以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態によるクレーンの上部旋回体の構成について説明する。
この第1実施形態による上部旋回体16は、図1に示すようなクレーン10に用いられる。クレーン10は、複数の構成部品に分解可能となっており、吊り作業を行うときには図1に示す組立状態をとり、輸送時には複数の構成部品に分解されて輸送車両(トラックやトレーラー等)に積載される分解輸送状態をとる。輸送車両が公道を通行するときには、法令で定められた寸法の制限を遵守する必要があるため、クレーンの輸送時には、輸送車両に積載された状態で寸法の制限値内に収まるような大きさ及び単位の構成部品にクレーンが分解される必要がある。なお、公道通行時の寸法の制限値には、輸送車両の前後方向における長さの制限値と、輸送車両の左右方向における幅の制限値とがあるが、前後方向における長さの制限値に比べて左右方向における幅の制限値の方が小さい。クレーン10は、上述したように組立状態と分解輸送状態とをとり得るが、以下、特に断らない限り、クレーン10は組立状態をとっているものとする。
クレーン10は、移動式クレーンであり、下部走行体12と、下部走行体12に取り付けられる旋回支持体14と、旋回支持体14を介して下部走行体12上に旋回自在となるように搭載される上部旋回体16とを備える。
下部走行体12は、クローラ式で自走可能な走行体であり、本発明の下部本体の一例である。なお、下部走行体として、ホイール式の走行体が用いられてもよい。
旋回支持体14は、下部本体12に対して上部旋回体16が旋回自在となるように当該上部旋回体16を支持するものである。旋回支持体14としては、例えば旋回ベアリングが用いられる。
上部旋回体16は、旋回支持体14上に取り付けられ、上部旋回体16のベースとなる旋回フレーム20と、その旋回フレーム20に起伏自在となるように取り付けられたブーム40とを備える。また、図示を省略しているが、上部旋回体16は、カウンタウェイト、運転室、エンジン及びウィンチ等も備えている。
旋回フレーム20は、下部走行体12に対して旋回自在となるように旋回支持体14を介して下部走行体12上に搭載される。図略のカウンタウェイト、運転室、エンジン及びウィンチ等は、旋回フレーム20に取り付けられる。以下の説明において、「前後方向」及び「左右方向」という用語が出てくるが、「前後方向」とは、クレーン10の組立状態においてブーム40の軸方向が水平面と平行になるようにブーム40が倒伏された状態(図1中に実線で示されたブーム40を参照)でブーム40の軸方向に一致する方向のことであり、「左右方向」とは、前記前後方向に直交し且つ水平面と平行な方向のことである。
旋回フレーム20は、前後方向において複数の部材に分解可能に構成されている。旋回フレーム20は、図2に示すように、前側フレーム21と、後側フレーム22と、旋回支持体取付部27と、一対の取付ブラケット39とを備える。
前側フレーム21は、旋回フレーム20の前部を構成しており、本発明のメインフレームの概念に含まれるものである。前側フレーム21には、旋回支持体取付部27と一対の取付ブラケット39とが設けられている。後側フレーム22は、旋回フレーム20の後部を構成しており、本発明のサブフレームの概念に含まれるものである。後側フレーム22は、前側フレーム21の後方に配置されて前側フレーム21に分離可能な状態で結合されている。従って、旋回フレーム20は、前後方向において、旋回支持体取付部27及び取付ブラケット39が設けられた前側フレーム21と、後側フレーム22とに分解可能となっている。
前側フレーム21の左右方向の寸法WFFは、前側フレーム21の前後方向の寸法LFFよりも大きく、また、後側フレーム22の左右方向の寸法WRFよりも大きい。前側フレーム21と後側フレーム22とは、両フレーム21,22の左右方向の中心位置が同一直線上に位置する状態で互いに結合され、その状態において、両フレーム21,22は、上から見てT字状をなすように配置される。
クレーン10の輸送時には、前側フレーム21と後側フレーム22とは、互いに分離されてそれぞれ輸送車両に積載される。この際、前側フレーム21は、クレーン10の組立状態における当該前側フレーム21の左右方向が輸送車両の前後方向(車長方向)に一致し、且つ、クレーン10の組立状態における当該前側フレーム21の前後方向が輸送車両の左右方向(車幅方向)に一致する状態で輸送車両に積載される。クレーン10の組立状態における前側フレーム21の左右方向の寸法WFFは、輸送車両が公道を通行する時の輸送制限幅よりも大きい。また、クレーン10の組立状態における前側フレーム21の前後方向の寸法LFF、すなわちクレーン10の分解輸送状態における前側フレーム21の左右方向の寸法は、前記輸送制限幅以下である。なお、前側フレーム21の前後方向の寸法LFFは、前記輸送制限幅と等しい又はほぼ等しいことが好ましい。
また、後側フレーム22は、輸送時には、クレーン10の組立状態における当該後側フレーム22の左右方向が輸送車両の左右方向に一致し、且つ、クレーン10の組立状態における当該後側フレーム22の前後方向が輸送車両の前後方向に一致する状態で輸送車両に積載される。クレーン10の組立状態における後側フレーム22の左右方向の寸法WRFは、前記輸送制限幅以下である。なお、この後側フレーム22の左右方向の寸法WRFも、前記輸送制限幅と等しいか又はほぼ等しいことが好ましい。
前側フレーム21は、前側フレーム本体21aと、一対の前側結合ブラケット31aとを有する。
前側フレーム本体21aは、前側フレーム21の略矩形状のフレーム構造を構成する部分であり、前側フレーム21の大半を占めている。一対の前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aのうち前後方向から見て後述の後側フレーム本体22aの前面22fと重なる領域に設けられており、その領域の左右両端部に分かれて配置されている。前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aの後面21rよりも前側に配置されている。具体的には、前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aの後面21rから前側へ延びて前側フレーム本体21aの内側に入り込むように配置されている。前側フレーム本体21aの後面21rは、クレーン10の分解輸送状態では、輸送車両の左方又は右方を向く側面となるため、前側結合ブラケット31aがこのように配置されていることによって、前側フレーム21が輸送車両に積載された状態で前側結合ブラケット31aが前側フレーム本体21aの左方又は右方に突出しない。
旋回支持体取付部27は、旋回支持体14(図1参照)が取り付けられる部分である。旋回支持体取付部27は、前側フレーム本体21aの底面(下面)の中央に設けられている。旋回支持体取付部27は、旋回支持体14に沿うように円状に並んで設けられた複数のボルト孔(図示なし)等を備えている。
