JP6338702B2 - コーティング材、その製造方法、および、表面構造 - Google Patents

コーティング材、その製造方法、および、表面構造 Download PDF

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Description

本発明はコーティング材、その製造方法、および、表面構造に関し、特に、各種の機器、什器、または、建築部材に用いられるコーティング材、その製造方法、および、それを用いた表面構造に関する。
レンジフード等の調理機器、切削加工機等の工作機械、下水処理設備、空調設備、および、各種の運送・移動用機器において、油や油煙が付着すると、美観の低下、衛生性の低下、および、本来の機能の低下が起こり得る。そのため、付着した油の除去が必要になる。従来、油の除去を容易にするための多様な取り組みが行われてきた。
フッ素樹脂またはシリコーンで代表される表面エネルギーの低い材質をコーティングすることにより、油の付着性を抑制する方法は多数実用化されている。一例として特許文献1には、パーフルオロアルキル基を有する含フッ素単量体等の重合体からなる撥油および撥水コーティング剤を用いることで、油汚れがつき難く、かつ、付着した油分の除去が容易であるといった、撥油、撥水、防汚機能を付与するという技術が開示されている。
特開平10−9630号公報
特許文献1のような油汚れの除去を容易にしようとする従来の方法においては、付着した油が染み込んだり、固着したりすることを抑制し、拭き取りおよび洗浄が容易になる効果が得られる。しかし、油の付着そのものを抑制することはできない。そのため、油の除去のための拭き取りまたは洗浄といった何らかの作業が必要であった。また、フッ素樹脂またはシリコーンを用いた従来の技術は、コーティングするための高温での加熱処理が必要であったり、溶剤を含むコーティング液を使用したりするものが多い。このため、処理可能な基材は、金属等に限られ、汎用のプラスチック表面への処理が困難であるという問題があった。また、油がなじみにくいコーティングは表面が柔らかく摩耗によって劣化しやすいという問題もあった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、付着した油が、特別な作業を行うこと無く、あるいは、非常に簡易な方法で除去できる、コーティング材、その製造方法、および、それを用いた表面構造を得ることを目的としている。
本発明は、撥油性を有する表面と内部に形成された複数の孔とを有する無機多孔質層と、前記無機多孔質層の前記孔内に包含された撥油性流体とを備えたコーティング材である。
本発明のコーティング材は、撥油性を有する表面と内部に形成された複数の孔とを有する無機多孔質層と、前記無機多孔質層の前記孔内に包含された撥油性流体とを備えているので、付着した油が、特別な作業を行うこと無く、あるいは、非常に簡易な方法で除去できるという効果を有する。
本発明の実施の形態1に係る、付着油の除去性に優れるコーティング材を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る、付着油の除去性に優れるコーティング材における付着油の潤滑を示す模式図である。 本発明の実施の形態4に対する比較例において、付着油の除去性に優れるコーティング材から付着油が流れ去る時に、撥油性流体が付着油と共に流出する現象を示す模式図である。 本発明の実施の形態4に係る、付着油の除去性に優れるコーティング材の周辺に親油性あるいは吸油性の部材を設置した時に、付着油の流出と共に撥油性流体が流れ出さないことを示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る、コーティング材の製造方法を示す説明図である。 本発明の実施の形態2に係る、コーティング材を施したモータの断面図である。 本発明の実施の形態2に係る、コーティング材を施したモータの断面図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るコーティング材100の構成を示した図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1に係るコーティング材100は、基板1上に設けられた複数の無機微粒子2から形成された無機多孔質層20と、各無機微粒子2の表面に施された撥油膜3と、撥油膜3が施された無機微粒子2間に挿入された撥油性流体4とから構成されている。なお、無機多孔質層20は、針状、板状、または、楕円球型の複数の無機微粒子2をランダムに積層することで構成されている。そのため、それらの無機微粒子2間には隙間が形成される。当該隙間は、無機多孔質層20の内部の孔となるとともに、無機多孔質層20の表面(上面)に、複数の凹部を形成する。撥油性流体4は、無機多孔質層20の当該孔内および表面の凹部内に包含されている。なお、無機微粒子2の形状および大きさは、すべて同じである必要はなく、ばらつきがあってもよいものとする。なお、以下の説明においては、コーティング材100とコーティング対象の基板1とをまとめて「表面構造」と呼ぶこととする。また、基板1とは、例えば、レンジフード等の調理機器、切削加工機等の工作機械、下水処理設備、空調設備、および、各種の運送・移動用機器等の各種の機器、什器、または、建築部材等のコーティング対象物の表面を構成する部材のことを意味する。
図5に、図1に示すコーティング材100およびそれを用いた表面構造の製造方法について示す。図5に示すように、図1に示すコーティング材100およびそれを用いた表面構造の製造方法は、次に示す、ステップS1〜S3の工程を含む。
ステップS1:無機微粒子分散液の塗布による無機多孔質層を形成する工程
ステップS2:フッ素系化合物による無機多孔質層表面の撥油化処理の工程
ステップS3:無機多孔質層に対する撥油性流体の含浸の工程
ステップS1の「無機微粒子分散液の塗布による無機多孔質層を形成する工程」では、無機微粒子2を水等の分散媒に分散することで流動性を有する分散液を生成する。スプレー等により、基板1表面に、当該分散液を散布して液膜を形成する。こうして、液膜形成中あるいは形成後に分散媒を蒸発させることで、無機多孔質層20を形成する。
ステップS2の「フッ素系化合物による無機多孔質層表面の撥油化処理の工程」では、無機多孔質層20を構成する各無機微粒子2の表面すべてに撥油膜3を施すことで、各無機微粒子2を撥油化する。具体的には、撥油化処理する撥油膜3の材料となる薬剤を、無機多孔質層20の孔内に侵入させ、反応あるいは付着させることで、撥油膜3を形成する。このように、各無機微粒子2の表面が撥油膜3で覆われているため、無機多孔質層20の表面は、撥油性を有している。従って、無機微粒子2が撥油性流体4からたとえ露出しても、油付着を促進する作用は無いという利点がある。有機物多孔質では摩耗等によって平坦面が形成され、油付着しやすくなるが、無機多孔質を用いることで、そのような現象は回避できる。
