JP6347717B2 - 二次電池用金属蓄電材、金属空気二次電池、及び二次電池用金属蓄電材の製造方法 - Google Patents
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Description
3Fe+4H2O → Fe3O4+4H2 ・・・ (1)
また、前記(1)の反応で用いられる水として、固体酸化物形燃料電池の発電時において生成する水が用いられる。よって、前記金属粉末を用いることにより、固体酸化物形燃料電池の発電時における反応生成物である水から、固体酸化物形燃料電池の発電に必要な水素を取り出すことができる。
また、特許文献2には、「酸化還元によって水素を吸蔵・放出できる水素吸蔵金属を母材とし、前記水素吸蔵金属の表面に、金属又は金属酸化物の少なくとも一方の物質がALD法又はLPD法を用いて添加されていることを特徴とする水素部材」が開示されている(特許文献2の請求項1参照)。
(1)金属粉末と、前記金属粉末の表面の少なくとも一部に存在し、かつ酸化物イオンと電子との混合伝導性を有する一種又は複数種の酸化物と、を有することを特徴とする二次電池用金属蓄電材であり、
(2)前記一種又は複数種の酸化物は、Mn、Fe、及びCeを含む蛍石型構造の酸化物を含有することを特徴とする前記(1)に記載の二次電池用金属蓄電材であり、
(3)前記一種又は複数種の酸化物は、La、Sr、Mn、及びFeを含むペロブスカイト型構造の酸化物を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の二次電池用金属蓄電材であり、
(4) 金属Aを含有する金属粉末と、前記金属粉末の少なくとも表面に存在し、かつ前記金属A以外の金属である一種又は複数種の金属BとしてCu、Co、Mn、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物と、を有し、
ネルンストの式により計算される前記金属B又は前記酸化物に含有される金属Bの酸化還元電位は、ネルンストの式により計算される前記金属Aの酸化還元電位に対して、−0.2V以上+0.2V以下の範囲にあることを特徴とする二次電池用金属蓄電材であり、
(5)前記金属粉末は、鉄粉末であることを特徴とする前記(1)から(4)でのいずれか一つに記載の二次電池用金属蓄電材であり、
(6)前記(1)から(5)までのいずれか一つに記載の二次電池用金属蓄電材と固体酸化物形燃料電池とを組み合わせてなることを特徴とする金属空気二次電池であり、
(7)筒状である前記固体酸化物形燃料電池の内部に、前記二次電池用金属蓄電材を封入してなることを特徴とする前記(6)に記載の金属空気二次電池であり、
(8)金属粉末を構成する金属が酸化されてなる金属酸化物の粉末と、酸化物イオン及び電子の混合導電性を有する酸化物の粒子とを、溶媒中で混合させ、前記溶媒を蒸発させ、次いで前記金属酸化物を還元させることにより、前記(1)から(3)までのいずれか一つに記載の二次電池用金属蓄電材を得ることを特徴とする二次電池用金属蓄電材の製造方法である。
(2)Mn、Fe、及びCeを含む蛍石型構造の酸化物を含有する二次電池用金属蓄電材は、400℃前後の温度条件において、金属粉末の内側まで酸化還元反応を十分に引き起こすことができる。よって、前記(2)に記載の手段によると、比較的低温の条件下においても金属粉末の酸化還元反応を十分に引き起こすことのできる二次電池用金属蓄電材を提供することができる。
(3)La、Sr、Mn、及びFeを含むペロブスカイト型構造の酸化物を含有する二次電池用金属蓄電材は、400℃前後の温度条件において、金属粉末の内側まで酸化還元反応を十分に引き起こすことができる。よって、前記(3)に記載の手段によると、比較的低温の条件下においても金属粉末の酸化還元反応を十分に引き起こすことのできる二次電池用金属蓄電材を提供することができる。
