JP6344235B2 - 複合口金および複合繊維、複合繊維の製造方法 - Google Patents

複合口金および複合繊維、複合繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、2種類以上のポリマーによって構成される複合ポリマー流を吐出するための複合口金、およびこの複合口金を用いた複合紡糸機により溶融紡糸を行い得られた複合繊維、複合繊維の製造方法に関するものである。
2種類以上のポリマーを組み合わせることによって、単一成分のポリマーでは不十分な性能を補完したり、また、全く新しい機能を付与する複合繊維が、用途の多様化により数多く開発されるようになった。
複合繊維の1つである海島複合繊維は、断面観察において、組成が異なる2種類以上のポリマーが相分離しており、ある種のポリマーが別のポリマー中に分散し、前者のポリマーが島、後者のポリマーが海に見える繊維である。以下前者のポリマーを「島ポリマー」、後者のポリマーを「海ポリマー」ということがある。
そして溶融紡糸して海島複合繊維を製造したあとに、易溶出成分である海ポリマーを溶出することにより、難溶出成分である島ポリマーだけが残存し、単繊維の糸径がナノメートルオーダーの極細繊維を得ることが可能となる。衣料用途では、一般の繊維では得ることができない柔軟な感触や、きめ細やかさが発現し、人工皮革や新感触テキスタイルなどに適用できる。また、繊維間隔が緻密となることから、高密度織物として、防風性、撥水性が必要とされるスポーツ衣料用途にも展開できる。また、産業資材用途では、比表面積が増大し、塵埃捕集性が高まることによる高性能フィルターなどへの適用や、また、極細繊維が微細な溝に入りこみ、汚れを拭き取ることによる精密機器などのワイピングクロスや、精密研磨布などにも適用が可能となる。
一般的に、複合口金にて複合ポリマー流を形成し、これにより複合繊維を製造する手法を、複合紡糸法と言い、ポリマー同士の溶融混練にて製造する手法を、ポリマーアロイ法と言う。
ポリマーアロイ法では複合紡糸法と同様に極細繊維の製造は可能であるが、繊維径の制御には限界があり、均一な極細繊維を得るのが困難である。それに対して、複合紡糸法は、複合口金で2種以上のポリマーからなる複合ポリマー流を形成し、精密に複合構造を制御することが可能である。このため、高精度な糸断面形態を均一に形成できる点において、ポリマーアロイ法よりも優位性が高い。
この複合紡糸法において、安定的な糸断面制御を可能にするためには、複合口金技術が重要である。このため、従来から、様々な提案が行われている。
海島複合繊維に関する複合口金技術を大きく二つに分類すると、パイプ方式口金技術と分配方式口金技術になる。
パイプ方式口金の代表的な例は、特許文献1に開示されている。図15に特許文献1の複合口金の部分拡大縦断面図を示している。なお、各図面において、説明済みの図に対応する同じ符号の部材が存在する場合は説明を省略することがある。
図15に示したパイプ方式口金は、海ポリマー導入流路21と島ポリマー導入流路22とパイプ20と海ポリマー分配室23を設けた分配装置1と、複合ポリマー吐出孔15を設けた吐出板2と、口金吐出孔6を設けた縮流板3と、によって構成されている。
この口金においては、易溶出成分の海ポリマーは、海ポリマー導入流路21から海ポリマー分配室23に導かれ、パイプ20の外周を充満する。一方、難溶出成分の島ポリマーは、島ポリマー導入流路22からパイプ20に導かれ、パイプ20から吐出される。このパイプ20から吐出された島ポリマーは海ポリマー分配室23に充満された海ポリマーに挿入されることとなり、海ポリマーが島ポリマーを被覆した複合ポリマー流を形成する。その後、この複合ポリマー流は、複合ポリマー吐出孔15を経て、複合ポリマー流同士が合流し、口金吐出孔6から吐出されることで、海島断面を有した複合繊維となる。
以上のようなパイプ方式口金において、単位面積当たりのパイプ20の本数を加工限界まで高めることにより、海島複合繊維の断面において、島成分の数が多くなり、海ポリマー溶出後の極細繊維の本数を増加させることができたり、極細繊維の繊維径を縮小化することができる。しかしながら、パイプ20の本数を高めた場合には、パイプ間距離が狭まることによって、海ポリマーがパイプ20の中心部まで侵入できずに、海ポリマーの分配性が悪化する。このため、島ポリマーが海ポリマーによって被覆されない部分が出てきてしまい、特に高い島ポリマー比率で紡糸した場合には、島ポリマー同士の合流が発生する場合がある。この解消のためには、パイプ20の配置を最適化し、海ポリマーの分配性を高める必要があり、この解決策の代表例が特許文献2および特許文献3で開示されている。
図17は特許文献2および特許文献3で採用されている吐出板の部分拡大平面図である。
図17の吐出板では、複合ポリマー吐出孔15を有し、パイプ20を配置しない海ポリマー進入流路11(この部分には吐出孔はない)を設けることで、吐出孔の数が増えても、海ポリマーの分配性を良好にし、複合ポリマー吐出孔群全体に斑なく海ポリマーを供給することを可能としている。このため、複合ポリマー吐出孔群の中心部においても、島ポリマー間に海ポリマーが存在することとなり、島ポリマーの合流を抑制することが可能となる。よって、特許文献2あるいは特許文献3の口金技術においては、パイプ方式口金であっても、比較的島数が多い海島複合繊維を得ることが可能となる。
一方、島数の増加を考えた場合には、分配方式口金は有効な技術である。その代表的な例として、特許文献4が挙げられる。図16は特許文献4に開示された形状の吐出板の部分拡大平面図である。
図16では、吐出板に設けられた、ある島吐出孔13を基準とした場合、その島吐出孔13に最も短い中心間距離で隣接する島吐出孔13aと、基準の島吐出孔13との2本の共通外接線30で囲まれた領域内に、少なくとも海吐出孔12の一部が存在するように各吐出孔が配置された構成となっている。このため、図16の吐出板においては、島ポリマー間に強制的に海ポリマーが配置されることとなり、島吐出孔13と島吐出孔13aから吐出された島ポリマーの合流を防止することができる。よって、隣接する島吐出孔13を加工限界レベルにまで近づけた場合でも、島ポリマーの合流を防止することができるため、吐出導入孔の断面積当たりの、島ポリマーが吐出される吐出孔の数をより大きくすることができる。
以上のように従来の口金技術においても、種々改良が加えられることにより、島数が多い海島複合繊維を製造することが可能となり、昨今では、この島数に応じて島ポリマーを多数に分割することにより、前記したとおり、繊維径がナノオーダーのナノファイバーでさえ、採取が可能になってきている。しかしながら、特許文献1から特許文献4に挙げられる技術において、単純に孔充填密度などを増大した場合には、海島複合繊維の断面にある島成分同士の距離が小さくなる。このため、極細繊維を製造するための海ポリマーを溶剤で溶出する工程において、溶剤により溶けた海ポリマーが島ポリマー間あるいは極細繊維間から効率よく排出されなくなり、海ポリマーの溶出の効率が低下する場合がある。よって、海ポリマーを完全に溶出する時間が増大し、特に、ナノファイバーなどを得ようとする場合には、ナノファイバーの劣化やナノファイバー同士が凝集するなど、ナノファイバーに期待される機能が得られないなどの課題があった。
特開2001−192924号公報 特開2009−91680号公報 特表2012−518100号公報(米国特許出願公開第2010/205926号明細書) 特開2011−208313号公報
以上の様に、島吐出孔の孔充填密度を高めた複合口金による海島複合繊維の製造方法が切望されていた。しかしながら、前記したように、海ポリマーの溶出時に海ポリマーの溶出不良が発生するため、それを減少させるという課題が残されており、極細繊維の製造の妨げになってきた。このため、この問題を解決することは、工業上、重要な意味を有するのである。よって、本発明の課題は、海ポリマーの溶出時に海ポリマーの溶出の効率が良好な海島複合繊維を提供することであり、また前記海島複合繊維の製造に好適な複合口金を提供することにある。
前記問題を解決するために、本発明の海島複合繊維、海島複合繊維の製造方法および複合口金は、次のような構成を有する。
(1)海成分および島成分を有する複合繊維であって、
複合繊維の断面観察において、
海成分中に複数の島成分が配置された海島領域と、
海成分のみで形成され、海島領域によってはさまれている、1または2以上の海成分領域と、
を有し、前記海成分領域の幅(H)が、前記海島領域内に存在しかつ隣接する島成分同士の距離(W)の最大値よりも大き大きく、
前記海成分領域が十字型である複合繊維。
(2)前記海成分領域が前記複合繊維の表層から内部方向に通じている前記複合繊維。
(3)前記海島領域の島成分が規則的に配置されている前記いずれかの複合繊維。
(4)前記海島複合繊維の断面観察において、海成分領域の長さ(L)と複合繊維の直径(D)の比(L/D)が0.25以上であ前記いずれかの複合繊維。
(5)前記海島複合繊維の断面観察において、海成分領域の幅(H)が島成分の最大の直径(d)よりも大きい前記いずれかの複合繊維。
)断面観察において、海成分領域の幅(H)と複合繊維の直径(D)とが下記式を満足する前記いずれかの複合繊維。
0.001<H/D<0.2
)断面観察において、複合繊維の断面積(Ac)と海成分領域の面積の合計(As)とが下記式を満足する前記いずれかの複合繊維。
0.05≦As/Ac≦0.35
(8)前記いずれかの複合繊維から海ポリマーを溶出する工程を有する極細繊維の製造方法。
(9)前記いずれかの繊維を含む繊維製品。
10)島ポリマーと海ポリマーによって構成される複合ポリマーを吐出するための複合口金であって<1>および<2>の要件を満足する複合口金。
<1>複合口金は、各ポリマーを分配する分配装置と、
前記分配装置のポリマー紡出経路方向の下流側に位置し、複数の海吐出孔と、複数 の島吐出孔および複数の複合ポリマー吐出孔から選ばれる少なくとも1種以上の吐出孔 とを有する吐出板と、
前記吐出板のポリマー紡出経路方向の下流側に位置し、
前記海吐出孔および前記島吐出孔、
前記海吐出孔および前記複合ポリマー吐出孔、
ならびに前記海吐出孔、前記島吐出孔および前記複合ポリマー吐出孔
の組み合わせのいずれかから選ばれる吐出孔の組み合わせの吐出孔に連通した吐出 導入孔を有する縮流板と、
で構成されていること。
<2>前記吐出板は、複数の吐出孔から構成される吐出孔集合体を有し、前記吐出 孔集合体は、前記海吐出孔から形成される海成分領域形成用吐出孔群と、(i)〜(v)の いずれかより形成される少なくとも一つ以上の海島吐出孔群と、で構成されていること 。
(i)前記海吐出孔と前記島吐出孔
(ii)前記複合ポリマー吐出孔
(iii)前記海吐出孔と前記複合ポリマー吐出孔
(iv)前記島吐出孔と前記複合ポリマー吐出孔
(v)前記海吐出孔と前記島吐出孔と前記複合ポリマー吐出孔
11)さらに<3>の要件を満たす前記複合口金。
<3>前記海成分領域形成用吐出孔群が、前記吐出孔集合体の外周から内部に向かい、前記海島吐出孔群の一部を両側に挟む形で連続的に配置されていること。
12)前記分配装置が、複数の複合ポリマー吐出孔を有するものであって、分配孔と分配溝、または少なくとも一方が形成された分配板が1枚以上積層されて構成され、前記分配孔または前記分配溝が、前記吐出板の前記海吐出孔、前記島吐出孔、および前記複合ポリマー吐出孔から選ばれる1種以上の吐出孔に連通している前記いずれかの複合口金。
13)前記分配装置が、複数の複合ポリマー吐出孔を有するものであって、
前記吐出板の前記複合ポリマー吐出孔と一対一に対応した位置に配設され、前記島ポリマーをポリマー吐出孔へ供給するための複数のパイプと、
海ポリマーを供給するための海ポリマー導入流路と、
海ポリマー導入流路に連通し前記複数のパイプを取り囲むように設けられた海ポリマー分配室と、
を有し、前記吐出板の前記複合ポリマー吐出孔が、前記パイプおよび前記海ポリマー分配室に連通している前記いずれかの複合口金。
14)前記吐出孔集合体の一部を形成する海吐出孔が、n角格子の各頂点に配置され、前記吐出孔集合体の一部を形成する島吐出孔がn角格子の重心位置に配置され、前記海成分領域形成用吐出孔群を形成する前記海吐出孔に、最も近接した前記海吐出孔または前記島吐出孔との中心間距離を半径とする仮想円周線上に、m個以下の前記島吐出孔が配置され、nおよびmが、(x)から(xii)のいずれかの要件を満足する前記いずれかの複合口金。
(x)n=6、m=2
(xi)n=4、m=3
(xii)n=3、m=5
15)前記吐出孔集合体の外接円を半径Rとし、前記外接円の外周から、中心から0.5R以下の半径を有する円の内側まで、前記海成分領域形成用吐出孔群が、前記海島吐出孔群によって両側に挟まれる形で連続的に配置されている前記いずれかの複合口金。
