JP6346482B2 - 制振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制振装置に関する。
設備機械や建物等の振動体の振動を低減するハイブリッド・マス・ダンパ(以下、「HMD」という)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種のHMDは、例えば、1自由度または多自由度の振動系の構成する可動マス及び弾性体を備えた振動増幅機構と、可動マスを加振するアクチュエータと、可動マスが振動体とは逆位相で振動するようにアクチュエータを制御するコントローラとを備えている。
特開2013−029137号公報
ところで、振動体の振動を低減可能な振動数領域(以下、「制振対象振動数領域」という)を広げたいとの要望がある。しかしながら、制振対象振動数領域を広げると、振動体と振動増幅機構との位相差が180度以上になる場合があり、アクチュエータの制御が複雑化する可能性がある。
本発明は、上記の事実を考慮し、アクチュエータの制御を単純化することを目的とする。
第1態様に係る制振装置は、弾性体と、前記弾性体を介して振動体に支持される可動マスと、を有する振動増幅機構と、前記可動マスを加振するアクチュエータと、前記振動体の振動を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記振動体の振動情報に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御信号を出力するコントローラと、前記コントローラから出力される制御信号のうち、少なくとも前記振動体と前記振動増幅機構との位相差が180度以上の制御信号を180度未満の制御信号に補正する補正フィルタと、を備える。
第1態様に係る制振装置によれば、可動マスを加振するアクチュエータは、コントローラによって制御される。このコントローラは、検出部で検出された振動体の振動情報に基づいて、例えば、振動増幅機構(可動マス)の振動によって振動体の振動が打ち消されるように、アクチュエータを制御する制御信号を出力する。
ここで、振動体と振動増幅機構との位相差が180度以上になると、振動増幅機構が振動体とは逆位相で振動する。したがって、振動体と振動増幅機構との位相差が180度以上の場合に、位相差が180度未満の場合と同様にコントローラでアクチュエータを制御すると、振動体の振動が大きくなる恐れがある。
これに対して本発明では、コントローラが出力する制御信号のうち、少なくとも振動体と振動増幅機構との位相差が180度以上の制御信号を、補正フィルタによって180度未満の制御信号に補正する。そのため、コントローラは、振動体と振動増幅機構との位相差が180度以上の場合を考慮せずに、アクチュエータを制御することができる。したがって、アクチュエータの制御を単純化することができる。
第2態様に係る制振装置は、第1態様に係る制振装置において、前記振動増幅機構は、複数積層され、前記アクチュエータは、前記振動体と前記可動マス、隣接する前記可動マス、または最上層の前記可動マスに連結される。
第2態様に係る制振装置によれば、振動増幅機構が複数積層されている。これにより、多自由度多質点の振動系が構成されている。このような多自由度多質点の振動系では、固有振動数(1次固有振動数、2次固有振動数など)の増加に伴って振動増幅機構の振動が増幅される振動増幅領域が拡大するため、制振対象振動数領域を拡大し易くなる。その一方で、多自由度多質点の振動系では、振動体と振動増幅機構との位相差が180度以上になり易くなるため、コントローラによるアクチュエータの制御がより複雑化する。
このような多自由度多質点の振動系を構成する振動増幅機構に対して本発明は特に有効であり、本発明を適用することによりアクチュエータの制御を単純化することができる。
以上説明したように、本発明に係る制振装置によれば、アクチュエータの制御を単純化することができる。
