JP6342531B1 - 餌用生物用油脂組成物、餌用生物用油脂組成物の製造方法及び餌用生物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
マンノビオースが溶解した水相が油相に分散された、餌用生物用油脂組成物。
前記水相は、マンノビオースが3〜50質量%溶解した水相である、前記項1に記載の餌用生物用油脂組成物。
前記餌用生物用油脂組成物は、水相と油相との総量を基準に、水相1〜20質量%が油相に分散された餌用生物用油脂組成物である、前記項1又は2に記載の餌用生物用油脂組成物。
前記油相は、油溶性乳化剤を含む油相である、前記項1〜3のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物。
前記油溶性乳化剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、前記項1〜4のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物。
前記油相は、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)から選ばれる1以上を構成脂肪酸とする食用油を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物。
マンノビオースが溶解した水相が油相に分散された、餌用生物用油脂組成物であって、
水相と油相との質量比は、水相:油相=1〜20質量%:99〜80質量%であり、
水相は、マンノビオースが3〜50質量%溶解しており、
油相は、油溶性乳化剤を1〜5質量%含む、
餌用生物用油脂組成物。
前記項1〜7のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物の製造方法であって、
マンノビオースが溶解した水相を、油相に分散させる工程を含む、
餌用生物用油脂組成物の製造方法。
餌用生物の製造方法であって、
餌用生物に、前記項1〜7のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物を給餌する工程を含む、
餌用生物の製造方法。
前記餌用生物は、ワムシ(Rotifera)及びアルテミア(Artemia)からなる群から選ばれる少なくとも1種の生物である、前記項8記載の餌用生物の製造方法。
本発明の餌用生物用油脂組成物は、マンノビオースが溶解した水相が油相に分散されていることを特徴とする。
マンノビオースが溶解した水相が油相に分散されており、
水相と油相との質量比は、水相:油相=1〜20質量%:99〜80質量%であり、
水相は、マンノビオースが3〜50質量%溶解しており、
油相は、油溶性乳化剤を1〜5質量%含むことが好ましい。
水相はマンノビオースが溶解した水相である。
マンノビオースは、β-1,4-マンノビオースであり、マンノース2分子がβ-1,4-グリコシド結合してなるものである。マンノビオースは、例えば、マンノースから合成する方法や、β-1,4-マンナンを分解する方法により得ることができる。
油相
油相は、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、これらの脂肪酸を構成成分として含む食用油(魚油)等を含有することが好ましい。クロソイ、ヒラメ等の稚魚の健全な発育のためには、各種の栄養成分がバランス良く摂取されることが重要であり、特に不飽和脂肪酸(DHA、EPA等)等を含むことが好ましい。このためには、クロソイ、ヒラメ等の稚魚の餌となるワムシ、アルテミア等に、これらの成分が含有されていることが好ましい。
油相は、油溶性乳化剤を含む油相であることが好ましい。
水相と油相との質量比
本発明の餌用生物用油脂組成物では、水相と油相との総量を基準に、水相1〜20質量%程度が油相に分散されていることが好ましく、水相1〜10質量%程度が油相に分散されていることがより好ましい。
本発明の餌用生物用油脂組成物は、マンノビオースが溶解した水相が油相に分散されていることから、その乳化粒子径は、餌用生物の口を通過することのできる程度の大きさであることが好ましい。餌用生物用油脂組成物の乳化粒子径は、1〜30μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
本発明の前記餌用生物用油脂組成物(前項(1))は、マンノビオースが溶解した水相を、油相に分散させる工程を含む方法で、製造することができる。
マンノビオース(水溶性栄養成分)をリン酸緩衝液等の緩衝液中に入れて水性溶液とする。マンノビオースは、水相に3〜50質量%程度溶解していることが好ましい。
本発明の餌用生物用油脂組成物は、W/O型エマルション(乳化物)である。
(a)本発明の餌用生物用油脂組成物(W/O乳化物)
本発明の餌用生物用油脂組成物は、DHA/EPA濃縮魚油、マンノビオース水溶液、乳化剤等を含む。DHA/EPA濃縮魚油は、通常DHA及びEPAを夫々30質量%含有している油脂である。マンノビオース水溶液は、通常マンノビオースを22.5質量%含有している水溶液である。
乳化飼料配合は、前記本発明の餌用生物用油脂組成物、ゼラチン、アラビアゴム、水溶性乳化剤、油溶性乳化剤等を含む。