16)前記いずれかの複合繊維の製造用である前記いずれかの複合口金。
17)前記いずれかの複合口金を用いた紡糸機の、前記複合口金に島ポリマーおよび海ポリマーを投入し、島ポリマーおよび海ポリマーを複合口金から吐出させ、紡糸する工程を含む複合繊維の製造方法。
18)製造される複合繊維が前記いずれかの複合繊維である前記複合繊維の製造方法。
なお、本発明で使用する用語の意義は以下のとおりである。
「分配孔」とは、複数の分配板の組合せにより、孔が形成され、ポリマーの紡出経路方向に、ポリマーを分配する役割を果たすものをいう。
本発明で「分配溝」とは、複数の分配板の組合せにより、溝が形成され、ポリマーの紡出経路方向に垂直な方向に、ポリマーを分配する役割を果たすものをいう。ここで、分配溝は、細長い穴であってもよいし、細長い溝が掘ってあってもよい。
本発明において、「ポリマー紡出経路方向」とは、各ポリマーが分配装置から口金吐出孔まで流れる主な方向をいう。
「複合ポリマー吐出孔」とは、島ポリマーと海ポリマーとが、芯鞘、サイドバイサイド、層状、海島状、または円周状に合流した複合ポリマーが吐出される吐出孔をいう。
「孔充填密度」とは、島吐出孔の数と複合ポリマー吐出孔の数の和を吐出導入孔の断面積の和で除することによって求めた値をいう。なお、本発明において、島吐出孔のみの場合もあり、また複合ポリマー吐出孔のみの場合がある。 繊維断面観察における「直径」とは、直径が定義されるべき図形が円でない場合には、その図形の面積と同じ面積の円の直径をいう。ただし海ポリマーを除去し、島ポリマーのみが残った繊維については、繊維断面の外接円の直径をいう。
繊維断面観察での図形の「中心」とは、重心位置を意味する。
本発明で「脱海」とは複合繊維の海ポリマーを溶剤で溶出することをいう。
本発明の複合繊維によれば、複合繊維の断面積あたりの島成分の数が多くても、容易に海ポリマーを溶剤により効率的に溶出することができ、極めて細い極細繊維が得ることができる。そして本発明の複合口金によれば、前記複合繊維を容易に製造することができる。
本発明の実施形態に用いられる複合口金の概略縦断面図。 本発明の実施形態に用いられる複合口金、紡糸パックおよび冷却装置周辺の概略縦断面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の平面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大縦断面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の実施形態に用いられる複合口金の概略縦断面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の一例である複合繊維の断面図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 従来例の複合口金の部分拡大縦断面図。 従来例の吐出板の部分拡大平面図。 従来例の吐出板の部分拡大平面図。 本発明の別の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の複合繊維の断面の部分拡大図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 本発明の一参考例である複合繊維の断面図。 本発明の一例である複合繊維の断面図。 従来の複合繊維の一例の断面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。 本発明の参考実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図。
以下、本発明について、望ましい実施形態とともに詳述する。
本発明の複合繊維は、図13に例示するように、海成分41の中に島成分43が配置された海島領域42と、海成分41のみで形成される海成分領域44とが存在していることを特徴としている。
本発明で言う海成分領域44は、図13に示すように海ポリマーのみから形成されており、前記海成分領域の幅(H)が、海島領域内に存在しかつ隣接する島成分同士の距離の最大値よりも大きい領域を意味する。本発明の複合繊維においては、この海成分領域が複合繊維の海島領域により挟まれた状態で存在し、断面観察において1または2以上存在する。
上述のとおり、本発明の複合繊維は極細繊維を製造することを目的のひとつとしており、この構造とするのは、島充填密度を増加させても海ポリマーの溶出処理の効率が低下しないようにするためである。従来の海成分に島成分が多数配列された複合断面では、おのずと溶剤による処理が複合繊維の外層から徐々に進行していく。複合繊維の内部まで海ポリマーの溶出処理が到達するまでに、島成分までもが溶剤の影響を受ける。そのため、得られる極細繊維は著しく品位を低下させるか、脱海が完了しないなどの問題があったのである。
そこで、本発明の複合繊維のように、断面観察において、海ポリマーのみからなる海成分領域を設けることに着想した。すなわち、本発明の複合繊維においては、複合繊維の海ポリマーを溶出する際に、溶剤が海島領域に存在する海ポリマーを溶解するよりも早く、海成分領域の海ポリマーが溶出される。このため、溶剤が複合繊維の中心にまで、早期に到達することから、海ポリマーの溶出時間を短縮することができるのである。
ここで言う海島領域での隣接する島成分同士の距離(島成分間距離;W)および海成分領域の幅(H)は以下のように求めることができる。
すなわち、複合繊維をエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面をミクロトームにて切削した後、その切削面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて断面全体が観察できる倍率で撮影する。この際、金属化合物で染色を施せば、島成分と海成分のコントラスト差をはっきりさせることができる。無作為に選定した複合繊維10本以上の断面画像から画像処理ソフトを用いて海成分領域の幅を測定することができる。ここで言う島成分間距離および海成分領域の幅とは、画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面の画像に表現される島成分同士の距離および海成分領域の幅のことを意味する。この島成分間距離とは、海島領域内で隣接する2つの島成分について、ある島成分と他の島成分間の距離の最小値を言う。海成分の幅は以下のとおり算出する。海成分領域と海島成分領域との境界線を想定する。境界線を構成する点を想定し、それぞれの点から、反対方向の海島成分との海島領域との境界線への最短距離を求める。
この島成分間距離および海成分領域の幅は、いずれもμm単位で小数点第2位まで測定し、小数点第2位を四捨五入するものである。以上の操作を、それぞれ無作為に抽出された10箇所以上で行った。島成分距離については測定された値の平均値を採用した。
以上のような断面観察において、海成分領域が大きい幅をもって存在する場合には、海ポリマーの溶出処理の初期段階において、複合繊維の側面から中心部に向かいクラックが形成し、溶剤が複合繊維の内部に侵入しやすくなる。また、この形成されたクラックは複合繊維の内部まで大きく伝播し、複合繊維を分割することができる。このように複合繊維が複数に分割されると、海ポリマーの溶出処理するときの溶剤に暴露される複合繊維の比表面積が増加し、海ポリマーの溶出速度が上昇し好適である。ここで言う比表面積とは、繊維質量当たりの表面積のことを意味する。
このような現象が発現する目安としては、海成分領域の幅(H)と複合繊維の直径(D)が0.001<H/D<0.2を満足している関係になっていることが好ましい。かかる範囲になると液流染色機などの流液内で海ポリマーの溶出処理をした際には、処理時に液流により複合繊維が物理的な刺激を受けることで、一旦形成されたクラックが海ポリマーの溶出処理の進行に伴い拡大する。さらに、前記した液流の効果で、複合繊維に圧縮方向へ力が加わると、物理的に分割されることになる。複合繊維内部への溶剤の侵入やクラック形成のし易さからすると、H/Dは大きいほど好適であるので、H/Dが0.01以上、さらに0.03以上であることが好ましい。一方0.2以下とすることで、複合繊維および複数存在する島成分の断面形態の均質性(例えば直径、形状)や断面観察などによる品質管理が簡易であるという点から好ましいのである。
このようなクラックの形成を複合繊維の全体に拡げるという観点では、海成分領域の断面積(As)が複合繊維の断面積(Ac)に対して一定以上の比率を有していることが望ましく、0.05≦As/Acの関係にあることが好ましい。またAs/Ac≦0.35の範囲にあることが好ましい。As/Acというパラメータにおいても、大きいほど脱海効率は向上することになるが、かかる範囲であれば、海成分領域の形成に用いる海ポリマーの量は少なく、海島領域にも、海島断面を形成するのに十分な海ポリマーを供給できることになるため、高い島ポリマー比率で本発明の海島複合繊維を製造することができる。また、前記した島成分の均質性や品質管理のし易さに加えて、口金設計などの難易度を不必要に高くする必要もなくなる。
本発明の複合繊維に存在する海島領域は、前記のとおり海成分内に複数の島成分が存在する領域のこと言うが、この海島領域内で、島成分が規則的に配置されていることが好ましい。
ここで言う規則的な配置とは、図19に例示するとおり、近接した4つの島成分において、隣り合う2つの島成分の中心を結んだ直線同志(図19中の45−(a)(2つの島成分の中心を結んだ直線)および45−(b)(別の2つの島成分の中心を結んだ直線))が平行関係にあることが好ましい。ここで言う平行関係とは、前記二つの直線がなす角度が0°以上5°以下であることをいう。島成分の平行関係の評価においては、海成分領域の幅の場合と同様に、撮影した複合繊維の断面において、無作為に摘出したについて、前述のとおり2つの直線をなす角度を20箇所以上小数点第1位まで測定し、この平均値の小数点以下を四捨五入して求めた値が、前記の範囲であれば、平行関係にあるとした。
本発明の複合繊維における海島領域において、島成分が規則的に配列されていると、製糸および後加工で複合繊維にかかる張力を複合繊維の断面全体で均等に担うという効果が生まれ、製糸性や後加工性が大きく向上する。一般に海島複合繊維の場合では、高い紡糸速度での紡糸が困難になるが、本発明の海島複合繊維では島成分が規則的に配置されているので、高い紡糸速度でも、紡糸可能となる。また、この際にも応力が繊維断面の一部分に集中することがないため、品位に優れたものとなる。
海ポリマーの溶出効率の向上効果を高めるには、本発明の複合繊維における海成分領域の長さ(L)と複合繊維の直径(D)の比(L/D)が0.25以上であることが好ましい(例えば図13参照)。かかる範囲であれば、海ポリマーの溶出処理の初期段階において、海成分領域にクラックが生じ、ここに溶剤が侵入することにより、溶剤に曝されている海ポリマーの比表面積が増加するため、効率的な海ポリマーの溶出が可能とする。なぜなら、海ポリマーは溶剤による処理により、溶解が進行するからである。この効果により、海ポリマーは結果的に脆化されることとなるが、溶解が進みやすい海ポリマーから形成されているため、溶出処理の初期段階で脆化され、液流染色機などで溶出処理を行う場合には、液流により物理的刺激を受けることで簡単にクラックが形成されるのである。
このような海成分領域の脆化によるクラック形成は、複合断面の直径と海成分領域の幅の比が0.25以上であれば発現するものであるが、L/Dが0.50以上であることがより好ましい。すなわち、かかる範囲であれば、溶出処理の初期の段階で複合繊維径の1/2以上にクラックが形成されることとなり、このクラックは溶出処理が進行し、更に物理的な刺激を受けることで複合繊維の断面を横断的に伝達し、最終的には複合繊維が半分に分割される。このような場合には、溶剤に処理される比表面積が複合繊維の分割数の2乗に比例して増加することとなる。このため、海ポリマーの溶出の効率が更に向上するのである。このような観点で言えば、海成分領域の長さ(L)は、長いほど好適であり、実施可能な値は最大1まで可能であり、特に好ましい範囲として挙げることができる。
また、本発明の複合繊維における海成分領域の幅(H)は島成分の最大の直径(d)よりも大きいことが好ましい。なぜなら、本発明の目的とする海成分領域を配置したことによる脱海効率の向上効果は、基本的には海成分領域の幅(H)に依存するものであるが、この幅が島成分の最大の直径(d)よりも大きい場合には、島成分の影響により溶剤の侵入やクラック形成が阻害されることなく良好に進行するため、好適なのである。
