JP6353194B2 - 身体情報測定装置 - Google Patents

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本発明は、呼吸や心拍を測定することでより多くの情報を取得し、健康状態の急変や無呼吸症候群の状態を含めて身体の情報をより深く検出することのできる身体情報測定装置に関する。
人間や動物等の被検体の心拍数や呼吸数等の身体情報を測定する身体情報測定装置が従来から知られている。このような身体情報測定装置に関する技術として、例えば、ベッドに内蔵されたマイクロ波送受信センサから、ベッドに横たわる被験者の胸部に向けて電磁波としてのマイクロ波を照射し、反射電磁波、すなわち、被験者から反射したマイクロ波を受信し、これに基づいて、被験者の心拍数や呼吸数等の身体状態を検出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
ドップラー式のマイクロ波レーダーによる計測では、受信信号として、In-phaseチャネル(Iチャネル)及びQuadrature-phaseチャネル(Qチャネル)の2つの直交する信号成分を得るI/Q検波方式が一般に用いられる。この方式では、受信波とローカル波をそれぞれ2分配することにより、受信波とローカル波の組み合わせを2組用意し、それぞれの組み合わせについて、ミキサを用いて混合することにより、2チャネルのベースバンド出力信号を得る。
この際、脈波により振動している体表面部位がレーダーの方向と直交し、かつその距離が短く、かつ所謂ヌルポイント(Null Detection Point)から外れている場合に、そのレーダーの出力信号にターゲットとする心拍信号や呼吸信号が最も良好に含まれている。そこで、心拍数や呼吸数を算出する際には、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)周波数解析を行い、抽出精度を向上させるためにIチャネル信号とQチャネル信号とを合成したり、又は、ヌルポイントから離れているチャネル信号を抽出したりして、各信号の規則性(一定周波数)を検出し、複数の入力信号が混在する中から心拍数や呼吸数に相当するターゲット信号の周波数を検出している。
また、特許文献2には、非接触で心拍・呼吸を計測して診断に役立てるべく、被検体の所定の部位に呼吸計測用マイクロ波を照射し、被検体からの反射波を受信する呼吸計測用送受信手段と、呼吸計測用マイクロ波の照射部位と異なる部位に、呼吸計測用マイクロ波より高い周波数の心拍計測用マイクロ波を照射し、被検体からの反射波を受信する心拍計測用送受信手段と、受信した各反射波を位相検波する検波手段と、位相検波で得られた呼吸信号成分と心拍信号成分とを異なる周波数帯域でフィルタリングするためのバンドパスフィルタとを備え、バンドパスフィルタの出力からパワーが最大となる周波数を求めて呼吸数、心拍数を計測する装置が提案されている。
一方、睡眠時無呼吸SASの非接触計測については、これまでにエアマットやファイバグレーティング視覚センサを用いた報告がある(被特許文献1及び2参照)。
日本の睡眠時無呼吸症候群(以降は略して、SASと呼ぶ: Sleep Apnea Syndrome)の患者数は数パーセントといわれ、生活習慣の変化により今後も患者の増加が予想されている。SASは集中力低下のために運転や仕事中の事故の確率が高くなるだけでなく、心臓病や糖尿病などの発症および悪化の要因となる。そのため早期に発見して治療することが望まれる。しかし、SAS診断のためには多くの接触型センサを身体に装着して終夜測定する睡眠ポリソムノグラフィ検査(PSG: Polysomnography)が必要であり、被験者の普段の睡眠状態を拘束性のより少ない方法で計測したいという要望があった。SASを大きく分類すると中枢性睡眠時無呼吸症候群、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、そして両者の特徴をもつ混合性睡眠時無呼吸症候群の3タイプが存在し、各タイプの識別診断が重要である。8割以上の患者は閉塞性である。
特開2000−102515号公報
特開2008−99849号公報
エアマットセンサを用いた睡眠時無呼吸症候群スクリーニング手法の検討,宮下 明,鈴木俊介,吉田浩之,本田光弘,大原昌幸,日本睡眠学会定期学術集会,1C-73,2004.
非接触呼吸運動モニタ装置を用いた睡眠時無呼吸症候群診断,竹村安弘,仲村秀俊,中島真人,電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム J90-D(2), 567-577, 2007-02-01
しかしながら、上記従来の身体情報測定装置では、無呼吸および低呼吸の身体情報が精度高く測定できないという問題があった。とくに、閉塞性睡眠時無呼吸時における呼吸奇異運動や心拍数上昇現象を捕らえる検出は不可能であるなど、身体状態を正確に検出することができなかった。
したがって、本発明の目的は、睡眠中の呼吸や心拍を非接触で測定することでより多くの情報を取得し、睡眠時無呼吸症候群の状態を含めて身体の情報をより深く検出することのできる身体情報測定装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、従来の測定方法や装置は単に寝具の振動を計測したものである点に問題があり、正確な情報を得るためには呼吸運動による体の動きを直接測定しなければ、無呼吸および低呼吸の計測精度には限界があることを知見し、さらに検討して、胸部および腹部のレーダー出力振幅が換気量の変化に対応して増減する現象を正確にとらえると共に、胸部と腹部とで呼吸に伴う動作に時間差が生じる現象を利用すれば呼吸の状態をより正確に判断するための情報が得られると考え、この動作における時間差を検知するためには胸部と腹部とに同じ周波数帯のマイクロ波を照射すればよいことを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.長形の基体と、
上記基体の異なる位置に配置され、検出対象に向けて同じ周波数帯の電波をそれぞれ照射する複数の電波照射部と、
上記電波照射部から照射された電波が上記検出対象で反射されて生成される、周期性を有する検出対象生体信号を含んでなる身体情報含有電波を受信する電波受信部と、
上記電波受信部で受信した電波を解析する電波解析部とを具備し、
検出対象の呼吸及び心拍に関する身体情報を取得する身体情報測定装置であって、
上記電波照射部が
上記基体の長手方向中央領域に位置し、検出対象の腹部に電波を照射する腹部電波照射部と、
上記腹部電波照射部とは上記基体の長手方向に離隔して設置され、検出対象の胸部に電波を照射する胸部電波照射部とを具備する
ことを特徴とする身体情報測定装置。
2.上記電波解析部は、
上記腹部反射電波と上記胸部反射電波とを、所定条件で通常呼吸時の出力信号を判定し、判定された通常呼吸時の出力信号振幅をベースラインとして記録し、該ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態及び低呼吸状態が疑われる無呼吸イベント又は低呼吸イベントを判定する1記載の身体情報測定装置。
3.上記電波解析部は、
上記腹部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の腹部で反射されてなる腹部反射電波の位相と、
上記胸部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の胸部で反射されてなる胸部反射電波の位相と
から閉塞性無呼吸を判定することを特徴とする1又は2記載の身体情報測定装置。
4.上記電波解析部は、
上記ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態又は低呼吸状態であると判断される低呼吸イベント又は無呼吸イベントの終了後所定時間経過後に心拍数が上昇するか否かを取得して心拍数データを認識し、心拍数の所定範囲以上の上昇がある場合には無呼吸状態又は低呼吸状態であると判断することを特徴とする2記載の身体情報測定装置
5.さらに、
上記電波発信部及び上記電波受信部を制御する制御部を有し、
