JP6350957B1 - トーラス室内機器の解体工法 - Google Patents
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また、解体物や細断装置をトーラス室内で移動させるために天井にレール及び揚重機をサプレッションチェンバのリング周方向に沿って設置しているが、設置のためには、作業足場を設置してあらかじめ天井に配設された配管等の構造物を撤去しなければならない。このため、作業足場の取り付け又は撤去に時間と労力を必要として効率的でない。
輪切りしたサプレッションチェンバを下方の搬送手段で前記トーラス室の細断エリアまで搬送する工程と、
前記細断エリアで前記サプレッションチェンバを小片化して解体し撤去する工程と、
を有し、
前記搬送手段は、レール及び搬送台車からなり、
前記レールは、前記サプレッションチェンバの下方の床面上で周方向に形成し、
前記搬送台車は、前記レール上を進退移動可能とし、前記サプレッションチェンバを輪切りする前に上面支持部をジャッキアップして支持することを特徴とするトーラス室内機器の解体工法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、細断装置を解体対象となる箇所まで移動する必要がなく、輪切り工程と解体工程を別々の箇所で行うことができる。これにより、細断装置を1箇所に固定できると共に、各工程の段取りなど待ち時間がなくなり作業を効率的に行うことができる。
また、トーラス室のサプレッションチェンバの下方の空いたスペースに他の設備機器と干渉することなく搬送手段を容易に取り付けることができる。また、搬送対象物を輪切り切断する前に上面支持部をジャッキアップして輪切りしたサプレッションチェンバを支持する構成であり、その他の場合はレール上で搬送台車を自由に進退移動させることができる。
上記第2の手段によれば、細断エリアで小片化した解体物を別の場所へ移動することなく、その場で上方の仮開口から容易に外部へ搬出することができる。
上記第3の手段によれば、細断エリアで小片化した解体物を仮開口部まで直ちに移動させることができ、解体及び搬出作業をタイムロスすることなく連続で行える。
上記第4の手段によれば、小片化する箇所や収容箱に収容する箇所となる細断エリアのスペースを確保できる。
前記移動式作業台車でベント管を切断する工程と
切断した前記ベント管を前記細断エリアに移動する工程と、
前記ベント管を小片化して解体し撤去する工程と、
を有することを特徴とするトーラス室内機器の解体工法を提供することにある。
上記第5の手段によれば、サプレッションチェンバなどの構造物を撤去して空いたトーラス室内で移動式作業台車を自由に移動させることができ、ベント管の撤去作業を効率良く行える。
前記高所作業車で天井部配管及び構造物を切断する工程と、
前記天井部配管及び構造物を前記細断エリアに移動する工程と、
前記天井部配管及び構造物を小片化して解体し撤去する工程と、
を有することを特徴とするトーラス室内機器の解体工法を提供することにある。
上記第6の手段によれば、サプレッションチェンバなどの構造物を撤去して空いたトーラス室内で高所作業車を自由に移動させることができ、天井部配管及び構造物の撤去作業を効率良く行える。
また第5の手段のベント管の撤去作業と干渉しないように並行して行うことにより解体時間の短縮化及び効率化を図ることができる。また撤去のための作業足場の組立て又は解体の作業が必要なく、撤去作業を短期化できる。
まず本発明の解体工法の対象となるトーラス室内機器について説明する。
図10は原子炉建屋の内部構造を示す概略説明図である。図示のように原子炉建屋1は、原子炉圧力容器2と、原子炉圧力容器2を収納する原子炉格納容器3を備えている。原子炉格納容器3は、ドライウェル4、ベント管5、サプレッションチェンバ(以下、単にS/Cということあり)6を有し、内部の圧力を保持すると共に、外部と放射性物質を遮断している。ドライウェル4はベント管5を介して原子炉の圧力上昇を抑制するサプレッションチェンバ6と連接している。サプレッションチェンバ6は、原子炉格納容器3の周囲で円環状に配設された構造物である。サプレッションチェンバ6は原子炉建屋1の地下階のトーラス室101に支持脚601を介して設置している。ベント管5は端部(サプレッションチェンバ6の内部)にベントヘッダ7とダウンカマー8を有している。ベントヘッダ7は、サプレッションチェンバ6の内部で環状に形成されて、複数のベント管5と接続している。ダウンカマー8はベントヘッダ7より分岐してサプレッションチェンバ6内の水中に開口するように設けられている。また、トーラス室101の天井には天井部配管及び構造物102がサプレッションチェンバ6の周方向に形成されている。
図1は本発明のトーラス室内機器の解体工法の処理フロー図である。
