JP2008038275A - 分割型複合繊維の複合紡糸口金 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的な力を加えることによってポリマーの貼り合せ面で各セグメントを極細繊維として分割し易くすると共に、分割性を経時的に変化させる要因を除去して繊維断面の各セクションの形状変化が生じにくい複合紡糸口金を提供する。
【解決手段】少なくとも2種の成分からなる各ポリマーによってそれぞれ形成されたポリマーセグメントの横断面が扇状楔形を呈する複合単繊維群を各ポリマーの貼り合せ面で分割して細繊度を有する繊維群とする分割型複合単繊維群を紡出複合紡糸口金において、一つの同心円上に円周列を形成してそれぞれ穿設された分配孔群31,32と、前記同心円の中心に穿設された中央孔33と、前記分配孔群と前記中央孔とが直前に開口する円形断面を有する合流孔21とを少なくとも備え、前記中央孔に機械的な力によって分割される易分割ポリマーを導入することを特徴とする分割型複合繊維の複合紡糸口金。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂を原料とする分割型複合繊維を溶融紡糸するための複合紡糸口金に関するものである。
近年、品位に優れた緻密できめ細かなタッチやドレープ性に優れた布帛が上市され、そのような布帛を得るために極細繊維が多用されている。このような極細繊維を得るための手段としては、一つの方法として、最初から細繊度を有する単繊維群(フィラメント群)を紡糸する方法がある。しかしながら、この方法では得られる極細繊維の下限繊度に限界がある。
そこで、他の方法として、成分の異なる2つの重合体からなる複合繊維を製造して、この複合繊維を異なる成分の貼り合せ面で分割したり、一方の成分を抽出して他方の成分だけを残したりすることによって細繊度化する方法がある。この方法は、先に述べた方法と比較すると、より細繊度の極細繊維を得ることができるという利点がある。また、この方法によって細繊度の複合繊維を製造し、これを布帛とした後に、複合繊維を前述の分割や抽出によって細繊度化して、工程の合理化や工程調子の向上を図ることができるという利点がある。
なお、ポリエステルは、機械的な特性や熱安定性などに優れているので、少なくとも1成分がポリエステルポリマーで構成された複合繊維が従来から用いられている。例えば、特許文献1(特開2004−270115号公報)などにおいて、このようなポリエステルをその成分として持つ複合繊維が提案されている。
上記のように複合繊維を分割して極細繊維にする技術は、例えば、特許文献2(特表2001−519488号公報)などに提案されているように、従来から数多くある。例えば、高圧の水ジェット、叩解などの方法によって、複合繊維に機械的な力を加えることにより、複合繊維を構成する各ポリマーセグメントを貼り合せ面で分割する方法がある。また、複数の成分によって形成された複合繊維の特定のポリマー成分を溶剤によって溶かして除去し、非溶解のポリマーセグメントだけを残して極細繊維を形成する方法がある。
ここで、異なる2つのポリマー成分を貼り合せた複合単繊維を機械的な力のみで貼り合せ面に沿って分割をしようとする場合、各ポリマー成分の断面形状が重要であって、代表的な分割型複合単繊維の横断面形状を図4に示す。なお、紡糸の安定性という観点からいうと、図4(a)に例示したような中実の円形断面繊維であることが望ましく、図4(c)のような楕円断面のような非円形断面を有する場合には、多数の複合単繊維群を同時に安定して溶融紡糸することが難しい。また、図4(b)ような中空複合繊維では、複合紡糸口金の構造が極めて複雑となると共に、その製作コストも上昇する。
そこで、図4(a)のような横断面形状を有する複合単繊維を紡糸する口金が好ましいが、このような複合紡糸口金では、個々のポリマーセグメントはそれぞれ扇状楔形を呈しており、更に、これらのポリマーセグメント群は、楔の先端が全て中心方向に向くように放射状に貼り合わされて円周方向に沿って互い違いに整列している。