(4)前記(4)に記載の手段によると、金属Aと金属Bとの酸化還元電位が比較的近い値となるので、金属Bの酸化還元反応と、金属粒子における金属Aの酸化還元反応とは、平衡状態をわずかにずらしながら同時に進行する。よって、金属A及び金属Bの価数が変化しやすく、金属Aを有する金属粉末の内部まで酸化還元反応が起こりやすくなる。
(5)前記(5)に記載の手段によると、前記4種類の金属を金属Bとして用いることによって、金属粉末のより内側まで酸化還元反応を起こりやすくすることができる。
(6)鉄は特に酸化還元反応を引き起こしやすい。よって、前記(6)に記載の手段によると、金属粉末の酸化還元がより引き起こされやすく、水素を再生させやすい二次電池用金属蓄電材を提供することができる。
(7)前記二次電池用金属蓄電材は、金属粉末のより内側まで酸化還元反応が起こりやすいので、従来の金属蓄電材に比べて、同じ質量の金属蓄電材から得られる水素の量がより大きい。よって、前記(7)に記載の手段によると、より多くの水素ガスを燃料極に供給することができ、放電容量の大きい金属空気二次電池を提供することができる。
(8)前記(8)に記載の手段によると、二次電池用金属蓄電材によって発生した水素を、より容易に燃料極に供給することのできる金属空気二次電池を提供することができる。
(9)前記(9)に記載の手段によると、金属粉末の表面において酸化物が位置する二次電池用金属電池を、容易に製造することができる。
3Fe + 4H2O → Fe3O4 + 4H2 ・・・ (2)
二次電池用金属蓄電材における前記酸化物の含有率は、特に制限されないが、0.1質量%以上10質量%以下であることが望ましい。前記数値範囲内であると、金属粉末の焼結を効果的に防止することができるとともに、金属粉末の内部まで酸化還元反応を進行させやすくすることができる。尚、二次電池用金属蓄電材に複数種類の酸化物が含有される場合には、全ての種類の酸化物の含有率の和が、0.1質量%以上10質量%以下であればよい。
EA−0.2≦EB≦EA+0.2 ・・・ (4)
EA及びEBは、ネルンストの式を用いることによって計算される。ネルンストの式は、通常以下の式(5)によって表される。
E = E0+(RT/nF)ln(COX/Cred) ・・・ (5)
(E:酸化還元電位、E0:標準電極電位(V)、R:気体定数、T:温度(K)、n:移動電子数、COX:酸化型物質の活量、Cred:還元型物質の活量)
本発明においてネルンストの式により計算される酸化還元電位「E´」は、前記(5)の式におけるE0−Eで表される。前記(5)の式をE´で表しなおすと、以下の(6)のようになる。
E´= −(RT/nF)ln(COX/Cred) ・・・ (6)
また、ΔG=−(RT)ln(COX/Cred)という式を用いることにより、前記(6)式は以下の(7)式のように変形される。
E´ = ΔG/nF ・・・ (7)
(ΔG:ギブスエネルギー変化、n:反応に関わる電荷数、F:ファラデー定数)
例えば、金属Aの一例である鉄と四酸化三鉄との間における酸化還元反応について計算する。鉄から四酸化三鉄への酸化反応において、標準エンタルピー変化ΔH0は、−1184.4(kJ/mol)であり、標準エントロピー変化ΔS0は、―345.13(J・K/mol)である。よって、温度400℃の条件下では、ΔG=ΔH0−TΔS0(Tは、温度(K)とする。)という式に前記値を代入し、ギブスエネルギー変化ΔG=886.1kJ/molと求められる。これを、前記式(7)に代入することにより、酸化還元電位E´は、1.15Vと求められる。
