JP6352675B2 - 砂散布用車両 - Google Patents
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Description
落ち葉による車輪の空転の問題を解決するための対策として、特に杉の葉がレール頭頂面に落ちてそれを車輪が踏みつけると空転の原因になることから、軌道カートに砂撒き装置を搭載し、始発前にレール上に砂を撒くことで空転を防止するレール砂撒き装置付きカートが市販されている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、鉄道車両の車輪とレールとの間の摩擦係数を増大させる作用を有する粒子状または粉末状のスリップ防止材を車輪とレールとの接触部に高速で噴射可能な鉄道車両用スリップ防止材噴射装置であって、圧縮空気源から圧縮空気が供給されるスリップ防止材混合装置に、スリップ防止材が充填されている密閉されたスリップ防止材圧力タンク内を加圧してスリップ防止材を送り出してスリップ防止材を噴射するものが提案されている(特許文献1参照。)。
この発明が解決しようとする他の課題は、レール頭頂面上の落ち葉あるいはその他の落下物または付着物による鉄道車両の車輪の空転を有効に防止することができ、しかも砂の散布に伴う作業者の負担の大幅な軽減および安全性の大幅な向上を図ることができる砂散布方法を提供することである。
レール頭頂面をブラッシングするブラシを有する落下物および/または付着物除去装置と、
進行方向に対して上記ブラシの後方に設けられた、レール頭頂面に砂を散布する砂散布装置とを有することを特徴とする砂散布用車両である。
この砂散布用車両の最も好適な使用方法(あるいは動作方法)では、落下物および/または付着物除去装置のブラシ、取り分け回転ブラシによるブラッシングによりレール頭頂面上の落下物および/または付着物を除去し、続いて前輪の後方かつ後輪の前方のレール頭頂面に砂散布装置の散布口から砂を散布した後、こうして散布した砂を後輪で踏みつける。あるいは、後輪の後方のレール頭頂面に砂散布装置の散布口から砂を散布した後、こうして散布した砂を散布口の後方に設置された車輪で踏みつける。こうすることで、レール頭頂面上の落下物および/または付着物を確実に除去することができ、こうして落下物および/または付着物が除去されたレール頭頂面に砂を散布することができ、さらにこの砂を後輪あるいは車輪で踏みつけることにより砂がレール頭頂面から飛散するのを有効に防止することができるので、レール頭頂面上の落ち葉あるいはその他の落下物または付着物による鉄道車両の車輪の空転を最も有効に防止することができる。
レール頭頂面をブラシでブラッシングすることにより落下物および/または付着物を除去した後、レール頭頂面に砂を散布することを特徴とする砂散布方法である。
〈1.第1の実施の形態〉
[砂散布用車両]
図1〜図3は第1の実施の形態による砂散布用車両を示す。ここで、図1は側面図、図2は平面図、図3は図1の III−III 線に沿った切断面から後方を見た図である。この砂散布用車両は、自走式に構成してもよいが、ここでは、他の動力車に牽引されて走行するものとする。
次に、この砂散布用車両の使用方法について説明する。
図6に示すように、この砂散布用車両を左右のレールR上に載せ、この砂散布用車両の前方に軌道自動自転車60を連結する。この時点では、砂散布用車両の落下物および/または付着物除去装置30のカップブラシ31はレールRの上方に持ち上げられた状態にある。砂散布用車両と軌道自動自転車60との連結は、例えば、軌道自動自転車60の後端面と砂散布用車両の台板11の前端面との間に連結器70を取り付けることにより行う。軌道自動自転車60は、長方形の平面形状を有する台板(シャーシ)61と、台板61の前部および後部の下面にそれぞれ支持部材(図示せず)により回転可能に支持された車軸62、63と、車軸62の両端に取り付けられた一対の前輪64と、車軸63の両端に取り付けられた一対の後輪65とにより構成されている。図示は省略するが、台板61の後部には駆動用のエンジンまたはモータと、その動力を車軸63に伝達し、後輪65を回転させるための伝達機構とが設置されている。軌道自動自転車60の走行の制御は操作レバー66により行うことができるようになっている。台板61上には椅子67が設置されており、この椅子67に保線係員が座って操作レバー66の操作を行うようになっている。ここでは、椅子67は前列後列それぞれ2席設置されているが、椅子67の数および配置はこれに限定されるものではなく、必要に応じて選ばれる。台板61の前部の上面には手摺り68が設置されている。
砂散布用車両をレールR上を走行させ、レールRの頭頂面上の落ち葉81などの落下物および/または付着物の除去ならびに砂82の散布を行う実験を行った。砂82としては、図10A、B、Cに示す三種類の砂イ、ロ、ハを使用した。
