JP6345413B2 - 深紫外発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、深紫外発光素子に関し、特に、発光効率が高い深紫外発光素子に関する。
深紫外光源は、照明、殺菌、医療、浄水、計測等の様々な分野で使用されている。深紫外光は主に約200〜約350nmの波長の光を意味し、場合によってはそれ以下の100nm以上200nm以下の波長の光も含む。深紫外光の発生手段としては、水銀ランプ、半導体発光素子(半導体LED)、エキシマランプなどが知られている。
一方、半導体LEDとしては、窒化物系深紫外発光素子が知られている(下記特許文献1参照)。特許文献1に開示された横型構造の素子では、電流がn型AlGaN層中を横方向に流れなければならないため、素子抵抗が高くなって発熱量が増大し、キャリアの注入効率への悪影響が生じる欠点がある。従って、高出力動作に適さない。また、チップサイズを大型化することができない。
この欠点を改善するための素子として、縦型構造の窒化物系深紫外発光素子が知られている(下記特許文献2、3参照)。特許文献2、3に開示された縦型構造によって、素子抵抗を小さくすることができるので、駆動効率を高め、発熱を抑えることができ、高出力動作が可能となる。
特開平11−307811号公報 特開2006−278554号公報 特表2006−104063号公報
従来の深紫外光発生手段のうち、水銀ランプは環境に悪い水銀を使用している問題がある。また、水銀ランプは発生可能な波長が限定されており、寿命が短く、高電圧が必要であり使いにくい問題がある。
エキシマランプは、ランプ寿命が短く、大型の装置になるので、特殊な用途に限定される問題がある。
窒化物系深紫外発光素子は、小型であり、水銀ランプに代わるものとして期待されているが、特許文献1に開示された窒化物系深紫外発光素子は発光効率が低く、大出力化に対応できない問題がある。特許文献2、3に開示された窒化物系深紫外発光素子は小型化可能であるが、深紫外領域では、発光効率が低く大出力化が難しい。すなわち、多層構造が必要であり、ドーピングが必要でその準位が深いため担体濃度を上げることが出来ない。又、特に波長が短くなると電極の接触抵抗を下げることが難しい。これらのことにより、外部量子効率を上げることが難しく製造工程が複雑である。
本発明は、上記の問題を解決し、発光効率が高い深紫外発光素子を提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
即ち、本発明の第1の深紫外発光素子は、基準電極と、前記基準電極と対向するように配置された放電用電極と、前記放電用電極を挟んで前記基準電極の反対側に配置された発光層と、前記基準電極および前記放電用電極を収容する空間に充填されたガスと、前記放電用電極に前記基準電極の電位よりも高い電圧が印加された場合に前記ガスによって発生するプラズマから、電子又は正イオンを引き出す引き出し手段とを備え、前記引き出し手段によって引き出された電子又は正イオンが前記発光層に衝突することにより、前記発光層が深紫外光を発することを特徴としている。
また、本発明の第2の深紫外発光素子は、前記発光層は、MgO、ZnMgO、AlGaN、AlN、MgF、BN、BAlN、CaF、ダイアモンド、サファイアから選択される少なくとも1つの材料、または前記材料の超格子で形成されていることを特徴としている。
また、本発明の第3の深紫外発光素子は、前記発光層は、AlGaNの超格子で形成されていることを特徴としている。
また、本発明の第4の深紫外発光素子は、前記発光層は、MgOで形成されていることを特徴としている。
また、本発明の第5の深紫外発光素子は、前記材料または前記超格子に不純物が添加されていることを特徴としている。
また、本発明の第6の深紫外発光素子は、前記基準電極を挟んで前記放電用電極の反対側に配置された二次電子放出材料層をさらに備え、前記引き出し手段が電子を引き出した場合に、前記基準電極側に引き出された正イオンが前記二次電子放出材料層に衝突することにより、前記二次電子放出材料層が電子を発生することを特徴としている。
また、本発明の第7の深紫外発光素子は、前記二次電子放出材料層は、MgOまたはBNであることを特徴としている。
また、本発明の第8の深紫外発光素子は、前記発光層の表面に、金属微粒子からなる層が形成されていることを特徴としている。
また、本発明の第9の深紫外発光素子は、前記ガスが、Ne、Xe、He、Ar、H、D、N、XeCl及びArFからなる群の中から選択される少なくとも1種類のガス、またはその混合ガスであることを特徴としている。
