JP6343979B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ベクトル制御を用いた電動機の制御装置に関する。
従来より、ベクトル制御を用いた電動機の制御装置が知られている。ベクトル制御は、電動機の固定子に流す三相交流電流を電源角周波数に同期して回転する直交二軸座標系(磁束軸(γ軸)及びトルク軸(δ軸))に変換して調整することで電動機トルクを制御する方法である。このベクトル制御では、すべり角周波数を、比率(δ軸電流/γ軸成分の回転子磁束)に比例して制御することで、回転子磁束がγ軸方向と一致することとなる。すなわち、δ軸成分の回転子磁束がゼロの状態となり、ベクトル制御が成立する。
この電動機の制御装置は、これを機能的に捉えた場合に電動機の伝達特性の逆特性の演算を含む補償部を備えており、この補償部により電動機(電動機の伝達特性)との相殺制御を行い、安定性及び応答性の向上を図ることとしている。
例えば特許文献1には、補償部であるフィードフォワード制御器を電動機の前段に備え、電動機に印加する電圧指令値をフィードフォワード制御する構成が開示されている。この場合、単に逆特性の演算を組み込んだだけでは、補償部が微分動作になりノイズ等に極めて弱くなり、補償部を実現できないおそれがある。そこで、補償部は、電流の規範応答でもある応答遅れのフィルタ演算を組み合わせるのが通常である。
一方、特許文献2には、補償部である電圧歪み推定器(すなわち外乱推定部)を電動機の後段に備え、電動機に印加する電圧指令値をフィードバック制御する構成が開示されている。この場合、安定性を保つために、補償部には、ローパスフィルタをなすフィルタ演算が組み合わせられている。
特開平9−47069号公報 特開2009−11017号公報
ところで、電動機の伝達特性の逆特性には、電源角周波数の乗算が含まれる。電源角周波数を変数として考える誘導モータでは、フィルタ演算の存在により逆特性と電動機の伝達特性との相殺がうまくできず、理想的な電流応答にならなくなることがある。このため、狙い通りの電流応答を得ることができず、所望とするトルク応答を得ることができないという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、狙い通りの電流応答を得ることにより、所望とするトルク応答を得ることができる電動機の制御装置を提供する。
かかる課題を解決するために、本発明に係る電動機の制御装置は、電動機の伝達特性の逆特性の演算と、位相制御を行うフィルタ演算とを実施する補償部を有している。この補償部は、逆特性の演算において電源角周波数の乗算を含み、制御系における補償部と電動機との配置関係に基づいて、電源角周波数の乗算とフィルタ演算との演算順番を設定することとしている。そして補償部は、電動機の前段に位置付けられて、フィードフォワード演算により電流指令値に基づいて電動機に印加する電圧指令値を算出し、当該算出した電圧指令値を電動機に出力する電流補償部と、電動機の後段に位置付けられて、フィードバック演算により電動機の電流に基づいて電動機に印加される電圧を推定する電圧推定値を算出し、当該算出した電圧推定値を利用して外乱を推定する外乱補償部と、を含み、電流補償部は、フィルタ演算を先行して実施し、その後に電源角周波数の乗算を実施するとともに、外乱補償部は、電源角周波数の乗算を先行して実施し、その後にフィルタ演算を実施する。
本発明によれば、電動機の伝達特性と、補償部が含む電動機の特性の逆特性との相殺を適切に実現することができる。これにより、狙い通りの電流応答を得ることができるので、所望とするトルク応答を得ることができる。
本実施形態に係る電動機の制御装置の構成を模式的に示す説明図 電流FF補償部及び外乱補償部の構成を模式的に示すブロック図 電流FF補償部における演算順番を模式的に示す説明図 応答波形の推移を示す説明図 外乱補償部における演算順番を模式的に示す説明図 応答波形の推移を示す説明図 電流FF補償部及び外乱補償部における演算順番を模式的に示す説明図 応答波形の推移を示す説明図
