JP2006164648A - プラズマイグナイタ及びこれを搭載した装置 - Google Patents

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明 小島
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俊彦 佐藤
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Abstract

【課題】気体電離を促進する高いエネルギーを持つ電子を気体中に照射し、放電装置の放電開始電圧を低下させる。
【解決手段】ナノ結晶シリコン等から作製される、電子ドリフト層70を有する電子放出素子を用いて、プラズマイグナイタ1を作製し、これを放電空間10の近傍に配置して、プラズマイグナイタ1へのプラズマの衝撃を回避しつつ、良好な放電開始電圧の低減を行う。
【選択図】図1

Description

この発明は、気体電離を促進する高いエネルギーを持つ電子を気体中に照射し、放電装置の放電開始電圧を低下させるとともに、空間的に均一な放電を発生させるためのプラズマ点弧子(イグナイタ)に関するものである。
工業的に利用されている放電装置として、プラズマプロセス装置、プラズマディスプレイ、レーザーおよび放電ランプがある。ここで放電装置とは、複数の電極を有し、電極間に気体放電を生ずる装置をさす。
これらの放電装置は、放電開始時に、絶縁物である気体を電離させるための、瞬間的に高電圧を発生させる回路をもつ。また、気体電離を促進するために、電子線や、紫外光またはレーザー光などの電磁波照射による予備電離が用いられている。
予備電離技術の例としては、特許文献1の放電型平面表示装置におけるXeとNeの混合気体の放電開始に先立ち、混合気体の放電室の背面に設置した電界放出型アレイから電子線を照射する方法を用いている。これにより、表示画像の明るさが均一で寿命の長い放電型表示装置を提供できるとしている。
また、特許文献2の高圧放電ランプでは、光源となる主放電空間とは隔離された、石英管によって作製された空洞を主放電電極の背後に設け、この空洞を用いて紫外線を発生させ、主放電空間の予備電離を行う方法を取っている。これによって、主放電の放電開始電圧を低減出来るとしている。
さらに、特許文献3には、高頻度パルスレーザーにおいて複数の開口部を有するピン状電極で発生させた紫外線を主放電領域に拡散させることで予備電離を行い、放電空間を均一に電離できる、としている。
気体中には、宇宙からの高エネルギー放射線等により、物質から放出された自由電子が、意図せずに存在する遇存電子として、微量ながら存在している。気体が充填された空間に設置された、陰極と陽極とからなる電極間の領域に電圧が印加されると、電極間にほぼ均一な電界分布が生じる。この時、電極間に有る遇存電子は、この電界によって陰極から陽極へ向かう方向の運動量を獲得して加速され、運動エネルギーを得る。その結果、陽極近傍には、十分大きい運動エネルギーを獲得した遇存電子由来の自由電子が存在するように成り、これらの高エネルギー電子が気体原子に衝突すると、気体原子中の電子に運動エネルギーを与えて、気体原子からの電子放出を誘発し、同時に、電子を失った気体原子による陽イオンを生成して、これら陽イオンと放出電子とから成る、電離気体を生成する。一方、電子を加速する電界は、同時に、陽イオンを陰極へ向けて加速する。その為、加速された陽イオンが陰極に衝突し、陰極からの2次電子放出を生じる。この2次電子も電界によって加速され、気体原子との衝突を通じて陽イオンと放出電子を造り、電離気体の生成に寄与する。このような電離気体は、通常、プラズマとも呼ばれる。
プラズマは、正負の電荷がバランスしてほぼ中性であり、自身が良い電気伝導性を持つため、「プラズマが存在する領域」では電界が遮蔽され、電位降下が起こらない。このため、最初、ほぼ均一であった電極間の電位分布は変化し、プラズマが存在する領域と陰極との間に電界がより集中することとなる。その結果、この強くなった電界によって自由電子の加速が生じると、気体原子の電離がより頻繁に起こり、プラズマの生成が促進され、プラズマが存在する領域は、陰極の方に向かって伸びて行く。この「プラズマが存在する領域」の拡張が、陰極近傍のさらなる電界集中を誘うため、正の帰還が生じ、プラズマが存在する領域が瞬時に拡大して、グロー放電の点灯が完了する。
上記、「プラズマが存在する領域」は、電界が作用して電離気体の生成が可能と成る領域であり、この領域は、材質や形状を含めた電極の特徴と、外部から、陰極と陽極を通じて供給される電気エネルギーによって決定される。以後、この領域を「放電空間」と呼ぶ。固体表面に接触して配置された一対の陰極と陽極の間に形成される、いわゆる、沿面放電の場合には、電離気体の進展が固体に沿った領域と成り、三次元的な広がりとは成らないが、この場合も含めて、プラズマが存在する領域を「放電空間」する。
