以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る電動駆動型アクチュエータの位置制御装置について説明する。なお、実施の形態に係る電動駆動型アクチュエータの位置制御装置は、電動駆動型アクチュエータの位置制御方法の発明が適用された装置として捉えることも可能である。
《1》実施の形態1
《1−1》構成
図1は、本発明の実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100の構成を概略的に示すブロック図である。
図1に示されるように、電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100は、位置目標信号発生部10、アクチュエータ位置制御モデル部20及び位置制御部80を備える。電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100は、アクチュエータ60を備えることができる。つまり、位置制御装置100は、アクチュエータ60を内部の構成要素とできるし、外部の構成要素ともできる。ここで、アクチュエータ60は、電磁駆動型アクチュエータである。位置制御部80は、位置誤差検出部30、制御フィルタ部40、又は駆動部50を備える。位置制御部80は、アクチュエータ60の可動部の位置を制御する。
位置目標信号発生部10、アクチュエータ位置制御モデル部20、位置誤差検出部30、制御フィルタ部40、及び駆動部50は、例えば、電気回路である半導体集積回路によって構成されることができる。
また、位置目標信号発生部10、アクチュエータ位置制御モデル部20、位置誤差検出部30、制御フィルタ部40、及び駆動部50、又はこれらの一部は、メモリと、プロセッサとを用いて実現することもできる。メモリは、ソフトウェアとしてのプログラムを格納する記憶装置である。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する情報処理部である。つまり、これらの構成要素は、例えば、コンピュータを用いて実現することもできる。
アクチュエータ60は、電流と磁界との間に働く電磁力を用いて、コイル又は磁石を備えた可動部を動作させる装置である。電流と磁界との間は、例えば、コイルと磁石の間である。コイル又は磁石を備えた可動部は、例えば、モータの回転子、光学部材を保持するホルダ等である。可動部の動作は、例えば、回転、揺動、変位、変形、移動などである。
アクチュエータ60は、アクチュエータ磁気回路とアクチュエータ機構回路部とを備える。アクチュエータ磁気回路は、コイル抵抗及びコイルインダクタンスを持っている。アクチュエータ磁気回路は、後述の図3における電圧電流変換部602a及び電流トルク変換部603aに相当する。アクチュエータ機構回路部は、可動部を含んでいる。アクチュエータ機構回路部は、例えば、後述の図3におけるトルク速度変換部604a、速度逆起電力変換部605a及び速度位置変換部606aに相当する。
また、制御部90は、電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100の全体の動作を制御するために各構成10,20,30,40,50に制御信号を出力することができる。制御部90は、半導体集積回路によって形成されることができる。また、制御部90は、メモリとプロセッサとを用いて実現することもできる。メモリは、ソフトウェアとしてのプログラムを格納する記憶装置である。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する情報処理部である。つまり、これらの構成要素は、例えば、コンピュータを用いて実現することもできる。
位置目標信号発生部10は、位置目標信号ref_pを出力する。位置目標信号ref_pは、アクチュエータ60の位置制御における目標位置を示す。アクチュエータ60の位置制御は、アクチュエータ60の可動部の位置制御である。
位置目標信号ref_pは、例えば、位置目標信号発生部10内の記憶部(図示せず)に予め記憶されている1つ以上の値に基づく信号である。位置目標信号ref_pは、制御部90又は外部装置(図示せず)から受け取った信号であってもよい。
アクチュエータ位置制御モデル部20は、アクチュエータノミナルモデル部25を備える。アクチュエータノミナルモデル部25は、アクチュエータ60の理想的な伝達特性を模擬したモデル伝達特性を持つ。アクチュエータノミナルモデル部25は、後述の図2に示されている。
アクチュエータ位置制御モデル部20は、モデル位置検出信号act_p_nを出力する。モデル位置検出信号act_p_nは、位置検出信号act_pを模擬した信号である。位置検出信号act_pは、アクチュエータ60の位置を示す信号である。アクチュエータ位置制御モデル部20の詳細は、図2を用いて説明する。
位置誤差検出部30は、位置目標信号発生部10から位置目標信号ref_pを受け取る。位置誤差検出部30は、アクチュエータ位置制御モデル部20からモデル位置検出信号act_p_nを受け取る。位置誤差検出部30は、これらの差分(ref_p−act_p_n)を計算することで得られた位置誤差信号er_pを出力する。
制御フィルタ部40は、位置誤差検出部30から位置誤差信号er_pを受け取る。制御フィルタ部40は、位置誤差信号er_pに基づく位置制御信号cont_pを出力する。位置制御信号cont_pは、アクチュエータ60の位置制御を行うための位置制御信号である。
制御フィルタ部40は、例えばPID(Proportional Integral Derivative)制御フィルタを備えることができる。制御フィルタ部40は、このPIDによって位置制御信号cont_pを生成してもよい。
駆動部50は、制御フィルタ部40から位置制御信号cont_pを受け取る。駆動部50は、位置制御信号cont_pに基づく駆動信号Vdr_pを出力する。駆動信号Vdr_pは、例えばアクチュエータ60を駆動させるのに必要なレベルに増幅された駆動電圧あるいは駆動電流である。アクチュエータ60の駆動は、例えば、アクチュエータ60の可動部の回転、揺動、変位、変形又は移動である。
アクチュエータ60は、駆動部50から駆動信号Vdr_pを受け取る。アクチュエータ60は、駆動信号Vdr_pに応じて可動部を動作させる。アクチュエータ60は、可動部の動作に応じてアクチュエータ位置検出信号act_pを出力する。アクチュエータ60は、速度検出信号及び逆起電力を生成する。アクチュエータ60は、速度検出信号及び逆起電力を取得する。速度検出信号は、例えば、後述の図3におけるv11である。逆起電力は、例えば、後述の図3におけるVemである。
図2は、実施の形態1におけるアクチュエータ位置制御モデル部20の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示されるように、アクチュエータ位置制御モデル部20は、モデル位置目標信号発生部21、モデル位置誤差検出部22、モデル制御フィルタ部23、モデル駆動部24、及びアクチュエータノミナルモデル部25を備える。アクチュエータ位置制御モデル部20は、アクチュエータ60の理想的な伝達特性を模擬するモデル伝達特性を持つアクチュエータ60の模擬回路である。
モデル位置目標信号発生部21は、モデル位置目標信号ref_p_nを出力する。モデル位置目標信号ref_p_nは、アクチュエータノミナルモデル部25の位置制御における目標位置を示す。モデル位置目標信号ref_p_nは、アクチュエータ60の可動部の位置制御における位置目標信号ref_pと同じ値の信号であることが望ましい。その理由は、後に数式を用いて説明する。
モデル位置誤差検出部22は、モデル位置目標信号発生部21からモデル位置目標信号ref_p_nを受け取る。モデル位置誤差検出部22は、アクチュエータノミナルモデル部25からモデル位置検出信号act_p_nを受け取る。モデル位置誤差検出部22は、これらの差分(ref_p_n−act_p_n)を計算することで得られたモデル位置誤差信号er_p_nを出力する。
