本発明は、構造式Iの化合物または医薬として許容されるその塩を包含する。
であり;
R
2は、ハロまたは1から3個の−Fで置換された−C
1−3アルキルであり;
R
3は、(a)ハロ、(b)1から3個の−Fで置換された−C
1−3アルキル、または(3)ハロで置換されたフェニルであり;そして
R
4は、
である。
である式Iの化合物または医薬として許容されるその塩である。
である式Iの化合物または医薬として許容されるその塩である。
本発明の別の実施形態において、R2が、1、2もしくは3個の−Fで置換されたメチルであるか;または1、2もしくは3個の−Fで置換されたエチルであり;詳細にはR2が−CHF2、−CF3または−CF2CH3である式Iの化合物または実施形態Aもしくは実施形態B、または医薬として許容されるその塩である。
本発明の別の実施形態において、R3が、−F;−Cl;1、2もしくは3個の−Fで置換されたメチル;1、2もしくは3個の−Fで置換されたエチル;または−Fで置換されたフェニルであり;詳細には、R3が−Cl、−CHF2、−CF3、−CF2CH3、または−Fで置換されたフェニルである式Iの化合物または実施形態Aもしくは実施形態B、または医薬として許容されるその塩である。
本発明の別の実施形態において、
R
2が、1、2もしくは3個の−Fで置換されたメチルであるか;または1、2もしくは3個の−Fで置換されたエチルであり;詳細には、R
2が−CHF
2、−CF
3、または−CF
2CH
3であり;
R
3が、−F、−Cl、1、2もしくは3個の−Fで置換されたメチル;1、2もしくは3個の−Fで置換されたエチル;または−Fで置換されたフェニルであり;詳細には、R
3が−Cl、−CHF
2、−CF
3、−CF
2CH
3または−Fで置換されたフェニルであり;
R
4が、
である、
式Iの化合物または実施形態Aもしくは実施形態B、または医薬として許容されるその塩である。
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、指定範囲内の炭素原子数を有する直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族炭化水素基を指す。従って、例えば、「−C1−3アルキル」は、指定数の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を意味し、全ての異性体を包含するものであり、すなわちn−およびi−プロピル(Pr=プロピル)、エチル(Et)およびメチル(Me)である。
「ハロゲン」(または「ハロ」)という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素(あるいはフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードとも称される)を指す。フルオロまたはクロロが好ましい。
式Iの化合物は、インビボで式I′の医薬活性な対応物(式I′は、R
4が−Hで置き換わっている以外は、式Iと同じである)に変換されるプロドラッグとして作用すると考えられている。具体的な式Iの化合物については、式I′の相当する化合物が、「親」化合物(別段の記載がない限り、相当する化合物のいずれかもしくは両方が塩型であるか否かを問わず)、例えば
と称することができる。
式I′の化合物は、HIV逆転写酵素阻害剤である。実施例1から8の化合物についてのラットAUCデータが、下記で表3に提供してある。
本明細書に記載の全ての構造式、それらの実施形態および種類は、本明細書で定義の化合物の医薬として許容される塩を含む。本明細書において、式Iの化合物についての言及は、式Iの化合物ならびにそれの全ての実施形態および種類を包含するものである。具体的な式の化合物もしくは実施形態、例えば式Iもしくはそれの実施形態、または本明細書で記載もしくは特許請求されるいずれか他の一般的構造式もしくは具体的な化合物として本発明の化合物についての言及は、別段の断りがない限り、その式または実施形態の範囲に含まれる具体的な化合物もしくは複数化合物(その塩、特にそのような化合物の医薬として許容される塩、溶媒和物(水和物など)および可能である場合にはその溶媒和塩型を含む)を包含するものである。
本発明は、本明細書に記載の実施例のそれぞれ、および医薬として許容されるその塩を含む。本発明はまた、有効量の本発明の化合物または医薬として許容されるその塩、および医薬として許容される担体を含む医薬組成物も包含する。
逆の意味で明瞭に記載されていない限り、置換が化学的に許容され、安定な化合物を生じるのであれば、鎖または環中のいずれの原子上でも、指定の置換基による置換が許容される。「安定な」化合物は、製造および単離が可能であり、その構造および特性が維持され、本明細書に記載の目的(例えば、対象者への治療的または予防的投与)のために化合物を使用できるだけの期間にわたって実質的に変化せずに留まることができる化合物である。本発明の化合物は、式Iによって包含される安定な化合物およびその実施形態に限定される。
置換基および置換基パターンが本発明の化合物における互変異体(例えば、ケト−エノール互変異体)の存在を提供する範囲で、個別に存在するか混合物で存在するかに拘わらず、これらの化合物の全ての互変異型は、本発明の範囲内である。互変異性を起こし得る化合物についての言及は、その範囲内に、各個々の互変異体およびそれらの組み合わせ、例えばケト型およびエノール型についての言及を包含することは明らかである。
式Iの化合物において、原子は天然の同位体豊富物を示すことができ、または1以上の原子が、同じ原子番号を有するが天然で優占的に認められる原子質量もしくは質量数とは異なる原子質量もしくは質量数を有する特定の同位体に人為的に富化することができる。本発明は、式Iの化合物の全ての好適な同位体変形形態を包含するものである。例えば、水素(H)の異なる同位体型には、プロチウム(1H)および重水素(2H)などがある。プロチウムは、天然で見出される優占的な水素同位体である。重水素に富化することは、インビボ半減期の延長または用量必要量の低減などのある種の治療的利点を提供し得るか、生体サンプルの特性決定用の標準として有用な化合物を提供することができる。式Iに包含される同位体富化化合物は、適切な同位体富化試薬および/または中間体を用いて、当業者に公知の従来の技術または本明細書中の図式および実施例に記載のものと同様の方法によって、過度の実験を行わずに製造することができる。
本化合物は、医薬として許容される塩の形態で投与することができる。「医薬として許容される塩」という用語は、生理的その他の点で望ましくないものではない(例えば、その被投与者にとって毒性でなく、他の点でも有害でない)塩を指す。式Iの化合物が1以上の酸性もしくは塩基性基を含む場合、本発明は、相当する医薬として許容される塩も含む。従って、酸性基を含む式Iの化合物は、本発明に従って、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩(これらに限定されるものではない)として用いることができる。そのような塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩またはアンモニア、もしくは有機アミン類、例えばエチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンもしくはアミノ酸類との塩などがあるが、それらに限定されるものではない。1以上の塩基性基、すなわちプロトン化され得る基を含む式Iの化合物は、無機酸もしくは有機酸との酸付加塩の形態で、例えば塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸類、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバリン酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸などとの塩(それらに限定されるわけではない)として本発明に従って用いることができる。式Iの化合物がその分子中に酸性基と塩基性基を同時に含む場合、本発明は、言及した塩以外に、医薬として許容される内部塩またはベタイン(両性イオン)も含む。当業者には公知である一般的方法によって、例えば溶媒もしくは分散剤中で有機もしくは無機酸もしくは塩基と組み合わせることで、または他の塩からのアニオン交換もしくはカチオン交換によって、式Iの化合物から塩を得ることができる。本発明は、生理的適合性が低いために医薬として直接使用するには好適ではないが、例えば化学反応または医薬として許容される塩製造における中間体として用いることが可能である式Iの化合物の全ての塩も含む。
1例として、式Iの化合物には、R
4のアルキルリン酸塩が、1以上の陽性対イオン(例えば、アルカリ金属カチオン)によって均衡を取られた基からの少なくとも1個のプロトンの喪失によって表される医薬として許容される塩を指す塩基塩であることができるそのような化合物などがあるが、それに限定されるものではない。R
4の塩基塩は、下記のように表すことができる。
式中、X+およびX2+は陽性対イオンである。当該塩基塩は、遊離型の式Iの化合物を好適な無機もしくは有機塩基で処理することで形成することができる。好適な無機塩基には、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOHまたはKOH)、アルカリ土類金属水酸化物などがあるが、これらに限定されるものではない。好適な有機塩基には、アルカリ金属アルキル炭酸塩(例えば、酢酸カリウムまたは酢酸ナトリウム)、アルキルアンモニウム水酸化物などがある。
本発明の別の実施形態は、化合物またはその塩が実質的に純粋な形態である式Iの化合物である。本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」は、好適には少なくとも約60重量%、典型的には少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%(例えば、約90重量%から約99重量%)、さらにより好ましくは少なくとも約95重量%(例えば、約95重量%から約99重量%または約98重量%から100重量%)、最も好ましくは少なくとも約99重量%(例えば、100重量%)の式Iの化合物もしくはその塩を含む生成物(例えば、当該化合物もしくは塩を与える反応混合物から単離される生成物)が当該化合物または塩からなることを意味する。当該化合物および塩の純度のレベルは、薄層クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィーおよび/または質量分析などの標準的な分析方法を用いて測定することができる。複数の分析方法を用い、それらの方法が測定される純度のレベルに実験的に大きい差を生じる場合、最も高い純度レベルを提供する方法が優先される。100%純度の化合物または塩は、標準的な分析方法によって測定される検出可能な不純物を含まないものである。
さらに、本発明の化合物は、非晶質型および/または1以上の結晶型で存在し得るものであり、従って、式Iの化合物の全ての非晶質型および結晶型ならびにそれらの混合物が本発明の範囲に包含されるものとする。さらに、本発明の化合物は、水(すなわち水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成することができる。溶媒和物には、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物の両方が含まれる。本発明の化合物のそのような溶媒和物および水和物、特に医薬として許容される溶媒和物および水和物は、同様に非溶媒和型および無水型とともに本発明の範囲に包含される。
従って、一般的構造式に含まれる化合物、実施形態および本明細書に記載および特許請求される具体的な化合物は、別段の断りがない限り、可能である場合には、塩類、全ての可能な立体異性体および互変異体、物理的形態(例えば、非晶質型および結晶型)、その溶媒和物型および水和物型およびこれら形態の任意の組み合わせ、ならびにそれらの塩を包含するものである。
本発明はまた、対象者に対して、有効量の本発明の化合物または医薬として許容されるその塩を投与することを含む、処置を必要とする対象者におけるHIVによる感染の治療もしくは予防方法、HIV逆転写酵素の阻害方法、またはAIDSの治療、予防もしくは発症遅延方法を包含する。
本発明はまた、処置を必要とする対象者における、HIVによる感染の治療もしくは予防、HIV逆転写酵素の阻害、またはAIDSの治療、予防もしくは発症遅延のための医薬の製造において使用される、本発明の化合物または医薬として許容されるその塩を包含する。
本発明はまた、有効量の本発明の化合物または医薬として許容されるその塩、および医薬として許容される担体を含み、そしてさらに有効量のHIV抗ウィルス剤、免疫調節剤、および抗感染剤からなる群から選択される抗HIV剤を含む医薬組成物を包含する。この実施形態内で、抗HIV剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤、HIV侵入阻害剤、およびHIV変異阻害剤からなる群から選択される抗ウィルス剤である。
本発明の他の実施形態には、下記のものなどがある。
(a)有効量の上記で定義の式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩、および医薬として許容される担体を含む医薬組成物;
(b)有効量の上記で定義の式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩と、医薬として許容される担体を組み合わせる(例えば、混合する)ことによって調製された生成物を含む医薬組成物;
(c)HIV抗ウィルス剤、免疫調節剤および抗感染剤からなる群から選択される有効量の抗HIV剤をさらに含む(a)または(b)の医薬組成物;
(d)前記抗HIV剤が、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤およびHIV侵入阻害剤からなる群から選択される抗ウィルス剤である、(c)の医薬組成物;
(e)(i)上記で定義の式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩、および、(ii)HIV抗ウィルス剤、免疫調節薬および抗感染薬からなる群から選択される抗HIV薬、との組合せ(ここで、化合物(I)とその抗HIV剤は、それぞれ、HIV逆転写酵素の阻害、HIVによる感染の治療もしくは予防、または、AIDSの治療もしくは予防もしくはそれの発症もしくは進行の遅延に対して、当該組合せを有効なものとする量で用いられる。);