また、上述のような過程を経て生成されるプラズマは、グロー放電プラズマとも呼ばれる。一度生成したグロー放電プラズマは、外部回路からの電気エネルギー投入量の制御によって、容易に、アーク放電プラズマに移行させることが出来る。アーク放電プラズマは、陰極上の一点にプラズマが集中して、熱電子、電界放出電子、などにより、電子放出が促進されることによって生じる、大電流密度を有するプラズマである。特に、10kPaを超える圧力で発生するアーク放電は、電離度が高く、イオン、電子、中性原子との間で局所熱平衡状態を達成した、高温・高密度のプラズマである。
なお、一度生成されたグロー放電プラズマがその存在を継続し、放電の点灯が維持されるには、陰極からの間断無き電子供給が必要である。以上に述べて来たプラズマ生成の機構から、この陰極からの電子供給は、陰極へのプラズマ粒子(イオン、及び、加速された中性粒子)の衝突によって生じており、陰極材料の、局部的かつ過剰な昇温、等、を引き起こし、通常、陰極材料の消耗を伴うものである。
予備電離技術は、放電開始の「種火」として、プラズマ生成の元となる電子を、意図的かつ大量に供給して、微量にしか存在しない遇存電子に頼ることなく、グロー放電の生成を行う技術である。
予備電離に使用することができる電子源として、特許文献4の、固体表面から電子を放射するナノシリコン面電子源がある。ナノシリコン面電子源は導電性基板の上にナノシリコン層と上部電極とを順次形成することによって作製される。ナノシリコン電子源は他の電子源と比較し、低真空度での動作が可能である特徴を有し、予備電離用の電子源として使用することができる。
さらに、特許文献5には、多電極を用いた無水銀蛍光ランプが示されている。このランプは、高い輝度を持つと同時に、従来の水銀蛍光ランプの発光効率をも凌駕する高効率を示すが、その動作電圧が1.5kV以上と高く、実用化には大きな障害と成っていた。このランプには、予備電離手段によって動作電圧低減は行われておらず、事実、これまで有効な放電電圧低減手段が存在していなかった。
特開平11-311975号公報 US 6563267 B1 特開平05-121812号公報 特願2004-235707号公報 特願2003-7251号公報
上述の方法による放電技術および予備電離技術は、いずれも、短期間のうちに電極材料の物理的・化学的に劣化を生じ、結果として放電が不安定で断続的になり、放電装置の寿命を短くする。
特許文献1の放電型平面表示装置では予備電離技術として電界放出型電子源を用いているが、特許文献1と同様に、放出時の電子が0.1eV以下の運動エネルギーしか持っていないため、気体を電離するのに十分な電圧を電極間に与え、電子を気体中で約10 eVまで加速する必要がある。この方法は気体放電を開始するタイミングを制御できるが、放電開始電圧の低下にはほとんど寄与しないので、放電装置の電極材料の劣化防止に役立たない。また、電界放出型電子源は電子源の突起部分に生ずる強電界で電極から気体中に電子を引き出す原理なので特許文献1と同様、プラズマ粒子の衝撃により、突起部分が物理的、化学的に変化することで予備電離の効果が経時的に不安定化する。
また、特許文献2の高圧放電ランプでは、光源として用いる主放電空間とは隔離された、石英管によって作製された空洞を主放電電極の背後に設け、この空洞を用いて紫外線を発生させ、主放電空間の予備電離を行う方法を取っている。この空洞中には、水銀などを含む放電ガスを充填すると共に、板状モリブデン板の電極を設置し、さらに石英管の外部に高周波コイルが取り付けられている。この高周波コイルに高周波電流が流れると、空洞内部に誘導電磁界を発生し、この電磁界がモリブデン板短部へ集中して高電界となるため、充填ガスが放電して紫外線を発生する。この方法では、主放電空間と空洞での放電が完全に隔離されているため、主放電で発生したプラズマ粒子の衝撃により、空洞での放電が不安定化することは免れている。しかしながら、空洞中での放電において、その放電開始電圧を低減することは出来ず、紫外線を発生するために、1kV以上の電圧が必要と成る。
さらに、特許文献3による高頻度パルスレーザーでは、複数のピン状電極で発生させた紫外線を主放電領域に拡散させることで予備電離を行い、放電空間を均一に電離しようとするものである。しかしながら、このピン状電極に対するプラズマ粒子の衝撃により予備電離の効果が経時的に不安定化する問題に加え、予備電離を誘起するのに高電圧を必要とし、全体として、放電開始電圧の低下は実現していない。後者の問題は、特許文献2及び5を含めた、紫外線、及び、紫外線以外の電磁波を用いる予備電離法に関する、共通の問題である。
予備電離に使用することができる電子源として、特許文献4の、電極表面から高エネルギー電子を放射することが出来る、弾道電子源によるプラズマイグナイタがある。該プラズマイグナイタは、ホットエレクトロン、準弾道電子、又は弾道電子を生成する電子ドリフト層と、該電子ドリフト層上に形成された表面電極とを有し、さらに、放電中のイオンによる衝撃による該表面電極及び該電子ドリフト層の劣化を防ぐための、静電遮蔽の目的で設けられた補助電極や、半導体や誘電体からなる薄膜から成るバッファ層が設けられている。