金属Bについても、同じように、温度400℃の条件下での金属Bの酸化反応における標準エンタルピー変化ΔH0及び標準エントロピー変化ΔS0の値より、酸化還元電位E´が求められる。金属Bが複数の価数を取りうる元素であると、金属Bの単体から異なる価数の酸化物を生成する複数の酸化反応が起こるが、これら複数の酸化反応のうち、少なくとも1つの反応において求められる酸化還元電位が、前記(4)の式を満たせばよい。
より具体的には、本発明に係る金属空気二次電池は、固体酸化物形燃料電池と二次電池用金属蓄電材とを組み合わせてなる。金属空気二次電池における固体酸化物形燃料電池の発電時には、二次電池用金属蓄電材における金属粉末を構成する金属の酸化によって発生する水素が、固体酸化物形燃料電池の燃料極に供給される。
(空気極) O2 + 4e− → 2O2− ・・・ (8)
(燃料極) H2 → 2H+ + 2e− ・・・ (9)
2H+ + O2− → H2O ・・・ (10)
(二次電池用金属蓄電材)
Fe + 3H2O → Fe2O3 + 3H2 ・・・ (11)
(空気極) 2O2− → O2 + 4e− ・・・ (12)
(燃料極) 2H2O + e− → 2H2 + O2− ・・・ (13)
(二次電池用金属蓄電材)
Fe3O4 + 3H2 → Fe + 3H2O ・・・ (14)
本発明に係る二次電池用金属蓄電材2は、400℃前後の温度条件下において焼結することが防止されるので、固体酸化物形燃料電池の充放電時に二次電池用金属蓄電材2は、燃料ケース8の内側空間において収縮してしまうことがない。さらに、400℃前後の温度条件下においても、二次電池用金属蓄電材2における金属粉末は、内部まで十分に酸化反応が進行する。よって、二次電池用金属蓄電材2は十分な量の水素ガスを燃料極3に供給することができる。
まず、平均粒子径が約2μmである金属酸化物の粉末と、平均粒径が2〜7μmである前記酸化物の粉末とを、所望の比率となるように混ぜ、溶媒を加える。次に、溶媒中に粉末が均一に懸濁するようになるまで、金属酸化物の粉末と酸化物の粉末とを混合する。混合の方法は特に制限されないが、例えばボールミルを用いて混合すればよい。前記溶媒は、粉末を均一に懸濁させることができる限りにおいて特に制限されないが、例えば、水、エタノール、又はアセトン等が好適例として用いられる。また、溶媒の添加量も、粉末が均一に懸濁されるように、適宜変更することができる。
(2)溶媒の蒸発
次に、前記溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させる方法は特に制限されず、例えば、常温条件下において前記粉末を含む懸濁液を放置する方法でもよく、前記粉末を含む懸濁液を加熱してもよい。溶媒を蒸発させることにより、前記金属酸化物の粉末の表面に、前記酸化物が存在する金属酸化物粉末が得られる。この段階で、金属酸化物粉末の平均粒子径は、0.5〜2μmであることが好ましい。
(3)金属酸化物の還元
前記金属酸化物粉末において含有される金属酸化物を還元することによって、金属粉末の表面に、前記酸化物が修飾されてなる二次電池用金属蓄電材が得られる。金属酸化物の還元は、前記金属酸化物粉末を、加熱炉等において熱することによって行われる。金属酸化物の還元における温度条件は、600℃以上700℃以下であることが特に好ましい。このような温度条件であると、金属粉末又は酸化物の物性が変化することを抑制しつつ、還元された金属粉末を得ることができる。
酸化鉄中に含有される鉄の質量と、酸化物の質量との比が、95:5となるように、酸化鉄と下記の酸化物のいずれか一種類とを混ぜ、混合粉末を得た。この混合粉末にエタノールを加え、ボールミルを用いて400回転/分で1時間混合し、エタノールを蒸発させることにより、酸化鉄が酸化物によって修飾されてなる酸化鉄粉末を得た。尚、用いた酸化物は、Ce0.6Mn0.3Fe0.1O2−δ、La0.6Sr0.4Fe0.9Mn0.1O3−δ、及びLaSr3Fe3O10の3種類であった。
(2)鉄以外の金属Bを含有する酸化鉄粉末の作製
