1.85(d, J=4.0 Hz, 1H), 1.67(d, J=1.3 Hz, 6H). 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.40(s, 1H), 8.17(br. s., 1H), 8.04-7.93(m, 2H), 7.84(d, J=1.1 Hz, 1H), 7.74(ddd, J=14.4, 8.0, 1.3 Hz, 1H), 7.54-7.42(m, 3H), 7.38-7.30(m, 2H), 7.12-7.05(m, 1H), 7.04-6.99(m, 2H), 4.99(d, J=1.3 Hz, 1H), 3.75(t, J=8.4 Hz, 3H), 1.76(s, 3H), 1.50-1.45(m, 6H).
別の製造物3A:
DMF(2mL)中の4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)[製造物1A](20mg,0.037mmol)、ヨードメタン(DMF中の35mg/mL溶液(0.15mL);5.29mg,0.037mmol)およびCsCO(12.1mg,0.037mmol)の混合溶液を、室温にて17時間攪拌した。混合溶液をEtOAcで希釈して、有機性物質を、水および10%LiCl水溶液で順に洗い、乾燥し、濃縮した。残留物を、DCM:MeOH:NHOH(90:9:1〜97:2.7:0.3のグラジエント)で溶出するシリカゲル(12g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(19mg,93%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 533(M+H-H2O). 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 10.56(s, 1H), 8.14(dd, J=9.6, 8.5 Hz, 1H), 8.04(s, 1H), 7.70-7.63(m, 2H), 7.54-7.41(m, 3H), 7.35(dd, J=7.8, 1.2 Hz, 1H), 7.28-7.22(m, 3H), 7.14(dd, J=7.8, 1.7 Hz, 1H), 3.90(dd, J=7.9, 2.9 Hz, 3H), 1.90(s, 3H), 1.66(d, J=1.3 Hz, 6H).
実施例3:
4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(532mg,0.966mmol)の試料を、下記のとおりにキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:Lux Cel-4(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:85mL/分でCO−MeOH(60:40);試料調整:MeOH−アセトン(9:1)中で6.7mg/mL;注入量:3mL。
カラムから溶出するピーク3および4を、一緒に合わせて濃縮して、4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)(230mg)を淡黄色固体として得た。
質量スペクトル m/z 533(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.40(s, 1H), 8.16(br. s., 1H), 8.04-7.93(m, 2H), 7.84(s, 1H), 7.78-7.69(m, 1H), 7.55-7.43(m, 3H), 7.39-7.30(m, 2H), 7.13-6.98(m, 3H), 4.99(d, J=1.1 Hz, 1H), 3.75(t, J=8.4 Hz, 3H), 1.75(s, 3H), 1.47(d, J=4.4 Hz, 6H).
実施例3の別の合成法:
8−フルオロ−1−メチル−3−(S)(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体3](13.00g,31.7mmol)、4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号の中間体73−2に記述された方法に従って製造し、またMeOHから再結晶化](10.00g,28.8mmol)、CsCO(18.77g,57.6mmol)、THF(120mL)および水(30mL)の懸濁液を、5分間窒素によりバブリングして、その後PdCl(dppf)DCM付加物(1.11g,1.44mmol)で処理した。混合溶液を、40℃で24時間加熱して、次いで室温へ冷却した。混合溶液を、CELITE(登録商標)パッドを通して濾過して、固体をEtOAcで洗った。濾液を合わせて、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、DCMとEtOAcのグラジエントを用いて溶出するシリカゲル(330g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、固体を得た。アセトンからの再結晶により、4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)(6.80g,86%収率)を、結晶性固体として得た。1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ 11.40(s, 1H), 8.17(br. s., 1H), 8.00(d, J=7.7 Hz, 2H), 7.95(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.84(s, 1H), 7.72(dd, J=14.3, 8.1 Hz, 1H), 7.52-7.47(m, 1H), 7.50-7.44(m, 1H), 7.47-7.42(m, 1H), 7.38-7.34(m, 1H), 7.35-7.29(m, 1H), 7.12-7.05(m, 1H), 7.04-7.00(m, 1H), 7.04-6.98(m, 1H), 4.99(s, 1H), 3.74(dd, J=11.9, 8.1 Hz, 3H), 1.75(s, 3H), 1.47(s, 3H), 1.46(s, 3H).
実施例3の2つの相互変換するジアステレオマーの絶対立体化学を、図2に示した。実施例3の立体化学を、微小単結晶x線解析により確認した。幾つかの結晶形態を得た。
結晶形態SA−1を、室温にてメタノール水溶液をゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態SA−1は、実施例3の各分子について、メタノール1分子および水1分子の化学量比を有する混合溶媒和物結晶である。
結晶形態SB−2を、EtOH/ラセミ体プロピレングリコール溶液から製造した。結晶形態SB−2は、実施例3の各分子につき1−(S)−プロピレングリコール1分子および水0.5分子という化学量比を有する混合溶媒和物結晶である。
結晶形態SC−3を、室温にてアセトン溶液をゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態SC−3は、実施例3の各分子につきアセトン1分子および水1分子という化学量比を有する混合した溶媒和物結晶である。
結晶形態SD−3は、THFスラリーから製造した。結晶形態SD−3は、実施例3の各分子につきTHF1.5分子および水1分子の化学量比を有する混合溶媒和物結晶である。
結晶形態SE−2は、EtOH/THF溶液を室温でゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態SE−2は、実施例3の各分子につきエタノール1分子および水0.5分子を有する混合溶媒和物結晶である。
結晶形態M2−4を、室温にてメタノール溶液をゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態M2−4は、ジメタノレートの結晶である。
結晶形態AN−5を、室温にてアセトニトリル溶液をゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態AN−5は、アセトニトリルを含有する。
結晶形態H1−6を、n−BuOAcスラリーから製造した。結晶形態H1−6は、一水和物の結晶である。
結晶形態E−7を、EtOH/THF溶液をゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態E−7は、エタノールを含有する。
結晶形態SE−8を、EtOH/THF溶液をゆっくりと蒸発させて製造した。結晶形態SE−8は、混合溶媒和物結晶である。
これらの結晶形態の単位格子パラメーターを表4に示し、これらの結晶形態の分率原子座標を表5〜14に示す。
実施例4
4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

