JP6340642B2 - 炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法に関し、特に、高温に加熱処理されても平坦性の高い炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体装置の製造に用いられる半導体基板として炭化珪素(SiC)結晶の利用が進められつつある。SiCは、より一般的に用いられているシリコン(Si)に比べて大きなバンドギャップを有する。そのため、SiCを用いた半導体装置は、耐圧が高く、オン抵抗が低く、また高温環境下での特性の低下が小さい、といった利点を有する。
さらに、炭化珪素半導体装置を効率的に製造するために、炭化珪素半導体基板の大口径化が進められている。しかし、炭化珪素半導体基板の外径をたとえば6インチ程度とした場合には、炭化珪素半導体基板の平坦性が損なわれる。
特開2012−214376号公報には、直径が少なくとも約75ミリメートル(3インチ)であって、歪みが約5μm未満であり、反りが約5mm未満であり、TTVが約2.0μm未満であるSiCウエハが記載されている。具体的には、SiCブールを薄切りにしてウエハ状とし、薄切りにしたウエハを両面ラッパ上においてウエハを折り曲げるのに必要な下方力よりも小さい下方力を用いて、ラッピング・プロセスを開始することにより、歪み、反り及びTTVが低いウエハを生産することができることが記載されている。
特開2012−214376号公報
しかしながら、室温において炭化珪素半導体基板の反りおよびTTVが特開2012−214376号公報に記載されている範囲内にあっても、高温に加熱処理されることにより、平坦性が悪化する炭化珪素半導体基板が確認されている。たとえば、一般に炭化珪素半導体装置の製造方法におけるドーピングは、高温下においてイオン注入により行われるが、平坦性の悪い炭化珪素半導体基板は注入装置の静電チャックステージに吸着させることが困難であり、場合によっては基板が割れるなどの問題が生じることが確認されている。
また、平坦性の悪い炭化珪素半導体基板に対してイオン注入を行うと、イオンの注入方向に対して表面が垂直な領域と、イオンの注入方向に対して表面が垂直ではなく傾斜している領域とが生じることになる。この場合、炭化珪素半導体基板において形成される不純物領域の形状にはばらつき生じる。
また、このような高温下における平坦性の悪化は、100mm以上の大口径の炭化珪素半導体基板において特に深刻な問題となっている。つまり、効率よく炭化珪素半導体装置を得るために大口径(特に100mm以上)の炭化珪素半導体基板を用いても、上述のような平坦性の悪化により炭化珪素半導体装置を歩留まり良く作製することは困難であった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、高温下においても平坦性の高い炭化珪素半導体基板およびその製造方法、ならびに炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することにある。また、大口径の炭化珪素半導体基板を用いて炭化珪素半導体装置を歩留まり良く作製することができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することにある。
本発明に従った炭化珪素半導体基板は、外径が100mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板と、当該主面上に形成されたエピタキシャル層と、ベース基板において主面の反対側に位置する裏面上に形成された変形抑制層とを備える。
本発明に従った炭化珪素半導体基板の製造方法は、外径が100mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板を準備する工程と、主面上にエピタキシャル層を形成する工程と、ベース基板において主面の反対側に位置する裏面上に変形抑制層を形成する工程とを備える。
本発明に従った炭化珪素半導体装置の製造方法は、外径が100mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板を準備する工程と、主面上にエピタキシャル層を形成する工程と、ベース基板において主面の反対側に位置する裏面上に変形抑制層を形成して、炭化珪素半導体基板を準備する工程と、炭化珪素半導体基板に不純物イオンを注入する工程とを備える。
本発明によれば、高温下においても平坦性の高い炭化珪素半導体基板を得ることができる。また、炭化珪素半導体装置を歩留まり良く作製することができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することができる。
実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の概略図である。 炭化珪素半導体基板の反り量の定義を説明するための模式図である。 炭化珪素半導体基板の反り量の定義を説明するための模式図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法のフローチャートである。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を説明するための図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を説明するための図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を説明するための図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の概略図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法のフローチャートである。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の作用効果を説明するための図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の作用効果を説明するための図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の作用効果を説明するための参考図である。 実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の作用効果を説明するための参考図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、”−”(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書中では数字の前に負の符号を付している。