(f)前記抗HIV剤がHIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV融合阻害剤およびHIV侵入阻害剤からなる群から選択される抗ウィルス剤である、(e)の組合せ;
(g)対象者に有効量の式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩を投与することを含む、処置を必要とする対象者におけるHIV逆転写酵素の阻害方法;
(h)対象者に有効量の式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩を投与することを含む、HIV(例えば、HIV−1)による感染を予防または治療することが必要な対象者においてHIV(例えば、HIV−1)による感染を予防または治療する方法;
(i)式Iの化合物または実施形態AもしくはBを、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIV融合阻害剤およびHIV侵入阻害剤からなる群から選択される有効量の少なくとも一つの他のHIV抗ウィルス剤と組み合わせて投与する、(h)の方法;
(j)対象者に有効量の式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩を投与することを含む、処置を必要とする対象者においてAIDSを予防もしくは治療するまたは発症もしくは進行を遅延させる方法;
(k)前記化合物を、HIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤、HIV融合阻害剤およびHIV侵入阻害剤からなる群から選択される有効量の少なくとも一つの別のHIV抗ウィルス剤と組み合わせて投与する、(j)の方法;
(l)対象者に、(a)、(b)、(c)もしくは(d)の医薬組成物または(e)もしくは(f)の組合せを投与することを含む、処置を必要とする対象者におけるHIV逆転写酵素の阻害方法;
(m)対象者に、(a)、(b)、(c)もしくは(d)の医薬組成物または(e)もしくは(f)の組合せを投与することを含む、処置を必要とする対象者におけるHIV(例えば、HIV−1)による感染の予防または治療方法;
(n)対象者に、(a)、(b)、(c)もしくは(d)の医薬組成物または(e)もしくは(f)の組合せを投与することを含む、処置を必要とする対象者におけるAIDSを予防または治療するまたはその発症もしくは進行を遅延させる方法。
本発明は、さらにまた、(a)治療(例えば、人体の治療)、(b)医薬、(c)HIV逆転写酵素の阻害、(d)HIVによる感染の治療または予防、または、(e)AIDSの治療、予防またはその発症もしくは進行の遅延、(i)において使用するための、(ii)そのための医薬として使用するための、または、(iii)そのための医薬の製造/調製において使用するための、式Iの化合物または実施形態AもしくはBまたはそのプロドラッグもしくは医薬として許容される塩も包含する。これらの使用において、本発明の化合物は、HIV抗ウィルス剤、抗感染剤および免疫調節剤から選択される1以上の他の抗HIV剤と組み合わせて使用しても良い。
本発明のさらなる実施形態は、上記(a)から(n)に記載の医薬組成物、組合せおよび方法、ならびに、先行段落において記載されている使用(i)(a)−(e)から(iii)(a)−(e)を包含し、ここで、そこにおいて使用される本発明の化合物は、上記で記載されている実施形態、態様、分類、下位分類もしくは特徴のうちの一つの化合物である。これらの実施形態などの全てにおいて、その化合物は、医薬として許容される塩の形態で使用しても良い。
本発明のさらなる実施形態は、先行段落において記載されている医薬組成物、組合せ、方法および使用のそれぞれを含むものであり、これらにおいて使用される本発明の化合物またはその塩は、実質的に純粋である。式Iの化合物または医薬として許容される担体を含み、場合により1以上の賦形剤を含んでも良い医薬組成物に関して、「実質的に純粋な」という用語が式Iの化合物またはその塩自体に関連しているということは明らかである。
本発明のさらに別の実施形態には、対象のHIVがHIV−1である上記の(a)−(n)に記載の医薬組成物、組み合わせおよび方法、ならびに上記の使用(i)(a)−(e)から(iii)(a)−(e)を含む。従って、例えば、医薬組成物(d)において、式Iの化合物を、HIV−1に対して有効量で用い、抗HIV剤は、HIV−1プロテアーゼ阻害剤、HIV−1逆転写酵素阻害剤、HIV−1インテグラーゼ阻害剤、HIV−1融合阻害剤およびHIV−1侵入阻害剤からなる群から選択されるHIV−1抗ウィルス剤である。
反する内容が明瞭に記載されていない限り、本明細書に挙げられている全ての範囲は包括的である。さらにまた、本明細書中で挙げられている範囲がその範囲内の下位範囲の全てをその範囲内に包含するということも理解すべきである。例えば、「1から3個の置換基」で置換されていても良いと記載された部分は、その態様として、1から3個の置換基、2個もしくは3個の置換基、3個の置換基、1個もしくは2個の置換基、2個の置換基、または1個の置換基で置換されたそのような部分を含むものである。別の例としては、1から500ミリグラムの範囲の用量は、その用量が、1mgまたは500mgであることができ、またはその中間のいずれの量であっても良いことを意味する。
本発明の方法には、HIV逆転写酵素(例えば、野生型HIV−1および他の株)の阻害、HIVによる感染の予防もしくは治療、およびAIDSなどの引き続く病的症状の予防、治療または発症もしくは進行の遅延での本発明の化合物の使用を含む。AIDSの予防、AIDSの治療、AIDSの発症もしくは進行の遅延、またはHIVによる感染の治療もしくは予防は、広範囲のHIV感染症状:AIDS、ARC(症候性および無症候性の両方)、およびHIVへの実際の曝露もしくは可能性のある曝露の治療など(これらに限定されるものではない)と定義される。例えば、本発明を用いて、輸血、体液交換、咬傷、偶発的針刺し、または手術時の患者血液への曝露などの手段によるHIVへの過去の疑わしい曝露後のHIV感染を治療することができる。別の例として、本発明を用いて、有効量の式Iの化合物の投与により、HIVに感染した妊婦から胎児への、または子供を養育している(すなわち、母乳栄養)HIV感染女性からの子供へのHIVの伝染を阻害することができる。
式Iの化合物に関して、「投与」という用語およびそれの変形形態(例えば、化合物を「投与する」)は、治療または予防を必要としている個体に、当該化合物を与えることを意味し、自己投与および別人による患者への投与の両方を含む。化合物が1種以上の他の活性薬剤(例えば、HIV感染またはAIDSの治療または予防に有用な抗ウィルス剤)と組み合わせて提供されるとき、「投与」およびその変形はそれぞれ、本化合物と他の薬剤を同時にまたは異なる時点で提供することを含むものと理解される。ある組み合わせの薬剤が同時に投与されるとき、それらは単一の組成物として一緒に投与することができ、または個別に投与することもできる。
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、指定の成分を含む生成物、ならびに指定の成分を合わせることによって得られる任意の生成物を包含することが意図される。
「医薬として許容される」とは、医薬組成物の成分が互いに適合性であって、その投与を受ける者に有害であってはならないことを意味する。
本明細書で使用される場合、「対象者」または「患者」という用語は、治療、観察または実験の対象となった動物、好ましくは哺乳動物、もっとも好ましくはヒトを指す。
本明細書で使用される「有効量」という用語は、HIV逆転写酵素を阻害し、HIV複製を阻害し、予防効果を発揮し、および/または投与後の治療効果を発揮するのに十分な量を意味する。「有効量」の一実施形態は、患者におけるHIV複製(本明細書では「阻害有効量」とも称することができる)を阻害し、HIV感染を治療し、AIDSを治療し、AIDSの発症を遅延させ、および/またはAIDSの進行を遅らせる上で有効な化合物の量である「治療上有効量」である。「有効量」の別の実施形態は、患者でのHIV感染の予防またはAIDSの予防に有効な化合物の量である「予防上有効量」である。有効量は、同時に、例えばHIV感染の治療のための治療上有効量、および例えばAIDS発症の予防もしくはリスク低下のための予防上有効量の両方であり得ることは明らかである。式Iの化合物を塩として投与する場合、化合物の量についての言及は、その化合物の遊離型(すなわち、非塩型)についての言及である。
本発明の方法(例えば、HIV逆転写酵素の阻害、HIV感染の治療もしくは予防、HIV複製の阻害、AIDSの治療もしくは予防、AIDSの発症遅延、またはAIDSの遅延もしくは進行遅延)において、場合により塩の形態である式Iの化合物は、活性薬剤とその薬剤の作用部位とを接触させる手段によって投与することができる。それらの化合物は、個々の治療薬として、または治療薬の組み合わせとして、医薬と併せて用いるために利用可能な従来の手段によって投与することができる。それらの化合物は、単独で投与することができるが、典型的には選択された投与経路および標準的な医薬上の慣例に基づいて選択される医薬担体と共に投与される。例えば、本発明の化合物は、有効量の本化合物と医薬として許容される通常の非毒性の担体、補助剤、およびビヒクルを含有する単位用量の医薬組成物の形態で、経口、非経口(皮下注射、静脈、筋内、胸骨内注射または注入法を含む)、吸入噴霧により、または経直腸的に投与することができる。経口投与に適した液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ、エリキシル剤など)は、当分野で知られている技法に従って製造することができ、水、グリコール、油、アルコールなど通常の任意の媒体を用いることができる。経口投与に適した固体製剤(例えば、散剤、丸剤、カプセル剤、および錠剤)は、当分野で知られている技法に従って製造することができ、デンプン、糖、カオリン、滑剤、結合剤、崩壊剤などの固体賦形剤を用いることができる。非経口組成物は、当分野で知られている技法に従って製造することができ、典型的には、担体として滅菌水を用い、場合により溶解補助剤などの他の成分を用いる。注射液は、当分野で知られている方法に従って製造することができ、担体は、生理食塩水、グルコース溶液、または生理食塩水とグルコースの混合物を含有する溶液を含む。本発明に使用する医薬組成物の製造に用いるのに適した方法、およびその組成物に用いるのに適した成分に関するさらなる説明は、Remington′s Pharmaceutical Sciences、第18版、A. R. Gennaro編、 Mack Publishing Co., 1990、およびRemington−The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Pharmaceutical Press and Philadelphia College of Pharmacy at University of the Sciences刊行、2012、ISBN 978 0 85711−062−6および以前の版に記載されている。
式Iの化合物は、単回投与または分割投与で、1日当たり0.001から1000mg/哺乳動物(例えば、ヒト)の体重kgの用量範囲で経口的に投与することができる。1つの好ましい用量範囲は、単回投与または分割投与で、経口的に1日当たり0.01から500mg/体重kgである。別の好ましい用量範囲は、単回投与または分割投与で、経口的に1日当たり0.1から100mg/体重kgである。経口投与の場合、組成物は、本発明の化合物1から500ミリグラム、特に治療される患者の症状に合わせて用量を調節するために、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、および500ミリグラムを含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供することができる。任意の具体的な患者に対する特定の用量レベルおよび投与回数は多様であってよく、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与様式および時間、排出速度、併用薬物、具体的な症状の重度、ならびに治療を受ける受容者を含む様々な要因によって決まる。本発明の化合物は、単一用量として、1日1回またはそれより低頻度で投与することができる。
逆の意味で明瞭に記載されていない限り、以前の段落または本明細書における他の箇所におけるある分量の本発明の化合物の投与についての言及は、相当する式Iの塩を含まない化合物の分量(すなわち、量)についての言及である。
上述のとおり、本発明はさらに、1種以上の抗HIV剤と組み合わせた式Iの化合物の使用に関する。「抗HIV剤」は、HIV逆転写酵素またはHIV複製もしくは感染に必要とされる別の酵素もしくはタンパク質の阻害、HIV感染の治療もしくは予防、および/またはAIDSの治療、予防、もしくはその発症もしくは進行の遅延に直接または間接的に有効な任意の薬剤である。抗HIV剤は、HIV感染、またはAIDS、および/またはそれに起因する、もしくはそれに伴う疾患もしくは症状の治療、予防、またはその発症もしくは進行の遅延に有効であることが理解される。例えば、本発明の化合物は、暴露前および/または暴露後のいずれの段階であっても、HIV感染またはAIDSの治療に有用なHIV抗ウィルス剤、免疫調節剤、抗感染剤、またはワクチンから選択された有効量の1種以上の抗HIV剤と組み合わせて、有効に投与することができる。本発明の化合物と組み合わせて用いるのに適したHIV抗ウィルス剤には、例えば、下記の表1に記載するものが含まれる。
本発明の化合物と抗HIV剤との組み合わせの範囲は、表Aに挙げたHIV抗ウィルス剤に限定されず、原則的にAIDSの治療または予防に有用な任意の医薬組成物との任意の組み合わせが含まれることが理解される。HIV抗ウィルス剤および他の薬剤は、典型的に当分野で報告されている通常の用量範囲およびレジメに従ってこれらの組み合わせで用いられ、例えば、Physicians′ Desk Reference、Thomson PDR、Thomson PDR、第57版(2003)、第58版(2004)、または第59版(2005)および現在のPhysicians′ Desk Reference(第68版). (2014), Montvale, NJ:PDR Networkに記載の用量が含まれる。これらの組み合わせにおいて、本発明の化合物の用量範囲は、上に記載されたものと同じであることができる。
