JP4726346B2 - サーボモータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い応答性が求められる用途に適するサーボモータ制御装置に関し、特に、慣性負荷が変動しても高い応答性を発揮するサーボモータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
速度検出信号に基づいて制御対象を駆動するようなサーボモータ制御装置に於いては、速度検出信号の遅れにより高い応答性を得ることが困難である場合等には、速度オブザーバを用いることがある。これは、制御対象の速度信号を直接検出する代わりに、制御装置内部に設けられたシミュレータ又は演算装置から得られる推定速度信号をフィードバックして、速度検出信号の遅れを切り離し、速度応答を高速化せんとするものである。
【0003】
推定速度は、出力トルク信号の積分値と負荷機械の慣性モーメントとから求めることができる。しかしながら、負荷機械の慣性モーメントが知られていない場合が多く、また動作中に変化する場合もある。特に、ターンテーブル、産業用ロボットアーム等に於いては、動作中に慣性2次モーメントが数倍のオーダで変化する場合があり、そのような変動に際しても、安定に動作できることが望ましい。特に、ロボットアーム等に於いては、慣性モーメントの変動に際して安定に動作できるばかりでなく、高い応答速度も求められる。
【0004】
特開平08−168280には、負荷のイナーシャを同定し、推定イナーシャに基づく速度オブザーバを用いた速度及び位置制御装置が開示されている。この従来技術に於いては、推定慣性モーメントと実慣性モーメントの大小関係を次のような表により判断している。
E < JM の場合
1 * > 0 であれば Δω > 0
1 * < 0 であれば Δω < 0
E > JM の場合
1 * > 0 であれば Δω < 0
1 * < 0 であれば Δω > 0
但し、JEは慣性モーメントの同定値、JMは実慣性モーメント、T1 *は第1のトルク信号、Δω=ωE−ωM、ωEは推定モータ速度、ωMは実モータ速度である。
【0005】
このような判定の結果、慣性モーメントの同定値を修正し、同定値が漸近的に実慣性モーメントに一致させるようにしている。しかしながら、この従来技術では、速度指令値が変化することを考慮しておらず、速度指令値の変化が速度応答に対して十分に遅い場合にしか適用できない。特に、速度応答の過渡期に出力トルクが反転するような場合には、著しく不安定な挙動を示し、ロボットの制御のように、速度指令値が急激に変化し、しかも実慣性モーメントが大きく変化するような用途に適さない。
【0006】
例えば、図12(a)により示されるように、継続して、T1 * > 0であって、かつΔω > 0であれば、JE < JM であるとし、図12(b)により示されるように、JEが漸近的にJMに収束する。しかしながら、図12(c)により示されるように、継続して、T1 * > 0であって、かつΔω > 0であっても、途中でT1 * の極性が反転した場合には(t=tc)、実はJE < JMであるところ、上記判断基準によれば、JE > JM であると誤って判断してしまうことになる(図12(d)参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、負荷の慣性が大きく変化し、しかも高い応答速度が求められる用途に適するサーボモータ制御装置を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、ロボットの制御のように、速度指令値が急激に変化し、しかも実慣性モーメントが大きく変化するような用途に適するサーボモータ制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、本発明によれば、サーボモータ制御装置であって、第1の入力トルク値に基づき、慣性を含む負荷を模擬し、該負荷の推定速度を演算する速度オブザーバと、速度指令値と前記推定速度との間の偏差に基づき前記第1の入力トルク値を演算する第1の速度制御器と、前記推定速度と実速度値との間の偏差に基づき第2の入力トルク値を演算する第2の速度制御器と、前記第1