[本願発明の実施形態の説明]
はじめに、本発明の実施の形態の概要を列挙する。
(1)図1を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、外径が100mm以上である主面1Aを有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板1と、主面1A上に形成されたエピタキシャル層2と、ベース基板1において主面1Aの反対側に位置する裏面1B上に形成された変形抑制層8とを備える。なお、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、外径が100mm以上の大口径基板であって、好ましくは外径が125mm以上であり、より好ましくは外径が150mm以上である。
このようにすれば、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、外径が100mm以上と大口径基板であって、変形抑制層8によって基板の変形(たとえば高温処理時における基板の反り)が抑制される。これにより、炭化珪素半導体基板10を用いて炭化珪素半導体装置の製造方法を実施する際に、当該製造プロセス中において炭化珪素半導体基板10に割れ等の異常が発生するリスクを低減することができる。
具体的には、たとえば炭化珪素半導体装置の製造方法におけるドーピングが高温下での炭化珪素半導体基板10に対するイオン注入により行われる場合であって、炭化珪素半導体基板10をイオン注入装置の静電チャックステージで吸着する場合を考える。この場合、変形抑制層8の材質や厚みなどを適切に選択することにより、炭化珪素半導体基板10の高温(たとえば400℃)での反り量は十分に小さくできるので、炭化珪素半導体基板10には吸着によって大きな応力が加えられることない。そのため、炭化珪素半導体基板10に割れやクラックなどの異常が発生するリスクを低減することができる。
さらに、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は外径が100mm以上と大口径基板であって、上述のように優れた平坦性を示すため、炭化珪素半導体基板10を用いて炭化珪素半導体装置の製造プロセスを進捗させたときに炭化珪素半導体基板10上に特性バラつきの小さい炭化珪素半導体装置を作製することができる。具体的には、たとえば炭化珪素半導体基板10に対するイオン注入など、特定の方向から炭化珪素半導体基板10の主面2Aに対して加工を行う工程を考える。この場合、炭化珪素半導体基板10の主面2Aの平坦性が高いため、主面2Aに対する被加工領域(たとえば注入領域)の配置や形態が主面2A内で局所的に変動するといった問題の発生を抑制できる。この結果、主面2A上における当該加工のバラつきを低減することができる。
また、炭化珪素半導体基板10は、高精度の露光を行うために、たとえばLTV(Local Thickness Variation)が1μm以下であることが好ましい。この場合、炭化珪素半導体基板の実際の厚み変動が1μm以下と小さくても、露光装置の真空チャックステージ上に吸着したときに炭化珪素半導体基板の反り量が大きいと、見かけ上のLTVが大きくなってしまう場合がある。これに対し、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は反り量が小さいため、見かけ上のLTVが大きくなることはなく、高精度の露光を行うことができる。以上より、大口径でかつ平坦性の高い炭化珪素半導体基板10を用いて炭化珪素半導体装置の製造プロセスを進捗させることにより、炭化珪素半導体装置を歩留まり良く作製することができる。
(2)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10において、基板温度が室温であるときの反り量は−100μm以上100μm以下であり、基板温度が400℃であるときの反り量は−1.5mm以上1.5mm以下であることが好ましい。ここで、図2および図3を参照して、炭化珪素半導体基板10の「反り量」とは、炭化珪素半導体基板10を平面S1上に載置したときの、炭化珪素半導体基板10の主面2Aにおいて平面S1に対して最も高い位置と最も低い位置との間の高さの差である。ここで、反り量の正負は、図2を参照して、炭化珪素半導体基板10の主面2Aが下に凸の場合(炭化珪素半導体基板10の中心位置が外周位置よりも平面S1に対して低く位置する場合)をマイナスとし、図3を参照して、上方に凸の場合(炭化珪素半導体基板10の中心位置が外周位置よりも平面S1に対して高く位置する場合)をプラスとする。また、「基板温度」とは、炭化珪素半導体基板10の主面2A側から放射温度計により測定される温度であり、たとえばイオン注入装置などの半導体製造装置において測定される。
(3)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板において、変形抑制層8の熱膨張係数は、単結晶炭化珪素の熱膨張係数の90%以下または110%以上であってもよい。この場合、変形抑制層の熱膨張係数が炭化珪素の熱膨張係数と十分に異なる値となっているため、変形抑制層8による炭化珪素半導体基板の変形抑制効果を確実に得ることができる。
