JP6351358B2 - 多孔フィルムの製造方法 - Google Patents

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    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof

Description

本発明は、多孔フィルムの製造方法に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械特性、耐溶剤性等に優れることから、燃料用フィルタ等のフィルタとして用いられることがある。この場合、フィルタは例えばポリアセタール樹脂を溶融紡糸により繊維化して得られる不織布によって構成される(例えば下記特許文献1参照)。
特開2008−138326号公報
しかし、上記特許文献1に記載のフィルタは以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1記載のフィルタは、ポリアセタール樹脂を溶融紡糸により繊維化して得られる不織布で構成されるため、今後求められる可能性のある微細な開孔を有するフィルタを製造することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微細な開孔を有する多孔フィルムを容易に製造できる多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた。例えば本発明者らはポリアセタール樹脂を延伸して開孔を形成できるかどうか検討した。その結果、ポリアセタール樹脂を1軸延伸するだけでは開孔が形成されないことが明らかとなった。また、2軸延伸を行っても開孔を形成できない場合があることも分かった。そこで、本発明者らはさらに鋭意研究を重ねた結果、ポリアセタール樹脂の特性、延伸時の温度及び延伸倍率を特定の範囲とすることによりはじめて上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリアセタール樹脂を含む非多孔質の前駆体フィルムの少なくとも一部を被加熱部として加熱しながら2軸延伸することにより多孔化した延伸部からなる多孔フィルムを製造する多孔フィルムの製造方法であって、前記ポリアセタール樹脂において、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量が5モル以下であり、前記ポリアセタール樹脂のメルトフローレートが0.1〜30g/10分であり、前記前駆体フィルムの前記延伸部に対して下記式(1)で定義される実質2軸延伸倍率を、25倍を超える値とし、前記被加熱部を前記前駆体フィルムの融点未満の温度で加熱する、多孔フィルムの製造方法である。
実質2軸延伸倍率=dbefore/dafter・・・(1)
(上記式(1)中、dbeforeは前記前駆体フィルムにおける2軸延伸前の厚さを表し、dafterは前記前駆体フィルムにおける2軸延伸後の延伸部の最小厚さを表す)
ここで、実質2軸延伸倍率とは、同体積変化を仮定して算出した、直交する2つの延伸軸の延伸倍率の積を意味する。
この製造方法によれば、微細な開孔を有する多孔フィルムを容易に製造することが可能となる。また、上記製造方法によれば、多孔フィルムが、前駆体フィルムの被加熱部を2軸延伸することにより形成されるため、多孔フィルムを高強度化することも可能となる。
また上記製造方法においては、前記ポリアセタール樹脂において、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量が0.5モル以上であることが好ましい。
この場合、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量が0.5モル未満である場合に比べて、多孔フィルムをより高強度化することが可能となる。
上記製造方法においては、前記前駆体フィルムの前記延伸部に対する前記実質2軸延伸倍率を500倍以下とすることが好ましい。すなわち、前記前駆体フィルムの前記被加熱部に対する前記実質2軸延伸倍率が500倍以下となるように2軸延伸を行うことが好ましい。
この場合、前駆体フィルムの延伸部に対する実質2軸延伸倍率が500倍を超える場合に比べて、前駆体フィルムがより破断しにくくなる。
上記製造方法においては、前記前駆体フィルムの被加熱部の加熱温度と前記前駆体フィルムの融点との差が50℃以下であることが好ましい。
この場合、前駆体フィルムの被加熱部の加熱温度と前駆体フィルムの融点との差が50℃を超える場合に比べて、2軸延伸を容易に行うことができ、多孔フィルムをより効率よく製造できる。
