JP2023024138A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積を抑制可能なポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法を提供する。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡状態の芯層2と、芯層2を被覆する融着層とを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子である。融着層3はシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを含む。融着層3中のシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計が0.05重量%以上3重量%以下である。融着層3中のシリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの重量比が1:0.2~1:8である。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体は、梱包材や自動車部材、建築材料などの種々の用途に使用されている。このような発泡粒子成形体を構成する発泡粒子は、例えば、次のようにして製造される。
まず、容器内の無機分散剤を含む水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる。次いで、容器内で上記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、発泡剤を含む樹脂粒子(つまり、発泡性樹脂粒子)を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる。このようにして、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が製造される。
発泡粒子の表面には、型内成形時の発泡粒子同士の融着性を高めるための融着層が形成される場合がある(例えば、特許文献1)。融着層を有する発泡粒子は、例えば、芯層と、この芯層の表面に設けられた融着層とを有するポリプロピレン系樹脂粒子を準備し、この樹脂粒子を発泡させることで得られる。この際、融着層としては、芯層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点よりも、低い融点を有する結晶性ポリオレフィン系樹脂や、低い軟化点を有する非晶性のポリオレフィン系樹脂等が用いられる。
特許第6757871号公報
融着層を有する発泡粒子によれば、型内成形時の発泡粒子同士の融着性が改善されるものの、融着層を有する発泡粒子を用いて型内成形により長期的に発泡粒子成形体を生産すると、例えば成形型の加熱されやすい箇所に、発泡粒子由来の付着物(具体的には、融着層由来の付着物)が蓄積するおそれがあった。付着物の蓄積は、例えば発泡粒子成形体の表面の平滑性等に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積を抑制可能なポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法を提供するものである。
本発明の一態様は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡状態の芯層と、上記芯層を被覆する融着層とを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、
上記融着層がシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを含み、
上記融着層中の上記シリカ粒子の含有量と上記高級脂肪酸アミドの含有量との合計が0.05重量%以上3重量%以下であり、
上記融着層中の上記シリカ粒子と上記高級脂肪酸アミドとの重量比が1:0.2~1:8である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子にある。
本発明の他の態様は、容器内の水性媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる分散工程と、
上記容器内で上記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程と、
上記発泡剤を含む上記ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる発泡工程とを含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
上記ポリプロピレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層と、上記芯層を被覆する融着層とを有し、
上記ポリプロピレン系樹脂粒子の融着層がシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを含み、
上記融着層中のシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計が0.05重量%以上3重量%以下であり、
上記融着層中のシリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの重量比が1:0.2~1:8である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法にある。
上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子によれば、型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積を抑制することができる。
図1は、発泡粒子の断面の模式図である。 図2は、多層樹脂粒子の断面の模式図である。 図3は、高温ピークの面積の算出方法を示す説明図である。
本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。また、下限として数値又は物性値を表現する場合、その数値又は物性値以上であることを意味し、上限として数値又は物性値を表現する場合、その数値又は物性値以下であることを意味する。また、「重量%」と「質量%」、「重量部」と「質量部」は、それぞれ実質的に同義である。また、本明細書において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のことを適宜「発泡粒子」といい、発泡粒子成形体のことを適宜「成形体」という。なお、ポリプロピレン系樹脂から構成される発泡状態の芯層を有する発泡粒子は、一般に、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子と呼ばれる。
発泡粒子は、発泡粒子成形体の製造に用いることができる。具体的には、多数の発泡粒子を成形型内に充填し、スチーム等の加熱媒体を供給して発泡粒子を相互に融着させる成形工程を行うことにより成形体を製造することができる。つまり、発泡粒子を型内成形することにより、成形体を得ることができる。
図1に、発泡粒子を例示するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。図1に示されるように、発泡粒子1は、発泡状態の芯層2と融着層3とを有し、融着層3は、芯層2を被覆する。発泡粒子の発泡状態の芯層を適宜「発泡芯層」という。発泡粒子1の形状は、外観上、例えば円柱状、球体状である。球体は、その断面が真円のものだけでなく楕円、円や楕円に近い形状のものを含む概念である。
融着層3は、発泡芯層2の全部又は一部を被覆する層である(図1参照)。発泡粒子1は、例えば、所謂芯鞘構造を有する。融着層3は、融着層を有していない単層の発泡芯層を有する発泡粒子(つまり、単層発泡粒子)を型内成形した場合に、単層発泡粒子同士が良好に融着した発泡粒子成形体(つまり、良好な単層発泡粒子成形体)が得られる最低スチーム圧よりも低いスチーム圧で、この良好な単層発泡粒子成形体と同等に良好な発泡粒子成形体を型内成形可能とする層を意味する。なお、発泡粒子同士が良好に融着した発泡粒子成形体とは、成形体の融着率の値が80%以上であることを意味する。成形体の融着率の測定方法は、後述する。なお、融着層3は、発泡芯層2を構成する樹脂よりも低い温度(具体的には、低いスチーム圧力)で相互に融着しやすい樹脂から構成されているということもできる。融着層を構成する樹脂としては、例えば、芯層を構成する樹脂よりも低い融点を有する樹脂や、低い軟化点を有する樹脂が例示される。
