JP6348341B2 - 建具 - Google Patents
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Description
また、下部摺動片は縦枠内に収納されているとともに、ピンを介して下框の両端に回転可能に連結されており、上部摺動片は、縦枠側に対し出没操作可能なラッチを備えている。このため、上部摺動片のラッチを没入操作して縦枠との係合を解除することによって、内障子は内倒し可能状態となる。
さらに、上部摺動部材を備えた既設の建具に対し、上部摺動部材を押し出して脱落可能な位置に加熱発泡材を配置するだけで、金属製框材と係合する既存の上部摺動部材の材質や形状を変更しなくても当該既設の建具を防火用に簡単に仕様変更でき、利便性のよい防火用の建具を安価に提供できる。
加えて、本発明の建具によれば、上部摺動部材を上框の端部から挿入することによって、被嵌合部を嵌合部に嵌合でき、上部摺動部材の上框に対する大体の位置決めを行える。そして、上部摺動部材や上框を若干撓めながら当該上部摺動部材を上框にさらに挿入することによって、係合凸部を係合凹部に係合できる。このようにして、上部摺動部材を上框に簡単に係合させることができる。
また、火災時等における温度上昇時には、例えば100℃程度で上部摺動部材が軟化して被係合部が係合部から離脱可能な状態となり、更なる温度上昇時であって上部摺動部材が発火する温度(例えば400〜450℃程度)よりも低い温度時(例えば200℃程度)には、加熱発泡材が発泡により膨張して上部摺動部材を上方に向かって押し出すため、上部摺動部材を発火前に上框から脱落させることができる。
このような構成によれば、摺動性に優れる反面、酸化指数が高く発火しやすいポリアセタール樹脂部を金属製框材の摺動部材として用いても、火災時などの温度上昇時における加熱発泡材の膨張によって上部摺動部材を押し出して建具から脱落させることができる。
このような構成によれば、上框の室内側見付け片の上部先端が室外側見付け片の上部先端よりも低い位置に設けられることで、加熱発泡材の発泡に基づき、上部摺動部材を室内側に向かって斜め上方向に押し出すことができ、これにより、より円滑に上部摺動部材を建具から脱落させることができる。
また、本発明の建具では、前記上框は、室外側見付け片と、室内側見付け片と、前記室外側見付け片および前記室内側見付け片間に位置する上側見込み片および下側見込み片とを備えており、前記上框の前記係合凹部は、前記室内側見付け片に形成された孔によって構成されており、前記上側見込み片の端部は、前記上部摺動部材が挿入可能となるように当該端部の室外側部分を残して切り欠かれており、前記上框の前記嵌合部は、前記上側見込み片の前記切り欠かれた端部および前記室外側見付け片の上部によって構成されており、前記加熱発泡材は、前記上部摺動部材の下方に位置する前記下側見込み片に設けられており、前記上部摺動部材は、前記上框に係合する中空の樹脂製本体と、前記樹脂製本体に内蔵された樹脂製ラッチとを備えており、前記上部摺動部材の前記係合凸部は、前記樹脂製本体の室内側部分に形成されており、前記上部摺動部材の前記被嵌合部は、前記上框の長さ方向に沿って前記樹脂製本体の室外側部分に形成された嵌合溝によって構成されていてもよい。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3において、上げ下げ窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁開口部に設けられて建物の室内空間と室外空間とを仕切る本実施形態に係る建具であって、上枠11、下枠12、および左右の縦枠13を四周枠組みした窓枠10と、この窓枠10の内側に支持された上部障子20(外障子)および下部障子30(内障子)とを備えて構成されている。
上部障子20は、上框21、下框22および左右の縦框23を四周框組みした内部に、ガラスパネル24(複層ガラス)を嵌め込んで構成されている。上框21および左右の縦框23は、アルミ製の押出し形材と樹脂製材料とが組み合わされた複合体によって形成されており、下框22は、アルミ製の押出し形材によって形成されている。
下部障子30は、金属製建具部材としての上框31、下框32および左右の縦框33を四周框組みした内部に、ガラスパネル34(複層ガラス)を嵌め込んで構成されている。上框31、下框32および左右の縦框33は、室外側に位置するアルミ製の押出し形材と室内側に位置する樹脂製材料とが組み合わされた複合体によって形成されている。窓枠10、上部障子20および下部障子30に使用される樹脂製材料は、後述する樹脂製部品を除き、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)によって構成されている。なお、PVCは、火炎から離されていれば消火する自己消火性に優れるため、これ自体が火炎に直接さらされない限り、発火可能性は低い。
