JP2018019642A - 魚類の養殖方法および魚類用飼料 - Google Patents

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Abstract

【課題】魚類の成長を顕著に改善することができ、且つ、フィレに含まれる総脂肪量を増やすことなくドコサヘキサエン酸含量を顕著に高めることができる魚類の養殖方法、当該養殖方法で用いる魚類用飼料、および、当該養殖方法で得られるドコサヘキサエン酸含量の多い魚類を提供する。
【解決手段】魚類の養殖方法は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が12.5質量%以上である飼料を給餌することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、魚類の成長を顕著に改善することができ、且つ、フィレに含まれる総脂肪量を増やすことなくドコサヘキサエン酸含量を顕著に高めることができる魚類の養殖方法、当該養殖方法で用いる魚類用飼料、および、当該養殖方法で得られるドコサヘキサエン酸含量の多い魚類に関するものである。
従来、ブリやタイなど、様々な魚類の安定供給のため、養殖が行われている。養殖に当たっては、効率化などのため、養殖魚の成長性を改善すべく、飼料の検討が為されている。例えば、養殖魚の成長を促進するものとして、特許文献1にはβ1,4−マンノビオースを含む水産養殖用の餌料添加剤および餌料が開示されており、特許文献2にはポリヒドロキシ酪酸および乳酸菌からなる魚類成長促進剤が開示されている。
また、近年、n3系(オメガ3)高度不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸について、血糖降下作用や、血中コレステロールおよび血中中性脂肪を低下させる作用など、様々な効能を有することが示されている。よって、フィレにn3系高度不飽和脂肪酸を多く含む養殖魚であれば、産業的に価値が高いといえる。
なお、特許文献3には、家禽の肉中のオメガ3高度不飽和脂肪酸量を増大させるための方法であって、2%未満のオメガ3高度不飽和脂肪酸源を含む飼料を家禽に与えることを特徴とする方法が開示されている。
特開2010−57518号公報 特開2008−194001号公報 特表2001−514863号公報
上述したように、養殖魚の成長性を向上させることができ、且つフィレにおけるn3系高度不飽和脂肪酸の含量を増加させることができれば、産業的に非常に価値があるといえる。
そこで本発明は、魚類の成長を顕著に改善することができ、且つ、フィレに含まれる総脂肪量を増やすことなくドコサヘキサエン酸含量を顕著に高めることができる魚類の養殖方法、当該養殖方法で用いる魚類用飼料、および、当該養殖方法で得られるドコサヘキサエン酸含量の多い魚類を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、飼料におけるドコサヘキサエン酸の量を所定値以上にすることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が12.5質量%以上である飼料を給餌することを特徴とする魚類の養殖方法。
[2] 海水魚を養殖するための上記[1]に記載の養殖方法。
[3] 水温が21.3℃以下の場合に上記飼料を給餌する上記[1]または[2]に記載の養殖方法。
[4] 全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が12.5質量%以上であることを特徴とする魚類用飼料。
[5] 海水魚用のものである上記[4]に記載の魚類用飼料。
[6] フィレにおける全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が15.0質量%以上であることを特徴とする魚類。
本発明によれば、魚類の成長を有意に促進することが可能である。また、フィレにおけるドコサヘキサエン酸含量を有意に高めることが可能である。よって本発明は、産業的な価値の高い養殖魚の生産効率を高めることが可能であるものとして、産業上非常に有用である。