さらに本発明の複合繊維においては少なくともひとつの海成分が、海成分領域の幅(H)が島成分の最大径(d)よりも海成分領域の幅(H)以上となる海成分領域の長さ(L1)が複合繊維の直径(D)の直径の1/4以上であることが好ましい。
なお、この島成分の直径の評価方法は以下のとおりである。すなわち、海成分領域の幅の場合と同様に海島複合繊維の断面を撮影し、複合繊維のマルチフィラメントにおいて、150個以上の島成分が観察できる倍率として画像を撮影する。撮影された画像から無作為に抽出した150本の島成分の直径を測定する。ここで言う島成分径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に3点以上で外接する仮想円の直径のことを意味する。島成分径の値に関しては、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。撮影した150本島成分の直径を調べて、この最大値を本発明で言う島成分の最大の直径(d)とした。
本発明の複合繊維においては、この島成分の最大の直径(d)が海成分領域の幅(H)よりも小さいことが好ましく、前記したクラック形成への阻害を抑制するという観点では、H/dの関係が2.0以上であることがより好ましい。なお、本発明の複合繊維においては、この島成分の直径が100〜5000nmであることが好ましく、係る範囲であれば、本発明の脱海効率の向上の効果があり、更に海ポリマーの溶出処理を施した極細繊維は品位の高い優れた特性を有した極細繊維となる。繊維径が100〜5000nmの範囲であれば、海ポリマーの溶出処理の阻害になることなく、本発明の海成分領域の効果がより顕著化することに加えて、単独の紡糸技術では到達できない極限的な細さを有した極細繊維を採取することも可能である。
本発明の複合繊維から発生させる極細繊維は、その直径が5μm以下になると、通常の繊維(数十μm)では得ることができない柔軟なタッチやきめ細やかさを有する。その特性を利用して、例えば、人工皮革や高風合アパレル用素材として使用できる。その他にも、繊維間隔の緻密さを利用し、高密度織物とし、防風性や撥水性を必要とするスポーツ衣料にも使用することができる。また、極細化された繊維は、細かい溝へ入り込み、かつ比表面積の増大や微細な繊維間空隙に汚れが捕捉される。このため、高い吸着性および塵埃捕集性を発現する。この特性を利用し、産業資材用途では、精密機器などのワイピングクロスや精密研磨布として利用することができる。特にIT用研磨やワイピングに用いるようにするには、高度な払拭性能などが要求されるようにさるため、極細繊維の直径は細いほど好適であり、100〜1000nmの範囲がより好ましい範囲として挙げることができる。本発明の複合繊維においては、その島成分を100nm未満にすることも可能であるが、海ポリマーの溶出処理中の取り扱い性などの観点から、島成分の直径は100nm以上が好ましい。
前記したような極細繊維およびそれからなる繊維製品の製造に本発明の複合繊維を活用することは好適なことであり、従来では困難であった力学特性などの極細繊維の基本特性を向上させることができたり、その極細繊維束の均質性を高めることで、それからなる繊維製品の品位を高めることが可能となる。
極細繊維を発生させる目的の複合、繊維の場合には、一般に島ポリマーを難溶解成分、海ポリマーを易溶解成分とする場合が多い。例えば、島ポリマーをポリエチレンテレフタレート(PET)、海ポリマーを易溶出性とするための共重合PETとする場合がある。この場合、海ポリマーとした共重合PETは、島ポリマーと比較して、溶剤に対する高い溶解速度を有するものである。しかしながら、海ポリマーの溶出処理の効率が悪く、海ポリマーが完全に溶出するまでの時間が長い場合には、島ポリマーまでもが溶剤によって処置されてしまう場合がある。特に、島成分の径を小さくした場合には、この影響は非常に顕著なものである。特に島成分がμmオーダーの場合には、島成分の比表面積が高まることで、極細繊維束の力学特性の低下や、複合繊維において最外層に配置されていた島成分と内層に配置されていた島成分とでは、その径が異なるなど、品位が低下する場合があった。
本発明の複合繊維においては、海成分領域を本発明のように配置したことにより、海ポリマーの溶出処理の初期段階から複合繊維の内部まで溶剤の処理がおよぶため、従来の複合繊維で課題となっていた品位の低下の問題は極めて少ない。また島充填密度を高めたとしても、海ポリマーに対する島ポリマーの比率を高めることで、島ポリマーからなる極細繊維を原料の複合繊維に対する収率を高くして製造することが可能となる。更に、この島ポリマー比率を高めることは、製糸工程(紡糸、延伸)での応力を島成分に効率良く伝えることができるため、島成分の繊維構造を高度に生成させることできる。このため、極細繊維の力学特性を高めることが可能であることに加えて、島成分の配向結晶化が進むことで、自体の溶剤に対する耐性を向上させることができる。
以上のように、本発明の要件である海成分領域の存在は、従来の課題であった島充填密度を増加させても、海ポリマーの溶出の効率が低下することはない。このため、多島化による極細化が可能であり、更に、島ポリマーの比率を高めることで力学特性などの基本特性に優れた極細繊維が生産性高く安定的に製造することが可能となる。このような効果を実現する海成分領域は、本発明で定める範囲を満足すれば、図13よび図20〜図26に例示されるものも含めてその効果を発揮する。特に海成分領域を複合繊維の表面から内部方向に配置する場合には効果的である。また海成分領域がある程度の断面積比率を持って存在することで、クラック形成による複合繊維の分割が効率良く進行することとなる。更に、このようなクラック形成による複合繊維の分割という観点を推し進めると、本発明の海島成分領域は、複合繊維の断面に広く配置されていることが好適である。中でも図13に示されるような海成分領域が十字形の配置されていることが好ましい。
本発明の海島複合繊維は、破断強度が0.5〜10.0cN/dtexであることが好ましく、伸度が5〜700%であることが好ましい。ここで言う、強度とは、JIS L1013(1999年)に示される条件でマルチフィラメントの荷重−伸長曲線を求め、破断時の荷重値を初期の繊度で割った値であり、伸度とは、破断時の伸長を初期試長で割った値である。また、初期の繊度とは、繊維の単位長さの質量を複数回測定した単純な平均値から、10000m当たりの質量を算出した値を意味する。後加工工程の工程通過性や繊維の実際の使用に耐えうるものとするためには、本発明の海島複合繊維の破断強度は、0.5cN/dtex以上とすることが好ましい。製造可能な上限値は10.0cN/dtex程度である。また、伸度についても、後加工工程の工程通過性も考慮すれば、5%以上であることが好ましい。通常製造可能な物の伸度の上の値は700%である。破断強度および伸度は、目的とする用途に応じて、製造工程における条件を制御することにより、調整が可能である。
本発明の海島複合繊維から得られた極細繊維をインナーやアウターなどの一般衣料用途に用いる場合には、破断強度を1.0〜4.0cN/dtex、伸度を20〜40%とすることが好ましい。また、比較的使用状況が過酷になる、スポーツ衣料用途などでは、破断強度を3.0〜5.0cN/dtex、伸度を10〜40%とすることが好ましい。該極細繊維は非衣料用途では、ワイピングクロスや研磨布としての使用が考えられる。これらの用途では、繊維製品が、加重下で引っ張られながら対象物に擦りつけられることになる。このため、破断強度が1.0cN/dtex以上、伸度10%以上であることが好適である。係る範囲の力学特性とすることで、例えば、拭き取り中などに極細繊維が切れて脱落などすることがなくなる。
本発明の海島複合繊維は、繊維巻き取りパッケージやトウ、カットファイバー、わた、ファイバーボール、コード、パイル、織編、不織布など多様な中間体とし、海ポリマーを溶出処理して極細繊維を発生させ、様々な繊維製品とすることが可能である。また、本発明の海島複合繊維は、未処理のまま使用する、部分的に海ポリマーを除去する、または島ポリマーを除く処理をするなどして、繊維製品とすることも可能である。
繊維製品としては、ジャケット、スカート、パンツ、下着などの一般衣料から、スポーツ衣料、衣料資材、カーペット、ソファー、カーテンなどのインテリア製品、カーシートなどの車輌内装品、化粧品、化粧品マスク、ワイピングクロス、健康用品などの生活用途や研磨布、フィルター、有害物質除去製品、電池用セパレーターなどの環境・産業資材用途や、縫合糸、スキャフォールド、人工血管、血液フィルターなどの医療用途に使用することができる。
以下、さらに本発明の複合繊維の製造方法および製造使用でき複合口金について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態のひとつである複合口金の概略断面図である。図2は本発明の複合口金7と、それと併せて使用される紡糸パック8、冷却装置9およびその周辺の概略断面図である。図4は、本発明の実施形態のひとつとして用いられる吐出板の平面図であり、図5は、図4の部分拡大平面図である。また、図3、図7、図8、図9、図11、図12、図18、図27〜図35は本発明の各種実施形態に用いられる吐出板の部分拡大平面図である。なお、これらは、本発明の要点を伝えるための概略図であり、図での記載は簡略化されている。本発明の複合口金はでは、孔および溝の数ならびにその寸法比などは図示したものに限られず、実施の形態に合わせて変更可能である。
本発明の実施形態に用いられる複合口金7は、図2に示すように、紡糸パック8に装備され、スピンブロック10の中に固定される。複合口金7の下には冷却装置9が設けられる。複合口金7は、図1に示すように、各ポリマーを分配するための分配装置1、吐出板2および縮流板3を順に積層して構成される。また、吐出板2には、図5に示すように、島ポリマーを吐出するための島吐出孔13、または海ポリマーを吐出するための海吐出孔12が形成されており、島吐出孔13と海吐出孔12とが群を形成している海島吐出孔群と、海吐出孔12のみが群を形成している海成分領域形成用吐出孔群とによって、吐出孔集合体18が構成されている。
ここで、分配装置(図示していない)によって分配された各成分のポリマーは、図5に示される島吐出孔13、または海吐出孔12より吐出され、各成分のポリマーが合流し、複合ポリマー流が形成される。その後、複合ポリマー流は、図1に示される縮流板の吐出導入孔4、縮流孔5を通過して、口金吐出孔6より吐出される。この複合ポリマー流は、図2に示される口金吐出孔6から吐出された後、冷却装置9により吹き出される気流により冷却固化される。その後、油剤を付与された後に、海島複合繊維として巻き取られる。なお、図2では、環状内向きに気流を吹き出す環状の冷却装置9を採用しているが、一方向から気流を吹き出す冷却装置を用いてもよい。
ここで、海ポリマー溶出時の溶出不良を抑制し、海ポリマー溶出時間の短縮を可能とする手段について説明する。
本発明の実施形態の複合口金に使用される吐出板は、図5に例示したように、複数の海吐出孔12から形成される海成分領域形成用吐出孔群と、以下の(i)〜(v)のいずれかより形成される少なくとも一つ以上の海島領域を形成するための吐出孔群(以下「海島吐出孔群」という)が存在し、これらの吐出孔が併せて一つの吐出孔集合体を構成する。海成分領域形成用吐出孔群が海島吐出孔群によって挟まれる形で連続的に配置される。ここで、下記(i)の組み合わせにより形成される海島吐出孔群の配置を図5、(ii)より形成される海島吐出孔群の配置を図3、(iii)の組み合わせにより形成される海島吐出孔群の配置を図9、(iv)の組み合わせにより形成される海島吐出孔群の配置を図11、(v)の組み合わせにより形成される海島吐出孔群の配置を図18に例示した。
(i)海吐出孔12と島吐出孔13
(ii)複合ポリマー吐出孔15
(iii)海吐出孔12と複合ポリマー吐出孔 15
(iv)島吐出孔13と複合ポリマー吐出孔 15
(v)海吐出孔12と島吐出孔13と複合ポリマー吐出孔15
それにより、吐出板の海島吐出孔群および海成分領域形成用吐出孔群から吐出された各ポリマーは、吐出導入孔にて合流した後、口金吐出孔より吐出され、海成分領域および海島領域を有した複合繊維となる。
ここで、本発明の実施形態のひとつとして、海島吐出孔群が(i)の配置となる場合において、海成分領域を形成できる原理をポリマーの流れに沿って説明する。