ステップS3の「無機多孔質層に対する撥油性流体の含浸の工程」では、撥油性流体4を、無機多孔質層20の孔内および表面の凹部に満たす。具体的には、撥油性流体4を無機多孔質層20に接触させることで毛管現象により、無機多孔質層20の孔内および表面の凹部に満たされた状態とすることができる。
次に、本発明の実施の形態1に係るコーティング材100の効果について、図1及び図2を用いて説明する。但し、これらの模式図は、本発明の概念を示すものであるが、本発明はこの形態に限定されるものではない。
上述したように、本発明の実施の形態1に係るコーティング材100は、表面に撥油性を有する無機多孔質層20が、その内部に形成された孔部分に撥油性流体4を含有してなるものである。図1に示すように、基板1上には、無機微粒子2からなる無機多孔質層20が形成されている。各無機微粒子2の表面は、撥油膜3で覆われているため、無機多孔質層20の表面全体が撥油性となっている。また、撥油性流体4が、無機多孔質層20の孔内および表面の凹部に存在しており、さらなる撥油性を発揮している。ここでの撥油性流体4は、フッ化アルキル等の水や油と相溶しない流体であり、常温で固化しないものを用いる。
本実施の形態では、図5を用いて上述したように、無機微粒子2の分散液の塗布により無機多孔質層20を形成しており、無機多孔質層20は無機微粒子2が直接結合することで形成されている。このため、有機物の多孔質体、例えばフッ素樹脂やフッ素化シリコーンで形成された場合に比べて、高い膜強度が得られる。無機多孔質層20を撥油化し、撥油性流体4を満たして付着油5の除去性に優れる表面構造を形成した後においても、無機多孔質層20の強度により、有機物の多孔体を使用する場合に比べて、高い強度が得られる。よって、本実施の形態1に係る無機多孔質層20の強度は、基板1として、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂やメタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ABS、PS、ポリ塩化ビニル、PET等の熱可塑性の汎用のプラスチックを用いる場合においても、強度向上の好ましい効果が得られる。一般的には、このような汎用のプラスチックにおいて撥油性の有機膜を形成した場合には、密着性が弱く、さらに、膜が柔軟で変形しやすいため摩擦等による力がかかった時に剥離しやすい。一方、本実施の形態1では、硬い無機多孔質層20を用いているため、プラスチック表面と無機多孔質層20との間に、ある程度の結合力(予め設定された閾値以上の結合力)があれば、摩擦等によっても剥離しにくい。無機微粒子2の付着力の向上の手法として、基板1を構成するプラスチック表面をコロナ放電や紫外線処理により親水化して結合力を得る手法も有効に利用できるという利点もある。ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール等のエンプラ、ポリサルフォン、ポリイミド等のスーパーエンプラと呼ばれるプラスチック類を本実施の形態1における基板1に用いた場合においては、前記汎用プラスチックの場合より、プラスチック表面の強度が高くなる分、摩擦時等に無機多孔質層が剥離しにくくなり、さらに好ましい結果となる。
無機多孔質層20の表面は撥油性である必要がある。本実施の形態1では、撥油性樹脂のコーティングによる撥油膜3の形成が図示されているが、その他、撥油性の無機微粒子の使用、あるいは、各種撥油化剤の利用も有効である。撥油化で多孔質の孔が埋まってしまわない限り、各種の方法が利用可能である。これらの撥油化の方法の中で撥油性樹脂のコーティングによる方法は、摩擦等により無機微粒子2の非撥油性表面が露出しにくく、また、無機微粒子2の脱離等を抑制する効果も得られるため特に好ましい。
このように、本実施の形態1では、撥油膜3を施すことで、無機多孔質層20の表面が撥油化されているため、撥油性流体4は、無機多孔質層20の孔内に安定して存在できる。十分な量の撥油性流体4が満たされている場合、無機多孔質層20の最外面に撥油性流体4が露出した状態となる。過剰な撥油性流体4が存在する場合には、無機多孔質層20を覆う液膜を形成する。これでも本発明の付着油の潤滑性を増す効果が得られる。しかしながら、この場合には、撥油性流体4が流れ去ったり、他の物に付着して失われやすかったり、撥油性流体4にゴミ等の付着がしやすくなるという現象がある。無機多孔質層20の孔内および表面の凹部を適度に満たす撥油性流体4を存在させることで、撥油性流体4が、無機多孔質層20の表面構造から失われたり、他のものに付着したり、ゴミを付着させたりすることが少なく好ましい状態となる。
撥油性流体4が満たされた無機多孔質層20の表面に、図2に示すように、付着油5が付いた場合、無機多孔質層20の表面と付着油5との接触界面は、撥油性流体4と付着油5とによって形成される。一般の撥油性とされる表面は、フッ素樹脂等の低表面エネルギーの固体物質で形成されている。この様な表面は、油滴が付着しにくく、拭き取り易いという利点が得られるが、気流に乗って飛来する油滴等の付着は抑制することはできず、いったん付着した油はその場に固定され、何らかの除去操作(除去作業)が無い限り、剥離することは無い。本実施の形態1の構成においては、付着油5は、従来のような固体表面ではなく、撥油性流体4の液体表面に付着している。このため、付着油5は表面に固定されること無く、液体の流動により、容易に移動することができる。この移動には駆動力が必要であるが、付着油5に対する重力、静電気力、気流による風圧等の非常に小さな駆動力で効果を発揮できる。図2は、潤滑方向6の方向に、重力により、付着油5が移動する様子を示している。図2に示すように、基板1をわずかに傾けると、付着油5には、傾きの下方に重力成分が働く。この様な微小な力でも付着油5は徐々に移動する。一方、同じく液体である撥油性流体4は、無機多孔質層20中に存在し、毛管現象により安定化されているため、基板1を大きく傾けても流れ去ることは無い。
本実施の形態1における、無機微粒子2として、例えば、Si,Al,Ti,Cu,Ca,Mg、Zr等の金属の酸化物、窒化物、炭化物等各種のものが利用できるが、これらに限定されるものではない。例えば,シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン、窒化リチウム等の窒化物,モリブデン炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、クロム炭化物、タンタル炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物等の炭化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、また、ベーマイト、スメクタイト、カオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト、タルク、ゼオライト等の粘土鉱物等も利用できる。