鉄が95atm%、鉄以外の金属Bが5atm%の比率となるように、硝酸鉄又は塩化鉄等に代表される金属Aである鉄の塩からなる粉末と、下記の金属Bを含有する硝酸塩又は塩化物のうちいずれか一種類からなる粉末とを混合した水溶液を作製した。この水溶液中における水を蒸発した後、大気中で600℃、6時間の加熱処理を行うことにより、酸化鉄が金属Bによって修飾されてなる酸化鉄粉末を得た。尚、金属Bの硝酸塩又は塩化物として、Cr(NO3)3・9H2O、Co(NO3)2・8H2O、Mn(NO3)2・8H2O、Ni(NO3)2・6H2O、Cu(NO3)3・3H2O、PdCl2、RhCl3・3H2O、及びH2PtCl6・3H2Oの8種類を用いた。
(3)酸化鉄粉末の還元
前記(1)及び(2)で得られた計11種類の酸化鉄粉末を、管状炉に入れ、600℃、3時間の加熱条件下において、2.8体積%の水蒸気を含有するように加湿された水素ガスを炉内に投入し、酸化鉄粉末中の酸化鉄を還元した。その結果、粒径が0.5〜2μmであり、鉄が酸化物又は金属Bで修飾されてなる二次電池用金属蓄電材が得られた。
(4)酸化増量測定
前記(3)で得られた二次電池用金属蓄電材5mgを、リガク製Thermo Plus2(TG−DTA)にセットし、室温から1000℃まで、毎分20℃ずつ温度を上昇させながら、2.8体積%の水蒸気を含有する加湿された窒素ガスを投入した。温度上昇中における二次電池用金属蓄電材の重量変化を測定することにより、金属粉末を構成する鉄の内部まで酸化が進行するかどうかを評価した。
また、比較例として、酸化物及び金属Bのいずれによっても修飾されていない単体の鉄からなる鉄粉末について同様の実験を行い、重量変化を測定し、鉄粉末の内部まで酸化が進行するかどうかを評価した。それぞれの結果を図3に示す。尚、図3において、指示線の一端に酸化物又は元素が記載された曲線は、それぞれの酸化物又は金属Bによって修飾された二次電池用金属蓄電材の例を示し、指示線の一端に「比較例」と記載された曲線は、酸化物及び金属Bのいずれによっても修飾されていない金属粉末の例を示す。
(5)酸化増量測定結果の評価
図3に示されるように、酸化物であるCe0.6Mn0.3Fe0.1O2−δ、La0.6Sr0.4Fe0.9Mn0.1O3−δ、又はLaSr3Fe3O10によって修飾されてなる二次電池用金属蓄電材は、比較例に比べて、400℃付近における重量変化量が大きい。特に、Mn、Fe、及びCeを含む蛍石型構造の酸化物であるCe0.6Mn0.3Fe0.1O2−δによって修飾されてなる二次電池用金属蓄電材と、La、Sr、Mn、及びFeを含むペロブスカイト型構造の酸化物であるLa0.6Sr0.4Fe0.9Mn0.1O3−δによって修飾されてなる二次電池用金属蓄電材とは、400℃付近において、重量変化量が約1.8mg前後に達する。この値は、金属粉末に含有される鉄が全て四酸化三鉄へ酸化されたとして計算される理論上の重量増加量である約1.9mgに近い値である。よって、これら2つの二次電池用金属蓄電材においては、400℃前後の温度において、鉄がほぼ完全に酸化されていることが分かる。
また、Co、Cu、Mn、Ni、Rh、Pt、Pd、又はCrの8種類の金属によって修飾されてなる二次電池用金属蓄電材も、比較例に比べて重量変化量が大きくなっており、鉄粉末の表面だけでなく鉄粉末の内部にまで酸化が進行することが分かる。特に、Co、Cu、Mn、及びNiを用いる例では、500℃〜600℃付近における重量変化量が比較例に比べて大きく、酸化がより進行している。また、金属BとしてCo、Mn、又はCuを用いる例では、500℃付近における重量変化量が特に大きい。更に、Co又はMnを用いる例では、500℃付近における重量変化量が1.8mg前後に達しており、500℃前後の温度において鉄から四酸化三鉄への酸化がほぼ完了していることが分かる。
