JP6350234B2 - イオンビーム照射装置及びこれに用いられるプログラム - Google Patents

イオンビーム照射装置及びこれに用いられるプログラム Download PDF

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Description

本発明は、イオンビームをウエハ等に照射するイオンビーム照射装置等に関するものである。
例えば液晶ディスプレイや半導体装置の製造において、液晶ガラス基板や半導体基板といった被処理物にリン(P)やボロン(B)などの不純物を注入するために、イオンビーム照射装置が用いられる。
このようなイオンビーム照射装置に用いられるイオン源は、内部でプラズマを発生させるプラズマ生成容器と、該プラズマ生成容器の内部に設置された複数のフィラメントを有したものであり、これら各フィラメント電流を流して加熱することにより熱電子を放出させ、プラズマ生成容器内の材料ガス分子に衝突させてプラズマを発生させるとともに、該プラズマを引出し電極系により引き出してイオンビームとして加速可能に構成してある。
このようにして所定のエネルギーにまで加速されたイオンビームは、被処理物の表面に照射されるが、この被処理物の各部位に対するイオン注入量を均一化するために、従来のイオンビーム照射装置には、イオンビームに交差する面内における複数位置にイオンビーム電流を計測するビーム電流センサ(例えばファラデーカップ)が設けられている。そして、これらビーム電流センサによってそれぞれ計測された各ビーム電流から得られるイオンビームのビームプロファイルを見て、各フィラメントへ流す電流をオペレータが調整し、イオンビームを均一化できるようにしてある。
さらに近時では、特許文献1及び特許文献2に示されるように、イオン注入量を均一化すべく、各フィラメントへ流す電流を自動で制御する制御装置を設けたものも考えられている。このような制御装置においては、いずれも、ビーム電流センサがフィラメントの数にグループ分けしてあり、各フィラメントに対応する複数のビーム電流センサ(すなわちグループ)が定めてある。
そして、特許文献1では、グループごとのビーム電流センサの平均電流、すなわちグループ単位でビーム電流の平均を計測し、グループ単位で、その平均ビーム電流が目標電流に合致するように、対応するフィラメントの電流を制御してビーム電流の均一化を図るようにしてある。
特許文献2では、グループごとのビーム電流センサの平均電流を計測し、その平均電流が目標電流に合致するように、各フィラメントの電流を制御するが、その制御にあたって、各グループの平均電流に及ぼす各フィラメント電流の影響度、つまり重みを予め求めておき、その重みにしたがって各フィラメントの電流を制御してビーム電流の均一化を図るようにしてある。
しかしながら、上記いずれの制御装置も、グループごとのビーム電流センサの平均電流のみに基づいてフィラメント電流を制御するため、グループ内での各ビーム電流センサの計測電流、すなわちイオンビームの各位置でのビーム電流にバラつきが生じたり、それを解消するために、ビーム電流の均一化ルーチンを繰り返し行わなければならなかったりする。
要するに、各フィラメントから射出されるイオンビームは、理想的にガウシアン分布状をなすものであり、各ビーム電流センサにおいて本来それぞれ異なる電流値となるため、ビーム電流センサをグループ分けしその平均値だけをみて制御するという前記特許文献1や特許文献2の構成によってビーム電流を均一化するには限界がある。
特開2000−315473号公報 特開2008−293724号公報
本発明は、かかる不具合に鑑みてなされたものであって、ビーム電流の均一化を確実かつ短時間で行うことのできるイオンビーム照射装置及びこれに用いられるプログラムを提供すべく図ったものである。
すなわち本発明に係るイオンビーム照射装置は、独立して電流を流すことの可能な複数のフィラメントを有するイオン源と、前記イオン源から引き出されたイオンビームのビーム電流を当該イオンビームに交差する面内における複数位置において計測するものであって前記フィラメントの数以上の数のビーム電流センサと、前記各フィラメントに流すフィラメント電流を制御する制御装置とを具備したイオンビーム照射装置である。
そして、前記制御装置が、全部又は一部のビーム電流センサで得られたビーム電流の平均値を演算して、その平均値が所定の目標範囲に入るように各フィラメント電流を制御する平均ビーム電流制御ルーチンを実行した後、各ビーム電流を均一化するためのフィラメント理論電流をそれぞれ算出し、出力する均一制御ルーチンを実行するものであり、