島ポリマー、および海ポリマーは、図1に示される吐出板2から下流側に一斉に吐出される。吐出されたポリマーはポリマーの紡出経路方向に沿って流れ、ポリマーの紡出経路方向に垂直な方向に拡幅することで、隣接するポリマー同士が合流し、複合ポリマー流となる。この際、吐出板を、図5に示すように、海吐出孔12のみの海島吐出孔群を設置することが、図13に示すような海成分領域44が存在する複合繊維を製造するには有効である。但し、吐出されたポリマーは、流路空間を埋めるために、拡幅するように移動するため、図17に示すような海島吐出孔群間の距離を単に離しただけでは、複合繊維の断面に海成分領域44を形成することは困難である。また、図17のような吐出板では、ポリマーの拡幅が大きくなる。このため、島ポリマーの配置がずれるなどして繊維の断面が不安定化し、均一な島成分が形成された複合繊維とはならない。
図5に示すように、海島吐出孔群を4つに離れるように複合口金上に設置し、その間に海吐出孔12を設けることが有効でなる。図5に示す吐出板においては、海島吐出孔群を離した間に海成分領域用の海吐出孔12aがあることで、前記した海島領域の拡幅を抑制し、繊維断面の不安定化を抑制することが可能になる。
図5の場合では、海吐出孔12aと近接している海吐出孔12あるいは島吐出孔13のうち最も近接している孔との中心間距離を半径とする海吐出孔12aを中心とした仮想円周線上に、2個以下の島吐出孔13を配置することで、海吐出孔12aが複数集合した海成分領域形成用吐出孔群を形成させている。図5のように、この海成分領域形成用吐出孔群を海島吐出孔群の一部を両側に挟む形で連続的に配置することで、図3のように海成分領域44を有する複合繊維が得られる。また、図5に示した吐出板では、海島吐出孔群の孔の配置パターンとして、6角格子の各頂点に海吐出孔12を配置し、その格子を構成する六角形の重心位置に島吐出孔13を配置している。図5に示される孔配置は、n=6、m=2となり、島吐出孔13の周囲を海吐出孔12が囲い込む配置となる。このため、島ポリマー比率が増加した場合においても、必ず島ポリマー間に海ポリマーが存在することとなり、隣接した島吐出孔からのポリマーが合流することを抑制できる。
海島吐出孔群の他の配置パターンとして、図7に4角格子、図8に3角格子を示している。
図7に示されるものでは、n=4、m=3となる。この場合、図5に示した6角格子に配置するよりも、隣り合う島吐出孔同士の距離が近くできるため、孔充填密度をより高めることが可能となる。図8に示されるものは、n=3、m=5となる。この場合、図7に示した4角格子の場合よりも、更に、隣り合う島吐出孔13同士の近接化が可能になる。このため、さらに孔充填密度を高めることが可能となる。以上のように、海島吐出孔群の配置パターンとして、3角格子、4角格子、6角格子の順に、孔充填密度を高めることが可能となるが、島ポリマー比率等の製糸条件に制約が生まれる場合もあるため、目的とする複合繊維の断面形態に応じて、孔の配置パターンを決定することが好適である。
次に分配装置について図6を用いて説明する。図6は吐出板の部分拡大縦断面図である。分配装置は、計量板16と呼ばれる厚板と、分配板17と呼ばれる薄板とがそれぞれ1枚以上積層されて構成されている。この計量板16と分配板17は、位置決めピンにより、複合口金7の中心位置(芯)が合うように設置される。この計量板16と分配板17は、ネジやボルトなどで固定することもできる。また、各板を熱圧着などにより金属接合(拡散接合)することも部材間からのポリマー漏れなどを抑制するというでは、好適である。
図6の計量板16には、島ポリマーと海ポリマーを各々分配し、分配板17に供給するための流路溝や流路孔が加工されている。この流路孔は、一定の流路圧損をポリマーに付与することで、最上部に位置した分配板17の流入流路に均一にポリマーを供給することを可能としている。
一枚の分配板17には、島ポリマーと海ポリマーを各々分配するための分配溝51および分配孔52、またはいずれかが形成されている。この分配溝51はポリマー紡出経路方向に垂直な方向(図6において左方向矢印および右方向矢印)にポリマーを導き、分配孔52はポリマー紡出経路方向(図6において下方向矢印)にポリマーを導く役割を有している。ここで、分配孔52を有した分配板17と、分配溝51を有した分配板17を交互に積層させると、1つの分配孔52に対して、そのポリマー紡出経路方向の下流側の位置に連通する1つの分配溝51を形成することとなる。このため、分配溝51の端部に連通する複数個の分配孔52を構成するトーナメント方式の流路を形成することとなり、計量板16にて分配された各成分のポリマーを更に微少なポリマーに均一に分割することができる。
次いで、本発明の別の実施形態として、吐出板の部分拡大平面図である図3および複合口金の概略縦断面図である図10を用いて、(ii)の配置となる場合について説明する。図3に示した吐出板は、海島吐出孔群が複合ポリマー吐出孔から構成されていることを意味する。図3に示すものは、一般にはパイプ方式口金と呼ばれており、海島吐出孔群が複合ポリマー吐出孔15によって構成されている。図10に示されるとおり、分配装置64には、島ポリマーを供給するパイプ62と、海ポリマーを供給する海ポリマー導入流路61と、海ポリマー導入流路61に連通する海ポリマー分配室63が形成されている。ここで、分配装置64のパイプ62は、海島吐出孔群の複合ポリマー吐出孔66と一対一に対応して連通して形成されている。また、海ポリマー分配室63は、複合ポリマー吐出孔66、および海成分領域形成用吐出孔群の海吐出孔65に連通して形成されている。海島吐出孔群のパイプ62から吐出された島ポリマーと、海ポリマー分配室63から吐出された海ポリマーとは、複合ポリマー吐出孔66にて合流する。ここで、この複合ポリマー流は、芯に島ポリマー、鞘に海ポリマーの芯鞘構造となる。
一方、海成分領域形成用吐出孔群の海吐出孔65には、海ポリマー分配室63から海ポリマーが供給される。海島吐出孔群から吐出された複合ポリマーと、海成分領域形成用吐出孔群から吐出された海ポリマーとは、吐出板67の下面にて合流する。ここで、複合ポリマー流の間には海成分領域形成用吐出孔群から吐出された海ポリマーが存在しているため、本発明の海成分領域が断面に形成された複合繊維を製造することが可能となる。
次いで、本発明の別の実施形態として、海島吐出孔群19が (iii)の配置となる場合を図9を用いて説明する。図9の吐出板にでは、海島吐出孔群が複合ポリマー吐出孔15と、海吐出孔12とから構成されている。分配装置(図示せず) から供給された各ポリマーは分配し、吐出板の各孔に供給される。図9に示した海島吐出孔群の複合ポリマー吐出孔15では、海ポリマーと島ポリマーが合流し、複合ポリマー流が形成され、吐出される。また、海吐出孔12では海ポリマーのみが吐出される。そして、海島吐出孔群の複合ポリマー吐出孔15と海吐出孔12から、各ポリマーが吐出され、各ポリマーが合流し、海島形態を有した複合ポリマー流となる。図9に示した形態の特徴は、海島吐出孔群には複合ポリマー吐出孔15に加えて、海吐出孔12が設置されていることである。このため、複合ポリマー吐出孔15により形成された芯鞘形態の複合ポリマー流(芯:島ポリマー、鞘:海ポリマー)の周囲に、海ポリマーが配置されることとなる。よって、図13に示した複合繊維の場合には、島成分43間同士の距離を拡大できる。このため、海ポリマーの溶出処理の際に溶剤が島成分43の間に侵入し易くなり、海ポリマーの溶出時間を短縮することができる。このような形態では、島ポリマーの比率を増加させていくと、一般には島ポリマー同士が合流する場合があるが、島ポリマーの間に海ポリマーが多く介在することになるから、島ポリマーの合流抑制という観点では好適な形態である。
次いで、本発明の別の実施形態として、海島吐出孔群19が (iv)の配置となる場合を説明する。図11は吐出板の部分拡大平面図である。図11の吐出板では、海島吐出孔群が複合ポリマー吐出孔15と、島吐出孔13とから構成されている。分配装置(図示していない)から供給された各ポリマーは分配され、吐出板の各孔に供給される。ここで、海島吐出孔群の複合ポリマー吐出孔15では、海ポリマーと島ポリマーが合流し、複合ポリマー流が吐出される。また、島吐出孔13では島ポリマーのみが吐出される。図11に示す形態の特徴は、島吐出孔群には、複合ポリマー吐出孔15に加えて、島吐出孔13が形成されていることである。このため、芯鞘形態のポリマー流(芯:島ポリマー、鞘:海ポリマー)の周囲に、島ポリマーが存在する複合ポリマー流を形成することが可能となる。その結果、図3に示した(ii)の配置と比較して、孔充填密度を高めることができることから、複合繊維の断面において、より多くの島成分を配置することができる。
次いで、本発明の別の実施形態として、海島吐出孔群が(v)の配置となる場合を説明する。図18は吐出板の部分拡大平面図である。図18の吐出板では、海島吐出孔群が複合ポリマー吐出孔15と、海吐出孔12、島吐出孔13にて形成されている。分配装置(図示されず)から供給された各ポリマーは分配され、吐出板の各孔に供給される。海島吐出孔群の複合ポリマー吐出孔15では、海ポリマーと島ポリマーが合流し、複合ポリマー流を吐出する。島吐出孔13では島ポリマーのみを吐出し、海吐出孔12では海ポリマーのみを吐出する。図18の吐出板の特徴は、島吐出孔群に複合ポリマー吐出孔15に加えて、島吐出孔12と海吐出孔13が形成されていることである。このため、芯鞘(芯:島ポリマー、鞘:海ポリマー)ポリマーと島ポリマーとが、海ポリマーに包囲された複合ポリマー流を形成できる。よって、複合繊維における島成分の数は、図11に示す(iv)の配置よりも多く、図9に示す(iii)の配置よりも少なくなる。一方で、島成分同士の距離は、図9に示す(iii)の配置よりも広く、図11に示す(iv)の配置よりも狭くなる。このため、多島化と海ポリマーの溶出効率の向上は、(iii)の配置と(iv)の配置との中間程度となる。
パイプ方式口金を活用した図9、図11、図18では、複合ポリマー吐出孔15から形成される複合ポリマー流が、島ポリマーと海ポリマーとが芯鞘構造である例を示したが、これに限られるものではない。この複合ポリマー流は、サイドバイサイド、多層状、海島状などでもよく、分配装置での各ポリマーの分配、合流の状態によって多様に形成させることができる。
こで重要なポイントは、海島吐出孔群両側に接する形で海成分領域形成用吐出孔群を配置することである。
次に、図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図10および図13に示した本発明の複合口金および吐出板に共通して、各部材の形状などについて詳細に説明する。
図1に示した複合口金7は、上方から観察したときの形状は円形状に限定されず、四角形や多角形であってもよい。また、図1に示した複合口金7における口金吐出孔6または図4に示した吐出孔集合体18の配列は、海島複合繊維の本数、糸条数、冷却装置に応じて変えることができる。図2に示した冷却装置9が環状の冷却装置の場合には、口金吐出孔または吐出孔集合体を一列、もしくは複数列に渡り環状に配列するのが良い。また、図2に示した冷却装置9が、一方向の冷却装置の場合には、口金吐出孔または吐出孔集合体を千鳥に配列するのが良い。
各成分のポリマーを吐出するための各流路孔は、円形、多角形、星型など、いずれ形態であっても良い。また、実施の形態に合わせて、各流路孔は、ポリマー紡出経路方向に沿って断面が変化するなど変更可能なものとすることができる。
図1に示される吐出導入孔4は、ポリマーの紡出経路方向において、吐出板2の下面より一定の助走区間を設けることで、島ポリマーと海ポリマーが合流した直後の流速差を緩和させ、複合ポリマー流を安定化させるという役割を果たす。この吐出導入孔4の孔径は、吐出板2に配設された吐出孔集合体の外接円の直径よりも大きく、かつ、吐出孔集合体の外接円の断面積と、吐出導入孔4の断面積比が極力小さくなるように構成されるのが好適である。前記の通り吐出導入孔4を形成した場合には、吐出板2より吐出された各ポリマーの拡幅が抑えられ、複合ポリマー流を安定化させることができる。
図1に示される縮流孔5は、吐出導入孔4から口金吐出孔6に至る流路の縮小角度αを50〜90°の範囲に設定することで、複合口金7を小型化でき、且つ、複合ポリマー流のドローレゾナンスなどの不安定現象を抑え、安定的に複合ポリマー流を供給することができる。
次に、本発明の実施形態の複合口金に共通して、複合繊維の製造方法について詳細に説明する。
本発明の複合繊維の製造方法は、公知の複合紡糸機で実施することが可能であり、図1に示した複合口金7を使用することが本発明の特異な複合断面を制御するという点で好ましい。