製造物4A:4−(3−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

トルエン(1.2mL)およびEtOH(0.4mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](53.8mg,0.137mmol)、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−フルオロ−1−メチル(d)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体5](50mg,0.137mmol)およびKCO(56.6mg,0.410mmol)の混合溶液を、約5分間アルゴンでバブリングした(超音波処理しながら1分間)。この混合溶液を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(7.9mg,6.83μmol)で処理して、16.25時間90℃で加熱して、室温へ冷却した。混合溶液を、濃縮して、残留物をMeOH中で超音波処理して、濾過して、5つの注入物にて分取HPLC(PHENOMENEX(登録商標)Axia C18 30 x 100 mm,10〜100%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸を含有する),10分,30mL/分,254nm)により精製した。適切な画分を合わせて、飽和NaHCO水溶液で処理して、懸濁水溶液へと真空濃縮した。沈殿物を、濾取して、水で洗い、真空乾燥させて、4−(3−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(24.3mg,31%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 536(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.40(s, 1H), 8.17(br. s., 1H), 8.04-7.92(m, 2H), 7.84(s, 1H), 7.79-7.67(m, 1H), 7.55-7.42(m, 3H), 7.40-7.29(m, 2H), 7.13-6.97(m, 3H), 4.99(s, 1H), 1.76(s, 3H), 1.53-1.42(2s, 6H).
実施例4:
4−(3−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(86mg)を、下記のとおりにキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:カラム:Lux Cel-4(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:85mL/分にてCO−MeOH(60:40);試料調整:MeOH−MeCN中で1.3mg/mL;注入量:3mL。カラムから溶出するピーク3および4を、一緒に合わせて、濃縮して、4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)(27mg)を白色固体として得た。質量スペクトルおよびNMRは、4つのジアステレオマー混合物のものと同じであった。
実施例5
4−(2−クロロ−3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](50mg,0.127mmol)、3−(3−ブロモ−2−クロロフェニル)−8−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体9](48.6mg,0.127mmol)、EtOH(1mL)、トルエン(1mL)および2M NaCO水溶液(0.21mL,0.418mmol)の混合溶液を、5分間窒素によりバブリングして、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11.7mg,10.2μmol)で処理した。混合溶液を、90℃で16時間加熱して、室温に冷却して、EtOAcと水との層間に分配した。有機相を乾燥させて、濃縮して、残留物を、1%トリエチルアミンを含有するMeOH−DCM(0〜5%のグラジエント)を用いて溶出するシリカゲル(12g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られる物質を、分取HPLC(PHENOMENEX(登録商標)Axia C18 30 x 100 mm)を用いて更に精製して、MeCN−水(0.1%トリフルオロ酢酸を含有する)(20〜100%のグラジエント,10分,30mL/分)で処理した。適切な画分を合わせて、飽和NaHCO水溶液で処理して、濃縮した。残留物を、EtOAcに溶解して、水およびブラインで順に洗い、乾燥させて、濃縮して、4−(2−クロロ−3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(6mg,8%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 571(M+H). 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 0.55(s, 1H), 8.13(t, J=7.5 Hz, 1H), 7.78-7.38(m, 6H), 7.20-7.08(m, 1H), 3.90(s, 1.5H), 3.88(s, 1.5H), 1.65(s, 6H). 19F NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 121.34 ppm.
実施例6
4−(2−クロロ−3−(1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](140mg,0.356mmol)、(Z)−4−((3−ブロモ−2−クロロフェニル)イミノ)−1−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2(4H)−オン[中間体8](100mg,0.274mmol)、KCO(151mg,1.09mmol)、トルエン(3mL)およびEtOH(3mL)の混合溶液を、5分間窒素によりバブリングして、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(32mg,0.027mmol)で処理した。混合溶液を、90℃で加熱して、次いで室温に冷却して、濃縮した。残留物を、水とEtOAcとの層間に分配して、水相をEtOAcで3回抽出した。有機相を合わせて、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、MeOH−DCM(0.5%NHOHを含有する)(0〜10%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(80g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得た。これを、MeCN−水(TFAを含有)で溶出する分取HPLC(30〜100%のグラジエント)により更に精製した。生成物を含む画分を合わせて、飽和NaHCO水溶液で処理して、濃縮した。水性残留物を、EtOAcで3回抽出して、有機相を合わせて、ブラインで洗い、乾燥し、濃縮して、4−(2−クロロ−3−(1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(50mg,32%収率)を、オフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 535, 537(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.40(s, 1H), 8.20-8.16(m, 1H), 8.16(d, J=1.3 Hz, 0.5H), 8.12-8.08(m, 0.5H), 7.98(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.90-7.86(m, 0.5H), 7.85-7.82(m, 1.5H), 7.74-7.70(m, 1H), 7.69-7.63(m, 1H), 7.58-7.53(m, 2H), 7.48(br. s., 1H), 7.41-7.34(m, 1H), 7.13-6.99(m, 3H), 4.99(s, 0.5H), 4.99(s, 0.5H), 3.61(s, 1.5H), 3.59(s, 1.5H), 1.47(m, 6H).
実施例7
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(8−メトキシ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(2mL)および水(0.5mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](42mg,0.107mmol)、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−8−メトキシ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体6](40mg,0.107mmol)、PdCl(dppf)DCM付加物(8.7mg,10.7μmol)およびCsCO(70mg,0.213mmol)の混合溶液を、圧力用反応バイアル内で70℃にて加熱した。2時間後に、別の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(20mg,0.051mmol)を加えて、加熱を6時間以上継続した。混合溶液を、室温に冷却して、濾過して、濾液の有機相を、分離して、濃縮した。残留物を、EtOAcで溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(8−メトキシ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(54mg,85%収率)を得た。質量スペクトル m/z 545(M-H2O+H)+, 585(M+Na). 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 10.55(s, 1H), 7.95(ddd, J=10.2, 6.7, 2.6 Hz, 1H), 7.69(s, 1H), 7.63(dd, J=7.8, 1.0 Hz, 1H), 7.52-7.46(m, 1H), 7.38(dd, J=17.4, 7.7 Hz, 2H), 7.28-7.24(m, 4H), 7.10(dd, J=7.7, 2.0 Hz, 1H), 3.96(d, J=0.9 Hz, 3H), 3.92(d, J=1.8 Hz, 3H), 1.88(s, 3H), 1.66(d, J=1.8 Hz, 6H).
実施例8
4−(3−(6−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(2mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](40mg,0.101mmol)、3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−フルオロ−1−メチルキナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体7](37mg,0.101mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.9mg,5.07μmol)および2M リン酸三カリウム水溶液(0.101mL,0.203mmol)の混合溶液を、110℃で10時間加熱した。混合溶液を、室温に冷却して、有機相を分離して、濃縮した。残留物を、MeOH−水(10mM 酢酸アンモニウムを含有)(5〜95%のグラジエント,20mL/分)で溶出する分取HPLC(Waters XBridge C18, 19 x 150 mm, 5 μm)により精製した。生成物を含有する画分を合わせて、遠心蒸発により乾燥させた。この物質を、MeCN−水(10mM 酢酸アンモニウムを含有)(5〜95%のグラジエント,20mL/分)で溶出する分取HPLCにより更に精製した(Waters XBridge C18, 19 x 250 mm, 5μm)。目的の生成物を含む画分を合わせて、遠心蒸発により乾燥させて、4−(3−(6−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(15mg,27%収率)を得た。質量スペクトル m/z 533(M-H2O+H)+. 1H NMR(500 MHz, DMSO-d6)δ 11.42(1 H, s), 8.19(1 H, br. s.), 8.00(1 H, d, J=7.43 Hz), 7.74-7.90(3 H, m), 7.62(1 H, dd, J=9.41, 4.46 Hz), 7.43-7.53(3 H, m), 7.36(1 H, d, J=5.95 Hz), 6.98-7.11(3 H, m), 3.57-3.64(3 H, m), 1.74(3 H, s), 1.43-1.51(6 H, m).
実施例9
4−(3−(3−(4−フルオロフェニル)−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(5.0mL)および水(1.3mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](100mg,0.254mmol),3−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−1−(4−フルオロフェニル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体21](100mg,0.266mmol)、CsCO(165mg,0.507mmol)およびPdCl(dppf)DCM付加物(20.7mg,0.025mmol)の混合溶液を、45℃で17時間加熱した。加熱を、80℃に2時間、次いで85℃に18時間、加熱時間を延ばした。混合溶液を、冷却して、濃縮して、DMF−MeOHに溶解して、分取HPLCにより精製した。適切な分画物を合わせて、固体NaHCOで処理して、懸濁水溶液へと濃縮した。沈殿物を、濾過により回収して、水で洗い、乾燥させた。濾液を濃縮して、更なる沈殿物を得て、これを濾取し、水で洗い、乾燥させた。2つの沈殿物を合わせて、4−(3−(3−(4−フルオロフェニル)−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(59mg,41%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 545(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.38(d, J=4.8 Hz, 1H), 8.16(br. s., 1H), 7.98(dd, J=7.7, 2.9 Hz, 1H), 7.91(dd, J=7.9, 1.1 Hz, 1H), 7.82(d, J=10.1 Hz, 1H), 7.58(ddd, J=9.1, 4.9, 2.3 Hz, 2H), 7.51-7.40(m, 3H), 7.39-7.28(m, 3H), 7.04(s, 1H), 6.99(t, J=7.4 Hz, 1H), 6.92-6.82(m, 1H), 5.98(dd, J=16.1, 7.9 Hz, 1H), 4.98-4.90(m, 1H), 1.79(d, J=4.0 Hz, 3H), 1.49-1.36(m, 6H).
実施例10
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(7−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

