JP6346848B2 - 表皮材被覆発泡粒子成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、表皮材被覆発泡粒子成形体に関する。
従来、発泡粒子成形体とその略全面を被覆する表皮材とからなる表皮材被覆発泡粒子成形体が知られている。この表皮材被覆発泡粒子成形体を製造する方法として、ブロー成形などにより得られた中空成形体内部に発泡粒子を充填し、該発泡粒子を加熱・融着させた後、冷却させて表皮を有する発泡粒子成形体を得る方法がある。
特許文献1には、表皮付発泡粒子成形体を得るに際して、ブロー成形により形成された中空ブロー成形体が冷却固化する前に、中空成形体に穴を開け該中空成形体内を大気に開放して発泡粒子を充填し、蒸気を供給する方法が開示されている。さらに、特許文献2には、表皮材被覆ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体を製造するに際して、表皮材を形成する基材樹脂として特定の熱的特性を有するポリプロピレン系樹脂を用いる方法が開示されている。
これらの方法により、表皮材と発泡粒子成形体との融着性および発泡粒子同士の融着性に優れた表皮材被覆発泡粒子成形体を得ることができる。
特許第2860007号公報 特開2008−273117号公報
従来においても、中空状の表皮材の内部に発泡粒子を充填し、融着させた表皮材被覆発泡粒子成形体が知られており、このような成形体は表皮材による優れた外観意匠性を有し、さらに表皮材と発泡粒子成形体とが十分に融着している成形体は特に曲げ剛性に優れていることから、各種構造部材に使用されている。一方、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、圧縮変形によるエネルギー吸収特性に優れ、その優れた緩衝特性から、精密機器などの包装材や、自動車のバンパ芯材や側突パッドなどのエネルギー吸収部材として使用されている。しかしながら、従来の表皮材被覆発泡粒子成形体では、表皮材の厚みが厚いと、衝突初期の成形体の変形が阻害され、さらに衝突により圧縮された成形体の容積の回復が阻害されてしまうため、発泡粒子成形体の基材樹脂がポリプロピレン系樹脂であっても、表皮材の影響によりエネルギー吸収特性を再現性良く発揮できないという問題に遭遇していた。
そこで、特許文献2に開示された方法により、表皮材の薄肉化が可能となったが、表皮材の影響により、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体が本来有するエネルギー吸収特性を十分に再現性良く発揮できないことがあった。また、構造部材などに用いられる場合、衝突時に、圧縮変形だけではなく曲げ変形が生じるため、少ない変形量の中で十分な量のエネルギーを吸収するためには成形体に十分な曲げ剛性が要求される。しかし、ポリプロピレン系樹脂からなる薄肉表皮を有する表皮材被覆発泡粒子成形体では、変形時に表皮材への応力の集中が起こりやすく、局所的に表皮材の剥離が生じて、大きく変形してしまうことがあった。
本発明は、軽量でありながらも、曲げ剛性、エネルギー吸収特性にも優れる表皮材被覆発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、種々の観点から多角的に検討を重ねた結果、オレフィン系熱可塑性エラストマーを含む軟質なポリオレフィン系重合体組成物を使用して薄肉の表皮材を形成し、かつ発泡粒子成形体と表皮材とを十分に接着させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に記載の〔1〕〜〔5〕を提供する。
〔1〕オレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物からなる中空ブロー成形体の中空部にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、該発泡粒子を加熱融着させて発泡粒子成形体を形成すると共に該発泡粒子成形体と該中空ブロー成形体の内面とを加熱融着させて得られる、
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体が中空ブロー成形体からなる表皮材で被覆された表皮材被覆発泡粒子成形体であって、
該表皮材のタイプAデュロメータ硬さが95以下であり、
該表皮材の平均厚みが0.5mm以上2.0mm未満であり、
該表皮材と発泡粒子成形体との接着強度が4N/cm以上である、
ことを特徴とする表皮材被覆発泡粒子成形体。
〔2〕前記ポリオレフィン系重合体組成物の180℃における溶融伸びが70m/分以上である、前記〔1〕に記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
〔3〕前記ポリオレフィン系重合体組成物の190℃における溶融張力が3cN以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
〔4〕前記ポリオレフィン系重合体組成物が、オレフィン系熱可塑性エラストマーとメタロセン系重合触媒により重合されたポリプロピレン系樹脂との混合物である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
〔5〕前記ポリオレフィン系重合体組成物中のオレフィン系熱可塑性エラストマーの重量割合が40〜80重量%である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