(4)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板において、変形抑制層8の厚さは5μm以下であってもよい。この場合、変形抑制層8の厚みは十分薄いため、炭化珪素半導体基板10を処理装置に設置する場合に、変形抑制層8が形成されるため当該炭化珪素半導体基板10を処理装置内の所定の位置に配置できない、あるいは炭化珪素半導体基板10に対する最適な処理条件が変形抑制層8の無い場合と異なるため当該処理の品質が低下する、といった問題の発生を抑制できる。
(5)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板において、変形抑制層8を構成する材料は、酸化珪素(SiO2)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、および金(Au)からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。上述した材料は、炭化珪素の熱膨張係数と10%以上異なる熱膨張係数を有するものであり、かつ炭化珪素半導体基板に対する不純物としての影響が比較的少ないことから、変形抑制層8として用いた場合に炭化珪素半導体基板10の変形を効果的に抑制できる。なお、上述した材料のうち酸化珪素、炭素(たとえばダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン:DLC、など)は、炭化珪素の熱膨張係数に対して相対的に小さな熱膨張係数を有する。また、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、および金は、炭化珪素の熱膨張係数に対して相対的に大きな熱膨張係数を有する。
(6)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法は、外径が100mm以上である主面1Aを有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板1を準備する工程(S10)と、主面1A上にエピタキシャル層2を形成する工程(S20)と、ベース基板1において主面1Aの反対側に位置する裏面1B上に変形抑制層8を形成する工程(S30)とを備える。
この場合、エピタキシャル層2を形成する工程(S20)においてベース基板1の裏面1Bにダメージ層3が生じても、ベース基板1の裏面1B上に変形抑制層8を形成するので、炭化珪素半導体基板10全体として表面側と裏面側との応力のバランスを調整することができる。この結果、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法によれば外径が100mm以上であっても平坦性の高い炭化珪素半導体基板10を得ることができる。
(7)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法では、変形抑制層を形成する工程(S30)において、エピタキシャル層を形成する工程(S20)後にベース基板1の主面が凹状に反るときには、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて小さい熱膨張係数を有する変形抑制層8を形成し、エピタキシャル層を形成する工程(S20)後にベース基板1の主面が凸状に反るときには、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて大きい熱膨張係数を有する変形抑制層8を形成してもよい。
この場合、特に炭化珪素半導体基板に対して高温下での処理(たとえば400℃の温度条件下での処理)を行なう場合に、変形抑制層8が炭化珪素半導体基板の反りを小さくする方向の応力を発生させることになる。このため、高温下での処理時における炭化珪素半導体基板の反りを効果的に抑制できる。
(8) 本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法では、変形抑制層を形成する工程(S30)において、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて小さい熱膨張係数を有する変形抑制層8は酸化珪素および炭素の少なくともいずれか1つにより構成されており、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて大きい熱膨張係数を有する変形抑制層8はアルミニウム、チタン、ニッケル、白金、および金からなる群から選択される少なくとも1つにより構成されていてもよい。この場合、炭化珪素と熱膨張係数が異なり、また炭化珪素に対する不純物としての影響の少ない上述した材料を変形抑制層8の材料として用いることにより、本実施形態による炭化珪素半導体基板を容易に得ることができる。
(9)本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法において、変形抑制層8を形成する工程(S30)は、熱膨張係数が単結晶炭化珪素の熱膨張係数の90%以下または110%以上である変形抑制層8を形成してもよい。この場合、変形抑制層8の熱膨張係数が炭化珪素の熱膨張係数と十分に異なる値となっているため、変形抑制層8による炭化珪素半導体基板10の変形抑制効果を確実に得ることができる。
(10)本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、外径が100mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板1を準備する工程(S10)と、主面上にエピタキシャル層2を形成する工程(S20)と、ベース基板1において主面の反対側に位置する裏面上に変形抑制層8を形成して、炭化珪素半導体基板を準備する工程(S30)と、炭化珪素半導体基板に不純物イオンを注入する工程(S40)とを備える。