この種の複合単繊維を構成する各ポリマーセグメントは、繊維の中心部へ細長く延びた鋭い先端部が中心の一点で互いに合致することが各ポリマーセグメントの分割性から見ると理想的である。しかしながら、実際には一点で合致せず、親和性が強い同一成分を有するポリマー同士が中心部で互いに結合するような事態が生じる。
そうすると、特に、中心部で結合したポリマーが低剛性であると、機械的な力を加えただけでは分割が困難となる。しかも、複合繊維の溶融紡糸を長時間に渡って継続する場合、ポリマー粘度などが経時的に変化するようなことが起こり易く、このような場合には、特に繊維中心部でのセグメント形状が変化しやすくなって、分割性が安定しずらいという問題が生じる。
特開2004−270115号公報 特表2001−519488号公報
本発明は、前記従来技術が有する諸問題を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、その目的とするところは、隣接して貼り合わされた各ポリマーセグメントが扇状楔形を有する中実円形断面糸を良好に紡出して、得られた糸に機械的な力を加えることによってポリマーの貼り合せ面で各セグメントを極細繊維として分割し易くすると共に、分割性を経時的に変化させる要因を除去して繊維断面の各セクションの形状変化が生じにくい複合紡糸口金を提供することである。
前記課題を達成するために、本発明者が鋭意検討した結果、以下の複合紡糸口金によって解決できることを見出した。
ここに、前記課題を解決するための請求項1に係る本発明として、「少なくとも2種の成分からなる各ポリマーによってそれぞれ形成されたポリマーセグメントの横断面が扇状楔形を呈して互い違いに円周方向に配列して全体の横断面が中実円形を呈する複合単繊維群を各ポリマーの貼り合せ面で分割して細繊度を有する繊維群とするための分割型複合単繊維群を紡出するための多数の紡糸孔群を有する複合紡糸口金において、
前記紡糸孔が、前記扇状楔形を呈する各ポリマーをそれぞれ分配供給する、一つの同心円上に円周列を形成してそれぞれ穿設された分配孔群と、前記同心円の中心に穿設された中央孔と、前記分配孔群と前記中央孔とが直前に開口する円形断面を有する合流孔とを少なくとも備え、前記中央孔に機械的な力によって分割される易分割ポリマーを導入することを特徴とする分割型複合繊維の複合紡糸口金」が提供される。
このとき、請求項2に係る本発明のように、「一組の口金板に対して前記紡糸孔群が100個以上10000個以下穿設されていることを特徴とする請求項1記載の複合紡糸口金」とすることが好ましい。
また、請求項3に係る本発明のように、「前記紡糸孔群が三角格子状、方形格子状、または六角格子状に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分割型複合繊維の複合紡糸口金」とすることが好ましい。
また、前記課題を解決するための請求項4に係る別発明として、「少なくとも2種の成分からなる各ポリマーによってそれぞれ形成されたポリマーセグメントの横断面が扇状楔形を呈して互い違いに円周方向に配列して全体の横断面が中実円形を呈する複合単繊維群を各ポリマーの貼り合せ面で分割して細繊度を有する繊維群とするための分割型複合単繊維群を紡出するための多数の紡糸孔群を有する複合紡糸口金において、
前記紡糸孔が、前記扇状楔形を呈する各ポリマーをそれぞれ分配供給する、一つの同心円上に円周列を形成してそれぞれ穿設された分配孔群と、該分配孔群から分配供給される各ポリマーが流入する円形断面を有する合流孔とを備え、機械的な力によっても難分割性を示す各ポリマーが前記合流孔の中央部方向へ流れないように、ポリマー流を規制する流路規制溝を前記合流孔の直前に設けたことを特徴とする分割型複合繊維の複合紡糸口金」が提供される。
以上に述べたように、請求項1に係る本発明によれば、紡出された複合短繊維の断面中心には、機械的な力によって容易に分割できるコアポリマーが常に安定して微少量存在している。したがって、機械的な力によって分割が難しいコアポリマーの周りのポリマーの先端部同士が、この中央部分で結合する機会をなくしている。
また、複合紡糸口金の経時変化がわずかに生じたり、紡糸条件がわずかに変動したりして複合単繊維を構成する各ポリマーセグメントの断面変化が生じても、その中央部に存在するコアポリマーセグメントによって、扇状楔形の各ポリマーセグメントの先細部同士が結合することがブロックされる。
