(実施形態1)
本実施形態の放電プラズマ生成補助装置は、例えば、図1に示すように、放電ガス(図示せず)が封入された気密容器2と、気密容器2内の放電プラズマ生成空間Sに放電プラズマを生成するために放電ガスに電界を印加する一対の電極3,3とを備える発光装置1に用いられるものであって、気密容器2の内壁面に設置され気密容器2を通って(透過して)外部から気密容器2内に入射される光を吸収することで電子を放出する光電変換膜41を用いて構成される電子源4と、電子源4と対向するようにして気密容器2の内壁面に設置され電子源4より高電位となるように電位が与えられるアノード電極5と、気密容器2外部から電子源4に光を照射する光源6と、光源6の動作を制御する制御手段となる制御部7とを備えている。
ここで、気密容器2は、透光性材料(例えば、石英ガラス等のガラス材料や、透光性セラミック等)を用いて両端が閉塞された長寸の円筒状に形成されている。尚、気密容器2は円筒状の形状に限らず、例えば、電球のような球状の形状であってもよいし、直方体状の形状や立方体状の形状等でもよいし、一対の平板と両平板との間に介在するフレームとで構成される平面型の気密容器であってもよい。
気密容器2には、放電ガスとして励起されることで紫外線を放射するキセノン(Xe)ガスが封入されている。尚、放電ガスは、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガス、窒素(N2)、一酸化炭素(CO)、及び水銀蒸気のいずれか、又はこれらの組み合わせを主成分とする混合ガスを用いることができる。また、放電ガスは、上記の例に限らず、放電を起こすことが可能なものであればよい。
一対の電極3,3は、気密容器2の内部に配置され放電ガスを放電させて気密容器2内の放電プラズマ生成空間Sに放電プラズマを生成するためのエネルギを供給するエネルギ供給手段として用いられるものであって、気密容器2の軸方向(長手方向、図1における左右方向)で互いに対向するようにして気密容器2の両端にそれぞれ設けられている。当然ながら一対の電極3,3は気密容器2の気密性を保持するようにして気密容器2に設けられている。そして、本実施形態では気密容器2内において一対の電極3,3間の空間が放電プラズマ生成空間Sとなる。したがって、放電プラズマ生成空間Sは、電極3,3の形状や配置位置によって所望の位置に設定することができる。
電子源4は、光(光子)を吸収して電子を放出する性質を有する物質からなる光電変換膜41を用いて構成されており、図1に示すように気密容器2の長手方向中央部の内壁面に積層される。ここで、電子源4を構成する光電変換膜41の材料の好適な例としてはナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンチモン(Sb)、アンチモン銀やセシウムアンチモン等のアンチモン合金、ヨウ化セシウム、カリウム性ナトリウム、セシウム化合物、セシウム酸化銀化合物等が挙げられる。
また、電子源4には光電変換膜41に電位を与えるための配線4aが接続されている。この配線4aは、気密容器2の気密性を保持するようにして気密容器2から外部に引き出され、電源(以下、「第2の電源」と称する)V2の低電位側の出力端子(図示せず)に電気的に接続される。尚、第2の電源V2は、電子源4とアノード電極5との間に所定の直流電圧を印加するためのものであって、制御部7によってオンオフ制御されるようになっている。
アノード電極5は、例えば、ITO等の透光性を有する導電性材料を用いて矩形板状に形成されており、図1に示すように電子源4と対向するようにして気密容器2の内壁面に配置されている(すなわち、電子源4との間には放電プラズマ生成空間Sが位置するようにして気密容器2内に配置されている)。ここで、アノード電極5の外形サイズは、電子源4の外形サイズ以上としている。尚、アノード電極5に用いる材料としては、例えば、金属材料、ITO等の導電性金属酸化物、導電性高分子等を用いてもよい。
また、アノード電極5には、アノード電極5に電位を与えるための配線5aが接続されている。この配線5aは、気密容器2の気密性を保持するようにして気密容器2から外部に引き出され、第2の電源V2の高電位側の出力端子(図示せず)に電気的に接続される。
つまり、第2の電源V2の高電位側の出力端子にはアノード電極5の配線5aが、同第2の電源V2の低電位側の出力端子には電子源4の配線4aがそれぞれ接続され、その結果、電子源4とアノード電極5との間には、第2の電源V2によってアノード電極5を高電位側とするような電界が印加される。
光源6は、例えば、電源(以下、「第1の電源」と称する)V1からの電力供給によって動作される(点灯される)ものであって、白熱電球、蛍光灯、水銀ランプ、キセノンランプ、冷陰極ランプ、有機EL、無機EL、LED等を用いることができる。尚、光源6は電力供給を必要とするものに限らず、例えば、燐光材料、蓄光材料、化学発光材料(例えばルミノール溶液)等を用いてもよい。また、光源6としては、電子源4を構成する光電変換膜41の光電変換率が高い波長領域の光を放射できるものを用いることが好ましい。
制御部7は、第1の電源V1の動作を制御することによって光源6の動作(点灯動作)を制御する(すなわち光源6の動作タイミングを制御する)制御手段を構成するものであって、例えばマイクロコンピュータ等を利用して構成されている。また、制御部7は、第2の電源V2の動作を制御することによってアノード電極5と電子源4との間への電圧の印加を制御するように構成されている。