グロー放電プラズマ中の中性原子は、陽イオンとの衝突によって運動量を獲得して加速される。陽イオンは、陰極近傍に集中する電界によって陰極方向に加速されるから、陰極へ向かう運動量を有する陽イオンとの衝突によって運動量を獲得する中性原子も、陰極へ向かう運動量を持ち、陰極を衝撃する可能性を持つ。これら中性原子は、荷電粒子ではないため、電界や磁界によってその軌道を制御することが出来ない。したがって、これら中性粒子によるプラズマイグナイタへの衝撃を避けるには、プラズマイグナイタを、これら加速された中性原子の軌道上に配置しないことが重要である。
特許文献4における実施様態は、プラズマイグナイタの表面電極を、これら陽イオン及び加速された中性原子の軌道上に配置していることから、補助電極による静電遮蔽があっても、中性原子による損傷を免れ得ないという不都合があった。そのため、劣化を防止するはずの補助電極やバッファ層の存在にも関わらず、多数回の放電開始動作、及び、長時間の放電継続によって、劣化を余儀なくされている。なお、バッファ層を用いる場合には、表面電極への直接の損傷は避けられるが、バッファ層そのものの損傷は避けられず、最終的には、該表面電極や該電子ドリフト層の劣化につながる。
本発明の課題は、上述の課題を克服し、予備電離による放電開始電圧の低減を行うことが可能なプラズマイグナイタを提供し、さらに、このプラズマイグナイタを搭載した、ディスプレイ、高圧放電ランプ、等、のプラズマを用いた装置を提供することである。
上記の課題を解決するものとして、本発明の第1様態では、電子ドリフト層と、該電子ドリフト層上に形成された表面電極とを有するプラズマイグナイタを搭載した放電装置において、該放電装置の陽極と該表面電極の距離が該陽極と該放電装置の陰極の距離よりも大きくなるように配置し、放電空間の近傍に該表面電極を配置したことを特徴とする、プラズマイグナイタを搭載した放電装置とする。
本発明の第2様態では、本発明の第1様態に加えて、該放電空間と該表面電極の間に配置され、かつ、該表面電極とは10度以上で平行ではない角度で配置された、静電遮蔽電極を設ける。
本発明の第3様態では、本発明の第1様態または第2様態のいずれかに加えて、プラズマイグナイタの動作タイミング制御機能と放電開始電圧印加のタイミング制御機能を付加して、放電開始後に、表面電極の電位をプラズマ電位にまで高める操作を行う。
本発明の第4様態では、電子ドリフト層と、該電子ドリフト層上に形成された表面電極とを有するプラズマイグナイタを搭載した放電装置において、誘電体基板に接触して配置された沿面放電陰極と、該誘電体基板に接触し、該沿面放電陰極の近傍に配置されたトリガ電極と、このトリガ電極の近傍に配置された該表面電極を有することを特徴とする、プラズマイグナイタを搭載した放電装置とする。
本発明の第5様態では、紫外光が透過可能な放電容器の内部に、本発明の第1様態、及び、第2様態の放電装置を、多電極無水銀紫外光ランプとして実現する。
本発明の第6様態では、本発明の第4様態の放電容器の内側に蛍光体を塗布し、本発明の第1様態、及び、第2様態の放電装置を、多電極無水銀蛍光ランプとして実現する。
本発明の第7様態では、第3様態の放電装置を、多電極無水銀紫外光ランプ、及び、多電極無水銀蛍光ランプとして実現する。
本発明の第1様態によれば、プラズマイグナイタの表面電極から、気体電離促進に十分なエネルギーをもつ電子を気体中に放出することが出来る。表面電極が放電空間の近傍に配置されていることから、これらの「種」となる電子は、放電空間に到達出来、低い放電開始電圧にて、この放電空間内にグロー放電を点灯することができる。
圧力条件が一定の場合、放電開始電圧は、電極間距離によって決まる。ある圧力条件の下では、電極間距離が増加すると、放電開始電圧(火花電圧とも言う)も増加する。圧力条件が一定であり、プラズマイグナイタの表面電極電位を陰極の電位にほぼ一致させている条件下で、陽極と陰極の距離よりも、陽極と表面電極の距離を十分大きくなるように配置しておけば、陰極と陽極の間にのみ放電が起こる電圧を選択することが出来、放電空間の外に配置されたプラズマイグナイタの表面電極には放電が到達しない状況を実現出来る。「近傍」とは、該放電装置が有する放電空間の外の領域であり、かつ、プラズマイグナイタから放出される高エネルギー電子が、ドリフト及び拡散によって、放電空間に到達し得る距離に有る領域である。
本発明の第2様態によれば、本発明の第1様態に加えて、該放電空間と該表面電極の間に配置され、かつ、該表面電極とは10度以上の平行ではない角度で配置された静電遮蔽電極が、その周辺の電界を該静電遮蔽電極に垂直にするため、陽イオンの軌道を静電遮蔽電極へ向け、該表面電極の方向に向かわせず、したがって、陽イオンとの衝突によって運動量を獲得して加速される中性原子の軌道をも、該平面電極に向かわせないという効果を持つ。これによって、中性粒子によるプラズマイグナイタの表面電極への衝撃を避けることが出来る。
本発明の第3様態によれば、本発明の第1様態または第2様態のいずれかに加えて、放電開始後のプラズマイグナイタの電位を、プラズマ電位に近づける制御機構を付加しているので、さらに、プラズマからの衝撃を低減できる。