La1−sSrSGa1−tMgtO3−δ(0.05<s<0.25、0.05<t<0.25)の式で表されるLSGMの粉末を、静水圧プレスにて1.5tonの加圧を行い、略有底管形状に成形した。その後、旋盤にて所定の形状に削り、1400℃にて焼成を行い、図4に示されるように、φ13mm、長さ10cm、厚さ1mmのLSGMからなる筒状の固体電解質層44を得た。
次に、質量比でNi:Fe=9:1となるように、Fe(NO3)3・9H2O水溶液中にNiO粉末を混合し、水を蒸発させた後、600℃−6hrの条件で仮焼成することにより、燃料極原料を得た。
また、Ba0.6La0.4CoO3−δと同じ組成となるように、La2O3、BaCO3、及びCo3O4の粉末を混合し、1200℃、6時間で仮焼成し、固相法を用いて空気極原料を得た。
前記燃料極原料及び前記空気極原料に、それぞれ溶媒及びバインダーを加え、スラリー状の燃料極前駆体とペースト状の空気極前駆体とを得た。前記筒状の固体電解質層44の外壁面の底部近傍にペースト状の空気極前駆体を、前記筒状の固体電解質層44の内壁面の底部近傍にスラリー状の燃料極前駆体を、それぞれの電極面積が10cm2となるように塗布した後、1100℃、30minで焼き付けることにより、燃料極43及び空気極45を得た。燃料極43及び空気極45には、白金線51を取り付け、定電流装置55と接続させた。燃料極43の内側には、燃料ケースとして筒状の有底アルミナ管52を設け、この有底アルミナ管52の内部に、前記(3)酸化鉄粉末の還元で得られたCe0.6Mn0.3Fe0.1O2−δにより修飾されてなる二次電池用金属蓄電材30mgを入れた。固体電解質層44の開口端には、ガス導入用の入口及び出口となるステンレス配管53を導入し、エポキシ樹脂からなるシール部材54により前記開口端を封止した。次に、燃料極43及び空気極44を加熱しながら、3%の水蒸気を含有する水素ガスを、100ml/minにてステンレス管53を通して投入しながら、500℃、1hrの条件で、燃料極43及び前記二次電池用金属蓄電材を還元した。このとき、図4には図示されていないが、空気極45には100ml/minの条件で空気を供給した。その後、400℃に温度を低下させ、87.3質量%のアルゴン、9.7質量%の水素、及び3質量%の水蒸気からなるガスを、ステンレス管53を通して投入した後、ステンレス管53の入口及び出口を止め、封止した。
尚、充放電は、1mA(0.1mAcm2)の定電流条件下における二端子法によって行った。具体的には、定電流装置55によって一定の大きさの電流をかけながら、放電時及び充電時における燃料極43と空気極45との間における電圧を測定した。充電、放電はそれぞれ20回ずつ行った。結果を図5に示す。尚、図5の横軸における充放電容量(mAhgFe −1)は、通電した電流の大きさ(mA)×通電した時間(h)/鉄粉末の重量(g)の式により求めた。
放電時における電圧と放電容量との関係は、図5において1.1Vよりも下に位置する曲線により示され、充電時における電圧と充電容量との関係は、図5において1.1Vよりも上に位置する曲線により示される。放電時には1.05V付近の電圧において、400mAhgFe−1の放電容量が得られ、充電時には1.25V付近の電圧において、400mAhgFe−1の放電容量が得られた。これらの結果から、400℃前後の温度条件であっても、効率よく繰り返し充放電をできることが分かった。
また、図5では、1回目、5回目、10回目、及び20回目に充放電を行った際の結果を示している。充電及び放電のいずれにおいても、1回目から20回目までほとんど電圧の低下が見られず、繰り返し使用しても電池の能力が落ちず、耐久性に優れていることが分かった。