上記制御部は、
上記腹部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の腹部で反射されてなる腹部反射電波から第一入力信号を検出し、
上記胸部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の胸部で反射されてなる胸部反射電波から第二入力信号を検出し、
上記第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成し、
上記第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成し、
上記電波解析部は、
上記第一Iチャネル信号、上記第一Qチャネル信号、上記第二Iチャネル信号及び上記第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出し、
上記第一Iチャネル信号、上記第一Qチャネル信号、上記第二Iチャネル信号及び上記第二Qチャネル信号から、上記検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各上記スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択し、
選択された信号から呼吸及び心拍についての身体情報を抽出するように機能する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の身体情報測定装置。
6.上記電波解析部は
呼吸数および心拍数を個人ごとに前もって測定し設定した平常時の値からの変化量をもとに容態変化を検出することを特徴とする1〜5のいずれかに記載の身体情報測定装置。
本発明の身体情報測定装置は、呼吸や心拍を測定することでより多くの情報を取得し、無呼吸症候群の状態を含めて身体の情報をより深く検出することができる。そして、呼吸数および心拍数の異常状態から容体急変時の警報装置としての機能を提供することもできる。
図1は、本発明の身体情報測定装置の1実施形態を示す斜視図である。 図2は、図1に示すマイクロ波送受信装置の内部構造を摸式的に示す模式図である。 本発明の実施形態に係る身体情報測定装置による測定方法を示すフロー図である。 本発明の実施形態に係る身体情報測定装置による振幅変化・位相差検出ステップを詳細に示すフロー図である。 図5は、本発明の実施形態に係る身体情報測定装置を用いて検出したスペクトルの(a)突出したピーク数が1つのスペクトル密度、(b)突出したピーク数が2つのスペクトル密度、(c)突出したピーク数が3つのスペクトル密度、(d)突出したピーク数が4以上のスペクトル密度を示すグラフである。示す機能ブロック図である。 無呼吸低呼吸の判定および呼吸数心拍数の急変時にアラームを鳴らす見守りシステムである実施形態における表示画面の表示例を示す図面代用写真である。 (a)心拍数のHolter心電計による心拍数の測定結果、(b)本発明に係る身体情報測定装置による心拍数の測定結果、(c)同一時刻における体動発生状況をそれぞれ示すグラフである。 低呼吸および無呼吸を判定する際に重要な胸部および腹部信号の位相差の測定データを示すグラフである。 呼吸努力の有無から中枢性SASと閉塞性SASを判定する際に重要な振幅の測定データを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態の身体情報測定装置1は、
長形の基体10と、
基体10の異なる位置に配置され、検出対象である人90に向けて同じ周波数帯の電波をそれぞれ照射する電波照射部21(図2参照)、及び電波照射部から照射された電波が人90で反射されて生成される、周期性を有する検出対象生体信号を含んでなる身体情報含有電波を受信する電波受信部26(図2参照)を具備するマイクロ波送受信装置20,30と、
電波受信部で受信した電波を解析する電波解析部40とを具備し、検出対象の呼吸及び心拍に関する身体情報を取得する装置である。
基体10は、本実施形態においてはベッド形態となされており、検出対象である人が寝ることができる長方形状で且つ平板状の寝台11と、寝台11の下面の4隅から下方に向けて設置された四本の棒状の脚部12とからなる。
電波照射部と電波受信部とはマイクロ波送受信装置20,30に配されて、マイクロ波送受信装置20,30は、それぞれ寝台11に埋設されて、検出対象である人90が寝たときに、違和感のないように寝台面はフラットになっている。
また、電波解析部40は寝台の下方に設置されており、マイクロ波送受信装置20,30と配線(図示せず)を介して信号を可逆的に伝送可能に(以下配線についてはすべてこの説明が妥当する)連結されている。
そして、本実施形態の身体情報取得装置1は、電波照射部が、基体10の長手方向中央領域15に位置し、人の腹部に電波を照射する腹部電波照射部(マイクロ波送受信装置20内に設置されている)と、腹部電波照射部とは基体の長手方向に離隔して設置され、人90の胸部に電波を照射する胸部電波照射部(マイクロ波送受信装置20内に設置されている)とからなる。具体的には、このように構成されるように、電波照射部と電波受信部とを有するマイクロ波送受信装置が、それぞれ基体10の長手方向中央領域15に位置し、人の腹部に電波を照射する腹部用のマイクロ波送受信装置20と、腹部用のマイクロ波送受信装置20とは基体10の長手方向に離隔して設置され、人90の胸部に電波を照射する胸部用のマイクロ波送受信装置30とからなる。これにより、電波受信部も電波照射部と同様に、基体10の長手方向中央領域15に位置し、人の腹部に照射された電波を受信する腹部電波受信部と、腹部電波受信部とは基体の長手方向に離隔して設置され、人の胸部に照射された電波を受信する胸部電波照射部とからなる。
腹部用のマイクロ波送受信装置20(腹部電波照射部及び腹部電波受信部)は、図1に示すように、寝台11のほぼ中央部に配置されており、胸部用のマイクロ波送受信装置30は、腹部用のマイクロ波送受信装置20よりも寝台11の長手方向において10〜30cm離隔された位置に配されている。また、胸部用のマイクロ波送受信装置30(胸部電波照射部及び胸部電波受信部)は寝台11に人が寝た際に胸郭の動きが最大となるポイントに送受信装置が位置するように幅方向中心線(背骨の位置)から左側または右側に位置するように配置されている。
腹部用のマイクロ波送受信装置20(腹部電波照射部及び腹部電波受信部)は、人が寝た際に人の臍の裏側に位置するように配置されるのが好ましく、胸部用のマイクロ波送受信装置30(胸部電波照射部及び胸部電波受信部)は基体10の長手方向位置として人が寝た際に人のミゾオチの裏側に位置するように配置されているのが好ましい。
マイクロ波送受信装置の内部構造について図2を参照して説明する。なお、ここでは腹部用のマイクロ波送受信装置20を例にとって説明するが、胸部用のマイクロ波送受信装置30も同様に構成されている。
図2に示すように、マイクロ波送受信装置20は、
上下2つの蓋体2a、2bからなるハウジング2と
蓋体2aに固定された電波照射部21及び電波受信部26とからなり、
電波照射部21と電波受信部26とはそれぞれ電波の送受信を制御する制御部25に配線(図示せず)を介して連結されており、電波受信部26はさらに電波解析部40に配線(図示せず)を介して連結されている。
特に図示しないが、マイクロ波発信機とマイクロ波受信機とについて簡単に説明すると、マイクロ波発信機は、マイクロ波を発生させる発信機と、発生したマイクロ波を送信する送信機と、送信機から送信されたマイクロ波を外部に向けて発信するアンテナとからなり、マイクロ波受信機は、マイクロ波を受信するアンテナと、アンテナで受信したマイクロ波を電波処理のための各種装置に移送する受信機とからなる。
かかるマイクロ波発信機とマイクロ波受信機とには、インパルス方式のものやドップラー方式のものがあり、本発明においては両者ともに用いることができるが、ドップラー方式のものが好ましく用いられる。
また、マイクロ波発信機とマイクロ波受信機とはそれぞれ誘電率を測定できるような構成となっているのが好ましい、これにより、人が寝台から起き上がり離れている場合に離床センサとして機能し、寝台上における人の存在の有無を検知することができる。