本発明の第4様態によれば、プラズマイグナイタの支援によって陰極近傍に発生した沿面放電が、主放電の点灯を支援することが出来る。電極を共有して、互いに隣接して配置させた複数の放電空間が有れば、これらは、互いに「近傍」に配置された放電空間となる。その結果、これらの内、一つ目の放電空間に放電を点灯すると、その放電から生成された荷電粒子が隣接した放電空間に浸透・拡散して行き、放電開始のための「種」を得た隣接した放電空間は、次々に点灯してゆく。第4様態の発明は、このような、放電点灯の連鎖を利用して、周辺の放電空間を点灯させて、距離を隔てて置かれた所望の放電空間を点灯しようとするものである。その際、プラズマイグナイタは、その最初の放電を点灯する際の、放電開始電圧を低減するために用いられている。
この第4様態の発明では、プラズマイグナイタが、沿面放電陰極との間で沿面放電を発生させるトリガ電極の近傍に配置されるので、プラズマイグナイタを、沿面放電陰極と陽極の間に発生する主放電から、遠ざけることが出来、主放電のプラズマからの衝撃を避けることが出来る。また、沿面放電は、プラズマイグナイタが直接発生する荷電粒子よりも遥かに大きい荷電粒子密度を、主放電に供給するので、主放電の、より大きな放電開始電圧低減効果が得られる。
本発明の第5様態によれば、本発明の第1乃至2様態の放電装置を、キセノンガスによる無水銀紫外光ランプとして実現したところ、1.5kV以上必要であった放電開始電圧が、1kV以下に低減された。これまで、希ガス放電では、放電開始電圧を低減することが困難であったが、本実施例により、これが可能と成った。
本発明の第6様態によれば、本発明の第4様態の放電装置の放電容器の内側に蛍光体を塗布し無水銀紫外光源が発する真空紫外光を蛍光体励起に用いて、放電開始電圧の低下を達成しつつ、従来の水銀蛍光ランプを凌駕する、高輝度・高効率によって白色光を発する無水銀蛍光ランプを実現した。
本発明の第7様態によれば、本発明の第3様態の放電装置を、キセノンガスによる無水銀紫外光ランプとして実現したところ、1.5kV以上必要であった放電開始電圧が、500V以下に低減された。また、この放電装置を、蛍光体を励起する水銀蛍光ランプとして実現したところ、放電開始電圧の低減を実現しつつ、従来の水銀蛍光ランプを凌駕する、高輝度・高効率の無水銀蛍光ランプを得た。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施例1に係わる、予備電離機構を備えた放電装置の概略構成図である。
プラズマイグナイタ1は、オーミックコンタクトが取られた背面電極層60を有する、導電性シリコン基板80上に形成された電子ドリフト層70と、この電子ドリフト層70上に形成された表面電極40とからなる素子を一つの構成要素とする。さらに、静電遮蔽電極50の表面は、上記プラズマイグナイタ1に離間して、放電空間10と該表面電極40の間に配置され、かつ、該表面電極とは10度以上の、平行ではない角度で配置される。該静電遮蔽電極50は、その周辺の電界を該静電遮蔽電極50にほぼ垂直にするため、陽イオンの軌道を静電遮蔽電極50へ向けるため、該表面電極40の方向に向かわせず、したがって、陽イオンとの衝突によって運動量を獲得して加速される中性原子の軌道をも、該平面電極40に向かわせないという効果を持つ。これによって、陽イオンばかりでなく、中性粒子によるプラズマイグナイタ1の表面電極40への衝撃を避けることが出来る。静電遮蔽電極50は、タングステン、モリブデン、アルミニウム、ステンレ鋼、などの、スパッタ率の小さい導電性物質を用いて作製され、薄膜状、格子状、網状、孔開き平板状のいずれかの形状を有していれば良い。
プラズマイグナイタ1各部には、適切な電気的バイアスを加えられるようになっている。すなわち、背面電極60は電源400によって電位V2に、表面電極40は電源300によって電位V3に、静電遮蔽電極50は電源200によって電位V4に、各々バイアスされる。なお、これらバイアス電源回路200、300、400は、半導体集積回路作製技術を用いて作製可能なので、これをプラズマイグナイタ1の構成要素である導電性シリコン基板80上に、電子ドリフト層70上と伴に集積化しても良い。
表面電極40と背面電極60の間に、閾値電圧(通常7から15V程度)以上の電位差が生じるバイアスを加えると、表面電極層40を透過して、0〜10eV程度の運動エネルギーを有する電子が放出される。電子ドリフト層70としては、特許文献4に記載のナノシリコン層を用いているが、ホットエレクトロン、準弾道電子、又は弾道電子を放出する、他の材料を用いてもよい。
陰極20と陽極30の間に電源100を用いて電圧V1を印加することにより、放電空間10内に、放電が発生するよう設計されている。なお、本実施例では、陰極20を接地電位としてある。本実施例において、いわゆるパッシェンの法則により、電極間距離と放電気体の圧力の積が、1Pa・m程度以上である放電装置では、電極間距離が大きいほど、放電開始電圧(火花電圧)は増加するため、プラズマイグナイタ1の表面電極40と陽極30の距離“d‘”を、陰極20と陽極30の距離“d”より、十分小さく配置しておけば、陰極20と陽極30の間でのみ放電が生じる電圧V1を選ぶことが出来る。この電圧を用いれば、放電空間10内に生じるプラズマが、プラズマイグナイタ1を衝撃することは無い。