無機多孔質層20の形成のために、シリカやアルミナ等の金属酸化物のゾル、ナトリウムシリケートやリチウムシリケート等の各種シリケート、金属アルキレート、リン酸アルミやρ−アルミナ等のバインダー(結合剤、連結剤)を、無機微粒子2を分散させる分散媒に添加して、基板1表面に塗布するコーティング液を生成してもよい。以上のような無機物のバインダー以外に、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系、フェノール系、メラミン系、ポリエステル系、シリコーン系、尿素系等の有機物のバインダーであっても、無機多孔質層20の強度が得られるものであれば、任意のものを用いることができる。バインダーを使用する場合には、バインダー重量が無機微粒子2の重量の3%以上、100%以下であることが好ましく、5%以上、40%以下がさらに好ましい。3%未満では、バインダーを添加した効果が得られない。100%を超える量では、無機多孔質層20の孔が少なくなり、撥油性流体4を十分に含浸できなくなる場合があり、好ましくない。ここでの無機微粒子2とバインダーの重量は、無機多孔質層20として硬化した後のものとして計算されるものである。
また、無機微粒子2の平均粒径は、特に限定されることはないが、平均粒径が0.3μm以上、100μm以下が好ましく、0.5μm以上、50μm以下がさらに好ましい。平均粒径が0.1μm未満では、無機多孔質層20が緻密になり過ぎ、撥油性流体4を十分な量だけ含有させることが困難となる。平均粒径が100μmを超えるような場合は、無機多孔質層20中の孔が大きくなりすぎ、撥油性流体4を安定に保持できないことがある。ここでの平均粒径はレーザ回折式粒度分布測定装置で測定したものを示している。
また、無機微粒子2の形状は、本用途においては、球に近い形状であっても効果が得られるが、針状や板状等の球から外れた形状の方が、無機多孔質層20として、膜強度と撥油性流体4が含有される孔容積確保の両立がしやすく好ましい。粒子形状は、電子顕微鏡、光学顕微鏡、湿式フロー式粒子形状分析装置等による粒子の直接観察によって確認できる。粒子の短径と長径の比が、2.0以上、50.0以下が好ましく、2.5以上、20.0以下がさらに好ましい。この比が、2.0未満の場合には、孔容積に対して膜強度が得られにくく、安定して撥油性流体4の保持がしにくい傾向がある。この比が、50を超えるようなものは、膜強度が弱くなり好ましくない場合が多い。
また、無機多孔質層20は、厚さが、0.5μm以上、2000μm以下が望ましく、1μm以上、50μm以下がさらに望ましい。0.5μm未満であれば、含浸できる撥油性流体4が少なくなり、効果が得られないことが多い。2000μmを超える膜厚では、所望の効果が得られる表面を形成することは可能ではあるが、無機多孔質層20の撥油膜3による撥油化や撥油性流体4の含浸を、無機多孔質層20の膜内部まで均一に行うために長時間の工程が必要になること、および、厚さの分に応じた多量の材料が必要になることなど、工程的およびコスト的に好ましくない場合がある。
なお、無機多孔質層20の孔の大きさは、0.5μm以上、50.0μm以下が好ましく、1.0μm以上、25.0μm以下がさらに好ましい。孔の大きさが0.5μm未満では撥油性流体の流動性による付着油の潤滑性が得られにくい。孔の大きさが50μmを超えるような場合には、撥油性流体の保持性が低下するため好ましくない。ここでの、孔の大きさは水銀圧入法で測定される値である。
図5のステップS1の「無機微粒子分散液の塗布による無機多孔質層を形成する工程」は、無機微粒子2とバインダーを含むコーティング液を、基板1の表面に塗布して行う。無機多孔質層20の形成は、コーティング液が液体として基板1の表面に付着し、その後、乾燥することで基板1と密着した膜を形成することで行う。スプレー塗布の例では、コーティング液は、微小な液滴として付着し、そのまま乾燥するか、あるいは、基板1表面で液膜を形成して後に乾燥することになる。乾燥は自然乾燥でもよく、あるいは、気流や赤外線で加熱することで乾燥時間を短縮することも可能である。無機多孔質層20は、無機微粒子2同士が結合することで形成される。また、コーティング液を構成する分散媒中にバインダー成分が存在するようにすれば、無機微粒子2同士の結合力が増加し、無機多孔質層20の強度が、より向上する。無機微粒子2同士の結合において、個々の無機微粒子2の配置の仕方で、無機多孔質層20の状態が異なる。分散媒中、さらに、液膜としての乾燥過程でも、無機微粒子2が凝集しにくい場合には、無機微粒子2は高密度に配置され、無機多孔質層20の強度は高くなり、孔の容積が小さくなる傾向がある。分散媒中で適度に無機微粒子2が凝集することで、形成される無機多孔質層20の孔の容積が適度に拡大することも可能である。例えば、分散媒に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン等の多価イオン、または、ポリアクリルアミド等の高分子、または、界面活性剤等の凝集剤を添加することで、無機微粒子2を適度に凝集させる方法、あるいは、乾燥時に温風を吹き付けることで乾燥速度を上げることにより無機微粒子2が配列する前に乾燥させる方法等で、無機多孔質層20の孔の容積を拡大し、撥油性流体4の浸透および保持を容易にし、無機多孔質層20の性能を向上することも可能である。
コーティング液を構成する分散媒として用いる液は、水系あるいは有機溶剤系いずれのものでも可能である。コーティング液中の無機微粒子2の存在量は、重量比で0.1%以上、40%以下が好ましく、0.2%以上、30%以下がさらに好ましい。重量比が40%を超える濃度では、均質な膜の形成が困難であったり、厚すぎる膜となったりし易い。また、刷毛塗りの場合には刷毛目、スプレーの場合には、噴霧粒子よる表面凹凸を形成しやすい。この様な不均一膜や、表面凹凸のある膜では、凸部で撥油性流体4が少なくなったり、凹部で過剰な撥油性流体4が滲みだしたりするなど、均質な充填が難しくなる場合がある。