下部障子30は、窓枠10の縦枠13に案内され、上部障子20の室内側に沿って上下スライド開閉可能に支持された可動障子である。
これらの上部障子20の下框22(外召合せ框)と下部障子30の上框31(内召合せ框)とが見込み方向に重なると、上げ下げ窓1が閉じられるようになっている。
下部障子30の上框31の略中央部にはクレセント錠35が設けられ、上部障子20の下框22には錠受け25が設けられており、上部障子20および下部障子30を閉じた状態でクレセント錠35を錠受け25に係合させることで、上げ下げ窓1が施錠されるようになっている。
下部障子30は、上框31の両端に設けられた樹脂製部品としての上部摺動部材36(上部摺動片)と、下部障子30の下端部に連結された下部摺動部材(下部摺動片、図示せず)とが、縦枠13の室内側見付け片132および中間部見付け片133間に案内されることで上下スライド可能に構成されている。また、下部障子30の加熱発泡により膨張して上部摺動部材36を建具外部に向かって押出し可能な位置、つまり上部摺動部材36の近傍に加熱発泡材37が配置されている。
上部障子20は、縦枠13の中間部見付け片133および室外側見付け片134間に設けられる固定装置50によって、下辺両端部である下框22の端部および縦框23の下端部が支持されるとともに、上辺両端部である上框21の端部および縦框23の上端部に取り付けた位置決め部材60が上枠11によって位置決めされることで窓枠10に固定されている。下框22には、室内側から上方に延出した延出片22Aが設けられている。
室内側見付け片315の両端部の上部先端は、室外側見付け片312の両端部の上部先端よりも低い位置に設けられている。室外側見付け片312の上部には、樹脂製覆部318の室外側端部が係合する係合溝312Aが形成されており、室内側見付け片315の下部には、樹脂製覆部318の室内側端部が係合する係合溝315Aが形成されている。
上側見込み片313の端部と室外側見付け片312の係合溝312Aを形成する溝形成部312Bとは、上部摺動部材36が左右方向にスライド移動可能に嵌合する嵌合部317を構成している。室内側見付け片315には、係合凹部としての係合角孔315Bが形成されている。
樹脂製ラッチ362は、ポリアセタール樹脂部(POM)として構成されている。ここで、ポリアセタール樹脂は、摺動性および耐摩耗性に優れるため、縦枠13との摺動部品である樹脂製ラッチ362の樹脂製材料として好適である。しかし、ポリアセタール樹脂は、酸化指数が高くて発火しやすく(400℃程度で発火可能性あり)、防火面において好ましくない性質をも有している。
また、樹脂製ラッチ362は、樹脂製本体361の縦枠13側の端部から出没可能に設けられており、コイルバネ等の付勢部材(図示しない)によって縦枠13側に向かって弾性付勢されている。
つまみ363は、樹脂製本体361の上部に装着されているとともに、樹脂製ラッチ362に連結されており、左右方向の移動操作により樹脂製ラッチ362を出没操作可能に構成されている。
嵌合溝364は、樹脂製本体361の縦枠13側とは反対側の端部から左右方向に延びて形成されており、図5に示すようにアルミ製本体部311の上側見込み片313および溝形成部312Bに当接して嵌合部317に嵌合可能に構成されている。
係合凸部365は、上部摺動部材36が上框31の端部に取り付けられた場合にはアルミ製本体部311に形成してある係合角孔315Bに配置されている。
このような樹脂製本体361が上框31に取り付けられると、樹脂製本体361の上部およびつまみ363は建具外部に露呈し、樹脂製本体361の下部は、アルミ製本体部311の内部に位置する。
なお、前述した加熱発泡材37は、上部摺動部材36の加熱時脱落用に設けられたものであり、このほかにも、窓枠10、上部障子20および下部障子30には隙間遮断用の加熱発泡材38が、その発泡時に窓枠10と障子20,30との間を塞いで火炎や空気の流入を遮断するために、適宜設けられている。
以下、本実施形態に係る上げ下げ窓1の作用について説明する。例えば、室外側において火災が発生した場合は次の通りである。
室外側での火災時、上げ下げ窓1は、室外側から輻射熱を受けて次第に温度上昇する。