本実施例において、プラズマイグナイタ1を構成する静電遮蔽電極50の端部と、陰極20の端部の隔たりは、5mm程度に配置されている。この程度の距離では、プラズマイグナイタ1は、該放電空間10の近傍に配置されていることとなる。したがって、表面電極40から気体中に放出され、静電遮蔽電極50を透過した電子は、放電空間10内に拡散浸透できる。なお、静電遮蔽電極50と表面電極40との成す角は、30度である。
また、陽極30より低い電位に、該静電遮蔽電極50の電位を保てば、放出された電子を陽極30へ向けて加速する電界が生じ、静電遮蔽電極50を透過した電子は、より容易に放電空間10内にドリフト・拡散して行く。このようにして、放電空間内に供給された電子が「種」となり、放電空間内に容易にプラズマが生成され、低い放電開始電圧で、放電が開始する。
本実施例において、陰極20と陽極30の間の距離を20mmとし、放電気体として500Paのキセノンガスを用いたところ、プラズマイグナイタ1からの電子放出を行わない場合の、電源100に与える放電開始電圧は600Vであったのに対し、プラズマイグナイタ1からの電子放出を行うと、400Vまで放電開始電圧が低下した。この時、陰極20と陽極30の構成材料は、アルミニウムを用いた。
本実施例において、表面電極40を背面電極60よりも、閾値電圧以上に高い電位差にバイアスし、この電位差を保ったまま、表面電極層40の電位V3を、静電遮蔽電極50の電位V4よりも低くすると、放出された電子は表面電極層40と静電遮蔽電極50の間で加速され、該静電遮蔽電極50を透過する電子量は増加する。これによって、放電開始電圧のさらなる低下を図ることも可能である。ところが、このバイアス条件では、放電空間10から静電遮蔽電極50をすり抜けて拡散して来る陽イオンを、表面電極40へ向けて加速して、表面電極40を衝撃する可能性が高まるという問題も生じる。本実施例では、表面電極層40の電位V3と静電遮蔽電極50の電位V4の差を40V程度としたことにより、表面電極40の損傷を低く抑えつつ、大きな放電開始電圧低減効果が得られた。
図2は、実施例2に係わる予備電離機構を備えた放電装置の概略構成図である。本実施例では、図1の実施例に、陰極20に直列に接続された自己バイアス抵抗500とバイアス制御回路550を付加したことを特徴としている。本実施例のその他の構成は、図1のそれと同様である。
図1の実施例において、放電が点灯した後、放電空間10に大量に生成されるプラズマ粒子のうち、僅かではあるが、静電遮蔽電極50をすり抜けて、表面電極40と静電遮蔽電極50の間に拡散してくる陽イオンの存在が有り、これらが表面電極40を衝撃して、徐々に表面電極を劣化するという問題が生じた。本実施例では、このような劣化を防止するため、放電点灯後、静電遮蔽電極50および表面電極40を、陰極20に対して正にバイアスし、陽イオンの衝撃を抑えようとするものである。
図2において、放電点灯ともに、陰極20に流れた電流が自己バイアス抵抗500に流れ、バイアス制御回路550の入力端子と接地電位の間に電位差が生じる。この電位変化を検出して、電源200、300、400の、各、バイアス電源のバイアスを嵩上げする機能を果たすものが、バイアス制御回路550である。その構成は、自己バイアス抵抗500に生じる電圧降下を入力信号とする、正相増幅器であれば良い。また、バイアス制御回路550への入力信号としては、自己バイアス抵抗500を用いず、放電電流信号そのもの、この電流信号が発生する磁界、放電開始に伴う放電空間10の発光による光信号、などを検地するセンサ回路を用い、これらを入力信号としても良い。なお、このバイアス制御回路550及びセンサ回路などは、半導体集積回路作製技術を用いて得られるので、これをプラズマイグナイタ1の構成要素である導電性シリコン基板80上に、電子ドリフト層70上と伴に集積化しても良い。
導電性の気体であるプラズマが存在する空間の電位は、ほぼ一定で、この空間の放電容器壁に対する電位をプラズマ電位とよび、所謂、ラングミュアープローブなどを用いて、該プラズマ電位が測定される。
放電開始後、バイアス制御回路550の動作により、該静電遮蔽電極50とプラズマイグナイタ1の各部のバイアスが嵩上げされ、放電開始以前とは異なる電位となる。この電位が、放電空間中のプラズマ電位に対して高いか低いかに応じて、該静電遮蔽電極50へ入射する粒子が異なってくる。すなわち、プラズマ電位より低い場合には、陰極20と同様、陽イオンの衝撃を受けやすい。一方、プラズマ電位より高い場合には、電子による衝撃を受けやすくなる。いかなるプラズマ粒子からの衝撃をおも回避し、プラズマイグナイタ1をプラズマの衝撃から守るには、静電遮蔽電極50及びプラズマイグナイタ1全体を、該プラズマ電位に概略一致させることが望ましい。ラングミュアープローブなどを用いてプラズマ電位をモニタし、このモニタ信号を用いて電位追尾を行う機能をバイアス制御回路550に付加して、プラズマイグナイタ1全体の電位を常にプラズマ電位に等しく成るよう制御することが望ましい。