いずれか特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の化合物はプロドラッグとして作用し、その化合物は低pH(例えばpH=1から3)で比較的安定であるが、生理pH(例えば、pH約7)では加水分解もしくは環化によってそれの遊離塩基に変換することで、インビボで活性物質を放出すると考えられている。R
4のリン酸基が、最初に腸において、管腔でのホスファターゼ酵素によって、次に刷子縁でホスファターゼによって開裂されて、インビボで活性物質を放出すると考えられている。その変換は次のように描くことができる。
本明細書で使用の略称および頭字語には、以下のものなどがある。
下記の実施例は、本発明およびその実施の説明のみを目的とするものである。当該実施例は、本発明の範囲または精神に対する限定と解釈すべきではない。これらの実施例において、「室温」という用語は、約20℃から約25℃の範囲の温度を指す。
3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(ジフルオロエチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:6−(ジフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン
ナトリウム(2.91g、126.5mmol)のメタノール(70mL)中混合物を室温で30分間撹拌し、次にホルムアミジンアセテート(6.3g、60mmol)およびエチル4,4−ジフルオロ−3−オキソブタノエート(5.0g、30.1mmol)を加えた。混合物を80℃で4時間撹拌した。環境温度に冷却後、混合物をHClで酸性化してpH=6とし、酢酸エチルで抽出した(200mLで5回)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、6−(ジフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た。MS(ESI):m/z147(M+H)+。
段階2:6−(ジフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン
化合物6−(ジフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン(2.0g、13.7mmol)および酢酸カリウム(4.0g、41.4mmol)の酢酸(20mL)中混合物に、窒素雰囲気下に臭素(3.3g、20.5mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で4時間撹拌した。次に、混合物を氷水に投入し、沈澱を濾取して、5−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た。MS(ESI):m/z225、227(M+H)+。
段階3:5−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)−3−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−4(3H)−オン
5−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン(1.01g、4.49mmol)、PMBCl(735mg、4.71mmol)、炭酸カリウム(1.24g、8.98mmol)のDMF(10mL)中混合物を、窒素雰囲気下に環境温度で4時間撹拌した。水15mLを加え、沈澱を濾取して、5−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)−3−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た。MS(ESI):m/z345、347(M+H)+。
段階4:3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−ヒドロキシベンゾニトリル(1.57g、11.6mmol)、5−ブロモ−6−(ジフルオロメチル)−3−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−4(3H)−オン(2.0g、5.81mmol)およびt−BuOK(1.43g、12.8mmol)のNMP(10mL)中混合物を120℃で終夜撹拌した。環境温度に冷却後、混合物を水20mLで希釈し、酢酸エチルで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。次に、メタノール(10mL)を加え、沈澱を濾取して、3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI):m/z418、420(M+H)+。
段階5:3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(400mg、0.96mmol)のTFA(5mL)中溶液を、マイクロ波照射下に100℃で10分間撹拌した。環境温度に冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。次に、メタノール(10mL)を加え、沈澱を濾取して、3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI):m/z298、300(M+H)+。
段階6:6−メトキシピリダジン−3−カルボアルデヒド
(6−メトキシピリダジン−3−イル)メタノール(13g、93mmol)の脱水ジクロロメタン(500mL)中の撹拌溶液に、デス−マーチンペルヨージナン(59g、139mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル:酢酸エチル(15:1から10:1))によって精製して、6−メトキシピリダジン−3−カルボアルデヒドを得た。MS(ESI)m/z139(M+H)+。
段階7:3−(ジフルオロメチル)−6−メトキシピリダジン
6−メトキシピリダジン−3−カルボアルデヒド(6.0g、43.4mmol)の脱水ジクロロメタン(100mL)中の撹拌溶液に、DAST(22.7g、141.3mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液(0.5N、100mL)、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(15:1から10:1))によって精製して、3−(ジフルオロメチル)−6−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI)m/z161(M+H)+。
段階8:4−(tert−ブトキシメチル)−6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン
tert−ブトキシ−酢酸(0.92g、6.88mmol)のTHF/水(20mol%、7.76mL)中溶液に、3−(ジフルオロメチル)−6−メトキシピリダジン(0.7g、4.3mmol)およびAgNO3(74mg、0.43mmol)を加えた。混合物を、室温で撹拌下N2によって脱気した。次に、混合物を70℃に加熱し、次に(NH4)2S2O8(1.7g、7.31mmol)の水(10mL)溶液を滴下した。添加後、混合物を70から80℃で40分間撹拌した。室温に冷却後、混合物を酢酸エチルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(15:1から10:1))によって精製して、4−(tert−ブトキシメチル)−6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジンを得た。
MS(ESI)m/z247(M+H)+。
段階9:(6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール
4−(tert−ブトキシメチル)−6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン(480mg、1.95mmol)のTHF/DCE(1.3mL/4.5mL)中溶液を60℃で1時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。残留物を分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(2:1))によって精製して、(6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノールを得た。MS(ESI)m/z191(M+H)+。
段階10:4−(クロロメチル)−6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン
化合物(6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール(600mg、3.1mmol)の脱水ジクロロメタン(20mL)中溶液に、メタンスルホニルクロライド(1.08g、9.4mmol)およびDIPEA(1.22g、9.4mmol)をそれぞれ0℃で滴下した。混合物を室温で4時間撹拌した。次に、混合物を水で反応停止し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、4−(クロロメチル)−6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI)m/z209、211(M+H)+。
段階11:3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−((6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(150mg、0.5mmol)のDMF(15mL)中溶液に、K2CO3(139mg、1.0mmol)、LiBr(88mg、1.0mmol)および4−(クロロメチル)−6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン(105mg、0.5mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、それ以上精製せずに3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−((6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z470、472(M+H)+。
段階12:3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(ジフルオロエチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−((6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(200mg、0.42mmol)およびKI(142mg、0.84mmol)のアセトニトリル(3mL)中混合物に、室温でTMSCl(93mg、0.84mmol)を加えた。得られた混合物を70℃で1.5時間撹拌した。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、Na2S2O3水溶液およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製して、所望の生成物3−クロロ−5−((4−(ジフルオロメチル)−1−((6−(ジフルオロメチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR:(メタノール−d4、400MHz)δ13.60(s、1H)、8.66(s、1H)、7.71(s、1H)、7.62(s、2H)、7.59(s、1H)、6.98(t、J=52.0Hz、1H)、6.77(t、J=54.0Hz、1H)、4.97(s、2H)。MS(ESI)m/z456、458(M+H)+。
実施例1
(5−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−4−(ジフルオロメチル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−3−(ジフルオロメチル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
実施例7段階1から2に記載のものと同様の手順に従うことで、上記化合物を製造した。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ8.70(s、1H)、7.65−7.75(m、4H)、6.74−7.02(m、2H)、5.71(d、J=7.8Hz、2H)、5.06(s、2H)。MS:566(M+H)+。
3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−4−(ジフルオロメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:メチル3,6−ジクロロピリダジン−4−カルボキシレート
3,6−ジクロロピリダジン−4−カルボン酸(5.5g、28.5mmol)のDCM(50.0mL)およびMeOH(10mL)中懸濁液に、トリメチルシリルジアゾメタン(2Mヘキサン中溶液、15mL、30.0mmol)を0℃でゆっくり加えた。それは添加後に透明溶液となった。それを30分間撹拌し、追加のトリメチルシリルジアゾメタン15mLを加え、30分間撹拌した。それを酢酸2mLで反応停止し、濃縮し、ISCO(80g、0%から40%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。MS(ESI):m/z206(M+H)+。
段階2:メチル6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−カルボキシレート