図2はステップ1の説明図であり、(A)は原子炉建屋1Fの平面図、(B)は原子炉建屋のトーラス室の側面断面図である。
1−1.まずサプレッションチェンバ6内の水抜きを行う。サプレッションチェンバ6は接続配管を介して外部タンク(不図示)と接続している。そこでサプレッションチェンバ6内の水を接続配管を介して外部タンクへ排出する。なお必要であればあらかじめ除染作業を行っている。
1−2.原子炉建屋1の1階床面に地下階のトーラス室101に通じる仮開口10を設ける準備として、施工箇所にある天井部配管又は構造物102の撤去作業を行う。
1−3.切断機を用いて1階床面に仮開口10を施工する。
このとき仮開口10は、小片化した細断物を収納可能な収容箱(図8参照)が通過可能な大きさに設定している。
図3はステップ2の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
2−1.トーラス室内101において、サプレッションチェンバ6と床面の間に平面視でC型状のレール20を敷設する。サプレッションチェンバ6の下面側であって、サプレッションチェンバ6の一対の支持脚601の間のスペースは、配管及び構造物が少ない。レール20はこのスペースを利用して敷設している。これにより、トーラス室101の天井部のように配管及び構造物をあらかじめ撤去する手間が少なく短時間で敷設できる。
ここで、レール20を敷設しない箇所は後述する室内機器の細断エリア(図5〜9参照)となる。
またレール20上に設置した運搬台車22とサプレッションチェンバ6の下面との間には隙間を設けてあり、切断したサプレッションチェンバ6を運搬台車22上に支持する際、上面支持部(台車上面)をジャッキアップするジャッキ(不図示)を取り付けている。
なお本発明ではレール20及び搬送台車22を搬送手段という。
図4はステップ3の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
3−1.細断エリアのベント管5とサプレッションチェンバ6の接続部分を切断するための作業足場501を組み立てる。作業足場501は、ベント管5とサプレッションチェンバ6が接続する箇所であって、ベント管5の外周を囲むように組み立てている。
3−2.作業足場501上から切断装置を用いてベント管5を切断する。
この他、ステップ4の工程に移行する前に、全てのベント管5の接続部分(図4では8カ所)に対して、個別に(又は複数)足場を組んであらかじめ切断しておいても良いが、足場組立の作業が増えることになる。
図5はステップ4の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
本発明では、トーラス室101内で解体した室内機器を小片化するエリアを細断エリア30という。細断エリア30は仮開口10と平面視において重なる箇所に設けている。
4−1.細断エリア30内にある天井部配管及び構造物102を解体して撤去する。具体的にはサプレッションチェンバ6の上面に上部足場103を組立てる。この上部足場103上から切断装置を用いて、天井部配管及び構造物102を切断して解体する。その後、解体物は仮開口10から外部へ撤去する。
なおサプレッションチェンバ6内の内部配管及び構造物の切断・解体は、前述の1/16に輪切り切断するサプレッションチェンバに相当する箇所を対象とし、後述するサプレッションチェンバ6の輪切り工程毎に行っている。
図6はステップ5の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
5−1.細断エリア30のトーラス室101内の天井に吊上げ手段を準備する。吊上げ手段は、一例としてサスペンション型クレーン40を適用することができ、モノレール42の一端を仮開口10付近に取り付けて、他端がレール20の一部と並列になるように取り付けている。
5−3.機械式切断装置50を用いて、サプレッションチェンバ6を1/16分割する。本実施形態の機械式切断装置50は、輪切り切断するサプレッションチェンバの外周に沿って支持リングを取り付け、支持リングに沿って周方向に移動する切断装置(一例としてTpi TOOL社製のミーリングカッター)を用いている(図6(B)中の破線で囲まれた部分にサプレッションチェンバ6の外周に取り付けた機械式切断装置50の一部拡大図を示す)。
図7はステップ6の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
6−1.1/16分割したサプレッションチェンバ6内部の内部足場602から、切断装置を用いて、サプレッションチェンバ6内のベントヘッダ7及びダウンカマー8などの内部配管及び構造物を切断、及びサプレッションチェンバ6内部から上面、側面、下面の順に切断する。
6−3.サプレッションチェンバ6の内部配管及び構造物と、サプレッションチェンバ6の上面、側面、下面を必要であれば小片化し、仮開口10から搬入した収容箱(図8参照)に箱詰めし、屋内クレーンを用いて逐次仮開口10から外部へ搬出する。