つまり、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法により得られた炭化珪素半導体基板10を用い、炭化珪素半導体基板10上に炭化珪素半導体装置を製造する。上述のように、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法により得られる炭化珪素半導体基板10は、外径が100mm以上であるとともに、反りが抑制され平坦性に優れた基板である。つまり、炭化珪素半導体基板10に不純物イオンを注入する工程(S40)において、たとえば基板温度が400℃程度にまで加熱されたときにも、炭化珪素半導体基板10の反りを抑制して平坦性を維持することができる。そのため、工程(S40)において炭化珪素半導体基板10の主面2Aに対して不純物の注入方向のなす角度は、炭化珪素半導体基板10の外径が100mm以上であっても炭化珪素半導体基板10の主面2Aの面内位置によらず略一定とすることができる。その結果、主面2Aの面内位置によらずイオンの注入領域の形態(たとえば基板の深さ方向での注入領域の形状やイオンの濃度プロファイルなど)を略一定とすることができる。したがって、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、炭化珪素半導体装置を歩留まり良く作製することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施の形態の詳細について説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、実施の形態1に係る炭化珪素半導体基板10について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、ベース基板1と、ベース基板1の主面1A上に形成されたエピタキシャル層2と、ベース基板1の裏面1B上に形成された変形抑制層8とを備える。
ベース基板1は、単結晶炭化珪素からなり、外径が6インチである主面1Aを有している。ベース基板1を構成する炭化珪素は、たとえば六方晶の結晶構造を有しており、好ましくは結晶多形(ポリタイプ)が4H−SiCである。ベース基板1は、たとえば窒素(N)などのn型不純物を高濃度で含んでおり、導電型はn型である。ベース基板1の不純物濃度は、たとえば1.0×1018cm-3以上1.0×1018cm-3以下程度である。主面1Aは、たとえば{0001}面であってもよいし、{0001}面に対するオフ角が1°以上10°以下である面であってもよい。ベース基板1の厚みは、たとえば200μm以上700μm以下程度であり、好ましくは300μm以上600μm以下である。
エピタキシャル層2は、ベース基板1の主面1A上にエピタキシャル成長により形成された炭化珪素からなる層である。エピタキシャル層2は、たとえば窒素(N)などのn型不純物を含んでおり、エピタキシャル層2の導電型はn型である。エピタキシャル層2の不純物濃度は、ベース基板1の不純物濃度よりも低くてもよい。エピタキシャル層2の不純物濃度は、たとえば7.5×1015cm-2程度である。エピタキシャル層2の膜厚は、たとえば5μm以上40μm以下程度である。
炭化珪素半導体基板10において、ベース基板1の主面1Aの反対側に位置する裏面1B上には、炭化珪素の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する材料からなる変形抑制層8が形成されている。変形抑制層8の厚さは5μm以下としてもよく、より好ましくは3μm以下である。変形抑制層8を構成する材料は、酸化珪素(SiO2)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、および金(Au)からなる群から選択される少なくとも1つである。変形抑制層8は、上述した材料を含む単一の層により構成されてもよいが、上述した材料を少なくとも1層において含む、複数層からなる多層構造(積層構造)を有していてもよい。また、変形抑制層8は、平面視した時に局所的に厚みが異なる複数の部分を含んでいてもよい。たとえば、変形抑制層8において、直線状、曲線状あるいは円形状の溝が形成されていてもよい。
炭化珪素半導体基板10は、基板温度が室温であるときの反り量は−100μm以上100μm以下であり、好ましくは40μm以上40μm以下である。また、炭化珪素半導体基板10は、基板温度が100℃以上500℃以下であるときの反り量が−1.5mm以上1.5mm以下であり、好ましくは−1.0mm以上1.0mm以下である。より好ましくは、基板温度が200℃以上400℃以下であるときの反り量が−1.5mm以上1.5mm以下であり、さらに好ましくは−1.0mm以上1.0mm以下である。
次に、図4〜図7を参照して、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法について説明する。
図4および図5を参照して、まず、外径が6インチである主面1Aを有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板1が準備される(工程(S10))。外径が6インチであるベース基板1は任意の方法で準備される。なお、ベース基板1の外径は100mm以上(たとえば5インチや8インチなど)であってもよい。
図6を参照して、次に、ベース基板1の主面1A上にエピタキシャル成長法により、エピタキシャル層2が形成される(工程(S20))。エピタキシャル成長はCVD法により行われる。原料ガスとしては、たとえば、シラン(SiH4)とプロパン(C38)との混合ガスを用い得る。この際、不純物として、たとえば窒素(N)やリン(P)を導入してもよい。