なお、本発明において、「前駆体フィルムの融点」とは、前駆体フィルムを構成する材料についてDSCで測定された値を言い、具体的には、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で30〜200℃の温度範囲内で測定された融解ピークのピーク温度を言う。
本発明によれば、微細な開孔を有する多孔フィルムを容易に製造できる多孔フィルムの製造方法が提供される。
本発明の多孔フィルムの製造方法の一工程を示す平面図である。 実施例3で得られた延伸フィルムについての原子間力顕微鏡による観察結果を示す図である。 比較例3で得られた延伸フィルムについての原子間力顕微鏡による観察結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の多孔フィルムの製造方法の一工程を示す平面図である。
図1に示すように、本発明の製造方法は、ポリアセタール樹脂を含む非多孔質の前駆体フィルム10の少なくとも一部を被加熱部20として加熱しながら2軸延伸することにより多孔化した延伸部からなる多孔フィルムを製造する多孔フィルムの製造方法である。
この製造方法においては、ポリアセタール樹脂において、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量が5モル以下であり、ポリアセタール樹脂のメルトフローレートが0.1〜30g/10分であり、前駆体フィルム10の延伸部に対して下記式(1)で定義される実質2軸延伸倍率を、25倍を超える値とし、被加熱部20を前駆体フィルム10の融点未満の温度で加熱する。
実質2軸延伸倍率=dbefore/dafter・・・(1)
(上記式(1)中、dbeforeは前駆体フィルムにおける2軸延伸前の厚さを表し、dafterは前駆体フィルム10における2軸延伸後の延伸部の最小厚さを表す)
本発明の製造方法によれば、微細な開孔を有する多孔フィルムを容易に製造することが可能となる。また、本発明の製造方法によれば、多孔フィルムが、前駆体フィルム10の被加熱部20を2軸延伸することにより形成されるため、多孔フィルムをより高強度化することが可能となる。
以下、本発明の製造方法についてより詳細に説明する。
(前駆体フィルム)
前駆体フィルム10は非多孔質となっており、ポリアセタール樹脂を含む。ここで、ポリアセタール樹脂においては、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量(以下、単に「オキシアルキレンユニットの導入量」と呼ぶ)が5モル以下となっている。ここで、「炭素数が2以上」とは、炭素原子数が複数個であることを意味する。炭素数が2以上のオキシアルキレンユニットとしては、例えばオキシエチレンユニット、オキシプロピレンユニット、及び、オキシブチレンユニットなどが挙げられる。
オキシアルキレンユニットの導入量が5モル以下であると、5モルを超える場合に比べて、2軸延伸をより容易に行うことができ、多孔フィルムを容易に得ることができる。
オキシアルキレンユニットの導入量は3モル以下であることが好ましく、2モル以下であることがより好ましい。なお、オキシアルキレンユニットの導入量は0モルであってもよい。すなわち、ポリアセタール樹脂は、オキシアルキレンユニットを含まず且つオキシメチレンユニットのみを有するホモポリアセタール樹脂であってもよい。
但し、オキシアルキレンユニットの導入量は0.5モル以上であることが好ましい。この場合、オキシアルキレンユニットの導入量が0.5モル未満である場合に比べて、多孔フィルムをより高強度化することが可能となる。
またポリアセタール樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」と呼ぶ)は0.1〜30g/10分である。この場合、ポリアセタール樹脂のMFRが0.1g/10分未満である場合に比べて、フィルムの生産性がより向上する。一方、ポリアセタール樹脂のMFRが0.1〜30g/10分であると、ポリアセタール樹脂のMFRが30g/10分を超える場合に比べて、より延伸しやすくなる。
ポリアセタール樹脂のMFRは、延伸性を向上させる観点からは、1〜20g/10分であることが好ましく、2〜10g/10分であることがより好ましい。
前駆体フィルム10の厚さは特に制限されるものではないが、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。この場合、前駆体フィルム10の厚さが1000μm以下であると、1000μmを超える場合に比べて、より延伸しやすくなる。