及び第2の入力トルク値の合算結果に基づき前記負荷を駆動するサーボモータの入力を制御するモータ制御部と、前記負荷慣性を同定する負荷慣性同定部とを有し、前記負荷慣性同定部が、実モータ加速度と推定加速度との間の符号の一致、不一致を判定する手段と、実モータ加速度及び推定加速度の絶対値の大小関係を判定する手段とを有し、前記両加速度間の符号が一致した場合には、実モータ加速度及び推定加速度の絶対値の大小関係に基づき慣性の同定値の過大、過少を判定し、前記両加速度間の符号が一致しない場合には、前記第2のトルク信号の向きと前記両加速度の大小関係とに基づき慣性の同定値の過大、過少を判定するようにしたことを特徴とするサーボモータ制御装置を提供することにより達成される。
【0010】
このような構造により、速度指令値が急激に変化しても、慣性を正しく同定することができ、速度制御を応答性良く、かつ安定に制御することができる。慣性は、回転駆動系の場合には、入力トルクに対する慣性2次モーメントにより表現されるが、直線駆動系の場合には、入力としての力に対する慣性質量により表現される。
【0011】
この場合、第2のトルク信号は、実際の負荷にのみ加えられ、速度オブザーバには加えられないことによる差を補償するために、第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分を推定加速度信号に加算しておくと良い。また、モータの電流制御器等からなるモータ制御部の影響が無視できない場合には、速度オブザーバがモータ制御部を模擬する部分を含むものであるようにすると良い。
【0012】
また、前記負荷慣性同定部が前記負荷慣性をフィードバック制御する負荷慣性同定ループを有し、前記フィードバックのゲインを、前記推定速度と前記実速度値との間の偏差に比例させると共に、前記負荷慣性の逆数の同定値に比例させることによれば、推定速度と実速度値との間の偏差と、負荷慣性の同定値とによってゲインを調整することにより、負荷慣性同定フィードバックループを線形化することができ、速度指令の大きな変化や慣性負荷の変動に対して、サーボモータに十分適用可能な応答時間をもって負荷慣性の同定値が応答することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面に示された具体例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に基づくサーボモータ制御装置を示す。外部からの速度指令信号ωM *が与えられると、速度指令信号ωM *と、制御系を模擬する速度オブザーバ12から得られる推定速度信号ωEとの偏差が、第1の速度制御器11に送られ、速度偏差に比例する第1のトルク信号T1 *に変換され、該トルク信号が、速度オブザーバ12に入力される。この場合、モータ15及び負荷16は、全体として慣性2次モーメントJMからなるモデルにより表され、その同定値がJEとして与えられ、更に、モータ15のための電流制御器21の応答遅れも無視できないものとし、電流制御器21の伝達関数がGC、その同定値がGCEにより与えられるものとする。従って、本実施例の場合、速度オブザーバ12は、電流制御器モデル13及びモータ内部モデル14とを含む。この場合、モータ及び負荷の慣性を全体として慣性負荷として取り扱っている。なお、第1の速度制御器11による制御では、上記比例制御に限られず、積分・微分制御も可能である。
【0015】
速度オブザーバ12からの推定速度信号ωEから、速度検出器17から得られる実モータ速度信号ωMを減算して得られる速度差信号は、第2の速度制御器18に送られる。第2の速度制御器18は、この速度差に比例する項を発生する部分19と、定常偏差を解消するための積分項を発生する部分20とからなり、これら両項の和が、第2の速度制御器18の出力、即ち第2のトルク信号T2 *として与えられる。
【0016】
第1のトルク信号T1 *から第2のトルク信号T2 *を加算して得られた信号は、電流制御器21を介してモータ15の出力トルクを制御する。
【0017】
