JP6353212B2 - 外壁パネルの貫通部用構造 - Google Patents

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Description

この発明は、耐火性能を満たす貫通部を外壁パネルに形成する外壁パネルの貫通部用構造に関する。
従来は、図5に示すように、外壁パネル101の貫通部を形成する箇所に、筒支持枠102を設け、この筒支持枠102によって貫通部となる筒部材103を支持していた。上記筒支持枠102は、小さく切断された複数の溝型鋼を四角形に組んだものであり、上記外壁パネル101の上側の横枠材101aに吊り下げられて固定される。
また、特許文献1には、建築物の防火区画を画成する、中間に空洞部を有する仕切り壁に形成された貫通孔を配管が貫通する防火区画貫通部構造において、前記貫通孔には、外周に熱膨張性材料からなるテープ状膨張体が巻き付けられた配管が貫通され、前記テープ状膨張体の外面には金属箔または金属箔を基材とする積層体が積層され、前記空洞部には前記金属箔または金属箔を基材とする積層体をのぞいて前記テープ状膨張体の外側方向への膨張を阻止する部材はなく、前記金属箔または金属箔を基材とする積層体は、火災時の熱による前記配管の焼失又は変形により生じた空隙を閉塞するように前記テープ状膨張体を膨張せしめることを特徴とする防火区画貫通部構造が開示されている。
特許3817532号
しかしながら、上記従来の構造では、上記筒部材103の肉厚および上記筒支持枠102を構成する溝型鋼の肉厚により、風道に必要とされる耐火性能は十分に満たされるものの、細切れの溝型鋼を組み立てるのに時間を要するので作業効率が低いという問題があった。さらに、各住宅に合せて上記筒部材103の位置を変えようとすると、上記筒支持枠102がブレース101bと干渉するという欠点もあった。また、上記特許公報1に開示された技術では、上記筒支持枠102を用いないので上記のような問題は生じないが、筒部材の構造が複雑になる欠点がある。
この発明は、上記の事情に鑑み、筒部材の構造が簡単であり、その支持構造も簡潔で組立が容易な外壁パネルの貫通部用構造を提供することを課題とする。
この発明の外壁パネルの貫通部用構造は、上記の課題を解決するために、外壁パネルの貫通部を形成する箇所に、筒本体部と鍔部とを有し上記筒本体部が風道としての耐火性能を満たす肉厚の鋼材から成る筒部材が、上記外壁パネルの外壁板と外壁下地板との間に上記鍔部を挟ませて設けられていることを特徴とする。
上記の構成であれば、上記筒本体部は、風道としての耐火性能を満たす肉厚の鋼材から成るので不燃材の被覆等が不要で構造が簡単である。また、上記筒部材は、上記鍔部を上記外壁パネルの外壁板と外壁下地板との間に挟ませて設けられるので、その支持構造も簡潔で組立が容易である。また、溝型鋼からなる筒支持枠は用いないので、これとブレースとの干渉等の問題も生じない。
上記鍔部に設備取り付け用の螺子が螺合されてもよい。これによれば、上記螺子が上記鍔部に螺合されるので、上記螺子が上記外壁板或いは外壁下地板に螺合される場合に比べて、上記螺子の抜け難さが向上し、ファンやフードなどの設備を外壁パネルの外側にしっかりと取り付けることができる。
上記外壁下地板には分割部が形成されており、上記分割部は、上記筒部材の筒本体部が挿通する開口を有していてもよい。これによれば、上記分割部以外は共通の構成とし、個別の住宅仕様に合った位置に開口を有する分割部を作製しておいて、これを上記外壁パネルに取り付ければよいことになる。これは、1枚の大きな外壁下地板に対して個別の住宅仕様に合った位置に開口を形成するよりも、外壁パネルの組み立て効率が良くなる。
さらに、上記外壁パネルの内側面の下地板にも、上記筒部材の筒本体部の配置位置に対応した位置に開口を有した分割部が形成されており、この内側面の下地板の分割部と上記外壁下地板の分割部とがユニットになるようにしてもよい。これによれば、外壁パネルの組み立て効率が一層良くなる。また、ユニットになると、工場での組み立ては容易になることはもちろん、施工現場では下地加工を無くした下地組み付けとすることが可能であり、現場での作業負担を減らすことができる。
本発明であれば、筒部材の構造が簡単であり、その支持構造も簡潔で組立が容易である等の諸効果を奏する。