本工程(S20)を実施した後の時点で、ベース基板1の裏面1Bの全面または一部において、珪素(Si)原子が抜けることにより炭素(C)原子の濃度が相対的に高くなったダメージ層3(炭化層)が形成されることがある。ダメージ層3は、たとえば0.001μm以上10μm以下程度の厚みで形成されることがあり、1μm以上の厚みで形成された場合には裏面1Bにおける白濁として目視で確認できることがある。ダメージ層3が形成されている領域の裏面1Bの表面粗さ(Ra)は0.001μm以上である。本工程(S20)を実施した後の時点で、裏面1Bにダメージ層3が形成されているベース基板1とエピタキシャル層2との積層体4は、基板温度が室温であるときの反りが、たとえば−150μm以上150μm以下である。
図7を参照して、次に、ベース基板1の裏面1B上に変形抑制層8を形成する(工程(S30))。具体的には、積層体4におけるベース基板1の裏面1B上に、変形抑制層8を形成する。変形抑制層8の形成方法としては、化学蒸着法(CVD法)、あるいはスパッタ法などの物理蒸着法など、任意の方法を用いることができる。また、変形抑制層8の材料は、上記工程(S20)においてベース基板1とエピタキシャル層2との積層体4において発生する反りの方向に応じて決定することができる。たとえば、上記工程(S20)後にエピタキシャル層2の主面が凹状に反るときには、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて小さい熱膨張係数を有する材料からなる変形抑制層8を形成してもよい。この場合、変形抑制層8の材料としてはたとえば酸化珪素および炭素の少なくともいずれか1つを用いることができる。また、上記工程(S20)後にエピタキシャル層2の主面が凸状に反るときには、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて大きい熱膨張係数を有する変形抑制層8を形成してもよい。この場合、変形抑制層8の材料としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、および金からなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。
なお、変形抑制層8を構成する材料の熱膨張係数は、単結晶炭化珪素の熱膨張係数の90%以下または110%以上であることが好ましい。また、変形抑制層8の厚さは5μm以下、好ましくは3μm以下であってもよい。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10およびその製造方法の作用効果について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、外径が6インチであるベース基板1とベース基板1の主面1A上に形成されたエピタキシャル層2とが積層してなる積層体4の裏面1B上に、変形抑制層8を形成している。これにより、炭化珪素半導体基板10は、基板温度が室温であるときの反りが−100μm以上100μm以下であるとともに、基板温度が100℃以上500℃以下であるときの反り量が−1.5mm以上1.5mm以下とすることができる。さらに、炭化珪素半導体基板10は、基板温度が室温であるときの反りが−100μm以上100μm以下であるとともに、基板温度が200℃以上400℃以下であるときの反り量が−1.5mm以上1.5mm以下とすることもできる。また、本実施の形態においては、変形抑制層8の材質や厚みを適宜調整することにより、基板温度を100℃以上500℃以下としたときに、炭化珪素半導体基板10の反り量を上述した反り量の範囲内に抑えることができる。具体的には、工程(S20)後の積層体4の反り形状や反り量に応じて、変形抑制層8の厚みや材質を適宜調整することにより、上述のように高温時においても反り量の小さい炭化珪素半導体基板10を得ることができる。その結果、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法によれば、基板温度が100℃以上500℃以下程度になるまで加熱された場合にも反り量が−1.5mm以上1.5mm以下、より好ましくは−1.0mm以上1.0mm以下と十分に小さい炭化珪素半導体基板10を得ることができる。
また、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法により作製される炭化珪素半導体基板10は、ベース基板1の外径が6インチであって、ベース基板1の厚みが200μm以上700μm以下のときにも、基板温度が100℃以上500℃以下程度にまで加熱された場合にも、反り量が小さく高い平坦性を有することができる。言い換えると、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、ベース基板1が700μmを超える程の厚みを有していなくても、高温下においても高い平坦性を有することができる。その結果、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板の製造方法によれば、高温下においても高い平坦性を有する大口径の炭化珪素半導体基板10を、低コストで得ることができる。
図8を参照して、次に、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置は、素子領域IR(活性領域)と、素子領域IRを取り囲む終端領域OR(無効領域)とを有する。終端領域ORはガードリング領域5を含む。つまり、素子領域IRはガードリング領域5に取り囲まれている。素子領域IRにはトランジスタやダイオードなどの半導体素子7が設けられている。
半導体素子7は、たとえば六方晶炭化珪素からなる炭化珪素半導体基板10と、ゲート絶縁膜15と、ゲート電極17と、ソース電極16と、ドレイン電極19とを主に備える。炭化珪素半導体基板10は、ベース基板1とエピタキシャル層2とを備え、エピタキシャル層2は、ドリフト領域12と、pボディ領域13と、n+ソース領域14と、p+領域18とを主に有する。