なお、プラズマ電位は、陰極近傍に生じる、いわゆる陰極降下に相当する電位差とほぼ等しいことが知られており、外部回路の条件が一定で、放電気体の種類と電極材料の組み合わせが決まれば、ほぼ決定される。したがって、最初にプラズマ電位を測定し、放電開始後の静電遮蔽電極50及びプラズマイグナイタ1全体の電位を、この測定されたプラズマ電位に固定しておけば、前述のような逐次制御を実行しなくても、十分なプラズマ粒子の遮蔽効果が得られる。本実施例では、アルミ製電極とキセノンガスの組み合わせにおいて、100V程度の固定バイアスを用いて該静電遮蔽電極50とプラズマイグナイタ1の電位を嵩上げしたところ、十分な効果が得られた。
図3は、実施例3に係わる予備電離機構を備えた放電装置の概略構成図である。本実施例では、誘電体基板90上に沿面放電陰極21が形成されている。さらに、該沿面放電陰極21に隣接して、トリガ電極51が、該誘電体基板90上に形成されている。また、該沿面放電陰極21とトリガ電極51との間に位置する誘電体90の表面には、二次電子放出の高い誘電体材料から成る誘電体薄膜91がコーティングされている。誘電体薄膜91として、MgO(酸化マグネシウム)などが適している。
実施例1と同様なプラズマイグナイタ1は該沿面放電陰極21の近傍ではなく、トリガ電極51の近傍に設けられている。トリガ電極51をバイアスする電源が電源510である。また、本実施例では、プラズマイグナイタ1は、放電空間10から積極的に隔離される。その隔離手段として、隔壁92を用いている。また、プラズマイグナイタ1に離間して、斜めに配置された、静電遮蔽電極50も用いられている。なお、プラズマイグナイタ1のバイアスなどの部分は、実施例1と同様である。
本実施例における放電装置の、放電空間10における放電が、光源やプラズマによる化学反応槽などとして、応用される。この放電を、主放電と呼ぶ。この主放電の点灯は、トリガ電極51と該沿面放電陰極21との間に形成される沿面放電を用いて行われる。この沿面放電が形成される放電空間を、沿面放電領域12とする。沿面放電領域12が、二次電子放出能の高い誘電体薄膜91の上に形成されると、低い沿面放電維持電圧で沿面放電を開始・維持できる。
プラズマイグナイタ1は、上記沿面放電を誘起するために用いられる。すなわち、プラズマイグナイタ1は、上記沿面放電領域12上に、高エネルギー電子を供給する。これが沿面放電開始の種となり、この時点で、トリガ電極51と該沿面放電陰極21の間に、低い放電開始電圧で沿面放電を点灯できる。この沿面放電で生成されたプラズマ粒子が、放電空間10に拡散し、これが次の主放電の「種」となる荷電粒子を供給することとなり、放電空間10に、低い放電開始電圧で主放電を点灯できる。ここで、プラズマイグナイタ1から放出される電流は、100μA程度以下に限定されるが、これを元に点灯される沿面放電には、その1000倍以上の電流を容易に発生することができる。したがって、この沿面放電によって放電空間10に供給される電離気体の量は、実施例1におけるプラズマイグナイタ1が、直接放電空間10に供給する荷電粒子の量をはるかに凌駕する。その結果、放電開始電圧低減の効果はより改善される。
本実施例では、プラズマイグナイタ1の使用により、沿面放電開始電圧が200V以下となり、これによって点灯される放電空間10での主放電の開始電圧は、200V程度となった。
図4は、実施例4に係わる予備電離機構を備えた放電装置の概略構成図である。本実施例では、予備電離可能なプラズマイグナイタ1を、無水銀紫外光ランプに適用したものである。
本無水銀紫外光ランプは、硬質ガラス製の放電管容器99に封入された、電極25、電極26、電極35、電極36、静電遮蔽電極50、プラズマイグナイタ1、及び、プラズマイグナイタ1の制御回路700をその主な構成要素とし、さらに、ランプの駆動回路の概略も、図4に示されている。
電極35及び電極36は、該放電管容器99の左端部に配置され、この電極へ接続されたリード線が、該放電管容器99に封着され、放電管容器99の外側へ伸張している。該リード線によって、電極35は、可変抵抗650に接続され、電極36は、可変抵抗660へ接続されている。同様に、電極25及び電極26は、該放電管容器99の右端部に配置され、この電極へ接続されたリード線が、該放電管容器99に封着され、該放電管容器99容器99の外側へ伸張している。該リード線によって、電極25は、可変抵抗610に接続され、電極26は、可変抵抗620へ接続されている。
また、実施例1と同様な、静電遮蔽電極50、背面電極層60、導電性シリコン基板80、電子ドリフト層70と、及び、表面電極40とからなプラズマイグナイタ1、及び、これら各層を適切にバイアスして、高エネルギー電子を放出可能とする、イグナイタ制御回路700、が、該放電管容器99内に封入されている。なお、イグナイタ制御回路700への電源供給ライン、等が、該放電管容器99の外側へ伸張するリード線によって、バイアス電源250などから構成される外部回路に接続される。なお、イグナイタ制御回路700は、トリガ入力端子を有し、該トリガ入力端子へのトリガパルスに同期して、電子放出のタイミングを制御できるようになっている。イグナイタ制御回路700は、半導体集積回路作製技術を用いて作製し、これをプラズマイグナイタ1の構成要素である導電性シリコン基板80上に、電子ドリフト層70上と伴に集積化しても良い。