融着層は、例えばポリオレフィン系樹脂を基材樹脂とする。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等や、これらの混合物が挙げられる。発泡芯層との接着性の観点からは、融着層のポリオレフィン系樹脂は、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂であり、より好ましくはポリプロピレン系樹脂である。融着層を構成する基材樹脂は、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体及びプロピレン-エチレン-ブテン共重合体から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。この場合には、発泡芯層と融着層との接着性がより向上すると共に、良好な機械的物性を有する成形体を安定して得ることができる。なお、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、及びプロピレン-エチレン-ブテン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種から構成される基材樹脂は、単独の共重合体から構成されていてもよく、複数の共重合体の混合物から構成されていてもよい。
融着層を構成する基材樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、ポリオレフィン系樹脂の融点Tmsは、例えば、発泡状態の芯層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcよりも低いことが好ましい。つまり、例えば、Tms<Tmcであることが好ましい。この場合には、成形時における発泡粒子同士の融着性が向上し、型内成形時に低温(具体的には低スチーム圧力)で融着性に優れた成形体を製造することができる。この効果がより向上する観点から、Tmc-Tms≧1であることが好ましく、Tmc-Tms≧3であることがより好ましく、Tmc-Tms≧5であることがさらに好ましい。発泡芯層と融着層との剥離や、型内成形時における、成形型への樹脂の付着をより抑制する観点からは、Tmc-Tms≦30であることが好ましく、Tmc-Tms≦25であることがより好ましく、Tmc-Tms≦20であることがさらに好ましい。
成形型への樹脂の付着を抑制しやすい観点からは、融着層を構成するポリオレフィン系樹脂の融点Tmsは、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく。一方、成形時の発泡粒子の融着性を高めやすいという観点から、融着層を構成するポリオレフィン系樹脂の融点Tmsは、150℃以下であることが好ましく、145℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることがさらに好ましい。融着層を構成するポリオレフィン系樹脂の融点は、JIS K7121:1987に基づき求められる。具体的には、後述の発泡芯層を構成するポリプロピレン系樹脂と同様の条件、方法により求められる。
融着層は、シリカ粒子と高級脂肪酸アミドとを含有する。融着層におけるシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計は0.05重量%以上3重量%以下である。また、融着層におけるシリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの重量比(ただし、シリカ粒子の重量:高級脂肪酸アミドの重量)は1:0.2~1:8である。換言すれば、融着層中のシリカ粒子1重量部に対する高級脂肪酸アミドの含有量は0.2~8重量部である。融着層がシリカ粒子と高級脂肪酸アミドを上記所定の割合で含有するため、発泡粒子が型内成形時に良好な融着性を示しつつ、成形型への付着物の蓄積が抑制される。
なお、融着層中の、シリカ粒子の含有量や、高級脂肪酸アミドの含有量は、発泡粒子製造時における、融着層へのシリカ粒子の配合量や、高級脂肪酸アミドの配合量と、概ね一致する。
融着層は、例えば発泡芯層よりも融点の低い樹脂から構成されるため、融着層を有する従来の発泡粒子を型内成形すると、融着層を構成する成分(具体的には、樹脂組成物)が軟化または溶融して、成形型内に付着しやすい。そして、型内成形を長期的に行うと、付着物が成形型内に蓄積し、蓄積物により成形体の表面に窪みなどの欠陥が発生し、成形体表面の平滑性が損なわれる。特に、ベント孔密度が高い部位、薄肉部などの複雑形状部を有する成形型を使用した場合には、成形型の複雑形状部に付着物の蓄積が起こり易い。これは、成形時には、通常、加熱されにくい部分が十分に成形されるように加熱を行うため、複雑形状部などが過剰に加熱されやすくなるためであると考えられる。本開示の発泡粒子は、上記のごとく、シリカ粒子と高級脂肪酸アミドとが融着層中に上記所定の割合で配合されているため、発泡粒子同士の融着性を維持しながらも付着物の蓄積が抑制される。なお、例えば、成形型の清掃を適宜行うことにより、上記のような蓄積物の発生を抑制することはできる。しかし、成形型の清掃の頻度が高くなると、生産性が悪化するため、成形型の清掃の頻度は低いことが好ましい。
融着層がシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドのうちの一方又は両方を含有しない場合には、例えば複雑形状部に融着層を構成する成分が付着し易くなり、成形型内への付着物の蓄積を抑制することが困難になる。
融着層中のシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計が少なすぎる場合には、例えば複雑形状部に融着層を構成する成分が付着し易くなり、成形型内への付着物の蓄積を抑制することが困難になる。一方、融着層中のシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計が多すぎる場合には、型内成形時において発泡粒子同士が融着し難くなり、成形体の融着性が不十分になるおそれがある。付着物の蓄積がより一層抑制され、融着性がより向上するという観点から、融着層中のシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計は0.1重量%以上2重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以上1重量%以下であることがより好ましい。
また、シリカ粒子1重量部に対する高級脂肪酸アミドの含有量が少なすぎる場合には、融着層中のシリカ粒子の含有量が過剰になり、融着性が不十分になるおそれがある。また、シリカ粒子1重量部に対する高級脂肪酸アミドの含有量が多すぎる場合には、高級脂肪酸アミドの含有量が過剰になり、融着性が不十分になるおそれがある。融着性がより向上するという観点から、融着層中のシリカ粒子1重量部に対する高級脂肪酸アミドの含有量は、0.8~6重量部であることが好ましく、1~5重量部であることがより好ましい。換言すれば、融着層におけるシリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの重量比(ただし、シリカ粒子の重量:高級脂肪酸アミドの重量)は1:0.8~1:6であることが好ましく、1:1~1:5であることがより好ましい。
また、融着層中のシリカ粒子の含有量は0.01重量%以上1重量%以下であることが好ましい。この場合には、成形体の融着性を十分に高くしつつ、成形型への付着物の蓄積をより一層抑制することができる。この効果がより向上するという観点から、融着層中のシリカ粒子の含有量は、0.01重量%以上0.5重量%未満であることがより好ましく、0.05重量%以上0.4重量%以下であることがさらに好ましく、0.08重量%以上0.3重量%以下であることがさらにより好ましい。