前駆体フィルム10は、ポリアセタール樹脂以外の熱可塑性樹脂をさらに含んでもよい。このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、及びポリグリコール酸などが挙げられる。またポリエーテル樹脂としては、例えばポリジオキソラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。熱可塑性樹脂は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して1〜200質量部の割合で配合されていることが好ましい。
前駆体フィルム10は、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、核剤、蛍光増白剤、又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の脂肪酸エステル系又はシリコン系化合物等の離型剤、摺動剤、ポリエチレングリコール、グリセリンのような帯電防止剤、高級脂肪酸塩、ペンゾトリアゾール系またはペンゾフェノン系化合物のような紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系のような光安定剤、多孔化に必要な溶剤、可塑剤、無機フィラー等の添加剤を必要に応じてさらに含んでいてもよい。
前駆体フィルム10は、例えば前駆体フィルム10を構成する材料を溶融プレス成形することによって得ることができる。溶融プレス成形は、例えば上記材料を、離型フィルムを介して加圧板で挟み、得られた構造体を、上記材料を溶融しながらプレス機でプレスした後、室温まで徐冷することによって得ることができる。溶融プレス成形は、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
(実質2軸延伸倍率)
前駆体フィルム10の延伸部に対する実質2軸延伸倍率は、上記式(1)で定義される。ここで、実質2軸延伸倍率は25倍を超える値とする。この場合、実質2軸延伸倍率が25倍以下である場合に比べて、微細な開孔を有する多孔フィルムを得ることが容易となる。
実質2軸延伸倍率は40倍以上であることがより好ましく、60倍以上であることが特に好ましい。
但し、実質2軸延伸倍率は500倍以下であることが好ましい。この場合、前駆体フィルム10がより破断しにくくなる。
なお、本明細書においては、下記式(2)に従って2つの延伸軸A,Bに沿ったチャック間距離を基準として算出する延伸倍率を見かけ2軸延伸倍率として表記する。
見かけ2軸延伸倍率=(L1/L2)×(L3/L4)・・・(2)
(上記式(2)中、L1、L3はそれぞれ2つの延伸軸A,Bに沿った2軸延伸後の2つのチャック同士間の距離を表し、L2、L4はそれぞれ2つの延伸軸A,Bに沿った2軸延伸前の2つのチャック同士間の距離を表す)
ここで、2つの延伸軸A,Bは互いに直交している。また見かけ2軸延伸倍率における(L1/L2)と(L3/L4)はそれぞれ、1以上であればよく、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
前駆体フィルム10の一部のみが被加熱部20である場合には、2軸延伸後の前駆体フィルム10のうちその延伸部のみが切り出され、この切り出された延伸部が多孔フィルムとされる。この場合、上記式(1)における実質2軸延伸倍率は上記式(2)における見かけ2軸延伸倍率よりも大きくなる。このことは、被加熱部20は加熱されることで十分に延伸されて薄くなり、被加熱部20以外の部分は十分に加熱されないため、十分に延伸されず、薄くはならないことを意味する。
また前駆体フィルム10は、その全部が被加熱部20であってもよく、その一部のみが被加熱部20であってもよい。ここで、2軸延伸後の前駆体フィルム10の全部が延伸部である場合、前駆体フィルム10全体がそれぞれそのまま多孔フィルムとされる。なお、2軸延伸後の前駆体フィルム10の全部が延伸部となる場合、上記式(1)における実質2軸延伸倍率は、上記式(2)における見かけ2軸延伸倍率と等しくなる。
被加熱部20の延伸速度は、特に制限されるものではないが、より十分な生産性を確保する観点から、1mm/分以上であることが好ましい。但し、延伸速度は、前駆体フィルム10の被加熱部20を破断させることなく均一に2軸延伸するという観点からは、500mm/分以下であることが好ましい。なお、本発明の2軸延伸における延伸速度は、チャック間距離を基準にして算出した値である。なお、本発明の2軸延伸における延伸速度は、チャック間距離を基準にして算出した値である。