この制御装置に於いては、モータ15及び負荷16の慣性2次モーメントが変動しても常に最適な制御が可能であるように、慣性同定部22が設けられ、第2のトルク信号T2 *、推定速度信号ωE及び実モータ速度信号ωMに基づいて、慣性2次モーメントJMの同定値JE、第1及び第2の速度制御器11、18の比例及び積分項の係数KV1、KV2及びK12を更新するようにしている。
【0018】
図2は、このサーボモータ制御装置の慣性同定部22の構成の詳細を示す。なお、慣性同定部22は、以降の制御演算が簡単になるように、負荷慣性の逆数RMの同定値REを出力するものとして説明する。先ず、推定速度信号ωE及び実モータ速度信号ωMを微分器31、32により微分して推定加速度信号及び実モータ加速度信号を得て、推定加速度信号には、後記するように、第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分を加算して、絶対値器33により、その和を絶対値とし、実モータ速度信号はそのまま絶対値器34により絶対値とし、両絶対値間の差を、増幅器35及び切替器36を介して、積分器37により積分し、その出力値を、初期値メモリ38に記憶された慣性2次モーメント同定値の初期値RE0に加算して、同定値を更新する。ここで、第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分を推定加速度信号に加算するのは、第2のトルク信号が実際の負荷にのみ加えられ、速度オブザーバ12には加えられないことによる差を補償するためである。
【0019】
或いは、実モータ速度信号ωMから、推定速度信号ωEと第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分との和を減じて、増幅器41に入力し、その出力に、後記する符号判別器42の出力を乗じた後、切替器36を介して、積分器37に転送する。
【0020】
いずれにせよ、更新された慣性2次モーメント同定値は、演算器39に転送され、慣性2次モーメント同定値REに加えて、これにより与えられた慣性2次モーメントに基づき、制御装置を最適化するような第1及び第2の速度制御器11、18の比例及び積分項の係数KV1、KV2及びKI2の更新値を算出する。
【0021】
更新された慣性2次モーメントの逆数同定値は、更に乗算器40にて、第2のトルク信号T2 *を乗算し、第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分を算出し、一方に於いては前記したようにそれを微分器31の出力に加算し、他方に於いてはその正負を符号判別器42により判別する。
【0022】
第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分と推定加速度信号との和は、乗算器43にて、実モータ加速度信号に乗算され、その積dSの正負に応じて切替器36が反転する。dSが正であれば、増幅器35の出力値が積分器37に送られ、dSが負であれば、増幅器41の出力値に符号判別器42の出力を乗じたものが積分器37に送られる。
【0023】
次に、本実施例の作動の要領を説明する。第2のトルク信号T2 *が0である場合には、常に推定加速度信号と実モータ加速度信号とが一致し、慣性2次モーメントが正しく同定されていることになる。
【0024】
推定加速度信号の符号と実モータ加速度信号の符号とが一致している場合は、実モータ加速度>推定加速度であれば、RE < RM
実モータ加速度<推定加速度であれば、RE > RM
であり、第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分を求める際に、慣性の同定値が使用されているため、慣性の同定値が過渡的な状態にあっては、誤差が生じる場合がある。そのため、推定加速度信号の符号と実モータ加速度信号の符号とが一致しない場合がある。その場合、加速度信号の絶対値では、慣性を正しく同定することができない。これは、逆に言うと、加速度信号の符号の不一致を検出することにより、慣性の同定値に誤差があると判断できるとも言える。このことを考慮して、切替器36によって、加速度信号の符号に不一致がある場合に、慣性の同定値の増分を求める式を切替えるようにしている。例えば、実モータ加速度>推定加速度であって、第2のトルク信号>0であれば、第2のトルク信号によるモータ出力の加速度の寄与分が過少に計算されていると判断でき、実慣性2次モーメントの逆数値>慣性2次モーメントの逆数同定値であることがわかる。