発明の表皮材被覆発泡粒子成形体は、軽量性、外観意匠性に優れている。
また、曲げ剛性にも優れると共に、従来のものやポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体単体と比較してエネルギー吸収性能に優れ、さらに衝撃を受けた際の回復性に優れるため、十分なエネルギー吸収特性を再現性良く発現できることから、自動車用、産業用、農業用、医療用、介護用等の各種部材として好適に使用できる。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の一例を示す一部切開斜視図である。 本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の実施例1及び比較例1における衝撃試験時の加速度チャートである。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(一般に「TPO」と称されている。)を含むポリオレフィン系重合体組成物からなる中空ブロー成形体の中空部にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、該発泡粒子を加熱融着させて発泡粒子成形体を形成すると共に該発泡粒子成形体と該中空ブロー成形体の内面とを加熱融着させて得られる、
発泡粒子成形体が中空ブロー成形体からなる表皮材で被覆された表皮材被覆発泡粒子成形体であって、
該表皮材のデュロメータA硬さが95以下であり、
該表皮材の平均厚みが0.5mm以上2.0mm未満であり、
該表皮材と発泡粒子成形体との接着強度が4N/cm以上である、
ことを特徴としている。
図1は本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の一例を示す一部切開斜視図である。同図に示す表皮材被覆発泡粒子成形体1は、中空ブロー成形体2からなる表皮材と発泡粒子成形体3から構成され、中空ブロー成形体2の内周面と発泡粒子成形体3の外周面とが接着しているが、中空ブロー成形体及び発泡粒子の基材樹脂、並びに中空ブロー成形体及び発泡粒子成形体の製造方法による特徴を反映している。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物からなる中空ブロー成形体の中空部にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、該発泡粒子を加熱融着させて発泡粒子成形体を形成すると共に該発泡粒子成形体と該中空ブロー成形体の内周面とを加熱融着させることによって得られる。より具体的には、例えば、押出機にてオレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物を混練し、ダイを通してその溶融物を押出してパリソンを形成し、ダイ直下に位置するブロー成形用分割金型にてパリソンを挟み込みブロー成形して中空ブロー成形体となし、次いで該中空ブロー成形体内にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、更に発泡粒子が充填されている中空成形体内にスチーム等の加熱媒体を吹き込むことにより加熱して発泡粒子を相互に融着させて発泡粒子成形体とすると共に発泡粒子成形体の外周面と表皮材としての前記中空ブロー成形体の内周面とを融着させることにより製造される。なお、中空ブロー成形体内へのポリプロピレン系樹脂発泡粒子の充填、成形工程は、ブロー成形により中空ブロー成形体を得た後、連続して行われることが好ましいが、ブロー成形にて中空ブロー成形体を得た後、時間をおいて別工程にて該発泡粒子の充填、成形工程を行うこともできる。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の表皮材を形成する基材樹脂は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物であり、これらは、重合当初からの組成物、ブレンドによる組成物のいずれであってもよい。
本発明の表皮材のポリオレフィン系重合体組成物にはオレフィン系熱可塑性エラストマーが含まれるが、これは、表皮材が、高密度ポリエチレンやポリプロピレン系樹脂などポリオレフィン系樹脂のみで形成されていると、衝撃を受けた時に発泡粒子成形体の変形が阻害されて、十分なエネルギー吸収特性が得られないおそれや、設計どおりのエネルギー吸収特性が発現されないおそれがあるので、それらを回避するためである。
該オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリプロピレンなどのポリオレフィンのマトリックス中に、ソフトセグメントとなるエチレン‐プロピレンゴムなどのオレフィンゴム成分を重合工程で又は物理的に微分散させて製造された非架橋タイプがブロー成形性、リサイクルの観点から好ましい。なお、オレフィン系熱可塑性エラストマーのタイプAデュロメータ硬さの上限は、概ね90程度である。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、プライムポリマー社製「プライムTPO」、住友化学社製「エスポレックス」、JSR社製「EXCELINK」等を挙げることができる。