図5のステップS2の「フッ素系化合物による無機多孔質層表面の撥油化処理の工程」は、撥油膜3を構成するフッ素系化合物で、無機微粒子2およびバインダーの表面を覆うことで行う。このことで、無機微粒子2およびバインダーの表面は、その材質が露出せず、表面に露出する材質は、撥油膜3を構成するフッ素系化合物になる。撥油膜3として、フッ化アルキル基とシラノール基を有するような低分子の撥油化剤も利用できるが、フッ素樹脂等の撥油性樹脂で表面を覆う方法が、摩擦等により無機微粒子2の非撥油性表面が露出しにくく、また、無機微粒子2の脱離等を抑制する効果も得られるため好ましい。撥油性樹脂としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVF(ポリビニルフルオライド)、ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体)、FEP(パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体)、ECTFE(エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、TFE/PDD(テトラフルオロエチレン‐パーフルオロジオキソール共重合体)等、あるいは、これらの混合物が使用できる。
撥油性樹脂として、特に、PFA、CTFE、ECTFE等のフッ素系溶剤、例えば、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等に可溶で、エタノール、NMP(N-メチルピロリドン)に不溶な樹脂が好ましい。溶剤として塗布した場合、無機多孔質層20中の孔内も均質に撥油化しやすい。エタノールやNMPに可溶な樹脂を用いた場合には、フッ素樹脂としても撥油性が十分でなく、本発明の油潤滑性を有する表面構造を形成した後に、油を付着させて長時間放置した場合、無機多孔体に油が浸透してしまうという現象がみられるため好ましくない。
撥油性樹脂として、溶剤に不溶のものであっても溶剤中の微粒子の分散系として塗布することも可能である。塗布後、樹脂を十分に加熱溶解させることで本発明に十分な撥油化をすることができる。加熱は80℃以上、350℃以下が好ましく、120℃以上、300℃以下がさらに好ましい。80℃以下では、十分な撥油性が得られない。350℃以上ではフッ素樹脂の分解により撥油性が劣化する場合が多い。この場合の塗布液は、エタノールより極性の低い単独溶剤あるいは混合溶剤に分散している必要がある。水等の極性溶剤に分散させるためには、樹脂中に極性基を含有させるか、界面活性剤の使用が必要になる。これらが含まれると、本発明の油潤滑性を有する表面構造を形成した後に、油を付着させて長時間放置した場合、無機多孔体に油が浸透してしまうという現象がみられるため好ましくない。
低分子の撥油化剤も利用可能である。低分子の撥油化剤としては、アルコキシシリル基、カルボキシル基、シラザン基等の水酸基と反応する部位を有し、フッ化アルキル基を備えるものが利用できる。低分子撥油化剤は、そのまま、あるいは溶液として無機多孔体と反応させることができる。
低分子の撥油化剤は、単独でも使用可能であるが、撥油性樹脂に適量混合することで、撥油性樹脂の特長を生かしたまま、本発明の油潤滑性を有する表面構造を形成した際の油付着に対して、油が無機多孔質層20に対して浸透してしまうという現象を確実に抑制できるようになる。これを目的とした低分子撥油化剤と撥油性樹脂との混合は、低分子撥油化剤が重量比で撥油性樹脂の1%以上、30%以下の混合量が好ましく、3%以上、20%以下の混合量がさらに好ましい。混合量が1%を下回る添加量では、添加の効果が認められない。混合量が30%を超える量の添加では、未反応の反応基が樹脂中に残留しやすく、油の浸透を招いてしまう恐れがある。
撥油性樹脂に無機微粒子表面の水酸基と反応する反応性基を有するものを用いることも好ましい。反応性基は、低分子撥油化剤と同様のものが利用できる。撥油性樹脂の分子鎖の末端、あるいは側鎖に結合される。反応性基の最適量は、樹脂の重量当たりの反応性基数で規定できる。1kgあたりの撥油性樹脂に対し、0.1mol以上、2.0mol以下が好ましく、0.5mol以上、1.0molがさらに好ましい。反応性基は、反応性基を有する樹脂と、有しない樹脂を混合して調整してもよい。反応性基が0.1mol未満であれば、添加する効果が認められない。反応性基が2.0molを超える様な量になると未反応の反応基が樹脂中に残留しやすく、油の浸透を招いてしまう恐れがある。
本実施の形態1における撥油性流体4は、使用温度において流動性を有し、揮発性を有さないもので、水にも油にも相溶しない液体である必要がある。流動性については、20℃での動粘度が20cSt以上、1000cSt以下が好ましく、30cSt以上、500cSt以下がさらに好ましい。動粘度が20cSt未満であれば、流動性が高すぎ、表面構造に他の物体が接した時、無機多孔質層20から他の物体表面に移行し、無機多孔質層20中の量が減少したり、他物体を汚染したりして好ましくない。また、動粘度が1000cStを超える場合は、付着した油の潤滑速度が遅くなり、表面からの油の除去に時間がかかりすぎたり、微量の油の場合に除去できなくなったりする場合があるため好ましくない。揮発性については、使用温度で顕著な重量減少が無ければ良い。例えば、トレイ上に塗布し、120℃での熱風曝露を20時間行った時の重量減少が10%以下であれば問題は無い。撥油性流体4としては、上記の特性を持たすものであれば各種のものが利用できるが、例えば、各種のPFPE(パーフルオロポリエーテル)(フッ素オイル)が挙げられる。側鎖を有するもの、分子量の異なるもの、あるいはこれらの混合物を適宜混合して利用できる。
図5のステップS3の「無機多孔質層に対する撥油性流体の含浸の工程」は、刷毛塗り、浸漬、スプレー等、任意の方法が可能であるが、均一に過不足無く塗布する方法として、スプレー塗布が好ましい。撥油化した無機多孔質層20に撥油性流体4を接すると、毛管現象で、無機多孔質層20の孔内に撥油性流体4が侵入する。無機多孔質層20の一部分に接するだけでも、次第に全体に拡散するのであるが、撥油性流体4の粘度が高い場合など、非常に長い時間を要し好ましくない場合が多い。スプレー等で無機多孔質層20の表面全体を覆うように撥油性流体4を付着させれば、短時間でムラなく含浸させることができる。こうした手法を用いても撥油性流体4の浸透が遅い場合には、HFE、HCFC、HFC、HFC等のフッ素系溶剤に撥油性流体4を溶解し塗布することで、速度を速めることが可能である。さらに塗布量の制御性が向上することも可能となる。撥油性流体4の浸透速度を向上する方法として、撥油性流体4の塗布時に加熱することも有効である。
以上に述べたように、この製造方法で製造された本発明の実施の形態1に係るコーティング材100は、基板1に付着した油が、特別な作業を行うこと無く、また、耐摩耗性も有する表面構造を得ること、また、プラスチックを含む多様な基材に対して効果を付与できる。以下に、実施例および比較例を記載し、本発明の実施の形態1に係るコーティング材100の効果を比較する。
実施例1.
