JP4876779B2 - 放電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放電プラズマを利用する放電装置に関するものである。
従来の蛍光ランプは、透光性の気密容器内に封入した水銀を含む放電媒体を放電により励起させて紫外線を発生させ、気密容器の内面に被着した蛍光体層を励起させて発光させるものである。
これに対して、近年、地球の環境問題に対する関心が高まるにつれて、水銀を利用せずに例えばキセノンガスなどの希ガスを放電媒体として用いた希ガス蛍光ランプのような無水銀蛍光ランプが各所で研究開発されている。
しかしながら、希ガス蛍光ランプは、水銀を利用した従来の蛍光ランプに比べて、効率が低く、従来の蛍光ランプと同等の輝度を得るためには、放電用電極間により高い電圧を印加しなければならないという問題があった。
これに対して、キセノンガスが封入された気密容器内に一対の放電用電極および電界放射型電子源を配置し、放電用電極間に電圧を印加するのと同時に電界放射型電子源を駆動する(つまり、電界放射型電子源をイグナイタとして動作させる)ことにより、放電開始電圧を低減する技術が提案されており(例えば、特許文献1参照)、放電開始電圧を半分程度まで低減できることが知られている。
ここにおいて、キセノンガスを封入した透光性の気密容器内に一対の放電用電極および電界放射型電子源を収納配置した希ガス蛍光ランプのような放電管では、気密容器の長手方向に離間して一対の放電用電極を配置し、一方の放電用電極(アノード電極)の近傍において上記一方の放電用電極に対して他方の放電用電極(カソード電極)とは反対側に電界放射型電子源を配置することで放電プラズマのプラスイオンが電界放射型電子源に衝突しにくいようにしていた。
特開2002−150944号公報
しかしながら、上記放電管では、放電開始電圧を更に低減するためにより大きな電流を流すと、放電プラズマが電界放射型電子源の電子放出面に達したり、放電用電極と電界放射型電子源との間で放電が起こって、電界放射型電子源の電子放出面にプラスイオンが衝突することにより電界放射型電子源にダメージを与えてしまい、電界放射型電子源の寿命が短くなって、結果的に放電管の寿命が短くなってしまうという不具合があった。
そこで、電界放射型電子源を保護する保護部材として網状体を電界放射型電子源の電子放出面に対向配置することにより電界放射型電子源の電子放出面へのプラスイオンの衝突を抑制することが考えられるが、電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するには網状体の網目のサイズを小さくする必要があり、電界放射型電子源から放出された電子の一部が網状体に衝突したり捕らえられたりし、ガス中への電子の供給量が減少し、放電開始電圧が高くなってしまう。また、電界放射型電子源からの電子放出量を増加させるために電界放射型電子源の駆動電圧を高くすると、電界放射型電子源の寿命が短くなってしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、放電開始電圧を低減でき且つ長寿命化を図れる放電装置を提供することにある。
請求項1の発明は、放電媒体であるガスを封入した気密容器内に少なくとも一対の放電用電極と前記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源とが収納配置された放電管と、放電管の放電状態を検出する放電検出手段と、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御する制御手段とを備えてなり、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御するものであり、一対の放電用電極の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、電界放射型電子源が、カソード電極の近傍でカソード電極に対してアノード電極側とは反対側に配置され、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位をアノード電極の電位とカソード電極の電位との間の電位に制御することを特徴とする。
この発明によれば、制御手段では、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源の駆動を停止し且つ電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御するので、保護部材を設けることなく電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突が抑制されるから、放電開始電圧を低減でき且つ長寿命化を図れる。また、この発明によれば、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御するので、放電が開始されると、電界放射型電子源の電位が高くなって電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突が抑制される。また、この発明によれば、一対の放電用電極の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、電界放射型電子源が、カソード電極の近傍でカソード電極に対してアノード電極側とは反対側に配置され、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位をアノード電極の電位とカソード電極の電位との間の電位に制御するので、カソード電極の近傍に配置した電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制することができる。