ところで、放電プラズマの開始電圧(放電開始電圧)の低減や、放電プラズマの維持電圧(放電維持電圧)の低減、放電プラズマの安定化等の効果は、一対の電極3,3間に電圧を印加しながら電子源4から放電ガス中へ電子を供給することにより得られるものであるから、一対の電極3,3間に電圧を印加していない状態では電子源4から放電ガス中へ電子を供給しなくてもよい。
上記の点に鑑みて本実施形態の制御部7は、エネルギ供給手段により放電ガスにエネルギが供給されるタイミング(すなわち、一対の電極3,3間に電圧を印加するタイミング)に同期して光源6を点灯させるように構成されている。また、光源6の動作タイミングに同期して第2の電源V2を動作させて、アノード電極5と電子源4との間にアノード電極5を高電位側とする電圧を印加するように構成されている。
例えば、一対の電極3,3間に印加される電圧が図2(a)に示すような正の矩形波電圧と負の矩形波電圧を交互に印加する周期波電圧であるような場合、制御部7は、図2(a),(b)に示すように一対の電極3,3間に矩形波電圧の印加を開始する時点T1から当該矩形波電圧の印加を終了する時点T2までの間に、所定時間(t1〜t2の間)だけ光源6を点灯するように構成されている。
尚、図2(a),(b)に示す例では、一対の電極3,3間に正又は負の矩形波電圧を印加する毎(すなわち、周期波電圧の半周期毎)に光源6(すなわち第1の電源V1)を制御するようにしているが、正の矩形波電圧毎、或いは負の矩形波電圧毎(すなわち、周期波電圧の1周期毎)に光源6を制御するようにしてもよいし、正負によらず矩形波電圧2つおき、或いは3つおきに光源6を制御するようにしてもよい。要は、一対の電極3,3により放電ガスにエネルギが供給されるタイミングに同期して光源6を動作させるようにすればよい。尚、本実施形態では、光源6を点灯させるタイミングと、第2の電源V2からアノード電極5と電子源4との間に電圧を印加するタイミングとを同じタイミングにしているが、必ずしも同じタイミングとする必要はなく、少なくとも光源6を点灯させている間中、第2の電源V2からアノード電極5と電子源4との間に電圧を印加すればよい。
次に、本実施形態の放電プラズマ生成補助装置を備える発光装置1の動作について説明する。まず、一対の電極3,3間に、一方の電極3(図1における左側の電極3)の電位を基準電位として図2(a)に示すような矩形波電圧からなる周期波電圧を印加した際には、制御部7により所定時間(t1〜t2の間)だけ光源6が点灯される。そして、光源6の光を吸収した電子源4から気密容器2内に電子が放出される。また、制御部7によって所定時間(t1〜t2の間)だけ電子源4とアノード電極5との間に第2の電源V2により電圧が印加される。
ここで、電子源4から放出される電子は、電子源4から様々な方向に向けて放出されるが、本実施形態では、電子源4との間で放電プラズマ生成空間Sを挟むようにして気密容器2内にアノード電極5を配置して、該アノード電極5と電子源4との間に、アノード電極5を高電位側、電子源4を低電位側とするような電圧を印加しているから、電子源4から放出された電子は、アノード電極5と電子源4との間の電界によってアノード電極5側に加速されて、放電プラズマ生成空間S中に到達し易くなり、その結果、放電プラズマ生成空間S中に供給される電子量が増加することになる(つまり、アノード電極5によって電子源4から放出された電子が放電プラズマ生成空間Sに引き出される)。
以上のようにして電子源4より放電プラズマ生成空間S中に供給された電子は、一対の電極3,3間の電界によって加速されて気密容器2内に存在する放電ガスの分子或いは原子に衝突する。このとき、衝突前に電子が持っているエネルギが放電ガスの電離エネルギよりも大きければ、放電ガスが励起されて電離する。このような過程が繰り返されることによって一対の電極3,3間に流れる電流が急激に増大し、放電プラズマ生成空間Sに放電プラズマが生成される。
以上述べた本実施形態の放電プラズマ生成補助装置によれば、電子源4が、電圧を印加したり電流を流したりしなくても光を吸収することで電子を放出する光電変換膜41から構成されているから、電界放射型の電子源(冷陰極型電子源)や熱陰極型電子源に比べて長寿命化を図れるという効果を奏する。しかも、アノード電極5が電子源4より高電位となるようにアノード電極5と電子源4との間に生じさせた電界によって電子源4から放出された電子をアノード電極5側に向かって加速させることができるから、放電プラズマ生成空間S中に供給される電子の量を増やすことができて、放電ガスの励起効率の向上効果、並びに放電プラズマの開始電圧及び維持電圧の低減効果を安定して得ることができるという効果を奏する。
さらに、電子源4は、10nm〜15nm程度の厚みの表面電極が必要となる弾道電子面放出型電子源等の電界放射型の電子源(冷陰極型電子源)とは異なり十分な厚みを持たせることができるため、放電プラズマによるダメージの影響が小さく、放電プラズマに曝される面積が増えた場合でも寿命及び信頼性の低下を抑制できるという効果を奏する。
加えて、気密容器2の外部から透光性部分を通じて電子源4に光を照射する光源6を備えているから、周囲の明るさによらず電子源4から安定して電子を放出させることが可能になり、設置場所の自由度が高くなるという効果を奏する。