無機微粒子2として粒子径が約0.1μmのネックレス形状のコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスPS−M)を固形分として5.0質量%、バインダーとしてケイ酸リチウム(日産化学工業製、LSS−35)を固形分として1.0質量%を含む水分散液を、スプレー塗布で、基板1を構成するガラス板上に塗布し、自然乾燥することで、無機多孔質層20を形成した。
無機多孔質層20に、フッ素樹脂コーティング液(住友スリーエム製、Novec2702)をスプレー塗布することで、撥油膜3を形成し、撥油化した。この後、撥油性流体4として20℃での動粘度38cStであるパーフルオロポリエーテル(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン製、フォンブリンY04)をスプレー塗布した。
以上の工程により、コーティング材100として、半透明の白濁膜が得られた。膜は指で擦っても剥離、破壊せず、指がべとつくような感触も無かった。膜強度や安定性に優れる膜が得られた。
膜を形成したガラス板を水平から10・と緩い傾斜をつけて固定し、サラダ油を20μlスポイトで滴下した。この油滴は、下方に向かって1分間に約50mmの速い速度で移動した。非常に緩い角度であるにもかかわらず油滴が移動する高い油の滑落性が得られた。また、油滴を付着させたまま放置した場合、1週間後も固着することは無かった。
比較例1.
実施例1の無機多孔質層20に対し、フッ素樹脂コーティング無しで撥油性流体4を塗布したところ、同様な白濁膜が得られた。これに、サラダ油を滴下したところ、滴下部分の膜の透明性が増し、油が無機多孔質層20に染み込んだことが分かった。油は傾けても移動することは無かった。
比較例2.
実施例1の無機多孔質層20を形成せず、フッ素樹脂コーティングした上に撥油性流体4の塗布を行った。透明膜が得られた。サラダ油を滴下したところ、油は密着し傾けても移動することは無かった。
比較例3.
無機微粒子2として粒径約15nmの球状のコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックス30)の5質量%の水分散液を用いて実施例1と同様に膜を形成した。透明性にムラのある白濁膜となった。油の滑落性は認められたが部分によって移動速度が大きく異なった。無機微粒子2が小さすぎて、撥油性流体4の含浸が上手く出来ていないためである。
比較例4.
実施例1の膜において、撥油性流体4として、動粘度が1300cStのフォンブリンYRを用いた。実施例1の条件で油の移動速度を評価したが、移動速度は極めて遅く、1分間に1mm程度であった。撥油性流体4の粘度が高すぎることが原因である。
実施例2.
無機微粒子2として粒子径が約1μmの板状のベーマイト(河合石灰工業製、セラシュールBMM)を固形分として3.0質量%、バインダーとしてコロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックスXS)を固形分として1.0質量%を含む水分散液を、スプレー塗布でガラス板上に塗布し、自然乾燥することで、無機多孔質層20を形成した。これに実施例1と同様に、フッ素樹脂コーティング、撥油性流体4を塗布した。
白濁膜が得られ、膜は指で擦っても剥離、破壊せず、指がべとつくような感触も無かった。膜強度や安定性に優れる膜が得られた。膜を形成したガラス板を水平から10・と緩い傾斜をつけて固定し、サラダ油を20μlスポイトで滴下した。この油滴は、下方に向かって1分間に約40mmの速い速度で移動した。非常に緩い角度であるにもかかわらず油滴が移動する高い油の滑落性が得られた。油滴を付着させたまま放置した場合、1週間後も固着することは無かった。
実施例3.
実施例2と同様に、無機多孔質層20を形成した。これにフルオロアルキル基とアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤;(Heptadecafluoro - 1,1,2,2 - tetrahydrodecyl) Triethoxysilaneのエタノール溶液を塗布し、80℃熱風で5分間加熱した。この後、撥油性流体4としてパーフルオロポリエーテル(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン製、フォンブリンY04)をスプレー塗布した。
実施例2と同様、膜強度や安定性に優れる白濁膜が得られた。サラダ油を滴下では1分間に約25mmの速度で移動し、高い油の滑落性が得られた。油滴を付着させたまま放置した場合、数日は固着することは無かったが、その後わずかに、油染みが残る現象が認められたが実用上は問題のない程度であった。
実施例4.
実施例2と同様に無機多孔質層20を形成した。無機多孔質層20を150℃の熱風で表面温度100℃以上になる様に加熱した後、撥油性流体4としてパーフルオロポリエーテル(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン製、フォンブリンY04)に対し実施例3のシランカップリング剤を30質量%混合したものをスプレー塗布した。その後、100℃のオーブン中で10分間加熱した。
実施例2と同様、膜強度や安定性に優れる白濁膜が得られた。サラダ油を滴下では1分間に約30mmの速度で移動し、高い油の滑落性が得られた。油滴を付着させたまま放置した場合、数日は固着することは無かったが、その後わずかに、油染みが残る現象が認められたが実用上は問題のない程度であった。
比較例5.
無機多孔質層20に対し撥油性流体4を塗布する前の熱風処理を行わない状態で実施例4と同様の評価を行った。
実施例4と同様、膜強度や安定性に優れる白濁膜が得られたが、サラダ油を滴下した場合、1分間に約30mmの速度で移動し、高い油の滑落性が得られたが、油滴を放置した場合、数時間後には無機多孔膜に油が染み込んだ。
実施例5.