また、誘電率の測定については、例えば、ネットワークアナライザなどの測定器を利用してもよく、人に対して、アンテナ(マイクロ波発信機)からマイクロ波を照射し反射率や透過率を測定することで、人が存在しているか否かの検知を行うことも可能となる。
制御部25は、電波照射部21及び電波受信部26がマイクロ波を発信すること及び反射されたマイクロ波を受信することを制御するためのものである。制御部5は、必要な処理を行うためのプログラム及びデータ等が記憶された不図示のROM(リードオンリーメモリ)、信号データを一時的に保存するための不図示のRAM(ランダムアクセスメモリー)、ROM等に記憶された所定の処理を行う不図示のCPU(中央演算処理装置)と、を備えている。
そして、制御部25には、電波受信部26が受信した人90から反射されたマイクロ波(腹部で反射されたマイクロ波)から第一入力信号を検出し、第一入力信号から第一I及びQチャネル信号を生成するように後述するプログラムBの一部が格納され、上述した以外の他のハードウェア回路等によって構成される第一複素信号形成部25aを備えている。なお、ここでは腹部マイクロ波送受信装置の制御部について説明するが、胸部マイクロ波送受信装置においても同様に制御部が構成されている。
そして、第一入力信号(受信波)と局部発信機の基準信号(ローカル波)との差分をIF信号として周波数ミキサにより抽出する。この際、第一入力信号と同相の信号と90度位相を遅らせた信号との2つの信号を生成する。ここで、第一入力信号の同相成分を第一Iチャネル信号、直交成分を第一Qチャネル信号とする。Iチャネル信号、Qチャネル信号は、それぞれ出力信号の複素信号表現における実数成分、虚数成分となる。
胸部マイクロ波送受信装置においても同様に構成された制御部が同様に機能する。
第一複素信号形成部25aは、反射されたマイクロ波である第一入力信号から、上述したIn-phaseチャネル(Iチャネル)及びQuadrature-phaseチャネル(Qチャネル)の2つの直交する信号成分を得るためのもので、特に図示しないが、第一入力信号をIF信号(Intermediate Frequency)として復調するための位相検波回路と、局部発信機と、を備えている。
また、本実施形態の身体情報測定装置には、受信処理された入力信号を増幅するとともにデジタル処理を行う増幅変換装置(図示せず)が配されていてもよい。
増幅変換装置は、直流増幅部と、A/D変換部とを備えている(例えば、特許第465228号公報などに記載の装置と同様である)。
直流増幅部は、上述の第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号を増幅させるものである。また、A/D変換部は、直流増幅部で増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するものである。
例えば、増幅変換装置は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号のそれぞれから、例えば、サンプリング周波数100Hzでサンプリングした信号値を電波解析部40へ出力する。換言すれば、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号は、増幅変換装置の直流増幅部とA/D変換部とにより所定の処理(増幅及び変換)をされ、この所定の処理をされた信号が電波解析部へ出力される。
電波解析部40は、腹部電波照射部21から照射された電波が人90の腹部で反射されて腹部電波受信部31で受信された腹部反射電波と、そして胸部電波照射部31から照射された電波が人90の胸部で反射されて胸部電波受信部32で受信された胸部反射電波と、の所定条件で通常呼吸時の出力信号を判定し、判定された通常呼吸時の出力信号振幅をベースラインとして記録し、該ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態及び低呼吸状態が疑われる無呼吸イベント又は低呼吸イベントを判定するように機能する。
電波解析部40は、腹部電波照射部21から照射された電波が人90の腹部で反射されて腹部電波受信部31で受信された腹部反射電波の位相と、胸部電波照射部31から照射された電波が人90の胸部で反射されて胸部電波受信部32で受信された胸部反射電波の位相とを対比してこれらの位相差を検出し、該位相差が所定の閾値を超える場合には呼吸状況の異常を検知するように機能する。
異常であると検知した場合には、他の人に知らせることができるようにアラーム装置(図示せず)と配線を介して連結されている。
以下、電波解析部40について詳述する。
電波解析部40は、コンピュータからなり、具体的には、特に図示しないが、電波受信部が受信した身体情報を有するマイクロ波を解析するためのプログラムが格納されたハードディスクなどの記録媒体、データやプログラムを一時的に保存するためのメモリー、及びプログラムに応じた受信マイクロ波の処理を行い、所定の手順に従って情報を取得し、所定の場合には外部に出力を行う中央処理演算装置(CPU)と、算出された身体情報を表示するモニター等の表示部と、を備えている。これらのハードウェアに関する構成は従来公知のコンピュータと同様に構成することができる。
そして、本実施形態の装置1において電波解析部40は、コンピュータを所定の電波解析を行う装置として機能させるために以下のプログラム(以下、「プログラムA」という場合にはこのプログラムを指す)が記録媒体に格納されている。
すなわち、このプログラムAは、上記腹部反射電波と上記胸部反射電波とについて、所定条件で通常呼吸時の出力信号を判定し、判定された通常呼吸時の出力信号振幅をベースラインとして記録し、該ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態及び低呼吸状態が疑われる無呼吸イベント又は低呼吸イベントを判定する機能を達成するように構成されており、具体的には腹部電波照射部21から照射された電波が人90の腹部で反射されて腹部電波受信部31で受信された腹部反射電波の位相と、胸部電波照射部31から照射された電波が人90の胸部で反射されて胸部電波受信部32で受信された胸部反射電波の位相とから呼吸状況の異常を検知する異常検知機能と、異常であると検知した場合には、他の人に知らせることができるようにアラーム装置を作動させる伝達機能とを具備する。
このため、このプログラムAを具備する電波解析部40は、上記検出機能と、上記異常検知機能と、上記伝達機能とを発揮するように構成されており、これにより単に呼吸数を検知するだけではなく、無呼吸症候群などの異常な呼吸状態を検知して、外部の人間に知らせることができる。
腹部電波照射部21から照射された電波が人90の腹部で反射されて腹部電波受信部31で受信された腹部反射電波から第一入力信号を検出し、胸部電波照射部22から照射された電波が人90の胸部で反射されて胸部電波受信部32で受信された胸部反射電波から第二入力信号を検出し、第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成し、第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成し、
また、電波解析部40は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出し、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号から、検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択し、選択された信号から呼吸及び心拍についての身体情報を抽出するように機能する。
このため、制御部25と電波解析部40とには、コンピュータを上述の機能を発揮させるように、以下のプログラム(以下、「プログラムB」という場合にはこのプログラムを指す)が記録媒体に格納されている。
すなわち、上記プログラムBは、
腹部電波照射部21から照射された電波が人90の腹部で反射されて腹部電波受信部31で受信された腹部反射電波から第一入力信号を検出する第一入力信号検出機能と、