この発明の実施形態の外壁パネルのフレーム構造および貫通部用構造の形成位置を室外視と室内視とにより示した説明図である。 図1の貫通部用構造の形成位置を含む外壁パネルの概略の横断面図である。 図1の貫通部用構造における筒部材を示した平面図および背面図である。 筒部材の他の例を示した平面図および正面図である。 従来の貫通部用構造を室外視と室内視とにより示した説明図である。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、この実施形態の外壁パネル1のフレーム11は、左右の縦フレーム11aと上下の横フレーム11bと縦中桟11cと横中桟11dとを備える。また、このフレーム11には、ブレース12が設けられている。
上記外壁パネル1のフレーム11の外面側には、不燃または準不燃性のグラスウールボード21が貼り付けられており、このグラスウールボード21には不燃または準不燃性の珪酸カルシウムボード22が貼り付けられている。そして、上記珪酸カルシウムボード22に外装ボード(外壁板)23が貼り付けられている。上記グラスウールボード21および上記珪酸カルシウムボード22には鋼製の筒部材3の筒本体部(鋼製スリーブ管)31が挿入できる大きさの貫通穴が形成されている。また、上記外装ボード23には、上記筒本体部31の直径よりも大きくて上記筒部材3の鍔部32の直径よりも小さい開口23aが形成されている。上記筒部材3は、上記筒本体部31を上記貫通穴に通すとともに上記鍔部32を上記外壁パネル1における上記外装ボード23と上記珪酸カルシウムボード(外壁下地板)22との間に挟ませて設けられる。上記鍔部32は接着剤によって上記珪酸カルシウムボード22に固定されてもよい。
上記外壁パネル1のフレーム11の内面側には、当該フレーム11の縦フレーム11aおよび縦中桟11cに沿って断面矩形状の不燃または準不燃性の硬質木片セメント角材24が取り付けられている。そして、上記硬質木片セメント角材24上に不燃または準不燃性の硬質木片セメントボード25が設けられ、この硬質木片セメントボード25上に不燃または準不燃性の石こうボード26が貼り付けられている。上記硬質木片セメントボード25には、上記筒本体部31の配置に対応した位置に、当該筒本体部31と略同径の開口25aが形成されている。
上記筒部材3は、図3にも示すように、上記鍔部32が上記筒本体部31の外側の端面から例えば11mm程度離れた位置に溶接等により固定された構造を有する。上記筒本体部31は、例えば1.6mmの肉厚(鋼板厚)を有しており、これ単体で防火区画を貫通する風道に要求される耐火性能を満たす。なお、この耐火性能を満たすためには、鋼板厚が1.5mm以上であることが必要とされる。また、上記鍔部32の肉厚(鋼板厚)は例えば0.5mm程度であり、上記筒本体部31の肉厚よりも薄くされている。上記鍔部32にはファンやフードなどの設備(図2の二点鎖線参照)の取り付け用の螺子4を下穴無しで螺合することができる。
また、上記筒本体部31の直径(内径)は例えば100mm程度であり、長さは95mm程度である。そして、上記鍔部32の直径は例えば150mm程度である。この実施形態では、上記鍔部32の幅は25mm程度となるが、このような寸法に限られるものではなく、当該鍔部32を面材で挟むことで上記筒部材3の良好な支持が行える幅寸法であればよい。もちろん、上記螺子4が螺着されることを考慮し、上記良好な支持が行える幅寸法を越える寸法とするようにしてもよい。
また、上記筒本体部31の内側端にはテーパー部が形成されており、室内側から装着されるスリーブ(塩化ビニールパイプ等)を上記筒本体部31内に入れやすくなっている。このような配管工事を行うときには、作業者が上記石こうボード26に設計図面にしたがって貫通穴を開けることになる。なお、上記筒本体部31が上記石こうボード26に至り、当初から上記石こうボード26に開口が存在する構成とすることもできる。
また、この実施形態では、上記グラスウールボード21および上記珪酸カルシウムボード22は、分割部21A、22Aを有しており、上記分割部21A、22Aは、上記筒部材3の筒本体部31が挿通する開口を有し、上記外壁パネル1の縦中桟11cから縦フレーム11aに横に掛け渡されている。