したがって、複合単繊維を構成する各ポリマーセグメントの分割性が改善され、かつ、繊維中心に存在するコアポリマーを機械的な力で容易にその貼り合せ面で破壊されるポリマーとすることより、更に、その分割性を向上させることができる。
また、機械的に力を加えることによって分割されにくいポリマー同士が繊維断面の中央部で互いに結合しないように、各ポリマーが合流する合流孔の入り口の直前で分割性が悪いポリマーの流路をこのポリマーが中央部に流入しないように規制する。そうすると、これによって、親和性の強い分割が難しい方のポリマーが中央部で結合するのを規制することができる。したがって、各ポリマーセグメントの貼り合せ面は、分割が容易なポリマーのみで形成されるために、機械的な力を加えることによって、容易に細繊度化した繊維に分割することができる。
更に、本発明に係る複合紡糸口金によれば、従来の口金を使用すると、各ポリマー流に微小な変動が生じた場合に、機械的な力による難分割性ポリマー同士がその先細となった先端部で結合してしまって、分割性が低下するという問題がある。しかし、本発明の複合紡糸口金を使用すれば、各ポリマー流に微小な変動が生じても、難分割性ポリマー同士がその先細となった先端部で互いに結合してしまうという問題を回避することができる。その結果、紡糸条件の不安定性や口金の経時変化などに起因してポリマー流の微小変動が生じても安定して易分割性繊維を溶融紡糸することができる。
したがって、目的とする細繊度化された品質に優れた繊維を安定して得ることができる。また、このような繊維から得られる布帛は、効率よく細繊度化できるので緻密できめ細かなタッチやドレープ性に優れたものとなる。
その上、本発明に係る複合紡糸口金は、安定な紡糸調子を実現しながら口金構造もシンプルであり、しかも、多数の紡糸孔を一組の口金に穿設することができるという極めて顕著な効果も奏する。
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態例]
図1は、本発明に係る複合紡糸口金の一部を示した第1実施形態例を模式的に説明するための説明図であって、図1(a)は正断面図、図1(b)は、図1(a)におけるX−X方向矢視図(平面図)である。なお、図1(b)におけるY−Y方向矢視図が図1(a)の正断面図であって、隣り合う二つの紡糸孔に関連する部分を太線で示し、それ以外の部分を細線で示している。なお、本発明において使用する「紡糸孔」という用語は、一本の複合単繊維(フィラメント)を紡出するために、一組の口金に設けられた一連の孔や溝などの流路を指すものとする。したがって、本発明においては、一組の複合紡糸口金に設けられた多数の紡糸孔群から複合単繊維群が紡出されることになる。
ここで、図1は、一枚の複合紡糸口金で多数の複合単繊維群を紡出するために、紡糸孔群が多数個穿設された口金であるが、図1(a)には、互いに隣接する2つの紡糸孔だけを示した。しかしながら、図1(b)に例示したように、実際には、例えば一組の口金板に対して多数個の紡糸孔群が方形格子状に配設されている。このように、本発明の複合紡糸口金では、多数個の紡糸孔群を設けることを一つの大きな特徴とし、例えば、一組の口金板に対して、100個以上(好ましくは500個以上)、場合によっては、10000個にも及ぶ紡糸孔群を穿設することができる複合紡糸口金を提供するものである。
以下、本発明に係る第1実施形態の複合紡糸口金について詳細に説明する。
ただし、この例は、2種のポリマー(A)と(B)を用いた例であるが、もちろん、2種以上のポリマーを用いても良い。この例の複合紡糸口金では、図1に例示したように、第1口金板1、第2口金板2、…、第5口金板5は、下から順番に積層された状態で紡糸口金パック内に組み込まれて溶融紡糸に供される。
なお、実際には第5分配板5の上に複数枚の分配板を配置し、2成分以上のポリマーを効率的に移送する口金となっている。ただし、図1には、2種類のポリマー(A)とポリマー(B)をそれぞれ第5口金板5へ移送するための他の口金板については、容易に設計可能な事項であるので、口金の説明が錯綜して複雑化するのを回避するために、図示省略した。