本発明の第1実施形態に係る制振装置を示す振動モデル図である。 図1に示される制御部を示すブロック図である。 (A)及び(B)は、本発明の第1実施形態における補正フィルタが適用された振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る制振装置を示す振動モデル図である。 (A)及び(B)は、本発明の第2実施形態における補正フィルタが適用された振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。 (A)〜(C)は、本発明の第3実施形態に係る制振装置を示す振動モデル図である。 (A)及び(B)は、一般的な多自由度多質点の振動系の振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。 (A)及び(B)は、本発明の第3実施形態における補正フィルタが適用された振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。 (A)及び(B)は、本発明の第3実施形態における補正フィルタが適用された振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。 (A)及び(B)は、本発明の第3実施形態における補正フィルタが適用された振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。 (A)及び(B)は、本発明の変形例における補正フィルタが適用された振動増幅機構の振動特性の一例を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る制振装置について説明する。
先ず、第1実施形態について説明する。
図1には、第1実施形態に係る制振装置10の振動モデルが示されている。この制振装置10は、いわゆるHMD(ハイブリッド・マス・ダンパ)と同様の原理により振動体Vの振動を低減(制振)するものである。
なお、振動体Vとしては、例えば、地震等の外力によって振動する建物の建材(例えば、床、天井、壁等)や、モータ、ポンプ等の振動源を有する設備機械等が挙げられる。
制振装置10は、振動増幅機構14と、アクチュエータ20と、制御部30と、検出部34とを備えている。振動増幅機構14は、弾性体16と、弾性体16を介して振動体Vに支持される可動マス18とを有し、1自由度1質点の振動系を構成している。
弾性体16は、例えば、コイルばね、天然ゴム、合成ゴム、シリコン等の弾性体で構成され、伸縮方向を振動体Vの振動方向(矢印Z方向)にして振動体Vと可動マス18との間に配置されている。この弾性体16によって、振動体Vと可動マス18とが連結されると共に、可動マス18が振動体Vの振動方向に振動可能に支持されている。なお、図1には、弾性体16のバネ定数k及び減衰係数cと、可動マス18の質量mが模式的に示されている。
可動マス18には、アクチュエータ20が連結されている。アクチュエータ20は、例えば、リニアモータ、ピエゾアクチュエータ、サーボモータ等で構成されており、可動マス18の上に配置されている。このアクチュエータ20は、可動マス18を振動方向(矢印Z方向)に加振(制御力fを付与)する。なお、アクチュエータ20は、可動マス18を加振する際に反力を得るための反力マス20Aを有している。なお、本実施形態では、可動マス18が最上層の可動マスに相当する。
アクチュエータ20には、制御部30が電気的に接合されており、この制御部30によって可動マス18に付与する制御力fが制御される。制御部30は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等で構成される。
図2に示されるように、制御部30は、振動増幅機構14の振動(制振力F)によって振動体Vの振動が打ち消されるようにアクチュエータ20を制御するコントローラ32と、コントローラ32から出力される制御信号を補正する補正フィルタ36とを有している。
コントローラ32には、検出部34が電気的に接続されている。検出部34は、例えば、振動体Vに設けられた加速度センサ、速度センサ、変位センサ等であり、振動体Vの加速度、速度、変位等の振動情報を検出してコントローラ32に出力する。
コントローラ32は、例えば、フィードバック回路を有し、検出部34で検出された振動体Vの振動情報に基づいて、振動増幅機構14(可動マス18)が振動体Vとは逆位相で振動するようにアクチュエータ20をフィードバック制御する制御信号を生成する。この制御信号には、アクチュエータ20の制御量が含まれており、この制御量に応じてアクチュエータ20が制御力fを発生するようになっている。
なお、ここでいう「逆位相」とは、振動増幅機構14が振動体Vと位相差180度で振動する場合だけでなく、振動増幅機構14が振動体Vと位相差180度付近(概ね逆位相)で振動する場合も含む概念である。また、アクチュエータ20の制御方法としては、例えば、古典的なPID制御や周波数整形フィルタ、あるいはH制御(H-infinity Control)などの現代制御理論等を用いることができる。