前記均一制御ルーチンにおいて前記制御装置が、各フィラメント電流の変化が各ビーム電流の変化に及ぼす度合いである重み係数を算出する重み係数算出ルーチンと、前記重み係数算出ルーチンで得られた重み係数に基づいて、各ビーム電流の値を所定の目標電流値に可及的に近づけるための各フィラメントの理論電流値をそれぞれ算出するフィラメント理論電流計算ルーチンとを実行することを特徴とする。
短時間でかつ有効な重み係数を求めるための具体的実施態様としては、前記重み係数算出ルーチンにおいて制御装置が、前記平均ビーム電流制御ルーチンで設定された各フィラメント電流を初期値として、各フィラメントの電流を順に所定値だけ変化させ、それによって生じる各ビーム電流の変化量に基づいて、前記重み係数を算出するように構成したものを挙げることができる。
フィラメント理論電流を実際にフィラメントに流すだけでは、ビーム電流の均一性は実現できても、ビーム電流全体として過不足が生じる可能性がある。これを解消するには、例えば、前記制御装置が、前記均一制御ルーチンの後、前記平均ビーム電流制御ルーチンを再度実行するようにしておけばよい。
ビーム電流の均一性のみを過度に追求すると、制御性が悪化したり、各フィラメント電流に不均一が生じて特定のフィラメントに負荷がかかり、製品寿命やメンテナンス期間が短くなったりする可能性がある。
この課題を解決するためには、均一制御ルーチンにおいて前記制御装置が、前記フィラメント理論電流計算ルーチンで得られた各フィラメントの理論電流値を補正するフィラメント理論電流補正ルーチンをさらに実行し、このフィラメント理論電流計算ルーチンにおいて前記制御装置が、前記フィラメント理論電流からイオンビームの理論上の均一性を計算し、この理論上のビーム均一性が前記目標電流値を含む所定の範囲に入っているという条件を満たす限りにおいて、各フィラメント理論電流の値のバラつきが減少する方向に、一部のフィラメント理論電流を所定値だけ変化させる補正を行うようにしておくことが望ましい。
このように構成した本発明によれば、従来のようなグループ分けした一群のビーム電流の平均に基づいてフィラメント電流を制御するのではなく、各計測位置におけるビーム電流の値に基づいて各フィラメント電流を制御するので、より精度の高いビーム電流の均一化を図ることができる。
一方、このような各ビーム電流の値に基づく制御は、多値、多パラメータとなり、フィードバック制御のみでは安定するまでに時間がかかったり、安定しないことも十分ありうるが、ここでは、各ビーム電流の均一性を実現できるフィラメント電流を、理論計算によってフィードフォワード的に求めているため、短い時間で安定性よく各ビーム電流の均一化を図ることができる。
また、平均ビーム電流制御ルーチンを理論計算の前に実行し、その実行結果に基づいて理論計算を行うので該理論計算の精度がより向上するとともに、フィラメント理論電流だけでは補えないフィラメント電流の過不足を回避することもできる。
本発明の一実施形態におけるイオンビーム照射装置の全体構成を示す模式図。 同実施形態の制御部の動作を示すフローチャート。 同実施形態の制御部の動作を示すフローチャート。 同実施形態の制御部の動作を示すフローチャート。 同実施形態の制御部の動作を示すフローチャート。 本発明の他の実施形態の制御部の動作を示すフローチャート。 同実施形態の制御部の動作を示すフローチャート。
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
このイオンビーム照射装置100は、例えば非質量分離型イオン注入装置に用いられるものであり、図1に示すように、イオン源2から引出し電極機構3を介して引き出した大面積のイオンビームBを、質量分離器を通すことなく、そのまま被照射体Wに照射してイオン注入できるようにしたものである。イオン注入時は、必要に応じて、被照射体WをイオンビームBの照射領域内で、例えば紙面の表裏方向に、機械的に走査しても良い。被照射体Wは、例えばガラス基板、半導体基板等である。
前記イオン源2は、バケット型イオン源(または多極磁場型イオン源)とも呼ばれるものであり、イオン源ガスが収容されたプラズマ生成容器21と、このプラズマ生成容器21内に設けられた複数(例えば10個)のフィラメント22と、各フィラメント22にそれぞれ独立に電流を供給する同数のフィラメント電源23とを具備してなる。