2.36 0.0
1.70 0.1
1.18 41.5
0.85 49.1
0.60 6.9
0.00 2.4
2.36 0.0
1.70 13.5
1.18 57.8
0.85 24.7
0.60 3.3
0.00 0.7
3.25 0.1
2.36 16.1
1.70 35.6
1.18 31.7
0.85 14.0
0.60 2.1
0.00 0.4
砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aの直径Dを6mmとした。砂散布用車両の速度を5km/h未満、5km/h、10km/h、10km/h超の4水準に変えてレールRの頭頂面に砂イを散布した。砂イの散布前後のレールRの頭頂面の写真を図11および図12に示す。図11および図12に示すように、レールRの頭頂面に砂イが散布されているのが分かる。
砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aの直径Dを8mmとした。砂散布用車両の速度を5km/h未満、5km/h、10km/h、10km/h超の4水準に変えてレールRの頭頂面に砂イを散布した。砂イの散布前後のレールRの頭頂面の写真を図13および図14に示す。図13および図14に示すように、レールRの頭頂面に砂イが散布されているのが分かる。
砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aの直径Dを10mmとした。砂散布用車両の速度を5km/h未満、5km/h、10km/h、10km/h超の4水準に変えてレールRの頭頂面に砂イを散布した。砂イの散布前後のレールRの頭頂面の写真を図15および図16に示す。図15および図16に示すように、レールRの頭頂面に砂イが散布されているのが分かる。
砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aの直径Dを8mmとした。砂散布用車両の速度を5km/h未満、5km/h、10km/h、10km/h超の4水準に変えてレールRの頭頂面に砂ロを散布した。砂ロの散布前後のレールRの頭頂面の写真を図17および図18に示す。図17および図18に示すように、レールRの頭頂面に砂ロが散布されているのが分かる。
砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aの直径Dを10mmとした。砂散布用車両の速度を5km/h未満、5km/h、10km/h、10km/h超の4水準に変えてレールRの頭頂面に砂ロを散布した。砂ロの散布前後のレールRの頭頂面の写真を図19および図20に示す。図19および図20に示すように、レールRの頭頂面に砂ロが散布されているのが分かる。
砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aの直径Dを10mmとした。砂散布用車両の速度を5km/h未満、5km/h、10km/h、10km/h超の4水準に変えてレールRの頭頂面に砂ハを散布した。砂ハの散布前後のレールRの頭頂面の写真を図21および図22に示す。図21および図22に示すように、レールRの頭頂面に砂ハが散布されているのが分かる。
[砂散布用車両]
図23は第2の実施の形態による砂散布用車両を示す。図24はこの砂散布用車両のノズル55の近傍を後輪15側から見た拡大図である。この砂散布用車両は、砂散布装置50のノズル55をレールRに追従させるノズル追従機構を有するものである。
次に、この砂散布用車両の使用方法について説明する。
第1の実施の形態と同様にして、軌道自動自転車60により牽引して砂散布用車両を走行させ、軌道自動自転車60がレールRの落下物および/または付着物の除去および砂散布を開始する位置に近づいたら、カップブラシ31を回転させることによりレールRの頭頂面のブラッシングを行う。次に、第1の実施の形態と同様にして、左右の砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aから後輪15の直前の左右のレールRの頭頂面に砂82を散布する。砂散布用車両の走行中は、レールRがカーブしている場所で台板11がレールRに対して左右方向に移動することがあるが、この場合でも、上記のノズル追従機構によりノズル55の位置が常時、レールRの幅方向の所定位置、例えばほぼ中央部に来るように維持される。このため、砂散布用車両の走行中は常時、ノズル55の先端の散布口55aからレールRの幅方向の所定位置、例えばほぼ中央部に砂82が散布される。
[砂散布用車両]
図25および図26は第3の実施の形態による砂散布用車両を示し、図25は側面図、図26は後面図である。図27は、この砂散布用車両の片側(進行方向左側)の砂散布装置50を構成する部品を示す分解斜視図である。
次に、この砂散布用車両の使用方法について説明する。