【0025】
この場合には、次のような関係が成立する。
実モータ加速度>推定加速度かつT2 *>0であれば、RE < RM
実モータ加速度<推定加速度かつT2 *>0であれば、RE > RM
実モータ加速度>推定加速度かつT2 *<0であれば、RE > RM
実モータ加速度<推定加速度かつT2 *<0であれば、RE < RM
このような慣性2次モーメントの逆数の同定を行い、速度オブザーバに基づいて制御を行った結果の一例が図3及び4に示されている。図3(a)は、慣性2次モーメントの逆数が同定初期値の1/3にステップ状に変化したときの、同定値のステップ応答を示すもので、その間の出力速度応答の変化が、図4に示されている。ここで、図4(a)は速度指令波形、図4(b)は実速度応答波形、図4(c)は推定速度応答波形を示す。図3(b)は、慣性2次モーメントの逆数が同定初期値の3倍にステップ状に変化したときの、同定値のステップ応答を示すものである。このように、慣性2次モーメントが急激に出力変化しても、不安定性を伴うことなく速度変化に追随できることがわかる。
【0026】
上記方法により推定イナーシャを修正することができるが、上記制御ではイナーシャ推定フィードバックループが非線形であることから、指令速度の変化率やイナーシャの大きさによって特性が変化する。そのため、特定の条件下では上記方法による推定イナーシャの修正が有効であるが、それ以外での有効性が不十分である。
【0027】
例えば図2の増幅器41におけるイナーシャ推定ゲインKM2が固定されており、条件1として、イナーシャの任意の基準値を1IMとして、イナーシャの逆数真値を3IM、イナーシャの逆数推定初期値を1IM、速度指令振幅値を20(rad/sec)とした場合に、イナーシャ推定値の収束が最適となるように、上記イナーシャ推定ゲインKM2の固定値を設定した場合の波形の一例を図5に示す。図5では、想像線で示されるように矩形波の信号が入力した場合の慣性同定値(イナーシャの逆数推定値)の波形を示している。
【0028】
このように、特定の条件下ではイナーシャ推定値が良く応答し、図に示されるように矩形波入力時から0.02秒経過後には、ほぼイナーシャの逆数真値(=3IM)に収束している。これに伴って、図6に実線で示される速度推定値も、0.02秒経過後には実速度(想像線)に略一致している。
【0029】
次に、条件2として、イナーシャの逆数真値を5IM、イナーシャの逆数推定初期値を3IM、速度指令振幅値を20(rad/sec)とした場合を図7の破線で示し、条件3として、イナーシャの逆数真値を0.3IM、イナーシャの逆数推定初期値を1IM、速度指令振幅値を20(rad/sec)とした場合を図7の想像線で示す。なお、図7の実線は条件1の場合を示している。また、比較のため、各条件において振幅・オフセットが同じになるように調整している。
【0030】
この図7に示されるように、条件2の場合にはイナーシャの逆数推定値が大きいため、イナーシャ推定フィードバックループのゲインが小さくなって応答が遅くなってしまっている。また、条件3の場合にはイナーシャの逆数推定値が小さく、ゲインが大きくなり過ぎて振動してしまっている。
【0031】
また、条件1における速度指令のステップ幅を変えた場合を示す。イナーシャの逆数真値(=3IM)及びイナーシャの逆数推定初期値(=1IM)は条件1と同じにし、条件4として速度指令振幅値を40(rad/sec)とした場合を図8の想像線で示し、条件5として速度指令振幅値を10(rad/sec)とした場合を図8の破線で示す。
【0032】
この場合には図8に示されるように、条件4の場合には速度偏差が大きくなり、イナーシャ推定値のフィードバックゲインが大きくなるため、大きなオーバシュートとなり、条件5の場合には逆にゲインが小さくなり、応答が遅くなっている。
【0033】
ここで、推定イナーシャの修正をより一層高度に実現するための制御について、以下に示す。まず、負荷イナーシャの逆数推定値Rについて、以下に示す各式が得られる。
E=RE +(1/S)・KM1(|GAF・ωE+RE・T2 *|−|GAF・ωM|)
…(1a)