以下、図面を参照し、本実施形態に係る電動機の制御装置について説明する。本明細書において、各パラメータに付与される添え字において、「s」は固定子側、「r」は回転子側、「γ」はγ軸(磁束軸)成分、「δ」はδ軸(トルク軸)成分を示す。
図1は、本実施形態に係る電動機の制御装置の構成を模式的に示す説明図である。本実施形態では、電気自動車の駆動源として適用される電動機を制御する電動機の制御装置について説明を行う。電気自動車は、電動機1と、電源2と、制御装置10と、インバータ11とを備えている。
電動機1は、例えば、U相巻線、V相巻線、W相巻線からなる3つの相巻線を有する三相交流誘導モータ(以下「三相交流誘導モータ1」という)である。この三相交流誘導モータ1は、インバータ11内で変換された3相の交流電圧が各相に印加されることにより生じる磁界と、回転子の永久磁石が作る磁界との相互作用により回転駆動する。
電源2は、高電圧を印加可能な直流電源であり、例えば積層型リチウムイオンバッテリである。
制御装置10は、三相交流誘導モータ1を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータにより実現することができる。制御装置10は、インバータ11に対して駆動信号Duu ,Dul ,Dvu ,Dvl ,Dwu ,Dwl を出力し、このインバータ11の制御を通じて三相交流誘導モータ1の制御を行う。
インバータ11は、三相交流誘導モータ1の各相に対応する3つのスイッチング回路を主体に構成されている。インバータ11は、電源2の正極に接続される正極母線と、電源2の負極に接続される負極母線との間に、U相用のスイッチング回路と、V相用のスイッチング回路と、W相用のスイッチング回路とを備える。このインバータ11は、駆動信号Duu ,Dul ,Dvu ,Dvl ,Dwu ,Dwl に応じて各相のスイッチング回路をオンオフ制御し、電源2の直流電圧を三相の交流電圧V,V,Vにそれぞれ変換する。そして、インバータ11は、当該変換した交流電圧V,V,Vを三相交流誘導モータ1の各相にそれぞれ印加する。
制御装置10は、これを機能的にとらえた場合、電流指令値演算部12と、電流フィードフォワード補償部13と、外乱補償部14と、座標変換部15と、PWM変換部16と、座標変換部17と、すべり角周波数制御部18とを主体に構成されている。
電流指令値演算部12には、トルク指令値T、三相交流誘導モータ1の回転数に相当する回転子機械角速度ωrm及び電源2の電源電圧Vdcが入力される。電流指令値演算部12は、トルク指令値T、回転子機械角速度ωrm及び電源電圧Vdcに基づいて、γ軸電流(γ軸成分の電流)の指令値に相当するγ軸電流指令値iγs と、δ軸電流(δ軸成分の電流)の指令値に相当するδ軸電流指令値iδs とを算出する。
電流指令値演算部12において、トルク指令値Tは、例えば電気自動車を制御するコントローラ(図示せず)から入力され、回転子機械角速度ωrmは、後述する角速度演算部23から入力される。また、電源電圧Vdcは、例えば電源2を管理するバッテリーコントローラ(図示せず)から入力される。
電流フィードフォワード補償部(以下「電流FF補償部」という)13には、電流指令値演算部12において算出されたγ軸電流指令値iγs 及びδ軸電流指令値iδs が入力される。電流FF補償部13は、γ軸電流指令値iγs に応じてγ軸電圧指令値vγs を算出するとともに、δ軸電流指令値iδs に応じてδ軸電圧指令値vδs を算出する。
外乱補償部14には、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsと、後述する座標変換部15に入力されるγ軸電圧指令値vγs 及びδ軸電圧指令値vδs とが入力される。外乱補償部14は、三相交流誘導モータ1において検出されるγ軸電流iγs及びδ軸電流iδsから電圧推定値を算出して、電圧指令値vγs ,vδs との差異から外乱(電圧歪みなど)を推定するものである。具体的には、外乱補償部14は、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsと、γ軸電圧指令値vγs 及びδ軸電圧指令値vδs とに基づいて、電圧歪みなどの外乱を相殺するための電圧補正値ΔVγs,ΔVδsを算出する。