そして、各フィラメント22にフィラメント電源23からフィラメント電流IFを流してこれを加熱し、熱電子を発生させてプラズマ生成容器21との間でアーク放電を生じさせ、イオン源ガスを電離させてプラズマ8を生成するとともに、前記引出し電極機構10によって、このプラズマ8から前記イオンビームBを引き出すことができるように構成してある。
さらにこのイオンビーム照射装置100には、イオンビームBに交差する面内における所定各位置でのビーム電流IBを測定するための複数のビーム電流センサ3と、これらビーム電流センサ3によって計測されたビームプロファイルを目標値(ここでは均一な所定値)に近づけるべく、フィラメント電源23を通じて前記各フィラメント22に流す電流IFを制御する制御装置4とが設けられている。
前記ビーム電流センサ3は、例えばファラデーカップ等から構成したものであり、フィラメント22の数よりも多い複数(例えば59個)が、イオンビームBの照射領域内であってその断面長手方向に平行に直列配置されている。なお、このビーム電流センサ3によるイオンビームBの計測時には、被照射体WはイオンビームBを遮らない位置に退避移動させてある。また、ビーム電流センサの数とフィラメントの数とは同数であってもよい。
制御装置4は、図示しないCPU、メモリ、I/Oポート、ADコンバータなどを備えたデジタル乃至アナログ電子回路からなるものであり、前記メモリに記憶させた所定のプログラムにしたがってCPUやその周辺機器が共働することによって、ビーム電流センサ3から得られるビームプロファイルが所定の均一範囲となるようにフィラメント電源23を制御する均一化ルーチンを実行するものである。
次に、前記均一化ルーチンの詳細を説明する。ここでの均一化ルーチンは、後述する均一制御ルーチンと平均ビーム電流制御ルーチンとを含むものである。また、この実施形態では、次々搬送されてくる各被照射体Wがイオン注入位置に設置される前に、都度均一化ルーチンを実行するようにしているが、被照射体ロットごとに均一化ルーチンを実行するなど、その実行タイミングは適宜変更可能である。
しかして、前記均一化ルーチンにおいて制御装置4は、図2に示すように、まず、各フィラメント電源23に指令を出して予め定めた初期電流を各フィラメント22に流し(ステップS1)、続いて平均ビーム電流制御ルーチンを実行する(ステップS2)。
この平均ビーム電流制御ルーチンにおいては、図3に示すように、制御装置4は、全ての各ビーム電流センサ3によってビーム電流IBをそれぞれ計測し(ステップSb11)、計測した各ビーム電流IBの平均値を演算する(ステップSb12)。そして、演算した平均値が設定値の許容範囲内にあるか否か判断し(ステップSb13)、許容範囲内に無い場合、平均値が許容範囲内になるまで、全てのフィラメント電流IFをそれぞれほぼ同じ量だけ増減させるステップ(ステップSb14〜Sb16)を繰り返す。
なお、この平均ビーム電流制御ルーチンにおいては、特許文献1に示すようにグループごとのビーム電流センサの平均電流を計測し、各グループの平均電流が目標電流にそれぞれ合致するように、対応するフィラメントの電流を制御するようにしてもよい。
また、全てのビーム電流センサのうちのいくつかを予め選定しておき、その選定したビーム電流センサで計測されたビーム電流の平均値に基づいて、フィラメントの電流を制御するようにしてもよい。
次に、前記平均ビーム電流制御ルーチンによって、計測した各ビーム電流IBの平均値が設定値の許容範囲内になると、前述したように制御装置4は均一制御ルーチンを実行する。
この均一制御ルーチンにおいて、制御装置4は、図2に示すように、重み係数算出ルーチン(ステップS3)をまず実行する。
この重み係数算出ルーチンでは、図4に示すように、制御装置4は、各フィラメント22の電流IF(j=1、2、・・・、M)を順に所定値(ここでは、例えば単位量(1A))だけ変化させ、それによる各ビーム電流IB(i=1、2、・・・、N)の変化量をそれぞれ計測して(ステップSb21〜Sb26)、その値をメモリの所定領域に格納する。そして、メモリに格納された前記各ビーム電流IBの変化量に基づいて、各フィラメント電流IFの変化が、各ビーム電流IBの変化に及ぼす度合い、つまり重み係数aijを算出する(ステップSb27)。ここでの重み係数aijは、各フィラメント電流IFをそれぞれ単位量だけ変化させたときの各ビーム電流IBの変化量としている。
なお、前記重み係数算出ルーチンにおいて、重み係数を求めるために電流を変化させるフィラメント22は、通常運転時に使用される、あるいは稼動中の全てのフィラメント22という意味である。この種のイオン照射装置においては、使用中のフィラメントが断線、消耗した際に代替させるための予備フィラメントを有している場合があり、このような予備フィラメントは含まないという意味である。また、全てのビーム電流センサを用いる必要はなく、一部のみ(例えば1つおき)を用いて残りは推定によって重み係数を求めるなどしてもよい。