モデル制御フィルタ部23は、モデル位置誤差検出部22からモデル位置誤差信号er_p_nを受け取る。モデル制御フィルタ部23は、モデル位置誤差信号er_p_nに基づくモデル位置制御信号cont_p_nを出力する。モデル制御フィルタ部23は、アクチュエータ60の可動部の位置制御における制御フィルタ部40と同じ構成を有する。モデル制御フィルタ部23の制御フィルタのパラメータ値は、制御フィルタ部40のものと同じであることが望ましい。その理由は、後に数式を用いて説明する。
モデル駆動部24は、モデル制御フィルタ部23からモデル位置制御信号cont_p_nを受け取る。モデル駆動部24は、モデル位置制御信号cont_p_nに基づくモデル駆動信号Vdr_p_nを出力する。モデル駆動部24は、アクチュエータ60の位置制御における駆動部50と同じ構成を有することが望ましい。その理由は、後に数式を用いて説明する。
アクチュエータノミナルモデル部25は、モデル駆動部24からモデル駆動信号Vdr_p_nを受け取る。アクチュエータノミナルモデル部25は、モデル駆動信号Vdr_p_nに基づくモデル位置検出信号act_p_n、モデル速度検出信号、及びモデル逆起電力を生成する。アクチュエータノミナルモデル部25は、モデル駆動信号Vdr_p_nに基づくモデル位置検出信号act_p_n、モデル速度検出信号、及びモデル逆起電力を取得する。モデル位置検出信号act_p_nは、アクチュエータノミナルモデル部25の位置を示すモデル位置検出信号である。
図3は、実施の形態1におけるアクチュエータ60の構成を概略的に示すブロック図である。図3は、アクチュエータ60として、DCモータ(Direct−Current Motor)の構成を示したものである。以下に、アクチュエータ60がDCモータである場合を説明する。
図3に示されるように、アクチュエータ60は、例えば、減算部601a、電圧電流変換部602a、電流トルク変換部603a、トルク速度変換部604a、速度逆起電力変換部605a、速度位置変換部606a、及び位置単位変換部607aを備える。
減算部601aは、駆動部50から駆動信号Vdr_pを受け取る。また、減算部601aは、速度逆起電力変換部605aから逆起電力Vemを受け取る。減算部601aは、駆動信号Vdr_pと逆起電力Vemとの電圧差(Vdr_p−Vem)を算出する。そして、減算部601aは、この電圧差に応じた電圧差信号Vdr11を出力する。
電圧電流変換部602aは、減算部601aから電圧差信号Vdr11を受け取る。電圧電流変換部602aは、この電圧差信号Vdr11に基づく電流(第1の電流)Idr11を出力する。電圧電流変換部602aの伝達関数は、アクチュエータ60のアクチュエータ磁気回路のコイル抵抗RmとコイルインダクタンスLmとを用いて表わすと、1/(Lms+Rm)である。なお、sは、ラプラス変数である。
電流トルク変換部603aは、電圧電流変換部602aから電流Idr11を受け取る。電流トルク変換部603aは、電流Idr11に基づくトルク(第1のトルク)τ11を出力する。電流トルク変換部603aの伝達関数は、アクチュエータ60のトルク定数Ktmである。
トルク速度変換部604aは、電流トルク変換部603aからトルクτ11を受け取る。トルク速度変換部604aは、トルクτ11に基づくアクチュエータ60の可動部の速度(第1の速度)v11の動作を出力する。トルク速度変換部604aの伝達関数は、アクチュエータ60のアクチュエータ機構回路部のイナーシャJmを用いて表わすと、1/Jmsである。
速度逆起電力変換部605aは、トルク速度変換部604aから可動部の速度v11を受け取る。速度逆起電力変換部605aは、速度v11に基づく逆起電力(第1の逆起電力)Vemを出力する。速度逆起電力変換部605aの伝達関数は、アクチュエータ60のアクチュエータ磁気回路の逆起電力定数Kemである。
速度位置変換部606aは、トルク速度変換部604aから可動部の速度v11を受け取る。速度位置変換部606aは、速度v11に基づく可動部の位置(第1の位置)を示す位置信号(第1の位置信号)p11を出力する。速度位置変換部606aは、積分器である。速度位置変換部606aの伝達特性は1/sである。
位置単位変換部607aは、速度位置変換部606aから位置信号p11を受け取る。位置単位変換部607aは、位置信号p11に基づく位置検出信号act_p(アクチュエータ60の位置検出信号act_p)を出力する。位置単位変換部607aは、位置信号p11の単位をラジアン[rad(radian)]から度[deg(degree)]に変換する変換器である。その伝達特性は180/πである。位置単位変換部607aは、単位が度[deg]の位置検出信号act_pを出力する。
図4は、実施の形態1におけるアクチュエータノミナルモデル部25の構成を概略的に示すブロック図である。
図4に示されるように、アクチュエータノミナルモデル部25は、モデル減算部251a、モデル電圧電流変換部252a、モデル電流トルク変換部253a、モデルトルク速度変換部254a、モデル速度逆起電力変換部255a、モデル速度位置変換部256a、及びモデル位置単位変換部257aを備える。
モデル減算部251aは、モデル駆動部24からモデル駆動信号Vdr_p_nを受け取る。また、モデル減算部251aは、モデル速度逆起電力変換部255aからモデル逆起電力(第2の逆起電力)Vemnを受け取る。モデル減算部251aは、これらの信号の差(Vdr_p_n−Vemn)であるモデル電圧差信号(第2の電圧差信号)Vdr21を検出して出力する。
モデル電圧電流変換部252aは、モデル減算部251aからモデル電圧差信号Vdr21を受け取る。モデル電圧電流変換部252aは、モデル電圧差信号Vdr21に基づく電流(第2の電流)Idr21を出力する。モデル電圧電流変換部252aの伝達関数は、1/(Lmns+Rmn)である。コイル抵抗Rmnは、アクチュエータノミナルモデル部25のアクチュエータ磁気回路のコイル抵抗である。コイルインダクタンスLmnは、アクチュエータノミナルモデル部25のアクチュエータ磁気回路のコイルインダクタンスである。
モデル電流トルク変換部253aは、モデル電圧電流変換部252aから電流Idr21を受け取る。モデル電流トルク変換部253aは、電流Idr21に基づくトルク(第2のトルク)τ21を出力する。モデル電流トルク変換部253aは、アクチュエータノミナルモデル部25をトルク定数Ktmnで表わしたものであり、伝達関数Ktmnを有する。
モデルトルク速度変換部254aは、モデル電流トルク変換部253aからトルクτ21を受け取る。モデルトルク速度変換部254aは、トルクτ21に基づく可動部の速度(第2の速度)v21を出力する。モデルトルク速度変換部254aの伝達関数は、アクチュエータノミナルモデル部25のアクチュエータ機構回路部のイナーシャJmnを用いて表わすと、1/Jmnsである。
モデル速度逆起電力変換部255aは、モデルトルク速度変換部254aから速度v21を受け取る。
モデル速度逆起電力変換部255aは、速度v21に基づくモデル逆起電力(第2の逆起電力)Vemnを出力する。モデル速度逆起電力変換部255aの伝達特性は、アクチュエータノミナルモデル部25のアクチュエータ磁気回路の逆起電力定数Kemnである。
モデル速度位置変換部256aは、モデルトルク速度変換部254aから可動部の速度v21を受け取る。モデル速度位置変換部256aは、速度v21に基づく位置を示すモデル位置信号(第2の位置信号)p21を出力する。モデル速度位置変換部256aは、積分器である。モデル速度位置変換部256aの伝達特性は1/sである。
モデル位置単位変換部257aは、モデル速度位置変換部256aからモデル位置信号p21を受け取る。モデル位置単位変換部257aは、モデル位置信号p21に基づくモデル位置検出信号act_p_nを出力する。モデル位置検出信号act_p_nは、アクチュエータノミナルモデル部25のモデル位置検出信号である。モデル位置単位変換部257aは、モデル位置信号p21の単位をラジアン[rad]から度[deg]に変換する変換器である。モデル位置単位変換部257aの伝達特性は180/πである。モデル位置単位変換部257aは、単位が度[deg]のモデル位置検出信号act_p_nを出力する。