その上、エネルギ供給手段により放電ガスにエネルギが供給されるタイミング(すなわち一対の電極3,3間に電圧を印加するタイミング)に同期して光源6を点灯させることで、終始、電子源4から電子を放出させる場合に比べて光源6を動作させる時間を短くしているから、光源6の動作に必要な電力を抑えて消費電力の低減化が図れる(すなわち第1の電源V1の電力消費を抑えることができる)という効果を奏する。同様に、光源6を動作させるタイミング(すなわち電子源4から積極的に電子を放出させるタイミング)に同期して電子源4とアノード電極5との間に電圧を印加することで、光源6から電子源4に光を照射していない(すなわち電子源4からの電子の放出量が少ない)ときには第2の電源V2を動作しないようにしているから、終始、電子源4とアノード電極5との間に電圧を印加する場合に比べて第2の電源V2を動作させる時間が短くなり、第2の電源V2の電力消費を抑えることができる。
したがって、上述した放電プラズマ生成補助装置を備える発光装置1によれば、長寿命化を図れ、且つ放電ガスの励起効率の向上効果、並びに放電プラズマの開始電圧及び維持電圧の低減効果を安定して得ることができるという効果を奏する。また、放電プラズマの開始電圧及び維持電圧を低減できるから、低消費電力化が図れるという効果を奏する。加えて、発光効率の向上が図れるという効果を奏する。
ところで、図1に示した構成の発光装置1では、放電プラズマ生成補助装置のアノード電極5を気密容器2内に設けているが、アノード電極5は、図3に示すように、電子源4との間に放電プラズマ生成空間Sが位置するようにして気密容器2の外壁面に配置するようにしてもよい。このようにすれば、アノード電極5の配線5aを気密容器2の気密性を保持した状態で気密容器2から外部に引き出す必要がなくなるから、構造の簡略化、製造プロセスの簡略化を図れ、結果的に発光装置1の低コスト化を図れる。
尚、本実施形態では、気密容器2の外部から電子源4に光を照射するために光源6を用いているが、光源6の代わりに太陽光、月光、屋内の照明光等の放電プラズマ生成補助装置と独立な外部の光を用いるようにしてもよく、このようにすれば光源6を点灯させるための電力が必要なくなるから、低消費電力化が図れる。
(実施形態2)
本実施形態の放電プラズマ生成補助装置は、電子源4の構成に特徴があり、その他の構成は上記実施形態1と同様であるから、図示及び説明を省略する。
本実施形態における電子源4は、図4(a),(b)に示すように、光電変換膜41を支持する支持部材40を備えている。
支持部材40は、例えば、ガラス材料や、セラミック材料、金属材料、高分子材料等を用いて板状(本実施形態では、矩形の平板状)に形成され、表面(図4(a)における上面)を気密容器2内の放電プラズマ生成空間Sに対向させるとともに裏面(図4(a)における下面)を気密容器2(図1参照)の内壁面に接触させた状態で、気密容器2の長手方向中央部の内壁面に設置される。
ここで、アノード電極5(図1参照)と電子源4との間に電界を印加することを考慮すれば、支持部材40の材料としては、金属材料等の導電性を有する材料を用いることが好ましく、この場合、支持部材40には配線4aが接続される。尚、支持部材40として絶縁材料を用いた場合には、支持部材40の裏面にアノード電極5に対するカソード電極(図示せず)を設け、このカソード電極を配線4aにより第2の電源V2の低電位側の出力端子に電気的に接続するようにすればよい。
この支持部材40には、当該支持部材40の厚み方向に貫通する複数(図示例では、30)の開口面積が一様な開口部40aが設けられ、開口部40aは、例えば開口形状が円形状に形成されている。
光電変換膜41は、支持部材40の開口部40aの内面に、当該内面全面を覆うようにして設けられている。
以上述べた本実施形態の放電プラズマ生成補助装置によれば、上記実施形態1の放電プラズマ生成補助装置と同様の効果を奏する上に、気密容器2の内壁面に配置される板状の支持部材40に当該支持部材40の厚み方向に貫通する複数の開口部40aを設けるとともに、この開口部40aの内面に光電変換膜41を設けているので、気密容器2の内壁面に光電変換膜41を設ける場合等に比べて、光電変換膜41が放電プラズマに曝され難くなり、これにより光電変換膜41が放電プラズマによってダメージ(イオン衝突による損傷等)を受けてしまうことを抑制できて、長寿命化を図ることができるという効果を奏する。
ところで、本実施形態では、電子源4の支持部材40に開口形状が円形状の開口部40aを設けているが、開口部40aの開口形状は多角形状であってもよい。例えば、図5(a)に示すように開口形状が四角形状(図示例では、正方形)の開口部40aであってもよいし、図5(b)に示すように開口形状が三角形状(図示例では、正三角形)の開口部40aであってもよいし、図5(c)に示すように開口形状が八角形状(図示例では、正八角形)の開口部40aであってもよい。要は、支持部材40の厚み方向に支持部材40を貫通する(放電プラズマ生成空間Sを気密容器2の外部に臨ませる)ようなものであればよい。
また、支持部材40に設ける開口部40aの大きさも、用途や、目的、仕様等に合わせて適宜設定すればよく、例えば図5(d)に示すように、図5(a)に比べて支持部材40の外形サイズを変えることなしに各開口部40aの開口面積を大きくすることで支持部材40の表面の面積を小さくするようにしてもよいし、図5(e)に示すように開口部40aの数を増やしてもよいし、図5(f)に示すように、開口形状が異なる開口部40a(図示例では、開口形状が四角形状の開口部と開口形状が八角形状の開口部)を支持部材40に設けるようにしてもよい。これらの点は、後述する実施形態においても同様である。
(実施形態3)