ここで、図3(A)及び図3(B)には、振動増幅機構14の振動特性の一例が示されている。なお、図3(A)の縦軸は、振動体Vの加振力Fに対する振動増幅機構14の制振力Fの増幅倍率である。
図3(A)に示されるように、この例では、共振により振動数10Hz(共振振動数)付近で振動増幅機構14の増幅倍率が大きくなっており、振動増幅機構14の制振力Fが増幅されることが分かる。そのため、一般的なHMDでは、制振対象振動数領域が共振振動数付近に設定される。その一方で、振動体Vの振動には種々の振動数が含まれるため、制振対象振動数領域を広げたいとの要望がある。
ところが、制振対象振動数領域を広げると、振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度未満の振動数領域と、180度以上の振動数領域とが混在することなり、コントローラ32によるアクチュエータ20の制御が複雑化する。具体的には、図3(B)に示されるように、共振振動数(10Hz)では、振動体Vと振動増幅機構14との位相差が略90度になっている。一方、共振振動数よりも僅かに振動数が高くなると、振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上になっている。
このように振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上になると、振動増幅機構14(可動マス18)が振動体Vとは逆位相で振動する。この場合、位相差が180度未満のときと同じように、振動増幅機構14(可動マス18)が振動体Vとは逆位相で振動するように、コントローラ32でアクチュエータ20を制御すると、振動体Vの振動が大きくなる恐れがある。したがって、制振対象振動数領域を広げた場合には、振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上の場合を考慮してアクチュエータ20を制御する必要があるため、コントローラ32の設計が複雑化する。
この対策として本実施形態では、コントローラ32から出力された制御信号を下記式(1)の補正フィルタ36によって補正する。

ただし、
m :可動マスの質量
s :複素円振動数(=虚数i×振動体の円振動数ω)
c :弾性体の減衰係数
k :弾性体の剛性
:制振対象振動数の上限値
である。
この補正フィルタ36は、例えば、コントローラ32から出力された制御信号のうち、少なくとも振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上の制御信号(制御量u)を180度未満の制御信号(制御量u)に補正する。具体的には、補正フィルタ36は、図3(B)に二点鎖線で示されるように、振動体Vと振動増幅機構14との位相差がなくなるように、振動体Vに対する振動増幅機構14の位相遅れを補正する。
なお、補正フィルタ36を適用した場合の振動増幅機構14の見かけ上の増幅倍率は、図3(A)の二点鎖線のようになる。また、図3(A)及び図3(B)では、補正フィルタ36の特性が破線で示されている。さらに、図3(A)及び図3(B)では、振動増幅機構14の固有振動数が10Hz、減衰係数cが5%、制振対象振動数の上限値fが100Hzに設定されている。
ここで、補正フィルタ36について補足すると、本実施形態における振動増幅機構14の振動特性は、下記式(2)によって表される。この場合、振動体Vと振動増幅機構14との位相差を補正する補正フィルタとしては、式(2)の逆数(逆フィルタ)である下記式(3)が理想的であるが、この式(3)は安定しない。そこで、本実施形態では、式(3)の分母に「s」の項を追加することにより、補正フィルタ36(式(1))を安定化させている。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る制振装置10によれば、コントローラ32は、検出部34で検出された振動体Vの振動情報に基づいて、振動増幅機構14の制振力Fによって振動体Vの加振力Fが打ち消されるようにアクチュエータ20を制御する制御信号を生成する。より具体的には、コントローラ32は、検出部34で検出された振動体Vの振動情報に基づいて、振動増幅機構14が振動体Vとは逆位相で振動するようにアクチュエータ20を制御する制御信号を生成する。