以下、図1に示される位置目標信号ref_pと、アクチュエータ60の位置検出信号act_pとの関係を、伝達関数を含む数式を用いて説明する。図1に示される制御フィルタ部40、駆動部50、及びアクチュエータ60の伝達関数をそれぞれ、K(s)、D(s)、及びP(s)と表記する。また、図2のモデル制御フィルタ部23、モデル駆動部24、及びアクチュエータノミナルモデル部25の伝達関数をそれぞれ、Kn(s)、Dn(s)、及びPn(s)と表記する。
図1から明らかなように、アクチュエータ60の位置検出信号act_pは、位置目標信号ref_p及びアクチュエータノミナルモデル部25のモデル位置検出信号act_p_nを用いて次式(1)で表わされる。
一方、図2から明らかなように、アクチュエータノミナルモデル部25のモデル位置検出信号act_p_nは、モデル位置目標信号発生部21からのモデル位置目標信号ref_p_nを用いて次式(2)で表わされる。
式(2)を式(1)に代入すると、次式(3)が得られる。
アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置目標信号ref_p_nと、アクチュエータ60の可動部の位置制御における位置目標信号ref_pとが同じ値を持つ場合(ref_p_n=ref_p)には、式(3)は次式(4)で表わされる。
式(4)において、K(s)=Kn(s)、D(s)=Dn(s)の場合には、式(4)は次式(5)で表わされる。
式(5)より、P(s)=Pn(s)の場合には、アクチュエータ60の位置検出信号act_pと、アクチュエータノミナルモデル部25のモデル位置検出信号act_p_nとは等しくなる。すなわち、P(s)=Pn(s)の場合には、アクチュエータ60を、アクチュエータ位置制御モデル部20の設計通りに位置制御することが可能となる。
実際の位置制御装置100では、アクチュエータノミナルモデル部25の伝達関数Pn(s)を、全周波数領域で実際のアクチュエータ60の伝達関数P(s)に一致させることは難しい。しかし、アクチュエータノミナルモデル部25の伝達関数Pn(s)を、直流成分を含む低周波数領域で実際のアクチュエータ60の伝達関数P(s)に一致させることは可能である。
したがって、直流成分を含む低周波数領域でP(s)=Pn(s)となるようにアクチュエータノミナルモデル部25を製作すれば、最終的にはアクチュエータ60を位置目標信号ref_pに収束させることができる。言い換えれば、アクチュエータ60の位置検出信号act_pと、アクチュエータノミナルモデル部25のモデル位置検出信号act_p_nとが式(5)の関係を満たすためには、ref_p_n=ref_p、かつ、K(s)=Kn(s)、かつ、D(s)=Dn(s)であることが理想的である。
図1に示される位置制御装置100において、フィードバック制御による位置制御を行う場合を仮定すると、モデル位置検出信号act_p_nの代わりに位置検出信号act_pが位置誤差検出部30に入力される。
これに対して、実施の形態1に係るアクチュエータの位置制御装置100では、位置検出信号act_pの代わりにアクチュエータ位置制御モデル部20において模擬されたモデル位置検出信号act_p_nが位置誤差検出部30に入力される。位置制御装置100においては、アクチュエータ位置制御モデル部20は、実際のアクチュエータ60の伝達特性を模擬した伝達特性を持つように構成されている。このため、アクチュエータ60の位置検出を行う位置センサを用いることなく、オープンループ制御によってアクチュエータ60の可動部の位置制御が可能となる。
なお、図1では、アクチュエータ60の可動部の位置制御に用いられる信号として、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置検出信号act_p_nが用いられている。
しかし、アクチュエータ60の可動部の位置制御に用いられる信号としては、モデル位置検出信号act_p_nに代えて、モデル位置誤差信号er_p_n、モデル位置制御信号cont_p_n、及びモデル駆動信号Vdr_p_nのいずれかを用いることもできる。モデル位置誤差信号er_p_nは、モデル位置誤差検出部22から出力される。モデル位置制御信号cont_p_nは、モデル制御フィルタ部23から出力される。モデル駆動信号Vdr_p_nは、モデル駆動部24から出力される。
アクチュエータ60の可動部の位置制御に用いられる信号として、モデル位置誤差検出部22から出力されるモデル位置誤差信号er_p_nを用いる場合について説明する。電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100は、制御フィルタ部40にモデル位置誤差信号er_p_nが入力される。そして、制御フィルタ部40はモデル位置誤差信号er_p_nに基づいて位置制御信号cont_pを生成する。
アクチュエータ60の可動部の位置制御に用いられる信号として、モデル制御フィルタ部23から出力されるモデル位置制御信号cont_p_nを用いる場合について説明する。電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100は、駆動部50にモデル位置制御信号cont_p_nが入力される。そして、駆動部50はモデル位置制御信号cont_p_nに基づいて駆動信号Vdr_pを生成する構成となる。
アクチュエータ60の可動部の位置制御に用いられる信号として、モデル駆動部24から出力されるモデル駆動信号Vdr_p_nを用いる場合について説明する。電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100は、アクチュエータ60にモデル駆動信号Vdr_p_nが入力される。そして、アクチュエータ60はモデル駆動信号Vdr_p_nに基づいて動作する。
アクチュエータ60の可動部の位置制御に用いられる信号として、位置検出信号act_p_n、モデル位置誤差信号er_p_n、モデル位置制御信号cont_p_nまたはモデル駆動信号Vdr_p_nのいずれを選択しても、アクチュエータ60の可動部の位置制御が可能となる。
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて、アクチュエータ60のコイルの磁気特性(アクチュエータ磁気回路のパラメータ)を変化させた場合のシミュレーション結果について説明する。アクチュエータ60のコイルの磁気特性としては、例えば、コイル抵抗Rm、コイルインダクタンスLm、及び逆起電力定数Kemがある。アクチュエータ60のコイルの磁気特性は、アクチュエータ磁気回路のパラメータである。これらの値は、アクチュエータ60が設置された環境の温度によって変化する。このため、実施の形態1では、コイル抵抗Rm及びコイルインダクタンスLmを変化させた場合についてシミュレーションを行った結果を説明する。
図5(a)及び図5(b)は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100において、アクチュエータ60のコイル抵抗RmとコイルインダクタンスLmとを変えた場合のアクチュエータ60の駆動信号Vdr_pに対する位置検出信号act_pの周波数特性を示す図である。図5(a)にはゲインの周波数特性(ゲイン特性)が示されている。横軸は周波数[Hz]で縦軸はゲイン[dB]である。図5(b)には位相の周波数特性(位相特性)が示されている。横軸は周波数[Hz]で縦軸は位相[deg]である。
図5(a)及び図5(b)において、点線で表わされている特性曲線GA1,PH1はRm=Rmn/2且つLm=Lmn/2の場合の周波数特性を示している。実線で表わされている特性曲線GA2,PH2はRm=Rmn且つLm=Lmnの場合の周波数特性を示している。1点鎖線で表わされている特性曲線GA3,PH3はRm=Rmn×2且つLm=Lmn×2の場合の周波数特性を示している。