後側フレーム22は、後側フレーム本体22aと、一対の後側結合ブラケット31bとを有する。
後側フレーム本体22aは、後側フレーム22の略矩形状のフレーム構造を構成する部分であり、後側フレーム22の大半を占めている。後側フレーム本体22aには、図略のカウンタウェイトやウィンチ等が搭載される。
一対の後側結合ブラケット31bは、前側フレーム21の一対の前側結合ブラケット31aと結合する部分であり、当該後側結合ブラケット31bが前側結合ブラケット31aと結合することによって後側フレーム22と前側フレーム21とが一体的に組み付けられる(結合される)。一対の後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aの前端に設けられている。具体的には、一対の後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aの前面22fに取り付けられており、左右方向において互いに間隔をあけて配設されている。また、後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aの前面22fの左右両端から少し内側に入った箇所にそれぞれ設けられている。このため、後側フレーム22が輸送車両に積載された状態で後側結合ブラケット31bが後側フレーム本体22aから左右両側に突出しない。
以下、前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bの構造と、それら両ブラケット31a,31b同士の結合構造について詳述する。
各前側結合ブラケット31aは、前側フレーム本体21aに固定された2枚の前側結合板32fをそれぞれ有し、各前側結合板32fには、ピンP(図4(a)参照)が挿嵌される孔33aが形成されている。なお、図3では、煩雑を避けるため、複数の孔33aのうち一部にのみ符号を付している。また、各後側結合ブラケット31bは、後側フレーム本体22aに固定された1枚の後側結合板32rからなり、各後側結合板32rには、ピンPが挿嵌される孔33bが形成されている。一対の前側結合ブラケット31aのうち右側の前側結合ブラケット31aは、右側の後側結合ブラケット31bと結合され、一対の前側結合ブラケット31aのうち左側の前側結合ブラケット31aは、左側の後側結合ブラケット31bと結合されている。
各前側結合ブラケット31aと対応する後側結合ブラケット31bとは、以下のようにして結合されている。なお、左側のブラケット31a,31b同士の結合形態と右側のブラケット31a,31b同士の結合形態とは同様であるので、以下、一方の前側結合ブラケット31aと対応する一方の後側結合ブラケット31bとの結合形態について代表して説明する。
後側結合ブラケット31bの後側結合板32rは、前側結合ブラケット31aを構成する2枚の前側結合板32f間に差し込まれ、その状態で、前側結合板32fの孔33a及び後側結合板32rの孔33bにピンPが挿入されている。これにより、前側結合ブラケット31aと後側結合ブラケット31bとが互いに結合されている。
図2及び図3では、図示を省略しているが、前側フレーム本体21aには、結合板32f,32rの孔33a,33bに対してピンPを挿脱するための伸縮シリンダS(図4(a)〜(c)参照)が取り付けられている。なお、伸縮シリンダSは、後側フレーム本体22aに取り付けられていてもよい。伸縮シリンダSは、伸長することによってピンPを結合板32f,32rの孔33a,33bに挿入し(図4(a)参照)、収縮することによってピンPを結合板32f,32rの孔33a,33bから離脱させる(図4(b)参照)。なお、図4(a)〜(c)における中心線Cは、旋回フレーム20の左右方向の中心に位置し、前後方向に延びる中心線である。また、前側結合板32f及び後側結合板32rの枚数は変更してもよい。
伸縮シリンダSは、図4(a),(b)に示すように、1箇所の前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bに対して1つ設けられている。すなわち、旋回フレーム20には、前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bが2箇所に設けられているため、それに対応して2つの伸縮シリンダSが設けられている。具体的には、伸縮シリンダSは、前側フレーム本体21aのうち左側の前側結合ブラケット31aよりも左側で且つ前側フレーム本体21aの左側面よりも右側の位置(図3中のS1の位置)と、前側フレーム本体21aのうち右側の前側結合ブラケット31aよりも右側で且つ前側フレーム本体21aの右側面よりも左側の位置(図3中のS2の位置)とにそれぞれ配置されている。伸縮シリンダSは、孔33a,33bの側方に位置し、孔33a,33bと同軸となるように配置されている。
なお、図4(c)に示すように、2箇所の前側結合ブラケット31a及び後側結合ブラケット31bに対して共通の1つの伸縮シリンダSが設けられていてもよい。この場合には、伸縮シリンダSは、前側フレーム本体21aにおいて左右2箇所の前側結合ブラケット31aの間の位置(図3中のS3の位置)に配置され、旋回フレーム20の左右方向における中心線Cを跨いで左右に延びる状態で配置される。この伸縮シリンダSは、左右両側に伸縮可能となるように構成されており、当該伸縮シリンダSの両端にそれぞれピンPが取り付けられる。伸縮シリンダSが左右両側に伸長することによって、両側のピンPがそれぞれ対応する結合板32f,32rの孔33a,33bに挿入され(図4(c)の状態)、伸縮シリンダSが左右両側から内側へ収縮することによって、両側のピンPがそれぞれ対応する結合板32f,32rの孔33a,33bから離脱される。この構成によれば、1つの伸縮シリンダSで、左右両側のブラケットに対してピンPを脱着させることができる。
後側フレーム22には、ブーム40(図1参照)が倒伏しようとする力がワイヤロープR等を介して伝えられる。このため、ピンPを軸として後側フレーム22を前側フレーム21に対して上方へ持ち上げるように回転させる回転力が当該後側フレーム22に作用する。この際、後側フレーム本体22aの前面22fの上端部が前側フレーム本体21aの後面21rの上端部によって押さえられることにより、後側フレーム22のピンPを軸とした回動が阻止される。
一対の取付ブラケット39(図2及び図3参照)は、ブーム40が起伏自在となるようにブーム40の基端部が取り付けられるものである。一対の取付ブラケット39は、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)の前端部に設けられており、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)と一体的に形成されている。一対の取付ブラケット39は、前側フレーム21の前端部において左右に間隔をあけて配置されている。具体的には、前側フレーム21(前側フレーム本体21a)の前端部の左端部と右端部とにそれぞれ取付ブラケット39が設けられている。左右の各取付ブラケット39は、それぞれ、2枚の取付板39aからなる。各取付板39aは、上部旋回体16(旋回フレーム20)の前後方向で且つ上下方向に沿う姿勢で配置されている。各取付板39aには、図略のピンが挿嵌される孔39bが形成されている。孔39bは、取付板39aを左右方向(厚み方向)に貫通している。各取付ブラケット39の2枚の取付板39aは、それらの間にブーム40の基端部40fを構成する図略の板部を挟み込む。この状態で、取付板39aの孔39bと基端部40f(ブームフット)の板部に形成された図略の孔とにピンが挿嵌されること