以下、「従来技術」欄の説明で援用した図4(a)に例示した断面構造を有する複合繊維を第1口金板1、第2口金板2、…、第5口金板5から得られるまでのポリマーの流れについて、口金の上流から下流へとポリマーの流れに沿って順次説明する。
本発明に係る複合紡糸口金の第1実施形態例において、図1に例示したように、ポリマー(A)とポリマー(B)とが第5口金板5へ流入する。このとき、先ず、第5口金板5に穿設されたポリマー(A)の導入孔群51とポリマー(B)の導入孔群52へポリマー(A)とポリマー(B)とがそれぞれ図示した方向から流入する。
ここで、一方のポリマー(A)は、導入孔群51から導入され、図1(b)に例示した分岐溝53によって、分岐溝群56で分岐させられて、複数の放射方向(図では「4つの放射方向」)へ均等に分配される。次いで、このようにして放射方向へ均等に分配させられた各ポリマー(A)流は、そのまま第4口金板4と第3口金板3とに上下に連接して穿設された複数の円周状配列貫通孔群41及びポリマー(A)の分配孔群31(図では、「それぞれ4個の孔群41及び31で構成されている」)をそのまま真直ぐに流下して、その下端開口から直ちに円形断面を有する合流孔21に流入する。
これに対して、他方のポリマー(B)流は、前記導入孔群52から導入され、この導入孔群52の直下に連接して、第4口金板4にそれぞれ穿設された導入孔群42から複数個の分岐溝群43(図では「4個の分岐溝群43」)によって複数の放射方向(図では「4つの放射方向」)へ分岐させられる。なお、分岐溝群43は、図1(a)と図1(b)には、それぞれ破線で示してある。このようにして放射状に複数方向(図では、「4方向」)へ均等に分岐した各ポリマー(B)流は、第3口金板3に穿設されたポリマー(B)の分配孔群32(破線で図示)へそれぞれ均等に分配される。そして、前記ポリマー(B)の分配孔群32をそれぞれ真直ぐに流下した後、その下端開口から直ちに合流孔21へ流入する。
以上に説明したように、ポリマー(A)の分配孔群31を流下してきた各ポリマー(A)流と、ポリマー(B)の分配孔群32を流下してきた各ポリマー(B)流とが、分配ポリマー合流孔21に交互に合流して、この合流孔21内で図4(a)に例示したポリマーセグメントのように、扇状楔形を有する複数個(図では8個)のポリマーセグメントが交互に貼り合わされる。なお、前記分配孔群31と分配孔群32とは、図1(b)に例示したように、これら孔群の各孔中心がそれぞれ一つの同心円Cの上に位置するように、好ましくは円周列を形成して交互に等配して配列されている。
このとき、各ポリマーセグメントが全て均等かつ合同形状に理想的に形成されるならば、理論的には、扇状楔形に交互に貼り合わされた各ポリマーセグメントの楔の先端は一点(中心点)で合致することになる。しかしながら、ポリマーの流動状態は、実際には微小な変化を伴っている。このため、扇状楔形断面を有する各ポリマーセグメントの鋭い楔の先端が繊維中心部において一点で合致せず、ポリマーの結合状態はばらばらな状態となっていて安定していないのが普通である。
その結果として、複合単繊維群を溶融紡糸した後、必要に応じて適当な倍率で延伸した繊維に機械的な力を加えて分割し、細繊度を有する繊維群を得ようとしても分割が安定しない。そうすると、当然のことながら、常に安定した分割性能を有する複合繊維を経時変化もなく安定して溶融紡糸することができないことは、既に説明したとおりである。
そこで、この問題を克服するために、本発明に係る第1実施形態例では、図4(a)に示した繊維断面の中央部に第3のポリマーセグメントを形成する複合口金とすることを一大特徴とする。なお、この第3のポリマーセグメントは、各ポリマーセグメントを機械的な力によって分割するときに、容易にポリマーの貼り合せ面で分離できる性状を有するものを使用する。したがって、このような性状を有するポリマーであれば、第3のポリマーセグメントは、扇状楔形に交互に貼り合せるポリマー(A)あるいはポリマー(B)のいずれかで構成するようにしても良い。
以上に述べた第3のポリマーセグメントを繊維の中心部に形成するために、本発明の第1実施形態例の複合口金では、図1(a)と図1(b)に例示したように、第3口金板3に、中央部をポリマーが流れる中央孔33を設ける。なお、この中央孔33は、第3口金板3において、ポリマー(A)の分配孔群31及びポリマー(B)の分配孔群32の各中心がその上に丁度位置する同心円Cの中心に穿設されている。