本実施形態の放電プラズマ生成補助装置の基本構成は、上記実施形態2と略同じであり、電子源4における支持部材40の開口部40aの形状に特徴がある。尚、その他の構成は上記実施形態2と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では支持部材40の各開口部40aが、図6(a),(b)に示すように、気密容器2の内壁面に臨む裏面(図6(a)における下面)から放電プラズマ生成空間Sに臨む支持部材40の表面(図6(a)における上面)にいくにつれて開口面積が減少する逆テーパ状に形成されている(言い換えれば、開口部40aは、放電プラズマ生成空間Sに近づくにつれて開口面積が減少する逆テーパ状に形成されている)。
また、本実施形態では、支持部材40の表面側における開口部40aの開口面積が実施形態2に比べて小さく、且つ支持部材40の裏面側における開口部40aの開口面積が実施形態2に比べて大きくなるように形成されている。
以上述べた本実施形態の放電プラズマ生成補助装置によれば、上記実施形態2と同様の効果を奏する上に、支持部材40の開口部40aが気密容器2内の放電プラズマ生成空間Sに近づくにつれて開口面積が減少する逆テーパ状となっているから、上記実施形態2の開口部40aのように開口面積が一様である場合に比べて、支持部材40の表面側における開口部40aの開口面積を小さくできるとともに、支持部材40の裏面側における開口部40aの開口面積を大きくでき、その結果、支持部材40の表面側では光電変換膜41が放電プラズマに曝され難くなり、放電プラズマによってダメージを受けてしまうことをさらに抑制できるという効果を奏し、支持部材40の裏面側では気密容器2の外部の光(主に光源6の光)を光電変換膜41に照射し易くなり、電子源4での電子の放出効率を高めることができるという効果を奏する。
(実施形態4)
本実施形態の放電プラズマ生成補助装置の基本構成は上記実施形態3と略同じであり、電子源4の構成に特徴がある。尚、その他の構成は上記実施形態3と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態における電子源4は、図7(a),(b)に示すように、支持部材40の表面(図7(a)における上面)に、気密容器2(図1参照)内部の光(本実施形態の場合、放電ガスの放電によって生じる紫外線)を吸収することで電子を放出する光電変換部42を備えている点が実施形態3と相違する。
光電変換部42は、光電変換膜41と同様に光を吸収して電子を放出する性質を有する物質を用いて形成される光電変換膜であって、図7(a),(b)に示すように、支持部材40において放電プラズマ生成空間Sに臨む面である上記表面に当該表面全面を覆うようにして設けられている。
尚、光電変換部42の材料として好適な例は、上記実施形態1で述べた光電変換膜41の材料と同様である。また、本実施形態では、光電変換膜41と光電変換部42とは同一の材料を用いて連続一体に形成しているが、連続一体に形成せずに別に形成するようにしてもよく、光電変換膜41と光電変換部42とは別の材料からなるものであってもよい。
以上述べた本実施形態の放電プラズマ生成補助装置によれば、上記実施形態3と同様の効果を奏する上に、支持部材40の表面に、気密容器2内部の光(本実施形態の場合、放電ガスの放電によって生じる紫外線)を吸収することで電子を放出する光電変換部42を設けているから、気密容器2外部の光だけではなく、気密容器2内部の光によっても電子を放出することができるようになり、放電プラズマの維持電圧をさらに低減できて、さらなる低消費電力化が図れるという効果を奏する。
尚、光電変換部42は、支持部材40において放電プラズマ生成空間Sに臨む面である表面に設けられるため、放電プラズマに曝されてダメージを受ける可能性があるが、光電変換部42は、10nm〜15nm程度の厚みの表面電極が必要となる弾道電子面放出型電子源とは異なり十分な厚みを持たせることができるため、放電プラズマによるダメージの影響は比較的小さい。また、光電変換部42がダメージを受けたとしても、光電変換膜41には何ら影響がないため、光電変換膜41による効果は問題なく得ることができるようになっている。
(実施形態5)
本実施形態の放電プラズマ生成補助装置は、図8(a)に示すように、引き出し電極8を備えている点が実施形態1と相違する。尚、その他の構成は上記実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
引き出し電極8は、図8(b)に示すように、例えば導電性材料(例えば、ニッケル、ステンレス、アルミニウム等)を用いて形成された板状(本実施形態では、矩形の平板状)の板部8aに、当該板部8aの厚み方向に貫通する複数(本実施形態では28)の電子通過用の開口形状が円形状の孔部8bを形成してなり、図8(a)に示すように、放電プラズマ生成空間Sと電子源4との間に電子源4と平行するようにして配置される。ここで、板部8aの厚みは、電子を効率よく通過できるような厚みに設定され、外形サイズは、電子源4の外形サイズと同じサイズに設定されている。尚、板部8aの外形サイズは、電子源4の外形サイズより大きくすることが好ましい。また、板部8aの形状は、円形の平板状等であってもよく、気密容器2の形状や電子源4の形状に合わせた形状とすればよい。
また、引き出し電極8には、引き出し電極8に電位を与えるための配線8cが接続されている。上記配線8cは、気密容器2の気密性を保持するようにして気密容器2から外部に引き出され、電源(以下、「第3の電源」と称する)V3の高電位側の出力端子(図示せず)に電気的に接続される。
ここで、第3の電源V3は、引き出し電極8と電子源4との間に、第2の電源V2よりも低い所定の直流電圧を印加するためのものであって、制御部7によりオンオフ制御されるようになっている。この第3の電源V3の低電位側の出力端子(図示せず)には、電子源4の配線4aが電気的に接続され、第3の電源V3によって、引き出し電極8と電子源4との間に、引き出し電極8の電位がアノード電極5より低電位且つ電子源4より高電位となるような電圧が印加される。