次に、制御装置4は、前記重み係数aijに基づいて、各ビーム電流IBを目標電流に合致させることのできる、各フィラメントの電流値(以下、フィラメント理論電流ともいう。)を算出する(ステップS4、フィラメント理論電流計算ルーチン)。
その算出理論を以下に説明する。
i番目のビーム電流センサ3で計測されたビーム電流IB(i=1、2、・・・N)は、以下の式(数1)で表すことができる。
ここで、aijは、j番目のフィラメント電流IF(j=1、2、・・・、M)を単位量(1A)増加させた時のiカップ目のビーム電流の増加量[μA/A]を表し、前記重み係数算出ルーチンでの計測結果から算出されたものである。係数Cは、aijがフィラメント電流値に対して非線形な値を持っており、その非線形性により生じる電流値のずれを補うためのオフセット係数である。
イオンビームBの均一性を向上させるには、式(数1)に示される各ビーム電流IBが目標電流(一定値)になるよう、各フィラメント電流IFを変化させればよい。
フィラメント電流IFをΔIFだけ変化させたとき、式(数1)は、以下の式(数2)で表される。
と表される。ここで、ΔIBはフィラメント電流の変化によるビーム電流の変化量を表す。
式(数2)より、各ビーム電流の変化量ΔIBは、以下の式(数3)で表される。
そこで、各ビーム電流の計測値を所定の目標値にするための偏差を前記ΔIBとおいた場合、均一制御には、式(数3)で表される各ΔIB(i=1、2、・・・N)を同時に満たすΔIF(j=1、2、・・・、M)を求める必要がある。つまり、N個の式の連立方程式の厳密解を求める必要がある。しかし、そもそも変数と式の数が一致していない場合があり、その場合は、厳密解が存在しないことも生じ得るため、ここでは厳密解ではなく、最小二乗法による近似解を求めるようにしている。
すなわち、ΔIBと式(数3)の残差の二乗和Sは、
で表される。
近似解の条件は、ΔIF(j=1、2、・・・、M)の微小変化に対して、残差の二乗和Sの変化がゼロになることである。具体的には極小値を求めれば良く、その条件が下記式(数5)で表される。
すなわち、式(数4)と式(数5)より、下記式(数6)で表されるM個の式からなる連立方程式の解を求めれば良い。
式(数6)は、下記式(数7)と展開され、式(数7)を満たすΔIF(j=1、2、・・・、M)を求めればよい。
式(数7)はM個の変数を持ち、同数の一次方程式で構成されるため、クラメルの公式が適用できる。クラメルの公式より式(数7)の解は、
で与えられる。ここで行列Xは下記式(数9)で表されるものであり、行列Xは行列Xの第j列を式(数7)の右辺で置き換えた行列を表す。
以上より、ビーム電流制御に必要なフィラメント電流値の組を求めることができる。実際には、制御装置4は、フィラメント理論電流計算ルーチン(ステップS4)において、式(数8)またはそれと均等な式から各フィラメント22に流すべき理論電流を計算する。
次に制御装置4は、前記フィラメント理論電流を各フィラメント22に実際に流す(ステップS5)。
以上で、均一制御ルーチンを終了する。
次に、制御装置4は、前記ステップS2と同様の平均ビーム電流制御ルーチンを再度実行する(ステップS6)。
そして、計測した各ビーム電流IBが、所定の目標範囲に入っているかどうか、すなわち、均一性が所定範囲内かどうかを判定する(ステップS7)。そして、均一性が満たされていれば、この均一化ルーチンを終了し、そうでなければステップS3に戻る。
以上の構成によれば、従来のようなグループ分けした一群のビーム電流の平均に基づいてフィラメント電流を制御するのではなく、各計測位置におけるビーム電流の値に基づいて各フィラメント電流を制御するので、より精度の高いビーム電流の均一化を図ることができる。
一方、このような各ビーム電流の値に基づく制御は、多値、多パラメータとなり、フィードバック制御のみでは安定するまでに時間がかかったり、安定しないことも十分ありうるが、ここでは、各ビーム電流の均一性を実現できるフィラメント電流を、例えば最小二乗法を応用した理論計算によってフィードフォワード的に求めているため、短い時間で安定性よく各ビーム電流の均一化を図ることができる。また、平均ビーム電流制御ルーチンを理論計算の前に実行し、その実行結果に基づいて理論計算を行うので該理論計算の精度(特に重み係数の精度)がより向上するとともに、理論計算の後にも平均ビーム電流制御ルーチンを実行するので、フィラメント理論電流だけでは補えないフィラメント電流の過不足を修正することもできる。