胸部電波照射部22から照射された電波が人90の胸部で反射されて胸部電波受信部32で受信された胸部反射電波から第二入力信号を検出する第二入力信号検出機能と、
第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する第一信号生成機能と、
第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する第二信号生成機能と、
第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出するスペクトル密度算出機能と、
第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号及び第二Qチャネル信号から、検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択する選択機能と、
選択された信号から呼吸及び心拍についての身体情報を抽出する抽出機能と
を具備する。
そして、プログラムBのうち上記第一入力信号検出機能と、上記第二入力信号検出機能と、上記第一信号生成機能と、上記第二信号生成機能とは制御部5に格納されており、上記スペクトル密度算出機能と、上記選択機能と、上記抽出機能とは電波解析部40に格納されている。
このため電波解析部40は、上記第一入力信号検出機能と、上記第二入力信号検出機能と、上記第一信号生成機能と、上記第二信号生成機能と、上記スペクトル密度算出機能と、上記選択機能と、上記抽出機能とを発揮するように構成されており、これにより、呼吸と心拍との情報を正確に把握することができる。
本実施形態において、電波解析部40が備えるプログラムBの部分は、スペクトル密度算出機能と、選択機能と、抽出機能とである。
そして、これらの機能を実現するために電波解析部40は、プログラムBにより、周波数選択部と、振幅圧縮部と、周波数変換部と、ピーク数選択部と、信号解析部として機能するようになされている。
周波数選択部と、振幅圧縮部と、周波数変換部としての機能は、それぞれスペクトル密度算出機能を実現するための機能である。
周波数選択部としての機能は、増幅変換装置からの信号に対して、心拍信号(生体信号)又は呼吸信号(生体信号)の主要帯域以外の信号強度を低減させて、生体信号を検出しやすくするための処理を実現するものである。そして、周波数選択部としての機能は、いわゆるフィルタリング(バンドパスフィルタリング)(例えば、特許4045394号公報参照)を実行することにより行われる。このためのプログラムは公知の手法を特に制限なく用いて構成できる。例えば、心拍用通過帯域として、心拍用最小周波数に、0.5[Hz]、心拍用最大周波数に、3.0[Hz]を予め設定することができる。また、呼吸用最小周波数に、0.015[Hz]、呼吸用最大周波数に、0.5[Hz]を予め設定することができる。
振幅圧縮部としての機能は、複数の生体信号が混在する第一入力信号(反射波)及び第二入力信号(反射波)から心拍信号や呼吸信号を抽出しやすくするものであり、この機能を付与するためには電波解析部40にAGC(Automatic Gain Control)回路を配するのが好ましく、心拍信号や呼吸信号に応じて予め決められた閾値を超える強度の入力信号の個々の波の振幅のみを圧縮処理する一方、閾値内の強度の波の振幅はそのままの状態とする処理を行う機能手段である。例えば心拍信号の場合、振幅の大きさを電圧表示させた場合で、閾値を±0.03[V]とする。
AGC回路による圧縮処理としては、閾値を入力信号の波の山波形の最大値又は波の谷波形の最小値で除した係数を、山波形又は谷波形に乗じて波形を縮小する。
周波数変換部としての機能は、圧縮処理されたそれぞれの信号から、例えば、特開2001−257611号公報や、特開2006−258786号公報等に記載された公知の高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)手法によりスペクトル密度を演算する機能手段である。なお、FFTとは、離散フーリエ変換 (Discrete Fourier Transform, DFT) を計算機上で高速に計算するアルゴリズムである。
ピーク数選択部としての機能は選択機能を実現する機能であり、同一時刻における第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の各スペクトル密度の波形から、心拍信号又は呼吸信号の主要帯域内における突出したピークの数が最少となる信号を選択することにより行われる。図5に示すようなスペクトル密度の波形の軌跡は、電波解析部の表示部(図示せず)に表示しても、特に表示せずに記録媒体に保存してもよい。
ここで、「突出したピークの数」は、同一のスペクトル密度分布図上において、所定の周波数刻み幅内における出力の最大値を「ピーク」としたのち、ピーク値の大きい順番にピークを並べたときに、予め決められた数値α(例えば3.0)に対して、n番目のピークがn+1番目のピークよりもα倍大きくなる最小の整数nがある場合に、そのnを「突出したピークの数」とする。また、nがある一定の整数(例えば5)を越える場合にはピークの数は5とする。
すなわち、スペクトル密度の突出したピークの数が少ない入力信号ほど、体動による擾乱、そして高調波及び相互変調波の発生が少なく、結果として検出対象生体信号を精度高く検出できることから、突出したピーク数が最少となるスペクトル密度の信号に基づいて検出対象生体信号の解析を行うことによって、精度の高い身体情報を抽出することができる。
信号解析部としての機能は抽出機能を実現するためのものであり、例えば、特開2010−178933号公報の段落番号[0043]から[0048]に記載された公知の処理を行い、選択した信号のスペクトル密度から心拍数や呼吸数を算出することで呼吸や心拍に関する身体情報を取得することができる。
(使用方法)
本実施形態の身体情報測定装置1は、次のようにして使用する。
まず、身体情報測定装置1の電源を投入し、マイクロ波の照射及び受信が可能な状態として寝台を人が利用する。好ましくは人が寝台に寝る状態となることであるが、寝台上に人がいる状態であれば呼吸及び心拍情報の検知は可能である。
このように装置の電源を入れた状態で寝台に人が寝れば腹部電波照射部及び胸部電波照射部からマイクロ波が照射され寝ている人にマイクロ波が当たる。
人にあたったマイクロ波は人の身体的な動作により照射時とは異なる電波状態で反射され、反射されたマイクロ波を腹部電波受信部及び胸部電波受信部で受信する。
受信したマイクロ波は電波解析装置40に移送され、上記プログラムA及び上記プログラムBを具備する電波解析装置により、マイクロ波の情報が解析されて、所定の呼吸及び脈拍に関する情報が得られる。
ここで、腹部電波照射部及び胸部電波照射部から照射される電波はそれぞれ同じ周波数帯の電波である。具体的には、24.05〜24.25 Hzの周波数帯を有するものを両者に用いるのが好ましい。ただし、干渉を避ける程度に周波数帯をずらすことは本発明における「同じ周波数帯」に含まれる。すなわち、本発明において「同じ周波数帯」とは呼吸用の周波数帯と心拍用の周波数帯というように測定目的に応じ複数の周波数帯を使うことはないという意味である。
以下に、解析方法について、上記プログラムA及びBの作用と共に説明する。
寝た状態での測定方法について説明する。
(測定方法)
本実施形態の身体情報測定装置1により呼吸や心拍等の身体情報を測定するには、図3に示すように、まず検出対象である人に向けてマイクロ波を照射する照射ステップと、人体に当たって反射したマイクロ波を受信する受信ステップと、制御部25で複素信号を形成する複素信号形成ステップと、電波解析部40により受信したマイクロ波を、その通常呼吸時の出力信号を判定し、判定された通常呼吸時の出力信号振幅をベースラインとして記録し、該ベースラインからの振幅減少率や位相差をもとに呼吸状況の異常を検出するステップである振幅変化・位相差検出ステップ(無呼吸低呼吸判定ステップ)と、該マイクロ波を解析して身体情報を取得する解析ステップ(呼吸数・心拍数検出ステップ)とを行うことにより実施できる。