によって、ブーム40が起伏自在となるように前側フレーム21に取り付けられる。
ブーム40は、図1に示すように、図略の吊荷等を吊り下げるための部材であり、所定の方向に直線的に延びている。ブーム40は、格子状構造を備えたラチスブームである。ブーム40は、その軸方向(ブーム40の延びる方向)において複数の部材に分解可能となっている。具体的には、ブーム40は、その先端側から基端側へ順番に配置された上部ブーム42、中間ブーム44及び下部ブーム50を備えており、上部ブーム42と中間ブーム44とが互いに分離可能に結合され、中間ブーム44と下部ブーム50とが互いに分離可能に結合されている。なお、中間ブーム44は省略することも可能である。
下部ブーム50は、ブーム40の基端部40fから先端部側へ特定の長さの範囲を構成する部材であり、前側フレーム21に設けられた一対の取付ブラケット39に取り付けられる。下部ブーム50は、左右方向から見て、基端部40fからその先端側へ向かうにつれて背面50bと腹面50vとの間の距離が徐々に大きくなるテーパー状をなしている(図1参照)。背面50bは、図1のようにブーム40が水平に倒伏した状態において下部ブーム50の上側を向く面であり、腹面50vは、同状態において、下部ブーム50の下側を向く面である。また、下部ブーム50は、その先端側から基端部40f側へ向かうにつれて左右方向の寸法が徐々に大きくなるテーパー状をなしている(図2参照)。なお、下部ブーム50のテーパー状は、必ずしも当該下部ブーム50の基端部から先端部まで一様に形成されていなくてもよく、途中まで形成されていてもよい。下部ブーム50の基端部(基端部40f)の左右方向の寸法は、前側フレーム21の左右方向の寸法WFFと等しいか又はほぼ等しい。下部ブーム50の先端部の左右方向の寸法は、中間ブーム44の左右方向の寸法WMBと等しい。中間ブーム44の左右方向の寸法WMBは、前記輸送制限幅以下の寸法であり、好ましくは前記輸送制限幅と等しい寸法である。なお、中間ブーム44等にも、下部ブーム50のテーパー状と連続するようなテーパー状の部分が形成されていてもよい。
また、下部ブーム50は、左右方向(クレーン組立状態のときの左右方向)において複数(本実施形態では2つ)の部材に分解可能となっている。具体的には、下部ブーム50は、図2に示すように、当該下部ブーム50の右側部を構成する右側分割ブーム52と、当該下部ブーム50の左側部を構成する左側分割ブーム54とを有し、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とは互いに分離可能な状態で結合されている。右側分割ブーム52及び左側分割ブーム54は、本発明の分割ブームの概念に含まれるものである。
右側分割ブーム52は、右側分割ブーム本体52aと、右側ブーム結合ブラケット56aとを有し、左側分割ブーム54は、左側分割ブーム本体54aと、左側ブーム結合ブラケット56bとを有する。
右側分割ブーム本体52aは、ラチス構造をなすように形成され、右側分割ブーム52の大半を占めるものである。右側分割ブーム本体52aは、ブーム40が倒伏した状態で上から見て台形状の外形をなしている。右側分割ブーム本体52aの右側面は、下部ブーム50の右側面を構成し、下部ブーム50の基端部側へ向かうにつれて当該右側分割ブーム本体52aの左側面から遠ざかるように傾斜している。右側ブーム結合ブラケット56aは、右側分割ブーム52の左側面の前端部(中間ブーム44側の端部)の上部及び下部と当該左側面の後端部(前側フレーム21側の端部)とにそれぞれ設けられている。
左側分割ブーム本体54aは、右側分割ブーム本体52aと左右対称形の構造をなしており、左側分割ブーム54の大半を占めるものである。左側分割ブーム本体54aの左側面は、下部ブーム50の左側面を構成し、下部ブーム50の基端部側へ向かうにつれて当該左側分割ブーム本体52aの右側面から遠ざかるように傾斜している。左側ブーム結合ブラケット56bは、左側分割ブーム52の右側面の前端部(中間ブーム44側の端部)の上部及び下部と当該右側面の後端(前側フレーム44側の端部)とにそれぞれ設けられている。
右側分割ブーム本体52aの前端部に配置された右側ブーム結合ブラケット56aと左側分割ブーム本体54aの前端部に配置された左側ブーム結合ブラケット56bとが互いにピン結合され、右側分割ブーム本体52aの後端部に配置された右側ブーム結合ブラケット56aと左側分割ブーム本体54aの後端部に配置された左側ブーム結合ブラケット56bとが互いにピン結合されることによって、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とが互いに結合されている。各右側ブーム結合ブラケット56aとそれに結合する左側ブーム結合ブラケット56bの具体的な構成は、上述した前側結合ブラケット31aとそれに結合する後側結合ブラケット31bの構成と同様である。
また、下部ブーム50の先端部には、中間ブーム44の基端部の連結ブラケット45と分離可能に結合する連結ブラケット57が設けられている。この連結ブラケット57は、下部ブーム50の先端部の左右両端、すなわち左側分割ブーム本体54aの先端部の左端と右側分割ブーム本体52aの先端部の右端とに設けられている。下部ブーム50の各連結ブラケット57とそれに結合する中間ブーム44の連結ブラケット45の構成は、上述した前側結合ブラケット31aとそれに結合する後側結合ブラケット31bの構成と同様である。
下部ブーム50は、クレーン10の輸送時に、前側フレーム21及び中間ブーム44と分離された後、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とに分解される。すなわち、下部ブーム50は、その左右方向の中心を境に右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とに分解される。右側分割ブーム52のうち最も左右方向の寸法が大きい箇所である基端部の左右方向の寸法WRLB、及び、左側分割ブーム54のうち最も左右方向の寸法が大きい箇所である基端部の左右方向の寸法WLLBは、輸送制限幅以下の寸法であり、好ましくは輸送制限幅に等しい寸法である。クレーン10の輸送時には、右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は、互いに分離された後、それらの左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載される。