また、融着層中の高級脂肪酸アミドの含有量が0.05重量%以上1重量%以下であることが好ましい。この場合には、成形体の融着性を十分に高くしつつ、成形型への付着物の蓄積をより一層抑制することができる。この効果がより向上するという観点から、融着層中の高級脂肪酸アミドの含有量は0.08重量%以上0.8重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下であることがさらに好ましい。
シリカ粒子としては、乾式シリカ、湿式シリカ等の合成シリカ、及び/又は天然シリカを用いることができる。湿式シリカは、湿式法で製造されたシリカであり、珪酸ナトリウム溶液を硫酸、塩酸等の鉱酸で中和反応させる方法、アルコキシシランの加水分解による方法等によって製造される。
湿式シリカの一般的な製造方法としては沈降法とゲル化法が知られている。沈降法によって製造されたシリカ粒子としては、例えば、東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil E-200A」を挙げることができる。ゲル化法によって製造されたシリカ粒子としては、例えば、東ソー・シリカ株式会社製「NIPGEL BY-601」、「NIPGEL BY-001」を挙げることができる。また、必要に応じて、シランカップリング剤等で表面処理したシリカ粒子を用いることができる。
シリカ粒子の個数基準の算術平均粒子径は、0.1μm以上30μm以下であることが好ましく、0.5μm以上20μm以下であることがより好ましく、1μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。この場合には、融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積が抑制される発泡粒子を安定して得ることができる。
シリカ粒子の個数基準の算術平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布をもとに、粒子の形状を球として仮定して個数基準の粒度分布に換算することにより、個数基準の粒度分布を得、この個数基準の粒度分布に基づく粒子径を算術平均することにより求めることができる。なお、上記粒子径は、粒子と同体積を有する仮想球の直径を意味する。
本明細書において、高級脂肪酸アミドは、炭化水素基の炭素数が12以上の脂肪酸アミドを意味する。高級脂肪酸アミドの炭化水素基の炭素数は、12以上30以下であることが好ましい。この場合には、発泡粒子同士の融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積を抑制しやすくなる。この効果が向上するという観点から、高級脂肪酸アミドの炭化水素基の炭素数は、16以上26以下であることがより好ましく、18以上24以下であることがさらに好ましい。なお、高級脂肪酸アミドの炭化水素基の炭素数は、アミド基を構成する炭素原子を除いた炭化水素基の炭素数である。たとえば、高級脂肪酸アミドが第1級アミドの場合には、高級脂肪酸アミドは、一般式:RCONHで表され、炭化水素基(具体的には、長鎖脂肪酸基)とアミド基とを有する化合物である。一般式:RCONHにおけるRは炭化水素基である。
高級脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸アミドであっても、不飽和脂肪酸アミドであってもよい。成形型への付着物の蓄積を抑制しつつ、良好な機械的物性を有する成形体を安定して得やすいという観点から、好ましくは不飽和脂肪酸アミドがよい。また、高級脂肪酸アミドは、第1級アミドであっても、第2級アミドであっても、第3級アミドであってもよい。発泡粒子や融着層を構成する樹脂中に良好に分散しやすいという観点から、好ましくは第1級アミドがよい。
高級脂肪酸アミドとしては、具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ネルボン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミドが挙げられる。融着層は、1種又は2以上の高級脂肪酸アミドを含有することができる。融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積が抑制される発泡粒子を安定して得ることができる観点から、高級脂肪酸アミドは、少なくともエルカ酸アミドを含むことが好ましい。
また、高級脂肪酸アミドがエルカ酸アミドを含む場合、高級脂肪酸アミド中のエルカ酸アミドの割合は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。
発泡粒子中の融着層の割合は0.5重量%以上10重量%以下であることが好ましい。この場合には、発泡粒子の型内成形性を高めつつ、機械的物性に優れる発泡粒子成形体を安定して得ることができる。この効果が向上するという観点から、発泡粒子中の融着層の割合は1重量%以上8重量%以下であることがより好ましく、2重量%以上6重量%以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子の芯層は、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする。ポリプロピレン系樹脂ととしては、プロピレン単独重合体又はプロピレンに由来する構成単位を50重量%以上含むプロピレン系共重合体が挙げられる。
ポリプロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体などのプロピレンとエチレン又は炭素数4以上のαオレフィンとの共重合体;プロピレン-アクリル酸共重合体;プロピレン-無水マレイン酸共重合体等が例示できる。なお、これらの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。また上述する重合体は架橋したものであってもよいが、無架橋のものであることが好ましい。
発泡芯層を構成する基材樹脂には、ポリプロピレン系樹脂の他に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において他の樹脂やエラストマー等のその他の樹脂材料が含まれていてもよい。その他の樹脂材料としては、ポリプロピレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂及び/又はエラストマーが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等から選択される少なくとも1種の樹脂を用いることができる。エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。
基材樹脂中におけるポリプロピレン系樹脂の割合は、50重量%以上であり、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%であることが特に好ましい。
発泡粒子の芯層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcは、135~160℃であることが好ましい。この場合には、発泡粒子の型内成形性と、得られる成形体の機械的物性とのバランスに優れる発泡粒子成形体を安定して得ることができる。得られる成形体の機械的物性を高める観点からは、芯層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcは、138℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましい。また、低い成形圧力条件での型内成形性を高める観点からは、芯層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tmcは、155℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、146℃以下であることがさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の融点は、JIS K7121:1987に基づき求められる。具体的には、状態調節としては「(2)一定の熱処理を行なった後、融解温度を測定する場合」を採用し、状態調節された試験片を10℃/minの加熱速度で30℃から200℃まで昇温することによりDSC曲線を取得し、融解ピークの頂点温度を融点とする。なお、DSC曲線に複数の融解ピークが表れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点温度を融点とする。