さらに、この実施形態では、各被照射体ごとに、あるいはロットごとに前記各ルーチンを実行するので、フレッシュなデータを使用することができ、装置のコンディション変化に対応できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
この第2実施形態では、図5に示すように、前記均一化ルーチンにおいて、フィラメント理論電流計算ルーチンの後に、該ルーチンで算出したフィラメント理論電流を補正するフィラメント理論電流補正ルーチン(ステップS4’)を実行する点が異なっている。
このフィラメント理論電流補正ルーチンは、均一なビーム電流を得るための最適化された理論フィラメント電流そのものを直ちに出力してしまうのではなく、ビーム電流の均一性が最適値よりやや緩めの許容範囲内にあることを条件に、各フィラメント理論電流の値を平均化される方向に補正するためのものである。
次に、このフィラメント理論電流補正ルーチンについて詳述する。
このフィラメント理論電流補正ルーチンにおいて、制御装置4は、図6に示すように、まずフィラメント電流理論計算ルーチンで求めたフィラメント理論電流をそのまま出力するか(すなわち、図5に示すステップS5に進むか)、補正のための再計算を行うかのいずれかを判断する出力/再計算判定ルーチンを実行する。
より具体的には、この出力/再計算判定ルーチンにおいて、制御装置は、図7に示すように、前記フィラメント理論電流からイオンビームB(又は各ビーム電流)の理論上の均一性を計算する(ステップSb41)。
そして、この理論上のビーム均一性が所定の範囲に入っているかどうかを判断し(ステップSb42)、入っていない場合、前記フィラメント理論電流をそのまま出力すると判断する(ステップSb45)。その理由は、このフィラメント理論電流補正ルーチンが、前述したように理論上のビーム均一性の最適値を緩和する方向の補正を施すものであるから、この判断時点(ステップSb42)で、理論上のビーム均一性が所定の範囲に入っていない場合は、この後のフィラメント理論電流補正ルーチンを行うことによってさらに理論上のビーム均一性が悪くなり、前記許容範囲を外れてしまうからである。
一方で、理論上のビーム均一性が所定の範囲に入っている場合は、さらに各フィラメントの制御前電流と各フィラメントの前記理論電流との差の絶対値の平均が所定値以下かどうかを判断する(ステップSb43)。所定値以下であれば、前記フィラメント理論電流をそのまま出力すると判断して(ステップSb45)、図5に示すステップS5に進む。その理由はaijの非線形性の影響が小さいと判断できるからである。一方、そうでなければ、再計算要、つまり補正要と判断する(ステップSb44)。
しかして、この出力/再計算判定ルーチンにおいて再計算要と判断した場合、制御装置4は、制御前電流値と理論電流値との差が最も大きいフィラメントを抽出し、その抽出したフィラメント(以下、FILext1ともいう。)の理論電流値を、その差を打ち消す方向に所定値だけ変える(ステップSb32)。
次に、制御装置4は、FILext1を除外して前記フィラメント電流理論計算ルーチンを実行する(ステップSb33)。
そして、再度、出力/再計算判定ルーチンを実行し(ステップSb34)、前記フィラメント理論電流をそのまま出力すると判断した場合は、ステップSb35に進み、平均理論電流の値から最も離れた値の理論電流を有するフィラメントが前記FILext1かどうかを判断する。
そして、前記FILext1であった場合は、ステップSb32に戻る。
そうでなければ、制御装置4は、フィラメント制御前電流値とフィラメント理論電流値との差が最も大きいフィラメントを新たに抽出し、前記同様の手順を繰り返す(ステップSb36〜ステップSb311・・・)。
かかる第2実施形態によれば、イオンビームの均一化を担保しつつ、制御前のフィラメント電流値、つまり平均ビーム電流制御ルーチンで設定されたフィラメント電流値とフィラメント理論電流値との差を少なくし、実際に流す各フィラメント電流の均一性を向上させることができる。
これは、フィラメント電流値の増加量に対する、ビームへの依存性が比例の関係にないことに着目したことによって初めてなされたものであり、これによって、取得した重み係数による理論計算と、実際の均一性との誤差を少なくすることが可能となる。ひいては、前記第1実施形態よりも制御性、制御安定性に優れるという効果を得られる。