以下、受信したマイクロ波を解析して身体情報を測定する測定方法を構成する各ステップについて説明する。
照射ステップは、マイクロ波送受信装置20,30に配置されたマイクロ波発信部から基台に寝る人90に向けて上述の周波数帯のマイクロ波を所定の強度(好ましくは空中線電力10mW以下)で照射することにより行う。
受信ステップでは、マイクロ波発信装置から発信されたマイクロ波が人90に当たって反射した腹部の反射マイクロ波(第一入力信号)及び胸部の反射マイクロ波(第二入力信号)をそれぞれマイクロ波送受信装置20,30におけるマイクロ波受信装置にて受信することにより行う。
複素信号形成ステップは、腹部及び胸部それぞれのマイクロ波受信装置により受信されたマイクロ波を、複素信号形成部25により、第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成する。また、第二複素信号形成ステップ(S04)では、第二複素信号形成部10により、第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成する。
そして、ここで作成された第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号をそれぞれ増幅変換装置6によって所定の大きさに増幅、A/D変換してその結果を電波解析部40に出力する。
次に解析ステップについて説明する。
図3に示すように解析ステップは、周波数選択ステップと、振幅圧縮ステップと、周波数変換ステップとピーク数選択ステップと信号解析ステップとを実行することにより実施できる。
周波数選択ステップでは、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号に対して、心拍信号又は呼吸信号の主要帯域以外の信号強度を低減する。これは、コンピュータ7内の周波数選択部にて処理される。
振幅圧縮ステップでは、振幅圧縮部15にて、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号に対して、心拍信号や呼吸信号に応じて予め決められた閾値を超える強度の入力信号の個々の波の振幅のみを圧縮処理する一方、閾値内の強度の波の振幅はそのままの状態とする。
なお、呼吸信号の出力は、心拍信号の100倍程度なので、受信ステップの後、振幅圧縮ステップの体動信号の除去を先に行い、続いて周波数選択ステップを実施しても構わない。
周波数変換ステップでは、周波数変換部にて、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号のそれぞれのスペクトル密度を算出する。
ピーク数選択ステップでは、ピーク数選択部17にて、同一時刻における第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の各スペクトル密度の分布から、心拍信号又は呼吸信号の主要帯域内における突出したピークの数が最少となる信号を選択する。例えば、図5(a)〜(d)に示すようなスペクトル密度が得られた場合、突出したピークの数が最も少ない1つの図5(a)に示す信号を選択する。
信号解析ステップでは、信号解析部にて、選択したスペクトル密度を有する信号に基づき、信号解析部にて心拍数や呼吸数を算出する。
この身体情報測定装置1及び身体情報測定方法によれば、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の4つの信号のそれぞれのスペクトル密度を比較して、これらのうち突出したピークの数が最少となるスペクトル密度の信号を選択し、この信号に基づいて解析を行うことができる。
したがって、人の体動によって人に対する電波送受信部の対向性や距離等が時々刻々と変化する計測環境下であっても、変化の影響を低減して心拍数や呼吸数を精度よく抽出することができる。
ここで、「スペクトル密度の分布形状が最良」とは、突出したピークの数が同じスペクトル密度をもつ入力信号でも、スペクトル密度のピークがより急峻であるとか、最大のピーク値が2番目の大きさのピーク値と比較してよりピーク間の差が大きいピークが存在する分布状態のことをいう。
この発明は、このようなスペクトル密度の分布形状が最良の入力信号のほうが、より高い精度の検出対象生体信号を含むことから、突出したピークの数に応じた評価指数に基づき、スペクトル密度の分布形状が最良の入力信号を選択するとともに、マイクロ波送受信装置20の出力信号から呼吸数、心拍数を高精度に検出しようとするものである。そのため、無呼吸低呼吸状態の検出は、マイクロ波送受信装置20からの出力信号を基に、上記素信号形成ステップにより生成された複素信号を解析することで行う。
以下、呼吸状況の異常を検知するステップ(振幅変化・位相差検出ステップ)である無呼吸低呼吸検出ステップについて説明する。
上記マイクロ波送受信装置20を用いた無呼吸低呼吸検出ステップは、図3に示すように、安定期平均呼吸心振幅値(ベースライン)の設定ステップ、安定期平均心拍数の設定ステップ、呼吸振幅の減少比率の判定ステップ、心拍数上昇イベントの判定ステップ、呼吸奇異運動の判定(位相判定)ステップ及び安定期、低呼吸イベント、無呼吸イベントの記録ステップを行うことにより実施できる。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる回数が診断基準より多くなる病気である。無呼吸は口、鼻の気流が10秒以上停止することであり、低呼吸は10秒以上換気量が50%以上低下することである。重症度を表す無呼吸・低呼吸指数AHI(Apnea Hypopnea Index)は、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数の合計である。AHIが5〜15回は軽度、AHIが15〜30回は中等度、そしてAHIが30回以上は重度と診断される。
このような睡眠時の無呼吸低呼吸状態を把握するために、図4に示すように無呼吸イベント及び低呼吸イベントを監視する。
そのため、図4に示すように安定期平均呼吸心振幅値(ベースライン)の設定ステップとして、睡眠中の呼吸の状態で無呼吸でも低呼吸でもない正常な状態をあらかじめ測定し設定しておき、これを安定期と呼び、この安定期と比較して呼吸状態が低呼吸の期間を低呼吸イベントの期間、無呼吸の状態を無呼吸イベントの期間とする(如何なる状態を低呼吸無呼吸とするかは後述する)。
上述のイベントの監視に先立って、マイクロ波送受信装置における出力信号の安定状態における呼吸平均振幅値を安定期ベースラインとして胸部、腹部それぞれ設定する。また、前述の方法で安定状態における平均心拍数を設定しておき、これらの情報に基づいて睡眠時の呼吸状態を判断し、異常な状態を検出すると共にその異常な状態が低呼吸なのか無呼吸なのかを判断する。
これらの機能を達成するために電波解析部40は、上記腹部反射電波と上記胸部反射電波とについて、所定条件で通常呼吸時の出力信号を判定し、判定された通常呼吸時の出力信号振幅をベースラインとして記録し、該ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態及び低呼吸状態が疑われる無呼吸イベント又は低呼吸イベントを判定し、さらに上記腹部反射電波と上記胸部反射電波と位相差から閉塞性無呼吸を判定する手段を具備して構成されており、このような手段として機能するためのプログラムが格納されている。
また、電波解析部40は、ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態又は低呼吸状態であると判断される低呼吸イベント又は無呼吸イベントの終了後一定時間経過後に心拍数が上昇するか否か取得する心拍数データを認識し、心拍数の所定範囲以上の上昇がある場合には無呼吸状態又は低呼吸状態であると判断する手段を具備して構成されており、このような手段として機能するためのプログラムが格納されている。具体的には、図4に示すように、安定期平均心拍数の設定ステップを行って安定期における心拍数の設定を行うと共に、心拍数上昇イベントの判定ステップを行い後述する低呼吸・無呼吸イベントの発生後における心拍数の上昇の有無を確認することで無呼吸状態または低呼吸状態を判断する。