請求項2の発明は、放電媒体であるガスを封入した気密容器内に少なくとも一対の放電用電極と前記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源とが収納配置された放電管と、放電管の放電状態を検出する放電検出手段と、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御する制御手段とを備えてなり、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御するものであり、一対の放電用電極の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、電界放射型電子源が、アノード電極とカソード電極との間に配置され、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位をアノード電極の電位とカソード電極の電位との間の電位に制御することを特徴とする。
この発明によれば、制御手段では、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源の駆動を停止し且つ電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御するので、保護部材を設けることなく電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突が抑制されるから、放電開始電圧を低減でき且つ長寿命化を図れる。また、この発明によれば、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御するので、放電が開始されると、電界放射型電子源の電位が高くなって電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突が抑制される。また、この発明によれば、一対の放電用電極の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、電界放射型電子源が、アノード電極とカソード電極との間に配置され、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位をアノード電極の電位とカソード電極の電位との間の電位に制御するので、アノード電極とカソード電極との間に配置した電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制することができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、放電検出手段は、放電用電極間のインピーダンスもしくは放電用電極間の電流もしくは放電用電極間の電圧の変化に基づいて放電管の放電開始を検出することを特徴とする。
この発明によれば、放電用電極間の電気的特性の変化により放電管の放電開始を確実に検出することができる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、制御手段は、電界放射型電子源の駆動を開始させた後、放電用電極間に電圧を印加させることを特徴とする。
この発明によれば、放電用電極間に電圧を印加してから放電が開始されるまでの遅れ時間を短くすることができる。
請求項5の発明は、放電媒体であるガスを封入した気密容器内に少なくとも一対の放電用電極と前記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源とが収納配置された放電管と、放電管の放電状態を検出する放電検出手段と、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御する制御手段とを備えてなり、放電検出手段は、放電用電極間の電流の変化に基づいて放電管の放電状態を検出するものであり、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出された後に放電検出手段により異常放電が検出されたときには電界放射型電子源を再駆動させることを特徴とする。
この発明によれば、制御手段では、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源の駆動を停止し且つ電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御するので、保護部材を設けることなく電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突が抑制されるから、放電開始電圧を低減でき且つ長寿命化を図れる。また、この発明によれば、異常放電が起こったときには電界放射型電子源が再駆動されて電子が供給されるので、異常放電から正常放電へ移行しやすくなる。