上記、左端に配置された電極35と電極36の距離は10mm、右端に配置された電極25と電極26の距離も10mmである。また、電極35と電極25は対向して配置されており、一方、電極36と電極26が対応して配置されている。電極35と電極25、及び、電極36と電極26の距離は、いずれも、50mmとしてある。これら4個の電極が囲む領域に、放電空間15が形成される。なお、放電管容器99の内径は、26mmである。
また、該放電管容器99内には、100%キセノンガスが6.6kPaの圧力で充填した。
該無水銀紫外光ランプは、電源110、抵抗810、コンデンサ800、スイッチング素子830、ダイオード820、から構成される、駆動回路により点灯される。定常状態では、コンデンサ800は、ダイオードと5キロオームの抵抗を通じて、電源110の出力電圧にほぼ等しい電圧にまで充電されている。トリガ端子900より、イグナイタ制御回路700へトリガパルスが入力されると、プラズマイグナイタ1が作動し、放電空間11に放電の種と成る高エネルギー電子を供給する。イグナイタ制御回路700は、電子放出にほぼ同期して、スイッチング素子830へ放電電圧パルス発生の為のトリガパルスを出力する。これにより、左端に配置された電極35及び電極36に、コンデンサ800の両端の電圧が印加される。上記、高エネルギー電子が存在するため、電圧印加によって、放電空間11には、プラズマが速やかに生成され、放電電流が流れ始める。プラズマイグナイタ1を動作させない場合には、放電開始の為に必要な電源110の出力電圧(すなわち、放電開始電圧)は、1.5kV以上であったが、プラズマイグナイタ1を作動すると、放電開始電圧は、1kVまで低下した。
紫外光出力を最大化するため、可変抵抗650、可変抵抗660、可変抵抗610、及び、可変抵抗620、を調節しておき、各電極に流入する電流、または、流出する電流の絶対値が、全て等しく成るようにする。この条件が満たされると、放電空間11に生成されるプラズマは、線状化することなく、放電空間11内に均等に行き渡る、いわゆる拡散陽光柱を形成して、強い紫外光出力を生み出す。さらに、コンデンサの放電時定数、及び、放電トリガパルスの周期を調節し、紫外高出力をさらに上昇させることが出来る。本実施例では、パルス繰り返し周波数20kHz、パルスデューティー比20%において、最大出力を得た。
放電容器99の内壁に、真空紫外放射により励起発光する蛍光体を塗布して、実施例4に示した紫外光源によって、無水銀蛍光ランプを作製した。放電容器99の材質は、紫外光透過性の材料でなくとも良く、例えば、ソーダライムガラスなどを用いることが出来る。
これらの蛍光体として、以下を用いた。青色蛍光体としては、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム(BaMgAl10O17:Eu)、緑色蛍光体としては、マンガン付活珪酸亜鉛(Zn2SiO4:Mn)、赤色蛍光体としては、ユーロピウム付活酸化イットリウム(Y2O3:Eu)を用意し、これらを調合して、白色蛍光を得るものとした。実施例4における、紫外光出力が最大化される放電条件を用いて、上記白色蛍光体の励起発光を観測したところ、12000cd/m2の白色光出力を得た。
図5は、実施例5に係わる予備電離機構を備えた放電装置の概略構成図である。本実施例では、実施例6と同様な無水銀紫外光ランプに対し、予備電離可能な2個のプラズマイグナイタ1を搭載して沿面放電を誘起し、さらなる放電電圧の低減を行ったものである。なお、図5では、静電遮蔽電極を省いているが、実施例3に用いた静電遮蔽電極50を用いても良い。
本実施例では、放電容器99の右端に、誘電体支持構造95に接して取り付けられた電極27を用い、電極35に対向して配置する。この誘電体支持構造95の他端には、トリガ電極55が取り付けられている。同様に、誘電体支持構造96に接して取り付けられた電極28は、電極36に対向して配置する。この誘電体支持構造96の他端には、トリガ電極56が取り付けられている。
一方、放電空間11とプラズマイグナイタ1を隔離する隔壁部分、及び、隔壁部分に対して垂直に伸びる水平基板部分とを有する、誘電体部材93を用い、その水平基板部分の両面に、プラズマイグナイタ1を搭載する。該プラズマイグナイタ1は、該放電電極27とトリガ電極55で形成されるギャップ、及び、該放電電極28とトリガ電極56で形成されるギャップ、に向けて、高エネルギー電子を供給し、これらのギャップ間に発生する沿面放電の形成を促す。これらの沿面放電が形成される領域を、各々、沿面放電領域15、及び、沿面放電領域16とする。誘電体部材93の隔壁部分と、電極27及び電極28の間には、僅かな間隙が設けられており、沿面放電領域15及び13に形成された沿面放電からのプラズマ粒子は、放電空間11の方へ拡散して行くことが出来る。これが、放電空間11で放電の種となり、紫外光源となる放電空間11の主放電を成立させる。