発泡芯層は、高級脂肪酸アミドを含むことができる。高級脂肪酸アミドとしては、上述の融着層と同様のものが例示される。高級脂肪酸アミドは、エルカ酸アミドを含むことが好ましい。この場合、高級脂肪酸アミド中のエルカ酸アミドの割合は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。
また、発泡芯層が高級脂肪酸アミドを含み、融着層中の高級脂肪酸アミドの含有量が、発泡芯層中の高級脂肪酸アミドの含有量よりも多いことが好ましい。この場合には、型内成形時における発泡粒子の二次発泡性が維持され、融着性に優れる成形体を得ることができると共に、成形型内への付着物の蓄積を安定して抑制することができる。
発泡芯層が高級脂肪酸アミドを含む場合、発泡芯層中の高級脂肪酸アミドの含有量は0.01重量%以上0.5重量%以下であることが好ましく、0.02重量%以上0.2重量%以下であることがより好ましく、0.03重量%以上0.1重量%以下であることがさらに好ましい。
なお、発泡芯層中の高級脂肪酸アミドの含有量は、発泡粒子製造時における、発泡芯層への高級脂肪酸アミドの配合量と、概ね一致する。
発泡粒子は、発泡芯層と融着層とを有する多層構造の粒子である。発泡芯層は、発泡状態のポリプロピレン系樹脂から構成されており、融着層は、発泡状態又は非発泡状態のポリオレフィン系樹脂から構成されている。融着層は、実質的に非発泡状態であることが好ましい。「実質的に非発泡」とは、ほとんど気泡構造がないことを意味する。
発泡粒子は、添加剤を含有することができる。具体的には、発泡粒子の発泡芯層及び融着層は、添加剤として、難燃剤、難燃助剤、気泡調整剤、酸化防止剤、耐候剤、結晶核剤、着色剤、導電材、帯電防止剤等を含有することができる。
好ましくは、発泡芯層がカーボンブラックを含有することがよい。この場合には、発泡粒子が黒色に着色される。発泡粒子の成形性を維持しつつ、成形体に良好な黒色を付与できる観点から、発泡芯層中のカーボンブラックの含有量は0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましく、1重量%以上4重量%以下であることがより好ましく、2重量%以上3重量%以下であることがさらに好ましい。
また、発泡粒子の融着層がカーボンブラックを含有することがよい。この場合、融着層中のカーボンブラックの含有量は0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましく、1重量%以上4重量%以下であることがより好ましく、2重量%以上3重量%以下であることがさらに好ましい。この場合には、発泡粒子の融着性を確保しつつ、成形型内への付着物の蓄積をより抑制することができる。また、発泡芯層と融着層とがカーボンブラックを含有する場合、成形体の色目をより均一にしやすくなる。
なお、発泡粒子中や融着層中のカーボンブラックの含有量は、発泡粒子製造時における、発泡粒子や融着層へのカーボンブラックの配合量と、概ね一致する。
カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等を使用することができる。中でも、ファーネスブラックは、ポリプロピレン系樹脂への分散性と材料コストとのバランスに優れるため、発泡粒子に用いるカーボンブラックとして好ましい。
発泡粒子のかさ密度は10kg/m以上500kg/m以下であることが好ましい。この場合には、成形体の剛性を高めつつ、成形体の軽量化が図れる。この効果が向上するという観点から、発泡粒子のかさ密度は15kg/m以上100kg/m以下であることがより好ましく、18kg/m以上50kg/m以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子のかさ密度は、以下の方法により測定される。まず、測定に供する発泡粒子を気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境中で24時間以上放置する。その後、重量W(単位:g)の発泡粒子群をメスシリンダー内に充填し、メスシリンダー底面で床面を数度、軽く叩くことにより、メスシリンダー内の発泡粒子群の充填高さを安定させる。メスシリンダーの目盛りが指す発泡粒子群のかさ体積V(単位:L)を読み取り、発泡粒子群の重量Wを発泡粒子群のかさ体積Vで除す(つまり、W/V)。これにより求められる値をkg/mに単位換算することにより、発泡粒子のかさ密度(単位:kg/m)を得ることができる。
発泡粒子は、加熱速度10℃/分で23℃から200℃まで加熱した際に得られるDSC曲線に、ポリプロピレン系樹脂固有の融解ピーク(つまり、樹脂固有ピーク)と、その高温側に1以上の融解ピーク(つまり、高温ピーク)とが現れる結晶構造を有することが好ましい。DSC曲線は、発泡粒子1~3mgを試験サンプルとして用い、JIS K7121:1987に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
樹脂固有ピークとは、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂固有の結晶の融解による吸熱ピークであり、ポリプロピレン系樹脂が通常有する結晶の融解時の吸熱によるものであると考えられる。一方、樹脂固有ピークの高温側の吸熱ピーク(つまり、高温ピーク)とは、DSC曲線で上記樹脂固有ピークよりも高温側に現れる吸熱ピークである。この高温ピークが現れる場合、樹脂中に高融点の二次結晶成分が存在するものと推定される。なお、上記のように10℃/分の加熱速度で23℃から200℃までの加熱(つまり、第1回目の加熱)を行った後、10℃/分の冷却速度で200℃から23℃まで冷却し、その後再び10℃/分の加熱速度で23℃から200℃までの加熱(つまり、第2回目の加熱)を行ったときに得られるDSC曲線においては、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂に固有の結晶の融解による吸熱ピークのみが見られるため、樹脂固有ピークと高温ピークとを見分けることができる。この樹脂固有ピークの頂点の温度は、第1回目の加熱と第2回目の加熱とで多少異なる場合があるが、通常、その差は5℃以内である。
発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、発泡粒子の成形性をより向上させるという観点、剛性により優れる成形体を得るという観点から、5J/g以上40J/g以下であることが好ましく、7J/g以上30J/g以下であることがより好ましく、10J/g以上20J/g以下であることがさらに好ましい。
また、発泡粒子の全融解熱量は、25J/g以上150J/g以下であることが好ましく、35J/g以上100J/g以下であることがより好ましく、50J/g以上90J/g以下であることがさらに好ましい。
発泡粒子のDSC曲線の各ピークの融解熱量は、次のようにして求められる値である。まず、状態調節を行った後の発泡粒子群から約2~4mgの発泡粒子を採取する。この発泡粒子を試験片として用い、試験片を示差熱走査熱量計によって23℃から200℃まで加熱速度10℃/分で昇温させたときのDSC曲線を得る。なお、複数個の発泡粒子を、試験片として用いてもよい。図3にDSC曲線の一例を示す。図3に例示されるように、DSC曲線には、樹脂固有ピークΔH1と、樹脂固有ピークΔH1の頂点よりも高温側に頂点を有する高温ピークΔH2とが現れる。
次いで、DSC曲線上における温度80℃での点αと、発泡粒子の融解終了温度Tでの点βとを結び直線L1を得る。次に、上記の樹脂固有ピークΔH1と高温ピークΔH2との間の谷部に当たるDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線L2を引き、直線L1と直線L2との交わる点をδとする。なお、点γは、樹脂固有ピークΔH1と高温ピークΔH2との間に存在する極大点ということもできる。
樹脂固有ピークΔH1の面積は、DSC曲線の樹脂固有ピークΔH1部分の曲線と、線分α-δと、線分γ-δとによって囲まれる部分の面積であり、これを樹脂固有ピークの融解熱量とする。