また、本発明の第10の深紫外発光素子は、前記引き出し手段は、前記放電用電極と前記発光層との間に配置された引っ張り用電極を含むことを特徴としている。
また、本発明の第11の深紫外発光素子は、前記引き出し手段は、前記発光層を挟んで前記放電用電極の反対側に配置された加速電極を含むことを特徴としている。
また、本発明の第12の深紫外発光素子は、前記加速電極は、前記深紫外発光素子の外部に露出していることを特徴としている。
また、本発明の第13の深紫外発光素子は、前記放電用電極、前記引っ張り用電極および前記加速電極の順にパルス電圧が順次印加されることを特徴としている。
また、本発明の第14の深紫外発光素子は、前記引っ張り用電極および前記加速電極に印加される各パルス電圧は、その直前のパルス電圧の印加終了から所定の時間経過後に印加が開始されることを特徴としている。
また、本発明の第15の深紫外発光素子は、前記パルス電圧の少なくともいずれかは、その波形に複数の山を有することを特徴としている。
本発明に係る深紫外発光素子は、プラズマから電子または正イオンを引き出して発光層に衝突させることにより、深紫外光を発光する。そのため、従来よりも発光効率が高い発光素子を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る深紫外発光素子の概略構成を示す断面図である。 基準電極および放電用電極の配置の一例を示す斜視図である。 パルス出力部から出力されるパルス電圧の一例を示す波形図である。 放電用電極にパルス電圧が印加されたときの、深紫外発光素子の動作状態を示す図である。 引っ張り用電極にパルス電圧が印加されたときの、深紫外発光素子の動作状態を示す図である。 加速電極にパルス電圧が印加されたときの、深紫外発光素子の動作状態を示す図である。 パルス出力部から出力されるパルス電圧の他の例を示す波形図である。 パルス出力部から出力されるパルス電圧のさらに他の例を示す波形図である。 本発明の他の実施形態に係る深紫外発光素子の概略構成を示す断面図である。 発光層を形成する材料としてAlGaNの超格子を用いた深紫外発光素子の発光スペクトルを示すグラフである。 発光層を形成する材料としてMgOを用いた深紫外発光素子の発光スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る深紫外発光素子(以下、単に発光素子とも記す)1の概略構成を示す断面図である。発光素子1は、基準電極2と、放電用電極3と、発光層4と、引っ張り用電極5と、加速電極6と、二次電子放出材料層7と、下部透明基板8と、パルス出力部9とを備えている。
発光層4と二次電子放出材料層7とは対向配置されており、それらの間に空間10が形成されている。空間10は、外部から密閉されており、その高さ、すなわち発光層4と二次電子放出材料層7との距離は、例えば0.15〜5mmである。空間10には、プラズマを発生させるためのガス、例えば、Ne、Xe、He、Ar、H、D、N、XeCl及びArFからなる群の中から選択される少なくとも1種類のガス、またはその混合ガスが充填されている。空間10に充填されるガスの圧力は、例えば1×10〜1×10Paである。なお、空間10は、ガスを連続供給(フロータイプ)できる開放空間であってもよい。
また、空間10内には、基準電極2、放電用電極3および引っ張り用電極5が収容されている。基準電極2、放電用電極3および引っ張り用電極5は、Fe、Ni、ステンレス、Ti、Mo、Cu、Au、Ag、Cr、あるいはこれらの合金で形成されている。
基準電極2は、空間10の下部に設けられた3つの電極から構成されている。本実施形態では、基準電極2は接地されているが、基準電極2の電位は特に制限されない。
放電用電極3は、基準電極2と対向するように配置された6つの電極からなる。放電用電極3には、パルス出力部9からパルス電圧P1が所定のタイミングで印加される。パルス電圧P1は基準電極2の電位よりもプラスあるいはマイナスに高く、後述するように、パルス電圧P1の印加によって、基準電極2と放電用電極3との間に、変動する電磁場が形成され、空間10内に充填されているガスが電磁場よってプラズマを発生する。
引っ張り用電極5および加速電極6は、特許請求の範囲に記載の「引き出し手段」に対応するものである。引っ張り用電極5は、放電用電極3と発光層4との間に配置された6つの電極からなる。引っ張り用電極5には、パルス出力部9からパルス電圧P2が印加される。加速電極6は、発光層4を挟んで放電用電極3の反対側に配置されており、発光素子1の外部に露出している。加速電極6には、パルス出力部9からパルス電圧P3が印加される。後述するように、パルス出力部9から、放電用電極3、引っ張り用電極5および加速電極6の順にパルス電圧が順次印加される。これにより、引っ張り用電極5および加速電極6は、プラズマから電子又は正イオン(本実施形態では電子)を引き出して、発光層4に衝突させる。