さらに、図6では、CMFによって金属粒子の表面を修飾した鉄粉末と、修飾していない鉄粉末とにおいて、20回の充放電サイクル試験の前後における鉄粉末の観察写真を示す。図6(a)は、CMFによって金属粒子の表面が修飾された鉄粉末の充放電試験前の観察写真であり、図6(b)は、CMFによって金属粒子の表面が修飾された鉄粉末の充放電試験後の観察写真であり、図6(c)は、CMFによって金属粒子の表面が修飾されていない鉄粉末の充放電試験前の観察写真であり、図6(d)は、CMFによって金属粒子の表面が修飾されていない鉄粉末の充放電試験後の観察写真である。図6(a)及び(c)のように、充放電試験前の鉄粉末は、CMFによる表面修飾の有無に関わらず、一次粒子と一次粒子との間に隙間が見られる。一方で、充放電試験後には、CMFで修飾した鉄粉末は図6(b)のように一次粒子同士の間に隙間が見られるものの、CMFで修飾しなかった鉄粉末については、図6(d)のように一次粒子間の隙間が小さくなっている。よって、CMFで修飾しなかった金属粉末は、充放電試験の過程で焼結することにより、鉄粉末の粒子同士が凝集したことが分かる。以上より、CMFにより金属粉末を修飾することによって、高温条件下における焼結が防止されることが分かった。
2 二次電池用金属蓄電材
3、43 燃料極
4、44 固体電解質層
5、45 空気極
6 シール部材
7 燃料極側集電体
8 燃料ケース
9 空気極側集電体
11 固体酸化物形燃料電池
51 白金線
52 有底アルミナ管
53 ステンレス管
54 シール部材
55 定電流装置
Claims (8)
- 金属粉末と、前記金属粉末の表面の少なくとも一部に存在し、かつ酸化物イオンと電子との混合伝導性を有する一種又は複数種の酸化物と、を有することを特徴とする二次電池用金属蓄電材。
- 前記一種又は複数種の酸化物は、Mn、Fe、及びCeを含む蛍石型構造の酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池用金属蓄電材。
- 前記一種又は複数種の酸化物は、La、Sr、Mn、及びFeを含むペロブスカイト型構造の酸化物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池用金属蓄電材。
- 金属Aを含有する金属粉末と、前記金属粉末の少なくとも表面に存在し、かつ前記金属A以外の金属である一種又は複数種の金属BとしてCu、Co、Mn、及びNiよりなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物と、を有し、
ネルンストの式により計算される前記金属B又は前記酸化物に含有される金属Bの酸化還元電位は、ネルンストの式により計算される前記金属Aの酸化還元電位に対して、−0.2V以上+0.2V以下の範囲にあることを特徴とする二次電池用金属蓄電材。 - 前記金属粉末は、鉄粉末であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の二次電池用金属蓄電材。
- 請求項1から5までのいずれか一項に記載の二次電池用金属蓄電材と固体酸化物形燃料電池とを組み合わせてなることを特徴とする金属空気二次電池。
- 筒状である前記固体酸化物形燃料電池の内部に、前記二次電池用金属蓄電材を封入してなることを特徴とする請求項6に記載の金属空気二次電池。
- 金属粉末を構成する金属が酸化されてなる金属酸化物の粉末と、酸化物イオン及び電子の混合導電性を有する酸化物の粒子とを、溶媒中で混合させ、前記溶媒を蒸発させ、次いで前記金属酸化物を還元させることを特徴とする二次電池用金属蓄電材の製造方法。
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JP2016081637A (ja) | 2016-05-16 |
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