高温ピークΔH2の面積は、DSC曲線の高温ピークΔH2部分の曲線と、線分δ-βと、線分γ-δとによって囲まれる部分の面積であり、これを高温ピークの融解熱量(つまり、高温ピーク熱量)とする。
全融解ピークの面積は、DSC曲線の樹脂固有ピークΔH1部分の曲線と高温ピークΔH2部分の曲線と、線分α-β(つまり、直線L1)とによって囲まれる部分の面積であり、これを全融解ピークの融解熱量(全融解熱量)とする。
次に、発泡粒子を製造する方法の一例について説明する。発泡粒子は、分散工程と、発泡剤含浸工程を、発泡工程とを行うことにより製造される。分散工程では、容器内の水性媒体中に、ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる。発泡剤含浸工程では、容器内でポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。発泡工程では、発泡剤を含むポリプロピレン系樹脂粒子(つまり、発泡性樹脂粒子)を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる。以下、製造方法の実施形態について具体的に説明する。
分散工程は、ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させる工程である。ポリプロピレン系樹脂粒子としては、芯層と、芯層を被覆する融着層とを有する樹脂粒子が用いられる。芯層と融着層とを有するポリプロピレン系樹脂粒子のことを、以下適宜「多層樹脂粒子」という。
図2に例示されるように、多層樹脂粒子10は、ポリプロピレン系樹脂から構成された芯層20と、芯層20を被覆する融着層30とを有する。芯層20は実質的に非発泡の層であり、融着層30は上述の通りである。
多層樹脂粒子は、例えば、次のようにして製造される。芯層形成用押出機と融着層形成用押出機の2台の押出機を共押出ダイに連結し、芯層形成用押出機では、芯層形成用のポリプロピレン系樹脂と、必要に応じて供給される添加剤とを溶融混練し、芯層形成用樹脂組成物の溶融物を作製する。一方、融着層形成用押出機では融着層形成用のポリオレフィン系樹脂と、シリカ粒子と、高級脂肪酸アミドと、必要に応じて供給される添加剤とを溶融混練し、融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製する。次いで、各溶融物を押出し、ダイ内で合流させて、非発泡状態の芯層と、芯層の外側表面を被覆する非発泡状態の融着層とからなる鞘芯型の複合体を共押出により形成させる。複合体において、芯層は、芯層形成用樹脂組成物から構成され、融着層は、融着層形成用樹脂組成物から構成される。そして、複合体を押出機から押し出すと共に、ペレタイザー等による各種カット方法によりペレタイズする。カット方式は、ストランドカット方式、ホットカット方式、水中カット方式等から選択することができる。このようにして、芯層20とこの芯層20を被覆する融着層30とからなる多層樹脂粒子10を得ることができる(図2参照)。
また、多層樹脂粒子は、例えば、次のようにして製造することもできる。まず、押出機に、芯層形成用のポリプロピレン系樹脂と、必要に応じて供給される添加剤とを供給して溶融混練し、芯層形成用樹脂組成物の溶融物を作製する。次いで、溶融物を例えばストランド状に押出し、非発泡状態の芯層(具体的には、非発泡状態のストランド状物)を形成させる。そして、該非発泡状態の芯層を、例えば押出機から押し出しながら、ペレタイザー等による各種カット方法によりペレタイズすることにより、粒子状の芯層(具体的には、芯層形成用樹脂組成物から構成される樹脂粒子)を得る。次いで、例えば、混合機能及び加熱機能を有する混合装置に、粒子状の芯層を供給して加熱し、芯層の表層部を加熱する。次いで、融着層形成用のポリオレフィン系樹脂と、シリカ粒子と、高級脂肪酸アミドと、必要に応じて添加される添加剤とを含む融着層形成用樹脂組成物を上記混合装置に供給する。そして、加熱された粒子状の芯層と融着層形成用樹脂組成物とを混合し、芯層の表面に融着層形成用樹脂組成物を被覆させる。このようにして多層樹脂粒子が得られる。かかる混合方法は、芯層20の表面全面に融着層30を形成しやすい点で好ましい(図2参照)。
多層樹脂粒子の粒子径は、好ましくは0.1~3.0mm、より好ましくは0.3~1.5mmである。また、樹脂粒子の長さ/外径比は、好ましくは0.5~5.0、より好ましくは1.0~3.0である。また、多層樹脂粒子の1個当たりの平均質量(無作為に選んだ200個の粒子の質量から求める)は、0.1~20mgとなるように調製されることが好ましく、より好ましくは0.2~10mg、更に好ましくは0.3~5mg、特に好ましくは0.4~2mgである。多層樹脂粒子における芯層と融着層との質量比率(具体的には、芯層の質量:融着層の質量)は、好ましくは99.5:0.5~90:10であり、より好ましくは99:1~92:8であり、さらに好ましくは98:2~94:6である。
多層樹脂粒子の粒子径、平均質量の調製は、例えば、樹脂溶融物を押出機から押出す際における、押出速度、引き取り速度、カッタースピードなどを適宜変えて樹脂溶融物を切断することにより行われる。
上記のようにして得られた多層樹脂粒子を密閉容器内で分散させるための分散媒(具体的には液体)としては水性媒体が用いられる。水性媒体は、水を主成分とする分散媒(具体的には液体)である。水性媒体における水の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。水性媒体中の水以外の分散媒としては、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられる。水性媒体としては、水が特に好ましい。
分散工程では、水性媒体に無機分散剤を添加することができる。また、水性媒体には、無機分散剤以外の添加剤を適宜添加してもよい。無機分散剤としては、例えば、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリン、マイカ等の無機微粒子を使用することができる。これらの無機微粒子は、単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、無機分散剤以外の添加剤としては、分散助剤、界面活性剤等が使用される。分散助剤としては、例えば、硫酸アルミニウム等が挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
発泡剤含浸工程は、多層樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程である。発泡剤含浸工程は、上述する分散工程の後実施されていてもよいし、工程の一部又は全部が分散工程と重なって実施されてもよい。
発泡剤含浸工程では、例えば、多層樹脂粒子が入った容器を密閉し、密閉容器内に発泡剤を加えることにより、発泡剤を多層樹脂粒子に含浸させる。これにより、多層樹脂粒子中に発泡剤を含有する発泡性樹脂粒子を得ることができる。発泡剤としては、例えば物理発泡剤が用いられる。密閉容器内への物理発泡剤の添加は、多層樹脂粒子を発泡させる前の任意のタイミングで行われればよい。固体状態の発泡剤を分散工程時に樹脂粒子と共に水性媒体に添加し、その後、加温などにより気体状態となった発泡剤を多層樹脂粒子に含浸させてもよい。また、分散工程と並行して、又は分散工程終了後に、密閉容器に気体の発泡剤を圧入して多層樹脂粒子に発泡剤を含浸させてもよい。例えば物理発泡剤として二酸化炭素を使用する場合には、分散工程時に、固体状(具体的には、ドライアイスの形態)の発泡剤を多層樹脂粒子と共に水性媒体に添加してもよく、あるいは、分散工程時又は分散工程終了後、気体状態の二酸化炭素を密閉容器内に圧入してもよい。
多層樹脂粒子に対し発泡剤を含浸させる際、密閉容器内を加熱及び/又は加圧することにより、多層樹脂粒子への発泡剤の含浸を促進することができる。
また、発泡粒子の結晶状態を調整するために、上述する分散工程及び/又は発泡剤含浸工程において、密閉容器の昇温速度を調整してもよく、密閉容器を所定温度で保持する際の保持温度、保持時間を調整してもよい。例えば、熱流束示差走査熱量測定により得られるDSC曲線において、発泡粒子の芯層を構成する基材樹脂の主成分の吸熱ピーク(つまり、樹脂固有ピーク)よりも高温側に吸熱ピーク(つまり、高温ピーク)が現れるよう、調整することが可能である。良好な成形体が得られる成形条件範囲(具体的には、成形温度、成形圧)が広くなるという観点から、高温ピークを示す発泡粒子が好ましい。上述する高温ピークを得るための調整は、例えば特許第4077745号に記載の方法を参照して行われる。