基準電極2、引っ張り用電極5および加速電極6は、図1の手前から奥方向に直線状に延びている。図2は、深紫外発光素子を携帯端末機器に内蔵した場合における、基準電極2および放電用電極3の配置の一例を示す斜視図である。図2では、携帯端末機器の筐体内部に形成された空間10の上部および下部に、それぞれ基準電極2および放電用電極3が収容されている。
再び図1を参照する。発光層4は、加速電極6の空間10側の面上に配置されており、電子または正イオンが衝突することにより励起されて発光する材料で形成されている。発光層4を形成する材料は、例えば、MgO、ZnMgO、AlGaN、AlN、MgF、BN、BAlN、CaF、ダイアモンド、サファイアから選択される少なくとも1つの材料、または前記材料の超格子が挙げられるが、AlGaNの超格子、BAlNまたはMgOが特に好ましい。さらに、上記の材料または超格子に不純物が添加されていてもよい。発光層4の厚さは、例えば10〜20nmである。
二次電子放出材料層7は、基準電極2を挟んで放電用電極3の反対側に配置されており、MgOからなる微粒子で形成されている。なお、当該微粒子としてBNを用いてもよい。
二次電子放出材料層7の空間10と反対側の面には、下部透明基板8が配置されている。下部透明基板8は、深紫外光に対して透過性を有しており、例えば石英、CaFあるいは単結晶のサファイア基板である。
次に、発光素子1による深紫外光の発光動作について説明する。
図3は、パルス出力部9から出力されるパルス電圧P1,P2,P3の波形を示している。パルス電圧P1,P2,P3は、放電用電極3、引っ張り用電極5および加速電極6に順次印加される。具体的には、時間T1〜T2において、パルス電圧P1が出力され、時間T3〜T4において、パルス電圧P2が出力され、時間T5〜T6において、パルス電圧P3が出力され、以後このサイクルが所定の周期で繰り返される。前記サイクルの周波数、すなわち、各パルス電圧P1〜P3の周波数は、例えば50Hz〜100MHzである。また、パルス電圧P1,P2,P3は、例えば100〜5000Vであるが、少なくともパルス電圧P2,P3はパルス電圧P1よりも高く設定される。また、パルス電圧P1,P2,P3のパルス幅は、例えば10〜50μsである。
図4〜図6はそれぞれ、時間T1〜T2、T3〜T4、T5〜T6における発光素子1の動作状態を示している。図4および図5では、便宜上、パルス電圧が印加された電極を白色で示している。
図4に示すように、時間T1〜T2では、放電用電極3にパルス電圧P1が印加される。これにより、基準電極2と放電用電極3との間に、変動する電磁場が形成され、空間10内に充填されているガスが電磁場よってプラズマを発生する。このとき、プラズマには電子と正イオンとが等量含まれており、電荷中性状態となっている。
続いて、図5に示すように、時間T3〜T4では、引っ張り用電極5にパルス電圧P2が印加される。これにより、プラズマ中の電子の一部が発光層4側に引っ張られる。これに伴い、プラズマ中のイオンの一部が基準電極2側に引き出される。
続いて、図6に示すように、時間T5〜T6では、加速電極6にパルス電圧P3が印加される。これにより、引っ張り用電極5によって引っ張られた電子が加速されて、発光層4に衝突する。これにより、発光層4が励起されて深紫外光を発生し、深紫外光は、二次電子放出材料層7および下部透明基板8を通って外部に放射される。なお、二次電子放出材料層7は、MgOまたはBNで形成されているため光透過性が非常に高い。
また、プラズマは、一部の電子が引っ張り出されることにより電荷中性状態が部分的に崩れる。これに対し、基準電極2側に引き出されたイオンが二次電子放出材料層7に衝突することにより、二次電子放出材料層7が電子(二次電子)を発生するため、プラズマの電荷状態を安定させることができる。
以上のように、本実施形態に係る発光素子1は、プラズマから電子を引き出して発光層4に衝突させることにより、深紫外光を発光する。そのため、従来よりも発光効率が高い発光素子を提供することができる。特に、発光層4を形成する材料をAlGaNの超格子とすることにより、非常に高い発光効率を実現することができる。
また、加速電極6によって、プラズマから引き出された電子をさらに加速することができるため、発光強度をより大きくすることができる。さらに、加速電極6は発光素子1の外部に露出しているため、空気または液体によって冷却可能である。そのため、加速電極6に高電圧を印加することができる。よって、電子の加速度をさらに大きくして、さらに容易に高出力化を図ることができる。