ここで、前述したように制振対象振動数領域を広げると、振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度未満の振動数領域と、180度以上の振動数領域とが混在することなり、コントローラ32によるアクチュエータ20の制御が複雑化する。
これに対して本実施形態では、コントローラ32が出力する制御信号のうち、少なくとも振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上の制御信号(制御量u)は、補正フィルタ36(式(1))によって180度未満の制御信号(制御量u)に補正されてアクチュエータ20へ出力される。
そのため、振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上の場合を考慮せずに、アクチュエータ20を制御することができる。したがって、制振対象振動数領域を広げつつ、コントローラ32の設計を単純化することができる。
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成ものには同符号を付して説明を省略する。
図4には、第2実施形態に係る制振装置40の振動モデルが示されている。この制振装置40は、第1実施形態に係る制振装置10と異なり、アクチュエータ20が振動体Vと可動マス18との間に設置されており、これらの振動体Vと可動マス18とを連結している。なお、本実施形態に係るアクチュエータ20は、反力マス20Aを有していない。
この制振装置40では、コントローラ32から出力された制御信号を下記式(4)で表される補正フィルタ36によって補正する。


ただし、
m :可動マスの質量
s :複素円振動数(=虚数i×振動体の円振動数ω)
c :弾性体の減衰係数
k :弾性体の剛性
:制振対象振動数の下限値
h :下限値fでの増幅を調整するパラメータ
である。
補正フィルタ36は、第1実施形態と同様に、コントローラ32から出力された制御信号のうち、少なくとも振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上の制御信号(制御量u)を180度未満の制御信号(制御量u)に補正する。
具体的には、補正フィルタ36は、図5(B)に二点鎖線で示されるように、低振動数領域において、振動体Vと振動増幅機構14との位相差がなくなるように振動体Vに対する振動増幅機構14の位相遅れを補正する。
なお、補正フィルタ36を適用した場合の振動増幅機構14の見かけ上の増幅倍率は、図5(A)の二点鎖線のようになる。また、図5(A)及び図5(B)では、振動増幅機構14の固有振動数が10Hz、減衰係数cが5%、制振対象振動数の下限値fが1Hz、パラメータhが0.2に設定されている。なお、パラメータhを大きくすると、図5(A)において振動数10Hz付近での増幅倍率が大きくなり、パラメータhを小さくすると、振動数10Hz付近での増幅倍率が小さくなる。
ここで、補正フィルタ36について補足すると、本実施形態における振動増幅機構14の振動特性は、下記式(5)によって表される。この場合、振動体Vと振動増幅機構14との位相差を補正する補正フィルタとしては、式(5)の逆数(逆フィルタ)である下記式(6)が理想的であるが、この式(6)は安定しない。そこで、本実施形態では、式(6)の分母に「s」及び「s」の項を追加することにより、補正フィルタ36(式(4))を安定化させている。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る制振装置40によれば、コントローラ32は、検出部34で検出された振動体Vの振動情報に基づいて、振動増幅機構14の制振力Fによって振動体Vの加振力Fが打ち消されるようにアクチュエータ20を制御する制御信号を生成する。より具体的には、コントローラ32は、検出部34で検出された振動体Vの振動情報に基づいて、振動増幅機構14が振動体Vとは逆位相で振動するようにアクチュエータ20を制御する制御信号を生成する。
この制御信号のうち、少なくとも振動体Vと振動増幅機構14との位相差が180度以上の制御信号(制御量u)は、補正フィルタ36(式(4))により180度未満の制御信号(制御量u)に補正されてアクチュエータ20へ出力される。したがって、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
次に、第3実施形態について説明する。なお、第1,第2実施形態と同じ構成ものには同符号を付して説明を省略する。