この第1実施形態では、前側フレーム21の左右方向の寸法WFFが大きく、その前側フレーム21に設けられた一対の取付ブラケット39間の間隔が大きくなっているため、一対の取付ブラケット39に取り付けられる下部ブーム50の左右方向の寸法を大きくすることができ、その結果、ブーム40の基端部近傍の左右方向における剛性(横剛性)を高めることができる。このため、ブーム40の左右方向へのたわみ(横たわみ)を抑制することができる。また、この第1実施形態では、前側フレーム21の前後方向の寸法LFFは、当該前側フレーム21の左右方向の寸法WFFよりも小さく、輸送制限幅以下の寸法であるため、クレーン10の輸送時には、前側フレーム21の前後方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で前側フレーム21を輸送車両に積載することにより、前側フレーム21の輸送幅を公道の輸送制限幅以下に低減することができる。従って、この第1実施形態では、ブーム40の左右方向のたわみを抑制しつつ、上部旋回体16の前側フレーム21の輸送を実施することができる。
また、第1実施形態では、クレーン10の組立状態において前側フレーム21の後ろに後側フレーム22が繋がるため、上部旋回体16の前後方向の寸法を大きくすることができ、上部旋回体の安定性を向上させることができる。また、後側フレーム22が設けられていることにより、上部旋回体16に搭載される各種機器や部材の設置スペースを大きく確保することができる。このため、上部旋回体16に搭載する各種機器や部材のレイアウトを容易に行うことができる。また、後側フレーム22は、前側フレーム21から分離可能であるので、クレーン10の輸送時には、前側フレーム21から後側フレーム22を分離すれば、上記のように前側フレーム21をその前後方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載して前側フレーム21の輸送幅を輸送制限幅以下に抑えた状態で輸送できる。また、後側フレーム22の左右方向の寸法WRFは、輸送制限幅以下の寸法であるので、後側フレーム22をその左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載すれば、後側フレーム22の輸送幅も輸送制限幅以下に低減することができる。
また、第1実施形態では、上述のように、ブーム40の基端部40fを構成する下部ブーム50の基端部の左右方向の寸法を大きく確保してブーム40の左右方向へのたわみを抑制する一方で、下部ブーム50の左右方向の寸法が先端側へ向かうにつれて小さくなっていることにより、下部ブーム50がその基端部の大きな左右方向の寸法のままで先端部まで一定に形成されている場合に比べて、下部ブーム50の重量を低減できる。従って、この第1実施形態では、ブーム40の左右方向へのたわみを抑制しつつ、ブーム40の重量の増大を抑制できる。
また、第1実施形態では、下部ブーム50が左右方向に並んで配置された右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とによって構成され、その右側分割ブーム52と左側分割ブーム54は互いに分離可能な状態で結合されるため、下部ブーム50の基端部(ブーム40の基端部40f)の左右方向の寸法が輸送制限幅を超えていても、クレーン10の輸送時には、下部ブーム50を右側分割ブーム52と左側分割ブーム54とに分割することにより下部ブーム50の輸送幅を低減することができ、下部ブーム50の輸送幅が輸送制限幅を超えるのを防ぐことができる。
また、下部ブーム50は、先端側へ向かうにつれて左右方向の寸法が小さくなっているので、下部ブーム50の左右方向の寸法が基端部の大きな左右方向の寸法で先端部まで一定である場合に比べて、下部ブーム50の重量を低減できる。その結果、ブーム40の重量の増大を抑制できる。
(第1実施形態の変形例1)
図5(a),(b)には、第1実施形態の変形例1による上部旋回体の前側フレーム21と後側フレーム22との結合構造が示されている。図5(a),(b)を参照して、この変形例1による上部旋回体の上記第1実施形態との相違点を説明する。
この変形例1では、各前側結合ブラケット31aの2枚の前側結合板32fは、それぞれ、前側フレーム本体21aの後面21rから後方へ突出している。そして、この変形例1では、前側フレーム21は、前側ストッパ36fを備えており、後側フレーム22は、後側ストッパ36rを備えている。
前側ストッパ36f及び後側ストッパ36rは、前側フレーム21に対して後側フレーム22がピンP(図5(b)参照)を軸として相対的に回動するのを阻止するための部材である。図5(a)に示すように、前側ストッパ36fは、前側フレーム本体21aの後面21rに取り付けられ、後側ストッパ36rは、後側フレーム本体22aの前面22fに取り付けられている。前側ストッパ36fと後側ストッパ36rとは、クレーン10が組立状態にあるとき、すなわち前側フレーム21と後側フレーム22とが互いに結合されているときには、互いの間に隙間が存在する状態で隣接した状態又は互いに接触した状態で配置されている。前側ストッパ36fは、前側結合板32fの上端に固定されており、後側ストッパ36rは、後側結合板32rの上端に固定されている。各ストッパ36f,36rは、例えば直方体状に形成されている。
ブーム40(図1参照)が倒伏しようとする力がワイヤロープR等を介して後側フレーム22に伝えられ、その結果、ピンPを軸として後側フレーム22を前側フレーム21に対して上方へ持ち上げるように回転させる回転力が当該後側フレーム22に作用するときには、図5(b)に示すように後側ストッパ36rが前側ストッパ36fによって押さえられることにより、後側フレーム22のピンPを軸とした回動が阻止される。
なお、前側ストッパ36fは、前側結合板32fの下端に固定されてもよく、後側ストッパ36rは、後側結合板32rの下端に固定されてもよい。
(第1実施形態の変形例2)
図6及び図7を参照して、第1実施形態の変形例2による上部旋回体16の旋回フレーム120について、上記の第1実施形態との相違点を説明する。なお、図7は図6のVII矢視図であり、図6は図7のVI矢視図である。
この第1実施形態の変形例2による旋回フレーム120は、上記第1実施形態による旋回フレーム20と異なり、クレーンの組立状態での上下方向において複数の部材に分解可能となっている。
具体的には、旋回フレーム120は、上側フレーム121と、上側フレーム121の下方に配置されて上側フレーム121と分離可能な状態で結合される下側フレーム123とを備える。