図8はステップ7の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
7−1.細断エリア30のサプレッションチェンバ6はステップ6の工程で撤去され、細断エリア30に細断作業及び箱詰め作業のためのスペースを設けることができる。本実施形態の細断エリア30は、この場所に固定化し、新たに空の収容箱60を仮置きし、解体物を収容箱60に搬入するために用いる吊り架構62を設置できる。
7−3.細断エリア30で小片化し解体物を収容箱60に箱詰めして屋内クレーン104を用いて仮開口10から外部へ搬出する。
以降7−2及び7−3の工程は、サプレッションチェンバ6が全て撤去されるまで繰り返し行う。トーラス室101内のサプレッションチェンバ6を全て撤去した後は、レール20及び運搬台車22を撤去する。
図9はステップ8の説明図であり、(A)はトーラス室の平面図、(B)はトーラス室の側面断面図である。
8−1.ベント管5を撤去するための移動式作業足場70を準備する。ここで本実施形態の移動式作業足場70は、一例として、組み上げた足場の下部に台車を設けた構成であり、手動又は電動でトーラス室101内を自由に移動することができる。
8−3.天井部配管及び構造物102を解体するための高所作業車80を準備する。ここで、本実施形態の高所作業車80は、一例として、車両部82と、作業台84と、車両部82と作業台84の間に昇降部86を備え、昇降部86により作業台84を任意の高さに上下移動させつつ、車両部82でトーラス室101内を自由に移動することができる。
なおベント管5の撤去工程は、天井部配管及び構造物102の撤去工程と互いに干渉しないように同時に行うことにより作業時間の短縮化につながり効率が良い。
2………原子炉圧力容器、3………原子炉格納容器、4………ドライウェル、
5………ベント管、501………作業足場、
6………サプレッションチェンバ、601………支持脚、602………内部足場、
7………ベントヘッダ、8………ダウンカマー、10………仮開口、12………上部開口、
20………レール、22………運搬台車、
30………細断エリア、
40………サスペンション型クレーン、42………モノレール、
50………機械式切断装置、
60………収容箱、62………吊り架構、
70………移動式作業足場、
80………高所作業車。
Claims (6)
- 原子炉建屋のトーラス室に収容されるサプレッションチェンバの一部を輪切りして分割する工程と、
輪切りしたサプレッションチェンバを下方の搬送手段で前記トーラス室の細断エリアまで搬送する工程と、
前記細断エリアで前記サプレッションチェンバを小片化して解体し撤去する工程と、
を有し、
前記搬送手段は、レール及び搬送台車からなり、
前記レールは、前記サプレッションチェンバの下方の床面上で周方向に形成し、
前記搬送台車は、前記レール上を進退移動可能とし、前記サプレッションチェンバを輪切りする前に上面支持部をジャッキアップして支持することを特徴とするトーラス室内機器の解体工法。 - 前記細断エリア上の原子炉建屋の上階に前記細断エリアに通じる仮開口を設けて、解体物の収容箱を搬入又は搬出することを特徴とする請求項1に記載のトーラス室内機器の解体工法。
- 前記細断エリアの天井部の配管及び構造物を一部撤去した後に取り付けた吊上げ手段で前記サプレッションチェンバを小片化した解体物を搬送することを特徴とする請求項1又は2に記載のトーラス室内機器の解体工法。
- 前記細断エリアにある前記サプレッションチェンバから輪切りして分割し、小片化して解体し撤去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のトーラス室内機器の解体工法。
- 前記トーラス室内の前記サプレッションチェンバを撤去した後、移動式作業台車を準備する工程と、
前記移動式作業台車でベント管を切断する工程と
切断した前記ベント管を前記細断エリアに移動する工程と、
前記ベント管を小片化して解体し撤去する工程と、
を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載のトーラス室内機器の解体工法。 - 前記トーラス室内の前記サプレッションチェンバを撤去した後、高所作業車を準備する工程と、
前記高所作業車で天井部配管及び構造物を切断する工程と、
前記天井部配管及び構造物を前記細断エリアに移動する工程と、
前記天井部配管及び構造物を小片化して解体し撤去する工程と、
を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1に記載のトーラス室内機器の解体工法。
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