外乱補償部14において、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsは、後述する座標変換部17から出力される。
電流FF補償部13において算出されたγ軸電圧指令値vγs は、外乱補償部14において算出された電圧補正値ΔVγsによりフィードバック補正され、これにより、外乱が相殺される。同様に、電流FF補償部13において算出されたδ軸電圧指令値vδs は、外乱補償部14において算出された電圧補正値ΔVδsによりフィードバック補正され、これにより、外乱が相殺される。
なお、電流FF補償部13及び外乱補償部14における演算手法の詳細については後述する。
座標変換部15には、電源角θと、補正後のγ軸電圧指令値vγs 及びδ軸電圧指令値vδs とが入力される。座標変換部15は、後述する電源角周波数(電源角速度)ωで回転する直交二軸座標系(γδ軸)から、三相交流座標系(uvw軸)への変換を行なう。具体的には、座標変換部15は、電源角θと、γ軸電圧指令値vγs と、δ軸電圧指令値vδs *とに基づいて、数1に示す座標変換処理によりU相・V相・W相に係る三相の電圧指令値v 、v 、v を算出する。
座標変換部15において、電源角θは、後述する変換用角度部24から入力される。数1において、θ’は、制御系の入出力遅れを考慮して電源角θを補正したものである。
PWM変換部16には、座標変換部15において算出された三相の電圧指令値v 、v 、v が入力される。PWM変換部16は、三相の電圧指令値v 、v 、v に応じて、インバータ11のスイッチング回路(iGBTなどのスイッチング素子を含む)を駆動するための駆動信号Duu ,Dul ,Dvu ,Dvl ,Dwu ,Dwl を生成する。
座標変換部17には、電源角θと、u相電流ius及びv相電流ivsとが入力される。座標変換部17は、三相交流座標系(uvw軸)から、直交二軸座標系(γδ軸)への変換を行なう。具体的には、座標変換部17は、電源角θと、u相電流ius、v相電流ivs及びw相電流iwsとに基づいて、数2に示す座標変換処理により、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsを算出する。
座標変換部17において、u相電流ius及びv相電流ivsは、後述するAD変換部21から入力される。ここで、AD変換部21から出力されない、残りのw相電流iwsは、数3で求めることができる。
すべり角周波数制御部18には、回転子電気角周波数(回転子電気角速度)ωreと、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsとが入力される。ここで、回転子電気角周波数ωreは、角速度演算部23から入力される。また、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsは、座標変換部17から入力される。
一般に、直交二軸座標系(γδ軸)における誘導モータの伝達特性(誘導モータ特性)は、数4の状態方程式で示される(モータモデル)。また、モータトルクTは、数5で示される。同数式において、Rは抵抗値、L,Mは自己インダクタンス及び相互インダクタンス、φは磁束、σは数6に示す漏れ係数、sはラプラス演算子である。


すべり角周波数ωse、数7に示すように、比率(δ軸電流iδs/γ軸成分の回転子磁束φγr)に比例して制御することで、回転子磁束φγrが、δ軸(トルク軸)と直交
するγ軸(磁束軸)方向と一致する。すなわち、軸ズレゼロ、つまりδ軸成分の回転子磁束がゼロの状態となり(φδr=0)、ベクトル制御が成立する。
この場合、誘導モータ特性は、数8のように、簡素化された3次の状態方程式で扱うことができる。また、モータトルクTも簡素化されて、数9に示す通りとなる。