さらに、フィラメントの均一性も良い値に保てる。これにより、特定のフィラメントだけに負荷が掛かるのを避けることができる。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
100・・・イオンビーム照射装置
2・・・イオン源
22・・・フィラメント
3・・・イオン電流センサ
4・・・制御装置
IB・・・ビーム電流
IF・・・フィラメント電流

Claims (5)

  1. 独立して電流を流すことの可能な複数のフィラメントを有するイオン源と、前記イオン源から引き出されたイオンビームのビーム電流を当該イオンビームに交差する面内における複数位置において計測するものであって前記フィラメントの数より多い数のビーム電流センサと、前記各フィラメントに流すフィラメント電流を制御する制御装置とを具備したイオンビーム照射装置において、
    前記制御装置が、全部又は一部のビーム電流センサで得られたビーム電流の平均値を演算して、その平均値が所定の目標範囲に入るように各フィラメント電流を制御する平均ビーム電流制御ルーチンを実行した後、各ビーム電流を均一化するためのフィラメント理論電流をそれぞれ算出し、出力する均一制御ルーチンを実行するものであり、
    前記均一制御ルーチンにおいて前記制御装置は、各フィラメント電流の変化が各ビーム電流の変化に及ぼす度合いである重み係数を算出する重み係数算出ルーチンと、前記重み係数算出ルーチンで得られた重み係数に基づいて、各ビーム電流の値を所定の目標電流値に可及的に近づけるための、各フィラメントの理論電流値をそれぞれ算出するフィラメント理論電流計算ルーチンとを実行することを特徴とするイオンビーム照射装置。
  2. 前記制御装置が、前記均一制御ルーチンの後、前記平均ビーム電流制御ルーチンを再度実行するものであることを特徴とする請求項1記載のイオンビーム照射装置。
  3. 前記重み係数算出ルーチンにおいて前記制御装置は、前記平均ビーム電流制御ルーチンで設定された各フィラメント電流を初期値として、各フィラメントの電流を順に所定値だけ変化させ、それによって生じる各ビーム電流の変化量に基づいて、前記重み係数を算出することを特徴とする請求項1又は2記載のイオンビーム照射装置。
  4. 前記均一制御ルーチンにおいて前記制御装置が、前記フィラメント理論電流計算ルーチンで得られた各フィラメントの理論電流値を補正するフィラメント理論電流補正ルーチンをさらに実行し、
    このフィラメント理論電流計算ルーチンにおいて前記制御装置は、前記フィラメント理論電流からイオンビームの理論上の均一性を計算し、この理論上のビーム均一性が前記目標電流値を含む所定の範囲に入っているという条件を満たす限りにおいて、各フィラメント理論電流の値のバラつきが減少する方向に、一部のフィラメント理論電流を所定値だけ変化させる補正を行うことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のイオンビーム照射装置。
  5. 独立して電流を流すことの可能な複数のフィラメントを有するイオン源と、前記イオン源から引き出されたイオンビームのビーム電流を当該イオンビームに交差する面内における複数位置において計測するものであって前記フィラメントの数より多い数のビーム電流センサと、前記各フィラメントに流すフィラメント電流を制御する制御装置とを具備したイオンビーム照射装置の該制御装置に搭載されるプログラムであって、
    前記制御装置が、全部又は一部のビーム電流センサで得られたビーム電流の平均値を演算して、その平均値が所定の目標範囲に入るように各フィラメント電流を制御する平均ビーム電流制御ルーチンを実行した後、各ビーム電流を均一化することの可能なフィラメント理論電流をそれぞれ算出し、出力する均一制御ルーチンを実行し、
    前記均一制御ルーチンにおいて前記制御装置が、前記平均ビーム電流制御ルーチンで設定された各フィラメント電流を初期値として、各フィラメントの電流を順に所定値だけ変化させ、それによって生じる各ビーム電流の変化量に基づいて、各フィラメント電流の変化が各ビーム電流の変化に及ぼす度合いである重み係数を算出する重み係数算出ルーチンと、
    前記重み係数算出ルーチンで得られた重み係数に基づいて、各ビーム電流の値が所定の目標電流値に可及的に近づけるための、各フィラメントの理論電流値を算出するフィラメント理論電流計算ルーチンとを実行するように当該制御装置を機能させることを特徴とするプログラム。
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