ドリフト領域12は、エピタキシャル層2であって、pボディ領域13、n+ソース領域14、およびp+領域18が形成されていない領域である。
pボディ領域13はp型の導電型を有する。pボディ領域13は、ドリフト領域12において、炭化珪素半導体基板10の主面2Aを含んで形成されている。pボディ領域13に含まれるp型不純物は、たとえばアルミニウム(Al)、ホウ素(B)などである。pボディ領域13に含まれるアルミニウムなどの不純物濃度はたとえば1×1017cm-3程度である。
n+ソース領域14はn型の導電型を有する。n+ソース領域14は、主面2Aを含み、かつpボディ領域13に取り囲まれるように、pボディ領域13の内部に形成されている。n+ソース領域14に含まれるn型不純物は、たとえばP(リン)などである。n+ソース領域14に含まれるリンなどの不純物濃度は、ドリフト領域12に含まれるn型不純物よりも高い濃度であり、たとえば1×1020cm-3程度である。
p+領域18はp型の導電型を有する。p+領域18は、主面2Aおよびpボディ領域13と接し、n+ソース領域14の中央付近を貫通するように形成されている。p+領域18は、p型不純物、たとえばAl、Bなどをpボディ領域13に含まれるp型不純物よりも高い濃度、たとえば1×1020cm−3程度の濃度で含んでいる。
ゲート絶縁膜15は、一方のn+ソース領域14の上部表面から他方のn+ソース領域14の上部表面にまで延在するようにドリフト領域12に接して形成されている。ゲート絶縁膜15はたとえば二酸化珪素(SiO2)からなっている。
ゲート電極17は、一方のn+ソース領域14上から他方のn+ソース領域14上にまで延在するように、ゲート絶縁膜15上に接触して配置されている。ゲート電極17は、たとえばポリシリコン、Alなどの導電体からなっている。
ソース電極16は、主面2Aにおいてn+ソース領域14およびp+領域18と接触して配置されている。ソース電極16は、たとえばチタン(Ti)原子、Al原子およびシリコン(Si)原子を含んでいる。これにより、ソース電極16はn型炭化珪素領域(n+ソース領域14)およびp型炭化珪素領域(p+領域18)のいずれに対してもオーミック接触することができる。
ドレイン電極19は、炭化珪素半導体基板10において裏面1Bに接触して形成されている。このドレイン電極19は、たとえば上記ソース電極16と同様の構成を有していてもよいし、ニッケル(Ni)など、炭化珪素半導体基板10(ベース基板1)とオーミック接触可能な他の材料からなっていてもよい。これにより、ドレイン電極19はベース基板1と電気的に接続されている。
ガードリング領域5は、平面形状が環状であり、半導体素子7が設けられた素子領域IRを取り囲むように、炭化珪素半導体基板10の終端領域ORに配置されている。ガードリング領域5はp型(第2導電型)を有する。ガードリング領域5はガードリングとして作用する導電領域である。
ガードリング領域5の複数のガードリング6には、たとえばホウ素やアルミニウムなどの不純物が含まれている。複数のガードリング6の各々における不純物濃度はpボディ領域13の不純物濃度よりも低い。複数のガードリング6の各々における当該不純物の濃度はたとえば1.3×1013cm-3であり、好ましくは8×1012cm-3以上1.4×1013cm-3以下程度である。
図9を参照して、次に、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板を用いて作製される。
まず、上述のようにして得られた炭化珪素半導体基板10を準備する(工程(S10)〜工程(S30))。図9を参照して、次に、炭化珪素半導体基板10の主面2Aに対して不純物を注入することにより、エピタキシャル層2に、pボディ領域13、nソース領域14、p+領域18、およびガードリング領域5を形成する(工程(S40))。具体的には、導電型がn型のエピタキシャル層2に、p型不純物としてたとえばAlがイオン注入されることにより、導電型がp型のpボディ領域13が形成される。さらに、pボディ領域13に、n型不純物としてたとえばPがイオン注入されることにより、導電型がn型のnソース領域14が形成される。さらに、p型不純物としてたとえばAlがイオン注入されることにより、導電型がp型のp+領域18が形成される。さらに、p型不純物としてたとえばAlがイオン注入されることにより、導電型がp型のガードリング領域5が形成される。このとき、本工程(S40)におけるイオン注入は、たとえば炭化珪素半導体基板10の基板温度を100℃以上500℃以下程度に昇温させた状態で行われる(いわゆる、高温注入)。本工程(S40)を実施前および実施した後の時点において、炭化珪素半導体基板10の反り量は−1.5mm以上1.5mm以下である。
次に、イオン注入により添加された不純物を活性化するための熱処理が行われる(工程(S50))。熱処理の温度は、好ましくは1500℃以上1900℃以下であり、たとえば1700℃程度である。熱処理の時間は、たとえば30分程度である。熱処理の雰囲気は、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、たとえばアルゴン(Ar)雰囲気である。本工程(S50)を実施した後の時点において、炭化珪素半導体基板10の反り量は−1.5mm以上1.5mm以下である。
次に、ゲート絶縁膜15が形成される(工程(S60))。具体的には、まず、所望の不純物領域が形成された炭化珪素半導体基板10が熱酸化される。熱酸化は、たとえば酸素雰囲気中で1300℃程度に加熱し、40分間程度保持することにより実施することができる。これにより、炭化珪素半導体基板10の主面2A上にSiO2からなるゲート絶縁膜15が形成される。