上側フレーム121には、一対の取付ブラケット39が設けられている。この上側フレーム121は、本発明のメインフレームの概念に含まれる。上側フレーム121は、上記第1実施形態の前側フレーム21(図2参照)と同様の形状を有する。ただし、この上側フレーム121には、旋回支持体取付部27(図6参照)が設けられていない。上側フレーム121の左右方向の寸法WUFは、上記第1実施形態の前側フレーム21の左右方向の寸法WFFと同様に設定され、上側フレーム121の前後方向の寸法LUFは、上記第1実施形態の前側フレーム21の前後方向の寸法LFFと同様に設定されている。
下側フレーム123の左右方向の寸法WLFは、上記第1実施形態の後側フレーム22の左右方向の寸法WRFと同様に設定されている。下側フレーム123の前後方向の寸法は、上記第1実施形態の後側フレーム22の前後方向の寸法よりも大きい。下側フレーム123は、その前部が上側フレーム121の下側に重なるように配置され、その状態で上側フレーム121と結合される。上側フレーム121と下側フレーム123は、互いに結合された状態で上から見てT字状をなすように配置される。上側フレーム121と下側フレーム123とが重なった領域の四隅に相当する箇所において、上側フレーム121に結合ブラケット31aが設けられるとともに下側フレーム123に結合ブラケット31bが設けられており、それらの対応するブラケット31a,31b同士がピン結合されることによって上側フレーム121と下側フレーム123とが結合されている。各ブラケット31a,31bの構成は、上記第1実施形態におけるブラケット31a,31bの構成と同様である。旋回支持体取付部27は、下側フレーム123の底面に設けられ、詳しくはその底面のうち上から見たときに上側フレーム121と重なる領域に設けられる。
(第1実施形態の変形例3)
図8を参照して、第1実施形態の変形例3による上部旋回体16のブーム140について、上記の第1実施形態との相違点を説明する。
この第1実施形態の変形例3によるブーム140の下部ブーム150は、上記第1実施形態によるブーム40の下部ブーム50と異なり、左右方向において3つの部材に分解可能となっている。
具体的には、下部ブーム150は、右側分割ブーム152と、中央分割ブーム153と、左側分割ブーム154とを有し、左右方向おいてこれらの分割ブーム152〜154に分割可能となっている。右側分割ブーム152、中央分割ブーム153及び左側分割ブーム154は、本発明の分割ブームの概念に含まれるものである。左右方向において、分割ブーム152,153,154のうち中央分割ブーム153が中央に配置され、その中央分割ブーム153の右側に右側分割ブーム152が配置され、中央分割ブーム153の左側に左側分割ブーム154が配置されている。右側分割ブーム152と中央分割ブーム153とは、互いに分離可能な状態で結合されており、左側分割ブーム154と中央分割ブーム153とは、互いに分離可能な状態で結合されている。
右側分割ブーム152は、ラチス構造をなすように形成されて右側分割ブーム152の大半を占める右側分割ブーム本体152aと、その右側分割ブーム本体152aに設けられた右側ブーム結合ブラケット56aとを有し、左側分割ブーム154は、ラチス構造をなすように形成されて左側分割ブーム154の大半を占める左側分割ブーム本体154aと、左側ブーム結合ブラケット56bとを有する。
ブーム140が倒伏した状態において、右側分割ブーム本体152a及び左側分割ブーム本体154aは、それぞれ、上から見て三角形をなすように形成されており、左右方向において互いに対称形となるように配置されている。すなわち、右側分割ブーム本体152aの右側面は、下部ブーム150の基端部側へ向かうにつれて右側分割ブーム本体152aの左側面から徐々に遠ざかるように傾斜しており、左側分割ブーム本体154aの左側面は、下部ブーム150の基端部側へ向かうにつれて左側分割ブーム本体154aの右側面から徐々に遠ざかるように傾斜している。なお、右側分割ブーム本体152a及び左側分割ブーム本体154aは、ブーム140が倒伏した状態で上から見て台形状の外形をなすように形成されてもよい。
右側ブーム結合ブラケット56aは、右側分割ブーム本体152aの左側面の前端部と後端部とにそれぞれ設けられている。左側ブーム結合ブラケット56bは、左側分割ブーム本体154aの右側面の前端部と後端部とにそれぞれ設けられている。
中央分割ブーム153は、ラチス構造をなすように形成されて中央分割ブーム153の大半を占める中央分割ブーム本体153aと、その中央分割ブーム本体153aに設けられた中央ブーム結合ブラケット153bとを有する。中央分割ブーム本体153aは、ブーム140が倒伏した状態において上から見て長方形状の外形をなすように形成されている。中央ブーム結合ブラケット153bは、中央分割ブーム本体153aの右側面の前端部及び後端部と、中央分割ブーム本体153aの左側面の前端部及び後端部とにそれぞれ設けられている。
中央分割ブーム本体153aの右側面に設けられた中央ブーム結合ブラケット153bと右側分割ブーム本体152aの左側面に設けられた左側ブーム結合ブラケット56aとは、互いに分離可能な状態でピン結合されており、それによって中央分割ブーム153と右側分割ブーム152とが一体化されている。また、中央分割ブーム本体153aの左側面に設けられた中央ブーム結合ブラケット153bと左側分割ブーム本体154aの右側面に設けられた左側ブーム結合ブラケット56bとは、互いに分離可能な状態でピン結合されており、それによって中央分割ブーム153と左側分割ブーム154とが一体化されている。
中央分割ブーム153の左右方向の寸法WCLBは、中間ブーム44の左右方向の寸法WMLBと等しく、輸送制限幅以下の寸法である。なお、この寸法WCLBは、輸送制限幅に等しい寸法であることが好ましい。クレーンの輸送時には、中央分割ブーム153は、その左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載される。また、右側分割ブーム152及び左側分割ブーム154の左右方向の寸法も輸送制限幅以下の寸法となっている。
(第1実施形態のその他の変形例)
第1実施形態の変形例としては、上述した変形例1〜3以外にも様々なものが挙げられる。
例えば、旋回フレームは、前後方向において複数の部材に分解できなくてもよい。すなわち、旋回フレームは、前側フレームを備えているが、後側フレームを備えていなくてもよい。
また、旋回フレームは、前後方向において3つ以上の部材に分解可能となっていてもよい。例えば、旋回フレームが前側フレームと後側フレームとに分解可能となっているのに加えて、前側フレームと後側フレームのうち少なくとも一方が前後方向において複数の部材に分解可能となっていてもよい。
旋回フレームが前後方向において複数の分割フレームに分解可能である構成において、取付ブラケットが設けられる分割フレームは、複数の分割フレームのうちで最も前側に配置される分割フレームでなくてもよい。
また、旋回フレームは、上下方向において3つ以上の部材に分解可能となっていてもよい。例えば、旋回フレームを構成する上側フレームと下側フレームのうち少なくとも一方が、上下方向において複数の部材に分解可能となっていてもよい。