(延伸時の加熱温度)
前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度は前駆体フィルム10の融点未満の温度とする。前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度を前駆体フィルム10の融点以上の温度とすると、被加熱部20が溶融状態となり、延伸が十分に行われず、微細な開孔を有する多孔フィルムを得ることもできないためである。
前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度は前駆体フィルム10の融点未満の温度であればよい。前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度と前駆体フィルム10の融点との差は特に制限されるものではないが、50℃以下であることが好ましい。この場合、前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度と前駆体フィルム10の融点との差が50℃を超える場合に比べて、2軸延伸を容易に行うことができ、多孔フィルムをより効率よく製造できる。
前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度と前駆体フィルム10の融点との差は、フィルムの透明性を向上させるという観点からは、30℃以下であることがより好ましい。
但し、前駆体フィルム10の被加熱部20の加熱温度と前駆体フィルム10の融点との差は延伸性を向上させるという観点からは、1℃以上であることがより好ましい。
ここで、前駆体フィルム10の融点は通常は140〜170℃である。
本発明の製造方法によって得られる多孔フィルムは、微細な開孔を有するとともに、高強度であるため、例えばガス分離膜などを補強する補強材に好適に用いることができる。これは以下の理由によるものである。すなわち、多孔フィルムは微細な開孔を有するため、ガス分離膜を透過したガスを透過させることができ、多孔フィルムを通してガス分離膜にガスを供給することも可能になる。また多孔フィルムは高強度であるため、強度に劣るガス分離膜を支持することも可能となり、ガス分離膜の薄膜化も可能とするからである。
また本発明の製造方法によって得られる多孔フィルムは、微細な開孔を有しているため、それ自体、微細な粒子の流通を制限するフィルタとしても好適に用いることができる。特にポリアセタール樹脂は、耐溶剤性を有するため、本発明の製造方法で得られる多孔フィルムは、溶剤中で使用されるフィルタとして好適である。このようなフィルタとしては、電池のセパレータなどが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いたポリアセタール樹脂(以下、「POM」と呼ぶ)は以下の通りとした。なお、以下、「オキシメチレンユニット」を「OM」、「オキシアルキレンユニット」を「OA」と略称する。また、以下、MFRは、ASTM−D1238規格に基づき、190℃、2.16kgの条件で測定された値を言う。
(1)POM1
以下の特性を有するアセタールコポリマー
OM100モルに対するOAの導入量:1.4モル
MFR:2.5g/10分
融点:165℃
(2)POM2
以下の特性を有するアセタールコポリマー
OM100モルに対するOAの導入量:1.4モル
MFR:9.0g/10分
融点:165℃
(3)POM3
以下の特性を有するアセタールコポリマー
OM100モルに対するOAの導入量:0.6モル
MFR:9.0g/10分
融点:165℃
(4)POM4
以下の特性を有するアセタールコポリマー
OM100モルに対するOAの導入量:5.1モル
MFR:9.0g/10分
融点:155℃
(実施例1〜3)
まず120mm×120mm×厚さ2mmの正方形ステンレス板の上に、厚さ125μmの離型用ポリイミドフィルムを置き、次に120mm×120mm×厚さ0.50mmの正方形ステンレス板に105mm×105mmの窓をくり抜いたものを置き、その窓内に、表1に示されるPOM(POM1〜3)からなるペレットを約10g置いた。その上に厚さ125μmの離型用ポリイミド膜を置き、さらにその上に120mm×120mm×厚さ2mmの正方形ステンレス板を置いた。こうして第1構造体を得た。
こうして得られた第1構造体を、卓上プレス装置に設置された上下のプレス機構の間に挟み、160℃にて5分間保持した後、2.5MPa(シリンダー圧力30MPa)の圧力で5分間溶融プレス成形し、室温まで徐冷してから取出した。こうして厚さ500μmの第1フィルムを形成した。