DMF(1.5mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](26.4mg,0.067mmol)、2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−7−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体12](22mg,0.061mmol)および2M NaCO水溶液(0.076mL,0.152mmol)の混合溶液を、アルゴンにて5分間バブリングして、その後PdCl(dppf)DCM付加物(2.5mg,3.05μmol)で処理した。30秒以上アルゴンによるバブリング後に、バイアルを密封して、混合溶液を90℃で4時間攪拌した。混合溶液を冷却して、EtOAcと水との層間に分配して、有機層をブラインで洗い、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(順に85%、95%および100%)で溶出するシリカゲル(24g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(7−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(11.6mg,34%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 531(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 10.53(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.77(d, J=16.5 Hz, 1H), 7.69-7.63(m, 2H), 7.54-7.48(m, 1H), 7.45-7.33(m, 2H), 7.26-7.20(m, 1H), 7.15(dd, J=13.4, 7.9 Hz, 1H), 6.98-6.92(m, 1H), 6.91-6.87(m, 1H), 5.84(d, J=2.2 Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 1.89(s, 3H), 1.55(s, 6H).
実施例11
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(6−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(1.5mL)および水(0.375mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](48mg,0.122mmol)、2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−6−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体11](40mg,0.111mmol)およびCsCO(72mg,0.221mmol)の混合溶液を、アルゴンにて3分間バブリングして、次いでPdCl(dppf)DCM付加物(4.5mg,5.54μmol)で処理した。アルゴンによるバブリングを1分間継続させて、次いで混合溶液を45℃で加熱した。3.5時間の後に、混合溶液を、冷却して、EtOAcで希釈して、順に水およびブラインで洗い、水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲル(24g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、EtOAcで溶出して、純粋でない物質を得た。残留物を、分取HPLCにより更に精製した。適切な画分を、飽和NaHCO水溶液で処理して、合わせて、EtOAcで抽出した。有機相を、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮して、7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(6−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(17.7mg,28%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル 549(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 10.53(d, J=7.3 Hz, 1H), 8.28(dd, J=19.4, 8.1 Hz, 1H), 7.69-7.62(m, 2H), 7.52-7.47(m, 1H), 7.41(dd, J=3.7, 1.3 Hz, 1H), 7.37-7.34(m, 1H), 7.24-7.21(m, 1H), 7.13(dd, J=10.3, 7.7 Hz, 1H), 6.19(ddd, J=8.0, 4.5, 2.6 Hz, 1H), 6.06(d, J=2.4 Hz, 1H), 5.67(d, J=2.0 Hz, 1H), 3.90-3.89(m, 3H), 1.89-1.88(m, 3H), 1.65-1.62(m, 6H).
実施例12
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(5−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