次に、ゲート電極17が形成される(工程(S70))。この工程では、たとえば導電体であるポリシリコン、Alなどからなるゲート電極17が、一方のn+ソース領域14上から他方のn+ソース領域14上にまで延在するとともに、ゲート絶縁膜15に接触するように形成される。ゲート電極17の材料としてポリシリコンを採用する場合、当該ポリシリコンは、Pが1×1020cm−3を超える高い濃度で含まれるものとすることができる。その後、ゲート電極17を覆うように、たとえばSiO2からなる絶縁膜が形成される。
次に、オーミック電極が形成される(工程(S80))。具体的には、たとえばp+領域18およびn+ソース領域14の一部が露出するような開口部を有するレジストパターンを形成し、たとえばSi原子、Ti原子、およびAl原子とを含有する金属膜が基板全面に形成される。オーミック電極となる上記金属膜の形成は、たとえば、スパッタリング法や蒸着法により行われる。その後、当該レジストパターンをたとえばリフトオフすることにより、ゲート絶縁膜15に接し、かつp+領域18およびn+ソース領域14に接する金属膜が形成される。その後、当該金属膜をたとえば1000℃程度に加熱することにより、炭化珪素半導体基板10とオーミック接触するソース電極16が形成される。また炭化珪素半導体基板10のベース基板1とオーミック接触するドレイン電極19が形成される。このようにして、MOSFETとしての炭化珪素半導体装置100が完成する。
次に、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法の作用効果について説明する。本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、上述した本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10を用いて、炭化珪素半導体装置の製造に必要なイオン注入工程(S40)等のプロセスが実施される。炭化珪素半導体基板10は、基板温度が100℃以上500℃以下程度と高温に加熱処理される場合にも高い平坦性を有しているため、反り量が大きい炭化珪素半導体基板10を用いることによる品質不良発生のリスクを低減させることができる。たとえば、外径が100mm以上の炭化珪素半導体基板10を半導体製造装置の静電チャックステージで吸着させる場合、炭化珪素半導体基板10の割れ等の異常発生リスクの観点から、炭化珪素半導体基板10の反り量は−1.5mm以上1.5mm以下であるのが好ましく、より好ましくは−1.0mm以上1.0mm以下である。本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、基板温度が100℃以上500℃以下程度と高温に加熱処理された場合にも、反り量が−1.5mm以上1.5mm以下であるため、静電チャックステージで吸着することによる炭化珪素半導体基板10の割れ等の異常発生リスクを低減することができる。また、本実施の形態に係る炭化珪素半導体基板10は、基板温度が200℃以上400℃以下程度と高温に加熱処理された場合にも、反り量が−1.5mm以上1.5mm以下であるため、静電チャックステージで吸着することによる炭化珪素半導体基板10の割れ等の異常発生リスクを低減することができる。さらに、変形抑制層8について材質や厚みなどを調整することで、炭化珪素半導体基板10は、基板温度が100℃以上500℃以下程度と高温に加熱処理された場合の反り量を−1.0mm以上1.0mm以下に抑えることも可能である。そのため、静電チャックステージで吸着することによる炭化珪素半導体基板10の割れ等の異常発生リスクをより低減することができる。さらに、変形抑制層8の材質や厚みなどの条件を最適化した炭化珪素半導体基板10では、基板温度が200℃以上400℃以下程度と高温に加熱処理された場合の反り量を−1.0mm以上1.0mm以下に抑えることができる。そのため、静電チャックステージで吸着することによる炭化珪素半導体基板10の割れ等の異常発生リスクをより低減することができる。
また、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、平坦性が高く、主面2Aの平行度が高い炭化珪素半導体基板10を用いるため、炭化珪素半導体基板10の主面2A面内における加工品質のバラつき等の不良の発生に関するリスクを低減させることができ、炭化珪素半導体装置100を歩留まり良く作製することができる。具体的には、図9を参照して、たとえば工程(S40)において、該工程(S40)が実施される炭化珪素半導体基板10は主面2Aの平坦度が高いため、主面2Aと不純物の注入方向40i(図10参照)とが成すイオン注入角度については、主面2Aの面内におけるバラつきが低く抑えられている。そのため、図11を参照して、炭化珪素半導体基板10の主面2A上に形成されたマスク膜20の開口部から不純物が注入されて形成される不純物注入領域30(pボディ領域13、nソース領域14など)は、炭化珪素半導体基板10の中心部および外周部において同じように形成される。異なる観点から言えば、炭化珪素半導体装置100において不純物注入領域30は、主面2Aに対して垂直な方向に伸びる側壁部を有している。
一方、図12を参照して、イオン注入工程において、炭化珪素半導体基板10の反り量が大きく主面2Aの平坦度が低い場合には、主面2Aと不純物の注入方向40iとが成すイオン注入角度については、主面2Aの面内におけるバラつきが大きい。この場合、図13を参照して、不純物注入領域30(pボディ領域13、nソース領域14など)は、炭化珪素半導体基板10の中心部と外周部とでは炭化珪素半導体基板10において形成される領域の位置や拡がり方が異なる。異なる観点から言えば、炭化珪素半導体装置100において不純物注入領域30は、主面2Aにおいて、局所的に当該主面2Aに対する側壁部の伸びる方向が異なる。つまり、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、外径が100mm以上である大口径の炭化珪素半導体基板10を用いても、炭化珪素半導体基板10の主面2A全面において、当該主面2Aに対して垂直に伸びる側壁部を有する不純物注入領域30を形成することができる。そのため、主面2Aにおいて局所的に不純物注入領域30の形状(たとえば側壁部の伸びる方向)が異なるといった問題が発生しないので、炭化珪素半導体装置100を歩留まりよく得ることができる。