磁気撹拌バーを入れた透明乾燥フラスコに、メチル3,6−ジクロロピリダジン−4−カルボキシレート(2g、9.66mmol)を秤取した。それを密閉し、窒素で2回パージし、脱水THF(40mL)に溶かした。その溶液を氷水浴で冷却し、ナトリウムメトキシド(0.69g、12.77mmol)を1回で加えた。それを30分間撹拌した。LC−MSは、反応完結を示した。それを飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)で反応停止した。混合物を酢酸エチルで抽出した(40mLで3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。残留物をISCO(80g、0%から30%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。MS(ESI):m/z203(M+H)+。
段階3:6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−カルボン酸
メチル6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−カルボキシレート(510mg、2.52mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)およびメタノール(5.00mL)中溶液を、4M LiOH水溶液(5mL、20.00mmol)で15分間処理した。それを1N HClによって中和し、濃縮した。残留物を真空乾燥し、精製せずに用いた。MS(ESI):m/z189(M+H)+。
段階4:(6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール
6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−カルボン酸(270mg、1.432mmol)およびカルボニルジイミダゾール(697mg、4.30mmol)のTHF(12mL)中混合物を、室温で1時間撹拌した。溶液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(271mg、7.16mmol)と次に水(4mL)を加えた。それを15分間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液5mLで反応停止し、酢酸エチルで抽出した(20mLで4回)。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。残留物をISCO(40g、0%から50%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標題化合物を得た。MS(ESI):m/z175(M+H)+。
段階5:6−クロロ−4−(クロロメチル)−3−メトキシピリダジン
(6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール(100mg、0.573mmol)のDCM(5mL)中溶液に、0℃でメタンスルホニルクロライド(0.134mL、1.718mmol)およびヒューニッヒ塩基(0.300mL、1.718mmol)を加えた。それを0℃で15分間撹拌し、終夜で室温まで昇温させた。それを減圧下に濃縮した。残留物をISCO(24g、0%から30%EtOAc/ヘキサン勾配)によって精製して、標題化合物を得た。MS(ESI):m/z192(M+H)。
段階6:3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−4−(ジフルオロメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物を、中間体A段階11と同じ方法で製造した。
段階7:3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−オキソ−2、3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−4−(ジフルオロメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物を、中間体A段階12と同じ方法で製造した。
1H NMR:(DMSO−d6、500MHz)δ8.66(s、1H)、7.75(s、1H)、7.69(s、1H)、7.65(m、1H)、7.54(s、1H)、7.02(t、J=52.0Hz、1H)、4.96(s、2H)。MS(ESI)m/z440.1(M+H)+。
実施例2
(3−クロロ−5−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−4−(ジフルオロメチル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
実施例7段階1から2に記載のものと同様の手順に従うことで、上記化合物を製造した。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ8.66(s、1H)、7.64−7.75(m、4H)、7.03(t、J=55Hz、1H)、5.63(d、J=8.05Hz、2H)、5.01(s、2H)。MS:550(M+H)+。
3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:
Eur. J. Org. Chem. 2004, 3714−37188。
段階2:5−ブロモ−6−(トリフルオロメチル)−4(3H)−ピリミジノン
6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H}−オン(0.3g、1.8mmol)の酢酸(2mL)中溶液に、CH3COOK(0.54g、5.5mmol)を加えた。次に、その混合物にBr2の酢酸中溶液(1mL)を滴下した。混合物を80℃に加熱し、終夜撹拌した。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、溶媒留去して、5−ブロモ−6−(トリフルオロメチル)−4(3H}−ピリミジノンを得た。
段階3:5−ブロモ−3−(4−メトキシベンジル)−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン
5−ブロモ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン(190mg、0.91mmol)のDMF(2mL)中溶液に、K2CO3(250mg、1.82mmol)およびPMBCl(210mg、1.3mmol)を加えた。混合物を室温で5時間撹拌した。混合物を水に投入し、EtOAcで抽出した(40mLで3回)。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(5:1から1:1))によって精製して、1 5−ブロモ−3−(4−メトキシベンジル)−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た。1H−NMR J000159069H11896−016−3 CDCl3、400MHzδ7.97(s、1H、ArH)、7.27(d、J=8.8、2H、ArH)、6.87(d、J=8.8、2H、ArH)、5.04(s、2H、CH)、3.78(s、3H、CH)。
段階4:3−クロロ−5−(1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イルオキシ)ベンゾニトリル
5−ブロモ−3−(4−メトキシベンジル)−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン(5g、13.8mmol)のNMP(50mL)中溶液に、K2CO3(5.7g、41.3mmol)および3−クロロ−5−ヒドロキシ−ベンゾニトリル(3.2g、20.7mmol)を加えた。混合物を120℃で20時間撹拌した。混合物を水に投入し、EtOAcで抽出した(60mLで3回)。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(5:1から1:1))によって精製して、3−クロロ−5−(1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イルオキシ)ベンゾニトリルを得た。1H−NMR J000169946 H11896−128−3 DMSO、400MHz δ8.86(s、1H、ArH)、7.76(s、1H、ArH)、7.70(s、1H、ArH)、7.68(s、1H、ArH)、7.34(d、J=8.6、2H、ArH)、6.90(d、J=8.6、2H、ArH)、5.10(s、2H、CH)、3.72(s、3H、CH)。
段階5:3−クロロ−5−(6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イルオキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−(1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イルオキシ)ベンゾニトリル(2g、4.6mmol)のCH3CN(20mL)およびH2O(8mL)中溶液に、Ce(NH4)2(NO3)6(10g、18.4mmol)を少量ずつ加えた。混合物を室温で終夜撹拌し、水に投入し、EtOAcで抽出した(60mLで3回)。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(5:1から1:1))によって精製して、3−クロロ−5−(6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イルオキシ)ベンゾニトリルを得た。1H−NMR J000170654 H11896−138−3 DMSO、400MHz δ13.59(s、1H、NH)、8.36(s、1H、ArH)、7.76(s、1H、ArH)、7.73(s、1H、ArH)、7.70(s、1H、ArH)。
段階6:3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(100mg、0.32mmol)のDMF(5mL)中溶液に、6−クロロ−4−(クロロメチル)−3−メトキシピリダジン(55mg、0.29mmol、実施例2、段階5)およびK2CO3(80mg、0.58mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−メトキシ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得て、それをそれ以上精製せずに次の段階に用いた。MS(ESI)m/z472、474、476(M+H)+。
段階7:3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(110mg、0.23mmol)およびKI(77mg、0.46mmol)のアセトニトリル(10mL)中混合物に、室温でTMSCl(50mg、0.46mmol)を加えた。得られた混合物を70℃で1時間撹拌した。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、Na2S2O3水溶液およびブラインで洗浄し、無水Na2SO4で脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製して、3−クロロ−5−((1−((6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR(メタノール−d4、400MHz):δ8.60(s、1H)、7.68(s、1H)、7.47(s、1H)、7.28(s、1H)、7.24(s、1H)、5.07(s、2H)、1.92(t、J=18.4Hz、6H)。
MS(ESI)m/z458、460、462(M+H)+。
実施例3
(3−クロロ−5−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
実施例7段階1から2に記載のものと同様の手順に従うことで、上記化合物を製造した。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)8.79(s、1H)、7.80−7.70(m、3H)、7.70(s、1H)、5.60(d、2H)、5.00(s、2H)。MS:568(M+H)+。
3−クロロ−5−((1−((6−(ジフルオロメチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:メチル5−(ヒドロキシメチル)−6−メトキシピリダジン−3−カルボキシレート
(6−クロロ−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール(4.6g、26.4mmol)、トリエチルアミン(7.4mL)およびPd(dppf)2Cl2(0.5g、1mmol)のメタノール(30mL)および酢酸エチル(10mL)中溶液を、一酸化炭素下に(約0.34MPa(50psi))、70℃で終夜撹拌した。次に、反応混合物を水に投入し、酢酸エチルで抽出した(15mLで3回)。有機抽出液を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をカラム(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(5:1から2:1))によって精製して、メチル5−(ヒドロキシメチル)−6−メトキシピリダジン−3−カルボキシレートを得た。MS(ESI)m/z199(M+H)+。
段階2:メチル5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−6−メトキシピリダジン−3−カルボキシレート
メチル5−(ヒドロキシメチル)−6−メトキシピリダジン−3−カルボキシレート(2.1g、10.6mmol)のTHF(150mL)中溶液に、TBSCl(4.55g、30.2mmol)およびイミダゾール(2.05g、30.2mmol)を室温で加えた。次に、得られた反応を室温で終夜撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、メチル5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−6−メトキシピリダジン−3−カルボキシレートを得た。MS(ESI)m/z313(M+H)+。