さらに、上記外壁パネル1の内側面の下地板である硬質木片セメントボード25にも、上記筒部材3の筒本体部31の配置位置に対応した位置に開口25aを有した分割部25Aが形成されており、この分割部25Aと上記外壁下地板である分割部21A、22Aとがユニットになる。
上記の構成であれば、上記筒部材3は、風道としての耐火性能を満たす肉厚の鋼材から成るので不燃材の被覆等が不要で構造が簡単である。また、上記筒部材3は上記鍔部32を上記外壁パネル1の外壁板(外装ボード23)と外壁下地板(珪酸カルシウムボード22)との間に挟ませて設けられるので、その支持構造も簡潔で組立が容易である。また、溝型鋼からなる筒支持枠は用いないので、これとブレース12との干渉等の問題も生じない。
上記鍔部32に設備取り付け用の螺子4が螺合できると、上記螺子4が上記外壁板或いは外壁下地板に螺合される場合に比べて、上記螺子4の抜け難さが向上し、ファンやフードなどの設備を外壁パネル1の外側にしっかりと取り付けることができる。なお、上記螺子4は上記外壁板(外装ボード23)の上から上記鍔部32に螺合させることができる。
また、この実施形態では、上記外壁下地板(グラスウールボード21および珪酸カルシウムボード22)は分割部21A、22Aを有しており、上記分割部21A、22Aは、上記筒部材3の筒本体部31が挿通する開口を有し、上記外壁パネル1の縦中桟11cから縦フレーム11aに横に掛け渡されていているので、上記分割部以外は共通の構成とし、個別の住宅仕様に合った位置に開口を有する分割部21A、22Aを作製しておいて、これを上記外壁パネル1の縦中桟11cから縦フレーム11aに横に掛け渡せばよくなる。これは、1枚の大きな外壁下地板に対して個別の住宅仕様に合った位置に開口を形成するよりも、組み立ての効率が良い。
さらに、上記外壁パネル1の内側面の下地板(硬質木片セメントボード25)にも、上記筒部材3の筒本体部31の配置位置に対応した位置に開口25aを有した分割部25Aが形成されており、この内側面の下地板の分割部25Aと上記外壁下地板の分割部21A、22Aとがユニットになると、外壁パネル1の組み立て効率が一層良くなる。また、このようにユニットになると、工場での組み立ては容易になることはもちろん、施工現場では下地加工を無くした下地組み付けとすることが可能であり、現場での作業負担を減らすことができる。
図4は蓋部33を有する筒部材3を示している。上記蓋部33は筒本体部31の外側端に形成された内鍔部31bの螺子留め箇所31cに螺子34によって装着される。この蓋部33を有する筒部材3は、例えば、取り付けが任意のエアコンディショナーなどの室外配管において蓋部33を外して用いられる。なお、図4に示した蓋なしの筒部材3は、常に風道として用いられる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1 外壁パネル
11 フレーム
11a 縦フレーム
11b 横フレーム
11c 縦中桟
11d 横中桟
12 ブレース
21 グラスウールボード(外壁下地板)
22 珪酸カルシウムボード(外壁下地板)
25 硬質木片セメントボード(内側面の下地板)
3 筒部材
31 筒本体部
32 鍔部
4 螺子

Claims (3)

  1. 外壁パネルの貫通部を形成する箇所に、筒本体部と鍔部とを有し上記筒本体部が不燃材無しで風道としての耐火性能を満たす1.5mm以上の肉厚の鋼材から成る筒部材が、上記外壁パネルの外壁板と外壁下地板との間に上記鍔部を挟ませて設けられており、上記鍔部は上記筒本体部よりも薄肉とされ、上記鍔部に設備取り付け用の螺子が螺合されることを特徴とする外壁パネルの貫通部用構造。
  2. 請求項1に記載の外壁パネルの貫通部用構造において、上記外壁下地板には分割部が形成されており、上記分割部は、上記筒部材の筒本体部が挿通する開口を有することを特徴とする外壁パネルの貫通部用構造。
  3. 請求項2に記載の外壁パネルの貫通部用構造において、上記外壁パネルの内側面の下地板にも、上記筒部材の筒本体部の配置位置に対応した位置に開口を有した分割部が形成されており、この内側面の下地板の分割部と上記外壁下地板の分割部とがユニットになることを特徴とする外壁パネルの貫通部用構造。
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