すべり角周波数制御部18は、γ軸電流iγs及びδ軸電流iδsに基づいて、数7からすべり角周波数ωseを算出する。ここで、数7に示す回転子磁束φγrは、数8の第3行から、γ軸電流iγsに一次遅れを施すことで求めることができる。
すべり角周波数制御部18は、回転子電気角周波数ωreにすべり角周波数ωseを加算した値を電源角周波数(電源角速度)ωとして算出する。すべり角周波数制御を実施することで、モータトルクTは、γ軸成分の回転子磁束φγr(φγr∝iγs)と、δ軸電流iδsとの積に比例する。
電流センサ19は、u相、v相及びw相の三相のうち少なくとも二相の電流(例えばu
相電流i、v相電流i)を検出する。座標変換部17には、AD変換部21を通して
サンプリングしたu相電流ius及びv相電流ivsが入力される。
磁極位置検出部20は、回転子位置(角度)に応じたA相B相Z相のパルスを出力し、出力されたパルスは、パルスカウンタ22に入力される。このパルスカウンタ22を通じて、回転子機械角度θrmが出力される。
角速度演算部23は、パルスカウンタ22から入力された回転子機械角度θrmに基づいて、その時間変化率より回転子機械角速度ωrmと、モータ極対数pを乗じた回転子電気角周波数ωreとを算出する。
以下、本実施形態に係る電流FF補償部13及び外乱補償部14について説明する。図2は、電流FF補償部13及び外乱補償部14の構成を模式的に示すブロック図である。まず、数8に示した誘導モータ特性を示す状態方程式は、数10のように整理することができる。
数10に係る数式は、数11へと変形可能である。
ここで、数11に係る数式の右辺第2項は、δ軸電流指令値iγs *を使ってフィードフォワード補正で相殺することとする。この第2項を省略すると、誘導モータ特性を示す状態方程式は数12で示される。
数13は、誘導モータ特性である伝達関数行列P(S)の逆伝達関数行列P−1(s)である。
この誘導モータ特性の逆特性(以下「モータ逆特性」という)P−1(s)を使って、電流FF補償部13と、外乱補償部14とを導出する。
具体的には、電流FF補償部13については、モータ逆特性P−1(s)をモータモデルP(s)の前段に配置する構成とし、外乱補償部14については、モータ逆特性P−1
(s)をモータモデルP(s)の後段に配置する構成とする。また、電流の規範応答に相当するフィルタを下式(数14)で示す一次遅れとし、外乱補償部14の安定性を保つためのフィルタを下式(数15)で示す一次遅れとする。

以上より、図2に示すように、電流FF補償部13と、外乱補償部14とが構成される。図2における図中の各線はベクトル表示であり、電流FF補償部13と外乱補償部14とは、2入力2出力系としてそれぞれ設計される。また、Lσ≡σLである。
モータ逆特性である逆伝達関数行列P−1(s)のγδ軸間の干渉項(要素12(−ωLσ)、要素21(ωLσ))には、電源角周波数ωが含まれている。そこで、電流FF補償部13及び外乱補償部14においては、その演算において、フィルタR(s),H(s)との演算順番に留意する。
具体的には、電流FF補償部13では、干渉項(要素12、要素21)について、フィルタ演算を先行して行い、その後に電源角周波数ωの乗算を実施する。一方、γδ軸の直接項(要素11、要素22)については、微分器とフィルタとを合体した近似微分器として演算をまとめて行う。
これに対して、外乱補償部14では、干渉項(要素12、要素21)について、電源角周波数ωの乗算を先行して行い、その後にフィルタ演算を実施する。一方、γδ軸の直接項(要素11、要素22)については、微分器とフィルタとを合体した近似微分器として演算をまとめて行う。
外乱補償部14では、モータ逆特性P−1(s)で推定した電圧推定値と、所定の演算値との差分から外乱推定値である電圧補正値ΔVγs、ΔVδsを算出する。そして、電圧補正値ΔVγs、ΔVδsで電圧指令値vγs 、vδs をフィードバック補正することで外乱(電圧歪みなど)を相殺する。ここで、上記の所定の演算値は、補正後の電圧指令値vγs 、vδs にフィルタH(s)と、むだ時間e−τd・s(デジタル制御遅れを模擬)とを施した値となる。