段階3:(5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−6−メトキシピリダジン−3−イル)メタノール
メチル5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−6−メトキシピリダジン−3−カルボキシレート(2.1g、6.7mmol)のエタノール(15mL)中溶液に、NaBH4(0.38g、10.0mmol)およびCaCl2(0.37g、3.4mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水(20mL)を加えることで反応停止し、HCl溶液(2M)を用いて酸性化してpH=8とし、酢酸エチルで抽出した(15mLで3回)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、(5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−6−メトキシピリダジン−3−イル)メタノールを得た。MS(ESI)m/z285(M+H)+。
段階4:4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン
(5−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−6−メトキシピリダジン−3−イル)メタノール(1.5g、5.3mmol)のアセトニトリル(10mL)中溶液に、室温でDHP(0.53g、6.3mmol)およびPPTS(126mg、0.5mmol)を加えた。混合物を80℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(10:1))によって精製して、4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジンを得た。MS(ESI)m/z369(M+H)+。
段階5:(3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン−4−イル)メタノール
4−(((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)−3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン(0.9g、2.4mmol)およびTBAF(3.2g、12.2mmol)のTHF(20.0mL)中溶液を、室温で1.0時間撹拌した。水を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(1:2))によって精製して、(3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン−4−イル)メタノールを得た。MS(ESI)m/z255(M+H)+。
段階6:3−クロロ−5−((1−((3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
(3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン−4−イル)メタノール(0.6g、2.4mmol)、3−クロロ−5−((6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(0.76g、2.4mmol、実施例3、段階5)およびトリフェニルホスフィン(1.3g、4.8mmol)のジクロロメタン(10.0mL)中溶液に、窒素雰囲気下に0℃でDEAD(0.84g、4.8mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水(10mL)で反応停止し、ジクロロメタンで抽出した(20mLで3回)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(1:1))によって精製して、3−クロロ−5−((1−((3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z552、554(M+H)+。
段階7:3−クロロ−5−((1−((6−(ヒドロキシメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((1−((3−メトキシ−6−(((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)メチル)ピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(1.2g、2.2mmol)のメタノール(10mL)中溶液に、室温でHCl/メタノール(1N、10mL)を加えた。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、減圧下に濃縮して、3−クロロ−5−((1−((6−(ヒドロキシメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z468、470(M+H)+。
段階8:3−クロロ−5−((1−((6−ホルミル−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((1−((6−(ヒドロキシメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(1.0g、2.1mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液に、窒素雰囲気下に0℃でデス−マーチンペルヨージナン(1.36g、3.2mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水(10mL)で反応停止し、ジクロロメタンで抽出した(20mLで3回)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(1:1))によって精製して、3−クロロ−5−((1−((6−ホルミル−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z466、468(M+H)+。
段階9:3−クロロ−5−((1−((6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((1−((6−ホルミル−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(0.14g、0.3mmol)のジクロロメタン(5mL)中の攪拌混合物に、室温でDAST(0.43g、1.6mmol)を加え、混合物を窒素雰囲気下に16時間撹拌した。混合物をH2Oで反応停止し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(2:1))によって精製して、3−クロロ−5−((1−((6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z488、490(M+H)+。
段階10:3−クロロ−5−((1−((6−(ジフルオロメチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((1−((6−(ジフルオロメチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(90mg、0.2mmol)およびKI(100mg、0.6mmol)のアセトニトリル(3mL)中混合物に、TMSCl(33mg、0.3mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、水で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製して、3−クロロ−5−((1−((6−(ジフルオロメチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR(メタノール−d4、400MHz)δ13.62(s、1H)、8.72(s、1H)、7.73(s、1H)、7.71(s、1H)、7.68(s、1H)、7.66(s、1H)、6.78(t、J=56.0Hz、1H)、4.99(s、2H)。MS(ESI)m/z474、476(M+H)+。
実施例4
(5−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−3−(ジフルオロメチル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
実施例7段階1から2に記載のものと同様の手順に従うことで、上記化合物を製造した。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ8.76(s、1H)、7.72−7.78(m、4H)、6.85(t、J=53Hz、1H)、5.71(d、J=7.81Hz、2H)、5.08(s、2H)。MS:584(M+H)+。
3−クロロ−5−((1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1−エトキシビニル)−3−メトキシピリダジン
4−(tert−ブトキシメチル)−6−クロロ−3−メトキシピリダジン(1g、5.7mmol)、トリブチル(1−エトキシビニル)スタンナン(6.2g、17.2mmol)のトルエン(10mL)中混合物に、N2下にPd(PPh3)4(0.6g、0.57mmol)を加えた。得られた懸濁液を窒素雰囲気下に120℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、混合物を氷水に投入し、酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(5:1から2:1))によって精製して、4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1−エトキシビニル)−3−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI):m/z267(M+H)+。
段階2:1−(5−(tert−ブトキシメチル)−6−メトキシピリダジン−3−イル)エタノン
4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1−エトキシビニル)−3−メトキシピリダジン(400mg、1.5mmol)の1,4−ジオキサン(6mL)中溶液にHCl/1,4−ジオキサン(3N、6mL)を加え、溶液を室温で終夜撹拌した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(1:1))によって精製して、1−(5−(tert−ブトキシメチル)−6−メトキシピリダジン−3−イル)エタノンを得た。MS(ESI)m/z239(M+H)+。
段階3:4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン
1−(5−(tert−ブトキシメチル)−6−メトキシピリダジン−3−イル)エタノン(240mg、1.0mmol)のジクロロメタン(8mL)中溶液に、DAST(0.8mL、6.1mmol)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。LCMSにより、反応完結が示された。混合物を水で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI)m/z261(M+H)+。
段階4:(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール
4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン(150mg、0.58mmol)のジクロロメタン(8mL)中溶液に、4N HCl/メタノール(3mL)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、水で反応停止し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮し、分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(1:1.5))によって精製して、(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノールを得た。MS(ESI)m/z205(M+H)+。
段階5:(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチルメタンスルホネート
(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール(110mg、0.54mmol)のジクロロメタン(6mL)中溶液に、DIPEA(209mg、1.6mmol)およびメタンスルホニルクロライド(75mg、0.62mmol)を滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチルメタンスルホネートを得た。MS(ESI)m/z283(M+H)+。
段階6:3−クロロ−5−((1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチルメタンスルホネート(120mg、0.54mmol)のDMF(5mL)中溶液に、3−クロロ−5−((6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(187mg、0.59mmol、実施例3、段階5)、TEA(0.23mL、1.6mmol)を加えた。混合物を30℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、3−クロロ−5−((1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z502、504(M+H)+。