DMF(1.5mL)中の7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体4](88mg,0.222mmol)、2−(3−ブロモ−2−メチルフェニル)−5−メトキシ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体10](73mg,0.202mmol)および2M NaCO水溶液(0.252mL,0.505mmol)の混合溶液を、室温でアルゴンにて5分間バブリングした。PdCl(dppf)DCM付加物(8.2mg,10.1μmol)を加えて、窒素でのバブリングを、更に30秒間継続して、混合溶液を90℃で加熱した。4時間後に、冷却した混合溶液をEtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAcで溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、茶色味を帯びた固体を得た。これを、超音波処理に付しながらMeOHで磨砕して、濾取して、乾燥させて、7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(5−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)を、淡黄褐色の固体(29.7mg,25%収率)を得た。質量スペクトル 549(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.38(s, 1H), 8.15(br. s., 1H), 7.98(d, J=7.9 Hz, 1H), 7.91(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.82(s, 1H), 7.53-7.42(m, 3H), 7.34(d, J=7.3 Hz, 1H), 7.07-6.98(m, 3H), 6.71(d, J=7.5 Hz, 1H), 6.60-6.54(m, 1H), 5.93(s, 1H), 4.97(s, 1H), 3.91(s, 3H), 1.73(s, 3H), 1.48-1.43(m, 6H).
実施例13
4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(1.5mL)および水(0.375mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した](23.1mg,0.067mmol)、5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(25mg,0.061mmol)[中間体13]およびCsCO(39.5mg,0.121mmol)の混合溶液を、アルゴンにて3分間バブリングした。混合溶液を、PdCl(dppf)DCM付加物(2.5mg,3.03μmol)で処理して、1分間バブリングを継続した。混合溶液を、45℃で3.5時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗い、水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮して、MeCN−水(0.1% TFAを含有する)(30〜90%のグラジエント,30mL/分)を用いて溶出する分取HPLCにより精製して(Luna Axia C18 30x100mm, 5 μm)、4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(14mg,39%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル 553(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, クロロホルム-d)δ 10.54(d, J=5.9 Hz, 1H), 8.30(ddt, J=19.6, 7.6, 0.9 Hz, 1H), 7.70-7.62(m, 2H), 7.54-7.49(m, 1H), 7.45-7.41(m, 1H), 7.37-7.33(m, 1H), 7.26-7.20(m, 2H), 7.13(dd, J=12.1, 7.7 Hz, 1H), 6.37(td, J=7.3, 5.1 Hz, 1H), 6.32(d, J=3.1 Hz, 1H), 1.89(s, 3H), 1.65-1.63(m, 6H).
実施例14および15
4−(3−(R)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(14)および
4−(3−(S)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(15)
Figure 0006353530

4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)[実施例13]の試料を、下記に従いキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:第1の通過:カラム:Lux Cellulose-3(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:140mL/分,100バール,35℃にてCO−MeOH(70:30);試料調整:MeOH中で13mg/mL;注入量:4.5mL;第2の通過:カラム:CHIRALCEL(登録商標) AS(2 x 50 cm, 10 μm);移動相:120mL/分,100バール,35℃にてCO−MeOH(55:45)。
カラムから溶出する第1および第3ピークを合わせて、4−(3−(R)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[実施例14]の2つの相互変換するジアステレオマー混合物を得た。質量スペクトル m/z 553(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.39(d, J=3.7 Hz, 1H), 8.34-8.21(m, 1H), 8.16(br. s., 1H), 7.99(dd, J=7.7, 1.5 Hz, 1H), 7.83(s, 1H), 7.60(d, J=7.0 Hz, 1H), 7.53-7.41(m, 3H), 7.35(d, J=7.3 Hz, 1H), 7.09-6.94(m, 3H), 6.57(td, J=7.3, 3.6 Hz, 1H), 6.00(d, J=18.9 Hz, 1H), 4.97(s, 1H), 1.75(m, 3H), 1.46(m, 6H).
カラムから溶出する第2および第4ピークを合わせて、4−(3−(S)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[実施例15]の、2つの別の相互変換するジアステレオマー混合物を得た。質量スペクトル m/z 553(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.39(d, J=4.0 Hz, 1H), 8.36-8.21(m, 1H), 8.16(br. s., 1H), 7.99(dd, J=7.7, 1.8 Hz, 1H), 7.83(s, 1H), 7.60(d, J=7.0 Hz, 1H), 7.54-7.41(m, 3H), 7.35(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.08-6.94(m, 3H), 6.57(td, J=7.3, 3.6 Hz, 1H), 6.00(d, J=18.7 Hz, 1H), 4.97(d, J=0.9 Hz, 1H), 1.75(m, 3H), 1.46(m, 6H).
実施例15の別の合成法
4−(3−(S)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(3.0mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した](0.16g,0.461mmol)、5−クロロ−2−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(単一のエナンチオマー)[中間体15](0.209g,0.507mmol)および3M KPO水溶液(0.384mL,1.15mmol)溶液を、アルゴンにて5分間バブリングした。混合溶液を、1,1'−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド(15mg,23μmol)で処理して、バブリングを30秒継続した。反応容器を密封して、アルゴンによる排気と充填を3サイクル行なった。混合溶液を室温にて終夜攪拌して、次いでEtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗い、水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、1/4のスケールで行なった同一の反応由来のものと合わせて、クロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(S)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)(154mg,48%収率)を黄色の固体として得た。
実施例16
4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(2.5mL)および水(0.625mL)中の4−ブロモ−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,実施例57−51に記述された方法に従って合成した](0.062g,0.160mmol)、5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体13](0.055g,0.133mmol)およびCsCO(0.087g,0.267mmol)の混合溶液を、窒素で2分間バブリングして、次いでPdCl(dppf)DCM付加物(5.4mg,6.66μmol)で処理した。バブリングを30秒間続けて、次いで混合溶液を、60℃で5時間加熱して、終夜室温にて攪拌した。混合溶液をEtOAcで希釈して、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサンを用いて溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(38mg,42%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 594(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.42(d, J=9.0 Hz, 1H), 9.23(s, 1H), 8.29-8.22(m, 1H), 8.15(br. s., 1H), 8.09(dd, J=15.5, 1.7 Hz, 1H), 7.96(dd, J=7.8, 2.1 Hz, 1H), 7.62-7.58(m, 1H), 7.54-7.36(m, 4H), 7.02(s, 3H), 6.57(dt, J=9.3, 7.3 Hz, 1H), 5.99(d, J=6.2 Hz, 1H), 1.73(d, J=3.1 Hz, 3H), 1.24(d, J=1.1 Hz, 9H).
実施例17
4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(1.5mL)および水(0.375mL)中の4−ブロモ−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体25](31.1mg,0.093mmol)、5−クロロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体13](35mg,0.085mmol)およびCsCO(55.3mg,0.170mmol)の混合溶液を、アルゴンにて3分間バブリングした。混合溶液を、PdCl(dppf)DCM付加物(3.5mg,4.24μmol)で処理して、バブリングを1分間継続した。混合溶液を、45℃で5時間加熱して、室温へ冷却した。混合溶液を、EtOAcと水との層間に分配して、有機層を、ブラインで洗い、水層を合わせて、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮して、残留物を、分取HPLCにより精製した。生成物を含む画分を、飽和NaHCO水溶液で処理して、合わせて、EtOAcで抽出した。有機層を、乾燥させて、濃縮して、残留物を、EtOAcで溶出するシリカゲル(24g,その後12g)でのカラムクロマトグラフィーにより2回精製して、4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(9.7mg,20%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 539(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.53-11.51(m, 1H), 8.33-8.28(m, 1H), 8.19(br. s., 1H), 8.05-8.00(m, 1H), 7.67(s, 1H), 7.60(d, J=6.6 Hz, 1H), 7.54-7.42(m, 5H), 7.38(dd, J=7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.07-7.00(m, 2H), 6.85(dd, J=8.3, 1.4 Hz, 1H), 6.61-6.53(m, 2H), 5.97(s, 1H), 4.49(s, 2H), 3.29(s, 3H).
実施例18
4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