更に詳述すると、図6に示すように複素信号形成ステップにより得られた複素信号を腹部と胸部とでそれぞれI及びQの4チャネル出力ごとに、信号を取得し、安定呼吸期と判断できる振幅値(図におけるグラフ、安定呼吸期の振幅をベースラインという)を抽出し、基準とする。
この安定呼吸期と判断できる振幅値の抽出は、好ましくは120秒以上の時間幅で、振幅が体動判定の呼吸信号の振幅閾値(振幅幅がIチャネルで0.5V、Qチャネルで0.5V)よりも小さい場合とする。
この安定呼吸期と判断できる振幅値は更新することができ、チャネルごとに、次に安定時間幅以上の安定振幅が持続した場合、基準として異なるものと認識できる場合には更新して新しい基準として記録媒体に保存する。
安定呼吸期は体動がなく、低呼吸期でも無呼吸期でもない安定期時間幅以上の期間のことであり、その期間の安定期時間幅の振幅平均値を安定呼吸平均振幅値という。
更に、安定呼吸期における前述の抽出機能で求めた心拍数を安定期平均心拍数として保存する。
そして、呼吸振幅の減少比率の判定ステップにより、低呼吸イベント及び無呼吸イベントの有無を検知する。低呼吸イベントとは正常時よりも換気量(出力強度から推定される)の少ない低呼吸状態が所定期間続く場合で、無呼吸状態は呼吸のない状態が所定期間続く場合である。
低呼吸イベントは、たとえば胸部2つの安定呼吸期平均振幅値A11,A12の中で大きいほうの信号チャネル線(図5の胸部I)を5秒ごとに2つの中から選択し、その信号チャネル線に着目し、その信号チャネルの振幅幅が安定呼吸期平均振幅値の例えば50〜20%(この値は換気量とレーダー振幅値との関係から調整されるもの)の範囲になる時間が10秒以上の場合、胸部低呼吸イベントとする。
無呼吸イベントは、その着目した信号チャネル線について、安定呼吸期平均振幅値から振幅が例えば19〜0%(この値も換気量とレーダー振幅値との関係から調整されるもの)の範囲にある時間が10秒以上の場合、胸部無呼吸イベントとする。
同様に、腹部についても、2つの安定呼吸期平均振幅値A21,A22の中で大きい方の信号チャネル線(図5の腹部Q)を5秒ごとに2つの中から選択し、その信号チャネル線に注目し、安定呼吸期平均振幅値から振幅が50〜20%の範囲にある時間10秒以上の場合、腹部低呼吸イベントとする。
また、その着目した信号チャネル線について、安定呼吸期平均振幅値から振幅が19〜0%の範囲にある時間が10秒以上の場合、腹部無呼吸イベントとする。
腹部、又は胸部いずれかにおいて一方で低呼吸イベントが発生している場合は低呼吸イベントが発生とし、無呼吸イベントが発生している場合無呼吸イベントが発生とする。胸部、腹部どちらかで低呼吸イベントがあり、他方で無呼吸イベントがある場合は無呼吸イベントの発生とする。
低呼吸イベントと無呼吸イベントが連続して発生する場合は、無呼吸イベントの時間割合が「無呼吸の持続時間中に占める最低比率%(通常は50%)」以上の場合は、期間全体を無呼吸状態とし、その時間の長さだけ赤色帯を表示し、注意喚起とする。ここで「赤色帯」とは危険な状態であることを意味する表示手段である。
また、低呼吸イベントの時間割合が「低呼吸の持続時間中に示す最低比率%(通常は50%)」以上の場合は、期間全体を低呼吸状態とし、その時間の長さだけ黄色帯を表示して注意喚起をする。ここで「黄色帯」とはやや危険な状態であることを意味する表示手段である。表示装置を備える場合にはこれらの赤色帯や黄色帯は表示装置に表される。
一方、胸部呼吸信号と腹部呼吸信号との位相差を図9に示すように同時間で対比することで確認する。
低呼吸や無呼吸には、中枢性と閉塞性とがあることが知られているが、図9に示すように、中枢性の場合にはほぼ振幅がない状態となるため上述の範囲内に振幅が弱まれば無呼吸状態であると判断できる場合が多いが、閉塞性の場合には図8に示すように口および鼻の気流は停止しているが胸部および腹部は呼吸運動を継続しようとする呼吸努力の結果、胸部および腹部は振動が持続するため、単なるベースラインからの振幅減少のみでは低呼吸なのか無呼吸なのかの判断が困難である。したがって、閉塞性無呼吸は位相差を利用して判定する必要がある。
このような振幅変化・位相差検出ステップは、複素信号形成ステップにより生成された複素信号を電波解析部40に移送し、移送された複素信号により受信したマイクロ波の位相を検出する振幅変化・位相差検出ステップを電波解析部40にて行う。
振幅変化・位相差検出ステップは、電波解析部40で実行することにより行うことができ、腹部電波照射部21から照射された電波が人90の腹部で反射されて腹部電波受信部31で受信された腹部反射電波の位相と、胸部電波照射部31から照射された電波が人90の胸部で反射されて胸部電波受信部32で受信された胸部反射電波の位相とを比較し両者の位相差から胸部および腹部の呼吸運動の位相反転を検知するステップを実行することにより実施される。
具体的には、複素信号形成ステップにより得られた複素信号を対比することにより上記の位相差を検出するステップを行った後、図4に示すように、位相を見ることで、第1次的に低呼吸イベント、無呼吸イベントを検出し、さらに、心拍情報の有無を検出してその結果を反映させると共に、呼吸奇異運動の判定(位相判定)ステップとして、位相差を見て胸部および腹部の呼吸運動の位相反転状態である呼吸奇異運動の有無を判定し、さらにこの結果を判断に組み込むことで呼吸状況の異常を検知する。また、必要に応じて、安定期、低呼吸イベント、無呼吸イベントの記録ステップ低呼吸イベント及び無呼吸イベントの際には所定の基準に従ってイベント発生状況を記憶媒体に記録するステップを行うこともできる。
以下、さらに詳述する。
このステップでは、図6に示すように複素信号形成ステップにより得られた複素信号を腹部と胸部とでそれぞれI及びQの4チャネル出力ごとに取得し、図8、9に示すように、そのうち腹部と胸部のIチャネル同士、又はQチャネル同士を時間軸及び振幅軸を同じにして対比して位相を検出する。
たとえば、約40秒間の胸部呼吸信号と腹部呼吸信号との相互相関関数を毎秒計算し、相互相関関数のY軸からのずれ(最初のピーク山又は谷が現れてからの位置のずれ)が90°以上(1番目のピークと2番目のピーク間の所要時間の1/4以上)の場合、呼吸奇異運動とみなし上記の低呼吸状態を閉塞性無呼吸状態に格上げし、赤帯とする。
この胸部呼吸信号と腹部呼吸信号との位相差(ピークのずれ)が発生していても該当期間が低呼吸状態でなければ閉塞性無呼吸状態とはせずに、安定期と判定する。
そして、以上の処理においては、心拍数上昇イベントの判定ステップとして心拍上昇判定の有無設定を加えてもよく、その場合には以下の心拍数上昇検証処理を遡及して行う。
したがって、無呼吸及び低呼吸の表示は約30秒から1分の時間遅れで書き込むことになるのが通常である。
心拍数上昇検証処理は、無呼吸イベントあるいは低呼吸イベントの終了時点から心拍数上昇イベントとの関連付けを行い、抽出ステップにより心拍数が、上記安定期の平均心拍数に比較して10%以上上昇し、その時間が5秒以上ある場合は、低呼吸および無呼吸イベントの結果から誘発された心拍数の上昇現象であり、心拍数上昇イベントとして記録する。この心拍数上昇イベントがあった場合、心拍数上昇イベントの関連付けが行われた時間帯において安定呼吸期平均振幅値から振幅が80〜50%(この値も換気量とレーダー振幅値との関係から調整されるもの)の範囲内にある時間が10秒以上の場合、振幅値は低呼吸の判定条件よりも大きいが低呼吸イベントの発生とする。
(無呼吸低呼吸判定のための条件パラメータ)
無呼吸や低呼吸と判断するための各パラメータは以下の通りとすることができる。
正常ベースラインの振幅幅(振幅が0.5V以下、かつ前もって測定し設定しておいた無呼吸、低呼吸状態でない振幅)
無呼吸イベントの最低持続時間(10秒間無呼吸と判断できる状態が継続された場合)、
無呼吸の正常ベースラインとの振幅比(正常ベースラインから20%のライン)
無呼吸の持続時間中に示す最低比率(50%)
ここで「最低比率」とは、無呼吸と低呼吸状態が連続して発生した場合に、その期間全体が無呼吸と判定されるための無呼吸期間の全体期間に占める最小割合のことという。
低呼吸イベントの最低持続時間(10秒)