無機微粒子2として、平均粒径1.2μmのアルミナ粉末(昭和電工製)を5.0質量%、バインダーとして、ポリエステル樹脂のエマルジョン(ユニチカ製、エリーテルKA−5034)を固形分で1.0質量%を含む水分散液を、基板1を構成するPP板上にスプレー塗布した。
150℃の熱風の吹き付け乾燥後、撥油性流体4として、分子鎖の末端にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテル(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン製、フォンブリンS10)30質量%、パーフルオロポリエーテル(フォンブリンY04)70質量%の混合物をスプレー塗布した。この後、60℃で約30分加熱した。
膜強度や安定性に優れる白濁膜が得られた。サラダ油滴は1分間に約40mmの速度で移動し、高い油の滑落性が得られた。油滴を付着させたまま放置した場合でも、2−3日は固着することは無かった。数日放置した場合、油滴を移動した後に、油滴が付着していた部分にわずかの微小油滴が残る現象が認められたが実用上は問題のない程度であった。
比較例6.
実施例5において、撥油性流体4の塗布の前後の加熱を省略して評価を行った。
サラダ油油滴の滴下直後は、高い潤滑性が得られたが、油滴を移動させずに数時間放置した場合には、無機多孔膜に油が染み込んだ。
実施例6.
実施例2と同様の材料を用い、以下の方法を用いて油潤滑性の表面構造を形成した。基板1としてのガラス板表面に100mm角の正方形を囲むように、サラダ油をごく薄く塗布した。その後、サラダ油塗布部分をマスキングし、100mm角の正方形に無機多孔質層20を形成、撥油性流体4の塗布を行った。このことで油潤滑性表面を囲むように、薄く油が塗布された領域が形成された。
ガラス板を水平から10・傾け、潤滑性表面の中心にサラダ油を30秒で1滴程度の速度で滴下した。油滴は、断続的に中心から外部に向かって移動した。2時間程度滴下を続けたが、油滴が移動した部分は、わずかに白味を帯びた状態となったが、高い油潤滑性は維持されていた。
比較例7.
実施例6と同様に、最初にサラダ油の塗布を行わずに行った。100mm角の正方形に油潤滑性表面がガラス板上に形成された状態となり、油潤滑性表面に隣接する表面はガラス板そのままであった。
実施例6と同様に、サラダ油を連続して滴下したところ、滴下に伴い撥油性流体4がガラス面に移動し、1時間を超えたあたりより、潤滑性表面上では油滴としての移動ではなく、油膜を形成するようになった。隣接するガラス面に撥油性流体4が流出したためである。
以上述べたように、実施例1〜6に一例を示すように、本発明の実施の形態1に係る製造方法で製造されたコーティング材100は、基板1に付着した油が、特別な作業を行うこと無く、また、耐摩耗性も有する表面構造を得ること、また、基板1を構成する基材として、プラスチックを含む多様な基材に対して同様の効果を付与することができる。
以上のように、本実施の形態1に係るコーティング材100は、撥油性を有する表面と内部に形成された複数の孔とを有する無機多孔質層20と、無機多孔質層20の孔内に包含された撥油性流体4とを備えている。
従って、コーティング材100の表面は、孔の内壁を含めて、すべて、撥油性を有しているため、付着油5が付着しても固着せず、コーティング材100の表面での付着油5の移動および剥離が容易になる。また、無機多孔質層20は、内部の孔および表面に形成された凹部により、撥油性流体4を保持する効果を有し、さらに、表面の強度を発揮する効果がある。また、無機多孔質層20自身が表面に撥油性を有しているため、たとえ、撥油性流体4から無機多孔質層20が露出しても、油付着を促進する作用は無いという利点がある。一方、有機物多孔質を用いた場合には、摩耗等によって平坦面が形成され、油付着しやすくなるが、本実施の形態1においては、無機多孔質を用いることで、その様な現象が回避できる。
そのため、本実施の形態1によれば、コーティング材100の表面に付着した付着油5が、表面に固着することなく、重力、静電気力、気流による風圧等の、非常に弱い力で移動および除去できるようになる。例えば、コーティング材100の表面を傾斜させることにより、重力だけで付着油5を自然落下させることができる。また、風をコーティング材100の表面に当てることで風圧により付着油5を移動させて除去できるようになる。このことで、付着した付着油5の除去作業が不要になるか、あるいは、非常に簡略化できる。また、無機微粒子2の撥油膜3の形成をベースとするものであるため、耐摩耗性に優れ、コーティング対象としてプラスチック等の多様な基材を用いることができ、それらの基材に対して適用可能となる。
また、本実施の形態1においては、撥油性流体4は、フッ素オイルから構成されている。そのため、コーティング材100の表面が撥油性流体4となるため、付着油5が付着してもコーティング材100の表面に固着せず、当該表面での移動および剥離が容易になる。撥油性表面の無機多孔質は、撥油性流体4を保持する効果、および、表面の強度を発現する効果がある。また、撥油性流体4から露出しても、油付着を促進する作用は無いという利点がある。有機物多孔質では摩耗等によって平坦面が形成され、油付着しやすくなるが、本実施の形態1では、無機多孔質を用いることで、その様な現象は回避できる。
また、本実施の形態1によるコーティング材の製造方法は、無機微粒子2を液体内に分散させた無機微粒子分散液をコーティング対象の基板1の表面に塗布した後、当該液体を乾燥させることにより、内部に複数の孔を有する無機多孔質層20を基板1の表面上に形成するステップS1と、無機多孔質層20を構成する無機微粒子2の表面に撥油化剤からなる撥油膜3を付着させることにより、無機多孔質層20表面の撥油化処理を行うステップS2と、無機多孔質層20の複数の孔内に撥油性流体4を含浸させるステップS3とを備えている。そのため、コーティング対象として、各種の物品に本実施の形態1によるコーティング材を施すことができ、コーティングにより付着油5の除去性に優れる効果を付与できる。また、高い強度を有する撥油性表面を有する無機多孔質層20が得られる。
実施の形態2.