ジオキサン(2.0mL)および水(0.5mL)中の4−ブロモ−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体25](0.05g,0.150mmol)、5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体18](0.065g,0.165mmol)およびCsCO(0.098g,0.300mmol)の混合溶液を、アルゴンにて2分間バブリングした。混合溶液を、PdCl(dppf)DCM付加物(6.1mg,7.50μmol)で処理して、30秒以上アルゴンにてバブリングして、次いで6時間50℃で加熱した。冷却混合溶液を、DCM−MeOHで希釈して、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAc−ヘキサン(80〜100%のグラジエント)で溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(0.0481g,57%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 523(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.51(d, J=5.7 Hz, 1H), 8.19(br. s., 1H), 8.16-8.06(m, 2H), 8.02(dd, J=7.8, 1.9 Hz, 1H), 7.67(d, J=3.5 Hz, 1H), 7.55-7.42(m, 5H), 7.38(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.23(t, J=8.7 Hz, 1H), 7.05(d, J=7.7 Hz, 1H), 6.85(ddd, J=8.2, 3.8, 1.4 Hz, 1H), 6.60-6.52(m, 1H), 5.86(d, J=15.0 Hz, 2H), 4.49(s, 2H), 3.29(d, J=1.1 Hz, 3H).
実施例19
4−(3−(4−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(1.5mL)および水(0.375mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した](0.034g,0.097mmol)、4−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体16](0.035g,0.088mmol)およびCsCO(0.058g,0.177mmol)の混合溶液を、アルゴンにて3分間バブリングした。混合溶液を、PdCl(dppf)DCM付加物(3.6mg,4.42μmol)で処理して、1分間以上アルゴンでバブリングして、45℃で加熱した。5時間後に、冷却した混合溶液をEtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、分取HPLCにより精製した。生成物を含む画分を、飽和NaHCO水溶液で処理して、合わせて、EtOAcと飽和NaHCO水溶液との層間に分配した。有機層を、ブラインで洗い、乾燥させて、濃縮して、4−(3−(4−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(0.0109g,22%収率)を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 537(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.39(d, J=2.4 Hz, 1H), 8.27-8.13(m, 2H), 7.99(dd, J=7.8, 2.3 Hz, 2H), 7.83(s, 1H), 7.55-7.43(m, 3H), 7.40-7.26(m, 2H), 7.07-6.94(m, 3H), 6.64-6.55(m, 1H), 4.97(d, J=4.8 Hz, 1H), 1.75(d, J=1.3 Hz, 3H), 1.48-1.43(m, 6H).
実施例20
4−(3−(5,7−ジオキソ−5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−6(7H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(2.0mL)および水(0.5mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した](0.040g,0.115mmol)、6−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−5,7(6H)−ジオン[中間体17](0.04g,0.104mmol)およびCsCO(0.068g,0.208mmol)の混合溶液を、アルゴンにて3分間バブリングして、次いでPdCl(dppf)DCM付加物(4.3mg,5.20μmol)で処理した。バブリングを30秒以上続けて、次いで混合溶液を50℃で5時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcと水との層間に分配して、有機層をブラインで洗った。水層を合わせて、EtOAcで抽出して、有機相を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、EtOAcで溶出するシリカゲル(40g)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(5,7−ジオキソ−5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−6(7H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(0.032g,56%収率)を、赤味を帯びた固体として得た。質量スペクトル m/z 525(M+H)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.38(d, J=4.8 Hz, 1H), 8.16(br. s., 1H), 7.98(dd, J=7.8, 1.2 Hz, 1H), 7.83(d, J=1.8 Hz, 1H), 7.75-7.64(m, 1H), 7.51-7.39(m, 3H), 7.33(dd, J=7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.07-6.92(m, 4H), 6.29(d, J=13.6 Hz, 1H), 4.97(s, 1H), 1.75-1.73(m, 3H), 1.47-1.43(m, 6H).
実施例21
4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

THF(2.0mL)および水(0.5mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した](0.048g,0.139mmol)、5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン[中間体18](0.050g,0.126mmol)およびCsCO(0.082g,0.252mmol)の混合溶液を、窒素で2分間バブリングした。混合溶液を、PdCl(dppf)DCM付加物(5.2mg,6.31μmol)で処理して、バブリングを30秒間続けて、バイアルを密封した。混合溶液を、50℃で5時間加熱した。混合溶液を冷却して、EtOAcで希釈して、水およびブラインで順に洗った。水層を合わせて、DCMで抽出した。有機層を合わせて、乾燥させて、濃縮した。残留物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)(0.0375g,54%収率)を、黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 537(M+H). 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.38(d, J=4.6 Hz, 1H), 8.21-8.03(m, 2H), 7.98(dd, J=7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.86-7.78(m, 1H), 7.54-7.39(m, 3H), 7.35(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.23(t, J=8.9 Hz, 1H), 7.09-6.92(m, 3H), 6.61-6.50(m, 1H), 5.86(d, J=19.4 Hz, 1H), 4.96(d, J=1.8 Hz, 1H), 1.74(d, J=2.6 Hz, 3H), 1.45(d, J=4.6 Hz, 6H).
実施例22および23
4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4つのジアステレオマー混合物)[実施例21]の試料を、下記に従いキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分離した:第1の通過:カラム:CHIRALPAK(登録商標) IA(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:150mL/分,100バール,40℃でCO−MeOH(50:50);試料調整:MeOH−DCM(1:1)中で7mg/mL(DMSOを加えて);注入量:2mL;第2の通過:カラム:CHIRALCEL(登録商標)OD-H(3 x 25 cm, 5 μm);移動相:120mL/分,100バール,35℃でCO−MeOH(50:50);試料調整:MeOH−クロロホルム(3:1)中の3.7mg/mL;注入量:4mL.
カラムから溶出する第1および第2のピークを合わせて、4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[実施例22]の2つの相互変換するジアステレオマー混合物を得た。
質量スペクトル m/z 519(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.42-11.36(m, 1H), 8.20-8.06(m, 2H), 7.99(d, J=7.0 Hz, 1H), 7.83(br. s., 1H), 7.54-7.41(m, 3H), 7.35(d, J=7.3 Hz, 1H), 7.23(t, J=8.7 Hz, 1H), 7.09-6.94(m, 3H), 6.61-6.51(m, 1H), 5.87(d, J=19.6 Hz, 1H), 4.97(s, 1H), 1.75(s, 3H), 1.48-1.42(m, 6H).
カラムから溶出する第3および第4のピークを合わせて、4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[実施例23]の2つの相互変換するジアステレオマーの別の混合物を黄色の固体として得た。質量スペクトル m/z 519(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ 11.41-11.37(m, 1H), 8.21-8.06(m, 2H), 8.02-7.96(m, 1H), 7.83(br. s., 1H), 7.54-7.41(m, 3H), 7.35(d, J=7.3 Hz, 1H), 7.23(t, J=8.6 Hz, 1H), 7.08-6.95(m, 3H), 6.60-6.52(m, 1H), 5.87(d, J=19.6 Hz, 1H), 4.99-4.95(m, 1H), 1.78-1.73(m, 3H), 1.48-1.43(m, 6H).
実施例22の別の合成法:
実施例15の別の合成方法を用いて、4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した]および5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(単一のエナンチオマー)[中間体19]を、黄色の固体として4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)に変換した。
実施例23の別の合成法:
実施例15の別の合成法を用いて、4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[米国特許第8,084,620号,中間体73−2に記述された方法に従って合成した]および5−フルオロ−2−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−1,3(2H)−ジオン(単一のエナンチオマー)[中間体20]を、黄色の固体として4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)に変換した。
実施例24
4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