図5(a)及び図5(b)の高周波数領域HIGHaにおける特性曲線から分かるように、コイル抵抗RmとインダクタンスLmとを変えた場合には、高周波数領域HIGHaでのゲイン特性に差異が現れ、位相特性にも差異が現れる。
しかし、図5(a)及び図5(b)の低周波数領域LOWaにおける特性曲線から分かるように、コイル抵抗RmとインダクタンスLmとを変えた場合であっても、低周波数領域LOWaでのゲイン特性に差異は現れず、位相特性に現れる差異は非常に小さい。つまり、位相特性に現れる差異は大きくは変わらない。
図6(a)及び図6(b)は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100において、アクチュエータ60のコイル抵抗RmとコイルインダクタンスLmとを変えた場合のアクチュエータ60のステップ応答を示す図である。図6(a)には、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを1秒経過後に0[deg]から30[deg]に変えた時の位置目標信号ref_pの変化が示されている。図6(b)には、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを1秒経過後に0[deg]から30[deg]に変えた時の位置検出信号act_pのステップ応答が示されている。
図6(a)及び図6(b)において、点線で表わされている特性曲線RE1,A1はRm=Rmn/2且つLm=Lmn/2の場合のステップ応答を示している。実線で表わされている特性曲線RE2,A2はRm=Rmn且つLm=Lmnの場合のステップ応答を示している。1点鎖線で表わされている特性曲線RE3,A3はRm=Rmn×2且つLm=Lmn×2の場合のステップ応答を示している。
図6(a)及び図6(b)から、コイル抵抗RmとインダクタンスLmを変えた場合であっても、アクチュエータ60の位置検出信号act_pは0[deg]から30[deg]に変わっている。アクチュエータ60は位置目標信号ref_pに収束していることが分かる。ここで、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを変えてからアクチュエータ60が位置目標信号ref_pに収束するまでの時間をT2とする。位置目標信号ref_pを変えた時刻は、図6(b)においては、1秒の時点である。
図7(a)及び図7(b)は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100において、アクチュエータ位置制御モデル部20の開ループ特性を示す図である。図7(a)にはゲイン特性が示されている。横軸は周波数[Hz]で縦軸はゲイン[dB]である。図7(b)には位相特性が示されている。横軸は周波数[Hz]で縦軸は位相[deg]である。
図7(a)及び図7(b)において、ゲインが0[dB]となる周波数f0、周波数f0における位相f0PH、及び位相が−180[deg]となる周波数f1におけるゲインf1GAが、制御性能と制御安定性の指標となる。図7(a)及び図7(b)の場合には、f0=3.455[Hz]、f0PH=−145[deg]及びf1GA=−37.72[dB]である。よって、制御帯域は3.455[Hz]となる。位相余裕は35[deg](=180−145)となる。ゲイン余裕は37.72[dB]となる。
従来技術におけるアクチュエータの位置制御は、アクチュエータ60の位置検出信号act_pが位置誤差検出部30に入力されるフィードバック制御で行われる。このため、アクチュエータ60のアクチュエータ磁気回路を表わすパラメータのばらつきを考慮して制御フィルタ部40のパラメータを設計する必要がある。この場合には、制御性能と制御安定性とを両立させるための制御フィルタ部40のパラメータの設計自由度は低い。
これに対し、実施の形態1における電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100では、図1に示されるように、アクチュエータ60の可動部の位置制御をオープンループ制御で行う。このため、アクチュエータ磁気回路を表わすパラメータのばらつきを考慮する必要がない。ここで、パラメータは、コイル抵抗、コイルインダクタンス又は逆起電力定数などである。
実施の形態1におけるアクチュエータ位置制御モデル部20は、その内部でフィードバック制御を行う。しかし、アクチュエータノミナルモデル部25では、アクチュエータ磁気回路を表わすパラメータを一意に決定する。このため、モデル制御フィルタ部23のパラメータの設計自由度は高い。
《1−2》動作
次に、図8から図10までを参照して、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100の動作を説明する。つまり、電磁駆動型アクチュエータの位置制御方法を説明する。図8から図10までの動作は、電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100の全体の動作を制御する制御部90からの制御信号に基づいて実行される。
図8は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100において、アクチュエータ60の起動から停止までの処理の一例を示すフローチャートである。
図8に示されるように、アクチュエータ60が起動すると、制御部90から出力される制御信号に応じてアクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#1が実行される(ステップS1)。アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#1の詳細については、図9を用いて説明する。
次に、制御部90から出力される制御信号に応じてアクチュエータ60の駆動シーケンス#1が実行される(ステップS2)。アクチュエータ60の駆動シーケンス#1の詳細については、図10を用いて説明する。
図9は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100において、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#1の動作の一例を示すフローチャートである。図9は、図8のステップS1におけるアクチュエータ位置制御モデル部の実行シーケンス#1の詳細を示している。図9の説明に際しては、図1、図2、及び図4をも参照する。
図9に示されるように、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#1が開始されると、制御部90は、変数である指標kを0に初期化する(ステップS11)。指標kは、0以上の整数である。
次に、アクチュエータ位置制御モデル部20の駆動シーケンス#1が実行される(ステップS12)。アクチュエータ位置制御モデル部20は、図2に示されている。
次に、アクチュエータ位置制御モデル部20において、指標kにおけるモデル位置検出信号act_p_nが取得される(ステップS13)。ここで得られるモデル位置検出信号act_p_nは、アクチュエータ位置制御モデル部20から出力されるモデル位置検出信号act_p_nの候補となる。
次に、制御部90は、ステップS11のアクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#1の開始から基準時間T1が経過したかどうかを判断する(ステップS14)。基準時間T1は、例えば、予め決められている。
指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御におけるサンプリング周期ts毎に1インクリメントされる。指標kのインクリメントに関しては、後述のステップS15において説明する。指標kは、アクチュエータノミナルモデル部25からのモデル位置検出信号act_p_nを取得する際の指標となる。