本発明の目的は、極細繊維を発生させるための海島複合繊維を製造することにあるため、島ポリマーおよび海ポリマーとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートあるいはその共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタンなどの溶融成形可能なポリマーが挙げられる。特にポリエステルやポリアミドに代表される重縮合系ポリマーは融点が高いので好ましい。ポリマーの融点は165℃以上であると耐熱性が良好であり好ましい。また、酸化チタン、シリカ、酸化バリウムなどの無機質、カーボンブラック、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤などの各種添加剤をポリマー中に含んでいてもよい。また、脱海あるいは脱島処理を想定した場合には、ポリエステルおよびその共重合体、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリエチレン、ポリビニールアルコールなどの溶融成形可能で、他の成分よりも易溶解性を示すポリマーから選択することができる。易溶解成分としては、水系溶剤あるいは熱水などに易溶解性を示す共重合ポリエステル、ポリ乳酸、ポリビニールアルコールなどが好ましく、特に、ポリエチレングリコール、ナトリウムスルホイソフタル酸が単独あるいは組み合わされて共重合したポリエステルやポリ乳酸を用いることが紡糸性および低濃度の水系溶剤に簡単に溶解するという観点から好ましい。また、脱海性および発生する極細繊維の開繊性という観点では、ナトリウムスルホイソフタル酸が単独で共重合されたポリエステルが特に好ましい。
以上例示した難溶解成分および易溶解成分の組み合わせは、目的とする用途に応じて難溶解成分を選択し、難溶解成分の融点を基準に同じ紡糸温度で紡糸可能な易溶解成分を選択すれば良い。ここで前述した溶融粘度比を考慮して、各成分の分子量などを調整すると、海島複合繊維の島成分の繊維径および断面形状という均質性を向上させることができる。また、本発明の海島複合繊維から極細繊維を発生させる場合には、極細繊維の断面形状の安定性および力学物性保持という観点から、脱海に使用する溶剤に対する難溶解成分と易溶解成分の溶解速度差が大きいほど好ましく、10〜3000倍までの範囲を目安に、前述したポリマーから組み合わせを選択すると良い。本発明の海島複合繊維から極細繊維を採取するのに好適なポリマーの組み合わせとしては、融点の関係から海ポリマーを5−ナトリウムスルホイソフタル酸が1〜10モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート、島ポリマーをポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートとする組合せ、海ポリマーをポリ乳酸、島ポリマーをナイロン6、ポリトリメチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートとする組合せが好適な例として挙げられる。
本発明に用いる海島複合繊維を紡糸する際の紡糸温度は、2種類以上のポリマーのうち、融点高い、または粘度の高いほうのポリマーが流動性を示す温度以上とする。この流動性を示す温度としては、分子量によっても異なるが、そのポリマーの融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。これ以下であれば、紡糸ヘッドあるいは紡糸パック内でポリマーが熱分解などすることなく、分子量低下が抑制されるため、好ましい。本発明の製造方法におけるポリマーの吐出量は、安定吐出が可能な範囲として、吐出孔当たり0.1g/min/hole〜20.0g/min/holeを挙げることができる。この際、吐出の安定性を確保できる吐出孔における圧力損失を考慮することが好ましい。ここで言う圧力損失は、0.1MPa〜40MPaを目安にポリマーの溶融粘度、吐出孔径、吐出孔長との関係から吐出量を係る範囲より決定することが好ましい。本発明の製造方法においては、島ポリマー(難溶解成分)と海ポリマー(易溶解成分)の比率は、単位時間当たりに吐出する各ポリマーの質量を基準に海ポリマー/島ポリマーの比率で10/90〜95/5の範囲で選択することができる。この海/島ポリマー比率のうち、島ポリマー比率を高めると極細繊維の生産性という観点から、好適である。但し、海島複合断面の長期安定性という観点から、本発明の製造方法により、複合繊維および極細繊維を効率的に、かつ安定性を維持しつつ製造する範囲としては、この海島ポリマー比率は、20/80〜50/50がより好ましい範囲である。このように複合口金から吐出された海島複合ポリマー流は、冷却固化されて、油剤を付与され、周速が制御されたローラによって引き取られることにより、海島複合繊維となる。ここで、この引取速度は、吐出量および目的とする繊維径から決定すればよいが、本発明の製造方法においては、紡糸速度が100〜7000m/minの範囲とすることが好ましい。 本発明の製造方法においては、口金吐出孔6の形状を変更することで、丸形状はもとより、三角、扁平などの丸形以外の形状や中空にすることも可能である。さらに、複合繊維の糸条数は1糸条のモノフィラメントおよび2糸条以上のマルチフィラメントでも良い。紡糸した複合繊維は、高配向として力学特性を向上させるという観点から、一旦巻き取られた後で延伸を行っても良いし、一旦、巻き取ることなく、引き続き延伸を行っても良い。この延伸条件としては、例えば、一対以上のローラからなる延伸機において、一般に溶融紡糸可能な熱可塑性を示すポリマーからなる繊維であれば、ガラス転移温度以上融点以下温度に設定された第1ローラと結晶化温度相当とした第2ローラの周速比によって、繊維軸方向に無理なく引き伸ばされ、且つ熱セットされて巻き取られ、図7のような海島複合繊維断面を有する複合繊維を得ることができる。
また、ガラス転移を示さないポリマーの場合には、複合繊維の動的粘弾性(tanδ)の測定を行い、得られるtanδの高温側のピーク温度以上の温度を予備加熱温度として、選択すればよい。ここで、延伸倍率を高め、力学物性を向上させるという観点から、この延伸工程を多段で施すことも好適な手段である。
このようにして得られた本発明の海島複合繊維から、極細繊維を得るには、易溶解成分が溶解可能な溶剤などに複合繊維を浸漬して易溶解成分を溶出し、除去すること、すなわち脱海工程で、難溶解成分からなる極細繊維を得ることができる。易溶出成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが共重合された共重合PETやポリ乳酸(PLA)などの場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いることができる。本発明の複合繊維をアルカリ水溶液にて処理する方法としては、例えば、複合繊維あるいはそれからなる繊維構造体とした後で、アルカリ水溶液に浸漬させればよい。この時、アルカリ水溶液は50℃以上に加熱すると、加水分解の進行を早めることができるため、好ましい。また、流体染色機などを利用し、処理すれば、一度に大量に処理をすることができるため、生産性もよく、工業的な観点から好ましいことである。以上のように、本発明の極細繊維の製造方法を一般の溶融紡糸法に基づいて説明したが、メルトブロー法およびスパンボンド法でも製造可能であることは言うまでもなく、さらには、湿式および乾湿式などの溶液紡糸法などによって製造することも可能である。
以下実施例を挙げて、本発明の極細繊維について具体的に説明する。
実施例および比較例での評価は下記の方法で行った。
A.固有粘度(IV)
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
B.ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製キャピログラフ1Bによって、歪速度を段階的に変更し、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s-1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
C.繊度
海島複合繊維の場合は、100mの質量を測定し、100倍することで繊度を算出した。また、複合繊維から海ポリマーを99%以上溶出して採取した極細繊維については、10mの質量を測定し、これを1000倍することで繊度を算出した。なお、これらのサンプルの秤量は、温度25℃、湿度55%RH雰囲気で行った
同様の操作を10回繰り返し、その単純平均値をdtex単位で小数点第2位を四捨五入した値を繊度とした。海ポリマーの溶出の判定は、海ポリマーの溶出率とサンプルの減量率(下記式)が同値であるとし、サンプルの減量率から評価するものである。
減量率(%)=(1−溶出処理後サンプル重量/溶出処理前のサンプル重量)×1 00
D.繊維の力学特性
複合繊維および極細繊維をオリエンテック社製引張試験機 “テンシロン”(登録商標) UCT−100型を用い、試料長20cm、引張速度100%/minの条件で応力−歪曲線を測定する。破断時の荷重を読みとり、その荷重を初期繊度で除することで強度を算出した。破断時の歪を読みとり、試料長で除した値を伸度を算出した。強度の単位はcN/dtex、伸度の単位は%として評価した。いずれの値も、この操作を水準毎に5回繰り返し、得られた結果の単純平均値を求めた。強度は小数点第2位を四捨五入した値とし、伸度は小数点以下を四捨五入した値としている。
E.複合繊維の断面観察における各パラメータ(複合繊維径D、複合繊維断面積Ac、島成分の最大径d、島成分間距離W、海成分領域幅H、海成分領域長さL、海成分領域の総断面積As。隣接島成分平行度θ)
採取した海島複合繊維をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut Nで切削した後、その切削面を(株)キーエンス製 VE−7800型走査型電子顕微鏡(SEM)にて複合繊維の断面を撮影した。
無作為に選定した画像からそれぞれ複合繊維径D、島成分の最大径d、島成分間距離W、海成分領域幅H、海成分領域長さLおよび隣接島成分平行度θについて、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて評価した。
なお、島成分の最大径dについては、150本以上の島成分が観察できる倍率として画像を撮影し、撮影された画像から無作為に抽出した150本の島成分の島成分径を測定した。島成分径の値に関しては、nm単位で小数点第1位まで測定し、小数点以下を四捨五入するものである。撮影した150本の島成分の直径を調べて、この最大値を島成分の最大径dとした。
また、複合繊維径D、島成分間距離W、海成分領域幅Hおよび海成分領域長さLについては、無作為に選定したマルチフィラメント中複合繊維10本以上を観測し、断面画像から、いずれもμm単位で小数点第2位まで測定し、小数点第1位に四捨五入した。以上の操作を、それぞれ10箇所以上に行い、単純な数平均値を求めたものである。この得られた複合繊維径D、海成分領域幅Hおよび海成分領域長さLからそれぞれ1本の複合繊維当たりの複合繊維断面積Acおよび海成分領域の総断面積Asを求めた。
隣接島成分平行度は、島成分の配置の規則性を示す指標である。図19に例示するとおり、近接した4つの島成分において、隣り合う2つの島成分の中心を結んだ直線同志(図19中の45−(a)(2つの島成分の中心を結んだ直線1)および45−(b)(別の2つの島成分の中心を結んだ直線2))のなす角度θを隣接島成分平行度とした。なお、測定は、無作為に選定したマルチフィラメント中の複合繊維10本以上を対象に、それぞれの複合繊維で10箇所以上観測し、単純な数平均値を求めたものである。
F.海ポリマーの溶出性
この項目海成分領域の存在による効果を評価するものである。 各紡糸条件で採取した複合繊維を製織し、得られた編地を、80℃の水酸化ナトリウム3重量%水溶液に満たされたで満たされた脱海浴(浴比1:100(編み地:溶剤))に15分間浸漬させ海ポリマーを溶出させた。ここで言う浴比とは、試料と溶剤の質量比を意味し、浴比1:100とは、試料の100倍の質量の溶剤にて溶出処理を施したことを表している。
海ポリマーを溶出後、水分を切り、溶出処理された試料を60℃の熱風乾燥機中にて乾燥した。この試料の溶出処理前後の質量を温度25℃、湿度55%RH雰囲気で測定し、下記式に基づき減量率(%)を算出した。算出した減量率から複合繊維の海ポリマー溶出性を下記の3段階で評価した。
減量率(%)=(1−溶出処理後サンプル重量/溶出処理前のサンプル重量)×1 00
<海ポリマーの溶出性評価>
優 : 減量率が海ポリマー比率(%)±5(%)の範囲
良 : 減量率が海ポリマー比率(%)の−5(%)から−10(%)の範囲