バイアル内のTHF(1.25mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体22](45mg,0.125mmol)、8−フルオロ−1−メチル−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体3](61mg,0.149mmol)および2.0M KPO水溶液(0.187mL,0.374mmol)の混合溶液を、超音波水浴内で回転させながらアルゴンにて1分間バブリングした。混合溶液を、1,1'−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(5.1mg,6.23μmol)で処理して、バイアルを密封し、45℃で加熱した。15.25時間後に、混合溶液を、室温に冷却して、濃縮した。残留物を、アセトニトリル内で超音波処理して、上清を濾過して、MeCN−水(0.1%TFAを含有する(10〜100%のグラジエント)で溶出する分取HPLC(PHENOMENEX(登録商標) Axia C18)により精製した。生成物を含む画分を、飽和NaHCO水溶液で処理して、濃縮して、懸濁水溶液を得た。沈殿物を、濾過により回収して、水で洗い、乾燥させて、4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つのジアステレオマーの混合物)(49.4mg,67%収率)を白色固体として得た。質量スペクトル m/z 547(M+H-H2O)+1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ 8.05(t, J=8.1 Hz, 1H), 7.91(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.61(ddd, J=14.3, 8.1, 1.4 Hz, 1H), 7.57(s, 1H), 7.54-7.48(m, 1H), 7.47-7.42(m, 1H), 7.37-7.28(m, 2H), 7.02(dd, J=7.9, 1.3 Hz, 2H), 3.85(2d, J = 3.7 Hz, 3H), 1.92(2s, 3H), 1.76(2s, 3H), 1.61(s, 6H).
実施例25
4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
(単一のジアステレオマー)
Figure 0006353530

4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つのジアステレオマーの混合物)[実施例24](42.7mg,0.076mmol)を、下記のとおりにキラル超臨界液体クロマトグラフィーにより分割した:カラム:Regis WHELK-O(登録商標) R,R(3 x 25, 5μm);移動相:85mL/分,100バールにてCO−MeOH(60:40);試料調整:MeCN−MeOH(9:1)中で10.7mg/mL;注入量:0.50mL。このカラムから溶出する第2のピークを濃縮して、単一のジアステレオマー[4−(R)−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミドであると考えられる](13.0mg)をオフホワイトの固体として得た。キラル純度が89%であることが分かった。質量スペクトル m/z 547(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ 8.04(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.90(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.65-7.55(m, 2H), 7.52-7.48(m, 1H), 7.47-7.41(m, 1H), 7.35-7.27(m, 2H), 7.05-6.97(m, 2H), 3.85(d, J=7.9 Hz, 3H), 1.91(s, 3H), 1.75(s, 3H), 1.61(s, 6H).
実施例26
4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

バイアル内のTHF(1mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体23](30mg,0.083mmol)、8−フルオロ−1−メチル−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体3](40.9mg,0.100mmol)および2.0M KPO水溶液(125μL,0.249mmol)の混合溶液を、超音波処理しながらアルゴンにて1分間バブリングした。混合溶液を、1,1'−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(3.4mg,4.15μmol)で処理して、管を密封して、45℃で加熱した。15.25時間後に、混合溶液を、室温に冷却して、濃縮した。残留物を、MeCN中で超音波処理して、上清を濾過して、MeCN−水(0.1% TFAを含有する(10〜100%のグラジエント))で溶出する分取HPLC (PHENOMENEX(登録商標) Axia C18 30 x 100 mm)により精製した。適切な画分を合わせて、飽和NaHCO水溶液で処理して、濃縮して、懸濁水溶液を得る。沈殿物を、濾取して、水で洗い、真空下にて乾燥させて、4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つの相互変換するジアステレオマー混合物)(33mg,70%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 547(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ 8.08(dd, J=17.3, 7.6 Hz, 1H), 7.98(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.62(dd, J=14.1, 8.1 Hz, 1H), 7.56-7.50(m, 1H), 7.46-7.38(m, 2H), 7.38-7.30(m, 1H), 7.23(dd, J=12.5, 8.6 Hz, 1H), 7.11(dd, J=7.8, 1.4 Hz, 1H), 7.05(t, J=8.7 Hz, 1H), 3.88(dd, J=10.5, 7.8 Hz, 3H), 2.85(s, 3H), 1.83(s, 3H), 1.71(d, J=2.0 Hz, 6H).
実施例27
4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つのジアステレオマー混合物)
Figure 0006353530