図1は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸含量が所定値未満である対照飼料と、所定値以上である本発明飼料を給餌した場合とで、ブリの成長度合いを比較するためのグラフである。 図2は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸含量が所定値未満である対照飼料と、所定値以上である本発明飼料との飼料効率を比較するためのグラフである。 図3は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸含量が所定値未満である対照飼料と、所定値以上である本発明飼料を給餌した場合とで、全魚体におけるドコサヘキサエン酸(1)、エイコサペンタエン酸(2)、パルミチン酸(3)、オレイン酸(4)の含量を比較するためのグラフである。 図4は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸含量が所定値未満である対照飼料と、所定値以上である本発明飼料を給餌した場合とで、フィレにおけるドコサヘキサエン酸(1)とエイコサペンタエン酸(2)の含量を比較するためのグラフである。 図5は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸含量が所定値未満である対照飼料と、所定値以上である本発明飼料を給餌した場合とで、摂取された各脂肪酸の量に対する全魚体中に蓄積された各脂肪酸の量の割合を比較するためのグラフである。(1)はドコサヘキサエン酸、(2)はエイコサペンタエン酸、(3)はオレイン酸、(4)はパルミチン酸の結果を示す。
本発明に係る魚類用飼料は、全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸(以下、「DHA」と略記する場合がある)の割合が12.5質量%以上であることを特徴とする。
脂質とは、生体に利用されるものであり、水に不溶であり、加水分解により脂肪酸を遊離するものと定義されており、脂肪酸とグリセリンとのエステルである中性脂肪、脂肪酸とアルコールとのエステルであるワックス、スフィンゴシンと脂肪酸とのアミドであるセラミドといった単純脂質の他、リン脂質や糖脂質などの複合脂質を挙げることができる。その多くが肉食である養殖魚は、炭水化物をエネルギー源として十分に利用することができないことから、脂質はエネルギー源の一つとして重要である。
本発明に係る魚類用飼料において、全脂肪酸に対するDHAの割合は12.5質量%以上である。当該割合が12.5質量%以上であることにより、養殖魚の成長を顕著に促進することができ、また、養殖魚のフィレのDHA含量を顕著に高めることが可能になる。当該割合としては、13.0質量%以上が好ましく、14.0質量%以上がより好ましく、15.0質量%以上がよりさらに好ましい。なお、飼料中における脂質組成が養殖魚のフィレにおける脂質組成に反映されるとの知見もあるが、少なくとも本発明者らによる実験的知見によれば、脂質の種類によっては、飼料中における含有量とフィレに蓄積する含有量との割合や、飼料中における含有量と当該含有量に対するフィレにおける割合が一致しないものがある。
本発明飼料における全脂肪酸に対するDHAの割合の上限は特に制限されないが、過剰に大きいと他の脂質の不足により障害が生じるおそれがあり得るので、当該割合としては40.0質量%以下が好ましく、35.0質量%以下がより好ましい。なお、本発明における「全脂肪酸」とは、単独で存在する脂肪酸の他、グリセリンやその他のアルコールなどとエステルを形成している脂肪酸など、脂質に含まれる全脂肪酸をいうものとする。
本発明において、飼料などにおける全脂肪酸の量は、例えば、過剰のメタノールを使って脂質を構成する脂肪酸を全てメチルエステル化した上で求めることができる。また、全脂肪酸に対するDHAの割合も、メチルエステル化された全脂肪酸に対するDHAメチルエステルの割合として求めることができる。
本発明に係る魚類用飼料は、脂質のみでなく、魚類の成長に必須の成分を含む。例えば、タンパク質やミネラルが挙げられる。タンパク質としては、例えば、魚粉、オキアミミール、チキンミールなどの動物性タンパク質や、大豆タンパク質やコーングルテンミールなどの植物性タンパク質を挙げることができる。ミネラルとしては、マンガン、亜鉛、カルシウム、銅、鉄、コバルトなどを挙げることができる。その他、澱粉、セルロース、小麦粉などの炭水化物;ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン類;グアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤;エトキシキンなどの抗酸化剤;プロピオン酸などの防かび剤;抗生物質;水分などを挙げることができる。
本発明に係る魚類用飼料は、各成分を混合するのみで容易に製造することができる。例えば、脂質を含まない魚類用飼料と、所望の割合の脂質とを混合したり混練すればよい。さらに、圧縮するなどして適当な大きさのペレット化するなど、その形態は特に制限されないものとする。
本発明飼料を給餌すべき魚類は、養殖されるべきものであれば特に制限されない。例えば、ブリ、ヒラマサ、カンパチなどのブリ属魚類;マアジやシマアジなどのアジ亜科魚類;スズキなどのスズキ科魚類;マダイ、チダイ、クロダイなどのタイ科魚類;クロマグロやマサバなどのサバ亜科魚類;トラフグなどのフグ科魚類;ヒラメなどのヒラメ科魚類;イシダイなどのイシダイ科魚類;カワハギなどのカワハギ科魚類;メバル、カサゴ、クロソイなどのメバル科魚類;マハタやクエなどのハタ科魚類;イサキなどのイサキ科魚類;ギンザケ、ニジマス、イワナ、ヤマメ、ヒメマスなどのサケ科魚類;アユやワカサギなどのキュウリウオ科魚類などを挙げることができる。なお、淡水魚の中には特定の脂質を生合成できるものがあるので、本発明飼料を給餌すべき魚類としては海水魚が好ましい。