この第1フィルムから、52mm×58mm×500μmの部分を第2フィルムとして切り出した。
次に、直径110mm×厚さ2mmの円盤状ステンレス板の上に、厚さ125μmの離型用ポリイミドフィルムを置き、次に直径110mm×厚さ0.30mmの円盤状ステンレス板に70mm×70mmの窓をくり抜いたものを置き、その窓内に上記第2フィルムを置いた。その上に厚さ125μmの離型用ポリイミド膜を置き、さらにその上に直径110mm×厚さ2mmの円盤状ステンレス板を置いた。こうして第2構造体を得た。そして、この第2構造体を200℃にて5分間保持した後、2.5MPa(シリンダー圧力30MPa)の圧力で5分間溶融プレス成形し、室温まで徐冷してから取り出した。こうして、厚さ300μmのプレスフィルムを作製した。そして、このプレスフィルムから、35mm×35mm×300μmの部分を切り出し、これを前駆体フィルムとした。
次に、この前駆体フィルムに対して2軸延伸機(アイランド工業社製、製品名「BIX704S」)を用いて以下のようにして2軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。すなわち、まず室温にて2軸延伸機の4つのチャックで前駆体フィルムを挟んでセットした後、この前駆体フィルムの一部を被加熱部としてこの被加熱部に熱風を吹き付けることにより被加熱部を、表1に示す延伸温度まで昇温し、この温度で5分間保持した後に上記前駆体フィルムの被加熱部に対して実質延伸倍率(実質2軸延伸倍率)が表1に示す値となるように且つ延伸速度20mm/分で同時2軸延伸を行った。そして、2軸延伸後の前駆体フィルムから、被加熱部を延伸して得られる延伸部を切り出した。こうして表1に示すフィルム厚さを有する延伸部からなる延伸フィルムを得た。なお、表1には、前駆体フィルム全体の見かけ2軸延伸倍率((L1/L2)×(L3/L4))も示した。
(比較例1)
実施例1の前駆体フィルムを比較例1のフィルム(未延伸フィルム)とした。
(比較例2)
実質延伸倍率(実質2軸延伸倍率)及び見かけ延伸倍率(見かけ2軸延伸倍率)が表1に示す値となるように2軸延伸を行ったこと以外は実施例1と同様にして厚さ12μmの延伸フィルムを得た。
(比較例3)
まず実施例1と同様にして前駆体フィルムを用意した。
次に、この前駆体フィルムに対して1軸延伸機(オリエンテック社製、製品名「テンシロン万能試験機RTC−1325A」)を用いて以下のようにして1軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。1軸延伸に用いた前駆体フィルムの厚みは500μmであり、初期試料長50mm(延伸される部位の長さ:3mm)、幅4mmのダンベル型に切り抜き、前駆体フィルムとした。恒温槽内にて所定の温度で前駆体フィルムをチャックにセットし、5分間保持した後に、延伸速度20mm/分で1軸延伸を行った。こうして表1に示すフィルム厚さを有する延伸部からなる延伸フィルムを得た。実質1軸延伸倍率は、下記式(3)で定義される。
実質1軸延伸倍率=Sbefore/Safter・・・(3)
(上記式(3)中、Sbeforeは前駆体フィルムにおける1軸延伸前の断面積を表し、Safterは1軸延伸後の延伸部の断面積を表す)
なお、表1には、前駆体フィルム全体の見かけ延伸倍率(見かけ1軸延伸倍率)(L1/L2)も示した。
(比較例4)
構成材料としてPOM1に代えてPOM4を用いたこと以外は実施例1と同様にして前駆体フィルムを作製した。そして、この前駆体フィルムの被加熱部に対して、延伸温度を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして2軸延伸を試みた。しかし、前駆体フィルムは延伸の途中で破れてしまい、2軸延伸を行うことができなかった。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた延伸フィルム又は未延伸フィルムについて以下のようにして特性評価を行った。
[特性評価]
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた延伸フィルム又は未延伸フィルムについて開孔の有無を確認した。開孔の有無は、原子間力顕微鏡(AFM)による観察結果、及び、窒素ガス透過係数の結果に基づいて確認した。
(1)AFMによる観察結果