図6(A)〜図6(C)には、第3実施形態に係る制振装置50A,50B,50Cの振動モデルが示されている。各制振装置50A,50B,50Cは、2自由度2質点の振動系を構成する振動増幅機構52A,52B,52Cをそれぞれ備えている。各振動増幅機構52A,52B,52Cは、2つの第1振動増幅機構14A及び第2振動増幅機構14Bを積層して形成されている。なお、振動増幅機構52A,52B,52Cでは、アクチュエータ20の位置がそれぞれ異なっている。
具体的には、第1振動増幅機構14Aは、第1弾性体16Aと、第1弾性体16Aを介して振動体Vに支持された第1可動マス18Aとを有している。また、第2振動増幅機構14Bは、第2弾性体16Bと、第2弾性体16Bを介して第1可動マス18Aに支持された第2可動マス18Bとを有している。隣接する第1可動マス18A及び第2可動マス18Bは、第2弾性体16Bを介して直列に連結されており、振動方向(矢印Z方向)にそれぞれ振動可能になっている。
また、図6(A)に示される制振装置50Aでは、アクチュエータ20が第2可動マス18Bの上に配置されており、最上層の第2可動マス18Bにのみ連結されている。また、図6(B)に示される制振装置50Bでは、アクチュエータ20が第1可動マス18Aと第2可動マス18Bとの間に配置されており、隣接する第1可動マス18Aと第2可動マス18Bとに連結されている。さらに、図6(C)に示される制振装置50Cでは、アクチュエータ20が振動体Vと第1可動マス18Aとの間に配置されており、振動体Vと第1可動マス18Aとに連結されている。
なお、図6(A)〜図6(C)には、第1弾性体16A及び第2弾性体16Bのバネ定数k,k及び減衰係数c1,と、第1可動マス18A及び第2可動マス18Bの質量m,mがそれぞれ模式的に示されている。
ここで、多自由度多質点の振動系の振動増幅機構の振動特性について説明する。図7(A)及び図7(B)には、1自由度1質点(1自由度系)、2自由度2質点(2自由度系)、及び3自由度3質点(3自由度系)の振動増幅機構の振動特性がそれぞれ示されている。
図7(A)に示されるように、2自由度系及び3自由度系の振動増幅機構では、共振振動数(1次固有振動数、2次固有振動数など)の増加に伴って、振動増幅機構の振動が増幅される振動増幅領域が拡大するため、制振対象振動数領域を拡大し易くなる。
その一方で、図7(B)に示されるように、2自由度2質点の振動増幅機構では、振動体と振動増幅機構との位相差が略180度となり、3自由度3質点の振動増幅機構では、振動体と振動増幅機構との位相差が略270度となる。つまり、多自由度多質点の振動増幅機構では、振動増幅領域を拡大することができる一方で、コントローラによるアクチュエータの制御がより複雑化する。
また、振動体と多自由度多質点の振動増幅機構との位相差を補正する補正フィルタとしては、振動増幅機構の振動特性式の逆数(逆フィルタ)が理想的であるが、この逆フィルタは上記第1,第2実施形態と同様に安定しない。
そこで、本実施形態では、2自由度2質点の各振動増幅機構52A,52B,52Cの補正フィルタ36を、安定である上記第1,第2実施形態に係る式(1)と式(2)との組み合わせにより形成している。以下、図6(A)〜図6(C)に示される制振装置50A,50B,50Cの補正フィルタ36について具体的に説明する。
先ず、図6(A)に示される制振装置50Aの補正フィルタ36について説明する。制振装置50Aでは、第1振動増幅機構14Aから第2振動増幅機構14Bを見ると、第2振動増幅機構14Bは第1振動増幅機構14Aを加振するアクチュエータと捉えることができる。したがって、振動体Vと第1振動増幅機構14Aとの位相差を補正する補正フィルタは、上記第1実施形態の式(1)における変数k,c,mに第1振動増幅機構14Aの諸元[k,c,m]を代入して得られる。以下、この補正フィルタを式(1)[k,c,m]と表す。
これと同様に、第1振動増幅機構14Aと第2振動増幅機構14Bとの位相差を補正する補正フィルタは、上記第1実施形態の式(1)におけるk,c,mに第2振動増幅機構14Bの諸元[k,c,m]を代入して得られる。以下、補正フィルタを式(1)[k,c,m]と表す。
そして、振動増幅機構52A全体の補正フィルタ36は、式(1)[k,c,m]と式(1)[k,c,m]との積で得られる(式(1)[k,c,m]×式(1)[k,c,m])。この補正フィルタ36は、図8(B)に二点鎖線で示されるように、振動体Vと振動増幅機構52Aとの位相差がなくなるように、振動体Vに対する振動増幅機構52Aの位相遅れを補正する。