ωE=GVF・(1/S)・RE・GCE・T1 * …(1b)
ωM=GVF・(1/S)・RM・GCE(T1 *−T2 *) …(1c)
1 *=KV1・(RE0/RE)・(ωM *−ωE) …(1d)
2 *=KV2・(RE0/RE)・(ωE−ωM) …(1e)
上記式(1a)にあっては、その右辺第1項のRE0はオフセットであり、特性には関係ないので無視して考えることができ、また式の簡略化のために絶対値内を正の値として、上記各式をまとめると、以下に示す3つの非線形状態方程式が得られる。
s・RE=KM1[GAF・ωM+KM2・RE0(ωE−ωM)−GAF・ωM] …(2a)
s・ωE=GVF・GCE・KV1・RE(ωM *−ωE) …(2b)
s・ωM=GVF・RM・GCE[KV1・(RE0/RE)・(ωM *−ωE)−KV2・(RE0/RE)・(ωE−ωM) …(2c)
これらの式(2a)〜(2c)をさらに整理すると、下記のようになる。
s・RE=KM1(GAF+KV2・RE0)(ωE−ωM) …(3a)
s・ωE=GVF・GCE・KV1・RE0(ωM *−ωE) …(3b)
s・ωM=GVF・[(RM・RE0)/RE]・GCE[KV1・ωM *−(KV1+KV2)ωE+ KV2・ωM] …(3c)
これら式(3a)〜(3c)についてみると、推定速度信号ωEと実モータ速度信号ωMとにあっては、第2の速度制御器18におけるフィードバックループにより互いに一致するように構成されているので、このフィードバックループの応答を無視できるような長い時間ではωE=ωMとみなすことができる。ただし、これらの微分であるs・ωEとs・ωMとが互いに一致するとは限らない。
【0034】
また、微分器31・32の伝達関数GAFは微分+ローパスフィルタ伝達関数であるので、ローパスフィルタの特性を無視できるような長い時間ではGAF=sとみなすことができる。
【0035】
また、電流制御器モデル13のGCEはサーボモータの電流応答特性であるが、一般的に電流応答特性は変化しないので、事前に測定しておくことが可能である。したがって、サーボモータの電流応答の内部モデルであるGCEを電流制御器21の伝達関数Gcに一致させることができるため、GCE=Gcとする。
【0036】
以上のことを考慮し、各式(3a)〜(3c)を整理すると、以下のようになる。
s・RE=KM1・GVF・GC・RE0・KV1{RE(ωM *−ωE)−RM[ωM *−(1−KV2/KV1)ωE+(KV2/KV1)ωM]} …(4)
この式(4)から、
s・RE=KM1・GVF・GC・(RE0/RE)・KV1(ωM *−ωM)・(RM−RE)…(5)
となる。なお、式(1)において絶対値内が負の場合であっても同様の結果が得られるため、その説明を省略する。
【0037】
式(5)により、慣性同定部22におけるイナーシャ推定フィードバックループのゲイン(上記式中の(RM−RE)に係る項)は、慣性二次モーメントの逆数の同定値REに比例し、かつ速度偏差(ωM *−ωM)に比例することが分かる。したがって、同定値REと速度偏差(ωM *−ωM)とによってイナーシャ推定フィードバックゲインを調整することにより、線形な制御を行うことができる。
【0038】
上記考察に基づき、本発明に基づく慣性同定部の第2の例について図9を参照して以下に示す。なお、図9は図2に代わるブロック図であり、図2と同様の部分には同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0039】
図9に示されるように、この第2の例にあっては、2つの増幅器35・41に対してゲイン調整信号G1と慣性二次モーメントの逆数の同定値(RE)とを入力するようにしている。したがって、上記した慣性二次モーメントの逆数の同定値Rに比例する部分を実現し得る。
【0040】
また、ゲイン調整信号G1を、速度指令信号ωM *を第1フィルタ51に入力し、その第1フィルタ51の出力を絶対値器52を介して第2フィルタ53に入力し、その第2フィルタ53の出力から求めている。ここで、第1フィルタ51には第1ローパスフィルタLF1の微分(s・LF1)を用い、第2フィルタ53には第2ローパスフィルタLF2を用いている。
【0041】