ポリオレフィン系重合体組成物は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーを含み、さらにポリオレフィン系樹脂を含んでもよい。該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂がポリプロピレン系樹脂発泡粒子からなる発泡粒子成形体との接着性の観点から好ましい。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体において、表皮材のタイプAデュロメータ硬さが95以下であることを要し、タイプAデュロメータ硬さが65〜90であることが好ましい。タイプAデュロメータ硬さが95を超えると、曲げ変形による表皮材剥離が発生しやすくなり、また、衝突時に最大応力が大きくなりすぎるおそれや衝突後に成形体が回復できなくなるおそれがある。
なお、タイプAデュロメータ硬さは、JIS K6253−3:2012に基づき測定される値である。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体において、表皮材の平均厚みは、0.5mm以上2.0mm未満である。表皮材の平均厚みが2.0mmよりも大きいと、軽量性に劣り、また衝突時の最大応力が高くなりすぎるおそれや、衝突後に十分な回復性を示さなくなるおそれがある。かかる観点から、表皮材の平均厚みは1.8mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以下である。また、0.5mmよりも小さいと、厚みの均一性が不安定になるとともに、発泡粒子の凹凸が表皮材の表面に発生し、表面平滑性が失われる。かかる観点から、表皮材の平均厚みは0.7mm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0mm以上である。
また、本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体において、表皮材と発泡粒子成形体との接着強度が4N/cm以上であることを要する。接着強度が4N/cm未満であると、表皮材被覆発泡粒子成形体の剛性が損なわれ衝突時の変形量が大きくなるおそれやエネルギー吸収特性が損なわれるおそれがあるとともに、表面平滑性も失われるおそれがある。かかる観点から、表皮材と発泡粒子成形体との接着強度は5N/cm以上であることが好ましく、より好ましくは8N/cm以上である。また、かかる観点からは接着強度の上限は特に限定されるものではないが、その上限は概ね30N/cm程度である。なお、接着強度は、JIS K6854−1:1999に準拠して測定される値である。具体的には、成形体から表皮材を含む試験片を切り出し、該試験片から表皮材を50mm/分の速度で90度はく離させた際のはく離強度である。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の表皮材を形成しているポリオレフィン系重合体組成物は、180℃における溶融伸びが70m/分以上が好ましく、より好ましくは80m/分以上、さらに好ましくは85m/分以上、特に好ましくは90m/分以上である。溶融伸びが70m/分以上であれば、樹脂延展性に優れ、薄肉表皮材を得ることができ、若しくは局部薄肉が顕著なものとなることがない。
溶融伸びは、例えば株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dなどの測定装置を使用して測定することができる。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を180℃とし、測定試料約15gを該シリンダー内に入れ、5分間放置してから、ピストン降下速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmのプーリーに掛け、4分で引取速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速率で引取速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の引取速度を溶融伸びとする。この測定を、任意の10箇所からサンプリングした10点の測定試料について行い、それらの算術平均値を本発明における溶融伸びとする。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の如く表皮材の平均厚みが0.5mm以上2.0mm未満と肉厚が薄い表皮材被覆発泡粒子成形体の成形に当たっては、通常のブロー成形以上に中空ブロー成形体からなる表皮の肉厚バランスが重要になってくる。肉厚のバランスのとれた中空ブロー成形体を得るには、該中空ブロー成形体を形成するポリオレフィン系重合体組成物の溶融張力(メルトテンション=MT)が大きく影響する。
すなわち、本発明においては、表皮材を形成している基材樹脂としてのポリオレフィン系重合体組成物の190℃における溶融張力(MT)が、3cN以上であることが好ましく、5cN以上がより好ましく、6cN以上がさらに好ましい。このような溶融張力を有するポリオレフィン系重合体組成物は、ドローダウンが抑制され、さらにブロー成形時に均等に伸びやすいため、表皮材の厚みが0.5〜2.0mm、更に0.8〜2.0mm、特に0.9〜1.8mmと薄い場合であっても、厚みの均一性に特に優れる薄肉な中空ブロー成形体とすることができる。一方、溶融張力(MT)が大きすぎる場合には、パリソンを拡幅するためにブローエアの圧力を高める必要があることから、該溶融張力は、更に14cN以下、特に10cN以下が好ましい。本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体は、成形体の表皮が薄いので、成形体角部のエッジが正確に成形できるなどの成形型の複雑な形状に追従し易く、金型形状再現性に優れ、製品設計の自由度が広がる利点を有する。なお、本発明において、表皮を形成している基材樹脂の溶融張力とは、表皮材被覆発泡粒子成形体から切り出した表皮材を試料とし、以下の方法により求められる溶融張力のことである。