不良 : 減量率が海ポリマーの比率(%)−10(%)以下 。
G.海ポリマーの溶出処理時の極細繊維(島成分)の脱落評価
各紡糸条件で採取した複合繊維を製織し、得られた編地を10g準備し、80℃の水酸化ナトリウム3重量%水溶液で満たされた脱海浴(浴比1:100)にて海ポリマーを99%以上溶出した。
ここで言う浴比とは、サンプルと溶剤の質量比を意味し、浴比1:100とは、サンプル質量の100倍の質量の溶剤にて溶出処理を実施したことを表している。また、海ポリマーの溶出の判定は、海ポリマーの溶出率とサンプルの減量率(下記式)が同値であるとし、サンプルの減量率から評価するものである。
減量率(%)=(1−溶出処理後サンプル重量/溶出処理前のサンプル重量)×1 00
極細繊維の脱落の有無を確認するため、下記の評価を行った。
海ポリマーの溶出処理した溶液を100ml採取し、この溶液を保留粒子径0.5μmのガラス繊維ろ紙に通す。ろ紙の処理前後の温度25℃、湿度55%RH雰囲気で測定した乾燥質量差から極細繊維の脱落の有無を判断した。
<極細繊維の脱落評価>
優:質量差が3mg未満
良:質量差が3mg以上7mg未満
可:質量差が7mg以上10mg未満
不可:質量差が10mg以上。
参考実施例1]
島ポリマーとして、固有粘度(IV)0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度:120Pa・s)と、海ポリマーとして、IV0.58dl/gの5−ナトリウムスルホイソフタル酸5.0モル%共重合したPET(以下「共重合PET1」 溶融粘度:140Pa・s)を290℃で別々に溶融後、計量し、図2に示した本実施形態の複合口金7が組み込まれた紡糸パックに流入させ、海島複合ポリマー流を溶融吐出した。投入した単位時間当たりのポリマー質量を基準にした海島ポリマー比率は、50/50とした。吐出した複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与して、紡糸速度1500m/minで巻き取り、150dtex−15フィラメント(単孔吐出量2.25g/min)の未延伸繊維を採取した。
巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラ間で3.0倍延伸を行い、50dtex−15フィラメントの複合繊維とした。ここで、参考実施例1に用いた図6に示す分配方式口金を使用した。吐出板2においては、条件(i)となる孔を、図28に例示される6角格子に配置し、孔充填密度を1.5(個/mm)とした。ここで吐出孔集合体の外接円の半径を「半径R」と定義した。(「半径R」は以下同じ定義である。)
参考実施例1で用いた吐出板では、海成分領域形成用吐出孔群を、吐出孔集合体の外接円の外周から、半径0.7Rの円周線上まで、4ヶ所海島吐出孔群に挟まれる形で配置した。
表1に記載のとおり、得られた複合繊維の断面には図14で例示されるような海成分領域44が4箇所形成されているものであった。この断面観測結果は表1に記載されるとおりこの採取した複合繊維は、強度2.5cN/dtex、伸度34%と高次加工性に問題のない力学特性を有していた。海成分の溶出性は良好(良)であった。この脱海加工時の効率が向上した結果、極細繊維の力学特性は優れた特性を有しており(強度:2.4cN/dtex 伸度:45%)、脱海時の極細繊維の脱落は少ないものであった(脱落評価:良)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
参考実施例2]
図29に例示される島吐出孔13および海吐出孔12を4角格子として孔充填密度を2.0(個/mm)とし、参考実施例1と同様に、海島吐出孔群の一部が4カ所の海成分領域形成用吐出孔群を挟む形で配置した吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例1に従い実施した。
参考実施例2では、参考実施例1と同様に複合断面に海成分領域が形成されていることで、良好な海ポリマー溶出性を有しており(海ポリマー溶出性:良)、脱海時の極細繊維の脱落は少ないものであった(脱落評価:良)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
参考実施例3]
図30に例示するように島吐出孔13を3角格子に配置し、および海吐出孔12を配置し孔充填密度を3.0(個/mm)とし、参考実施例1と同様に海成分領域形成用吐出孔群を、4ヶ所海島吐出孔群の一部を両側に挟む形で配置した吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例1と同様に、複合繊維を得た。
参考実施例3の複合繊維の断面には、図14で例示されるような4つの海成分領域が存在したものであった。それらの海成分領域は断面観察において繊維の表面の上、右、下および左から中心方向に向かっているが、中心までにはいたっていなかった。その形状ほぼ長方形方向であった。また、複合繊維の断面パラメータは表1に記載の通り。参考実施例3では、更に島充填密度を高めたにもかかわらず、参考実施例1および参考実施例2と同などの良好な海ポリマー溶出性を有しており(海ポリマー溶出性:良)、更に極細繊維の径が縮小されたにもかかわらず、脱海時の極細繊維の脱落は依然少ないものであった(脱落評価:良)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価果を表1に示す。
参考実施例4]
参考実施例4に用いた複合口金には、図10に示すようなパイプ方式口金にて、孔充填密度を1.2(個/mm)として、図31に示す吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例1と同様に複合繊維を得た。
参考実施例4の複合繊維は、その断面に図14で示すように海成分領域が4箇所形成されているものであった。また、複合繊維の断面パラメータは表1に記載のとおり。参考実施例4では、良好な海ポリマー溶出性を有しているものの(海ポリマー溶出性:良)、参考実施例1と比較して、海島領域の島成分の配置が最密充填されたものであり、完全脱海には少し時間を要するものであった。このため、脱海時の極細繊維の脱落が若干増加する傾向にあるものの、問題のないレベルであった(脱落評価:可)。また、この影響からか極細繊維の力学特性は参考実施例1と比較すると少し低下するものであるが、これも実用に問題のないレベルである(強度1.8cN/dtex 伸度37%)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
参考実施例5]
図12に示すように海成分領域形成用吐出孔群を半径0.5Rの円周線上まで達するように配置し、孔充填密度を1.4(個/mm)とした吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は、参考実施例1と同様に複合繊維を得た。
参考実施例5の複合繊維は、その断面に図14に示すように海成分領域が4箇所形成されているものであった。複合繊維の断面パラメータは表1に記載のとおり。参考実施例5においては、海成分領域形成用吐出孔群を半径0.5Rの円周線上まで達するように配置したため、海成分領域が参考実施例1と比較して、複合繊維の内部まで延長されて存在しており、複合繊維径Dと海成分領域の幅Hとの比(H/D)は0.03と参考実施例1と同などであるにもかかわらず、海ポリマー溶出性は非常に優れているものであった(海ポリマー溶出性:優)。参考実施例5のサンプルにおいては、海ポリマー溶出性評価と同様の溶出処理条件で5分間処理し、処理後のサンプルの極細繊維束を観察したところ、複合繊維にクラックが形成された影響によって複合繊維が複数に分割されているものであり、この効果により海ポリマー溶出性が向上したものと考察される。また、完全脱海に要する処理時間を短縮できたことで、極細繊維の脱落はほとんど起こらないものであり(脱落評価:優)、極細繊維の強度も優れた特性を有したものとなった(強度2.6cN/dtex 伸度57%)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
参考実施例6]
島ポリマー比率を80%とした以外は、参考実施例1と同様に、複合繊維を得た。
参考実施例6の複合繊維は、その断面が図14示すように海成分領域が4箇所形成されているものであった。複合繊維の断面パラメータは表1に記載のとおり。参考実施例6においては、島ポリマー比率を増加させたことにより、複合繊維の力学特性が参考実施例1に比べて大きく向上した(強度3.3cN/dtex、伸度31%)。参考実施例6は、紡糸や延伸などの製糸工程中や編地などへ加工工程においても、糸切れなど発生せず、品位に優れるものであった。また、島ポリマー比率を80%に高めたことにもかかわらず海ポリマー溶出性は良好な性能を有しているものであった(海ポリマー溶出性:良)。このような海ポリマー溶出性に加えて、製糸工程において、島成分の繊維構造が高度に形成されることから、脱海時の極細繊維の脱落はなく(脱落評価:優)、極細繊維も優れた力学特性を有するものであった(強度3.1cN/dtex 伸度40%)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
参考実施例7]
島ポリマー比率を20%とした以外は、参考実施例1と同様に、複合繊維を得た。
参考実施例7の複合繊維は、その断面に図14で示すように海成分領域が4箇所形成されているものであった。また、複合繊維の断面パラメータは表1に記載のとおり。参考実施例7においては、島ポリマー比率を減少させたことにより、複合繊維径Dと海成分領域の幅Hとの比(H/D)は0.25と増加し、海ポリマー溶出性が非常に優れるものであった(海ポリマー溶出性:優)。参考実施例5の場合と同様に、海ポリマー溶出性評価と同様の溶出処理条件で5分間処理し、処理後のサンプルの極細繊維束を観察したところ、複合繊維は既に複合繊維が複数に分割されており、多くの部分で既に極細繊維が発生しているものであった。一方、極細繊維においては、島ポリマー比率を低く設定したことで、島成分の繊維構造形成が不十分であったためか、極細繊維の脱落においては、参考実施例1対比微増するものであったが、実用において問題のないレベルであった(脱落評価:可)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
島吐出孔および海吐出孔を参考実施例1と同様に6角格子とし、海成分領域形成用吐出孔群を配置しない吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例1と同様に複合繊維を得た。
比較例1の複合繊維では、海成分領域形成用吐出孔群を配置しなかったことで、その断面に本発明の特徴である海成分領域は形成されておらず、図27に例示されるような、いわゆる従来とおりの海島複合繊維が得られているものであった。
比較例1においては、参考実施例1とほぼ同などの力学特性が得られているものの(強度2.3cN/dtex 伸度32%)、海ポリマーの溶出が複合繊維の最外層から徐々に進行していくことになるため、海ポリマー溶出性が大幅に低下したものであった(海ポリマー溶出性:不良)。比較例1のサンプルを参考実施例5の場合と同様に、海ポリマー溶出性評価と同様の溶出処理条件で5分間処理し、処理後のサンプルの極細繊維束を観察したところ、複合繊維は表層の海成分が溶出されているのみであり、脱海がほとんど進行していないものであった。この影響から、比較例1のサンプルについては、完全脱海までの時間を大幅に延長する必要があり、結果的に複合繊維の最外層付近に配置されていた島成分も溶剤で処理される結果となり、極細繊維の脱落が多く見られるものであった(脱落評価:不可)。このため、極細繊維の力学特性は、参考実施例1と比較すると、大きく低下したものであり(強度1.8cN/dtex 伸度16%)、この極細繊維束を観察すると、細切れになった極細繊維が毛羽立ったものであり、品位に優れないものであった。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表1に示す。
Figure 0006344235
[比較例2]
島吐出孔および海吐出孔を参考実施例1と同様に6角格子とし、海成分領域形成用吐出孔群を配置せず孔充填密度を3.0(個/mm)とした吐出板が組み込まれた複合口金を用い、島ポリマー比率を80%としたこと以外は参考実施例1と同様に複合繊維を得た。
比較例2の複合繊維では、海成分領域形成用吐出孔群を配置しなかったことで、その断面に本発明の特徴である海成分領域は形成されておらず、比較例1と比較して、島数が2倍に増加し、島成分が複合繊維の断面全体に最密充填された断面構造を有していた。