バイアル内でTHF(1.25mL)中の4−ブロモ−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド[中間体22](45mg,0.125mmol),8−フルオロ−1−メチル(d)−3−(S)−(2−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)キナゾリン−2,4(1H,3H)−ジオン[中間体24](62mg,0.149mmol)および2.0M KPO水溶液(0.187mL,0.374mmol)の混合溶液を、超音波処理しながらアルゴンで1分間バブリングした。混合溶液を、1,1'−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド(5.1mg,6.23μmol)で処理して、管を密封して、45℃で加熱した。16.5時間後に、混合溶液を、室温に冷却して、濃縮した。残留物を、MeCN中で超音波処理に付して、濾過し、MeCN−水(0.1% TFAを含有する)(10〜100%のグラジエント)で溶出する分取HPLC(PHENOMENEX(登録商標) Axia C18 30 x 100 mm)により精製した。生成物を含む画分を合わせて、飽和NaHCO水溶液で処理して、懸濁水溶液へと濃縮した。沈殿物を、濾過により回収して、水で濯ぎ、真空乾燥して、4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(2つのジアステレオマー混合物)(41.0mg,57%収率)をオフホワイトの固体として得た。質量スペクトル m/z 550(M+H-H2O)+. 1H NMR(400 MHz, MeOH-d4)δ 8.05(t, J=8.1 Hz, 1H), 7.91(d, J=7.7 Hz, 1H), 7.61(ddd, J=14.3, 8.1, 1.4 Hz, 1H), 7.57(s, 1H), 7.54-7.48(m, 1H), 7.47-7.42(m, 1H), 7.37-7.28(m, 2H), 7.02(dd, J=7.9, 1.3 Hz, 2H), 1.92(2s, 3H), 1.76(2s, 3H), 1.61(s, 6H).
表2の化合物を、記載の中間体を用いて上記した方法と同様の方法により製造するか、あるいは記載の方法と類似した方法または当業者が利用可能な方法により製造した。
表2
Figure 0006353530

Figure 0006353530
比較例34
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(2−メチル−3−(4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド
Figure 0006353530

比較例34は、米国特許第8,084,620号に実施例76〜15として開示されており、そこに記載の方法に従って製造された。
比較例35
7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−3−メチル−4−(2−メチル−3−(4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−9H−ピリド[3,4−b]インドール−1−カルボキサミド
Figure 0006353530

比較例35は、WO2011/159857に実施例38として開示されており、そこに記載の方法に従って製造された。
生物学的アッセイ
ヒト組み換えBtk酵素アッセイ
V底384ウェルプレートに、試験化合物、ヒト組み換えBtk(1nM、INVITROGEN(登録商標)株式会社)、蛍光標識ペプチド(1.5μM)、ATP(20μM)、およびアッセイ緩衝液[20mM HEPES(pH7.4)、10mM MgCl、0.015% Brij 35界面活性剤および4mM DTT/1.6% DMSO溶液]を加えて、最終体積を30μLとした。室温で60分間インキュベートした後、各サンプルにEDTA(45μl、35mM)を加えて反応を終了させた。反応混合物を、蛍光基質およびリン酸化産物の電気泳動分離によって、Caliper LABCHIP(登録商標)3000(Caliper,Hopkinton,MA)で分析した。阻害データを、100%阻害として酵素を欠く対照反応および0%阻害として阻害剤を欠く対照反応と比較して算出した。用量反応曲線を作成して、キナーゼ活性の50%を阻害するのに必要な濃度(IC50)を算出した。化合物を、DMSO溶液に10mMにて溶解し、11種の濃度で評価した。
ラモスFLIPRアッセイ
RPMI(フェノールレッドを欠く)(インビトロゲン11835−030)および50mMのHEPES(インビトロゲン15630−130)[0.1% BSA(シグマA8577)を含有する]中で2×10細胞/ml密度のラモスRA1B細胞(ATCC CRL−1596)を、1.5容量のカルシウムローディングバッファー(プロベネシド高感度アッセイのためのBDバルクキット、#640177)に加えて、暗所にて室温で1時間インキュベートした。色素染色した(Dye−loaded)細胞を、ペレットとして沈降させ(ベックマンGS−CKR、1200rpm、室温、5分)、室温で、50mM HEPESおよび10%FBSとともに、RPMI(フェノールレッドを欠く)中に再懸濁して、密度を1×10細胞/mlとした。150μl アリコート(150,000/ウェル)を、ポリ−D−リジンでコートされた96ウェルのアッセイプレート(BD354640)に播種し、遠心分離を短時間行なった(ベックマンGS−CKR800rpm、止めることなく5分間)。次いで、0.4% DMSO/RPMI(フェノールレッドを欠く)、HEPES(50mM)、10% FBS中に希釈した化合物希釈物(50μl)をウェルに加えて、プレートを、暗所にて室温で1時間インキュベートした。上記と同様にアッセイプレートを、遠心分離を短時間行なった後に、カルシウムレベルを測定した。
FLIPR1(Molecular Devices)を用いて、ヤギ抗−ヒトIgM(Invitrogen AHI0601)を2.5μg/mLまで加えることにより細胞を刺激した。細胞内カルシウム濃度の変化を180秒間測定し、阻害パーセント率を、刺激単独の存在下で観測される最大カルシウムレベルと比較して決定した。
Jak2チロシンキナーゼアッセイ
Jak2チロシンキナーゼに対して活性を有する化合物は、臨床試験においてヒト患者の血小板減少症、貧血および好中球減少症の病因となることが観察されている(例えば、Pardanani,A.,Leukemia,26:1449-1451(2012)を参照されたい)。Jak2シグナル伝達は、EPOおよびTPOを介しておこり、各々赤血球および血小板増殖を制御している。従って、Jak2チロシンキナーゼを阻害することにより、臨床における副作用へと至る可能性がある。Jak2チロシンキナーゼの阻害に関連があるオフターゲットの副作用を最小とするために、Jak2チロシンキナーゼよりも改善された選択性を有するBtk阻害剤が望まれている。
アッセイを、V底384ウェルプレート中で行った。最終アッセイ体積は30μlであり、これは15μlの酵素および基質(蛍光標識ペプチドおよびATP)ならびに試験化合物/アッセイ緩衝液[100mM HEPES(pH7.4),10mM MgCl,25mM β−グリセロールリン酸塩,0.015% Brij 35界面活性剤および4mM DTT]の添加により調製された。この反応を、Jak2チロシンキナーゼを基質および試験化合物と合わせることにより開始した。反応混合物を、室温で60分間インキュベーションして、35mMのEDTA(45μl)を各試料に加えることにより停止させた。反応混合物を、蛍光基質およびリン酸化生成物を電気泳動的に分離することにより、Caliper LABCHIP(登録商標) 3000で分析した。100%阻害としての酵素不含対照反応と、0%阻害としてのビヒクルのみの反応とを比較することにより阻害データを算出した。アッセイにおける試薬の最終濃度は、ATPが30μM;Jak2蛍光ペプチドが1.5μM;Jak2が1nM;およびDMSOが1.6%であった。用量応答曲線を作成し、キナーゼ活性を50%阻害するのに必要な濃度(IC50)を決定した。化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mMにて溶かし、11種類の濃度でそれぞれ2回評価した。IC50値を非線形回帰分析により導き出した。
B細胞上でのBCR刺激性のCD69発現の全血アッセイ
全血アッセイにおける、ヒトB細胞上のCD69発現を抑制するBtk阻害化合物の効力は、臨床において有効用量を予測するため、かつ副作用の可能性を最小とするために有用である。全血CD69発現アッセイにおいて活性が高いBtk阻害化合物は、活性が低い化合物よりも、必要な用量は少なく、望ましくない副作用を起こしにくいと考えられる(Uetrecht,Chem. Res. Toxicol.,12:387-395(1999);Nakayama,Drug Metabolism and Disposition,37(9):1970-1977(2009);Sakatis,Chem. Res. Toxicol.(2012))。
BCRにより刺激されたB細胞を測定するために、ACD−Aのヒト全血を、種々の濃度の試験化合物で処理して、37℃で18時間攪拌しながらAffiniPure F(ab')フラグメントのヤギ抗ヒトIgM(Jackson 109-006-1299−内毒素不含)(30μg/mL)およびヒトIL−4(PeproTech 200-04)(10ng/mL)で刺激した。この細胞を、ヒトγグロブリン(Jackson 009-000-002)にてブロッキングして、FITC−コンジュゲートマウス抗ヒトCD20(BD Pharmingen 555622)およびPE−コンジュゲートマウス抗ヒトCD69 モノクローナル抗体(BD Pharmingen 555531)を用いて染色して、分解し、固定して洗った。FACS分析により測定したように、CD20−ポジティブB細胞集団のゲーティング後に、CD69発現の量を平均蛍光強度(MFI)により定量した。
B細胞上でのBCR刺激性のCD69発現の全血アッセイにおいて、Btk阻害化合物の高い効力は、低いCD69 IC50値により表される。
Figure 0006353530
実施例1〜33により例示されたような本発明の化合物は、米国特許第8,084,620号およびWO2011/159857各々に開示された比較例34および35と比較して、有利であることを見出した。本発明の化合物は、Jak2阻害活性よりも高いBtk阻害活性およびBtk阻害活性の改善されたキナーゼ選択性を併せ持つ驚くべき利点を有している。表3に示したように、報告した試験において、実施例1〜33は、Jak2/Btk IC50値の比により特徴づけられるとおり、Jak2阻害活性を超えるBtk阻害活性およびBtk阻害活性の改善されたキナーゼ選択性を併せ持つ驚くべき利点を示す。Jak2キナーゼよりもBtkキナーゼに対する高い選択性は、Jak2/Btk IC50値の比としてより大きな値によって示される。実施例1〜33は、6nM未満のBtk IC50値を有し、かつ150以上のJak2/Btk IC50値の比を有する。これに対し、比較例34および35は、2.6〜6.9nMのBtk IC50値を有し、また各々92および29というJak2/Btk IC50値の比を有した。
さらに、実施例1〜33に例示されるような、本発明の化合物は、比較例34と比べて、全血BCRにより刺激されるCD69発現アッセイにおける効力も改善した。表3に示したとおり、報告した試験において、実施例1〜33は、Btk阻害活性の効力、Jak2阻害活性よりも高いBtk阻害活性の改善されたキナーゼ選択性および全血BCRにより刺激されたCD69発現アッセイにおいて改善された効力を併せ持つ驚くべき利点を示す。実施例1〜33は、6nM未満のBtk IC50値、150以上のJak2/Btk IC50値の比ならびに250nM以下のCD69 IC50値を有した。これに対して、比較例34は、2.6nMのBtk IC50値、92のJak2/Btk IC50値の比ならびに650nMのCD69 IC50値を有した。
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Claims (10)