このように本実施形態において、三相交流誘導モータ1の制御装置10は、三相交流誘導モータ1の固定子に流す交流電流を電源角周波数に同期した直交二軸回転座標系に変換して調整することで電動機トルクを制御するベクトル制御を用いるものである。この制御装置10は、誘導モータ特性の逆特性の演算と、位相制御を行うフィルタ演算とを実施する補償部を有している。この補償部は、逆特性の演算において電源角周波数ωの乗算を含み、制御系における補償部と三相交流誘導モータ1との配置関係に基づいて、電源角周波数ωの乗算とフィルタ演算との演算順番を設定することとしている。
誘導モータのベクトル制御では、回転子磁束に同期した直交γδ軸座標系にて制御系を設計する(数4)。さらに、数7に示すすべり制御則を用いて、回転子磁束φγrをγ軸
に一致させることで、低次元化された誘導モータ特性で制御系を設計することができる(数8)。
しかし、数7から解るように、すべり角周波数ωseは、δ軸電流iδsと回転子磁束φγr(γ軸電流iγsに比例)の比で決まるところ、応答変化が電流並みに速い。したがって、制御系を設計する際には、定数ではなく変数として扱う必要がある。一方、回転子電気角周波数ωreは、機械系なので電気系より応答が数十倍以上に遅いので、一般には定数扱いとして制御系を設計するこが可能である。
誘導モータ(誘導モータ特性P(s))に対して前置き構成となる電流FF補償部13と、誘導モータに対して後置き構成となる外乱補償部14とには、モータ逆特性P−1(s)が内蔵されており、このモータ逆特性P−1(s)には、電源角周波数ωの乗算が含まれている。モータ逆特性P−1(s)を、制御対象であるモータの前、または、後ろに配置することで、モータ特性P(s)との相殺を行う。しかし、ノイズに弱い微分動作の回避、過大な電圧操作量の回避、安定性の維持などを目的に、どちらのケースでも遅れフィルタを直列に挿入配置する必要がある。
本実施形態では、電源角周波数ωの乗算、フィルタ演算、制御対象であるモータ(モータ特性P(s))の順番に着目する。電源角周波数ωを変数として考える誘導モータでは、この3者の順番を間違えると、モータ逆特性P−1(s)と誘導モータ特性P(s)との相殺がうまくできず、理想的な電流応答にならなくなる。制御系設計で狙った理想の電流応答に一致できないことは、狙ったトルク応答に出来ないことを意味する。
この点、本実施形態によれば、電源角周波数ωの乗算、遅れフィルタ、制御対象である誘導モータ(モータ特性P(s))の順番を考慮して、電源角周波数ωの乗算とフィルタ演算との演算順番が決定されている。そのため、誘導モータ特性P(s)とモータ逆特性P−1(s)との相殺を適切に実現することができる。これにより、狙い通りの電流応答を得ることができるので、所望とするトルク応答を得ることができる。
なお、すべり角周波数ωseがゼロである同期モータではモータモデルP(s)は、機械系で応答が遅い電気角周波数ωreしか含まないので、このような変数乗算(非線形特性)の演算順番の問題は生じない。
また、本実施形態において、補償部は、三相交流誘導モータ1の前段に位置付けられて、フィードフォワード演算により電流指令値iγs ,iδs に基づいて電圧指令値vγs ,vδs を算出し、当該算出した電圧指令値vγs ,vδs を三相交流誘導モータ1に出力する電流FF補償部(電流補償部)13を含む。この場合、電流FF補償部13は、フィルタ演算を先行して実施し、その後に電源角周波数ωの乗算を実施する。