本発明に係る魚類の養殖方法は、上記飼料を魚類に給餌する工程を含む。給餌量は適宜調整すればよいが、残餌量を適時確認しつつ飽食量を給餌することが好ましい。給餌回数も、給餌する魚類の種類、成長度、季節などに応じて適宜調整すればよいが、例えば、1日当たり0.2回以上、3回以下程度、週当たり1回以上、7回以下程度とすることができる。
本発明に係る魚類用飼料は、魚類を養殖している海水、淡水または汽水の水温が21.3℃以下の場合に給餌することが好ましい。より具体的には、当該水温が21.3℃から下降傾向にある場合に給餌することが好ましい。比較的水温が高い場合には、脂質は積極的に消費されるので、消費され易い脂肪を多く含む飼料が好ましい。一方、本発明飼料はフィレに蓄積され易いDHAを多く含み、また、本発明ではフィレにDHAをより多く蓄積させることを目的の一つとしているので、本発明飼料は、比較的低水温の場合に給餌することが好ましい。上記水温は、魚類を養殖している海水、淡水または汽水の水面から50cm以上、400cm以下程度の間で測定する水温をいうものとする。なお、当該水温の下限は特に制限されず、養殖すべき魚類が死滅しなければよく、例えば2℃以上とすればよい。
本発明方法により養殖された魚類は、そのフィレに比較的多くのDHAを含む。具体的には、本発明に係る魚類は、フィレにおける全脂肪酸に対するDHAの割合が15.0質量%以上であることを特徴とする。本発明に係る魚類は、フィレに高濃度のDHAを含むことから、血糖値低下作用など、DHA由来の効果を発揮できる可能性がある。なお、本発明において「フィレ」とは、魚類を三枚におろした場合の骨を含まない魚身をいうものとする。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 試験飼料の調製
基礎飼料として脂質が添加されていない市販のエクストルーデットペレット飼料(「アクアT−9」伊藤忠飼料社製)1000gに、脂質源としてタラ肝油のみ、またはタラ肝油の15質量%、30質量%または60質量%をマグロ油で代替した混合油を150g加えた計4種類の試験飼料(対照区,T15,T30,T60)を調製した。各試験飼料の成分組成を表1に示す。
Figure 2018019642
また、タラ肝油とマグロ油、および各試験飼料に含まれる脂肪酸を、過剰のメタノールによりメチルエステル化した後、ガスクロマトグラフィ(「GC−4000」ジーエルサイエンス社製)により脂肪酸組成を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2018019642
タラ肝油と比較して、マグロ油はドコサヘキサエン酸(DHA)の含量が高い。そのため、飼料油脂のタラ肝油の一部をマグロ油に代替することで、飼料中のDHA含量が増加した。なお、ブリは必須脂肪酸として飼料中にn−3系高度不飽和脂肪酸が2%含まれる必要がある。試験飼料では、対照飼料で5.1%、T15飼料で5.4%、T30飼料で5.4%、T60飼料で6.2%と、当該要求量を十分に満たしていた。
実施例2: 飼育実験
(1) 成長率と飼料効率
平均体重約248gのブリを8基の1,100L容FRP水槽に18尾ずつ任意に分配し、16週間にわたり、1日1度、3〜6回/週の割合で飽食量給餌した。飼育開始時および6週目と16週目に体重を測定し、給餌量と併せて飼料効率を次式で求めた。
飼料効率(%)=[体重増重(g)÷摂餌量(乾重g)]×100
平均体重の推移を図1に、飼料効率を図2に示す。なお、図1,2中に記載のパーセンテージは各試験飼料に含まれるDHA含量を示す。また、以降の実験において、得られた値はすべて医療統計解析ソフト(「GraphPad Prism ver.6」Graphpad software社)を用いて解析し、飼料効率の比較では、one−way ANOVAに引き続き、Tukey−Kramer法による多重比較検定法により検定し、その他の項目では、Two−way ANOVAの後に、Tukey−Kramer法による多重比較検定法により検定した。危険率は5%で有意差を判定した。また、異なるアルファベット間には有意差があることを示す。
図1に示す結果の通り、16週間の飼育後の平均体重については、全脂肪酸に対するDHAの割合が13.3質量%以上である飼料で、DHA割合が11.5質量%である対照区飼料よりも有意に高くなった(図1)。飼料効率についても、図2に示す結果の通り、飼料中のDHA割合が増えるにつれ改善する傾向が認められ、DHA割合が18.9質量%であるT60飼料では対照区飼料に対して有意に高い値を示した。