なお、補正フィルタ36を適用した場合の振動増幅機構52Aの見かけ上の増幅倍率は、図8(A)の二点鎖線のようになる。また、図8(A)及び図8(B)では、第1振動増幅機構14A及び第2振動増幅機構14Bの固有振動数が10Hz、減衰係数c,cが5%、制振対象振動数の上限値fが100Hzにそれぞれ設定されている。
次に、図6(B)に示される制振装置50Bについて説明する。この制振装置50Bでは、第1振動増幅機構14Aから第2振動増幅機構14Bを見ると、第2振動増幅機構14Bは第1振動増幅機構14Aを加振するアクチュエータと捉えることができる。したがって、振動体Vと第1振動増幅機構14Aとの位相差を補正する補正フィルタは、式(1)[k,c,m]で得られる。
一方、第2振動増幅機構14Bから第1振動増幅機構14Aを見ると、第1振動増幅機構14Aはアクチュエータ20によって連結された振動体と捉えることができる。したがって、第1振動増幅機構14Aと第2振動増幅機構14Bの位相差を補正する補正フィルタは、上記第2実施形態の式(4)におけるk,c,mに第2振動増幅機構14Bの諸元[k,c,m]を代入して得られる。以下、補正フィルタを式(4)[k,c,m]と表す。
そして、振動増幅機構52B全体の補正フィルタ36は、式(1)[k,c,m]と式(4)[k,c,m]との積で得られる(式(1)[k,c,m式(4)[k,c,m])。この補正フィルタ36は、図9(B)に二点鎖線で示されるように、振動体Vと振動増幅機構52Bとの位相差がなくなるように、振動体Vに対する振動増幅機構52Bの位相遅れを補正する。
なお、補正フィルタ36を適用した場合の振動増幅機構52Bの見かけ上の増幅倍率は、図9(A)の二点鎖線のようになる。また、図9(A)及び図9(B)では、第1振動増幅機構14A及び第2振動増幅機構14Bの固有振動数が10Hz、減衰係数c,cが5%、制振対象振動数の上限値fが100Hz、制振対象振動数の下限値fが1Hz、パラメータhが0.2にそれぞれ設定されている。
次に、図6(C)に示される制振装置50Cについて説明する。この制振装置50Cでは、一般に、第1可動マス18Aよりも第2可動マス18Bの重量が大きくなる。そこで、本実施形態では、振動増幅機構52Cを第2弾性体16B及び第2可動マス18Bで形成された1自由度1質点の振動増幅機構と見なした。そうすると、振動体Vと振動増幅機構52Cとの位相差を補正する補正フィルタ36は、式(4)[k,c,m]で得られる。
この補正フィルタ36は、図10(B)に二点鎖線で示されるように、振動体Vと振動増幅機構52Cとの位相差がなくなるように、振動体Vに対する振動増幅機構52Cの位相遅れを補正する。
なお、補正フィルタ36を適用した場合の振動増幅機構52Cの見かけ上の増幅倍率は、図10(A)の二点鎖線のようになる。また、図10(A)及び図10(B)では、第1振動増幅機構14A及び第2振動増幅機構14Bの固有振動数が10Hz、減衰係数c,cが5%、制振対象振動数の下限値fが1Hz、パラメータhが0.2にそれぞれ設定されている。
次に、第3実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、2自由度2質点の振動増幅機構52A,52B,52Cと振動体Vとの位相差を補正する補正フィルタ36を、安定である上記第1,第2実施形態に係る式(1)と式(4)との組み合わせにより形成する。これにより、上記第1,第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、図8(B)、図9(B)、及び図10(B)に示されるように、2自由度2質点の振動増幅機構52A,52B,52Cと振動体Vとの位相差が可能な限りなくなるように、すなわち、振動増幅機構52A,52B,52Cの振動特性がフラットになるように、補正フィルタ36を形成したが、これに限らない。
例えば、従来の1自由1質点の振動増幅機構では、共振振動数で振動体と振動増幅機構との間に所定の位相差が生じるが、従来のコントローラはこのような位相差を考慮して設計されている。したがって、例えば、2自由度2質点の振動増幅機構52A,52B,52Cの振動特性を、従来からある1自由度1質系の振動増幅機構の振動特性に補正することにより、従来のコントローラでも前述した制振装置50A,50B,50Cを制御可能になる。