溶融張力は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dなどの測定装置によって測定される。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を190℃とし、ポリオレフィン系重合体組成物試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を得る。上記操作を異なる試料を使用し、計10回の測定を行い、10回で得られた極大値の最も大きな値から順に3つの値と、極大値の最も小さな値から順に3つの値を除き、残った中間の4つの極大値を相加平均して得られた値を本発明方法における溶融張力(cN)とする。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体は、中空ブロー成形体を形成するポリオレフィン系重合体組成物を、オレフィン系熱可塑性エラストマーとメタロセン系重合触媒により重合されたポリプロピレン系樹脂との混合物とするのが好ましい。メタロセン系重合触媒により重合されてなるものが、従来のチーグラ/ナッタ系触媒による汎用のポリプロピレン系樹脂と比べて、分子量分布が狭く、低融点で且つ結晶化度が高いものが得られ、分子中に低い温度において融解に寄与する部分が多く存在し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体との融着性に特に優れるので好ましく用いられる。
前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンまたは炭素数4〜8のα‐オレフィンとの共重合体、或いはそれらの2種以上の混合物である。プロピレンとエチレンまたは炭素数4〜8のα‐オレフィンとの共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンブロック共重合体等が挙げられ、前記のオレフィン系熱可塑性エラストマーは含まれない。上記ポリプロピレン系樹脂の中でもメタロセン系重合触媒により重合されてなるポリプロピレン系樹脂、或いはその混合物、特にメタロセン系重合触媒により重合されてなるプロピレン系ランダム共重合体、或いはその混合物が好ましく用いられる。
さらに、ポリオレフィン系重合体組成物中のオレフィン系熱可塑性エラストマーの重量割合を40〜80重量%とするのが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーの重量割合が前記範囲内であれば、表皮材の柔軟性を維持しつつ、厚みの均一性に優れた薄肉表皮材が得られやすくなる。
また、ポリオレフィン系重合体組成物中のポリプロピレン系樹脂の重量割合を20〜60重量%とすることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の重量割合が前記範囲内であれば、表皮材と発泡粒子成形体とを十分に接着させることができるため、変形時の表皮材剥離が特に発生しにくくなり、またエネルギー吸収特性を阻害するおそれもない。
ポリオレフィン系重合体組成物中のポリプロピレン系樹脂は、メタロセン系重合触媒により重合されてなるものであることがより好ましい。この場合、特に延展性に優れるため表皮材の厚みがより均一となりやすく、また、表皮材と発泡粒子成形体との接着力をより高めることができる。
また、ポリオレフィン系重合体組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲において、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難然剤、電気伝導性フィラー、磁性体フィラー、熱伝導性フィラー、帯電防止剤、弾性微粒子などの改質剤を必要に応じて添加しても構わない。特に難燃性を得るためには難燃剤を添加することが望ましい。
本発明における発泡粒子は、基材樹脂として剛性に優れるポリプロピレン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合、プロピレン−ブテンランダム共重合、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体が好ましい。
また、本発明における発泡粒子は、発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定により、発泡粒子3〜5mgを常温から200℃まで10℃/分の加熱速度で昇温した際に得られる第1回目のDSC曲線において、樹脂融点以下の温度領域に頂点を有する1以上の吸熱曲線ピークが現れると共に、樹脂融点を超える温度領域に1以上の吸熱曲線ピーク(以下、「高温ピーク」とも言う。)が現れ、該高温ピークの熱量が10〜20J/gである発泡粒子が好ましく使用される。