ただし、この例では、機械的な分割手段によって、その貼り合せ面で容易に分割可能なポリマーとして、ポリマー(B)を選定して、このポリマー(B)が中央孔33を流下するようにしている。そうすると、ポリマー(B)は、図1(a)と図1(b)に例示したように、分岐溝群43へ流れずに、ポリマー(B)は、導入孔52から中央孔33へそのまま流下して、その下端開口から合流孔21の中心に流入する。
その際、既に述べたように、ポリマー合流孔21には、中央孔33の下端開口から合流孔の中心に流れ込むポリマー(B)流に加えて、ポリマー(A)の分配孔群31の下端開口から流れ込むポリマー(A)流とポリマー(B)の分配孔群32の下端開口から流れ込むポリマー(B)流が一緒に流れ込んで、ここで合流する。このとき、前記分配孔群31と分配孔群32とからそれぞれ流れ込んだ各ポリマー流は、その流量と圧力がそれぞれ均等になるように配慮されていることは言うまでもない。
したがって、分配孔群31と分配孔群32とからそれぞれ円形の合流孔21に流れ込んで合流した各ポリマー(A)流及び各ポリマー(B)流は、均等な流量と圧力が維持されているので、中央孔33から流れ込んだコアポリマー(B)流の周りに交互に扇状に配列する。そうすると、既に述べた図4(a)に例示した各ポリマーセグメントに加えて、更にその中央部にコアポリマーセグメントが形成された断面を有するポリマー流が出現する。
その後、このポリマー流は、コアポリマーの周りに扇状に交互に貼り合わされた断面形状を有する合流ポリマーとして、第1口金板1に穿設されたポリマー導入孔11を流下して、次第に縮流しながら引き続いてポリマー吐出孔12へ流入して、このポリマー吐出孔12から複合繊維として最終的に紡出する。
このようにして、最終的に、周知の溶融紡糸法によって全体の横断面形状として丸型断面を有し、更に、中央部に形成されたコアポリマーセグメントを除いて、それぞれのポリマーセグメントの横断面形状が扇状楔形を有する複合単繊維群の繊維化を完了し、必要に応じて所定の倍率に延伸する延伸工程へ供する。
これに対して、「背景技術」欄で述べた従来の複合紡糸口金においては、ポリマー(A)の分配孔群31及びポリマー(B)の分配孔群32からそれぞれ流入したポリマー(A)及び(B)が合流孔21に流入するだけで、中央孔33から流入するコアポリマーが存在しない。そのため、扇状楔形に貼り合わされたポリマーの楔の先端部においてその結合状態が不安定になる。
ところが、本発明の第1実施形態例に係る複合紡糸口金によれば、扇状楔形に貼り合わされた楔形ポリマーの各先端部は、互いに結合することなく、中央部に存在するコアポリマーと最初に接触して貼り合わされる。このため、機械的な力を加えたときに、分割され難いポリマー(A)同士が楔の先端部で互いに結合することがない。なお、中央孔33に流入するポリマーは、本例では、ポリマー(B)を使用しているが、ポリマー(A)及び(B)以外の機械的な力によって、その貼り合せ面が容易に破壊されやすい第3のポリマー(C)を使用してもよい。
本実施形態例においては、繊維中心部でコアポリマーと結合するポリマーの結合面積(貼り合せ面積)が大きくなるほど、機械分割による分割性が低下することは明らかである。したがって、中央孔33から中心に流入させるポリマー量は、微少量であることが望ましい。この量については、本発明の要旨を満足する限り、特に制限する理由はない。
ただし、当然のことながら使用するポリマーの性状や貼り合せ面の分割容易性によっても変わるが、一般に、本発明者の検討によると、中央孔33から流入するポリマーの流量は、ポリマー(A)の分配孔群31及びポリマー(B)の分配孔群32から流入するポリマーの総流量の50分の1以下、1000分の1以上であることが好ましい。
本発明は、一組の口金板に多数の紡糸孔群を設けた複合紡糸口金に係るものであって、紡糸孔群を高密度で配設するために、紡糸孔群を方形格子状に配設した場合を示した。この場合、コアとなるポリマーセグメントの周りに、ポリマー(A)とポリマー(B)とからなる8個のポリマーセグメントがそれぞれ交互に貼り合わされた例である。