低呼吸と判断される場合の振幅と正常ベースラインの振幅との比(50%以下)
低呼吸の持続時間中に示す最低比率(50%)
隣り合ったイベントを結合する場合の間の時間(5秒以内なら結合して一つのイベントする)
心拍上昇イベントとの関連付け(イベント終了後30秒以内)
低呼吸イベントを閉塞型無呼吸イベントと格上げ判定するための位相差条件 位相差(90度以上)
正常ベースライン設定の安定期の時間幅(120秒)
体動があると判定する場合の呼吸信号の振幅閾値 (腹部、胸部共に0.50V)
(アラーム装置を作動させるステップ)
また、呼吸数や心拍数の情報に基づいて、特に容態急変時にはアラームを鳴動させるように設定することもできる。
容態急変時のアラーム鳴動の条件は、施設ごとのモニタリング目的に応じて設定されるものである。また、呼吸数および心拍数は個人ごとに平常時の値に個人差があり、その個人ごとの数値に応じた異常範囲が設定できることがアラームの無駄鳴り(モニタリング対象者に容態変化がないにもかかわらず、必要以上にアラームが鳴ること)を避けるために必要である。このような機能を担保するために、上記電波解析部40は、呼吸数および心拍数を個人ごとに前もって測定し設定した平常時の値からの変化量をもとに容態変化を検出するように構成されている。
したがって、個々での特徴はレーダーを使用した非接触のモニタリング装置において、以下のように設定するのが好ましい。
・心拍数が下限基準値A(例えば除脈基準の50回/分)以下の状態が基準時間AT(たとえば60秒)継続する場合
・個人の心拍数平常時平均値PHよりも上昇基準値B(たとえば40回/分)以上に高くなる状態が基準時間BT(たとえば60秒)継続する場合
・呼吸数が下限基準値C(たとえば5回/分)以下の状態が基準時間CT(たとえば60秒)継続する場合
・呼吸数が平常時平均値PRよりも上昇基準値D(たとえば7回/分)以上に高くなる状態が基準時間DT(たとえば60秒)継続する場合
システムの外部定数
心拍下限基準値A(初期値50)、心拍基準時間AT(初期値60)
心拍上昇基準値B(初期値40)、心拍基準時間BT(初期値60)
呼吸下限基準値C(初期値5)、呼吸基準時間CT(初期値60)
呼吸上昇基準値D(初期値7)、呼吸基準時間DT(初期値60)
個人設定の外部定数
平常時心拍平均値PH、平常時呼吸平均値PR
この個人設定情報は、PC画面より測定者(ベッドサイド装置)ごとに登録画面より登録する。図6に示すように、測定結果表示画面のどこかに表示しておく。
なお、アラーム鳴動の判定のためには、離床センサー(圧電素子などによる体重感知、又はドップラーレーダーの反射波信号強度による判定方式など)があるのが好ましい。測定対象である人がベッド上にいる期間のみ呼吸数、心拍数の変化に対応したアラームを鳴らすようにし、ベッド上に対象者がいない状態で誤って呼吸停止、心停止のアラーム鳴動とならないようにする必要がある。
また、電波解析部40は、最良形状選択部をさらに具備してもよい。
最良形状選択部は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、及び第二Qチャネル信号の各信号間にてスペクトル密度の突出したピークの数が同一の場合、突出したピークの数に応じて適用される第一評価指数、第二評価指数、又は第三評価指数を算出して、突出したピークの数が同一の信号同士から、さらにスペクトル密度分布の形状が最良となるスペクトル密度を有する信号を選択する。
ここで、第一評価指数は、0以上1以下の範囲のなかで、スペクトル密度の突出したピークの数が1つの複数の信号からスペクトル密度分布の形状が最良となる信号を選択するため、例えば、突出した1つのピークの電力量が心拍信号又は呼吸信号の主要帯域全体の電力総量の値に近づくほど、0に近づく(スペクトル密度分布の形状が最良になる)ように設定されている。第二評価指数は、1以上2以下の範囲のなかで、スペクトル密度の突出したピークの数が2つの複数の信号からスペクトル密度分布の形状が最良となる信号を選択するため、例えば、最も突出したピーク値に対して2番目に突出したピーク値の大きさが小さいものほど1に近づく(スペクトル密度分布の形状が最良になる)ように設定されている。
第三評価指数は、2以上4以下の範囲のなかで、スペクトル密度の突出したピークの数が3つの複数の信号からスペクトル密度分布の形状が最良となる信号を選択するため、例えば、最も突出したピーク値に対して2番目に突出したピーク値の大きさが小さいほど、かつ最も突出したピーク値に対して3番目に突出したピーク値の大きさが小さいほど2に近づく(スペクトル密度分布の形状が最良になる)ように設定されている。そして、最良形状選択部22は、これら評価指数が最も小さくなるスペクトル密度分布を有する信号を選択する。
なお、スペクトル密度の突出したピークの数が4以上となる信号に対し、上述のように突出した各ピーク値の大きさの比較により算出され、又は、予め一定の値に設定される第四評価指数をさらに備えていてもよい。そして、最良形状選択部は、第一評価指数、第二評価指数、第三評価指数、及び第四評価指数のうち、評価指数が最も小さくなるスペクトル密度分布を有する信号を選択してもよい。以降、コンピュータが第四評価指数まで備えている場合について説明する。
この際、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合、最良形状選択部22は、一の信号を選択するための優先順位を規定している。すなわち、最良形状選択部22は、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択する。例えば、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が第一Qチャネル信号と第二Qチャネル信号とである場合には、第一Qチャネル信号を選択する。
身体情報測定装置を用いる場合にはピーク数選択ステップの後に最良形状選択ステップを行うのが好ましい。
最良形状選択ステップでは、最良形状選択部にて、スペクトル密度の突出したピークの数に応じて第一評価指数、第二評価指数、第三評価指数、又は第四評価指数を算出して、ピーク数が同一となる信号間から、スペクトル密度の分布形状が最良となる信号を選択する。
ここで、第一評価指数は、図5(a)に示すスペクトル密度に対して、例えば、V=1−(P1/Pt)(P1はピーク値、Ptは心拍信号又は呼吸信号の主要帯域全体の電力総量)で表される。すなわち、P1がPtに近づくほど(該当帯域に他のピークがなく、1つの突出したピークが急峻な形状であるほど)、評価指数Vは0に近づく。
第二評価指数は、図5(b)に示すスペクトル密度に対して、例えば、V=1+(P2/P1)(P1は2つの突出したピークのうち大きい方のピーク値、P2は小さい方のピーク値)で表される。すなわち、2つのピーク値の差が大きいほど評価指数Vは1に近づく。
第三評価指数は、図5(c)に示すスペクトル密度に対して、例えば、V=2+(P2/P1)+(P3/P1)(P1は3つの突出したピークのうち、最も大きいピーク値、P2は2番目に大きいピーク値、P3は3番目に大きいピーク値)で表される。すなわち、最も突出したピーク値が他のピーク値よりも大きいほど、評価指数Vは2に近づく。
第四評価指数は、図5(d)に示すスペクトル密度のように突出したピークの数が4以上のスペクトル密度に対するもので、ここでは5の一定の値に設定されている。
そして、スペクトル密度の突出したピークの数に応じた各評価指数Vを算出し、Vの値が最も小さい信号を信号解析ステップ(S09)へ送り出す。
この際、ピークの数が最少かつ評価指数が最小となるスペクトル密度を有する信号が複数の場合には、第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、第二Qチャネル信号の順に一の信号を選択する。
この身体情報測定装置20及び身体情報測定方法によれば、突出したピークの数が同じスペクトル密度の入力信号同士でも、スペクトル密度の分布形状がより良い(より急峻なピーク、または他のピーク値間の値の差が大きい)入力信号を選択することが可能となり、その結果としてより好適な心拍信号や呼吸信号を含む信号を選択することができ、より高い精度で心拍数や呼吸数を抽出することができる。