さらに、発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡芯層の表面を、該芯層を形成する樹脂の融点よりも低い融点又は軟化点を示す樹脂により被覆された多層構造、或いはメタロセン系重合触媒により重合されてなるポリプロピレン系樹脂を含む基材樹脂からなる発泡粒子を使用することができる。これらの発泡粒子を使用することにより比較的低いスチーム加熱圧力で発泡粒子同士を融着させることができる。
本発明において中空成形体中に充填される発泡粒子は、かさ密度が18〜70kg/mであることが好ましく、該発泡粒子は、公知の方法により製造することができる。例えば、オートクレーブのような加圧可能な容器内の所要量の水に、所望により界面活性剤を添加して樹脂粒子を分散させ、発泡剤を圧入して加熱下に発泡剤を樹脂粒子に含浸させ、所定温度にて所定時間保持した後、高温高圧条件下の容器内から水とともに樹脂粒子を低圧域に放出し、該樹脂粒子を発泡させ発泡粒子を得る方法により製造される。
発泡粒子のかさ(嵩)密度は、発泡粒子群の重量を発泡粒子群のかさ体積で割算することにより求められる値である。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体の特徴は、前記表皮材がオレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物から形成されており、さらに該表皮材が、該発泡粒子成形体の略全面を、発泡粒子成形体の表面に沿って被覆していると共に、発泡粒子成形体と接着していることにある。
該表皮材が軟質で、かつ表皮材の平均厚みが0.5以上2mm未満と薄く、発泡粒子成形体と十分に接着しているので、表皮材被覆発泡粒子成形体が衝突時に衝突初期からエネルギーを十分に吸収することができ、かつ最大応力が高くなりすぎることもない。さらに、衝突により表皮材被覆発泡粒子成形体が大きく変形することがなく、小さな変形量の中で十分にエネルギーを吸収することができる。また、表皮材被覆発泡粒子成形体全体としてエネルギー吸収特性が再現性良く発現し、圧縮変形後の回復性にも優れたものとなる。
また、該表皮材は発泡粒子成形体の略全面を被覆している。ここで、「略全面」とは、表皮材をブロー成形で製造する場合、後述するように、表皮材内に発泡粒子を充填するために形成される充填孔や、スチームピンを刺し込み挿入する際に形成されるスチームピン挿入跡が、表皮材に複数残るため、発泡粒子成形体の全面が被覆されない部分があることを意味する。その場合であっても、該複数の孔の面積の合計は、通常、表皮材の表面積の5%以下である。
また、前記発泡粒子成形体の見掛け密度は20〜70kg/mであることが好ましい。発泡粒子成形体の見かけ密度が20kg/m以上であれば、発泡粒子成形体が収縮して、表面平滑性が失われるおそれがなく、発泡粒子成形体の見かけ密度が70kg/m以下であれば軽量性が損なわれることもない。
次に、本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体を製造する方法について詳しく説明する。
まず、押出機に備えられたダイの直下に位置する成形用分割型間に、オレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物を、ダイを通して押出してパリソンを形成し、分割型を型締めして該パリソンをブロー成形することにより中空成形体からなる表皮材を形成する。次いで、該表皮材内にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、表皮材内に挿入した複数の加熱媒体供給排出ピンからスチームなどの加熱媒体を供給、排出することにより該発泡粒子を加熱して発泡粒子相互を融着させ発泡粒子成形体を形成し、得られた成形体を、型を開いて取り出すことにより、表皮材被覆発泡粒子成形体を得ることができる。なお、前記加熱媒体供給排出ピンとは、中空成形体内へスチームなどの加熱媒体を供給することもできれば、中空成形体内から加熱媒体を排出することもできるピンを意味する。
以下、加熱媒体としてスチームを使用する場合について説明する。前記スチームによる加熱は、表皮材内に複数の加熱媒体供給排出ピン(以下、スチームピンともいう。)を挿入し、挿入された複数のスチームピンの一方を供給側とし他方を排出側として、供給側からスチームを供給して排出側を開放するか排出側から吸引を行うことによって行われる。加熱方法としては、供給側と排出側を固定して一方向からのみ加熱を行う一方加熱法、あるいは一方を供給側とし他方を排出側として一度スチーム加熱を行った後供給側と排出側とを交替してスチーム加熱を行う交互加熱法のどちらも採用することができる。発泡粒子成形体の各部位において均一に発泡粒子同士を融着させるためには、交互加熱法が好ましい。
該スチームの供給は、通常、高圧のスチームをスチームチャンバーで所望の圧力に減圧調整し、この圧力を調整したスチームを、スチームピンを通して表皮材内へと供給することにより行われる。
前記スチームピンの表皮材内への挿入箇所及び挿入方向は特に限定されるものではないが、表皮材内において発泡粒子全体がスチームにより万遍なく加熱されるように、表皮材の形状に応じて、表皮材内へと挿入する箇所及び挿入方向が適宜決定される。意匠性などの観点から、スチームピンの挿入跡が表皮材に残ることを避けたい場合にはスチームピンの挿入箇所は少ないほど望ましく、スチームピンの挿入は一方向、或いは二方向から行うことが好ましい。