(2) 試験飼料に対する脂肪酸蓄積率
6週目と16週目に5匹ずつの全魚体を一般成分分析と脂肪酸分析に供した。脂肪酸の分析は、上記実施例1と同様に、脂質を構成する脂肪酸を過剰のメタノールにより全てメチルエステル化した後に、ガスクロマトグラフィにより行った。給餌量および全魚体の脂肪酸分析の結果から、給餌された試験飼料に含まれる脂肪酸量に対する各脂肪酸の魚体における蓄積率を次式より算出した。
脂肪酸蓄積率(%)=[魚体に保持された脂肪酸量(g)÷摂取した脂肪酸量(g)]×100
全魚体におけるドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、パルミチン酸、オレイン酸の含量を図3に示す。また、全魚体のうちフィレ(魚を三枚におろした身の部分)における全脂肪酸に対するDHAとEPAの割合を図4に示す。さらに、これら脂肪酸の魚体への蓄積率を図5に示す。
図3に示す結果の通り、全脂肪酸に対するDHAの割合が11.5質量%である対照区飼料を用いた場合に比べ、DHA割合が13.3質量%以上である飼料を用いた場合には、魚体に含まれるDHAの含量が6週間目の段階で有意に高くなっており、その状態は16週目まで維持されていた(図3(1))。マグロ油に含まれるEPAはタラ肝油よりも少ないため、マグロ油含量の高い飼料を用いた場合の魚体に含まれるEPA含量が少なくなるのではと予想されたが、すべての試験区でEPA含量に差異は認められなかった(図3(2))。この傾向はフィレにおいても同様であり、フィレに含まれる脂肪酸組成に占めるDHAの割合は飼料に含まれるDHA含量に応じて増加傾向にあり、DHA割合が15.0質量%および18.9質量%である飼料を用いた場合には、フィレ中の全脂肪酸におけるDHA含量も15.0質量%以上となり、対照飼料の場合に比べて有意に増加したのに対して(図4(1))、EPA含量に差異は認められなかった(図4(2))。一方、マグロ油に含まれるパルミチン酸の量はタラ肝油よりも多いためか、マグロ油含量の高いT60飼料を用いた場合には、対照区に比べて有意に高いパルミチン酸含量が示された(図3(3))。また、マグロ油にはオレイン酸が高濃度で含まれるため、マグロ油含量の高い飼料ではオレイン酸の比率が高くなるが、すべての試験区でオレイン酸含量は経時的に減少し、すべての試験区で差異は認められなかった(図3(4))。
また、図5に示す結果の通り、飼料中DHA含量が高い飼料の方が、高いDHA蓄積率を示し、特にT30飼料で良好なDHAの蓄積が示された(図5(1))。EPAの蓄積率に関しては、飼料中EPA含量とは関係が認められず、6週後ではT30飼料で高い蓄積率が認められ、16週後ではすべての試験区で差違はなかった(図5(2))。パルミチン酸とオレイン酸の蓄積率に関しては、6週後でも16週後でもすべての試験区間で差違はなかった(図5(3),(4))。
(3) 全魚体の一般成分
全魚体に含まれるタンパク質の分析はケルダール法により行った。その際の窒素係数としては6.25を用いた。脂質含量はBligh and Dyer(1959)の方法に従って、全魚体試料から脂質をクロロホルム−メタノール法により抽出し、その重量を測定した。水分は、全魚体試料を110℃のオーブンにて10時間以上乾燥し、乾燥前後の重量差により算出した。灰分は全魚体試料を550℃にて5時間加熱して灰化することにより測定した。全魚体の一般成分値を表3に示す。表3に示す結果の通り、用いた飼料による一般成分の有意な差は認められず、飼料中の油脂成分組成によっては一般成分は影響を受けないことが分った。
Figure 2018019642
以上に示す結果の通り、脂肪酸全体に対するDHAの割合が所定量以上である飼料を給餌することで、魚類の成長を顕著に改善することができ、また、身に含まれる脂肪量を増やすことなくDHA含量を顕著に高めることができることが実験的に証明された。

Claims (6)

  1. 全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が12.5質量%以上である飼料を給餌することを特徴とする魚類の養殖方法。
  2. 海水魚を養殖するための請求項1に記載の養殖方法。
  3. 水温が21.3℃以下の場合に上記飼料を給餌する請求項1または2に記載の養殖方法。
  4. 全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が12.5質量%以上であることを特徴とする魚類用飼料。
  5. 海水魚用のものである請求項4に記載の魚類用飼料。
  6. フィレにおける全脂肪酸に対するドコサヘキサエン酸の割合が15.0質量%以上であることを特徴とする魚類。
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