旋回フレームが上下方向において複数の分割フレームに分解可能である構成において、取付ブラケットが設けられる分割フレームは、複数の分割フレームのうちで最も上側に配置される分割フレームでなくてもよい。例えば、取付ブラケットが設けられた上側フレームの上にさらに別の分割フレームが配置されていてもよい。
また、下部ブームは、左右方向において4つ以上の部材に分解可能となっていてもよい。
また、下部ブームは、左右方向において複数の部材に分解できなくてもよい。
(第2実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第2実施形態による上部旋回体16について説明する。
この第2実施形態による上部旋回体16では、旋回フレーム220は、左右方向において互いに分離可能な状態で結合する右側フレーム223と左側フレーム224とからなるフレーム本体220aを備えており、左右方向においてこの右側フレーム223と左側フレーム224とに分解可能となっている。
旋回フレーム220のフレーム本体220aは、上から見て長方形状の外形をなしている。右側フレーム223は、フレーム本体220aの左右方向の中心から右側端にかけての部分を構成し、左側フレーム224は、フレーム本体220aの左右方向の中心から左側端にかけての部分を構成する。すなわち、旋回フレーム220のフレーム本体220aは、その左右方向の中心を境に右側フレーム223と左側フレーム224とに分解可能となっている。右側フレーム223及び左側フレーム224は、本発明の分割フレームの概念に含まれるものである。
右側フレーム223は、右側フレーム本体223aと、右側結合ブラケット223bとを有し、左側フレーム224は、右側フレーム本体224aと、右側結合ブラケット224bとを有する。右側フレーム本体223aと左側フレーム本体224aは、上から見て細長い長方形状の外形をなしており、これら右側フレーム本体223aと左側フレーム本体224aとによって旋回フレーム220の長方形状の外形が形成されている。
右側結合ブラケット223bは、右側フレーム本体223aの左端部の前端部と後端部とにそれぞれ設けられており、左側結合ブラケット224bは、左側フレーム本体223aの右端部の前端部と後端部にそれぞれ設けられている。互いに対応する位置に設けられた右側結合ブラケット223bと左側結合ブラケット224bとは、分離可能な状態でピン結合されている。右側結合ブラケット223bとそれに結合する左側結合ブラケット224bの構成は、上記第1実施形態の前側結合ブラケット31aとそれに結合する後側結合ブラケット31bの構成と同様である。
クレーンの輸送時には、右側結合ブラケット223bと左側結合ブラケット224bとの結合が解除されて、旋回フレーム220は、右側フレーム223と左側フレーム224とに分解される。右側フレーム223と左側フレーム224は、それらの左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載される。旋回フレーム220の左右方向の寸法WFは、輸送制限幅よりも大きい。また、右側フレーム223の左右方向の寸法WRSF及び左側フレーム224の左右方向の寸法WLSFは、共に輸送制限幅以下の寸法である。なお、右側フレーム223の左右方向の寸法WRSF及び左側フレーム224の左右方向の寸法WLSFは、輸送制限幅と等しい寸法であることが好ましい。右側フレーム223及び左側フレーム224の底面の前寄りの箇所には、旋回支持体取付部27が設けられている。旋回支持体取付部27は、左右方向において2つの部材に分割されており、その右側の部材が右側フレーム223の底面に設けられ、その左側の部材が左側フレーム224の底面に設けられている。
一対の取付ブラケット39R,39Lは、旋回フレーム220の前端部に左右に分かれて設けられている。具体的には、一方の取付ブラケット39Rは、旋回フレーム220の前端部の右端部、すなわち右側フレーム223の前端部の右端部に設けられ、他方の取付ブラケット39Lは、旋回フレーム220の前端部の左端部、すなわち左側フレーム224の前端部の右端部に設けられている。このような取付ブラケット39R,39Lの配置により、取付ブラケット39R,39L間の間隔は、輸送制限幅よりも大きくなっている。各取付ブラケット39R,39Lとそれに結合するブーム40の基端部40fとの構成は、上記第1実施形態における各取付ブラケット39とそれに結合するブーム40の基端部40fとの構成と同様である。また、第2実施形態によるブーム40の構造は、上記第1実施形態によるブーム40の構造と同様である。第2実施形態による上部旋回体16及びクレーンの上記以外の構成は、上記第1実施形態による上部旋回体16及びクレーンの構成と同様である。
この第2実施形態では、旋回フレーム220の左右方向の寸法WFが大きく、その旋回フレーム220に設けられた一対の取付ブラケット39R,39L間の間隔が大きくなっているため、一対の取付ブラケット39R,39L間の間隔が大きくなっているため、取付ブラケット39R,39Lに取り付けられる下部ブーム50の左右方向の寸法を大きくすることができ、その結果、ブーム40の基端部近傍の左右方向における剛性(横剛性)を高めることができる。このため、ブーム40の左右方向のへのたわみ(横たわみ)を抑制することができる。また、この第2実施形態では、旋回フレーム220が左右方向において右側フレーム223と左側フレーム224とに分解可能であり、且つ、右側フレーム223の左右方向の寸法WRSF及び左側フレーム224の左右方向の寸法WLSFが輸送制限幅以下の寸法であるため、クレーンの輸送時には、右側フレーム223及び左側フレーム224をそれらの左右方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載することにより、右側フレーム223及び左側フレーム224の輸送幅を公道の輸送制限幅以下に低減することができる。従って、この第2実施形態では、ブーム40の左右方向のたわみを抑制しつつ、上部旋回体16の旋回フレーム20の輸送を実施することができる。
この第2実施形態の上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
(第2実施形態の変形例1)
図10及び図11を参照して、第2実施形態の変形例1による上部旋回体16の旋回フレーム320について、上記第2実施形態との相違点を説明する。なお、図11は図10のXI矢視図であり、図10は図11のX矢視図である。
この第2実施形態の変形例1による旋回フレーム320は、上記第2実施形態による旋回フレーム220と異なり、上下方向において複数の部材に分解可能となっている。
具体的には、旋回フレーム320は、図10に示すように、右側フレーム223及び左側フレーム224の下方に配置されて右側フレーム223及び左側フレーム224の底面に固定される下側フレーム325を備える。