発泡剤は、発泡粒子を得るために用いられる一般的な発泡剤の中から適宜選択される。
発泡剤としては、物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、無機物理発泡剤及び/又は有機物理発泡剤を使用できる。無機物理発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、水等が挙げられる。有機物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
これらの物理発泡剤は、単独で用いられてもよいし、二種以上併用して用いられてもよい。これらの発泡剤のうち、好ましくは、二酸化炭素、窒素、空気等の無機物理発泡剤を主成分とする発泡剤が用いられ、より好ましくは、二酸化炭素が用いられる。本明細書において、無機物理発泡剤を主成分とするとは、物理発泡剤が無機物理発泡剤を50モル%以上含有していることを意味する。物理発泡剤が無機物理発泡剤を70モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがより好ましく、物理発泡剤が無機物理発泡剤のみからなることがさらに好ましい。
物理発泡剤の添加量は、多層樹脂粒子を構成する基材樹脂の種類や発泡剤の種類、目的とする発泡粒子のかさ密度等に応じて適宜決定される。特に、所望のかさ密度に応じて物理発泡剤の添加量を決定するとよい。例えば、物理発泡剤として二酸化炭素を用いた場合、二酸化炭素の添加量は、100重量部の多層樹脂粒子に対して0.1重量部以上30重量部以下が好ましく、0.5重量部以上15重量部以下がより好ましく、1重量部以上10重量部以下がさらに好ましい。
発泡工程は、発泡剤を含む多層樹脂粒子(つまり、発泡性樹脂粒子)を水性媒体と共に容器から放出して発泡させて発泡粒子を得る工程である。より具体的には、発泡性樹脂粒子を水性媒体と共に容器(具体的には、密閉容器)の内圧よりも低い圧力下に放出することにより、発泡性樹脂粒子を発泡させる。このような発泡方法によれば、かさ密度の低い発泡粒子を容易に得ることができる。
発泡粒子のかさ密度は、例えば、発泡工程において、密閉容器の内容物を放出する際の、密閉容器内の温度や圧力などの発泡条件の適宜の変更によって調整可能である。
また、かさ密度のより低い発泡粒子を製造する場合には、以下に示す二段発泡工程のように、発泡粒子を多段的に発泡させる工程を実施することができる。二段発泡工程は、まず、上述のとおり得られた発泡粒子を加圧可能な密閉容器に貯留し、空気などの気体を密閉容器内に圧入することにより加圧処理をして発泡粒子の気泡内の圧力(つまり、内圧)を高める操作を行う。その後、内圧を高めた発泡粒子を密閉容器から取り出し、これをスチームや熱風を用いて加熱することにより、発泡粒子を発泡させることで二段発泡工程が実施される。二段発泡工程を実施することにより、かさ密度がより低い発泡粒子(二段発泡粒子)を得ることができる。また、一度の発泡工程でかさ密度の低い発泡粒子を得る方法に比べ、二段発泡工程を実施してかさ密度の低い発泡粒子を得る方法では、最終的に得られる発泡粒子の気泡径を大きくしやすい。二段発泡工程を実施して得た発泡粒子を用いて製造された発泡粒子成形体は、色調のむらの発生をより抑制することができる。そのため、着色剤を含む発泡粒子を製造する場合には、二段発泡工程を行うことが好ましい。
発泡粒子は、例えば成形体の製造に用いられる。成形体は、例えば発泡粒子を型内成形することにより製造される。
具体的には、まず、製造しようとする成形体の形状に対応したキャビティを有する成形型内に発泡粒子を充填する。次いで、スチームなどの加熱媒体により成形型内に充填された発泡粒子を加熱する。キャビティ内の発泡粒子は、加熱によってさらに発泡すると共に、相互に融着する。これにより、発泡粒子同士が一体化し、キャビティの形状に応じた成形体が得られる。
発泡粒子を用いて製造された成形体は、融着性に優れる。そのため、発泡粒子成形体に本来求められる機械的性質が発揮され、発泡粒子成形体は、梱包材、自動車部材、建築材料などの種々の用途に好適に使用される。
成形体の密度は、10kg/m以上500kg/m以下であることが好ましい。この場合には、成形体の剛性を高めつつ、成形体の軽量化が図れる。この効果が向上するという観点から、成形体の密度は、15kg/m以上100kg/m以下であることがより好ましく、18kg/m以上50kg/m以下であることがさらに好ましい。成形体の密度は、成形体の重量を、成形体寸法に基づいて算出される体積で除することにより算出される。
なお、本発明の発泡粒子は、上述する本発明の製造方法とは異なる製造方法(以下、第二の製造方法ともいう)で製造されてもよい。第二の製造方法は、まず、発泡状態の芯層を形成するための樹脂粒子を作製し、これを発泡させて発泡状態の芯層を得た後、発泡状態の芯層の表面に融着層を被覆することにより、発泡粒子を得る方法である。例えば、次に示すような第二の製造方法により、発泡粒子を製造することができる。
まず、押出機に、芯層形成用のポリプロピレン系樹脂と、必要に応じて供給される添加剤とを供給して溶融混練し、芯層形成用樹脂組成物の溶融物を作製する。次いで、溶融物を例えばストランド状に押出し、非発泡状態の芯層(具体的には、非発泡状態のストランド状物)を形成させる。そして、非発泡状態の芯層を、例えば押出機から押し出しながら、ペレタイザー等による各種カット方法によりペレタイズすることにより、粒子状の芯層(具体的には、芯層形成用樹脂組成物から構成される樹脂粒子)を得る。そして、公知の発泡方法により粒子状の芯層を発泡させて、発泡粒子本体(具体的には、発泡状態の芯層)を形成する。次いで、例えば、混合機能及び加熱機能を有する混合装置に、発泡状態の芯層を供給して加熱し、芯層の表層部を加熱する。次いで、融着層形成用のポリオレフィン系樹脂と、シリカ粒子と、高級脂肪酸アミドと、必要に応じて添加される添加剤とを含む融着層形成用樹脂組成物を上記混合装置に供給する。そして、加熱された発泡状態の芯層と融着層形成用樹脂組成物とを混合し、芯層の表面に融着層形成用樹脂組成物を被覆させる。このようにして、本発明の発泡粒子が得られる。
<実施例1>
(多層樹脂粒子の製造)
内径50mmの芯層形成用押出機、この芯層形成用押出機の下流側に付設された多層ストランド形成用ダイ、及び内径30mmの被覆層形成用押出機を備える製造装置を準備した。なお、製造装置は、被覆層形成用押出機の下流側と、多層ストランド形成用ダイとが接続されており、ダイ内で各層を形成するための溶融物の積層が可能であると共に、共押出が可能な構成とした。芯層を構成する基材樹脂として、プロピレン-エチレンランダム共重合体を用いた。プロピレン-エチレンランダム共重合体として、JIS K7121:1987年に基づいて測定された融点(つまり、融解ピーク温度)が142℃、JIS K7210-1:2014年に基づいて、230℃、荷重2.16kgの条件で測定されたメルトマスフローレイトが7g/10分であるポリプロピレン系樹脂を用いた。
芯層形成用押出機に芯層を形成するための芯層形成材料(具体的には、基材樹脂、気泡調整剤、カーボンブラック、高級脂肪酸アミド)を押出機に供給し、溶融混練した。これにより、気泡調整剤(具体的には、ホウ酸亜鉛)0.1重量%及びカーボンブラック(具体的には、ファーネスブラック)2.7重量%が配合されると共に、高級脂肪酸アミド(具体的には、エルカ酸アミド:花王株式会社「脂肪酸アマイドE」)が表1に示す含有量となるように配合された芯層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した。
融着層を構成する基材樹脂として、プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体を用いた。プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体として、JIS K7121:1987年に基づいて測定され融点(つまり、融解ピーク温度)が135℃、JIS K7210-1:2014年に基づいて、230℃、荷重2.16kgの条件で得られたメルトマスフローレイトが7g/10分であるポリプロピレン系樹脂を用いた。このポリプロピレン系樹脂のプロピレン量とエチレン量とブテン量との比は、重量比で、94:3.5:2.5である。