また、発光層4の表面にナノサイズの金属微粒子からなる層を形成することが好ましい。このような構成では、プラズモン効果によって金属微粒子の形成部分の電荷が多くなるため、発光強度をさらに大きくすることができる。さらに、パルス電圧P1〜P3の周波数を変化させて、発光層4への電子の衝突頻度を変えることによって、発光素子1の発光強度を制御することができる。
また、図3に示すように、引っ張り用電極5および加速電極6に印加される各パルス電圧P2,P3は、その直前のパルス電圧の印加終了から所定の時間経過後に印加が開始される。すなわち、時間T2と時間T3との間、および時間T5と時間T6との間に、例えば2.5〜5μmの待機時間を設けている。パルス電圧P1,P2の印加終了時では、プラズマの電位が保持されているため、電子の周囲に正イオンがまとわりついている。そのため、直前のパルス電圧の印加終了と同時に次のパルス電圧を印加しても、電子を発光層4側に効率的に引き出すことができない。そこで、本実施形態では、上記の待機時間を設けて、電子が正イオンの影響を受けなくなったタイミングで、次の電圧パルスを印加している。これにより、電子をプラズマから効率的に引き出すことができる。
以上のように、発光素子1では、高い発光効率を実現できるとともに、発光強度を容易に変化させることができる。特に、発光層4を形成する材料をMgOとすることにより、従来の深紫外発光素子では出力できない210nm未満の波長(約170nm)の深紫外光を出力することができる。
さらに、発光層4を形成する材料を適宜選択することにより、深紫外光の波長を任意の波長に制御することができる。また、発光層4を形成する材料を超格子とすること、前記材料または前記超格子に不純物を添加すること、あるいは、超格子の格子間隔を変えることによっても、深紫外光の波長を変えることができる。
また、プラズマの発生、電子の引き出し・加速の効率を高めるため、図7に示すように、パルス電圧P1〜P3は、その波形に複数の山を有してもよい。電子は電圧の立ち上がり時に加速されるため、一度のパルス電圧の印加によって、多段階に電子を加速することができる。よって、発光効率をさらに高めることができる。なお、各波形に含まれる山の数は特に限定されない。また、パルス電圧P1〜P3の少なくともいずれかの波形を複数の山を有する波形としてもよい。
なお、上述の発光素子1では、プラズマから電子を発光層4側に引き出していたが、イオンを発光層4側に引き出してもよい。この場合、図8に示すように、引っ張り用電極5および加速電極6に負のパルス電圧P2,P3を印加する。これにより、プラズマからイオンが引き出されて発光層4に衝突することにより、深紫外光が発生する。イオンは電子よりも質量が大きいため、電子を発光層4に衝突させる場合に比べ、深紫外光の強度がより大きくなる。そのため、プラズマを発生させるためのガスとして、質量の大きいガスを用いることにより、発光強度を大きくすることができる。ただし、イオンの質量が大きすぎると、発光層4が損傷しやすくなるため、発光寿命を重視する場合は、プラズマを発生させるためのガスとして、He、H、Dといった質量の小さいガスを用いることが好ましい。
続いて、本発明の他の実施形態について説明する。
図9は、本発明の他の実施形態に係る深紫外発光素子(以下、単に発光素子とも記す)1’ の概略構成を示す断面図である。発光素子1’は、基準電極2と、放電用電極3と、発光層4と、第1の引っ張り用電極5aおよび第2の引っ張り用電極5bからなる引っ張り用電極5と、二次電子放出材料層7と、下部透明基板8と、パルス出力部9と、上部透明基板11とを備えている。図9では、図1に示す発光素子1におけるものと同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。すなわち、発光素子1’は、図1に示す発光素子1において、加速電極6の代わりに上部透明基板11を備え、引っ張り用電極5として、第1の引っ張り用電極5aおよび第2の引っ張り用電極5bの2列の電極を備えた構成である。上部透明基板11は、下部透明基板8と同様、単結晶のサファイア基板である。
第1の引っ張り用電極5aおよび第2の引っ張り用電極5bには、パルス出力部9からパルス電圧P2,P3がそれぞれ印加される。パルス電圧P1〜P3の波形は、図3に示すものと同一であり、放電用電極3、第1の引っ張り用電極5aおよび第2の引っ張り用電極5bに、パルス電圧P1,P2,P3が順次印加される。