発泡粒子を加熱融着させて発泡粒子成形体を得る際に、空隙率が10%以下であると共に、融着率を20〜70%に調整することが好ましい。その場合、前記スチームチャンバーにおけるスチームの圧力を0.15〜0.45MPa(G:ゲージ圧)とすることが好ましく、さらには、0.20〜0.40MPa(G)とすることがより好ましい。
前記の通り、表皮材を発泡粒子成形体の表面に接着して被覆させるためには、金型温度、発泡粒子の充填タイミング、圧縮充填圧力などを調整する必要がある。
本発明において、金型温度を30〜80℃とすることが好ましい。金型温度が30℃以上であれば、表皮材と発泡粒子成形体との接着力を十分に高めることができる。また、80℃以下であれば、外観性に優れ、また冷却時間がかかり生産性が低下するおそれがない。
本発明において、表皮材が軟化状態のうちに、発泡粒子を圧縮充填することが好ましい。発泡粒子の圧縮充填圧力の好ましい範囲としては、発泡粒子のかさ密度にもよるが、好ましくは0.05〜0.20MPaであり、更に好ましくは0.07〜0.17MPa、特に好ましくは0.08〜0.15MPaである。
発泡粒子の圧縮充填圧力を上記範囲に調整することにより、発泡粒子の2次発泡力をコントロールし、表面平滑性を確保することが可能である。
また、本発明において、表皮材被覆発泡粒子成形体表面の最大高さ粗さRzは30μm以下であることが好ましい。最大高さ粗さRzが30μm以下であれば、表面平滑性を満足できる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。実施例、比較例における測定項目の測定方法、評価項目の評価方法については後述する。
実施例、比較例で用いた表皮材用樹脂については表1に、樹脂発泡粒子については表2に示す。
実施例1
表1にTPO(A)として示すオレフィン系熱可塑性エラストマー〔住友化学株式会社製、商品名:エスポレックス、グレード:820、メルトフローレイト(MFR):0.5g/10分(230℃、荷重2.16kg)、溶融張力(MT):17cN(190℃)、融点:141℃〕70重量%と、表1にPP(a)として示すポリプロピレン系樹脂であるメタロセン系プロピレン−エチレンランダム共重合体〔日本ポリプロ株式会社製、商品名:WINTEC、グレード:WFX6、メルトフローレイト(MFR):2.0g/10分(230℃、荷重2.16kg)、溶融張力(MT):2.0cN(190℃)、融点:124℃〕30重量%とをドライブレンドして内径65mmの押出機に供給し、190℃で加熱、混練してポリオレフィン系重合体組成物の溶融物を調製した。
次に、該溶融物を押出機に付設された190℃に調整されたアキュムレータに充填した。次いで、ダイから溶融物を押出して、ダイ直下に配置された縦260mm、横350mm、厚み50mmの直方体状(板状)の成形キャビティを有する分割金型間にパリソンを形成し、パリソンの下部をピンチした後パリソン内部にプリブローエアを吹き込んでブローアップ比2.3にパリソンを拡幅し、金型を型締めした。なお、金型の温度は50℃とした。
型締め完了後直ちに、パリソンにブローピンを打ち込みブローピンを通して0.50MPa(G)の加圧空気をパリソン内に吹き込み、前記金型キャビティの形状を反映した表皮材の平均厚みが1.2mmの中空ブロー成形体を形成した。なお、成形金型は充填フィーダ(口径15mmΦ)およびスチームピン(口径6mmΦ)が設けられた表皮材被覆発泡粒子成形体製造用装置を用いた。
次いで、軟化状態の中空ブロー成形体内に、一方の分割金型側から他方の分割金型に向けて厚み方向に40mmまでスチームピンを8本挿入し、該スチームピンの周壁部に設けられたスリットより中空ブロー成形体内の気体を排気して中空ブロー成形体内部の圧力を0.10MPa(G)に調整しながら、別途中空ブロー成形体に設けられた発泡粒子充填孔から発泡粒子充填フィーダを通して、発泡粒子を充填した。該発泡粒子としては、表2に発泡粒子1として示すプロピレン−エチレンランダム共重合体発泡粒子[原料ポリプロピレン系樹脂の融点145℃、エチレン含有量2.5重量%、かさ密度26kg/m、平均粒子径:3.3mm]を用いた。
発泡粒子充填後、中空ブロー成形体内に挿入された8本のスチームピンうち4本のスチームピンAより吸引しながら、他方の4本のスチームピンBから0.35MPa(G)のスチームを8秒間供給した。次にスチームピンBから吸引しながら、スチームピンAから0.35MPa(G)のスチームを6秒間供給した。次に、全てのスチームピンから0.35MPa(G)のスチームを5秒間供給して発泡粒子相互を加熱融着さて発泡粒子成形体を形成すると共に、中空ブロー成形体の内面と発泡粒子成形体とを融着させた。
成形後金型を冷却し、スチームピンを抜き取ったのち、金型を開き目的とする表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融物性及び製造条件を表3に示し、得られた成形体の物性を表4に示した。
実施例2
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてのTPO(A)とポリプロピレン系樹脂としてのPP(a)の配合を表3に示す値とした以外は実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
実施例3