ここで、イグナイタ制御回路710は、実施例4におけるイグナイタ制御回路700の機能に加え、沿面放電発生のためのバイアス発生の機能も果たす。具体的には、トリガ端子900より、イグナイタ制御回路710へトリガパルスが入力されると、各プラズマイグナイタ1が作動し、沿面放電領域15、及び、沿面放電領域16に、沿面放電の「種」と成る高エネルギー電子を供給する。イグナイタ制御回路710は、電子放出にほぼ同期してスイッチング素子830へ放電電圧パルス発生の為のトリガパルスを出力する。これにより、左端に配置された電極35及び電極36に、コンデンサ800の両端の電圧が印加される。以降の動作は、実施例4と同様であり、適切な条件の下で、強い紫外線発光を実現する。
本実施例では、実施例4と同等な紫外線出力を実現しつつ、その放電開始電圧は、500Vまで低下した。また、実施例5と同様に、放電容器99の内面に蛍光体を塗布すれば、本実施例の紫外光源を、高輝度・高効率の白色発光を伴う無水銀蛍光ランプとすることができる。
実施例1に係わる予備電離機構を備えた放電装置の概略構成図である。 実施例2に係わる、バイアス制御回路を付加した予備電離機構を備えた、放電装置の概略構成図である。 実施例3に係わる、沿面放電を利用した予備電離機構を備えた、放電装置の概略構成図である。 実施例4に係わる、予備電離機構を備えた放電装置を適用した、無水銀紫外光ランプの概略構成図である。 実施例6に係わる、沿面放電による予備電離機構を備えた放電装置を適用した、無水銀紫外光ランプの概略構成図である。
符号の説明
1 プラズマイグナイタ
10 放電空間
11 放電空間
12 沿面放電領域
15 沿面放電領域
16 沿面放電領域
20 陰極
21 陰極
25 電極
26 電極
27 電極
28 電極
30 陽極
35 電極
36 電極
40 表面電極
50 静電遮蔽電極
51 トリガ電極
55 トリガ電極
56 トリガ電極
60 背面電極層
70 電子ドリフト層
80 導電性シリコン基板
90 誘電体基板
91 誘電体薄膜
92 隔壁
93 誘電体部材
95 誘電体支持構造
96 誘電体支持構造
99 放電管容器
100 電源
110 電源
200 電源
250 バイアス電源
400 電源
500 自己バイアス抵抗500
510 電源
550 バイアス制御回路
610 可変抵抗
620 可変抵抗
650 可変抵抗
660 可変抵抗
700 イグナイタ制御回路
710 イグナイタ制御回路
800 コンデンサ
810 抵抗
820 ダイオード
830 スイッチング素子
900 トリガ端子

Claims (7)

  1. 電子ドリフト層と、該電子ドリフト層上に形成された表面電極とを有するプラズマイグナイタを搭載した放電装置において、該放電装置の陽極と該表面電極の距離が該陽極と該放電装置の陰極の距離よりも大きくなるように配置し、放電空間の近傍に該表面電極を配置したことを特徴とする、プラズマイグナイタを搭載した放電装置。
  2. 該放電空間と該表面電極の間に配置された静電遮蔽電極を有することを特徴とする、請求行1に記載のプラズマイグナイタを搭載した放電装置。
  3. 動作タイミング制御機能と放電開始電圧印加のタイミング制御機能を有し、放電開始後に、表面電極の電位を、概略プラズマ電位にまで高めることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラズマイグナイタを搭載した放電装置。
  4. 電子ドリフト層と、該電子ドリフト層上に形成された表面電極とを有するプラズマイグナイタを搭載した放電装置において、誘電体基板に接触して配置された沿面放電陰極と、該誘電体基板に接触し、該沿面放電陰極の近傍に配置されたトリガ電極と、このトリガ電極の近傍に配置された表面電極を有することを特徴とする、プラズマイグナイタを搭載した放電装置。
  5. 希ガスを封入した、紫外光を透過する材料で作製された放電容器と、
    該放電容器の内側で互いに対向して配置された陰極と陽極の組を少なくとも二組有し、
    対向する複数の電極の間に高周波でデューティー比20%以下であるパルス電圧を印加することを特徴とする、
    請求項1乃至3いずれか一つに記載のプラズマイグナイタを搭載した放電装置。
  6. 該放電容器の内側に蛍光体を塗布して、真空紫外励起発光を可能としたことを特徴とする、請求項5に記載のプラズマイグナイタを搭載した放電装置。
  7. 希ガスを封入した、紫外光を透過する材料で作製された放電容器と、
    該放電容器の内側で互いに対向して配置された陰極と陽極の組を少なくとも二組有し、
    対向する複数の電極の間に高周波でデューティー比20%以下であるパルス電圧を印加することを特徴とする、
    請求項4に記載のプラズマイグナイタを搭載した放電装置。
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