基準時間T1は、時間T2を少なくとも含んでいる。時間T2は、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置目標信号ref_p_nが示す位置を位置P1から位置P2に変更した時に、モデル位置検出信号act_p_nの示す位置が位置P2に収束するまでの時間である。すなわち、時間T1>時間T2となる。ここで、時間T2は、例えば、図6に示されている時間T2である。
ここで、「収束する」とは、モデル位置検出信号act_p_nの示す位置が位置P2に整定することを意味する。つまり、整定時間が経過して、モデル位置検出信号act_p_nが示す値が静止したとみなすことができる。モデル位置検出信号act_p_nの示す位置の整定は、例えば、位置P2の5%以内の許容範囲内にとどまることを意味する。この収束する許容範囲は、例えば位置P2の2%以内でもよく、位置P2の5%以内に限定されない。
ステップS14の判断が「NO」の場合には、処理はステップS15に進む。つまり、時間T1が経過していない場合には、処理はステップS15に進む。
ステップS15では、指標kが1インクリメントされて、処理はステップS13に進む。つまり、ステップS15では、指標kに「1」が加算される(k=k+1)。
すなわち、モデル位置検出信号act_p_nが示す位置が位置P2に収束していない。このため、アクチュエータ位置制御モデル部20において、「1」が加算された指標kにおけるモデル位置検出信号act_p_nが取得される処理が再度行われる(ステップS13)。
ステップS14の判断が「YES」の場合には、モデル位置検出信号act_p_nの候補が、モデル位置検出信号act_p_nとして取得される。つまり、時間T1が経過した場合には、モデル位置検出信号act_p_nの候補が、モデル位置検出信号act_p_nとして取得される。
そして、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#1が完了する。すなわち、モデル位置検出信号act_p_nが示す位置が位置P2に収束した。このため、モデル位置検出信号act_p_nの位置誤差検出部30への出力が完了する。
図10は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100において、アクチュエータ60の駆動シーケンス#1の一例を示すフローチャートである。図10は、図8のステップS2におけるアクチュエータ60の駆動シーケンス#1の詳細を示している。図10の説明に際しては、図1及び図3をも参照する。
図10に示されるように、アクチュエータ60の駆動シーケンス#1が開始されると、制御部90は、指標kを0に初期化する(ステップS21)。指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御におけるサンプリング周期ts毎に1インクリメントされる。指標kのインクリメントに関しては、後述のステップS24において説明する。指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御の際の指標となる。指標kは、0以上の整数である。
次に、指標kにおける位置目標信号ref_pとアクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置検出信号act_p_nとが位置誤差検出部30に入力される(ステップS22)。位置誤差検出部30は、指標kにおける位置目標信号であるref_p(k)と指標kにおけるモデル位置検出信号であるact_p_n(k)との差(ref_p(k)−act_p_n(k))を算出する。
次に、制御部90は、指標kがT1/tsより大きいかどうかを判断する(ステップS23)。基準時間T1は、図9のステップS14において使用される時間である。ステップS23での判断は、アクチュエータ位置制御モデル部20において、モデル位置目標信号ref_p_nを位置P1から位置P2に変更してから、モデル位置検出信号act_p_nが示す位置が位置P2に収束するまでの時間が経過したかどうかを判断することに相当する。これによって、アクチュエータ60の可動部の位置制御において、位置検出信号act_pが示す位置が位置P2に収束したかどうかを判断することができる。
ステップS23の判断が「NO」の場合には、処理はステップS24に進む。つまり、指標kがT1/tsよりも大きくない場合には、処理はステップS24に進む。
ステップS24では、指標kが1インクリメントされ、処理はステップS22に進む。つまり、ステップS24では、指標kに「1」が加算される(k=k+1)。
すなわち、位置検出信号act_pが示す位置が位置P2に収束していない。このため、ステップS22で「1」が加算された指標kにおける位置目標信号ref_pとモデル位置検出信号act_p_nが位置誤差検出部30に入力される処理が再度行われる。
ステップS23の判断が「YES」の場合には、アクチュエータ60の駆動シーケンス#1が完了する。つまり、指標kがT1/tsよりも大きい場合には、アクチュエータ60の駆動シーケンス#1が完了する。すなわち、位置検出信号act_pが示す位置が位置P2に収束したと判断されたため、アクチュエータ60の駆動処理が完了する。
なお、図9では、ステップS13において取得される信号として、アクチュエータノミナルモデル部25から出力されたモデル位置検出信号act_p_nが用いられている。しかし、取得される信号は、モデル位置誤差検出部22から出力されるモデル位置誤差信号er_p_n、モデル制御フィルタ部23から出力されるモデル位置制御信号cont_p_n、及びモデル駆動部24から出力されるモデル駆動信号Vdr_p_nのいずれを用いてもよい。
図9のステップS13において取得される信号として、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置誤差信号er_p_nを用いる場合には、図10のステップS22において、指標kにおけるモデル位置誤差信号er_p_nが制御フィルタ部40に入力される。
図9のステップS13において取得される信号として、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置制御信号cont_p_nを用いる場合には、図10のステップS22において、指標kにおけるモデル位置制御信号cont_p_nが駆動部50に入力される。
図9のステップS13において取得される信号として、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル駆動信号Vdr_p_nを用いる場合には、図10のステップS22において、指標kにおけるモデル駆動信号Vdr_p_nがアクチュエータ60に入力される。
アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置検出信号act_p_n、モデル位置誤差信号er_p_n、モデル位置制御信号cont_p_n及びモデル駆動信号Vdr_p_nのいずれを選択しても、同様の効果が得られる。
《1−3》効果
以上に説明したように、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100及び位置制御方法によれば、電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100は、アクチュエータ60の理想的な伝達特性を模擬し、アクチュエータ60の理想的な検出位置を示すモデル位置検出信号act_p_nを出力するアクチュエータ位置制御モデル部20を備える。
また、電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100の位置誤差検出部30には、アクチュエータ位置制御モデル部20によって生成されたモデル位置検出信号act_p_nが入力される。位置制御部80は、モデル位置検出信号act_p_nを用いたオープンループ制御によって、位置センサを用いることなく、アクチュエータ60の可動部の位置制御を実行する。これにより、電磁駆動型アクチュエータの逆起電力に測定誤差が生じた場合であっても、電磁駆動型アクチュエータの可動部の位置制御精度の低下を抑えることができる。また、アクチュエータ60のコイル抵抗RmとコイルインダクタンスLmとが変化したとしても、位置制御部80は、アクチュエータ60の可動部の位置制御を正確に行うことができる。