発光素子1’では、発光層4がMgOで形成されている。上部透明基板11は、下部透明基板8と同様、単結晶のサファイア基板である。
発光素子1’の発光動作は、図1に示す発光素子1と略同様である。すなわち、放電用電極3にパルス電圧P1が印加されることにより、空間10にプラズマが発生する。続いて、第1の引っ張り用電極5aにパルス電圧P2が印加されることにより、プラズマ中の電子の一部が発光層4側に引っ張られ、その後、第2の引っ張り用電極5bにパルス電圧P3が印加されることにより、電子が加速されて、発光層4に衝突する。これにより、発光層4が励起されて深紫外光を発生する。深紫外光は、二次電子放出材料層7および下部透明基板8を通って図面下方向に放射されるとともに、上部透明基板11を通って図面上方向にも放射される。
このように、発光素子1’は、加速電極を備えていないことにより、双方向に深紫外光を照射可能となっている。また、発光素子1’は、2列の引っ張り用電極5を備えているため、電子を十分に加速させて発光層4に衝突させることができる。なお、引っ張り用電極5の列数は特に限定されず、3列以上であってもよい。
また、図1に示す発光素子1において、加速電極6に十分に高電圧を印加可能であれば、引っ張り用電極5を省略してもよい。同様に、引っ張り用電極5十分に高電圧を印加可能であれば、加速電極6を省略してもよい。すなわち、特許請求の範囲に記載の「引き出し手段」を、引っ張り用電極5および加速電極6のいずれか一方のみで構成してもよい。
また、本実施形態では、放電用電極3、引っ張り用電極5および加速電極6にパルス電圧を印加していたが、プラズマから電子または正イオンを引き出して発光層に衝突させることが可能であれば、パルス電圧に限定されない。例えば、放電用電極3、引っ張り用電極5および加速電極6に、交流電圧または直流電圧を印加してもよい。
また、発光素子1、1’は、任意の大きさに形成されてもよく、曲面状に形成されてもよい。例えば、下部透明基板8や上部透明基板11の表面が曲面状に形成されていてもよい。また、下部透明基板8および上部透明基板11を形成する材料は、サファイアに限らず、深紫外光に対して透過性が高い材料であればよく、例えば、AlNあるいは石英でもよい。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的事項を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図1に示す発光素子1において、発光層4を形成する材料として、AlGaNの超格子を用いた。そして、引っ張り用電極5および加速電極6に正のパルス電圧(700V)を印加して、電子によって発光層4を励起発光させた場合、引っ張り用電極5および加速電極6に負のパルス電圧(−700V)を印加して、正イオンによって発光層4を励起発光させた場合、並びに、引っ張り用電極5および加速電極6に電圧を印加せずに、プラズマのみによって発光層4を発光させた場合の、発光スペクトルを測定した。プラズマを発生させるために、放電用電極3には500Vのパルス電圧を印加した。また、プラズマを発生させるガスとして、Neを用いた。
測定された発光スペクトルを図10に示す。実線は、電子によって発光層4を励起発光させた場合の発光スペクトルであり、破線は、正イオンによって発光層4を励起発光させた場合の発光スペクトルであり、一点鎖線は、プラズマのみによって発光層4を励起発光させた場合の発光スペクトルである。
図10に示す発光スペクトルから、電子およびイオンを加速して発光層4を励起させた場合、電子およびイオンを加速しない場合に比べ、非常に強い深紫外光を出力していることが分かる。特に、従来の深紫外発光素子では効率よく発光させることが困難であった250nm未満の波長領域においても、高い出力を得ることができた。
(実施例2)
実施例2では、図1に示す発光素子1において、発光層4を形成する材料として、MgOを用いた。そして、引っ張り用電極5および加速電極6に正のパルス電圧(700V)を印加して、電子によって発光層4を励起発光させ、発光スペクトルを測定した。プラズマを発生させるために、放電用電極3には500Vのパルス電圧を印加した。また、プラズマを発生させるガスとして、Neを用いた。
測定された発光スペクトルを図11に示す。この発光スペクトルから、250nm未満の波長領域においても、高い出力を得られるだけでなく、従来の深紫外発光素子では発光させることが不可能であった210nm未満の波長領域においても、十分な出力を得られることが分かる。