温度が100℃程度まで上昇した場合、上部摺動部材36の樹脂製本体361は軟化しはじめ、嵌合部317および嵌合溝364の嵌合強度と係合凸部365および係合角孔315Bの係合強度とが温度上昇とともに徐々に低下する。
温度が200℃程度まで上昇した場合、図6に示すように、加熱発泡材37は発泡し、膨張しながら樹脂製本体361の下面361Aを上方に向かって押圧する。押圧される樹脂製本体361は、変形しながら嵌合部317および嵌合溝364の嵌合と係合凸部365および係合角孔315Bの係合とを解除する。前述した嵌合および係合の解除後、加熱発泡材37はさらに膨張して上部摺動部材36を上方に押し出し、温度が400℃程度にまで温度上昇する前に上框31から脱落させる。
また、加熱発泡材37が発泡する温度では、加熱発泡材38も発泡し、窓枠10、上部障子20および下部障子30の予め設定した各箇所の空間を閉塞し、室外側から室内側への火炎の吹込みなどを防止する。
なお、アルミ製本体部311などのアルミ製建具材料は、溶融温度が615℃〜655℃であるため、400℃前後では溶融することがなく、形状を維持して防火可能である。
このようにして、温度上昇時に上部摺動部材36を上げ下げ窓1から脱落させることで、上部摺動部材36(特に樹脂製ラッチ362)の発火を防止する。
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)火災時等の熱によって軟化し、上框31への取付け状態が弱まった上部摺動部材36を、加熱発泡材37の膨張によって建具外部に向かって押し出すことで、上部摺動部材36を上框31から脱落させることができる。これにより、上框31などの金属製建具部材の溶融よりも先に発火する可能性のある上部摺動部材36(特に樹脂製ラッチ362)を上げ下げ窓1から自動的に分離させることができ、上部摺動部材36の発火を防止でき、上部摺動部材36の発火に起因する上げ下げ窓1の温度上昇や発火などを防止できる。
また、嵌合部317および嵌合溝364の嵌合と係合凸部365および係合角孔315Bの係合とによって、上部摺動部材36を上框31のアルミ製本体部311に確実に取り付けることができる。また、火災時等の熱によって上部摺動部材36が軟化した場合に、前述した嵌合および係合が弱まるため、この嵌合、係合を容易に解除可能となる。このため、上部摺動部材36の軟化を利用して前述した嵌合および係合を解除できる。
さらに、上部摺動部材36を備えた既設の上げ下げ窓1に対し、上部摺動部材36を押し出して脱落可能な近傍位置に加熱発泡材37を配置するだけで、既存の上部摺動部材36の材質や形状を変更しなくても既設の上げ下げ窓1を防火用に簡単に仕様変更でき、防火用の上げ下げ窓1を安価に提供できる。
(2)上部摺動部材36の上框31への係合は、係合角孔315Bや係合凸部365といった簡単な構成であるため、既設の上げ下げ窓1を加工して係合角孔315Bや係合凸部365を簡単に形成できる。また、係合角孔315Bがアルミ製本体部311に形成され、係合凸部365が樹脂製本体361に形成されるので、平常時には、上部摺動部材36をアルミ製本体部311でしっかりと保持しておくことができ、他方、火災時等における温度上昇時には、樹脂製本体361の係合凸部365の軟化に基づいて係合角孔315Bと係合凸部365との係合を容易に解除可能な状態にでき、加熱発泡材37の発泡によって上部摺動部材36を容易に押し出して脱落させることができる。
(4)上部摺動部材36を上框31の端部から挿入することによって、嵌合溝364に嵌合部317を嵌合でき、上部摺動部材36の上框31に対する大体の位置決めを行える。そして、樹脂製本体361やアルミ製本体部311を若干撓めながら上部摺動部材36を上框31にさらに挿入することによって、係合凸部365を係合角孔315Bに係合できる。このようにして、上部摺動部材36を上框31に簡単に係合させることができる。
また、火災時等における温度上昇時には、例えば100℃程度で樹脂製本体361が軟化して上部摺動部材36の上框31との係合が容易に解除可能な状態となり、更なる温度上昇時であって上部摺動部材36の樹脂製ラッチ362が発火する温度(400℃程度)よりも低い温度時(例えば200℃程度)には、加熱発泡材37が発泡により膨張して樹脂製本体361の下部に当接し、上部摺動部材36を上方に向かって押し出すため、上部摺動部材36を発火前に上框31から脱落させることができる。