具体的には、図11(A)及び図11(B)に示されるように、制振装置50Bの振動増幅機構52Bに対して式(1)[k,c,m]で表される補正フィルタ36を適用すると、振動増幅機構52Bの振動特性が1自由度1質点の振動増幅機構と同等の振動特性に補正される。これにより、従来のコントローラで制振装置50Bのアクチュエータ20を制御可能になる。したがって、コントローラの設計が容易となる。
なお、本実施形態では、2自由度2質点の振動増幅機構52A,52B,52Cを例に説明したが、本実施形態は、多自由度多質点(3自由度以上3質点以上)の振動増幅機構にも適宜適用可能である。
次に、上記第1〜第3実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、第1実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は第2,第3実施形態にも適宜適用可能である。
上記第1実施形態では、振動体Vの上に制振装置10を設置した例を示したが、これに限らない。制振装置10は、例えば、床スラブ等の振動体の下面から吊り下げた状態で設置しても良い。
また、上記第1実施形態では、上下方向(矢印Z方向)に振動する振動体Vに制振装置10を適用した例を示したが、これに限らない。制振装置10は、例えば、水平方向に振動する振動体Vにも適用可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 制振装置
14 振動増幅機構
14A 第1振動増幅機構
14B 第2振動増幅機構
16 弾性体
16A 第1弾性体
16B 第2弾性体
18 可動マス
18A 第1可動マス
18B 第2可動マス
20 アクチュエータ
32 コントローラ
34 検出部
36 補正フィルタ
40 制振装置
50A 制振装置
50B 制振装置
50C 制振装置
52 振動増幅機構
V 振動体

Claims (4)

  1. 弾性体と、前記弾性体を介して振動体に支持される可動マスと、を有する振動増幅機構と、
    反力マスを有し、前記可動マスに連結され、前記反力マスに反力をとって該可動マスを加振するアクチュエータと、
    前記振動体の振動を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された前記振動体の振動情報に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御信号を出力するコントローラと、
    前記コントローラから出力される制御信号のうち、少なくとも前記振動体と前記振動増幅機構との位相差が180度以上の制御信号を180度未満の制御信号に補正する下記式(1)を有する補正フィルタと、
    を備える制振装置。

    ただし、
    m :可動マスの質量
    s :複素円振動数(=虚数i×振動体の円振動数ω)
    c :弾性体の減衰係数
    k :弾性体の剛性
    :制振対象振動数の上限値
    である。
  2. 前記振動増幅機構は、複数積層され、
    前記アクチュエータは、最上層の前記可動マスに連結される、
    請求項1に記載の制振装置。
  3. 弾性体と、前記弾性体を介して振動体に支持される可動マスと、を有する振動増幅機構と、
    前記振動体と前記可動マスとに連結され、該可動マスを加振するアクチュエータと、
    前記振動体の振動を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された前記振動体の振動情報に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御信号を出力するコントローラと、
    前記コントローラから出力される制御信号のうち、少なくとも前記振動体と前記振動増幅機構との位相差が180度以上の制御信号を180度未満の制御信号に補正する下記式(4)を有する補正フィルタと、
    を備える制振装置。

    ただし、
    m :可動マスの質量
    s :複素円振動数(=虚数i×振動体の円振動数ω)
    c :弾性体の減衰係数
    k :弾性体の剛性
    :制振対象振動数の下限値
    h :下限値f での増幅を調整するパラメータ
    である。
  4. 前記振動増幅機構は、複数積層される、
    請求項3に記載の制振装置。
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