比較例2では、複合繊維の力学特性においては、比較的優れた特性を有しているものの(強度3.3cN/dtex 伸度33%)、島成分が密に配置された構造であり、海ポリマーの溶出が極めて進行しにくくなったことによって、海ポリマー溶出性は極めて低いものであった(海ポリマー溶出性:不良)。比較例2のサンプルを参考実施例5の場合と同様に、海ポリマー溶出性評価と同様の溶出処理条件で5分間処理したサンプルの繊維束を観察したところ、海ポリマーの溶出がほとんど進んでいないものであり、複合繊維はほぼ処理前の状態を維持したものであった。比較例1の場合は、部分的には極細繊維が発生している箇所が見られたことから、比較例2は比較例1から更に海ポリマーの溶出性が低下しているものであった。
この影響から、比較例2のサンプルについては、海ポリマーの溶出時間を延長しても、複合繊維の内部では海ポリマーが残った状態のものしか得られず、水酸化ナトリウム水溶液による処理を2時間に達したところで中止した。極細繊維の脱落を確認したところ、多くの脱落が見られるものであった(脱落評価:不可)。参考までにこの2時間処理サンプルの力学特性を調べてみたところ、力学特性は非常に低いものであり、品位に優れないものであった。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表2に示す。
[比較例3]
海成分領域形成用吐出孔群が配置されていない吐出板が組み込まている図10に例示されるようなパイプ方式口金を用いたこと以外は、全て参考実施例1と同様に複合繊維を得た。
比較例3の複合繊維は、比較例1と同様に本発明の特徴である海成分領域が形成されていないものであり、参考実施例1と比較して、島成分が複合繊維の中心から同心円状に配置されており、隣接島成分平行度θは25°であった。
比較例3の複合繊維は、紡糸工程では特に問題がなかったが、延伸工程では、糸切れの発生が目立つものであった。一方、複合繊維の力学特性は、斑があるものの、良好なものであり(強度2.5cN/dtex 伸度38%)、島成分間距離が大きいことにより海ポリマー溶出性は問題のないレベルであった(海ポリマー溶出性:良)。しかしながら、前記したとおり、複合繊維の品位が優れないに加えて、本発明で言う規則的ではない島成分の配置であったため、島成分の繊維構造の高度化には限界があり、完全脱海時には、極細繊維の脱落が多く見られるものであった(脱落評価:不可)。このため、極細繊維の力学特性は、参考実施例1と比較すると、大きく低下したものであり(強度1.5cN/dtex 伸度13%)、品位に劣るものであった。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例3と同じ海成分領域形成用吐出孔群が配置されていない吐出板が組み込まれたパイプ方式口金を用いて、島ポリマー比率を70%としたこと以外は、全て参考実施例1と同様に複合繊維を得た。ちなみに、比較例4においては、島ポリマー比率80%として紡糸を実施したものの、島成分同士が融着することにより、複合断面が崩れたものとなったため、島ポリマー比率を70%まで減少させて紡糸したものである。
比較例4の複合繊維は、比較例3と同様に本発明の特徴である海成分領域が形成されていないものであり、比較例3と比較して、島ポリマー比率を高めたことにより、複合繊維の断面に島成分が密に配列されたものであった。また、隣接島成分平行度θは17°であった。
比較例4の複合繊維の力学特性は、比較例3と同様に斑があるものの、比較的良好なものであったが(強度2.8cN/dtex 伸度31%)、島成分が密に配列されたことにより、海ポリマーの溶出が効率的に進まず、島ポリマー比率が10%高い参考実施例6と比較しても、海ポリマー溶出性が低下したものであった(海ポリマー溶出性:不良)。このため、比較例4の複合繊維においては、参考実施例6と比較して、海ポリマーの溶出処理時間が2倍以上必要となるものであり、極細繊維の脱落が多く見られるものであった(脱落評価:不可)。このため、極細繊維には毛羽立ちが見られるなど、品位が低下したものであり、力学特性においても、参考実施例6と比較して大幅に低下したものであった(強度1.7cN/dtex 伸度18%)。結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例3と同じ海成分領域形成用吐出孔群が配置されていないパイプ方式口金において、島成分用パイプ群を正三角形格子状に配列し、図17に例示されるような、複合ポリマー吐出孔15が存在し、海ポリマーの進入流路を設けた吐出板11(ただしここには吐出孔はない)が組み込まれた複合口金を用い、さらに島ポリマー比率を80%とした。この条件は特許文献2に開示された方法に準じたものである。前記条件としたこと以外は、参考実施例1と同様に複合繊維を得た。
比較例5においては、島ポリマー比率80%として紡糸を実施したものの、島成分同士の融着が抑制され、海島複合断面を形成することが可能となった。
但し、比較例5においては、本発明で言う海成分領域形成用吐出孔群が設置されていない。このため、本発明の特徴である海成分領域が形成されていないものであり、複合断面全域において、島成分が密に形成されたものであった。隣接島成分平行度θ23°であった。)。
ただし、比較例5の複合繊維は、島成分が密に配列されたこともあり、海ポリマーの溶出が進まず、参考実施例6と比較して、海ポリマーの溶出性が大きく低下したものであった(海ポリマー溶出性:不良)。このため、比較例5では、比較例4と同様に参考実施例6と比較して、海ポリマーの溶出処理時間が2倍以上必要となるものであり、また極細繊維の脱落が多く見られるものであった。また、海ポリマー溶出後のサンプル観察では、部分的に複合繊維の中心部に海ポリマー分が観察されるなど、海ポリマーの溶出がが完了していないものがあった。比較例5の極細繊維束には毛羽立ちが見られるなど、風合いが悪かった。力学特性においても、比較例5は参考実施例6と比較して大幅に低下したものであった(強度1.9cN/dtex 伸度12%)。製糸条件ならびに複合繊維および極細繊維の評価結果を表2に示す。
Figure 0006344235
参考実施例8〜10]
海成分領域幅Hを変更するために、図28に例示される参考実施例6で用いた吐出板の海成分領域形成用吐出孔群の孔数を、図28の網がけした領域で3倍(参考実施例8)、10倍(参考実施例9)、40倍(参考実施例10)と変更した吐出板が組み込まれた複合口金を用いて実施した。また、島成分間距離を調整するため、島ポリマー比率を表3に示すとおり変更したこと以外は、全て参考実施例6と同様に複合繊維を得た。
参考実施例8から参考実施例10の複合繊維においては、いずれも図14に例示されるような海成分領域が4箇所形成されているものであったが、海成分領域形成用吐出孔群の孔数を変更したことによって、海成分領域幅Hが参考実施例6と比較して増加したものであった。
複合繊維の力学特性は、強度3.2cN/dtex以上、伸度29%以上を有するいずれも優れたものでであった。また、製糸工程はもとより、海ポリマー溶出性などを評価するための編地加工において、糸切れや毛羽が発生せず、布帛の品位が優れたものであった。
参考実施例6と比較して、海成分領域が増加するに伴い、海ポリマー溶出性は向上する傾向が見られ、特に参考実施例9および参考実施例10においては、非常に優れた性能を有しており、参考実施例5と同様に、処理時間5分間で採取したサンプルにおいては、既に多くの極細繊維が発生したものであった。
このため、参考実施例8から参考実施例10の複合繊維においては、完全に海ポリマーを完全にまでの時間を短縮することができた。このため、極細繊維の脱落は少なく(脱落評価:優)、極細繊維の力学特性も優れたものであった。結果を表3に示す。
参考実施例11、12]
参考実施例5で使用した吐出板に代えて海成分領域形成用吐出孔群が外層から内部に向かい、また中心には存在しない、8箇所設けた吐出板が組み込まれた複合口金を用いた。そして島ポリマー比率を70%として、それ以外は、全て参考実施例5と同様に複合繊維を得た(参考実施例11)。
また、この参考実施例11で実施した紡糸条件から、紡糸速度3000m/minに変更し、延伸倍率を1.7倍として参考実施例12を実施した。
参考実施例11および参考実施例12においては、いずれも図20に例示されるような海成分領域が8箇所に形成されたものであった。参考実施例5の断面と比較すると、海成分領域のサイズは同等でありながらも(L/D:0.25 H/D:0.03)、海成分領域が4箇所から8箇所に増加した複合断面を形成していることが確認できた。参考実施例11および参考実施例12においては、いずれも製糸工程に問題がなく、特に参考実施例12においては、紡糸速度を2倍の3000m/minに高めたにもかかわらず、糸切れなどは目立たないものであった。
参考実施例11および参考実施例12のサンプルについては、海ポリマー溶出性も、海成分領域の存在が増加したことで良好なものであり(海ポリマー溶出性:良)、この複合繊維から発生させた極細繊維の力学特性は優れた特性を有していた。結果を表3に示す。
[実施例13、14]
参考実施例1で使用した口金に代えて、図5に示す海成分領域形成用吐出孔群を垂直に交差するように、それぞれが吐出孔集合体を横断するように連続して配置した吐出板が組み込まれた複合口金を用いた。それ以外は参考実施例11と同様に複合繊維を得た(実施例13)。また、この実施例13で実施した紡糸条件から、紡糸速度を3000m/minに変更し、延伸倍率を1.7倍として実施例14を実施した。
実施例13および実施例14においては、いずれも図13に示す海成分領域が複合繊維の断面を横断し、複合繊維の中心で垂直に交差する形で形成されるものであった(L/D:1.00)。実施例13および実施例14では、参考実施例11と比較して海成分領域幅は同等でありながらも(H/D:0.03)、As/Acは0.153と複合繊維断面において、海成分領域の面積比率が増加したものであり、この海ポリマー溶出性は参考実施例11と比較して更に向上したものであった(海ポリマー溶出性:優)。
この実施例13および実施例14の複合繊維においては、参考実施例5と同様に水酸化ナトリウム水溶液にて5分間処理したサンプルでは、複合繊維が複数に分割されている様子を観察することができた。これらの複合繊維では、その断面に横断的に配置した海成分領域にクラックが形成されるものであった。このため、複合繊維が海ポリマーの溶出処理の脱海初期段階で複数に分割されるものであった。この効果により、実施例13および実施例14の複合繊維では、島ポリマー比率が70%と比較的高いにもかかわらず、完全脱海までの処理時間を短縮できた。よって、極細繊維の脱落はほとんど観察することはできなかった(脱落評価:優)。結果を表3に示す。
参考実施例15]
実施例13で使用した吐出板に代えて、図32に示す吐出孔集合体18を横断するように連続して設置した海成分領域形成用吐出孔群を追加して、均等に配置した吐出板を準備した。図32で例示される吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は、全て実施例13と同様に複合繊維を紡糸した。参考実施例15では、図21に示すように海成分領域が複合繊維の断面を横断する形で4本45°毎に配置されるものであった(H/D:0.03 L/D:1.00)。
参考実施例15については、海成分領域が繊維の断面を貫通するかたちとなり、海島領域をさらに分割しているので、脱海初期の段階で複合繊維が複数に分割されやすく、見かけ水酸化ナトリウム水溶液に曝される表面積が増加することにより、実施例13と比較して海ポリマー溶出性に優れるものであった(海ポリマー溶出性:優)。この結果、完全脱海に要する時間は比較例と比較して短縮することができ、極細繊維の脱落もほとんど見られないものであった(脱落評価:優)。結果を表3に示す。
Figure 0006344235
参考実施例17、18]
図33示すように島吐出孔13および海吐出孔12を4角格子とし、海成分領域形成用吐出孔群を吐出孔集合体18の中心から外層に向けて0.5Rの範囲まで設置した吐出板を用意した(孔充填密度1.5個/mm)。この吐出板が組み込まれた複合口金を用い、海ポリマーとして、IV0.50dl/gの5−ナトリウムスルホイソフタル酸8.0モル%共重合したPET(共重合PET2 溶融粘度:120Pa・s)としたこと以外は全て参考実施例6と同様に複合繊維を得た(参考実施例17)。