以上述べたように本実施形態の放電プラズマ生成補助装置では、放電プラズマ生成空間Sと電子源4との間に設けられ電子通過用の孔部8bを有しアノード電極5より低電位且つ電子源4より高電位となるように電圧が印加される引き出し電極8を備えているので、電子源4より放出された電子は、引き出し電極8と電子源4との間の電界によって引き出し電極8側に向かって加速されるから、引き出し電極8の孔部8bを通過してプラズマ生成空間S側へと到達し易くなる(つまり、電子源4から放出された電子が引き出し電極8によって放電プラズマ生成空間S中に引き出されることになる)。
したがって、本実施形態の放電プラズマ生成補助装置によれば、引き出し電極8と電子源4との間の電界によって電子源4から放出された電子を放電プラズマ生成空間Sに向けて引き出して放電プラズマ生成空間S中に到達させ易くしているから、電子源4より放電プラズマ生成空間S中に供給される電子の数を増やすことができ、放電ガスの励起効率の向上効果、並びに放電プラズマの開始電圧及び維持電圧の低減効果をさらに安定して得ることができるという効果を奏する。
しかも、引き出し電極8が電子源4と放電プラズマ生成空間Sとの間に配置されていることによって、引き出し電極8が放電プラズマから電子源4を保護するカバーとしての機能を発揮するから、電子源4の長寿命化を図ることができるという効果を奏する。特に、電子源4と放電プラズマ生成空間Sとの間に電子源4の電位より高い電位を有する引き出し電極8が介在しているから、放電プラズマのイオンを電子源4側に到達し難くすることができて、さらなる電子源4の長寿命化を図ることができるという効果を奏する。
ところで、本実施形態では、引き出し電極8は、矩形の平板状の板部8aに開口形状が円形状の孔部8bを形成したものであるが、孔部8bの開口形状は、例えば図9(a)に示すように四角形状(図示例では、正方形)であってもよいし、或いは三角形状や、八角形状等の多角形状でもあってもよい。また、開口形状が異なる孔部8bを板部8aに設けるようにしてもよい。要は、板部8aの厚み方向に貫通し、電子が挿通可能な孔部8bが形成されていればよい。
また、板部8aに設ける孔部8bの大きさも、用途や、目的、仕様等に合わせて適宜設定すればよく、例えば板部8aの外形サイズを変えることなしに各孔部8bの開口面積を大きくすることで板部8aの表面の面積を小さくするようにしてもよいし、孔部8bの数も適宜増減してもよい。尚、引き出し電極8の厚みを電子が効率よく通過できるような厚みに設定すれば、上記孔部8bは必ずしも設ける必要はない。一方、引き出し電極8としては、図9(b)に示すようなメッシュ状の形状としてもよい。
また、引き出し電極8に、電子源4から放出された電子の衝突により放電ガス中へ二次電子を放出する材料(例えば、Cs、Ag、BaO、MgO、アモルファスカーボン、ダイヤモンド等)からなる二次電子放出膜(図示せず)を形成するようにしてもよく、このようにすれば、二次電子放出膜から放出される二次電子を放電プラズマの生成に利用できるから、放電プラズマを生成し易くなるという効果が得られる。
尚、本実施形態の放電プラズマ生成補助装置は、実施形態1の放電プラズマ生成補助装置に引き出し電極8を設けた例を示しているが、勿論、実施形態2〜4の放電プラズマ生成補助装置に引き出し電極8を設けるようにしてもよい。
(実施形態6)
本実施形態の放電プラズマ生成補助装置は、図10に示すように、電子源4の他に補助電子源9を備えている点が実施形態1と相違する。尚、その他の構成は上記実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
補助電子源9は、弾道電子面放出型電子源と呼ばれている電界放射型の電子源からなる冷陰極型電子源であり、図11(a)に示すように、矩形板状の絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板等)90の一表面上に金属膜(例えば、タングステン膜等)からなる下部電極91が形成され、下部電極91上に強電界ドリフト層92が形成され、強電界ドリフト層92上に導電性薄膜(例えば、金属膜)よりなる表面電極93が形成されている。尚、表面電極93を構成する導電性薄膜の膜厚は10〜15nm程度に設定することが好ましいが、当該導電性薄膜は単層膜に限らず多層膜でもよい。
そして、このような補助電子源9は、一方の電極3(図10における左側の電極3)の近傍に、表面電極93を他方の電極3(図10における右側の電極3)に向けた状態で気密容器2内に配置される。また、補助電子源9には、補助電子源9の下部電極91と表面電極93との間に電源(以下、「第4の電源」と称する)V4から駆動電圧を印加するための一対の配線9b,9bが電気的に接続されており、第4の電源V4の低電位側の出力端子(図示せず)に接続される一方の配線9bが下部電極91に、第4の電源V4の高電位側の出力端子(図示せず)に接続される他方の配線9bが表面電極93に、それぞれ電気的に接続されている。ここで、第4の電源V4は、補助電子源9に駆動電圧を与えるためのものであり、制御部7によってオンオフ制御されるように構成されている。
以下、補助電子源9について図11を参照してさらに詳細に説明する。本実施形態における補助電子源9では、下部電極91と強電界ドリフト層92と表面電極93とで表面電極93を通して電子を放出する電子源素子9aを構成している。