本実施の形態2では、切削加工機のモータに対して、本発明の実施の形態1で示したコーティング材を施し、汚染の状況を確かめた。図6及び図7に、モータの構造を示す。図6は、モータの縦断面図であり、図7はモータの横断面図である。図6及び図7に示されるように、モータ本体9は、その外面に対して設けられた、放熱フィン11を有している。図6及び図7の例では、放熱フィン11は、モータ本体9の上端部に対向して、設置されている。モータ本体9は、カバー10で覆われている。モータ本体9とカバー10とにより通風路が形成されている。すなわち、モータ本体9の外面とカバー10の内面との間の隙間が、通風路となっている。モータ本体9の上端部側に設置された放熱フィン11により、通風路に気流を生じさせ、モータ本体9の冷却を行う。
本実施の形態2においては、図6及び図7に示す切削加工機のモータに対し、実施の形態1のコーティングを施した。具体的には、モータ本体9の放熱フィン11を含む外面全体(シャフトを除く)にコーティングを施した。そうして、当該モータを、24時間稼働させて、汚染の状況を確かめた。
切削加工機の稼働では、切削液等のミストが発生し、そのミストが徐々にモータ部分に汚れとして堆積することで、放熱性能を悪化させる。モータの稼働時のカバー10の外面の温度を測定することで、汚れの堆積具合を評価した。分解清掃した同一部品の切削加工用のモータ2台を用意し、一方に本発明の実施の形態1に係るコーティング材を施し、他方にはコーティング材を施さない状態で、同一の条件で実験を行い、それらの比較を行った。
当該実験においては、モータ稼働中のカバー10の外面の温度を放射温度計で測定した。累計約1000時間の稼働後においては、カバー10の外面の温度は、コーティング無しのモータでは58℃、コーティング有りのモータでは52℃であった。温度差は6℃で、コーティング無しのモータのカバー10の温度の方が高かった。累計約1600時間の稼働後では、コーティング無しのモータでは66℃、コーティング有りでは55℃であった。温度差は11℃で、コーティング無しのモータのカバー10の温度の方が再び高かった。稼働時間が長くなったことで、さらに温度差が大きくなった。カバー10の温度上昇は、通風路に切削油ミスト等が堆積することで、冷却性能が低下することで起こっていることが分かっている。従って、実験の結果、コーティング無しのモータのカバー10の方が、コーティング有りのモータのカバー10に比べて、温度が高かったことから、コーティング無しのモータの方が冷却性能が低下することが分かった。以上により、本発明のコーティングにより、汚れが抑制できることが確認できた。
実施の形態3.
上述した実施の形態1で説明した図5のステップS2の「フッ素系化合物による無機多孔質層表面の撥油化処理の工程」に代わり、撥油性流体4に対し撥油化剤を添加することで、付着油5の除去性に優れる表面構造を得ることができる。この場合、実施の形態1で示したステップS2とS3の工程を同時に行うことができる。なお、ここでの撥油化剤は、低分子の撥油化剤として、アルコキシシリル基、カルボキシル基、シラザン基等の水酸基と反応する部位を有し、フッ化アルキル基を備えるものが利用できる。また、撥油性樹脂に同様の水酸基と反応する反応性基が、撥油性樹脂の分子鎖の末端、あるいは側鎖に結合されたものも利用できる。
撥油性流体4に添加する反応性基の最適量は、撥油性流体4の重量当たりの反応性基数で規定できる。1kgあたりの撥油性流体4に対し、0.1mol以上、2.5mol以下が好ましく、0.3mol以上、2.0molがさらに好ましい。反応性基が0.1mol未満であれば、撥油化が十分にできない。2.5molを超える様な量になると、撥油性流体4の撥油性が低下したり、付着したオイルに対して界面活性剤的に働き、付着油5が表面で拡がったり、無機多孔質層20に浸透したりする恐れがある。
反応性基が添加された撥油性流体4を無機多孔質層20に含浸させる場合には、好ましい方法がある。撥油性流体4の含浸前に、無機多孔質層20を温風で十分乾燥することで良好な付着油5の除去性に優れる表面構造を得ることができる。無機多孔質層20表面に水分が残留していると、水分が撥油性流体4中の反応性基と反応し、反応後に遊離した極性基が残留したり、無機多孔質層20表面の水酸基が十分に反応しない状態となったりする。この様な状態となると、コーティング材100による油潤滑性を有する表面構造を形成した後に、無機多孔質層20に油が浸透してしまうという現象が起こりやすくなり好ましくない。無機多孔質層20を乾燥する温風の温度は、60℃以上、300℃以下が好ましく、100℃以上、200℃以下がさらに好ましい。温風の温度60℃未満であれば水分の除去が十分にできない。300℃を超える温度では、無機多孔質層20表面で脱水反応が起こるなどの表面の変質や基板1の劣化が起こるため好ましくない。
無機多孔質層20に対する撥油性流体4の含浸は、無機多孔質層20の乾燥直後に行うことが望ましい。乾燥空気を用いたスプレーにより含浸させる方法が好ましい。適量の撥油性流体4を塗布した後、加熱処理することで反応基と無機多孔質との反応を促進できる。この場合の加熱は、温風吹き付けや赤外線加熱が利用でき、撥油性流体4が含浸された無機多孔質層20の温度が、60℃以上、300℃以下となっていることが好ましく、100℃以上、200℃以下となっていることがさらに好ましい。この場合の温度は、放射温度計による表面温度で測定できる。
以上のように、本実施の形態3に係るコーティング材の製造方法は、無機微粒子を液体内に分散させた無機微粒子分散液をコーティング対象の表面に塗布した後、前記液体を乾燥させることにより、内部に複数の孔を有する無機多孔質層を前記基板の表面上に形成するステップと、無機多孔質層の前記複数の孔内に撥油化剤を添加した撥油性流体を含浸させるステップとを備えている。これにより、実施の形態1におけるステップS2、S3の工程を1つの工程でまとめて行うことができ、実施の形態1におけるステップS1のフッ素化合物による撥油化処理工程を省略できる。
実施の形態4.