また、この参考実施例17で使用した口金の孔充填密度を0.3個/mmとした吐出板2を用いたこと以外は全て参考実施例11と同様に、参考実施例18を実施した。参考実施例17および参考実施例18においては、いずれも図22に示すように、海成分領域が複合繊維の中心から八方にひろがっている形に形成されたものであった。また、L/Dは0.50でありながらも、孔充填密度を変更したことで、表4に記載のとおりH/DおよびAs/Acが変化した複合繊維となっていた。参考実施例17および参考実施例18の複合繊維は、参考実施例5と同様に調べた5分間の溶出処理にて、いずれも複合繊維に断面にクラックが形成されるものであり、海成分領域が複合繊維の最外層に到達していないにもかかわらず、海ポリマーの溶出処理の初期段階から水酸化ナトリウム水溶液が複合繊維の内部まで侵入できるものであった。このため、海ポリマー溶出性においては、参考実施例18が海成分領域を広く形成させることができたため、優れた海ポリマー溶出性を有しており(海ポリマー溶出性:優)、参考実施例17においても、前記したクラック形成の効果により、良好な海ポリマー溶出性を有したものであった(海ポリマー溶出性:良)。結果を表4に示す。
参考実施例19]
溶出用海吐出群を海成分領域が複合繊維の中心に台形型に形成されるように図34に示す形態で、孔充填密度を0.3個/mmとした吐出板を使用した。この溶出用海吐出群は吐出孔集合体18の中心からR0.4で連続的に設置されたものであり、海成分領域が複合繊維において左右対称に形勢されるように配置したものである。図34に例示される吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例17と同様に複合繊維を得た。
参考実施例19の複合繊維は、その断面に海成分領域形成用吐出孔群の配置に依存して、図23に示すように円周方向(120°)に連続した台形型の海成分領域が形成されているものであった。参考実施例19においては、参考実施例18と同様に海成分領域が複合繊維の最外層まで到達しないものであるが、参考実施例5と同様の段時間溶出処理(5分間)のサンプル観察から、脱海初期段階において、複合繊維の断面にクラックが形成されることがわかった。このため、サンプルの海ポリマー溶出性に関しては、良好なものであり(海ポリマー溶出性:良)、脱海時間を短縮できることで完全脱海時の極細繊維の脱落も抑制されたものであった(脱落評価:良)。結果を表4に示す。
参考実施例20、21]
参考実施例19の結果を受け、複合繊維の中心に形成される海成分領域を拡大するために、図34に例示される吐出板の溶出用海吐出群を設置する範囲を吐出孔集合体18の中心からR0.5まで連続した吐出板が組み込まれた複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例19と同様に複合繊維を得た。また、この参考実施例20で実施した紡糸条件から、紡糸速度を3000m/minに変更し、延伸倍率を1.5倍として参考実施例21を実施した。
参考実施例20および参考実施例21の複合繊維では、溶出用海吐出群の設置範囲を拡大した影響を受け、図24に例示されるように複合繊維の内部で参考実施例19対比海成分領域が拡大して形成されたものであった。参考実施例20では、複合繊維の内部に形成された海成分領域が拡大したことにより、参考実施例19対比脱海初期でのクラック形成および水酸化ナトリウム水溶液の侵入が容易になったことで、海ポリマー溶出性は優れたものであり(海ポリマー溶出性:優)、完全脱海に要する処理時間が短縮できたことで、極細繊維の脱落は確認されないものであった(脱落評価:優)。
このため、脱海後の極細繊維の力学特性は優れたものであり、その極細繊維束にもフィブリル化などがない品位に優れたものとなった。参考実施例21では、紡糸速度を増加させたにもかかわらず、紡糸工程ならびに延伸工程で糸切れがなく、良好な製糸性を有していることに加えて、参考実施例19と同様に海ポリマーの溶出処理の初期段階において、複合繊維にクラックが形成されるものであり、海ポリマー溶出性に関しても、良好な特性を有していることが確認できた(海ポリマー溶出性:良)。
[実施例22]
図35に例示されるように複合繊維の断面において、海成分領域が等間隔で垂直に交差するように形成されるように、溶出用海吐出群を配置した吐出板を組み込んだ複合口金を用いたこと以外は全て参考実施例11と同様に複合繊維を得た。
実施例22の複合繊維の断面においては、図26に例示されるように海島領域に挟まれて海成分領域が等間隔に形成されているものであった。
実施例22においては、参考実施例5と同様の短時間処理のサンプルにて、複合断面に複数のクラックが形成されていることが分かり、海島領域が複数に分割されて存在しているものであった。前記した複合繊維が海ポリマーの溶出処理の初期段階で複数に分割される効果により、水酸化ナトリウム水溶液に曝される海ポリマーの比表面積が増大し、海ポリマー溶出性は非常に優れたものであった(海ポリマー溶出性:優)。このような効果から、完全に海ポリマーが溶出するする処理時間を大幅に短縮することが可能であり、脱海時の極細繊維の脱落はほとんどなく(脱落評価:優)、極細繊維の毛羽立ちなどがなく、優れた力学特性を有しているものであった。結果を表4に示す。
参考実施例23]
溶出用海吐出群を海成分領域が複合繊維の中心に三角型に形成されるように図36に例示されるような形態とし、孔充填密度を0.3個/mmとした吐出板が組み込まれた複合口金を使用した以外はいずれも参考実施例19と同様に複合繊維を得た。
参考実施例23の複合繊維は、その断面に海成分領域形成用吐出孔群の配置に依存して、図25に示すように三角型の海成分領域が形成されているものであった。参考実施例23においては、参考実施例19と同様に海成分領域が複合繊維の最外層まで到達しないものであるが、参考実施例5と同様の段時間溶出処理(5分間)のサンプル観察から、脱海初期段階において、複合繊維の断面にクラックが形成されることがわかった。このため、サンプルの海ポリマー溶出性に関しては、良好なものであり(海ポリマー溶出性:優)、脱海時間を短縮できることで完全脱海時の極細繊維の脱落も抑制されたものであった(脱落評価:優)。結果を表4に示す。
Figure 0006344235
1 分配装置
2 吐出板
3 縮流板
4 吐出導入孔
5 縮流孔
6 口金吐出孔
7 複合口金
8 紡糸パック
9 冷却装置
10 スピンブロック
11 吐出板
12 海吐出孔
13 島吐出孔
15 複合ポリマー吐出孔
16 計量板
17 分配板
18 吐出孔集合体
19 海島吐出孔群
20 パイプ
21 海ポリマー導入流路
22 島ポリマー導入流路
23 海ポリマー分配室
30 共通外接線
40 複合繊維
41 海成分
42 海島領域
43 島成分
44 海成分領域
51 分配溝
52 分配孔
61 海ポリマー導入流路
62 パイプ
63 海ポリマー分配室
64 分配装置
65 海吐出孔
66 複合ポリマー吐出孔66
67 吐出板

Claims (18)

  1. 海成分および島成分を有する複合繊維であって、
    複合繊維の断面観察において、
    海成分中に複数の島成分が配置された海島領域と、
    海成分のみで形成され、海島領域によってはさまれている、1または2以上の海成分領域と、
    を有し、前記海成分領域の幅(H)が、前記海島領域内に存在しかつ隣接する島成分同士の距離(W)の最大値よりも大きく、
    前記海成分領域が十字型である複合繊維。
  2. 前記海成分領域が前記複合繊維の表層から内部方向に通じている請求項1記載の複合繊維。
  3. 前記海島領域の島成分が規則的に配置されている請求項1または2に記載の複合繊維。
  4. 前記海島複合繊維の断面観察において、海成分領域の長さ(L)と複合繊維の直径(D)の比(L/D)が0.25以上である請求項1〜3いずれかに記載の複合繊維。
  5. 前記海島複合繊維の断面観察において、海成分領域の幅(H)が島成分の最大の直径(d)よりも大きい請求項1〜4いずれかに記載の複合繊維。
  6. 断面観察において、海成分領域の幅(H)と複合繊維の直径(D)とが下記式を満足する請求項1〜5いずれかに記載の複合繊維。
    0.001<H/D<0.2
  7. 断面観察において、複合繊維の断面積(Ac)と海成分領域の面積の合計(As)とが下記式を満足する請求項1〜6いずれかに記載の複合繊維。
    0.05≦As/Ac≦0.35
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合繊維から海ポリマーを溶出する工程を有する極細繊維の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の繊維を含む繊維製品。
  10. 島ポリマーと海ポリマーによって構成される複合ポリマーを吐出するための複合口金であって(1)および(2)の要件を満足する複合口金。
    (1)複合口金は、各ポリマーを分配する分配装置と、
    前記分配装置のポリマー紡出経路方向の下流側に位置し、複数の海吐出孔と、複数の島吐出孔および複数の複合ポリマー吐出孔から選ばれる少なくとも1種以上の吐出孔とを有する吐出板と、
    前記吐出板のポリマー紡出経路方向の下流側に位置し、
    前記海吐出孔および前記島吐出孔、
    前記海吐出孔および前記複合ポリマー吐出孔、
    ならびに前記海吐出孔、前記島吐出孔および前記複合ポリマー吐出孔
    の組み合わせのいずれかから選ばれる吐出孔の組み合わせの吐出孔に連通した吐出導入孔を有する縮流板と、
    で構成されていること。
    (2)前記吐出板は、複数の吐出孔から構成される吐出孔集合体を有し、前記吐出孔集合体は、前記海吐出孔から形成される海成分領域形成用吐出孔群と、(i)〜(v)のいずれかより形成される少なくとも一つ以上の海島吐出孔群と、で構成されていること。
    (i)前記海吐出孔と前記島吐出孔
    (ii)前記複合ポリマー吐出孔
    (iii)前記海吐出孔と前記複合ポリマー吐出孔
    (iv)前記島吐出孔と前記複合ポリマー吐出孔
    (v)前記海吐出孔と前記島吐出孔と前記複合ポリマー吐出孔
  11. さらに(3)の要件を満たす請求項10記載の複合口金。
    (3)前記海成分領域形成用吐出孔群が、前記吐出孔集合体の外周から内部に向かい、前記海島吐出孔群の一部を両側に挟む形で連続的に配置されていること。
  12. 前記分配装置が、複数の複合ポリマー吐出孔を有するものであって、分配孔と分配溝、または少なくとも一方が形成された分配板が1枚以上積層されて構成され、前記分配孔または前記分配溝が、前記吐出板の前記海吐出孔、または前記島吐出孔、および前記複合ポリマー吐出孔から選ばれる1種以上の吐出孔に連通している請求項10または11に記載の複合口金。
  13. 前記分配装置が、複数の複合ポリマー吐出孔を有するものであって、
    前記吐出板2の前記複合ポリマー吐出孔と一対一に対応した位置に配設され、前記島ポリマーをポリマー吐出孔15へ供給するための複数のパイプと、
    海ポリマーを供給するための海ポリマー導入流路と、
    海ポリマー導入流路に連通し前記複数のパイプを取り囲むように設けられた海ポリマー分配室と、
    を有し、前記吐出板の前記複合ポリマー吐出孔が、前記パイプおよび前記海ポリマー分配室に連通している請求項1012のいずれかに記載の複合口金。
  14. 前記吐出孔集合体の一部を形成する海吐出孔が、n角格子の各頂点に配置され、前記吐出孔集合体の一部を形成する島吐出孔がn角格子の重心位置に配置され、前記海成分領域形成用吐出孔群を形成する前記海吐出孔に、最も近接した前記海吐出孔または前記島吐出孔との中心間距離を半径とする仮想円周線上に、m個以下の前記島吐出孔が配置され、nおよびmが、(x)から(xii)のいずれかの要件を満足する請求項1013のいずれかに記載の複合口金。
    (x)n=6、m=2
    (xi)n=4、m=3
    (xii)n=3、m=5
  15. 前記吐出孔集合体の外接円を半径Rとし、前記外接円の外周から、中心から0.5R以下の半径を有する円の内側まで、前記海成分領域形成用吐出孔群が、前記海島吐出孔群によって両側に挟まれる形で連続的に配置されている請求項1014のいずれかに記載の複合口金。
  16. 請求項1〜7の複合繊維の製造用である請求項1015いずれかの複合口金。
  17. 請求項1015いずれかの複合口金を用いた紡糸機の、前記複合口金に島ポリマーおよび海ポリマーを投入し、島ポリマーおよび海ポリマーを複合口金から吐出させ、紡糸する工程を含む複合繊維の製造方法。
  18. 製造される複合繊維が請求項1〜7いずれかの複合繊維である請求項17に記載の複合繊維の製造方法。
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