電子源素子9aの強電界ドリフト層92は、図11(b)に示すように、少なくとも、下部電極91の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)92aと、グレイン92aの表面に形成された薄いシリコン酸化膜92bと、グレイン92a間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)92cと、各シリコン微結晶92cの表面に形成され当該シリコン微結晶92cの結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である多数のシリコン酸化膜92dとから構成されている。ここに、各グレイン92aは、下部電極91の厚み方向に延びている(つまり、絶縁性基板90の厚み方向に延びている)。
上述の電子源素子9aから電子を放出させるには、表面電極93が下部電極91に対して高電位側となるように表面電極93と下部電極91との間に駆動電圧を第4の電源V4により印加すればよく、下部電極91から強電界ドリフト層92へ注入された電子が強電界ドリフト層92をドリフトし表面電極93を通して放出される(図11(b)中の矢印は表面電極93を通して放出された電子e−の流れを示す)。
以上述べた本実施形態における電子源素子9aでは、表面電極93と下部電極91との間に印加する駆動電圧を10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。尚、本実施形態の電子源素子9aは、電子放出特性の真空度依存が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で放出することができるという特徴を有している。また、電子源素子9aに与える駆動電圧は一定の直流電圧であってもよいし、パルス状の電圧であってもよい。ここで、駆動電圧をパルス状の電圧とした場合、駆動電圧を印加していない時に逆バイアスの電圧を印加するようにしてもよい。
本実施形態の電子源素子9aの基本構成は周知であり、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極93と下部電極91との間に表面電極93を高電位側として電圧を印加した際には、電子e−が下部電極91から強電界ドリフト層92に注入される。一方、強電界ドリフト層92に印加された電界の大部分はシリコン酸化膜92dにかかり、またシリコン酸化膜92dは非常に薄いため、強電界ドリフト層92に注入された電子e−は、容易にシリコン酸化膜92dをトンネルして隣接しているシリコン微結晶92cのシリコン酸化膜92dに入っていく。
電子e−は、シリコン酸化膜92dにかかっている強電界によってシリコン酸化膜92dを通過する毎に加速され、強電界ドリフト層92におけるグレイン52a間の領域を表面に向かって図11(b)中の矢印の向き(図11(b)における上向き)へドリフトし表面電極93に到達する。表面電極93に到達した電子e−は、シリコン酸化膜92dにかかっている強電界により繰り返し加速されて熱平衡状態よりかなり高い運動エネルギを有しているため、表面電極93をトンネルし放出される。
このように強電界ドリフト層92では、下部電極91から注入された電子e−がシリコン微結晶92cでほとんど散乱されることなくシリコン酸化膜92dにかかっている電界で加速されてドリフトし、表面電極93を通して放出され(弾道型電子放出現象)、強電界ドリフト層92で発生した熱がグレイン92aを通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。
尚、上述の強電界ドリフト層92では、シリコン酸化膜92dが絶縁膜を構成しており絶縁膜の形成に酸化プロセスを採用しているが、酸化プロセスの代わりに窒化プロセス乃至酸窒化プロセスを採用してもよく、窒化プロセスを採用した場合には各シリコン酸化膜92b,92dがいずれもシリコン窒化膜となり、酸窒化プロセスを採用した場合には各シリコン酸化膜92b,92dがいずれもシリコン酸窒化膜となる。
本実施形態では、補助電子源9として冷陰極型電子源である弾道電子面放出型電子源を利用しているが、フィラメント(熱フィラメント)等の熱陰極型電子源を利用してもよい。また冷陰極型電子源としては弾道電子面放出型電子源の他にスピント型、CNT型、SEC型、MIM型、MIS型等の電界放射型の電子源を用いることができるが、弾道電子面放出型電子源のほうが放出電子のエネルギが高いという利点がある。
したがって、補助電子源9として弾道電子面放出型電子源を採用すれば、補助電子源9としてフィラメントやスピント型の電子源を採用した場合に比べて、補助電子源9から放出される電子の初期エネルギが高くなるので、放電ガスの励起効率の向上効果、並びに放電プラズマの開始電圧及び維持電圧の低減効果をより確実に得ることができるという効果を奏する。
ところで、本実施形態の制御部7は、エネルギ供給手段により放電ガスにエネルギが供給されるタイミング(すなわち、一対の電極3,3間に電圧を印加するタイミング)に同期して第4の電源V4をオンして補助電子源9の表面電極93と下部電極91との間に駆動電圧を印加するように構成されている。例えば、本実施形態では、光源6を点灯させるタイミングと、補助電子源9の表面電極93と下部電極91との間に駆動電圧を印加するタイミングとを同じタイミングにしている。尚、光源6を点灯させるタイミングと、補助電子源9の表面電極93と下部電極91との間に駆動電圧を印加するタイミングとを同じタイミングにする必要はなく、それぞれ異なるタイミングで動作するようにしてもよい。