融着層形成用押出機に融着層を形成するための融着層形成材料(具体的には、基材樹脂、カーボンブラック、シリカ粒子、高級脂肪酸アミド)を押出機に供給し、溶融混練した。これにより、カーボンブラック(具体的には、ファーネスブラック)2.7重量%が配合されると共に、シリカ粒子及び高級脂肪酸アミド(具体的には、エルカ酸アミド:花王株式会社「脂肪酸アマイドE」)が表1に示す含有量となるように配合された融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した。
各層形成用の溶融物を、多層ストランド形成用ダイに導入してダイ内で合流させ、ダイの下流側に取り付けた口金の細孔から、2層構造(融着層と芯層との鞘芯構造)を有する複合体(具体的には多層ストランド)を押出した。押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーにて切断し、1個当たりの平均重量が1.0mgの多層樹脂粒子を得た。
(発泡粒子の製造)
多層樹脂粒子1kgを、水性媒体である水3Lと共に、内容量5Lの密閉容器内に供給した。また、多層樹脂粒子100重量部に対して、無機分散剤としてカオリン0.3重量部、界面活性剤(商品名:ネオゲン、第一工業製薬株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.2重量部(ただし、有効成分としての量)をそれぞれ密閉容器内に添加した。
次いで、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素を圧入し、ゲージ圧で2.0MPa(G)となるまで加圧した。尚、本明細書において(G)を付した圧力は、ゲージ圧、つまり、大気圧を基準とした圧力の値を意味する。その後、密閉容器内を撹拌しながら2℃/分の昇温速度で、発泡温度(具体的には、149.5℃)になるまで加熱昇温し、同温度で15分間保持した。これにより、発泡粒子が、DSC測定による吸熱曲線において高温ピークを有するように調整した。
その後、密閉容器の内容物(具体的には、樹脂粒子及び水)を大気圧下に放出して、かさ密度60kg/mの発泡粒子(具体的には、一段発泡粒子)を得た。なお、上述する工程と同様の工程を数サイクル繰り返して後述する評価に供する発泡粒子を確保した。
上述のようにして得られた一段発泡粒子を気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境に24時間放置して養生を行った。そして加圧可能な密閉容器内に養生後の一段発泡粒子を充填し、この密閉容器内の圧力を常圧から上昇させて発泡粒子を加圧した。発泡粒子を加圧した状態を所定時間維持して、発泡粒子の気泡内の圧力を高めた。その後、密閉容器から一段発泡粒子を取り出し、発泡粒子の気泡の内圧が0.5MPa(G)である一段発泡粒子を得た。その後、この一段発泡粒子を二段発泡装置に供給した。この装置内にスチームを供給して一段発泡粒子を発泡させて、かさ密度27kg/mの発泡粒子を得た。二段発泡により得られた発泡粒子を以下の測定や発泡粒子成形体の製造等に用いた。結果を表1に示す。
・発泡粒子のかさ嵩密度
まず、測定に供する発泡粒子を気温23℃、相対湿度50%、1atmの環境中で24時間以上放置した。その後、重量W(単位:g)の発泡粒子群をメスシリンダー内に充填し、メスシリンダー底面で床面を数度、軽く叩くことにより、メスシリンダー内の発泡粒子群の充填高さを安定させた。メスシリンダーの目盛りが指す発泡粒子群のかさ体積V(単位:L)を読み取り、発泡粒子群の重量Wを発泡粒子群のかさ体積Vで除す(つまり、W/V)。これにより求められる値を単位換算することにより、発泡粒子のかさ密度(単位:kg/m)を得た。
・全融解熱量及び高温ピーク熱量
状態調節を行った後の発泡粒子群から約2mgの発泡粒子を採取した。この発泡粒子を試験片として用い、試験片を示差熱走査熱量計(具体的には、ティー・エイ・インスツルメント社製DSC.Q1000)によって23℃から200℃まで加熱速度10℃/分で昇温させたときのDSC曲線を得た。DSC曲線の全ての融解ピークの面積を求め、これを全融解熱量とした。また、DSC曲線における高温ピークの面積を求め、これを高温ピーク熱量とした。上記測定を5個の発泡粒子について行い、算術平均した値を全融解熱量、高温ピーク熱量の測定結果として採用した。
(成形体の製造)
加圧可能な密閉容器に発泡粒子(具体的には、二段発泡粒子)を充填し、密閉容器内の圧力を常圧から上昇させて発泡粒子を加圧した。発泡粒子を加圧した状態を所定時間維持して発泡粒子の気泡内の圧力を高めた。その後、密閉容器から発泡粒子を取り出し、発泡粒子の気泡の内圧が0.1MPa(G)である発泡粒子を得た。この発泡粒子を、縦200mm×横150mm×高さ50mm、底壁及び側壁の厚みが10mmの箱状の成形体を成形可能な成形キャビティを有する成形型(具体的には金型)に充填して以下の加熱方法で加熱を行った。加熱方法は、金型の両面に設けられたドレン弁を開放した状態で金型にスチームを供給して予備加熱(排気工程)を行った。その後、金型の一方側からスチームを供給して加熱し、さらに金型の他方側からスチームを供給して加熱を行った。続いて、0.26MPa(G)の成形加熱スチーム圧力で、金型の両側からスチームを供給して加熱した。加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.04MPa(G)になるまで水冷したのち、金型を開放し成形体を取り出した。この成形体を80℃のオーブンにて12時間養生した後、室温まで徐冷して上部開口の箱状の成形体を得た。この成形体は、外寸が縦200mm×横150mm×高さ50mmであり、底壁及び側壁の厚みが10mmの上部開口の箱体であり、縦200mm×横150mmの面を下面としたときに、上面側が開口する形状である。
・生産性評価
発泡粒子を用いて型内成形を繰り返し行った際の、金型への樹脂付着物の有無により、生産性の評価を行った。具体的には、同一金型、同一成形条件で、30サイクル分の型内成形を連続的に行った。成形終了後の金型に樹脂が付着しているか否かを目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:付着物が認められなかった場合。
×:少なくとも部分的に付着物が認められた場合。
・密度
成形体の重量を、成形体寸法に基づいて算出される体積で除することにより、密度を算出した。
・融着性
成形体の融着性を、成形体を破断した際の破断面に露出した発泡粒子のうち、材料破壊した発泡粒子の数の割合に基づいて求めた。具体的には、まず、成形体から試験片(縦100mm×横100mm×厚み:成形体の厚み)を切り出し、カッターナイフで各試験片の厚み方向に約5mmの切り込みを入れた後、切り込み部から試験片を破断させた。次に、成形体の破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(b)を測定し、(b)と(n)の比(b/n)を百分率で表して融着率(%)とし、以下のとおり評価した。
〇:融着率が80%以上の場合。
△:融着率が80%未満40%以上の場合。
×:融着率が40%未満の場合。
<実施例2~4>
実施例2~4は、シリカ粒子、高級脂肪酸アミドの含有量を実施例1とは変更した例である。具体的には、樹脂粒子における融着層中のシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドの含有量が表1に示す含有量となるように変更して融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。実施例2~4の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
本例は、発泡粒子中の融着層の重量割合を実施例1とは変更した例である。具体的には、多層ストランドを押出す際に融着層の割合を少なくすることにより、芯層と融着層との比率を表1に示す通り変更した点を除いては実施例1と同様にして、発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