請求項1の発明では、放電開始電圧を低減でき且つ長寿命化を図れるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態の放電装置は、図1(a)に示すように、放電媒体であるガスを封入した気密容器1内に一対の放電用電極2a,2bと上記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源3と電界放射型電子源3の電子放出面に対向するグリッド電極4とが収納配置された放電管Aと、放電管Aの放電用電極2a,2b間に電圧を印加する電源5と、放電管Aの放電状態を検出する放電検出手段6と、放電検出手段6により放電管Aの放電開始が検出されたときに電界放射型電子源3へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源3の電位を制御する制御手段7とを備えている。なお、グリッド電極4は、電界放射型電子源3から放出された電子の通過する開口部(図示せず)を有しており、本実施形態では、電界放射型電子源3とグリッド電極4とでイグナイタを構成している。
本実施形態の放電装置では、電界放射型電子源3を駆動することにより、電界放射型電子源3から放出されグリッド電極4の上記開口部を通った電子が両放電用電極2a,2bの間の空間へ供給される(なお、図1(a)中の矢印は電界放射型電子源3から放出されグリッド電極4の上記開口部を通った電子eの流れを示している)ので、放電を開始させるのに必要な放電開始電圧を低減することができ低消費電力化を図れ、放電開始後も電界放射型電子源3を駆動するようにすれば、放電プラズマの安定化を図れるとともに、放電維持電圧を低減することができ、より一層の低消費電力化を図れる。
放電管Aは、直管形の希ガス蛍光ランプであり、気密容器1が透光性材料(例えば、石英ガラス、透光性セラミックスなど)により形成されており、気密容器1内に上記ガスとしてキセノンガスが封入されるとともに、気密容器1の内面にキセノンガスの励起により発生した紫外線により励起されて発光する蛍光体層(図示せず)が設けられている。
また、本実施形態の放電装置は、図示しない電源スイッチを投入したときに、電源5から放電管Aの一対の放電用電極2a,2b間に直流電圧を印加することにより放電管Aを放電させる、つまり、希ガス蛍光ランプを構成する放電管Aを直流点灯させるようになっている。ここにおいて、放電管Aは、一対の放電用電極2a,2bのうち気密容器1の長手方向の一端部(図1(a)における左端部)に配置された一方の放電用電極2aがアノード電極を構成し、長手方向の他端部(図1(a)における右端部)に配置された他方の放電用電極2bがカソード電極を構成しており、電界放射型電子源3が、アノード電極2aの近傍でアノード電極2aに対してカソード電極2b側とは反対側に配置されている。なお、本実施形態では、電源5として直流のパルス電圧を出力するパルス電源を用いている。
電界放射型電子源3は、図2(a)に示すように、矩形板状の絶縁性基板(例えば、絶縁性を有するガラス基板、絶縁性を有するセラミック基板など)31の一表面上に金属膜(例えば、タングステン膜など)からなる下部電極32が形成され、下部電極32上に強電界ドリフト層33が形成され、強電界ドリフト層33上に金属薄膜(例えば、金薄膜)からなる表面電極34が形成されている。
本実施形態における電界放射型電子源3では、強電界ドリフト層33が電子通過層を構成しており、下部電極32と電子通過層たる強電界ドリフト層33と表面電極34とで表面電極34を通して電子を放出する電子源素子3aを構成しており、表面電極34の表面が電子放出面を構成している。
電子源素子3aの強電界ドリフト層33は、図2(b)に示すように、少なくとも、下部電極32の表面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在する多数のナノメータオーダのシリコン微結晶(半導体微結晶)63と、各シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の酸化膜である多数のシリコン酸化膜(絶縁膜)64とから構成されている。ここに、各グレイン51は、下部電極32の厚み方向に延びている(つまり、絶縁性基板31の厚み方向に延びている)。
上述の電子源素子3aから電子を放出させるには、表面電極34が下部電極32に対して高電位側となるように表面電極34と下部電極32との間に駆動電圧を駆動電源により印加すれば、下部電極32から強電界ドリフト層33へ注入された電子が強電界ドリフト層33をドリフトし表面電極34を通して放出される。
ここに、本実施形態における電子源素子3aでは、表面電極34と下部電極32との間に印加する駆動電圧を10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。なお、本実施形態の電子源素子3aは、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で放出することができるという特徴を有している。