本発明に係る深紫外発光素子は、高効率に深紫外光を出力可能であるため、様々な用途に利用することができる。特に250nm未満の波長の深紫外光を面状に発光可能であるため、水銀ランプに代わる殺菌用照明として好適である。さらに、発光材料としてMgOを用いることにより、210nm未満の波長の深紫外光も高効率に出力可能であるため、難分解性物質の分解、オゾンセンシング、生体の紫外光反応などに関する基礎研究、応用研究を容易に実施できる。
1 深紫外発光素子
1’ 深紫外発光素子
2 基準電極
3 放電用電極
4 発光層
5 引っ張り用電極(引き出し手段)
5a 引っ張り用電極(引き出し手段)
5b 引っ張り用電極(引き出し手段)
6 加速電極(引き出し手段)
7 二次電子放出材料層
8 下部透明基板
9 パルス出力部
10 空間
11 上部透明基板
P1 パルス電圧
P2 パルス電圧
P3 パルス電圧

Claims (13)

  1. 基準電極と、
    前記基準電極と対向するように配置された放電用電極と、
    前記放電用電極を挟んで前記基準電極の反対側に配置された発光層と、
    前記基準電極および前記放電用電極を収容する空間に充填されたガスと、
    前記放電用電極に前記基準電極の電位よりも高い電圧が印加された場合に前記ガスによって発生するプラズマから、電子又は正イオンを引き出す引き出し手段とを備え、
    前記引き出し手段は、前記放電用電極と前記発光層との間に配置された引っ張り用電極と、前記発光層を挟んで前記放電用電極の反対側に配置された加速電極とを含み、
    前記放電用電極、前記引っ張り用電極および前記加速電極の順にパルス電圧が順次印加され、
    前記引き出し手段によって引き出された電子又は正イオンが前記発光層に衝突することにより、前記発光層が深紫外光を発することを特徴とする深紫外発光素子。
  2. 前記放電用電極へのパルス電圧の印加終了後に、前記引っ張り用電極へのパルス電圧の印加が開始され、前記引っ張り用電極へのパルス電圧の印加終了後に、前記加速電極へのパルス電圧の印加が開始されることを特徴とする請求項1に記載の深紫外発光素子。
  3. 前記発光層は、MgO、ZnMgO、AlGaN、AlN、MgF、BN、BAlN、CaF、ダイアモンド、サファイアから選択される少なくとも1つの材料、または前記材料の超格子で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の深紫外発光素子。
  4. 前記発光層は、AlGaNの超格子で形成されていることを特徴とする請求項に記載の深紫外発光素子。
  5. 前記発光層は、MgOで形成されていることを特徴とする請求項に記載の深紫外発光素子。
  6. 前記材料または前記超格子に不純物が添加されていることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
  7. 前記基準電極を挟んで前記放電用電極の反対側に配置された二次電子放出材料層をさらに備え、
    前記引き出し手段が電子を引き出した場合に、前記基準電極側に引き出された正イオンが前記二次電子放出材料層に衝突することにより、前記二次電子放出材料層が電子を発生することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
  8. 前記二次電子放出材料層は、MgOまたはBNであることを特徴とする請求項に記載の深紫外発光素子。
  9. 前記発光層の表面に、金属微粒子からなる層が形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
  10. 前記ガスが、Ne、Xe、He、Ar、H、D、N、XeCl及びArFからなる群の中から選択される少なくとも1種類のガス、またはその混合ガスであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
  11. 前記加速電極は、前記深紫外発光素子の外部に露出していることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
  12. 前記引っ張り用電極および前記加速電極に印加される各パルス電圧は、その直前のパルス電圧の印加終了から所定の時間経過後に印加が開始されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
  13. 前記パルス電圧の少なくともいずれかは、その波形に複数の山を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の深紫外発光素子。
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