  1. 式(I):
    Figure 0006353530

    [式中、Qは、
    Figure 0006353530
    であり;
    は、−C(CH)OH、−NHC(=O)C(CH)、−N(CH)または−CHであり;
    は、Clまたは−CHであり;
    は、H、Fまたは−CHであり;
    は、H−CH または−CD であり;
    は、H、F、Clまたは−OCHであり;
    は、HまたはFであり;および
    は、−OH、−OCH、−NHC(=O)CHまたは
    Figure 0006353530
    である]
    の化合物またはその塩。
  2. Qが、
    Figure 0006353530

    である、請求項1記載の化合物またはその塩。
  3. が−CH または−CD であり;
    がF、Clまたは−OCHであり;および
    がFである、
    請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  4. が−CHである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  5. Qが、
    Figure 0006353530
    であり;および
    がC(CH)OHである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
  6. Qが、
    Figure 0006353530
    であり;
    が−CHであり;および
    がHである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物またはその塩。
  7. 4−(3−(8−フルオロ−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(1および2);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(3);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(4);4−(2−クロロ−3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(5);4−(2−クロロ−3−(1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)フェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(6);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(8−メトキシ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(7);4−(3−(6−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(8);4−(3−(3−(4−フルオロフェニル)−2,6−ジオキソ−2,3−ジヒドロピリミジン−1(6H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(9);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(7−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(10);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(6−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(11);7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−4−(3−(5−メトキシ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(12);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(13);4−(3−(R)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(14);4−(3−(S)−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(15);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−ピバルアミド−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(16);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(17);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(18);4−(3−(4−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(19);4−(3−(5,7−ジオキソ−5H−チアゾール[3,2−c]ピリミジン−6(7H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(20);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(21);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(22および23);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(24);4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(25);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−8−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(26);4−(3−(S)−(8−フルオロ−1−メチル(d)−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−5−メチル−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(27);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(28);7−(ジメチルアミノ)−4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(29);7−(アセトアミドメチル)−4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(30);4−(3−(5−クロロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(ピロリジン−1−イルメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(31);4−(3−(5−フルオロ−1,3−ジオキソ−1H−ピリド[1,2−c]ピリミジン−2(3H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(メトキシメチル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(32);8−フルオロ−4−(3−(8−フルオロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2−ジヒドロキナゾリン−3(4H)−イル)−2−メチルフェニル)−7−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−9H−カルバゾール−1−カルボキサミド(33);およびその塩、
    から選択される、請求項1記載の化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩、および医薬的に許容され得る担体を含む、医薬組成物。
  9. 自己免疫疾患または慢性の炎症性疾患を治療するための、請求項8記載の医薬組成物。
  10. 自己免疫疾患または慢性の炎症性疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用。
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