本実施形態における電子源素子3aの基本構成は周知であり、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極34と下部電極32との間に表面電極34を高電位側として電圧を印加することにより、下部電極32から強電界ドリフト層33へ電子eが注入される。一方、強電界ドリフト層33に印加された電界の大部分はシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子eはシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、強電界ドリフト層33におけるグレイン51の間の領域を表面に向かって図2(b)中の矢印の向き(図2(b)における上向き)へドリフトし、表面電極34をトンネルし放出される。しかして、強電界ドリフト層33では下部電極32から注入された電子がシリコン微結晶63でほとんど散乱されることなくシリコン酸化膜64にかかっている電界で加速されてドリフトし、表面電極34を通して放出され(弾道型電子放出現象)、強電界ドリフト層33で発生した熱がグレイン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず、安定して電子を放出することができる。
なお、上述の強電界ドリフト層33では、シリコン酸化膜64が絶縁膜を構成しており絶縁膜の形成に酸化プロセスを採用しているが、酸化プロセスの代わりに窒化プロセスないし酸窒化プロセスを採用してもよく、窒化プロセスを採用した場合には各シリコン酸化膜52,64がいずれもシリコン窒化膜となり、酸窒化プロセスを採用した場合には各シリコン酸化膜52,64がいずれもシリコン酸窒化膜となる。
ところで、上述のように電界放射型電子源3の電子放出面にはグリッド電極4が対向配置されているので、電界放射型電子源3に駆動電圧を印加しているときに、グリッド電極4と電界放射型電子源3の表面電極34との間に、グリッド電極4を高電位側として例えば100V程度の電圧を印加することにより、電界放射型電子源3から放出された電子がグリッド電極4側へ引き寄せられるが、グリッド電極4が上記開口部を有しているから、上記開口部を通して電子をアノード電極2aとカソード電極2bとの間の空間へ供給することができる。なお、グリッド電極4は、導電性材料(例えば、ニッケル、アルミニウム、ステンレスなど)により網状に形成され各網目それぞれが上記開口部となるものを用いてもよいし、導電性材料により形成された板状部材に上記開口部として複数の円形状の穴や複数の矩形状の穴を形成したものを用いてもよい。
また、上述の放電装置では、放電管Aのアノード電極2aとカソード電極2bとの間の電流−電圧特性が図1(c)に示すように放電開始前後で大きく変化する(なお、図1(c)中の点P1は放電前の電流−電圧特性で電流がほとんど流れていないことを示し、点P2は放電後の電流−電圧特性で電流が増加し且つ電圧が低下していることを示している)。つまり、放電管Aは、放電が開始されると、アノード電極2aとカソード電極2bとの間のインピーダンス、電流、電圧それぞれが急激に変化する。ここで、本実施形態における放電検出手段6は、アノード電極2aとカソード電極2bとの間のインピーダンスの変化に基づいて放電管Aの放電状態を検出するようになっているので、当該インピーダンスの変化により放電管Aの放電開始を検出することができる。なお、放電検出手段6は、アノード電極2aとカソード電極2bとの間のインピーダンスの変化に限らず、電流の変化もしくは電圧の変化に基づいて放電管Aの放電開始を検出するようにしてもよく、いずれにしても、アノード電極2aとカソード電極2bとの間の電気的特性の変化により放電管Aの放電開始を確実に検出することができる。
ここにおいて、本実施形態の放電装置では、上述のように放電検出手段6により放電管Aの放電開始が検出されたときに電界放射型電子源3へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源3の電位を制御する制御手段7を備えており、放電開始後は、図1(b)に示すように、電界放射型電子源3の駆動を停止し、放電プラズマ10からのプラスイオンが電界放射型電子源3へ衝突するのを抑制している。
より具体的に説明すれば、電界放射型電子源3の表面電極34と下部電極32との間に駆動電圧を印加し且つグリッド電極4と表面電極34との間にグリッド電圧を印加し且つアノード電極2aとカソード電極2bとの間に放電開始のための電圧を印加したときに放電管Aが放電していない放電前の状態における電位分布が図3(a)の下段に示すようになっているとする。ここにおいて、放電管Aの放電前は、電界放射型電子源3から放出された電子を効率良くアノード電極2aとカソード電極2bとの間の空間へ供給するために、アノード電極2aに対して、表面電極34が低電位となるようにすることが望ましい。ここで、グリッド電極4、表面電極34、下部電極32のいずれかをアノード電極2aと同じ電位とすれば、制御手段7による電位の制御が容易になるという利点があるが、電子放出効率を高くするには、グリッド電極4とアノード電極2aとを同じ電位にするのが望ましい。なお、図3(a)中の「表面電位」は表面電極34の電位、「下部電位」は下部電極32の電位、「グリッド電位」はグリッド電極4の電位、「アノード電位」はアノード電極2aの電位、「カソード電位」はカソード電極2bの電位を示している。