《2》実施の形態2
《2−1》構成
実施の形態1においては、アクチュエータ60のコイルの磁気特性のうち、コイル抵抗RmとコイルインダクタンスLmとが変化した場合のアクチュエータ60の可動部の位置制御方法について説明した。アクチュエータ60のコイルの磁気特性は、アクチュエータ磁気回路のパラメータである。実施の形態2では、逆起電力定数Kemが変化した場合のアクチュエータ60の位置制御方法について説明する。
図11は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200の構成を概略的に示すブロック図である。
図11に示されるように、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200は、実施の形態1に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置100の構成と概略同じである。しかし、位置制御装置200は、乗算部(第1の乗算部)71と乗算部(第2の乗算部)72とを含む点で位置制御装置100と異なる。
図11に示される位置目標信号発生部10、アクチュエータ位置制御モデル部20、位置誤差検出部30、制御フィルタ部40、駆動部50、及びアクチュエータ60は、図1に示されるものと同じ構成である。このため、説明を省略する。また、制御部90は、位置制御装置200の全体の動作を制御する。
乗算部71は、位置目標信号ref_pに対してγ倍の乗算を行う。乗算部71は、γ倍に乗算された位置目標信号γ・ref_pを出力する。乗算部72は、モデル位置検出信号act_p_nに対してγ倍の乗算を行う。乗算部72は、γ倍に乗算されたモデル位置検出信号γ・act_p_nを出力する。以下、実施の形態2で乗算部71,72を設けた理由について説明する。
図12(a)及び図12(b)は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ60の逆起電力定数Kemを変えた場合のアクチュエータ60の駆動信号Vdr_pに対する位置検出信号act_pの周波数特性を示す図である。図12(a)にはゲインの周波数特性(ゲイン特性)が示されている。横軸は周波数[Hz]で縦軸はゲイン[dB]である。図12(b)には位相の周波数特性(位相特性)が示されている。横軸は周波数[Hz]で縦軸は位相[deg]である。
図12(a)及び図12(b)において、点線で表わされている特性曲線GA1,PH1はKem=Kemn/2の場合の周波数特性を示す。実線で表わされている特性曲線GA2,PH2はKem=Kemnの場合の周波数特性を示す。1点鎖線で表わされている特性曲線GA3,PH3はKem=Kemn×2の場合の周波数特性を示す。
図12(a)に示されるように、逆起電力定数Kemを変えた場合には、低周波数領域LOWaと高周波数領域HIGHaとの両方でゲイン特性が変わっている。すなわち、Kem=Kemn/2の場合及びKem=Kemn×2の場合には、上記式(5)において、低周波数領域LOWaでP(s)≠Pn(s)となる。このため、アクチュエータ60を位置目標信号ref_pに収束させることができない。したがって、アクチュエータ60を位置目標信号ref_pに収束させるために、位置目標信号ref_pを補正する。
図13(a)及び図13(b)は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ60の逆起電力Vemを積分する方法を示す図である。図13(a)には、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを1秒後に0[deg]から30[deg]に変えた時の位置目標信号ref_pの変化が示されている。図13(b)には、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを1秒後に0[deg]から30[deg]に変えた時に発生するアクチュエータ60の逆起電力Vemが示されている。アクチュエータ60の逆起電力は、アクチュエータ60のコイルで発生する逆起電力である。
アクチュエータ60の可動部の位置制御における位置目標信号ref_pを変更した時の位置検出信号act_pの位置は、アクチュエータ60の可動部の速度を積分することで得られる。一方、アクチュエータ60の逆起電力Vemは可動部の速度に比例する。このため、アクチュエータノミナルモデル部25のモデル逆起電力Vemnを予め定められた時間積分したものと、アクチュエータ60の逆起電力Vemを予め定められた時間積分したものとを比較する。これによって、アクチュエータ60の可動部の位置を位置目標信号ref_pが示す位置に収束させるための、位置目標信号ref_pの補正量を求めることができる。
アクチュエータ60の逆起電力Vemの積分値(第1の逆起電力積分値)は、次式(6)で表わされる。
式(6)において、Nは次式(7)で表わされる。
式(7)において、round(T3/ts)は、T3/tsに最も近い整数を意味する。すなわち、round(T3/ts)は、小数点以下を四捨五入することで得られた整数である。
時間T3は、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置目標信号ref_p_nが示す位置を位置P1から位置P2に変更した時に、モデル位置検出信号act_p_nが示す位置が位置P2に収束するまでの時間T4を少なくとも含む。すなわち、時間T3>時間T4となる。時間T3は、例えば、予め定められた基準時間である。時間T4は、後述する図15における時間T4である。
ここで、「収束する」とは、モデル位置検出信号act_p_nの示す位置が位置P2に整定することを意味する。つまり、モデル位置検出信号act_p_nの示す位置が、例えば、位置P2の5%以内にとどまることを意味する。この5%は、例えば2%でもよく、限定されない。なお、Vemの積分値を求める式は、式(6)に限定されない。
図14は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ60の位置検出信号act_pの収束値[deg]と逆起電力Vemの積分値[V・s]との関係を示す図である。図14は、逆起電力Vemの誤差を考慮したものである。逆起電力Vemの誤差は、図13(b)における逆起電力Vemの最大値の1%とした。
図14に示されるように、アクチュエータ60の逆起電力Vemに変化が発生した場合でも、位置検出信号act_pの収束値と逆起電力Vemの積分値は比例することが分かる。これは、逆起電力Vemの変化による影響が逆起電力Vemの積分値に比べて無視できるほど小さいためである。
図13(a)及び図13(b)では、アクチュエータ60の逆起電力Vemの積分値を求める方法を示した。しかし、アクチュエータノミナルモデル部25のモデル逆起電力Vemnの積分値(第2の逆起電力積分値)も同様の方法で求めることができる。
この時、アクチュエータ位置制御モデル部20のモデル位置目標信号ref_p_nと、アクチュエータ60の可動部の位置制御における位置目標信号ref_pとは同じ値の信号であることが理想的である。式(8)においてγを求め、位置目標信号ref_pとモデル位置検出信号act_p_nとをそれぞれγ倍して補正する。これによって、アクチュエータ60には駆動信号Vdr_pがγ倍された信号γ・Vdr_pが入力される。
なお、アクチュエータ60の可動部の位置制御における駆動信号Vdr_pと、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル駆動信号Vdr_p_nとは等しい。そのため、アクチュエータ60に入力される信号γ・Vdr_pは、モデル駆動信号Vdr_p_nがγ倍された信号γ・Vdr_p_nと同じ値を持つ。