なお、本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置は、ガードリング領域5を取り囲むように、フィールドストップ領域(図示しない)を有していても構わない。フィールドストップ領域は導電型がn型であり、不純物注入工程(S40)においてソース領域14等と同様に高温注入により形成されればよい。本実施の形態に係る炭化珪素半導体装置は、高温環境下においても平坦性の炭化珪素半導体基板10を用いて作製されるため、ガードリング領域5やフィールドストップ領域の配置や形態についても主面2A内で局所的に変動するといった問題の発生を抑制できる。具体的には、たとえば主面2A内においてガードリング領域5とフィールドストップ領域との間隔が変動することを抑制することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
本発明は、外径が100mm以上の大口径の炭化珪素半導体基板、およびその製造方法、ならびに該炭化珪素半導体基板を用いた炭化珪素半導体装置の製造方法に特に有利に適用される。
1 ベース基板、1A,2A 主面、1B 裏面、2 エピタキシャル層、3 ダメージ層、4 積層体、5 ガードリング領域、6 ガードリング、7 半導体素子、8 変形抑制層、10 炭化珪素半導体基板、12 ドリフト領域、13 ボディ領域、14 ソース領域、15 ゲート絶縁膜、16 ソース電極、17 ゲート電極、18 p+領域、19 ドレイン電極、20 マスク膜、30 不純物注入領域、100 炭化珪素半導体装置。

Claims (9)

  1. 外径が125mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板と、
    前記主面上に形成されたエピタキシャル層と、
    前記ベース基板において前記主面の反対側に位置する裏面上に形成された変形抑制層とを備え、
    基板温度が室温であるときの反り量は−100μm以上100μm以下であり、基板温度が400℃であるときの反り量は−1.5mm以上1.5mm以下である、炭化珪素半導体基板。
  2. 前記変形抑制層の熱膨張係数は、単結晶炭化珪素の熱膨張係数の90%以下または110%以上である、請求項1に記載の炭化珪素半導体基板。
  3. 前記変形抑制層の厚さは5μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の炭化珪素半導体基板。
  4. 前記変形抑制層を構成する材料は、酸化珪素、炭素、アルミニウム、チタン、ニッケル、白金、および金からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体基板。
  5. 外径が125mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板を準備する工程と、
    前記主面上にエピタキシャル層を形成する工程と、
    前記ベース基板において前記主面の反対側に位置する裏面上に変形抑制層を形成する工程とを備え、
    前記変形抑制層を形成する工程は、前記エピタキシャル層に不純物イオンが注入される前に行われる、炭化珪素半導体基板の製造方法。
  6. 前記変形抑制層を形成する工程において、前記エピタキシャル層を形成する工程後に前記ベース基板の前記主面が凹状に反るときには、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて小さい熱膨張係数を有する前記変形抑制層を形成し、前記エピタキシャル層を形成する工程後に前記ベース基板の前記主面が凸状に反るときには、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて大きい熱膨張係数を有する前記変形抑制層を形成する、請求項5に記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  7. 前記変形抑制層を形成する工程において、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて小さい熱膨張係数を有する前記変形抑制層は酸化珪素および炭素の少なくともいずれか1つにより構成されており、単結晶炭化珪素の熱膨張係数と比べて大きい熱膨張係数を有する前記変形抑制層はアルミニウム、チタン、ニッケル、白金、および金からなる群から選択される少なくとも1つにより構成されている、請求項6に記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  8. 前記変形抑制層を形成する工程は、熱膨張係数が単結晶炭化珪素の熱膨張係数の90%以下または110%以上である前記変形抑制層を形成する、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体基板の製造方法。
  9. 外径が125mm以上である主面を有し、単結晶炭化珪素からなるベース基板を準備する工程と、
    前記主面上にエピタキシャル層を形成する工程と、
    前記ベース基板において前記主面の反対側に位置する裏面上に変形抑制層を形成して、炭化珪素半導体基板を準備する工程と、
    前記炭化珪素半導体基板に不純物イオンを注入する工程とを備え、
    前記不純物イオンは、前記変形抑制層を形成した後に注入される、炭化珪素半導体装置の製造方法。
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