そして、制御手段7は、放電検出手段6により放電開始が検出されると(つまり、放電後には)、図3(b)に示すように電界放射型電子源3の電位およびグリッド電極4の電位をアノード電極2aの電位よりも高くする(正バイアスする)ように表面電極34、下部電極32、グリッド電極4の電位を制御する。つまり、制御手段7は、放電検出手段6により放電開始が検出されると、電界放射型電子源3の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御する。なお、図3(b)に示した例では、表面電極34と下部電極32とグリッド電極4とを同電位としている。制御手段7は、マイクロコンピュータなどにより構成すればよい。
以上説明した本実施形態の放電装置によれば、制御手段7では、放電検出手段6により放電管Aの放電開始が検出されたときに電界放射型電子源3の駆動を停止し且つ電界放射型電子源3へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源3の電位を制御するので、従来のような保護部材を設けることなく電界放射型電子源3へのプラスイオンの衝突が抑制されるから、放電開始電圧を低減でき且つ長寿命化を図れる。なお、本実施形態の放電装置では、グリッド電極4の上記開口部の開口面積を、プラスイオンの侵入を防止する目的で使用する従来の保護部材である網状体の網目の開口面積に比べて十分に大きくできるので、イグナイタの電子放出効率が高くなり、放電開始電圧をより低減することが可能となる。
(実施形態2)
本実施形態の放電装置の基本構成は実施形態1と同じであって、制御手段7の動作が相違するだけなので、制御手段7の動作について図4に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、実施形態1の放電装置では、電界放射型電子源3とグリッド電極4とからなるイグナイタが、アノード電極2aの近傍でアノード電極2aに対してカソード電極2b側とは反対側に配置されているので、電界によってはイグナイタから放出された電子がアノード電極2aに吸収されてしまい、アノード電極2aとカソード電極2bとの間の空間へ供給される電子の量が低下してしまうことがある。
これに対して、本実施形態における制御手段7では、図4(a)に示すように放電前にまずグリッド電極4の電位がアノード電極2aよりも高電位となるようにしてイグナイタから電子の放出を開始させることで、アノード電極2aでの電子の吸収を防止する。ここにおいて、イグナイタから放出された電子は気密容器1内での寿命がミリ秒オーダなので、制御手段7が、当該ミリオーダの時間が経過する前(つまり、電子がイオンなどと再結合して消滅する前)に図4(b)に示すようにアノード電極2aの電位を上昇させる(図4(b)ではグリッド電極4の電位と同電位まで上昇させている)ことで放電が開始される。そして、制御手段7は、放電検出手段6により放電開始が検出されると(つまり、放電後には)、実施形態1と同様、図4(c)に示すように電界放射型電子源3の電位およびグリッド電極4の電位をアノード電極2aの電位よりも高くする(正バイアスする)ように表面電極34、下部電極32、グリッド電極4の電位を制御する。
ところで、上記各実施形態では、制御手段7が、放電検出手段6により放電開始が検出されると、電界放射型電子源3の電位をアノード電極2aの電位よりも高い電位に制御しているが、アノード電極2aと同電位に制御するようにしてもよい。また、制御手段7が、電界放射型電子源3の駆動を開始させた後、アノード電極2aとカソード電極2bとの間に電圧を印加させるような制御を行うようにすれば、アノード電極2aとカソード電極2bとの間に電圧を印加してから放電が開始されるまでの遅れ時間を短くすることができる。
また、制御手段7が、放電検出手段6により放電開始が検出された後に放電検出手段6により異常放電が検出されたときには電界放射型電子源3を再駆動させるようにすれば、異常放電が起こったときには電界放射型電子源3が再駆動されて電子が供給されるので、異常放電から正常放電へ移行しやすくなる。
また、上記各実施形態では、電界放射型電子源3とグリッド電極4とで構成されるイグナイタをアノード電極2aの近傍に配置してあるが、イグナイタはアノード電極2aの近傍ではなく、例えば、カソード電極2bの近傍でカソード電極2bに対してアノード電極2a側とは反対側に配置するようにしてもよく、この場合には、制御手段7が、放電検出手段6により放電開始が検出されたときに、電界放射型電子源3の電位およびグリッド電極4の電位をアノード電極2aの電位とカソード電極2bの電位との間の電位に制御するようにすれば、カソード電極2bの近傍に配置した電界放射型電子源3へのプラスイオンの衝突を抑制することができる。また、イグナイタをアノード電極2aとカソード電極2bとの間に配置してもよく、この場合には、制御手段7が、放電検出手段6により放電開始が検出されたときに、電界放射型電子源3の電位およびグリッド電極4の電位をアノード電極2aの電位とカソード電極2bの電位との間の電位に制御するようにすれば、アノード電極2aとカソード電極2bとの間に配置した電界放射型電子源3へのプラスイオンの衝突を抑制することができる。