図3は、電流FF補償部13における演算順番を模式的に示す説明図である。同図において、(a)は、比較例に係る演算順番を模式的に示す説明図であり、(b)は、本実施形態に係る演算順番を模式的に示す説明図である。上述したように、誘導モータ特性P(s)と、モータ逆特性P−1(s)とは、電源角周波数ωの乗算を含み、また、前置き構成となる補償部としての電流FF補償部13は、モータ逆特性P−1(s)を含んでいる。電源角周波数ωは電流並みの応答で変化する変数であり、この変数ωと他の変数(電流等)との乗算は非線形演算である。従って、同図(a)に示すように、誘導モータ(誘導モータ特性P(s))と、これに対して前置きの補償部である電流FF補償部13’内のモータ逆特性P−1(s)との間に位相ズレを生じるフィルタ部が配置されると、誘導モータ特性P(s)とモータ逆特性P−1(s)との相殺ができない。従って、狙い通りの電流応答が得られないので、所望とするトルク応答を得ることができない。
この点、本実施形態の電流FF補償部13では、同図(b)に示すように、フィルタ演算を先行して行い、その後に電源角周波数ωの乗算を行うこととしている。そのため、誘
導モータ特性P(s)とモータ逆特性P−1(s)との相殺を適切に実現することができる。これにより、狙い通りの電流応答を得ることができるので、所望とするトルク応答を得ることができる。
図4は、応答波形の推移を示す説明図であり、(a)は、図3(a)に係る波形を示し、(b)は、図3(b)に係る波形を示す。同図において、細い実線は指令値波形、太い実線は規範応答波形、破線は実際の応答波形を示す(図6,8においても同様)。同図に示すように、正しい演算順番とすることで、ステップ的な指令値の変化について、主にγ軸電流iγsの応答が改善されることができる。同図(a)に示すように、図3(a)の
演算順番の場合、規範応答(フィルタ特性)から大きく乖離して、オーバーシュートやアンダーシュートが生じる。一方、同図(b)に示すように、図3(b)の演算順番の場合には、規範応答に沿った良好な電流応答を得ることができている。
また、本実施形態において、補償部は、三相交流誘導モータ1の後段に位置付けられて、フィードバック演算により三相交流誘導モータ1の電流iγs,iδsに基づいて三相交流誘導モータ1に印加される電圧を推定する電圧推定値を算出し、当該算出した電圧推定値を利用して外乱を推定する外乱補償部14を含む。この場合、外乱補償部14は、電源角周波数ωの乗算を先行して実施し、その後にフィルタ演算を実施する。
図5は、外乱補償部14における演算順番を模式的に示す説明図である。同図において、(a)は、比較例に係る演算順番を模式的に示す説明図であり、(b)は、本実施形態に係る演算順番を模式的に示す説明図である。上述したように、誘導モータ特性P(s)と、モータ逆特性P−1(s)とは、電源角周波数ωの乗算を含み、外乱補償部14は、後置き構成となる補償部としての電圧推定手段を含み、この電圧推定手段は、モータ逆特性P−1(s)を含んでいる。電源角周波数ωは電流並みの応答で変化する変数であり、この変数ωと他の変数(電流等)との乗算は非線形演算である。従って、同図(a)に示すように、誘導モータ(誘導モータ特性P(s))と、これに対して後置きの補償部である外乱補償部14’内のモータ逆特性P−1(s)との間に位相ズレを生じるフィルタ部が配置されると、誘導モータ特性P(s)とモータ逆特性P−1(s)との相殺ができない。従って、狙い通りの電流応答が得られないので、所望とするトルク応答を得ることができない。
この点、本実施形態の外乱補償部14では、同図(b)に示すように、電源角周波数ωの乗算を先行して行い、その後にフィルタ演算を後に行うこととしている。そのため、誘導モータ特性P(s)とモータ逆特性P−1(s)との相殺を適切に実現することができる。これにより、狙い通りの電流応答を得ることができるので、所望とするトルク応答を得ることができる。
図6は、応答波形の推移を示す説明図であり、(a)は、図5(a)に係る波形を示し、(b)は、図5(b)に係る波形を示す。同図に示すように、正しい演算順番とすることで、ステップ的な指令値の変化について、主にγ軸電流iγsの応答が改善されること
ができる。同図(a)に示すように、図5(a)の演算順番の場合、規範応答(フィルタ特性)から大きく乖離して、オーバーシュートやアンダーシュートが生じる。一方、同図(b)に示すように、図5(b)の演算順番の場合には、規範応答に沿った良好な電流応答を得ることができている。