なお、詳細なポリマー分配構造に係る説明は省略するが、紡糸孔群を配列させる幾何学的な考察をすれば、図2に示したように、紡糸孔群を本発明のように方形格子の格子点(図の黒小丸)の上に配列する方形格子配列の実施形態例(図2(b)参照)の他に、三角格子の格子点(図の黒小丸)の上に配列させる三角格子配列の実施形態例(図2(a)参照)、六角格子の格子点(図の黒小丸)の上に配列させる六角格子配列の実施形態例(図2(c)参照)があることが容易に分かる。
なお、この場合、ポリマー(A)は、各格子中心(図の白小丸)から格子点(図の黒小丸)の方向へ分配供給され、ポリマー(B)は、各格子点(図の黒小丸)から隣接する各格子点(図の黒小丸)に向かって放射方向へそれぞれ分配供給される。つまり、三角格子配列では、各格子中心(図の白小丸)から各格子点(図の黒小丸)方向へ、また、各格子点(図の黒小丸)から各格子点(図の黒小丸)方向へそれぞれ6方向に分岐させられる。これに対して、方形格子配列では、図1に例示したように、それぞれ4方向へ分岐させられ、また、六角格子配列では、それぞれ3方向へ分岐させられる。
したがって、このような実施形態例においては、三角格子配列では、コアとなるポリマーセグメントの周りには、ポリマー(A)とポリマー(B)とからそれぞれなる12個の扇状楔形ポリマーセグメントがそれぞれ交互に円周配列をなして貼り合わされ、六角格子配列の場合には、6個の扇状楔形ポリマーセグメントが交互に円周配列をなして貼り合わされることとなる。
以上に説明したように、本発明に係る第1実施形態例に係る複合紡糸口金を使用することにより、紡出された複合短繊維の断面中心には、機械的な力によって容易に分割できるコアポリマーが常に安定して微少量存在している。したがって、機械的な力によって分割が難しい周りのポリマーの先端部同士が、この中央部分で結合する機会をなくしている。
また、複合紡糸口金の経時変化がわずかに生じたり、紡糸条件がわずかに変動したりして複合単繊維を構成する各ポリマーセグメントの断面変化が生じても、その中央部に存在するコアポリマーセグメントによって、扇状楔形の各ポリマーセグメントの先細部同士が結合することがブロックされる。
したがって、複合単繊維を構成する各ポリマーセグメントの分割性が改善され、かつ、繊維中心に存在するコアポリマーを機械的な力で容易にその貼り合せ面で破壊されるポリマーとすることより、更に、その分割性を向上させることができる。
[第2実施形態例]
次に、本発明に係る複合紡糸口金の第2実施形態例を図3を参照しながら説明する。
この第2実施形態例は、第1実施形態例で設けられた中央孔33を設けないことと、そして、合流孔21へ流入するポリマー(A)の流入直前の流路形状を特定形状に規制する流路規制溝34を設けたことで第1実施形態例と異なる。なお、これらの違い以外は、第2実施形態例は、第1実施形態例と同じ口金構造を有している。したがって、図3に使用した参照符号については、図1と同等の機能を有するものについては、同一の参照符号で示した。
ここで、図3は、図1と異なる箇所を説明するために、相違箇所を明示した部分のみを抜き出した部分説明図(模式正断面図)である。なお、この図3において、図3(a)は、多数の紡糸孔群中の1個の紡糸孔のみを取り出して示した部分正断面図、図3(b)は図3(a)の上面図、そして、図3(c)は流路規制溝34の先端が集中する中央部を拡大した要部拡大図をそれぞれ示す。
以上に述べたように構成される本発明に係る第2実施形態例の特徴は、機械分割により貼り合せ面が破壊されにくい方のポリマー(A)がポリマー(A)の分配孔群31から合流孔21へ達する直前に、流路規制溝34を設けたことにある。このとき、流路規制溝34の先細先端は、図3(c)に示したように互いに連結しないように離間されられている。
これに対して、機械分割により貼り合せ面が破壊されやすい方のポリマー(B)に対しては、流路規制溝34を設けない。したがって、ポリマー(B)は、流路規制溝34を通過することなくポリマー合流孔21に達することができる。そうすると、流路規制溝34によって流路規制を受けたポリマー(A)が、流路規制を受けなかったポリマー(B)中へ供給されることとなる。