本発明の餌用生物は、餌用生物に、本発明の前記餌用生物用油脂組成物(前項(1))を給餌する工程を含む方法で、製造することができる。
本発明の餌用生物用油脂組成物をワムシ(シオミズツボワムシ等)等の餌用生物に使用する場合は、一次培養したワムシを、魚に与える6〜12時間前に必要量だけ採取し水槽に移す。次いで、パン酵母を培養液1000L当たり100〜300g程度添加すると同時に、本発明の餌用生物用油脂組成物を培養液1000L当たり150〜220g程度添加して、餌用生物を栄養強化することができる。
本発明の餌用生物用油脂組成物をアルテミア等の餌用生物に使用する場合は、孵化・単離したアルテミア幼生を栄養強化槽に移す。次いで、本発明の餌用生物用油脂組成物を飼育水1000L当たり150〜300g程度添加する。
表1の配合に従い、餌用生物用油脂組成物及び比較例サンプルの調製を行った。
DHA/EPA濃縮魚油には、DHA及びEPAを夫々30質量%含有している油脂を使用した。
1.表1の配合に従い、乳化剤1を、DHA/EPA濃縮魚油に溶解した。
表2の配合に従い、乳化飼料及び比較例サンプルの調製を行った。
ゼラチンには新田ゼラチン製「ニューシルバー顆粒」を使用した。
1.配合に従い、蒸留水にゼラチン、乳化剤3を溶解し、80℃で保持した。これを水相と称した。
表3の区分に従い、給餌試験を行った。
市販飼料には、クロレラ工業株式会社製「スーパーカプセルA-1」を使用した。本品は、ワムシ、アルテミアの栄養強化餌料であり、DHA、EPAを含む油脂をマイクロカプセル化したものであった。
餌用生物を培養している海水1,000mLに対し、表に従い各成分を上乗せ添加した。
培養水温:28℃
培養時間:10h
培養密度:150個体/mL
通気量:300mL/min
<検討4>稚魚への給餌試験
クロソイ、ヒラメ各稚魚を対象に、検討3で調製した各区のアルテミアを用い、各試験に供する稚魚を調製した。条件を表4に示した。
上記<検討4>で準備した稚魚を用い、無給餌飼育試験を行った。
1.検討4の1で準備した稚魚(クロソイ、ヒラメ)を、無給餌状態で、ヒラメは17℃、クロソイは16℃で飼育した。
図1及び2に示した通り、本発明に係る油脂組成物を使用した餌用生物を与えたヒラメ(図1)及びクロソイ(図2)は、高い生残率を示した。
ヒラメ稚魚を対象に、高水温負荷試験を行った。
1.上記<検討4>で準備した稚魚(ヒラメ)20個体ずつを容器に入れ、18℃に温調した。
図3(ヒラメの高温負荷試験)に示した通り、本発明に係る油脂組成物を使用した餌用生物を与えたヒラメは、高い生残率を示した。
ヒラメ稚魚を対象に、低塩分負荷試験を行った。
1.<検討4の1>で準備した稚魚(ヒラメ)20個体ずつを容器(海水100mL入り)にいれ、18℃に温調した。
図4(ヒラメの低塩分負荷試験)に示した通り、本発明に係る油脂組成物を使用した餌用生物を与えたヒラメは、高い生残率を示した。
上記<検討4>で準備した稚魚(ヒラメ)について、核酸(RNA/DNA)を分析した。
図5(ヒラメ稚魚の核酸分析)に示した通り、本発明に係る油脂組成物を使用した餌用生物を与えたヒラメは、高いRNA/DNA値を示し、活性が高いことが示された。
Claims (10)
- マンノビオースが溶解した水相が油相に分散された、餌用生物用油脂組成物。
- 前記水相は、マンノビオースが3〜50質量%溶解した水相である、請求項1に記載の餌用生物用油脂組成物。
- 前記餌用生物用油脂組成物は、水相と油相との総量を基準に、水相1〜20質量%が油相に分散された餌用生物用油脂組成物である、請求項1又は2に記載の餌用生物用油脂組成物。
- 前記油相は、油溶性乳化剤を含む油相である、請求項1〜3のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物。
- 前記油溶性乳化剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1〜4のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物。
- 前記油相は、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)から選ばれる1以上を構成脂肪酸とする食用油を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物。
- マンノビオースが溶解した水相が油相に分散された、餌用生物用油脂組成物であって、
水相と油相との質量比は、水相:油相=1〜20質量%:99〜80質量%であり、
水相は、マンノビオースが3〜50質量%溶解しており、
油相は、油溶性乳化剤を1〜5質量%含む、
餌用生物用油脂組成物。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物の製造方法であって、
マンノビオースが溶解した水相を、油相に分散させる工程を含む、
餌用生物用油脂組成物の製造方法。 - 餌用生物の製造方法であって、
餌用生物に、請求項1〜7のいずれかに記載の餌用生物用油脂組成物を給餌する工程を含む、
餌用生物の製造方法。 - 前記餌用生物は、ワムシ及びアルテミアからなる群から選ばれる少なくとも1種の生物である、請求項8記載の餌用生物の製造方法。
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