まず、実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた延伸フィルム又は未延伸フィルムについてAFM(SIINT社製E−sweep)にて観察した。結果を表1に示す。表1において、開孔が見られた場合には「有」と表示し、開孔が見られなかった場合には「無」と表示した。なお、比較例4については前駆体フィルムの延伸ができなかったため、表1において「−」と表示した。また実施例1で得られた延伸フィルムについては、AFMによる観察結果を図2に示し、比較例3で得られた延伸フィルムについては、AFMによる観察結果を図3に示す。
(2)窒素ガス透過係数
窒素ガス透過係数の測定は、JIS K7126に準拠した差圧法を用いて行った。詳細に述べると、窒素ガス透過係数は、ガスクロマトグラフを検出器とし、差圧式ガス・蒸気透過率測定装置(製品名「GTR−30XAD、G6800T・F(S)」、GTRテック株式会社・ヤナコテクニカルサイエンス株式会社製)を用いて測定した。試験差圧は1atmとし、窒素ガスとしては乾燥状態のものを用いた。試験温度は23±2℃、透過面積は1.52×10−3(φ4.4×10−2m))とした。結果を表1に示す。なお、比較例4については前駆体フィルムの延伸ができなかったため、表1において「−」と表示した。
なお、延伸フィルム又は未延伸フィルムにおいて、微細な開孔が形成されているかどうかの判断基準は次の通りとした。すなわち、AFMによる観察結果で開孔が観察され、且つ、窒素ガス透過係数が1.0×10−14(mol・m/m・s・Pa)を超える場合には、微細な開孔が形成されているものと判断した。
(3)機械強度
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた延伸フィルム又は未延伸フィルムから、5mm×30mmの部分を切り出し、試験片を得た。また、比較例3で得られた延伸フィルムについては、幅が5mmより狭かったため、長さ30mmの部分を切り出し、試験片とした。そして、これらの試験片に対してボールドウィン株式会社製RTC−1325Aを用いて23±2℃で引張試験を行い、引張り速度20mm/minで記録された応力チャートの最大応力をフィルム断面積で割った値を引張強度とした。結果を表1に示す。なお、比較例4については前駆体フィルムの延伸ができなかったため、表1において「−」と表示した。
表1に示す結果より、実施例1〜3の延伸フィルムは開孔を有していることが分かった。しかも、窒素ガス透過係数が高いことから、開孔が貫通孔であることも分かった。これに対し、比較例1〜3の延伸フィルム又は未延伸フィルムは開孔を有していないことが分かった。また比較例4については、延伸フィルムを得ることができなかった。
従って、本発明の多孔フィルムの製造方法によれば、微細な開孔を有する多孔フィルムを容易に得ることができることが確認された。
10…前駆体フィルム
20…被加熱部
A…延伸軸
B…延伸軸

Claims (4)

  1. ポリアセタール樹脂を含む非多孔質の前駆体フィルムの少なくとも一部を被加熱部として加熱しながら2軸延伸することにより多孔化した延伸部からなる多孔フィルムを製造する多孔フィルムの製造方法であって、
    前記ポリアセタール樹脂において、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量が5モル以下であり、
    前記ポリアセタール樹脂のメルトフローレートが0.1〜30g/10分であり、
    前記前駆体フィルムの前記延伸部に対して下記式(1)で定義される実質2軸延伸倍率を、25倍を超える値とし、
    前記被加熱部を前記前駆体フィルムの融点未満の温度で加熱する、多孔フィルムの製造方法。
    実質2軸延伸倍率=dbefore/dafter・・・(1)
    (上記式(1)中、dbeforeは前記前駆体フィルムにおける2軸延伸前の厚さを表し、dafterは前記前駆体フィルムにおける2軸延伸後の前記延伸部の最小厚さを表す)
  2. 前記ポリアセタール樹脂において、オキシメチレンユニット100モルに対する炭素数2以上のオキシアルキレンユニットの導入量が0.5モル以上である請求項1に記載の多孔フィルムの製造方法。
  3. 前記前駆体フィルムの前記延伸部に対する前記実質2軸延伸倍率を500倍以下とする、請求項1又は2に記載の多孔フィルムの製造方法。
  4. 前記前駆体フィルムの前記被加熱部の加熱温度と前記前駆体フィルムの融点との差が50℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔フィルムの製造方法。
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