図9において、微分器31・32を加速度演算器とローパスフィルタとにより構成することにより、微分された速度信号に含まれる量子化ノイズをローパスフィルタにより除くことができる。しかしながら、ローパスフィルタにより遅れが生じるのに対して、速度偏差信号(ωM−ωE)には遅れがないため、そのまま使うと両者間に時間のずれが生じる。そのため、速度偏差信号(ωM−ωE)に、微分器(加速度フィルタ)31・32に合わせた遅れをもたせるために第1・第2フィルタ51・53を設けた。
【0042】
また、イナーシャ推定値が小さい時と速度偏差が大きい時とにはフィードバックゲインを大きく調整するが、このフィードバックループ自体の性能から、無限に大きくすることはできない。そこで、フィードバックループゲインにリミット(G1)を設定した。
【0043】
次に、この図9に示した制御システムによる上記条件1〜3におけるイナーシャ推定値のシミュレーション波形を図10に示す。なお、条件1に対応する波形を実線で、条件2に対応する波形を想像線で、条件3に対応する波形を破線でそれぞれ示している。この図から分かるように、各条件において応答特性はほぼ一致し、図7に示されたような振動も発生していないため、この制御システムにより非線形性が改善された。
【0044】
同様に、上記条件1及び条件4・5におけるイナーシャ推定値のシミュレーション波形を、条件1を実線で、条件4を想像線で、条件5を破線でそれぞれ図11に示す。この場合にも各条件において応答特性はほぼ一致し、図8の条件4で見られた大きなオーバシュートが無くなり、また条件5における応答も早くなった。このように、速度偏差及びイナーシャ推定値による線形化が確認された。
【0045】
また、実機におけるPI制御と本発明の速度オブザーバ制御との比較を行ったところ、速度小振幅ステップ応答においてPI制御で生じたオーバシュートが本速度オブザーバ制御では無くなり、さらにPI制御で発生していた高い騒音もほぼ無くなることが確認された。負荷イナーシャが小さくなった場合のステップ応答においても、小さな負荷イナーシャのためPI制御で生じた振動が本速度オブザーバ制御では無くなることが確認された。そして、速度指令のステップ幅が大きい場合についても何ら問題なく応答していることが波形で確認でき、この場合にもイナーシャ推定ループが発振することなく安定して動作することが確認された。
【0046】
また、サーボモータにおいて、起動直後にあっては、イナーシャ推定値が初期値のままで実際の負荷イナーシャと合っていないため、応答波形においてオーバシュートしたり応答遅れが生じたりすることが考えられる。そのような場合に対しても、速度指令値が変化する過渡状態に有効にイナーシャ推定を実行でき、その推定値が上記シミュレーション通りに収束していることが確認された。
【0047】
また、正弦波応答特性では、速度応答の位相遅れがほぼ180degになった時の周波数が800Hzであることが確認された。この時のイナーシャ推定値の逆数の振幅幅は小さく、速度指令入力が正弦波であってもイナーシャ推定値がほぼ一定値に収束していることが確認された。
【0048】
サーボモータに適用十分な早い応答時間を実現できるばかりでなく、発振や騒音も生じないで動作させることができる。
【0049】
【発明の効果】
このように、実モータ加速度と推定加速度との間の符号の一致、不一致を判定し、一致する場合には、実モータ加速度及び推定加速度の絶対値の大小関係に基づき慣性2次モーメントの同定値の過大、過少を判定し、一致しない場合には、第2のトルク信号の向きと加速度の大小関係に基づき慣性2次モーメントの同定値の過大、過少を判定できる。従って、本発明によれば、慣性の大きさに3倍程度の急激な変化があっても、慣性の同定値を漸近的に実慣性値に収束させることができ、速度応答を高めるように系のゲインを高く設定しても、安定して制御することができる。
【0050】
また、負荷慣性同定部における負荷慣性をフィードバック制御する負荷慣性同定ループのフィードバックのゲインを、推定速度と実速度値との間の偏差に比例させると共に負荷慣性の逆数の同定値に比例させることにより、負荷慣性同定フィードバックループを線形化することができ、速度指令の大きな変化や慣性負荷の変動に対して、サーボモータに十分適用可能な応答時間をもって応答することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくサーボモータ制御装置のブロック図。