第1の実施の形態と同様に、この砂散布用車両を左右のレールR上に載せ、この砂散布用車両の前方に軌道自動自転車60を連結し、軌道自動自転車60を走行させることにより砂散布用車両を牽引して走行させる。そして、砂散布用車両の左右の落下物/付着物除去装置30によりレールRの頭頂面のブラッシングを行い、レールRの頭頂面上の落下物および/または付着物を除去した後、引き続いて、砂散布用車両の最後部に設置された左右の砂散布装置50のノズル55の先端の散布口55aから後輪15の後方でかつ車輪110の前方の左右のレールRの頭頂面に砂82を散布する。より具体的には、ゲートバルブ117を開けることにより支持板116aに設けられた孔116bと容器51の底部とを連通させ、容器51に収納されたボトル118内の砂を孔116bから配管52を介してノズル55に送り、散布口55aからレールRの頭頂面に砂82を散布する。この際、砂散布用車両の走行中に、コイルバネ114の復元力によりノズル支持具113が車輪110のフランジ112に押し付けられ、それによってフランジ112がレールRの頭部の内側の側面に押し付けられることにより、ノズル55の位置を常時、レールRの幅方向の所定位置に維持することができ、ノズル55の先端の散布口55aからレールRの幅方向の所定位置、例えばほぼ中央部に砂82を確実に散布し続けることができる。こうして散布された砂82は直ちに車輪110により踏みつけられるが、その際、車輪110の外周部は弾性材料からなり、外周面が砂82の外形に倣って変形することにより、砂82はレールRの頭頂面に押し付けられるため、車輪110の通過後もほぼ散布された位置に留まる。
Claims (13)
- レール頭頂面をブラッシングするブラシを有する落下物および/または付着物除去装置と、
進行方向に対して上記ブラシの後方に設けられた、レール頭頂面に砂を散布する砂散布装置と、
進行方向に対して前方および後方にそれぞれ設けられた前輪および後輪とを有し、
上記砂散布装置は上記前輪の後方かつ上記後輪の前方のレール頭頂面に砂を散布する散布口を有し、上記散布口はレールの幅方向の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする砂散布用車両。 - レール頭頂面をブラッシングするブラシを有する落下物および/または付着物除去装置と、
進行方向に対して上記ブラシの後方に設けられた、レール頭頂面に砂を散布する砂散布装置と、
進行方向に対して前方および後方にそれぞれ設けられた前輪および後輪とを有し、
上記砂散布装置は上記後輪の後方のレール頭頂面に砂を散布する散布口およびこの散布口の後方に設置された車輪を有することを特徴とする砂散布用車両。 - 上記落下物および/または付着物除去装置ならびに上記砂散布装置は両レール用にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の砂散布用車両。
- 上記ブラシは回転ブラシであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の砂散布用車両。
- 上記回転ブラシの回転方向は落下物および/または付着物を両レールの外側に除去する方向であることを特徴とする請求項4記載の砂散布用車両。
- 上記回転ブラシはカップブラシであることを特徴とする請求項4または5記載の砂散布用車両。
- 上記ブラシは金属ブラシであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の砂散布用車両。
- 上記ブラシはレール頭頂面に対して上下方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の砂散布用車両。
- 上記落下物および/または付着物除去装置は上記ブラシのレール頭頂面に対する押圧力を調整する調整機構を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の砂散布用車両。
- 上記砂散布装置の上記散布口はレールの幅方向の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載の砂散布用車両。
- 上記砂散布用車両の走行中に上記砂散布装置の上記散布口をレールの幅方向の定位置に保持する機構を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の砂散布用車両。
- 上記後輪または上記車輪の外周部が弾性材料からなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載の砂散布用車両。
- 上記弾性材料はゴムまたは樹脂からなることを特徴とする請求項12記載の砂散布用車両。
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