乗算部71,72は、位置目標信号発生部10からの位置目標信号ref_pと、アクチュエータ位置制御モデル部20からのモデル位置検出信号act_p_nとをそれぞれ受け取る。そして、乗算部71,72は、位置目標信号ref_pとモデル位置検出信号act_p_nとをそれぞれγ倍した信号を出力する。γは、次式(8)で表わされる。
乗算部71,72は、例えば、γを予め記憶している。ただし、γを記憶する記憶部は、乗算部71,72の外部に設けられてもよい。
図15(a)及び図15(b)は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ60の逆起電力定数Kemを変えた場合のアクチュエータ60のステップ応答を示す図である。
図15(a)には、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを1秒経過後に0[deg]から30[deg]に変えた時の位置目標信号ref_pの変化が示されている。縦軸は、位置目標信号ref_p[deg]であり、横軸は時間[sec]である。
図15(b)には、アクチュエータ60の位置目標信号ref_pを1秒経過後に0[deg]から30[deg]に変えた時の位置検出信号act_pのステップ応答が示されている。縦軸は、位置検出信号act_p[deg]であり、横軸は時間[sec]である。
なお、図15(b)に示された実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200では、乗算部71,72によるγ倍の補正が行われている。
図15(a)及び図15(b)において、点線で表わされている特性曲線RE1,A1はKem=Kemn/2の場合のステップ応答を示している。実線で表わされている特性曲線RE2,A2はKem=Kemnの場合のステップ応答を示している。1点鎖線で表わされている特性曲線RE3,A3はKem=Kemn×2の場合のステップ応答を示している。
図15(a)に示されるように、点線で表わされている特性曲線で示されたKem=Kemn/2の場合には、1秒経過後には位置が0[deg]から15[deg]に変化している。1点鎖線で表わされたKem=Kemn×2の場合には、1秒経過後には位置が0[deg]から60[deg]に変化している。
図15(b)に示されるように、位置検出信号act_pは、時間T4経過後には位置目標信号ref_pの30[deg]に収束していることが分かる。したがって、逆起電力定数Kemを変えても、位置目標信号ref_p及びモデル位置検出信号act_p_nの各々をγ倍して補正することで、アクチュエータ60を位置目標信号ref_pの30[deg]に収束させることができる。
《2−2》動作
次に、図16から図19までを参照して、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200の動作を説明する。つまり、電磁駆動型アクチュエータの位置制御方法を説明する。図16から図19までの動作は、例えば、図11の制御部90から出力される制御信号に基づいて実行される。
図16は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ60の起動から停止までの処理の一例を示すフローチャートである。
図16に示されるように、アクチュエータ60が起動すると、制御部90から出力される制御信号に応じて、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2が実行される(ステップS3)。アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2については、図17を用いて説明する。
次に、制御部90から出力される制御信号に応じて、アクチュエータ60の駆動前処理が行われる(ステップS4)。アクチュエータ60の駆動前処理については、図18を用いて説明する。
次に、制御部90から出力される制御信号に応じてアクチュエータ60の駆動シーケンス#2が実行される(ステップS5)。アクチュエータ60の駆動シーケンス#2については、図19を用いて説明する。
図17は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2の一例を示すフローチャートである。図17は、図16のステップS3におけるアクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2の詳細を示している。
図17に示されるように、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2が開始されると、制御部90は、変数である指標kを0に初期化する(ステップS31)。指標kは0以上の整数である。
指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御におけるサンプリング周期ts毎に1インクリメントされる。指標kのインクリメントに関しては、後述のステップS36において説明する。指標kは、アクチュエータノミナルモデル部25からのモデル位置検出信号act_p_n及びモデル逆起電力Vemnを取得する際の指標となる。
次に、図2に示されるアクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2が実行される(ステップS32)。
次に、アクチュエータ位置制御モデル部20において、指標kにおけるモデル位置検出信号act_p_nが取得される(ステップS33)。
次に、アクチュエータ位置制御モデル部20において、指標kにおけるモデル逆起電力Vemnが取得される(ステップS34)。
次に、制御部90は、ステップS30のアクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2の開始から時間T3が経過したかどうかを判断する(ステップS35)。時間T3は、図13(a)及び図13(b)を用いて説明した時間T3である。よって、ここでは時間T3の説明を省略する。
ステップS35の判断が「NO」の場合には、処理はステップS36に進む。つまり、時間T3が経過していない場合には、処理はステップS36に進む。
指標kが1インクリメントされる(ステップS36)。つまり、ステップS36では、指標kに「1」が加算される(k=k+1)。
すなわち、モデル位置検出信号act_p_nが示す位置が位置P2に収束していない。このため、アクチュエータ位置制御モデル部20において、「1」が加算された指標kにおけるモデル位置検出信号act_p_nが取得される処理(ステップS33)、及びアクチュエータ位置制御モデル部20において、「1」が加算された指標kにおけるモデル逆起電力Vemnが取得される処理(ステップS34)が再度行われる。
ステップS35の判断が「YES」の場合には、処理はステップS37に進む。つまり、時間T3が経過した場合には、処理はステップS37に進む。
アクチュエータ位置制御モデル部20において、モデル逆起電力Vemnの積分値が算出される(ステップS37)。モデル逆起電力Vemnの積分値は、式(6)を用いて算出される。そして、アクチュエータ位置制御モデル部20の実行シーケンス#2(ステップS3)が完了する。
図18は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ駆動前処理の一例を示すフローチャートである。図18は、図16のステップS4におけるアクチュエータ60の駆動前処理の詳細を示している。
図18に示されるように、制御部90によりアクチュエータ60の駆動前処理が開始されると、指標kが0に初期化される(ステップS41)。
指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御におけるサンプリング周期ts毎に1インクリメントさる。指標kのインクリメントは、後述のステップS44において説明する。指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御、及び逆起電力Vemを取得する際の指標となる。