特に本実施形態においては、補償部は、上記の電流FF補償部(電流補償部)13と、外乱補償部14とを含んでいる。この場合、電流FF補償部13は、フィルタ演算を先行して実施し、その後に電源角周波数ωの乗算を実施する。一方、外乱補償部14は、電源角周波数ωの乗算を先行して実施し、その後にフィルタ演算を実施する。
図7は、電流FF補償部13及び外乱補償部14における演算順番を模式的に示す説明図である。同図において、(a)は、比較例に係る演算順番を模式的に示す説明図であり、(b)は、本実施形態に係る演算順番を模式的に示す説明図である。本実施形態によれば、前置きの補償部である電流FF補償部13と、後置きの補償部である外乱補償部14とのそれぞれにおいて、演算順番が最適化されている。そのため、誘導モータ特性P(s)とモータ逆特性P−1(s)との相殺を適切に実現することができる。これにより、狙い通りの電流応答を得ることができるので、所望とするトルク応答を得ることができる。
図8は、応答波形の推移を示す説明図であり、(a)は、図7(a)に係る波形を示し、(b)は、図7(b)に係る波形を示す。同図に示すように、正しい演算順番とすることで、ステップ的な指令値の変化について、主にγ軸電流iγsの応答が改善されること
ができる。同図(a)に示すように、図7(a)の演算順番の場合、規範応答(フィルタ特性)から大きく乖離して、オーバーシュートやアンダーシュートが生じる。一方、同図(b)に示すように、図7(b)の演算順番の場合には、それぞれを単独で使用する場合(図3又は図5)と比較しても、規範応答に沿った良好な電流応答を得ることができている。
以上、本発明の実施形態にかかる電動機の制御装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。電動機の適用は、電気自動車のみならず電動機を搭載する各種の車両や、それ以外であってもよい。また、同期電動機においてはこのような演算順序の問題は生じないものの、本制御装置を同期電動機の制御装置として適用してもよい。
1 三相交流誘導モータ
2 電源
10 制御装置
11 インバータ
12 電流指令値演算部
13 電流FF補償部
14 外乱補償部
15 座標変換部
16 PWM変換部
17 座標変換部
18 すべり角制御部
19 電流センサ
20 磁極位置検出部
21 AD変換部
22 パルスカウンタ
23 角速度演算部
24 変換用角度部

Claims (1)

  1. 電動機の固定子に流す交流電流を電源角周波数に同期した直交二軸回転座標系に変換して調整することで電動機トルクを制御するベクトル制御を用いる電動機の制御装置であって、
    前記電動機の伝達特性の逆特性の演算と、
    位相制御を行うフィルタ演算とを実施する補償部
    トルク指令値に基づいて電流指令値を算出する電流指令値演算部と、
    前記電動機の電流を検出する電流検出部と、
    を有し、
    前記補償部は、前記逆特性の演算において前記電源角周波数の乗算を含み、制御系における前記補償部と前記電動機との配置関係に基づいて、前記電源角周波数の乗算と前記フィルタ演算との演算順番を設定する電動機の制御装置において、
    前記補償部は、
    前記電動機の前段に位置付けられて、フィードフォワード演算により前記電流指令値に基づいて前記電動機に印加する電圧指令値を算出し、当該算出した電圧指令値を前記電動機に出力する電流補償部と、
    前記電動機の後段に位置付けられて、フィードバック演算により前記電動機の電流に基づいて前記電動機に印加される電圧を推定する電圧推定値を算出し、当該算出した電圧推定値を利用して外乱を推定する外乱補償部と、を含み、
    前記電流補償部は、前記フィルタ演算を先行して実施し、その後に前記電源角周波数の乗算を実施するとともに、
    前記外乱補償部は、前記電源角周波数の乗算を先行して実施し、その後に前記フィルタ演算を実施することを特徴とする電動機の制御装置。
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