下側フレーム325は、右側フレーム223及び左側フレーム224の前部で且つ左右方向の中央部に固定される。下側フレーム325は、右側フレーム223及び左側フレーム224に対して分離可能な状態で結合されている。具体的には、下側フレーム325の上端の四隅に結合ブラケット31bがそれぞれ設けられるとともに、右側フレーム223と左側フレーム224のうち下側フレーム325の四隅に対応する各箇所に結合ブラケット31aがそれぞれ設けられており、対応する結合ブラケット31a,31b同士がピン結合されることによって右側フレーム223及び左側フレーム224と下側フレーム325とが結合されている。
下側フレーム325の底面には、旋回支持体取付部27が設けられている。旋回支持体取付部27は、下側フレーム325にのみ設けられ、上記第2実施形態のように複数の部材に分割されない。この構成により、旋回支持体取付部27に旋回支持体14(図11参照)を確実に取り付けることができる。また、旋回支持体14は、旋回支持体取付部27に取り付けられた状態で輸送可能である。
(第2実施形態の変形例2)
図12を参照して、第2実施形態の変形例2の旋回フレーム420について、上記第2実施形態との相違点を説明する。
この第2実施形態の変形例2による旋回フレーム420は、左右方向において3つの部材に分解可能となっている。
具体的には、旋回フレーム420は、中央フレーム426と、右側フレーム223と、左側フレーム224とを備えており、左右方向においてこれら3つのフレームに分解可能となっている。中央フレーム426は、本発明の中央分割フレームの概念に含まれるものであり、右側フレーム223は、本発明の右側分割フレームの概念に含まれるものであり、左側フレーム224は、本発明の左側分割フレームの概念に含まれるものである。
中央フレーム426は、旋回フレーム420の左右方向の中央に配置されている。中央フレーム426は、当該中央フレーム426の略矩形状のフレーム構造を構成する中央フレーム本体426aと、その中央フレーム本体426aに設けられた中央結合ブラケット426bとを有する。
中央フレーム本体426は、上から見て長方形状の外形をなすように形成されている。中央フレーム本体426aの底面には、旋回支持体取付部27が設けられている。旋回支持体取付部27は、中央フレーム本体426aのみに設けられ、右側フレーム223及び左側フレーム224に分割されて設けられない。中央フレーム426は、下部走行体12(図1参照)上に旋回支持体14を介して旋回自在となるように搭載される。中央結合ブラケット426bは、中央フレーム本体426の右側面の前端部及び後端部と、中央フレーム本体426の左側面の前端部及び後端部とにそれぞれ設けられている。
右側フレーム223は、中央フレーム426の右側に配置されて中央フレーム426の右端部に分離可能な状態で結合されている。右側フレーム223は、上から見て細長い長方形状の外形をなし、当該右側フレーム223のフレーム構造を構成する右側フレーム本体223aと、その右側フレーム本体223aに設けられた右側結合ブラケット223bとを有する。右側結合ブラケット223bは、右側フレーム本体223aの左側面の前端部及び後端部にそれぞれ設けられている。各右側結合ブラケット223bは、対応する中央結合ブラケット426bに対して分離可能な状態でピン結合されており、それによって右側フレーム223と中央フレーム426とが一体化されている。
左側フレーム224は、中央フレーム426の左側に配置されて中央フレーム426の左端部に分離可能な状態で結合されている。左側フレーム224は、右側フレーム223と左右対称形に形成されており、左側フレーム本体224aと、左側結合ブラケット224bとを有する。左側結合ブラケット224bは、左側フレーム本体224aの右側面の前端部及び後端部にそれぞれ設けられている。各左側結合ブラケット224bは、対応する中央結合ブラケット426bに対して分離可能な状態でピン結合されており、それによって左側フレーム224と中央フレーム426とが一体化されている。
中央フレーム426、右側フレーム223及び左側フレーム224によって、旋回フレーム420のフレーム本体420aが構成されている。そのフレーム本体420aの左右方向の寸法WF、すなわち旋回フレーム420の左右方向の寸法WFは、輸送制限幅よりも大きい寸法である。右側の取付ブラケット39Rは、フレーム本体420aの前端部の右端部、すなわち右側フレーム223の前端部の右端部に設けられている。左側の取付ブラケット39Lは、フレーム本体420aの前端部の左端部、すなわち左側フレーム224の前端部の左端部に設けられている。取付ブラケット39R,39L間の間隔は、輸送制限幅よりも大きくなっている。
中央フレーム426の左右方向の寸法WCFは、輸送制限幅以下の寸法であり、好ましくは輸送制限幅と等しい又はほぼ等しい寸法である。また、右側フレーム223の左右方向の寸法及び左側フレーム224の左右方向の寸法は、輸送制限幅以下の寸法である。クレーンの輸送時には、旋回フレーム420は、中央フレーム426と右側フレーム223と左側フレーム224とに分解され、その後、中央フレーム426、右側フレーム223及び左側フレーム224は、それらの左右方向が輸送車両の左右方向と一致する状態で輸送車両に積載される。
この第2実施形態の変形例2でも、左右方向の寸法が輸送制限幅よりも大きい旋回フレーム420を、輸送制限幅以下の左右方向の寸法を有する中央フレーム426と右側フレーム223と左側フレーム224とに分解できるので、旋回フレーム420を輸送車両により公道を通って輸送することができる。
また、この変形例2では、旋回フレーム420のフレーム本体420aを中央フレーム426とその左右に配置された左側フレーム224と右側フレーム223とによって構成することができるので、左右方向における旋回フレーム420の構造上及び強度上のバランスを向上することができる。
(第2実施形態のその他の変形例)
第2実施形態の変形例としては、上述した変形例1及び2以外にも様々なものが挙げられる。
例えば、旋回フレームは、左右方向において4つ以上の部材に分解可能となっていてもよい。具体的には、旋回フレームが右側フレームと左側フレームとに分解可能となっているのに加えて、右側フレームよりも右側や、左側フレームよりも左側に、旋回フレームを構成する分割フレームが分離可能に結合されていてもよい。
また、左右方向において複数の部材に分解可能となっている旋回フレームが、さらに前後方向においても複数の部材に分解可能となっていてもよい。
また、第2実施形態の構成に上記第1実施形態の構成を組み合わせてもよい。すなわち、右側フレームと左側フレームのうち少なくとも一方のフレームは、前後方向の寸法が左右方向の寸法よりも小さくなるように形成されていてもよく、そのフレームは、その前後方向が輸送車両の左右方向に一致する状態で輸送車両に積載されて輸送されてもよい。
なお、今回開示された実施形態及び変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