その結果、機械分割により貼り合せ面が破壊されにくい方のポリマー(A)の先端が、機械分割により破壊されやすい方のポリマー(B)によって隔離されることとなる。これに対して、機械分割により貼り合せ面が破壊されやすい方のポリマー(B)の先細となった先端部は、互いに結合した状態になるが、このポリマー(B)は、機械的な力を受けると破壊され易い。このため、先細となった先端部での結合面積を微小に維持すると、この結合部を容易に分割することができる。
なお、ポリマー(B)の結合部面積を微小にするためには、流路規制溝34の先端部を互いに離間させる距離が重要である。そのためには、ポリマー(A)とポリマー(B)の性状によっても異なるが、この距離は、一般に、0(ゼロ)mmよりも大きく、0.5mmよりも小さくすることが必要である。もちろん、ポリマー(B)の全ての先端がその中心点において点で結合していることが理想である。
本発明に係る複合紡糸口金の第1実施形態例の説明図であって、図1(a)は正断面図、図1(b)は、図1(a)におけるX−X方向矢視図(平面図)である。 図2(a)は、紡糸孔群を三角格子の格子点上に配列させる三角格子配列の実施形態例、図2(b)は方形格子配列の実施形態例、そして、図2(c)は六角格子配列の実施形態例をそれぞれ示した図である。 本発明に係る複合紡糸口金の第2実施形態例であって、図3(a)は部分正断面図、図3(b)は上面図、そして、図3(c)は流路規制溝の先端を拡大した要部拡大図をそれぞれ示す。 代表的な分割型複合単繊維の横断面形状を示した断面図である。
符号の説明
1 第1口金板
2 第2口金板
3 第3口金板
4 第4口金板
5 第5口金板
11 合流ポリマーの導入孔
12 ポリマー吐出孔
21 分流ポリマーの合流孔
31 ポリマー(A)の分配孔
32 ポリマー(B)の分配孔
33 中央孔
34 流路規制溝
41 円周状配列貫通孔
42 導入孔
43 分岐溝
51 ポリマー(A)の導入孔
52 ポリマー(B)の導入孔
53 分岐溝
C 同心円

Claims (4)

  1. 少なくとも2種の成分からなる各ポリマーによってそれぞれ形成されたポリマーセグメントの横断面が扇状楔形を呈して互い違いに円周方向に配列して全体の横断面が中実円形を呈する複合単繊維群を各ポリマーの貼り合せ面で分割して細繊度を有する繊維群とするための分割型複合単繊維群を紡出するための多数の紡糸孔群を有する複合紡糸口金において、
    前記紡糸孔が、前記扇状楔形を呈する各ポリマーをそれぞれ分配供給する、一つの同心円上に円周列を形成してそれぞれ穿設された分配孔群と、前記同心円の中心に穿設された中央孔と、前記分配孔群と前記中央孔とが直前に開口する円形断面を有する合流孔とを少なくとも備え、前記中央孔に機械的な力によって分割される易分割ポリマーを導入することを特徴とする分割型複合繊維の複合紡糸口金。
  2. 一組の口金板に対して前記紡糸孔群が100個以上10000個以下穿設されていることを特徴とする請求項1記載の複合紡糸口金。
  3. 前記紡糸孔群が三角格子状、方形格子状、または六角格子状に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分割型複合繊維の複合紡糸口金。
  4. 少なくとも2種の成分からなる各ポリマーによってそれぞれ形成されたポリマーセグメントの横断面が扇状楔形を呈して互い違いに円周方向に配列して全体の横断面が中実円形を呈する複合単繊維群を各ポリマーの貼り合せ面で分割して細繊度を有する繊維群とするための分割型複合単繊維群を紡出するための多数の紡糸孔群を有する複合紡糸口金において、
    前記紡糸孔が、前記扇状楔形を呈する各ポリマーをそれぞれ分配供給する、一つの同心円上に円周列を形成してそれぞれ穿設された分配孔群と、該分配孔群から分配供給される各ポリマーが流入する円形断面を有する合流孔とを備え、機械的な力によっても難分割性を示す各ポリマーが前記合流孔の中央部方向へ流れないように、ポリマー流を規制する流路規制溝を前記合流孔の直前に設けたことを特徴とする分割型複合繊維の複合紡糸口金。
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