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてのTPO(A)70重量%と表1に「PP(c)」として示すポリプロピレン系樹脂であるチーグラナッタ系プロピレン−エチレンランダム共重合体〔日本ポリプロ株式会社製、商品名:ノバテックPP、グレード:EG6D、メルトフローレイト(MFR):1.9g/10分(230℃、荷重2.16kg)、溶融張力(MT):4.3cN(190℃)、融点:140℃〕30重量%とをドライブレンドし、190℃で加熱、混練してポリオレフィン系樹脂重合体溶融物を調製した以外は実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
実施例4
表1にTPO(B)として示すオレフィン系熱可塑性エラストマー〔JSR株式会社製、商品名:EXCELINK、グレード:3700B、メルトフローレイト(MFR):0.1g/10分(230℃、荷重2.16kg)、溶融張力(MT):15cN(190℃)、融点:116℃〕80重量%とポリプロピレン系樹脂PP(a)20重量%とをブレンドし、190℃で加熱、混練してポリオレフィン系樹脂重合体溶融物を調製した以外は実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
比較例1
ポリオレフィン系重合体組成物として、表1にPP(b)として示すポリプロピレン系樹脂チーグラナッタ系プロピレン−エチレンブロック共重合体〔株式会社プライムポリマー製、商品名:プライムポリプロ、グレード:E−150GK、メルトフローレイト(MFR):0.6g/10分(230℃、荷重2.16kg)、溶融張力(MT):15cN(190℃)、融点:160℃〕のみで表皮材を形成した以外は実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
比較例2
ポリオレフィン系重合体組成物として、オレフィン系熱可塑性エラストマーであるTPO(A)のみで表皮材を形成した以外は実施例1と同様にして表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
比較例3
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてTPO(A)70重量%と、ポリプロピレン系樹脂としてPP(b)30重量%とをドライブレンドし、190℃で加熱、混練してポリオレフィン系樹脂重合体溶融物を調製した以外は実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
比較例4
ポリオレフィン系重合体組成物として、ポリプロピレン系樹脂であるPP(a)のみで表皮材を形成した以外は、実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
比較例5
ポリオレフィン系重合体組成物として、オレフィン系熱可塑性エラストマーであるTPO(B)のみを用いて表皮材とした以外は、実施例1と同様にし、表皮材被覆発泡粒子成形体を得た。得られた成形体の物性を表4に示した。
測定、評価方法
(表皮材のポリオレフィン系重合体組成物の溶融張力及び溶融伸び)
表皮材被覆発泡粒子成形体から切り分けた表皮材を、さらに適宜の大きさに切断したものを測定用試料とし、前記方法に従って、溶融張力及び溶融伸びを測定した。
(耐ドローダウン性)
ダイのリップ部のクリアランスを1mm一定とした以外は、各実施例及び比較例と同様にして、ポリオレフィン系重合体組成物をダイから押出してパリソンを形成し、パリソン長が90cmに到達した時点から150cmに到達するまでの時間を測定することにより耐ドローダウン性を評価した。この時間が長いほどパリソンの肉厚制御が容易になる。
○:8秒以上
×:8秒未満
(平均表皮材厚み)
表皮材被覆発泡粒子成形体の表皮材の厚みの測定は、表皮材被覆発泡粒子成形体の長手方向(パリソン押出方向)中央部および長手方向両端部付近の計3箇所の長手方向に対する垂直断面に対して行い、各垂直断面の表皮材周方向に沿って略等間隔に6箇所の垂直断面の厚み方向の厚さの測定を行い、得られた18箇所の厚みの算術平均値を表皮材の平均厚みとし、18箇所の厚みのうちの最小値を最薄部厚みとした。
(表皮材被覆発泡粒子成形体の密度=全体見掛け密度)
なお、該表皮材被覆発泡粒子成形体の密度は、表皮材被覆発泡粒子成形体の重量(g)を表皮材被覆発泡粒子成形体の外形寸法から求めた体積(L)により除した値から求めた。
(表面凹凸:表面平滑性の指標としての最大高さ粗さRz)
表面粗さ測定用試験片として、得られた表皮材被覆発泡粒子成形体の板面(スチームピンが打ち込まれた面の反対側の面)の中心部、および四隅部(R部分を除く)の計5箇所の表皮材に対して測定を行った。測定装置としては株式会社小坂研究所製サーフコーダのSE1700αを使用した。水平な台に試験片を静置し、先端曲率半径が2μmの触針の先端を試験片の表面に当接させて、試験片を0.5mm/sにて押出方向に移動させ、触針の上下変位を順次測定することで表面粗さの値を測定した。試験片の移動距離で特定される測定長さは、カットオフ値の3倍以上の所定の長さに定めた。
なお、カットオフ値は8mmとし、そのほかのパラメータは、JIS B0601(2001)に準拠して、粗さ曲線要素の最大高さ粗さRz(μm)を得た。
○:Rzが30μm以下
×:Rzが30μmよりも大きい
(発泡粒子成形体における発泡粒子同士の融着性)