段階7:3−クロロ−5−((1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−オキソ−2、3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(120mg、0.24mmol)およびKI(79.5mg、0.48mmol)のアセトニトリル(4mL)中混合物に、室温でTMSCl(51.7mg、0.48mmol)を滴下した。添加後、混合物を30℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、混合物をMeOHで反応停止し、減圧下に濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製して、3−クロロ−5−((1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR(DMSO−d6、400MHz):δ13.53(s、1H)、8.72(s、1H)、7.67−7.72(m、4H)、5.10(s、2H)、1.85−1.90(m、3H)。MS(ESI):m/z488、490(M+H)+。
実施例5
(5−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−3−(1,1−ジフルオロエチル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
実施例7段階1から2に記載のものと同様の手順に従うことで、上記化合物を製造した。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)8.90(s、1H)、7.80−7.70(m、4H)、5.70(d、2H)、5.05(s、2H)、2.0−1.95(t、3H)。MS:598(M+H)+。
3−クロロ−5−((6−オキソ−1−((6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:6−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ピリダジン−3(2H)−オン
6−メチル−4−(トリフルオロメチル)ピリダジン−3(2H)−オン(2g、11.2mmol)のCCl4(20mL)中混合物に、室温でNBS(3g、17.2mmol)および過酸化ベンゾイル(100mg)を加えた。得られた混合物を18時間加熱還流した。LCMSにより反応完結が示され、混合物を氷水に投入し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた抽出液を脱水し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(5:1))によって精製して、6−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ピリダジン−3(2H)−オンを得た。
段階2:3−クロロ−5−((6−オキソ−1−((6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−(6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イルオキシ)ベンゾニトリル(400mg、1.27mmol、実施例3、段階5)、6−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ピリダジン−3(2H)−オン(260mg、1.0mmol)および炭酸カリウム(170mg、1.23mmol)のDMF(6mL)中混合物を、室温で18時間撹拌した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濾過した。残留物を分取HPLCによって精製して、3−クロロ−5−((6−オキソ−1−((6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR(DMSO−d6、400MHz):δ13.72(s、1H)、8.77(s、1H)、8.02(s、1H)、7.78(s、1H)、7.71(s、1H)、7.68(s、1H)、5.19(s、2H)。MS(ESI)m/z492、494(M+H)+。
実施例6
ナトリウム(3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)ピリダジン−1(6H)−イル)メチルホスフェート
段階1:ジ−tert−ブチル((3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)ピリダジン−1(6H)−イル)メチル)ホスフェート
3−クロロ−5−((6−オキソ−1−((6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(1.5g、3.05mmol)のジオキサン:DMF(5:1、25mL)中溶液に、炭酸カリウム(0.843g、6.1mol)を加えた。反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。リン酸ジ−tert−ブチルエステルクロロメチルエステル(1.19g、4.58mmol)を−30℃で加えた。得られた混合物を、マイクロ波下に40℃で2.5時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を水に投入し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製して、所望の生成物ジ−tert−ブチル((3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)ピリダジン−1(6H)−イル)メチル)ホスフェートを得た。MS(ESI):m/z736(M+Na)+。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ8.75(s、1H)、8.13(s、1H)、7.63−7.74(m、3H)、5.59(d、J=8.0Hz、2H)、5.21(s、2H)。
段階2:ナトリウム(3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)ピリダジン−1(6H)−イル)メチルホスフェート
ジ−tert−ブチル((3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)ピリダジン−1(6H)−イル)メチル)ホスフェート(260mg、0.36mmol)のジクロロメタン(7mL)中溶液に、CF3COOH(0.14mL)のジクロロメタン(0.5mL)中溶液を加えた。室温で2時間撹拌後、混合物を減圧下に濃縮した。残留物をメタノール(5mL)に溶かし、メタノール(0.6mL)中の酢酸ナトリウム(59.8mg、0.73mmol)を加えた。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を凍結乾燥し、固体をメタノールで洗浄し、真空乾燥して、ナトリウム(3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−6−オキソ−5−(トリフルオロメチル)ピリダジン−1(6H)−イル)メチルホスフェートを得た。1H NMR(DMSO&D2O、400MHz)δ8.65(s、1H)、7.95(s、1H)、7.60−7.69(m、3H)、5.59(d、J=8.4Hz、2H)、5.14(s、2H)。
3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ酢酸エチル
窒素の不活性雰囲気でパージおよび維持した10リットル丸底フラスコに、シュウ酸ジエチル(360g、2.46mol、1.00当量)のテトラヒドロフラン(3000mL)溶液を入れた。その後、−78℃で撹拌しながら2.5時間以内に4−フルオロフェニルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン中溶液(1.9リットル、1N 0.78当量)を滴下した。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌し、ゆっくり昇温させて−20℃とした。次に、2M HCl 500mLを加えることで反応停止した。得られた溶液を酢酸エチル500mLで2回抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン200mLで2回洗浄した。混合物を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物を真空蒸留(5mmHg)によって精製し、106℃の留分を回収して、2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ酢酸エチルを得た。
段階2:エチル5−((tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ)−2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−オキソペンタノエート
窒素の不活性雰囲気でパージおよび維持した250mL封管に、2−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ酢酸エチル(55g、280mmol、1.00当量)、1−[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]プロパン−2−オン(110g、352mmol、1.26当量)、酢酸(33g、550mmol、1.96当量)、ピロリジン(7.8g、93mmol、0.33当量)を入れた。得られた溶液を85℃で終夜撹拌し、酢酸エチル/石油エーテル(1:60から1:10)を用いてシリカゲルカラムに付し、エチル5−[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]−2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−オキソペンタノエートを得た。
段階3:6−[[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オン
窒素の不活性雰囲気でパージおよび維持した1000mL四頸丸底フラスコに、エチル5−[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]−2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−4−オキソペンタノエート(292g、574mmol)の酢酸(520mL)中溶液を入れた。次に、30℃以下で撹拌下、30分でヒドラジン水和物(115g、2.30mol)を滴下した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、次に2時間で80℃に加熱した。反応混合物を水/氷2000mLに投入した。得られた溶液を酢酸エチル1000で3回抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物を5%NaHCO3 2000mLおよびブライン1000mLで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物をn−ヘキサンからの再結晶によって精製して、6−[[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オンを得た。
段階4:6−[[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2−(オキサン−2−イル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オン
窒素の不活性雰囲気でパージおよび維持した2000mL丸底フラスコに、6−[[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オン(150g、327mmol、1.00当量)のトルエン(1.2L)中溶液、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(80g、951mmol、2.91当量)、PPTS(15g、59.8mmol、0.18当量)を入れた。得られた溶液を90℃で5時間撹拌した。これに、追加のDHP(55g、654mmol)を加え、混合物を90℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、5%NaHCO3 1000mLに投入した。得られた溶液を酢酸エチル500mLで2回抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン500mLで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。これによって、(粗)6−[[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2−(オキサン−2−イル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オンを得た。
段階5:4−(4−フルオロフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−2−(オキサン−2−イル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オン
窒素の不活性雰囲気でパージおよび維持した2000mL丸底フラスコに、6−[[(tert−ブチルジフェニルシリル)オキシ]メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2−(オキサン−2−イル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オン(220g、324mmol、1.00当量、80%)のテトラヒドロフラン(1.1L)溶液を入れた。次に、20℃でTBAF(87g、333mmol、1.03当量)を数回に分けて5分で加えた。得られた溶液を室温で30分間撹拌し、5%NaHCO3 1000mLに投入した。得られた溶液を酢酸エチル500mLで2回抽出し、有機層を合わせた。得られた混合物をブライン1000mLで洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を、酢酸エチル/石油エーテル(1:10から1:1)を用いてシリカゲルカラムに付し、4−(4−フルオロフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−2−(オキサン−2−イル)−2,3−ジヒドロピリダジン−3−オンを得た。
MS(ESI)m/z305(M+H)+。