以上述べた本実施形態の放電プラズマ生成補助装置によれば、電子源4だけではなく補助電子源9から気密容器2内の放電プラズマ生成空間に電子を供給することができるから、放電ガスの励起効率の向上効果、並びに放電プラズマの開始電圧及び維持電圧の低減効果をさらに安定して得ることができるという効果を奏する。また、補助電子源9としてフィラメントのような熱陰極型電子源や、冷陰極型電子源の一種であるスピント型の電子源を採用した場合に比べて、補助電子源9から放出される電子の初期エネルギが高くなるので、放電ガスの励起効率の向上効果や、放電プラズマの開始電圧の低減効果、放電プラズマの維持電圧の低減効果をより確実に得ることができるという効果を奏する。
加えて、放電ガスの励起効率の向上効果や、放電プラズマの開始電圧、維持電圧の低減効果は、一対の電極3,3間に電圧を印加しながら電子源4から放電ガス中へ電子を供給することにより得られるものであり、一対の電極3,3間に電圧を印加していない状態では電子源4から放電ガス中へ電子を供給しなくてもよいことを考慮して、エネルギ供給手段により放電ガスにエネルギが供給されるタイミング(すなわち、一対の電極3,3間に電圧を印加するタイミング)に同期して補助電子源9の下部電極91と表面電極93との間に駆動電圧を印加するようにしているから、終始、補助電子源9から電子を放出させる場合に比べて第4の電源V4をオンする時間を短くして、第4の電源V4の電力消費を抑えることができるという効果を奏する。
ところで、図10に示す放電プラズマ生成補助装置では、補助電子源9を、気密容器2内において一方の電極3(図10における左側の電極3)の近傍に配置しているが、このような補助電子源9が発光装置1の一対の電極3,3のいずれか又は両方を兼ねるようにしてもよい。このようにすれば、発光装置1の部品点数の削減、構造の簡略化、製造プロセスの簡略化を図れ、結果的に発光装置1の低コスト化を図れる。さらに、補助電子源9から放電プラズマ生成空間Sに直接的に電子を供給することができるから、放電プラズマを生成し易くできるという効果を奏する。
また、図12に示すように、補助電子源9を囲むように配置され放電プラズマのイオンから補助電子源9を保護する保護カバー94を設けるようにしてもよい。
保護カバー94は、絶縁性材料(例えば、フッ素系樹脂等の絶縁性樹脂、絶縁性セラミック等)により後壁(図12における下壁)が開口した直方体状に形成されており、補助電子源9の電子放出面である表面電極93の表面を覆うようにして補助電子源9に被せられる。また、保護カバー94を補助電子源9に被せた状態で、補助電子源9の前記電子放出面に対向する保護カバー94の前壁には、補助電子源9から放出された電子が通過する開口部94aが設けられている。
このような保護カバー94を設けることによって、放電プラズマのイオンから補助電子源9を保護することができて、補助電子源9の長寿命化が図れる。
加えて、保護カバー94の前壁には、開口部94aに重なる形で導電性カバー95が配置されている。導電性カバー95は、導電性材料(例えば、ニッケル、ステンレス、アルミニウム等)を用いて板状に形成されている。この導電性カバー95には、保護カバー94の開口部94aを通過した電子を通過させるための孔部95aが複数設けられている。尚、孔部95aの開口形状は、円形状や角形状であってもよい。また、導電性カバー95の形状としてはメッシュ形状のものが好ましい。
そして、導電性カバー95に、補助電子源9の表面電極93に比して導電性カバー95が同電位となるように電位を与えれば、補助電子源9から放出された電子を導電性カバー95の孔部95aから十分に通過させつつも、放電プラズマが保護カバー94の開口部94aから保護カバー94内に侵入して補助電子源9にダメージを与えることを防止できる。
一方、導電性カバー95に、補助電子源9の表面電極93に比して導電性カバー95が高電位となるように電位を与えてもよく、このようにすれば、導電性カバー95と補助電子源9との間に印加される電圧によって補助電子源9から放出された電子が導電性カバー95側に移動するように加速されるから、導電性カバー95の電位を補助電子源9の表面電極93と同電位とする場合に比べて、導電性カバー95の孔部95aから電子を通過させ易くすることができる。その上、補助電子源9と放電プラズマ生成空間Sとの間に補助電子源9の電位より高い電位を与えている導電性カバー95が介在しているから、放電プラズマのイオンが補助電子源9側に到達し難くすることができて、放電プラズマが保護カバー94の開口部94aから保護カバー94内に侵入して補助電子源9にダメージを与えることをさらに防止でき、さらなる補助電子源9の長寿命化を図ることができるという効果を奏する。
ところで、導電性カバー95が一対の電極3,3のいずれか又は両方を兼ねるようにしてもよく、このようにすれば補助電子源9で電極3を兼ねるようにする場合に比べて補助電子源9を放電プラズマ生成空間Sから離間させることができ、補助電子源9の長寿命化が図れる。この場合、導電性カバー95が、補助電子源9の表面電極93よりも高電位となるように電位を与えれば、導電性カバー95と補助電子源9との間の電圧によって補助電子源9から放出された電子を加速して放電プラズマ生成空間Sに供給することができるから、放電プラズマを生成し易くすることができる。
尚、本実施形態の放電プラズマ生成補助装置は、実施形態1の放電プラズマ生成補助装置に補助電子源9を設けた例を示しているが、勿論、実施形態2〜5の放電プラズマ生成補助装置に補助電子源9を設けるようにしてもよい。
ところで、上記各実施施形態のエネルギ供給手段は、図13(a)に示すように円筒状の気密容器2の内部に一対の電極3,3を気密容器2の長手方向に離間して配置したものを用いているが、エネルギ供給手段の配置や構成は図13(a)に示すものに限定されない。