融着率測定用試験片として、得られた表皮材被覆発泡粒子成形体の板面の中心部、および四隅部(R部分を除く)の計5箇所から、表皮材を含まないようにして100mm×100mm×(表皮材を除く製品厚み)の切り出し試験片とした。
試験片を破断し、破断面を目視観察し、100個以上について、破断された発泡粒子と、界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ発泡粒子の割合を求め、それらの値の中で最も低い値を融着率とし下記の基準で評価した。
○:融着率30%以上
×:融着率30%以下
(タイプAデュロメータ硬さ)
得られた表皮材被覆発泡粒子成形体から切り分けた表皮材を適当な大きさに切断し、それらを重ねて、200℃の温度でヒートプレスすることにより100mm×100mm×6mmの板状の試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K6253−3:2012に従い、23℃、相対湿度50%の条件下でタイプAデュロメータ硬さを測定した。
(表皮材と発泡粒子成形体との接着強度=表皮材接着強度)
得られた表皮材被覆発泡粒子成形体の板面の中心部、および四隅部(R部分を除く)の計5箇所に対して測定を行った。各箇所の成形体を長手方向に25mm幅で切断し、試験片(150mm×25mm×厚さ50mm)を得た。JIS K6854−1:1999に準拠し、試験片を構成する表皮材と発泡粒子成形体とを50mm/minの引張速度で90度剥離させてはく離応力を測定し、その平均値を接着強度として評価した。
(曲げ剥離性評価)
得られた表皮材被覆発泡粒子成形体をそのまま試験サンプルとし、試験速度20mm/分、スパン300mmにて3点曲げ試験を行い、表皮材剥離による荷重曲線の低下が確認された変位を確認した。
◎:表皮材剥離による荷重曲線の低下がなかった。
○:成形体厚み以上の変位で表皮材剥離により荷重が低下した。
×:成形体厚み未満の変位で表皮材剥離による荷重低下が確認された。
(耐衝撃性評価)
得られた表皮材被覆発泡粒子成形体を用い、IMATEK社製落錘式衝撃試験機(型式IM−100NT)にて落下衝撃試験を行った。10kg(半円型)の錘を、高さ2mから成形体の板面に落下させて、そのときの最大加速度、初期加速度、成形体の変位量及び成形体の回復性を測定し、下記の基準により評価した。なお、初期加速度が比較的高く且つ最大加速度が高すぎず、さらに衝突による変形(変位)量が小さい材料がエネルギー吸収体として好適である。
[初期加速度]
◎:5msec(ミリセコンド)での加速度が70G以上
○:5msecでの加速度が60G以上70G未満
×:5msecでの加速度が60G未満
[最大加速度]
○:最大加速度が140G未満
×:最大加速度が140G以上
[変位量]
○:40mm未満
×:40mm以上
[回復性]
○:形状が略復元した。
×:衝撃により表皮材の一部が塑性変形し、形状が復元しなかった。
本発明の表皮材被覆発泡粒子成形体は、表皮材が軟質であり、表皮材厚みが薄く且つ表皮材と発泡粒子成形体とが良好な接着性を示すので、軽量性、外観意匠性、曲げ剛性に優れており、かつ衝撃を受けた際に少ない変形量の中で優れたエネルギー吸収性能を示すと共に、表皮材被覆発泡粒子成形体が破壊されることなく、変形後の回復性に優れるため、十分なエネルギー吸収性能を再現性良く発現できることから、自動車用、産業用、農業用、医療用、介護用等の各種部材として有効に利用できる。
1. 表皮材被覆発泡粒子成形体(表皮材被覆発泡粒子成形体)
2. 表皮材(中空ブロー成形体)
3. 発泡粒子成形体

Claims (5)

  1. オレフィン系熱可塑性エラストマーを含むポリオレフィン系重合体組成物からなる中空ブロー成形体の中空部にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を充填し、該発泡粒子を加熱融着させて発泡粒子成形体を形成すると共に該発泡粒子成形体と該中空ブロー成形体の内面とを加熱融着させて得られる、
    発泡粒子成形体が中空ブロー成形体からなる表皮材で被覆された表皮材被覆発泡粒子成形体であって、
    該表皮材のタイプAデュロメータ硬さが95以下であり、
    該表皮材の平均厚みが0.5mm以上2.0mm未満であり、
    該表皮材と発泡粒子成形体との接着強度が4N/cm以上である、
    ことを特徴とする表皮材被覆発泡粒子成形体。
  2. 前記ポリオレフィン系重合体組成物の180℃における溶融伸びが70m/分以上である、請求項1に記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
  3. 前記ポリオレフィン系重合体組成物の190℃における溶融張力が3cN以上である、請求項1又は2に記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
  4. 前記ポリオレフィン系重合体組成物が、オレフィン系熱可塑性エラストマーとメタロセン系重合触媒により重合されたポリプロピレン系樹脂との混合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
  5. 前記ポリオレフィン系重合体組成物中のオレフィン系熱可塑性エラストマーの重量割合が40〜80重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の表皮材被覆発泡粒子成形体。
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