(5)室内側見付け片315の長さ方向の両端部における上部先端が、室外側見付け片312の長さ方向の両端部における上部先端よりも低い位置に設けられているので、加熱発泡材37の発泡に基づき、上部摺動部材36を室内側に向かって斜め上方向に押し出すことができる。これにより、上部摺動部材36を建具からより円滑に脱落させることができる。
例えば、前記実施形態では、係合凸部365が上部摺動部材36に設けられ、かつ係合角孔315Bが上框31に設けられているが、これとは逆に、係合凸部が上框31に設けられ、かつ係合角孔などの係合凹部が上部摺動部材36に設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、係合角孔315Bを係合凹部として構成したが、これに限定されず、例えば、円孔などの各種の孔や各種の切欠きによって構成されていてもよい。
また、樹脂製部品としては、前述した上部摺動部材36、補助錠、把手29,39に限定されず、建具に取り付けられる各種の樹脂部品によって構成されてもよい。
Claims (4)
- 窓枠と、金属製框材をそれぞれ有した上部障子および下部障子とを備えた上げ下げ窓によって構成された建具であって、
前記下部障子の金属製框材は、上框、下框および左右の縦框を形成しており、
前記上框の端部には、前記窓枠に沿って摺動可能な上部摺動部材が取り付けられており、
前記上部摺動部材は、前記上框の端部に係合される被係合部を備えており、
前記被係合部は、前記上部摺動部材の室外側部分および室内側部分のうちのいずれか一方に形成された係合凸部と、前記上部摺動部材の室外側部分および室内側部分のうちのいずれか他方に形成された被嵌合部とによって構成されており、
前記上框は、前記被係合部が係合可能な係合部を備えており、
前記係合部は、前記上框の室外側部分および室内側部分のうちのいずれか一方に形成された係合凹部と、前記上框の室外側部分および前記上框の室内側部分のうちのいずれか他方に形成された嵌合部とによって構成されており、
前記被嵌合部は、前記嵌合部と嵌合可能であるとともに、嵌合状態において前記上框の長さ方向にスライド移動可能に構成されており、
前記係合凸部は、前記係合凹部と係合可能に前記上框の端部に配置されており、
前記上框の端部には、前記上部摺動部材に対して下方に配置された加熱発泡材が設けられており、
前記上部摺動部材は、前記加熱発泡材の加熱発泡時に前記加熱発泡材により上方に押圧されることによって前記上框の前記係合部との係合を解除可能に構成される
ことを特徴とする建具。 - 請求項1に記載の建具において、
前記上部摺動部材は、ポリアセタール樹脂部を有して形成されており、前記ポリアセタール樹脂部は前記金属製框材の摺動部材として用いられる
ことを特徴とする建具。 - 請求項1または請求項2に記載の建具において、
前記上框は、室外側見付け片と、室内側見付け片と、前記室外側見付け片および前記室内側見付け片間に位置する下側見込み片とを備えており、
前記加熱発泡材は、前記上部摺動部材の下方に位置する前記下側見込み片に設けられており、
前記係合凹部は、前記室外側見付け片および前記室内側見付け片のうちのいずれか一方に形成されており、
前記嵌合部は、前記室外側見付け片および前記室内側見付け片のうちのいずれか他方に形成されており、
前記室内側見付け片の上部先端は、前記室外側見付け片の上部先端よりも低い位置に設けられる
ことを特徴とする建具。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の建具において、
前記上框は、室外側見付け片と、室内側見付け片と、前記室外側見付け片および前記室内側見付け片間に位置する上側見込み片および下側見込み片とを備えており、
前記上框の前記係合凹部は、前記室内側見付け片に形成された孔によって構成されており、
前記上側見込み片の端部は、前記上部摺動部材が挿入可能となるように当該端部の室外側部分を残して切り欠かれており、
前記上框の前記嵌合部は、前記上側見込み片の前記切り欠かれた端部および前記室外側見付け片の上部によって構成されており、
前記加熱発泡材は、前記上部摺動部材の下方に位置する前記下側見込み片に設けられており、
前記上部摺動部材は、前記上框に係合する中空の樹脂製本体と、前記樹脂製本体に内蔵された樹脂製ラッチとを備えており、
前記上部摺動部材の前記係合凸部は、前記樹脂製本体の室内側部分に形成されており、
前記上部摺動部材の前記被嵌合部は、前記上框の長さ方向に沿って前記樹脂製本体の室外側部分に形成された嵌合溝によって構成されている
ことを特徴とする建具。
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