例えば、エネルギ供給手段を、図13(b)に示すように円筒状の気密容器2の外部において気密容器2に近接して巻回された誘導コイル30により構成してもよいし、図13(c)に示すように円筒状の気密容器2の外部において気密容器2の長手方向に沿って配置された一対の面状の電極31,31で構成してもよい。
或いは、図13(d)に示すように気密容器2の内部において長手方向の一端部に配置された電極3と気密容器2の外部において気密容器2の長手方向沿って配置された面状の電極31とで構成してもよいし、図13(e)に示すように円筒状の気密容器2の外部に配置された少なくとも1つ以上(図示例では、2つ)の円環状の電極32とで構成してもよいし、図13(f)に示すように円筒状の気密容器2の内部に配置された二対の電極3,3,3,3により構成してもよい。
この他、図13(g)に示すように円筒状の気密容器2の外部において気密容器2の長手方向に所定間隔ずつ離れて配置された複数(図示例では、5つ)の円環状の電極32により構成してもよいし、図13(h)に示すように円筒状の気密容器2の外部において気密容器2の長手方向に所定間隔ずつ離れて配置された複数(図示例では、5つ)の面状の電極33により構成してもよい。また、図13(i)に示すように直方体状の気密容器2の内部に法線方向が直交するようにして配置された一対の電極3,3により構成してもよいし、図13(j)に示すように直方体状の気密容器2の内部において並設された一対の電極3,3により構成してもよい。
尚、上述したようなエネルギ供給手段に印加する電圧は、直流電圧、交流電圧、パルス電圧等から適宜選択すればよい。ここで、エネルギ供給手段として図13(g)に示すように気密容器2の長手方向に複数の電極32が所定間隔ずつ離れて配置されている場合には、例えば、隣り合う電極32同士が異なる電極群となるように複数の電極32を2組の電極群に分けて結線し、一方の電極群に印加する矩形波の交流電圧と他方の電極群に印加する交流電圧とを逆位相とすることで、気密容器2の長手方向の寸法が比較的長い場合でも気密容器2内の略全長に亘って放電プラズマを生成することが可能となる。
同様に、図13(h)に示すように気密容器2の長手方向に複数の電極33が所定間隔ずつ離れて配置されている場合には、例えば、隣り合う電極33同士が異なる電極群となるように複数の電極33を2組の電極群に分けて結線し、一方の電極群に印加する矩形波の交流電圧と他方の電極群に印加する交流電圧とを逆位相とすればよく、このようにすれば、図13(g)に示す例と同様に、気密容器2の長手方向の寸法が比較的長い場合でも気密容器2内の略全長に亘って放電プラズマを生成することが可能となる。
ところで、上記各実施形態では、発光装置として紫外線ランプを例示したが、発光装置は紫外線ランプに限らず、例えば、照明器具用の蛍光ランプや、プラズマディスプレイパネル(PDP)等でもよく、蛍光ランプの場合には、図14(a)に示すように、気密容器2の内面の適宜部位に、紫外線により励起されて発光する蛍光体層FLを設ければよい。
また、上記各本実施形態では、気密容器2の全体を透光性材料により形成してあるが、気密容器2は、例えば図14(b),(c)に示すように、少なくとも一部に透光性部分である透光板2bが設けられたものを用いてもよい。
図14(b),(c)の気密容器2は、透光性を有していない材料を用いて一面が開口した直方体の箱状に形成された本体2aと、透光性材料(例えば、ガラス等)を用いて本体2aの一面開口を閉塞する矩形板状に形成された透光性部分である透光板2bとで構成されている。
このような気密容器2を用いる場合、上述の電子源4(図1、図4〜図7参照)は気密容器2内において透光板2bを介して光を受け取ることができる位置に設け、光源(図示せず)は透光板2bを通して電子源4に光を照射できる位置に設けるようにすればよい。尚、アノード電極5等の他の構成部品については、上記実施形態1で述べた通りである。
ここで、図14(b)に示す発光装置1では、透光板2bを通して気密容器2の外部に紫外線が放射され、図14(c)に示す発光装置1では、蛍光体層FLで発光した可視光が透光板2bを通して気密容器2の外部に放射されることになる。
また、上記各実施形態の放電プラズマ生成補助装置を備える発光装置1は、例えば図15(a)〜(c)に示すような照明器具10に利用することができる。図15(a)〜(c)に示す照明器具10は、所謂富士型の照明器具であって、天井面のような施工面に取り付けられる器具本体11と、器具本体11の長手方向両端部にそれぞれ設けられた各一対のソケット12と、器具本体11に器具本体11を覆うように取り付けられる断面V字形の反射板13と、器具本体11に長手方向が一致する形でそれぞれソケット12間に保持される2本の直管形のランプ14と、2本のランプ14を点灯させる点灯装置(図示せず)とを備えている。
ここで、ランプ14に電子源4及びアノード電極5並びに必要に応じて引き出し電極8と補助電子源9を、器具本体11に光源6を、点灯装置に制御部7をそれぞれ設けることにより、上記各実施形態の放電プラズマ生成補助装置を備える発光装置を利用した照明器具を実現することができ、この照明器具によれば、長寿命化を図れ、且つ放電ガスの励起効率の向上効果、並びに放電プラズマの開始電圧及び維持電圧の低減効果を安定して得ることができるという効果を奏する。また、放電プラズマの開始電圧及び維持電圧を低減できるから、低消費電力化が図れるという効果を奏する。加えて、発光効率の向上が図れるという効果を奏する。