上記第1実施形態の変形例1では、前側フレームに対する後側フレームの相対的な回動を阻止するための前側ストッパ及び後側ストッパの構成について示したが、これらのストッパについて以下のような変形例が挙げられる。
図13(a)及び(b)には、この変形例による前側ストッパ536f及び後側ストッパ536rの構成が示されている。この図13(a)及び(b)を参照して、当該変形例による前側ストッパ536f及び後側ストッパ536rについて説明する。
当該変形例による前側ストッパ536fは、図13(a)に示すように、前側結合板32fの下方に配置されて、前側フレーム21の後面21rに固定されるとともに前側結合板32fの下端に固定されている。また、当該変形例による後側ストッパ536rは、後側結合板32rの下方に配置されて、後側フレーム22の前面22fに固定されるとともに後側結合板32rの下端に固定されている。
前側ストッパ536f及び後側ストッパ536rは、後側フレーム22がその後端部が下がる向きにピンP(図13(b)参照)を軸として前側フレーム21に対して回動するのを阻止する。具体的には、図13(b)に示すように後側ストッパ536rが前側ストッパ536fによって押さえられることにより、このような後側フレーム22の回動が阻止される。なお、当該変形例では、前側結合板32fの下方の前側ストッパ536fに加えて前側結合板32fの上方の前側ストッパ36fも設けられているとともに、後側結合板32rの下方の後側ストッパ536rに加えて後側結合板32rの上方の後側ストッパ36rも設けられている。このため、後側フレーム22の上下両方への回動を阻止することができる。
また、図14(a)及び(b)には、さらに別の変形例による前側結合ブラケット及び前側ストッパと後側結合ブラケット及び後側ストッパとが示されている。この図14(a)及び(b)を参照して、当該変形例による前側及び後側結合ブラケットと前側及び後側ストッパについて説明する。
当該変形例では、前側フレーム21の後面21rに前側結合ブラケット31aの前側結合板32fに加えて別の前側結合ブラケット631aの前側結合板632fが固定されており、後側フレーム22の前面22fに後側結合ブラケット31bの後側結合板32rに加えて別の後側結合ブラケット631bの後側結合板632rが固定されている。前側結合ブラケット631aは、前側結合ブラケット31aの下方に配置され、後側結合ブラケット631bは、後側結合ブラケット31bの下方に配置されている。すなわち、前側結合板632fは、前側結合板32fの下方に配置され、後側結合板632rは、後側結合板32rの下方に配置されている。前側結合板632fは、前側結合板32fと上下対称となる構造を有し、ピンP2が挿嵌される孔633aが形成されている。後側結合板632rは、後側結合板32rと上下対称となる構造を有し、ピンP2が挿嵌される孔633bが形成されている。
図14(b)に示すように、前側結合板32fの孔33a及び後側結合板32rの孔33bにピンP1が挿嵌されるとともに、前側結合板632fの孔633a及び後側結合板632rの孔633bにピンP2が挿嵌される。これにより、前側フレーム21と後側フレーム22とが互いに回動不能な状態で結合される。
また、前側フレーム21の後面21rには、上側の前側結合板32fの上端に固定された前側ストッパ36fに加えて、下側の前側結合板632fの下端に固定された前側ストッパ636fが取り付けられている。また、後側フレーム22の前面22fには、上側の後側結合板32rの上端に固定された後側ストッパ36rに加えて、下側の後側結合板632rの下端に固定された後側ストッパ636rが取り付けられている。
上述した第1実施形態、第2実施形態、及びそれらの変形例を様々に組み合わせてもよい。
例えば、第1実施形態の変形例3のブーム140を、第2実施形態の旋回フレーム220(図9参照)に取り付けてもよい。
また、第1実施形態の変形例3のブーム140を、第2実施形態の変形例2の旋回フレーム420(図12参照)に取り付けてもよい。この変形例による上部旋回体16の構成が図15に示されている。この変形例の上部旋回体16では、下部ブーム150の左右方向の剛性が高くなるとともに、旋回フレーム420全体の剛性も非常に高くなるため、吊り能力の大きい非常に大型のクレーンに採用される。
なお、上部旋回体16が標準仕様の状態において、旋回フレーム420が必ずしも右側フレーム223及び左側フレーム224を備えている必要はなく、下部ブーム150が必ずしも右側分割ブーム152及び左側分割ブーム154を備えている必要はない。すなわち、標準仕様の上部旋回体16では、旋回フレーム420は、中央フレーム426のみを備えているとともに、下部ブーム150は、中央分割ブーム153のみを備えていてもよい。その標準仕様の状態で吊り作業を行ってブーム40の左右方向のたわみを許容値以下に抑制できるのであれば、その標準仕様の状態で吊り作業を行えばよい。
そして、横風が強いとか、ブーム40の長さが大きい、また、吊荷重が大きい等の各種条件により、標準仕様では、ブーム40の左右方向のたわみが許容値を超える虞がある場合に、右側分割ブーム152及び左側分割ブーム154を中央分割ブーム153に取り付けてブーム40(下部ブーム150)を補強するとともに、右側フレーム223及び左側フレーム224を中央フレーム426に取り付けて旋回フレーム420を補強すればよい。すなわち、右側分割ブーム152及び左側分割ブーム154と、右側フレーム223及び左側フレーム224は、各種条件に応じて取り付けの有無を選択するオプションとしての補強部材であってもよい。
また、図15に示した変形例のさらなる変形例が図16に示されている。この変形例による上部旋回体16では、旋回フレーム520のフレーム本体520aを構成する右側フレーム323及び左側フレーム324の構造が、図15に示した変形例と異なっている。具体的には、右側フレーム323及び左側フレーム324は、それぞれ、上から見て三角形状の外形をなしており、互いに左右対称となるように形成されている。すなわち、右側フレーム323(右側フレーム本体323a)の右側面は、後方へ向かうにつれて当該右側フレーム323(右側フレーム本体323a)の左側面に徐々に近づくように傾斜しており、左側フレーム324(左側フレーム本体324a)の左側面は、後方へ向かうにつれて当該左側フレーム324(左側フレーム本体324a)の右側面に徐々に近づくように傾斜している。右側フレーム323、左側フレーム324及び中央フレーム426により旋回フレーム520のフレーム本体520aが形成されており、このフレーム本体520aの前端部の左右方向の寸法は、輸送制限幅よりも大きい寸法になっている。
この変形例では、中央フレーム426に対して右側フレーム323及び左側フレーム324を取り付けることによって、ブーム140(下部ブーム150)の基端部40fの左右方向の寸法を拡大するために必要となるフレーム本体520aの前部の左右方向の寸法を大きく確保しつつ、フレーム本体520aの後部の左右方向の寸法を小さくして旋回フレーム520の重量の増大を抑えることができる。