段階6:6−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン
4−(4−フルオロフェニル)−6−(ヒドロキシメチル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン(10g、32.9mmol)のDCM(40mL)中の攪拌溶液に、0℃で、四臭化炭素(13.08g、39.4mmol)を加え、次にトリフェニルホスフィン(10.34g、39.4mmol)のDCM(10mL)中溶液をゆっくり加えた。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮した。粗混合物にジエチルエーテル(500mL)を加え、固体を濾去した。濾液を減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として酢酸エチル/ヘキサン(0%から60%))によって精製して、6−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オンを得た。MS(ESI)m/z367、369(M+H)+。
段階7:3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
6−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ピリダジン−3(2H)−オン(10.59g、28.8mmol)、および3−クロロ−5−((6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(9.10g、28.8mmol、実施例3、段階5)のDMF(35mL)中混合物に、0℃でDIPEA(6.55mL、37.5mmol)を加えた。30分後、反応混合物を室温に昇温させ、撹拌をさらに1時間続けた。混合物を減圧下に濃縮し、水(200mL)を加えた。得られた沈澱を濾取し、水(50mLで2回)、次にジエチルエーテル(50mLで3回)で洗浄して、3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z601、602(M+H)+。
段階8:3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(15.78g、26.2mmol)のTFA(40.4mL、524mmol)中溶液を、室温で1時間撹拌した。TFAを減圧下に除去し、ジエチルエーテル(250mL)を加えた。得られた固体を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄して(125mLで2回)、3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z518、520(M+H)+。1H NMR:(DMSO−d6、400MHz)δ13.13(s、1H)、8.74(s、1H)、7.87(t、J=6.8Hz、2H)、7.62−7.72(m、4H)、7.26(t、J=6.8Hz、2H)、5.14(s、2H)。
実施例7
(3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
段階1:ジ−tert−ブチル((3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル)ホスフェート
3−クロロ−5−((1−((5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)メチル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(250mg、0.48mmol)およびヨウ化ナトリウム(94mg、0.63mmol)のTHF(3.8mL)中スラリーに、0℃でリチウムtert−ブトキシド(1M THF中溶液)(0.56mL、0.56mmol)、次にジ−tert−ブチルクロロメチルホスフェート(0.13mL、0.63mmol)を加えた。反応混合物を室温に昇温させ、さらに16時間撹拌した。反応完了したら、それを0℃に冷却し、水数滴で反応停止した。水浴の温度が25℃を超えないように維持しながら、ロータリーエバポレータによって溶媒を除去した。残留物をDCM(25mL)に溶かし、飽和NaHCO3(5mLで1回)、ブライン(5mLで1回)で洗浄し、無水MgSO4で脱水し、濾過し、水浴の温度が25℃を超えないように維持しながらロータリーエバポレータによって濃縮して、ジ−tert−ブチル((3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル)ホスフェートを得て、それを精製せずに次の段階で用いた。
段階2:(3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
ジ−tert−ブチル((3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル)ホスフェート(357mg、0.48mmol)のジクロロメタン(5.8mL)中粗溶液に、0℃でトリフルオロ酢酸(149μL、1.932mmol)を加えた。反応混合物を環境温度まで昇温させ、さらに16時間撹拌した。反応完了したら、混合物を濾過し、逆相HPLC(ACN/水(0.1%TFA調整剤含有))によって精製して、(3−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−5−(4−フルオロフェニル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェートを得た。MS:628(M+H)+。
1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ8.76(s、1H)、7.71−7.86(m、6H)、7.33(t、J=8.7Hz、2H)、5.71(d、J=7.7Hz、2H)、5.19(s、2H)。
3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
段階1:エチル4,4−ジフルオロ−3−オキソペンタノエート
化合物2,2−ジフルオロプロパン酸エチル(10.6g、76.8mmol)および酢酸エチル(8.11g、92.1mmol、MgSO4で脱水)のTHF(100mL)中溶液に、N2保護下に−78℃でLiHMDS(92mL、92.1mmol)を加えた。混合物を−78℃で1時間撹拌した。次に、混合物を20℃でさらに1.5時間撹拌した。HCl溶液(1N)でゆっくり反応停止した。混合物をEtOAcで抽出し(100mLで3回)、ブライン(200mL)で洗浄し、MgSO4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して所望の生成物を得た。残留物をそれ以上精製せずに直接用いた。
段階2:6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オン
ホルムイミドアミドアセテート(16.0g、153.6mmol)およびナトリウムメトキシド(16.6g、307mmol)のメタノール(140mL)中溶液を室温で20分間撹拌し、エチル4,4−ジフルオロ−3−オキソペンタノエート(粗物14g、76.8mmol)を加えた。得られた混合物を70℃で14時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAcで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機層をMgSO4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物を得た。1H NMR:(400MHz、CDCl3)δ8.20(s、1H)、6.77(s、1H)、1.90(t、J=18.8Hz、3H)。MS(ESI)m/z161.21(M+H)+。
段階3:5−ブロモ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オン
化合物6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オン(9.5g、59mmol)および酢酸カリウム(11.6g、119mmol)の酢酸(100mL)中溶液を室温で30分間撹拌し、次にBr2(11.2g、71mmol)を室温で滴下した。得られた混合物を2時間還流撹拌した。室温に冷却後、混合物を、色が明黄色になるまでNa2SO3(飽和)で反応停止し、EAで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機層をMgSO4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、所望の生成物を得た。MS(ESI)m/z238.8、240.8(M+H)+。
段階4:5−ブロモ−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−4(3H)−オン
化合物5−ブロモ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリミジン−4(3H)−オン(15.0g、59mmol)のDMF(150mL)中溶液に、K2CO3(17.4g、126mmol)およびPMBCl(108.g、69mmol)を加えた。反応混合物を80℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、混合物をH2O(100mL)で希釈し、EtOAcで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機層をMgSO4で脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(PE/EA=10/1から5/1)によって精製して、所望の生成物を得た。1H NMR:(400MHz、CDCl3)δ8.09(s、1H)、7.96(s、1H)、7.28(d、2H、J=8.4Hz)、6.85(s、2H、J=8.4Hz)、5.04(s、2H)、3.75(s、2H)、1.92(t、J=18.4Hz、3H)。MS(ESI)m/z359.1、361.1(M+H)+。
段階5:3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物5−ブロモ−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−メトキシベンジル)ピリミジン−4(3H)−オン(3.0g、8.56mmol)のNMP(50mL)中溶液に、炭酸カリウム(2.31g、16.70mmol)および3−クロロ−5−ヒドロキシベンゾニトリル(3.86g、25.07mmol)を加えた。混合物を6時間で140℃に加熱し、次に130℃に冷却し、混合物を130℃で終夜撹拌した。冷却後、混合物を水(200mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル:酢酸エチル(20:1から8:1))によって精製して、3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。
MS(ESI)m/z432、434(M+H)+。
段階6:3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(4−メトキシベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(10g、23.2mmol)の混合溶媒(TFA/TFAA=48mL/24mL)中溶液を100℃で4時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を減圧下に濃縮して、粗生成物3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得て、それをそれ以上精製せずに用いた。MS(ESI)m/z312、314(M+H)+。
段階7:3−(1−エトキシビニル)−6−メトキシピリダジン
3−クロロ−6−メトキシピリダジン(15g、103.8mmol)、トリブチル(1−エトキシビニル)スタンナン(82.44g、228.3mmol)のトルエン(200mL)中混合物に、窒素雰囲気下にPd(PPh3)4(6g、5.19mmol)を加えた。得られた懸濁液に窒素を3回流し、110℃で36時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を氷水に投入し、Celite(登録商標)で濾過した。濾液を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(15:1から10:1))によって精製して、所望の生成物3−(1−エトキシビニル)−6−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI)m/z181(M+H)+。
段階8:1−(6−メトキシピリダジン−3−イル)エタノン
3−(1−エトキシビニル)−6−メトキシピリダジン(12g、66.59mmol)の1,4−ジオキサン(120mL)中溶液に、HCl/1,4−ジオキサン(24mL、4M)を0℃で滴下した。混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を水で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(10:1から8:1))によって精製して、1−(6−メトキシピリダジン−3−イル)エタノンを得た。MS(ESI)m/z153(M+H)+。
段階9:3−(1,1−ジフルオロエチル)−6−メトキシピリダジン
1−(6−メトキシピリダジン−3−イル)エタノン(4.2g、27.6mmol)のジクロロメタン(45mL)中溶液に、DAST(13.35mg、82.81mmol)を0℃で滴下した。混合物を40℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(15:1から10:1))によって精製して、3−(1,1−ジフルオロエチル)−6−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI)m/z175(M+H)+。
段階10:(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール
tert−ブトキシ−酢酸(4.23g、32.04mmol)のTFA/水(20mol%、30mL)中混合物に、3−(1,1−ジフルオロエチル)−6−メトキシピリダジン(3.1g、17.8mmol)およびAgNO3(303mg、1.78mmol)を加えた。撹拌下、室温で混合物に窒素を流し、混合物を70℃に加熱し、(NH4)2S2O8(8.12g、35.6mmol)の水(40mL)溶液を滴下した。添加後、混合物を75℃で40分間撹拌した。室温に冷却後、混合物を酢酸エチルで抽出し(20mLで3回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して粗生成物を得た。4−(tert−ブトキシメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジンのTFA/DCE(10mL/40mL)中溶液を60℃で1時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(20mL)に溶かし、炭酸カリウム水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(8:1から5:1))によって精製して、(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノールを得た。MS(ESI)m/z205(M+H)+。
段階11:4−(クロロメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン
(6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メタノール(180mg、0.88mmol)のジクロロメタン(3mL)中溶液に、0℃でトリエチルアミン(268mg、2.64mmol)およびメタンスルホニルクロライド(303mg、2.64mmol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、水で反応停止し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を分取TLC(溶離液として石油エーテル/酢酸エチル(2:1))によって精製して、4−(クロロメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジンを得た。MS(ESI)m/z223(M+H)+。
段階12:3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(500mg、1.60mmol)のDMF(2mL)中溶液に、炭酸カリウム(443mg、3.21mmol)および4−(クロロメチル)−6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン(実施例178の段階1から5に記載)(82mg、0.27mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。残留物を分取TLC(石油エーテル/EtOAc=1:1)によって精製して、所望の生成物3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。MS(ESI)m/z498、500(M+H)+。
段階13:3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−オキソ−2、3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル
化合物3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−メトキシピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリル(250mg、0.50mmol)およびKI(166mg、1.0mmol)のアセトニトリル(3mL)中混合物に、TMSCl(109mg、1mmol)を室温で加えた。得られた混合物を70℃で1時間加熱撹拌した。室温に冷却後、混合物をEtOAcで希釈し、Na2S2O3水溶液およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製して、3−クロロ−5−((4−(1,1−ジフルオロエチル)−1−((6−(1,1−ジフルオロエチル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)メチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−5−イル)オキシ)ベンゾニトリルを得た。1H NMR(メタノール−d4、400MHz):δ8.60(s、1H)、7.68(s、1H)、7.47(s、1H)、7.28(s、1H)、7.24(s、1H)、5.07(s、2H)、1.92(m、6H)。MS(ESI)m/z484、486(M+H)+。
実施例8
(5−((5−(3−クロロ−5−シアノフェノキシ)−4−(1,1−ジフルオロエチル)−6−オキソピリミジン−1(6H)−イル)メチル)−3−(1,1−ジフルオロエチル)−6−オキソピリダジン−1(6H)−イル)メチル2水素ホスフェート
実施例7段階1から2に記載のものと同様の手順に従うことで、上記化合物を製造した。1H NMR(500MHz、DMSO−d6)δ8.68(s、1H)、7.61−7.75(m、4H)、5.70(d、J=8.2Hz、2H)、5.06(s、2H)、1.90−1.99(m、6H)。MS:594(M+H)+。
HIV−1逆転写酵素阻害活性の測定
HIV−1 RTポリメラーゼ反応で用いられるヘテロダイマー核酸基質は、DNAプライマー、ビオチン標識pD500(Sigma Aldrich、USA、5′−ビオチン−ttg aaa tga ctg cgg tac ggc−3′)(配列番号1)のヌクレオチドRNA鋳型t500(C型肝炎ウィルス[HCV]配列由来、IBA、ドイツ、5′−GAG GUU CAG GUG GUU UCC ACC GCA ACA CAA UCC UUC CUG GCG ACC UGC GUC AAC GGC GUG UGU UGG ACC GUU UAC CAU GGU GCU GGC UCA AAG ACC UUA GCC GGC CCA AAG GGG CCA AUC ACC CAG AUG UAC ACU AAU GUG GAC CAG GAC CUC GUC GGC UGG CAG GCG CCC CCC GGG GCG CGU UCC UUG ACA CCA UGC ACC UGU GGC AGC UCA GAC CUU UAC UUG GUC ACG AGA CAU GCU GAC GUC AUU CCG GUG CGC CGG CGG GGC GAC AGU AGG GGG AGC CUG CUC UCC CCC AGG CCU GUC UCC UAC UUG AAG GGC UCU UCG GGU GGU CCA CUG CUC UGC CCU UCG GGG CAC GCU GUG GGC AUC UUC CGG GCU GCC GUA UGC ACC CGG GGG GUU GCG AAG GCG GUG GAC UUU GUG CCC GUA GAG UCC AUG GAA ACU ACU AUG CGG UCU CCG GUC UUC ACG GAC AAC UCA UCC CCC CCG GCC GUA CCG CAG UCA UUU CAA−3′)(配列番号2)へのアニーリングによって発生させた。HIV−1 RT野生型酵素(最終濃度83pM)を、アッセイ緩衝液(62.5mM Tris−HCl[pH7.8]、1.25mM ジチオスレイトール、7.5mM MgCl2、100mM KCl、0.03%CHAPSおよび125μM EGTA)中の阻害剤またはジメチルスルホキシド(DMSO、最終反応混合物中10%)と組み合わせた。次に、混合物を、マイクロタイタープレート(Costar 3365、Corning、USA)において室温で30分間、オービタルシェーカーで前インキュベートした。RNA鋳型/pD500DNAプライマーハイブリッド(RNA/DNAハイブリッド最終濃度16.6nM)およびdNTP類(2μM dATP、dGTP、dCTPおよび66.6nM Ru−dUTP(Meso Scale Discovery、USA))を加えることで、重合反応を開始した。プレートを密閉し、オービタルシェーカーで室温にて5から10分間インキュベートした。次に、プレートを37℃で90分間インキュベートし、クエンチ緩衝液(50mM EDTA、0.7%BSA、0.7%Tween−20、0.017%アジ化ナトリウム/PBS)60μLで失活させた。得られた溶液を室温でさらに5分間インキュベートし、50μLを前ブロッキングしたアビジンプレート(L15AA、Meso Scale Discovery)に移した。アビジンプレートの各ウェルを、5%BSA/PBS 100μLで室温にて1時間ブロッキングした。濾紙上で激しく叩くことで全ての過剰な液体を除去することにより、ブロッキング液を除去した。前ブロッキング済みアビジンプレート上の反応を室温で60分間進行させ、次に濾紙上で激しく叩くことで全ての過剰な液体を除去することにより、内容物を除去した。1×PBS 150μLでプレートを3回洗浄し、サイクル間で乾式ブロッティングを行った後、1×リードバッファT(4×リードバッファT、Meso Scale Discovery)150μLを加え、室温で5分間インキュベートしてから、Sector Imager S6000(Meso Scale Discovery)でカウンティングを行った。標準的手順に従って4パラメータ論理適合を用いて、滴定曲線およびIC50値を計算した。すなわち、阻害%=100×((サンプル生データ値)−(低抑制または0%阻害の平均値))/((100%阻害を示すウェルの平均値)−(0%阻害の平均値))。このアッセイでは、低抑制ウェルはDMSO(0%阻害)を含み、および100%阻害ウェルは1μMエファビレンツを含む。
上記アッセイで調べた本発明の化合物の結果を下記の表2に示す。
薬物動態試験
全ての動物試験は、非臨床実験室検査のためのグッドラボラトリーズプラクティス下で行った。全ての動物飼育およびケア手順は、連邦動物福祉法および研究用動物資源協会に従った。動物について行った手順はいずれも、施設内動物実験委員会が精査および承認した。動物施設は、国際実験動物ケア評価認証協会によって完全に認証された。
供給業者設置の頸動脈カテーテルを取り付けた体重250から350グラムの雄ウィスター−ハノーバーラット2匹もしくは3匹を、Charles River(Raleigh, North Carolina, U.S.A.)から入手した。換気されたプラスチックケージにおいて最低限3日間にわたり、12時間明/暗サイクルで動物を馴致させ、飼料および飲料水は自由に摂取させた。24時間以内の指定の間隔でInstech自動採血装置(ABS, Plymouth Meeting, PA)を用いて自動的に採血を行い、24時間後に手動で採血した。
動物を終夜絶食させてから、実施例1から8の親化合物(式I′)または実施例1から8の化合物(式I)を、表3に記載の用量および媒体での強制経口投与によってラットに投与した。動物は、飲料水は自由に摂取させたが、飼料は投与から4時間後に戻した。
採血は、全ての化合物について投与前ならびに投与から0.25、0.5、1、2、4、8、12、18、24、30および48時間後、そしてさらに実施例1、3、4、5および7の化合物の場合は72時間後に、頸動脈(carotid vein)に取り付けたカテーテルから行った。血漿を遠心(10000rpmで2分間)によって分離し、さらに分析を行うまで−70℃で保存した。
化合物の定量分析は、液体クロマトグラフィーおよびタンデム型質量分析法(LC−MS/MS)を用いて行った。血漿サンプルは、必要に応じて抽出前に安定化させた。標準および品質管理サンプルとともに各未知サンプル50μLを、Hamiltonワークステーションで自動タンパク質沈澱手順を用いて抽出した。抽出物を遠心し、上清を分析に回した。逆相カラム例えば、Waters XSelect HSS T3 XP(50×2.1mm×2.5μ)またはPhenomenex Beta Test Column(50×2.1mm)でThermo Aria LX−2 LCシステムにより分離が可能であった。陽または陰イオン化モードでのAB Sciex API5000質量分析装置による選択された反応モニタリング(SRM)法を用いて化合物の検出を行った。さらに、実施例1から8の親化合物(式I′)および実施例1から8の化合物(式I)についてのクロマトグラフィーピークを、基底線ごとに分離してクロマトグラフィー的に分割した。
非コンパートメント法(Watson(登録商標))を用いて薬物動態パラメータを得た。血漿濃度−時間曲線下の面積(AUC0−t)を、線形台形または線形/対数−線形台形規則を用い、測定可能薬剤濃度(すなわち、親化合物および実施例化合物それぞれの投与後に得られた親(式I′化合物)の濃度)で第1の時間点(0分)から最終時間点まで計算した。最終時間点での観察濃度を排出速度定数によって割ることで、血漿濃度−時間曲線下の残りの面積(AUCt−∞)を推算した。この値をAUC0−tに加えて、AUC0−∞を推算した。最大血漿濃度(Cmax)および最大濃度が生じた時間(Tmax)を、血漿濃度−時間データを調べることによって得た。
表3は、これらの試験で得られたAUC値を提供するものである。表3において、各実施例番号の親は、R
4を−Hに代えた前記実施例番号化合物の親対応化合物を指す。
上記の記載は、説明を目的として提供される実施例によって本発明の原理を説明するものであるが、本発明の実施は、添付の特許請求の範囲に含まれる通常の変形形態、改変および/または修正を包含するものである。具体的な立体配置の指定のない、または全てより少ないキラル中心についてのそのような指定のある、特許請求の範囲(すなわち、種)における特定の化合物の記述または描写は、1以上の不斉中心の存在に起因して各種形態が可能である場合に、当該化合物のラセミ体、ラセミ混合物、各個々のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および各個々のジアステレオマーを包含するものである。本明細書において引用されている全ての刊行物、特許および特許出願は、参照によってそれらの全体が本開示に組み込まれるものである。