また、上記各実施形態では、放電管Aの気密容器1の内面に上記蛍光体層を設けてあるが、蛍光体層を設けずに、放電管Aを紫外線ランプとしてもよい。
また、上記各実施形態における電界放射型電子源3は、絶縁性基板31の上記一表面側に下部電極32を形成しているが、絶縁性基板31に代えてシリコン基板などの半導体基板を用い、半導体基板と当該半導体基板の裏面側に積層した導電性層(例えば、オーミック電極)とで下部電極を構成するようにしてもよい。また、上記各実施形態における電界放射型電子源3は弾道型電子放出現象により電子を放出する電子源であって弾道電子面放出型電子源(Ballistic electron Surface-emitting Device:BSD)と呼ばれているが、電界放射型電子源3はBSDに限らず、例えば、上述の電子通過層として強電界ドリフト層33に代えて絶縁体層を採用したMIM型の電子源や、上述の電子通過層として強電界ドリフト層33に代えて下部電極32側の半導体層と表面電極34側の絶縁体層とを採用したMIS型の電子源などのように、BSDと同様に低真空度でも使用可能なものを採用すれば、いわゆるスピント型電極を採用する場合に比べて、電界放射型電子源3の長寿命化および信頼性向上を図れる。また、BSDでは、放出電子のエネルギが比較的大きいので、放電開始電圧の低減や放電維持電圧の低減の点で有利である。
実施形態1の放電装置の説明図である。 同上に用いる電界放射型電子源に関し、(a)は概略断面図、(b)は動作説明図である。 同上の動作説明図である。 実施形態2の放電装置の動作説明図である。
符号の説明
1 気密容器
2a 放電用電極(アノード電極)
2b 放電用電極(カソード電極)
3 電界放射型電子源
4 グリッド電極
5 電源
6 放電検出手段
7 制御手段
10 放電プラズマ

Claims (5)

  1. 放電媒体であるガスを封入した気密容器内に少なくとも一対の放電用電極と前記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源とが収納配置された放電管と、放電管の放電状態を検出する放電検出手段と、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御する制御手段とを備えてなり、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御するものであり、一対の放電用電極の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、電界放射型電子源が、カソード電極の近傍でカソード電極に対してアノード電極側とは反対側に配置され、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位をアノード電極の電位とカソード電極の電位との間の電位に制御することを特徴とする放電装置。
  2. 放電媒体であるガスを封入した気密容器内に少なくとも一対の放電用電極と前記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源とが収納配置された放電管と、放電管の放電状態を検出する放電検出手段と、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御する制御手段とを備えてなり、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位を当該検出前の電位よりも高い電位に制御するものであり、一対の放電用電極の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、電界放射型電子源が、アノード電極とカソード電極との間に配置され、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出されると、電界放射型電子源の電位をアノード電極の電位とカソード電極の電位との間の電位に制御することを特徴とする放電装置。
  3. 放電検出手段は、放電用電極間のインピーダンスもしくは放電用電極間の電流もしくは放電用電極間の電圧の変化に基づいて放電管の放電開始を検出することを特徴とする請求項1または請求項2記載の放電装置。
  4. 制御手段は、電界放射型電子源の駆動を開始させた後、放電用電極間に電圧を印加させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の放電装置。
  5. 放電媒体であるガスを封入した気密容器内に少なくとも一対の放電用電極と前記ガス中へ電子を供給する電界放射型電子源とが収納配置された放電管と、放電管の放電状態を検出する放電検出手段と、放電検出手段により放電管の放電開始が検出されたときに電界放射型電子源へのプラスイオンの衝突を抑制するように電界放射型電子源の電位を制御する制御手段とを備えてなり、放電検出手段は、放電用電極間の電流の変化に基づいて放電管の放電状態を検出するものであり、制御手段は、放電検出手段により放電開始が検出された後に放電検出手段により異常放電が検出されたときには電界放射型電子源を再駆動させることを特徴とする放電装置
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