本例は、発泡粒子のかさ密度を実施例1とは変更した例である。具体的には、実施例1における二段発泡時の条件を変更し、かさ密度18kg/mの発泡粒子を得た。この発泡粒子を用いて、実施例1と同様にして成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
本例は、融着層にシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを配合していない例である。具体的には、融着層形成材料に、シリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを配合しなかった点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
本例は、高級脂肪酸アミドを融着層に配合せず、シリカ粒子の含有量を実施例1とは変更した例である。具体的には、融着層形成材料に高級脂肪酸アミドを配合せず、樹脂粒子における融着層中のシリカ粒子の含有量が表2に示す含有量となるように変更して融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
本例は、融着層にシリカ粒子を配合せず、高級脂肪酸アミドの含有量を実施例1とは変更した例である。具体的には、融着層形成材料にシリカ粒子を配合せず、樹脂粒子における融着層中の高級脂肪酸アミドの含有量が表2に示す含有量となるように変更して融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
本例は、シリカ粒子の含有量を実施例1とは変更した例である。具体的には、樹脂粒子における融着層中のシリカ粒子の含有量が表2に示す含有量となるよう変更して融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例5>
本例は、高級脂肪酸アミドの含有量を実施例1とは変更した例である。具体的には、樹脂粒子における融着層中の高級脂肪酸アミドの含有量が表2に示す含有量となるように変更して融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表2に示す。
<比較例6>
本例は、シリカ粒子、高級脂肪酸アミドの含有量を実施例1とは変更した例である。具体的には、樹脂粒子における融着層中のシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドの含有量を表2に示す含有量となるように変更して融着層形成用樹脂組成物の溶融物を作製した点を除いては、実施例1と同様にして発泡粒子、成形体を製造した。本例の発泡粒子、成形体について、実施例1と同様の評価、測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2023024138000002
Figure 2023024138000003
表1より理解されるように、実施例1~6の発泡粒子によれば、型内成形時における発泡粒子同士の良好な融着性を維持しつつ、成形型への付着物の蓄積を抑制することができる。
表3より理解されるように、比較例1では、発泡粒子が融着層にシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを含有していないため、成形型に樹脂の付着物が観察された。また、発泡粒子の融着層に高級脂肪酸アミドが配合されていない比較例2、発泡粒子の融着層にシリカ粒子が配合されていない比較例3においても、成形型に樹脂の付着物が観察された。
比較例4、比較例5では、シリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの重量比のバランスが悪いため、成形体における発泡粒子同士の融着性が不十分であった。比較例6では、シリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの合計量が過剰であるため、成形体における発泡粒子同士の融着性が不十分であった。
1 発泡粒子
2 芯層
3 融着層

Claims (10)

  1. ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする発泡状態の芯層と、上記芯層を被覆する融着層とを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、
    上記融着層がシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを含み、
    上記融着層中の上記シリカ粒子の含有量と上記高級脂肪酸アミドの含有量との合計が0.05重量%以上3重量%以下であり、
    上記融着層中の上記シリカ粒子と上記高級脂肪酸アミドとの重量比が1:0.2~1:8である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  2. 上記融着層中の上記シリカ粒子の含有量が0.01重量%以上0.5重量%未満である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  3. 上記融着層中の上記高級脂肪酸アミドの含有量が0.05重量%以上1重量%以下である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  4. 上記融着層中のシリカ粒子と上記高級脂肪酸アミドとの重量比が1:0.8~1:6である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  5. 上記高級脂肪酸アミドがエルカ酸アミドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  6. 上記芯層が高級脂肪酸アミドを含み、
    上記融着層中の高級脂肪酸アミドの含有量が、上記芯層中の高級脂肪酸アミドの含有量よりも多い、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  7. 上記融着層を構成する基材樹脂が、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体及びプロピレン-エチレン-ブテン共重合体から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  8. 上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中の上記融着層の割合が0.5重量%以上10重量%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  9. 上記ポリプロピレン系樹脂発泡粒子のかさ密度が10kg/m以上500kg/m以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  10. 容器内の水性媒体中にポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる分散工程と、
    上記容器内で上記ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程と、
    上記発泡剤を含む上記ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と共に容器から放出して発泡させる発泡工程とを含む、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
    上記ポリプロピレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする芯層と、上記芯層を被覆する融着層とを有し、
    上記ポリプロピレン系樹脂粒子の融着層がシリカ粒子及び高級脂肪酸アミドを含み、
    上記融着層中のシリカ粒子の含有量と高級脂肪酸アミドの含有量との合計が0.05重量%以上3重量%以下であり、
    上記融着層中のシリカ粒子と高級脂肪酸アミドとの重量比が1:0.2~1:8である、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
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