本実施の形態においては、図4に示すように、実施の形態1〜3で説明したコーティング材100の周辺部に、親油性または吸油性を有する周辺部材8を設けた実施形態について説明する。このような周辺部材8を設置することで、付着油5に対する潤滑性の劣化を抑制する。無機多孔質層20から周辺部材8に付着油5が移動してきた場合に、周辺部材8により、付着油5と撥油性流体4とが離脱される。こうして、撥油性流体4だけが無機多孔質層20に戻されるので、撥油性流体4が付着油5と共に無機多孔質層20の外部へ流出することを防止することができる。このように、周辺部材8は、撥油性流体8が付着油5と共に外部に流出することを防止するための流出用防止用部材を構成している。
これについて図3、図4を用いて説明する。実施の形態1〜3で説明したコーティング材100により構成された表面構造に付着した付着油5は、油滴として潤滑し、最終的には表面構造の外部に排出される。
図3は、本実施の形態4に対する比較例を示している。図3においては、コーティング材100の周辺部が、撥油性流体4に対して親和性を有する周辺部材7で構成されている。いま、図3に示すように、付着油5がコーティング材100上から周辺部材7上まで移動していった状態を考える。このとき、付着油5に付着した撥油性流体4は、周辺部材7が撥油性流体4に対する親和性を有していることから、付着油5と共に、無機多孔質層20から周辺部材7にまで移動する。これが繰り返されることで、無機多孔質層20中の撥油性流体4が徐々に失われ、付着油5の潤滑性が低下し、初期の付着油5の除去性が低下してしまうことになる。なお、周辺部材7は初期には撥油性流体4に対する親和性を有していなかった場合においても、親和性が高くなる場合がある。周辺部材7が撥油性流体4への親和性が高くなる主な原因は、無機多孔質層20の撥油化処理等で周辺部材7も同時に撥油化されること、あるいは、撥油化されていなくても、撥油性流体4の塗布時のはみ出しや汚染により表面が撥油性流体4で覆われた状態となることが挙げられる。
撥油性流体4が失われることを抑制するために、本実施の形態4では、コーティング材に隣接して配置させる周辺部材として、親油性あるいは吸油性を有する周辺部材8を設置する。図4は、本実施の形態4に係る、コーティング材100の周辺部が、親油性あるいは吸油性を有する周辺部材8で構成されている場合の構成を示している。図4は、付着油5がコーティング材100上から周辺部材8上まで移動していった状態を示している。図4に示した通り、コーティング材100に付着した付着油5が、周辺部材8に対して移動した場合、周辺部材8が親油性あるいは吸油性を有しているため、付着油5だけが周辺部材8に吸着され、付着油5と共に移動してきた撥油性流体4はここで分離され、元の無機多孔質層20の方向に引き戻される。図4は、吸油性のない周辺部材8の状態を示しているが、もし、周辺部材8が吸油性であれば、周辺部材8内部に付着油5が浸透し、同様に撥油性流体4は分離されて元の無機多孔質層20に引き戻される。吸油性のある周辺部材8は、単なる親油性のある周辺部材8の場合より、付着油5と撥油性流体4との分離能が優れる。また、親油性の周辺部材8の表面が撥油性流体4で汚染された場合には、分離能が低下するが、吸油性のある周辺部材8を使用することで、撥油性流体4で表面が汚染されても分離能が低下しないようにすることができる。
ここで、親油性のある周辺部材8として、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル、ABS等の樹脂や塗膜、ガラス、石材等の無機物、ステンレス、アルミニウム等の金属が利用できる。これらにおいても撥油性流体4が付着して汚染されると油との分離能が得られなくなる恐れがある。予め油を付着しておくことで、これを防ぎ、より安定した効果が得られる。予め付着させる油としては、各種の鉱油、植物油、シリコーンオイル等の疎水性液状物質の他、各種の界面活性剤も利用できる。撥油性流体4より付着油5に対する親和性の高いものであればよい。油の付着は、塗装のように刷毛塗りやスプレーでも可能であるが、極微量の塗布で良いため、布やスポンジなどの多孔体等に染み込ませたものを擦りつけるなどして付着させる方法も好ましい。
また、吸油性のある周辺部材8としては、上記の親油性のある周辺部材8で微小な穴や切れ目を設置して毛管現象で油が浸入するようにしたものや、無機多孔質層20や不織布や紙等の有機多孔体が利用できる。これらの材質は、接した撥油性流体4を吸収する性質があるため、これを防ぐため、予め油を付着あるいは含ませておくことが望ましい。油の種類は上記と同様である。方法は油を単純に塗布等で含ませる方法の他、溶剤で希釈してから含ませることで、周辺部材8の空隙を維持する方法もある。
以上のように、本実施の形態4においては、実施の形態1〜3で説明したコーティング材100と、コーティング材100が表面に設けられたコーティング対象としての基板1と、基板1の表面上にコーティング材100に隣接して設けられ、親油性または吸油性を有し、撥油性流体4の外部への流出を防止する流出防止用部材としての周辺部材8を備えている。
一般に、付着油5がコーティング材100の表面を移動する場合、付着油5と共に撥油性流体4も移動するため、付着油5の除去と共に撥油性流体4が減少する恐れがある。そのため、本実施の形態においては、親油性または吸油性を有する周辺部材8をコーティング材100に隣接して設置するようにしたので、付着油5だけが表面構造から除去されて、撥油性流体4は無機多孔質層20に残留し、付着油5に対する初期の除去性を保持し、優れた除去性が持続可能な、表面構造を得ることができる。

Claims (6)

  1. 撥油性を有する表面と内部に形成された複数の孔とを有する無機多孔質層と、
    前記無機多孔質層の前記孔内に包含された撥油性流体と
    を備えたコーティング材。
  2. 前記撥油性流体は、フッ素オイルから構成されている
    請求項1記載のコーティング材。
  3. 無機微粒子を液体内に分散させた無機微粒子分散液をコーティング対象の表面に塗布した後、前記液体を乾燥させることにより、内部に複数の孔を有する無機多孔質層を前記コーティング対象の表面上に形成するステップと、
    前記無機多孔質層の前記複数の孔内に撥油性流体を含浸させるステップと
    を備えたコーティング材の製造方法。
  4. 前記無機多孔質層を構成する前記無機微粒子の表面に撥油化剤を付着させることにより、前記無機多孔質層表面の撥油化処理を行うステップ
    をさらに備える請求項3に記載のコーティング材の製造方法。
  5. 前記撥油性流体は撥油化剤が添加されている
    請求項3に記載のコーティング材の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載のコーティング材と、
    前記コーティング材が表面に設けられたコーティング対象物と、
    前記コーティング対象物の前記表面上に、前記コーティング材に隣接して設けられ、親油性または吸油性を有し、前記コーティング材の前記撥油性流体が外部へ流出することを防止する流出防止用部材と
    を備えた表面構造。
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