【図2】本発明に基づく慣性同定部のブロック図。
【図3】(a)及び(b)(c)からなり、それぞれ、慣性の逆数が初期推定値の1/3に変化したときの慣性の逆数同定値のステップ応答、慣性の逆数が初期推定値の3倍に変化したときの慣性の逆数同定値のステップ応答を示すグラフ。
【図4】(a)、(b)及び(c)からなり、それぞれ、慣性の逆数が初期推定値の1/3に変化したとき或いは慣性の逆数が初期推定値の3倍に変化したときの速度指令波形、実速度応答波形及び推定速度応答波形を示すグラフ。
【図5】条件1における慣性の逆数同定値(イナーシャ推定値)の波形を示す図。
【図6】条件1における速度応答波形を示す図。
【図7】条件1に対して慣性の逆数真値が大きい場合と小さい場合とを示す図5に対応する図。
【図8】条件1に対して速度指令振幅が大きい場合と小さい場合とを示す図5に対応する図。
【図9】本発明に基づく第2の例を示す図2に対応する図。
【図10】第2の例における図7に対応する図。
【図11】第2の例における図8に対応する図。
【図12】(a)、(b)、(c)及び(d)からなり、(a)及び(b)はそれぞれ、駆動方向が一定の場合の実速度に対する推定速度の追随特性及び実慣性値に対する慣性同定値の追随特性を示し、(c)及び(d)はそれぞれ、駆動方向が途中で変化した場合の実速度に対する推定速度の追随特性及び実慣性値に対する慣性同定値の追随特性を示すグラフ。
【符号の説明】
11 第1の速度制御器
12 速度オブザーバ
13 電流制御器モデル
14 モータ内部モデル
15 モータ
16 負荷
17 速度検出器
18 第2の速度制御器
19 比例項発生部分
20 積分項発生部分
21 電流制御器
22 慣性同定部
31、32 微分器
33、34 絶対値器
35 増幅器
36 切替器
37 積分器
38 初期値メモリ
39 演算器
40 除算器
41 増幅器
42 符号判別器
43 乗算器
51 第1フィルタ
52 絶対値器
53 第2フィルタ

Claims (4)

  1. サーボモータ制御装置であって、
    第1の入力トルク値に基づき、慣性を含む負荷を模擬し、該負荷の推定速度を演算する速度オブザーバと、
    速度指令値と前記推定速度との間の偏差に基づき前記第1の入力トルク値を演算する第1の速度制御器と、
    前記推定速度と実速度値との間の偏差に基づき第2の入力トルク値を演算する第2の速度制御器と、
    前記第1及び第2の入力トルク値の合算結果に基づき前記負荷を駆動するサーボモータの入力を制御するモータ制御部と、
    前記負荷慣性を同定する負荷慣性同定部とを有し、
    前記負荷慣性同定部が、
    実モータ加速度と推定加速度との間の符号の一致、不一致を判定する手段と、実モータ加速度及び推定加速度の絶対値の大小関係を判定する手段とを有し、
    前記両加速度間の符号が一致した場合には、実モータ加速度及び推定加速度の絶対値の大小関係に基づき慣性の同定値の過大、過少を判定し、前記両加速度間の符号が一致しない場合には、前記第2のトルク信号の向きと前記両加速度の大小関係とに基づき慣性の同定値の過大、過少を判定するようにしたことを特徴とするサーボモータ制御装置。
  2. 前記推定加速度が、前記第2のトルク信号による加速度の寄与分を含むことを特徴とする請求項1に記載のサーボモータ制御装置。
  3. 前記速度オブザーバが、前記モータ制御部を模擬する部分を含むことを特徴とする請求項1若しくは2に記載のサーボモータ制御装置。
  4. 前記負荷慣性同定部が前記負荷慣性をフィードバック制御する負荷慣性同定ループを有し、
    前記フィードバックのゲインを、前記推定速度と前記実速度値との間の偏差に比例させると共に、前記負荷慣性の逆数の同定値に比例させるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のサーボモータ制御装置。
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