更に、本実施形態に係る身体情報測定装置1は、アンテナを所望の方向に向けて動かす駆動部を備えていてもよい。
駆動部は、特に図示しないが、電波照射部や電波受信部を駆動させる駆動機構部と駆動制御部とからなるのが好ましい。駆動機構部は、公知の駆動源及びこの駆動源からの駆動力を伝達する機構部をさらに備えている。
駆動制御部は、人からの反射波から生成される第一Iチャネル信号、第一Qチャネル信号、第二Iチャネル信号、そして第二Qチャネル信号において心拍信号又は呼吸信号が検出可能なレベルで入力されない場合に、各信号が検出可能なレベルになるようにアンテナの向きを変えるなどして駆動機構部を制御する。
なお、本発明の身体情報測定装置は、上述の実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
たとえば、基体としては上述の実施形態においては長方形状のベッドを例示して説明したが、これに限定されず、リクライニングチェアや、各部材を設置可能な板状体等種々のものを採用できる。
また、上述の実施形態では、電波照射部と電波受信部とはそれぞれ別にアンテナを有する形態としたが、一つのアンテナを共有する構成とすることもできる。
また、アラーム装置に連結した形態でなくてもよく、他人に状況を知らせることができれば他の表示装置などの種々装置に連結してもよい。
寝台には、人を検知する被検体検知部材を配してもよい。この被検体検知部材は、例えば、人の重量(体重)に基づいて、ベッドBから離れているか否かを検知するシート状のセンサ、いわゆる、離床センサ(徘徊センサ)によって構成することができる。なお、離床センサについては、例えば、公知の製品(“株式会社テクノスジャパン│転倒・転落対策に!ベッドコール”、「online」、2003年9月9日、株式会社テクノスジャパン、「2009年1月16日検索」、URL:http://www.technosj.co.jp/alarm/bc.html)を使用することが可能である。
制御部25や増幅変換装置の一部又は全てが電波解析部に内蔵されていても構わない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
本発明に係る身体情報測定装置を用いて基台に人に寝てもらい呼吸及び心拍数を測定した。結果を図6〜9に示す。図6に示すように、腹部及び胸部並びに心拍のデータが得られ、胸部信号と腹部信号の位相差も明確に把握できた。
また、心拍数について図7(b)に示す。心拍数測定の定番であるHolter心電計(図7(a))と比較して大きな差異もなく計測することができた。また、図7(c)に示すように、高頻度の体動があっても微弱な脈波振動のデータも検出することができた。
さらに、図9に位相差を見た結果を示す。図9に示すように、中枢性の無呼吸と閉塞性の無呼吸との両方を検知することができた。
本発明は、医師や看護士等が、診察室やナースステーション等の病院内や、外出・帰宅時の病院外において、病室内の入院患者の安否確認する場合等に有用である。また、例えば、在宅介護者が、自宅内の別室や外出時の遠隔地において、被介護者(要介護者)の安否確認する場合にも有用である。また、例えば、動物園で冬眠中の熊等の動物の生態の研究のため、非接触状態において観察する場合等にも有用である。
1 身体情報測定装置、10 基台、20,30 マイクロ波送受信装置、40 電波解析部

Claims (6)

  1. 長形の基体と、
    上記基体の異なる位置に配置され、検出対象に向けて同じ周波数帯の電波をそれぞれ照射する複数の電波照射部と、
    上記電波照射部から照射された電波が上記検出対象で反射されて生成される、周期性を有する検出対象生体信号を含んでなる身体情報含有電波を受信する電波受信部と、
    上記電波受信部で受信した電波を解析する電波解析部とを具備し、
    検出対象の呼吸及び心拍に関する身体情報を取得する身体情報測定装置であって、
    上記電波照射部は、上記基体の長手方向中央領域に位置し、検出対象の腹部に電波を照射する腹部電波照射部と、上記腹部電波照射部とは上記基体の長手方向に離隔して設置され、検出対象の胸部に電波を照射する胸部電波照射部とを具備し、
    上記電波受信部は、人の腹部に照射された電波を受信する腹部電波受信部と、上記腹部電波受信部とは基体の長手方向に離隔して設置され、人の胸部に照射された電波を受信する胸部電波受信部とを具備し、
    上記腹部電波照射部と上記腹部電波受信部とは、1つのハウジング内に収容されて腹部用のマイクロ波送受信装置として配されており、上記胸部電波照射部と上記胸部電波受信部とは、1つのハウジング内に収容されて胸部用のマイクロ波送受信装置として配されており、
    上記の腹部用のマイクロ波送受信装置は、上記基体のほぼ中央部に配置されており、上記の胸部用のマイクロ波送受信装置は、基体の幅方向中心線から左側または右側に位置するように配置されている
    ことを特徴とする身体情報測定装置。
  2. 上記電波解析部は、
    上記腹部反射電波と上記胸部反射電波とを、所定条件で通常呼吸時の出力信号を判定し、
    判定された通常呼吸時の出力信号振幅をベースラインとして記録し、該ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態及び低呼吸状態が疑われる無呼吸イベント又は低呼吸イベントを判定する請求項1記載の身体情報測定装置。
  3. 上記電波解析部は、
    上記腹部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の腹部で反射されてなる腹部反射電波の位相と、
    上記胸部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の胸部で反射されてなる胸部反射電波の位相とから閉塞性無呼吸を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の身体情報測定装置。
  4. 上記電波解析部は、
    上記ベースラインからの振幅減少率をもとに無呼吸状態又は低呼吸状態であると判断される低呼吸イベント又は無呼吸イベントの終了後所定時間経過後に心拍数が上昇するか否かを取得して心拍数データを認識し、心拍数の所定範囲以上の上昇がある場合には無呼吸状態又は低呼吸状態であると判断することを特徴とする請求項2記載の身体情報測定装置
  5. さらに、上記電波発信部及び上記電波受信部を制御する制御部を有し、
    上記制御部は、
    上記腹部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の腹部で反射されてなる腹部反射電波から第一入力信号を検出し、
    上記胸部電波照射部から照射された電波が上記検出対象の胸部で反射されてなる胸部反射電波から第二入力信号を検出し、
    上記第一入力信号から互いに直交する第一Iチャネル信号と第一Qチャネル信号とを生成し、
    上記第二入力信号から互いに直交する第二Iチャネル信号と第二Qチャネル信号とを生成し、
    上記電波解析部は、
    上記第一Iチャネル信号、上記第一Qチャネル信号、上記第二Iチャネル信号及び上記第二Qチャネル信号のスペクトル密度をそれぞれ算出し、
    上記第一Iチャネル信号、上記第一Qチャネル信号、上記第二Iチャネル信号及び上記第二Qチャネル信号から、上記検出対象生体信号の主要帯域内で同一時刻における各上記スペクトル密度の突出したピークの数が最少の信号を選択し、
    選択された信号から呼吸及び心拍についての身体情報を抽出するように機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の身体情報測定装置。
  6. 上記電波解析部は
    呼吸数および心拍数を個人ごとに前もって測定し設定した平常時の値からの変化量をもとに容態変化を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の身体情報測定装置。
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