次に、指標kにおける位置目標信号ref_pとアクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置検出信号act_p_nとが位置誤差検出部30に入力される(ステップS42)。具体的には、指標kにおける位置目標信号ref_p(k)と指標kにおけるモデル位置検出信号act_p_n(k)との差(ref_p(k)−act_p_n(k))が位置誤差検出部30から出力される。
次に、アクチュエータ60において、指標kにおける逆起電力Vemが取得される(ステップS43)。
次に、制御部90は、ステップS40のアクチュエータ60の駆動前処理の開始から時間T3が経過したかどうかを判断する(ステップS44)。時間T3は、図13を用いて説明した時間T3のことである。よって、ここでは時間T3の説明を省略する。
ステップS44の判断が「NO」の場合には、処理はステップS45に進む。つまり、時間T3が経過していない場合には、処理はステップS45に進む。
指標kが1インクリメントされる(ステップS45)。この場合には、ステップS42で「1」が加算された指標kにおける位置目標信号ref_pとモデル位置検出信号act_p_nとが位置誤差検出部30に入力される処理、及びステップS43で「1」が加算された指標kにおける逆起電力Vemが取得される処理が継続される。
ステップS44の判断が「YES」の場合には、処理はステップS46に進む。ステップS46では、Vemの積分値が算出される。Vemの積分値は、上記式(6)を用いて算出される。
次に、γが算出される(ステップS47)。γは、上記式(8)を用いて算出される。そして、アクチュエータ60の駆動前処理(ステップS4)が完了する。
図19は、実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200において、アクチュエータ60の駆動シーケンス#2の一例を示すフローチャートである。図19は、図16のステップS5におけるアクチュエータの駆動シーケンス#2の詳細を示している。
図19に示されるように、アクチュエータ60の駆動シーケンス#2が開始されると、指標kが0に初期化される(ステップS51)。
指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御におけるサンプリング周期ts毎にインクリメントされる。指標kは、アクチュエータ60の可動部の位置制御の際の指標となる。
次に、指標kにおける位置目標信号γ・ref_pとアクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置検出信号γ・act_p_nとが位置誤差検出部30に入力される(ステップS52)。具体的には、指標kにおけるγ・ref_p(k)と指標kにおけるγ・act_p_n(k)との差(γ・ref_p(k)−γ・act_p_n(k))が位置誤差検出部30から出力される。
次に、指標kがT3/tsよりも大きいかどうかが判断される(ステップS53)。ステップS53は、アクチュエータ位置制御モデル部20において、モデル位置目標信号ref_p_nを位置P1から位置P2に変更してから、モデル位置検出信号act_p_nが示す位置が位置P2に収束するまでの時間が経過したかどうかを判断することに相当する。これにより、アクチュエータ60の可動部の位置制御において、位置検出信号act_pが示す位置が位置P2に収束したかどうかを判断できる。
ステップS53の判断が「NO」の場合には、処理はステップS54に進む。つまり、指標kがT3/tsよりも大きくない場合には、処理はステップS54に進む。
指標kが1インクリメントされる(ステップS54)。すなわち、位置検出信号act_pが示す位置が位置P2に収束していない。このため、ステップS52で指標kにおける位置目標信号γ・ref_pと位置検出信号γ・act_p_nとが位置誤差検出部30に入力される処理が再度行われる。
ステップS53の判断が「YES」の場合には、ステップS55に進む。つまり、指標kがT3/tsよりも大きい場合には、アクチュエータの駆動シーケンス#2が完了する(ステップS55)。すなわち、位置検出信号act_pが示す位置が位置P2に収束したと判断された。このため、アクチュエータ60の駆動処理(ステップS6)が完了する。
なお、図17では、ステップS33において取得される信号として、アクチュエータ位置制御モデル部20におけるモデル位置検出信号act_p_nが選択されている。しかし、モデル位置誤差信号er_p_n、モデル位置制御信号cont_p_n及びモデル駆動信号Vdr_p_nのいずれを選択してもよい。
モデル位置誤差信号er_p_nを用いる場合には、図18のステップS42において、指標kにおけるモデル位置誤差信号er_p_nが制御フィルタ部40に入力される。また、図19のステップS52において、指標kにおける位置誤差信号γ・er_p_nが制御フィルタ部40に入力される。
モデル位置制御信号cont_p_nを用いる場合には、図18のステップS42において、指標kにおけるモデル位置制御信号cont_p_nが駆動部50に入力される。また、図19のステップS52において、指標kにおける制御信号γ・cont_p_nが駆動部50に入力される。
モデル駆動信号Vdr_p_nを用いる場合には、図18のステップS42において、指標kにおけるモデル駆動信号Vdr_p_nがアクチュエータ60に入力される。また、図19のステップS52において、指標kにおける駆動信号γ・Vdr_p_nがアクチュエータ60に入力される。
位置検出信号act_p_n、モデル位置誤差信号er_p_n、モデル位置制御信号cont_p_n及びモデル駆動信号Vdr_p_nのいずれが選択されても、同様の効果が得られる。
《2−3》効果
実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200及び位置制御方法によれば、実施の形態1に係る電動駆動型アクチュエータの位置制御装置100と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2に係る電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200によれば、電磁駆動型アクチュエータの位置制御装置200は乗算部71,72を備える。乗算部71,72は、位置目標信号ref_p及びモデル位置検出信号act_p_nに対してγ倍の乗算を行う。乗算部71,72は、γ倍に補正された信号を出力する。位置誤差検出部30には、アクチュエータ位置制御モデル部20によって生成され補正されたモデル位置検出信号γ・act_p_nが入力される。
位置制御部80は、モデル位置検出信号γ・act_p_nを用いたオープンループ制御によって、位置センサを用いることなく、アクチュエータ60の可動部の位置制御を実行する。これによって、位置制御部80は、アクチュエータ60の逆起電力定数Kemが変化しても、アクチュエータ60を位置目標信号ref_pに収束させることができる。したがって、位置制御部80は、アクチュエータ60の逆起電力定数Kemが変化しても、アクチュエータ60の可動部の位置制御を正確に行うことができる。
《3》変形例
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。
上記の実施の形態では、アクチュエータ60としてDCモータを例示した。しかし、本発明は、これに限定されず、逆起電力を発生するコイルを有するものであればDCモータ以外のアクチュエータにも適用可能である。
例えば、本発明は、光ディスク記録再生装置の光ピックアップにおける対物レンズアクチュエータについても適用可能である。この場合には、アクチュエータは、例えば、固定部と、当該固定部との電磁相互作用により固定部に対して移動する可動部とを備える。例えば、固定部に磁石が設けられ、可動部にコイルが設けられ、当該コイルに通電することで生じる電磁力によって可動部が移動する。可動部のコイルは、アクチュエータ駆動コイルである。このアクチュエータは、可動部に保持された対物レンズを駆動する光ピックアップのフォーカスアクチュエータである。この例においては、上記の実施の形態で記載した効果と同様の効果が得られる。