[例示実施形態の説明]
[0036]DCマグネトロンスパッタリングリアクタにおける側壁被覆性と底部被覆性との間の配分は、絶縁層中のホールまたはビアにおいて所望の断面を有するライナー層等のメタル層を形成するように調整することができる。高アスペクト比のビア内にスパッタ堆積したSIP膜は、有利な上方側壁被覆性を有することが可能であり、オーバーハングを生じる傾向はない。所望する場合には、底部被覆は、上記ビアの底部のICP再スパッタリングによって薄くまたは排除してもよい。本発明の一つの態様によれば、両スパッタリングの利点は、別々の工程でもよいSIP及びICPの両プラズマ生成方法のうちの選択した態様を組み合わせるリアクタにおいて得ることができる。このようなリアクタの実施例を、図4に符号150で示す。また、ライナー層の側壁の上方部分は、コイル材を基板上に配置するためにチャンバ内に配設されたICPコイル151をスパッタリングすることによる再スパッタリングから保護してもよい。
[0037]リアクタ150は、好ましくは、SIP及びICP生成プラズマを組み合わせて、別法として、代替的に用いて、バリアまたはライナー層等のメタル層をスパッタ堆積するのに使用することもできる。DCマグネトロンスパッタリングリアクタにおけるイオン化された原子の流れと中性の原子の流れとの間の配分は、絶縁層中のホールまたはビア内に被覆を形成するように調整することができる。上述したように、高アスペクト比のホール内にスパッタ堆積したSIP膜は、有利な上方側壁被覆性を有することが可能であり、オーバーハングを生じる傾向はない。他方、ICPで生成したプラズマは、そのようなホール内にスパッタ堆積した膜が、良好な底部被覆性及び底部角部被覆性を有するような金属のイオン化を増大させることができる。本発明のさらに別の態様によれば、両タイプのスパッタリングの利点は、両方の堆積技術のうちの選択した態様を組み合わせるリアクタ150等のリアクタ内で得ることができる。また、コイル材は、必要に応じて、堆積層に対して寄与するようにスパッタすることもできる。
[0038]リアクタ150、およびライナー、バリア及び他の層を形成する様々なプロセスは、2002年7月25日に出願された、係属中の米国特許出願第10/202,778号(代理人名簿番号4044)に詳細に記載されており、その全体を本願明細書に組み入れる。該出願に記載されているように、図示の実施形態のリアクタ150は、カリフォルニア州サンタクララのアプライド・マテリアルズ社から入手できるEndura PVDリアクタの変更に基づいたDCマグネトロン型リアクタである。このリアクタは、通常、金属からなり、かつウェーハ158上にスパッタ堆積すべき材料物質からなる少なくとも表面部分を有するPVDターゲット156に対して、ターゲットアイソレータ154によって電気的に接地され密封された真空チャンバ152を含む。ターゲットのスパッタリング面は、図では平坦なものとして示されているが、該ターゲットのスパッタリング面は、アーチ型や円筒型を含む様々な形状を有してもよいことが認識される。上記ウェーハは、150、200、300及び450mmを含む様々なサイズであってもよい。例示したリアクタ150は、ロングスローモードで自己イオン化スパッタリング(SIP)が可能である。このSIPモードは、被覆が、主に、上記ホールの側壁に向けられている一実施形態において用いることができる。該SIPモードは、良好な底部被覆性を実現するために用いることもできる。
[0039]また、リアクタ150は、RFエネルギを該リアクタの内部に誘導結合するRFコイル151も有する。コイル151により生成されたRFエネルギは、アルゴン等の前駆物質ガスをイオン化して、イオン化したアルゴンを薄い底部の被覆に対して用いて、堆積層を再スパッタするためにプラズマを維持し、あるいは、スパッタした堆積物質をイオン化して底部被覆性を向上させる。一つの実施形態においては、高密度IMPプロセスの場合、20〜60mトル等比較的高い圧力でプラズマを維持すべきであり、該圧力は、好ましくは、充分に低い圧力に、例えば、タンタルナイトライドの堆積の場合1mトル、あるいは、タンタルの堆積に対しては2.5mトルに維持される。しかし、用途により、0.1〜40mトルの範囲の圧力が適切になる。従って、リアクタ150内でのイオン化速度は、一般的に高い密度のIMPプロセスのイオン化速度よりもかなり低くなると考えられる。このプラズマは、堆積した層を再スパッタするのに、あるいは、スパッタした堆積材料をイオン化するのに、またはその両方に用いることができる。さらに、コイル151自体は、堆積物質の薄膜化が望まれない領域のために、上記ウェーハ上に堆積した物質の再スパッタリングの間に、該ウェーハ上に保護被覆を形成するために、あるいは、追加的な堆積材料を供給するためにスパッタすることができる。
[0040]一つの実施形態においては、良好な上部側壁被覆性及び底部角部被覆性は、一つの工程において、上記コイルに少しのRF電力が印加される、あるいは該コイルにRF電力が印加されない、マルチステッププロセスにおいて実現することができると考えられる。すなわち、一つの工程において、スパッタされたターゲット堆積材料のイオン化は、主に自己イオン化の結果として生じることになる。その結果として、良好な上部側壁被覆性を実現できると考えられる。第2の工程において、および好ましくは同じチャンバ内において、RF電力は、コイル151に印加され、上記ターゲットには、低電力が印加され、または該ターゲットには電力が印加されない。この実施形態においては、ターゲット156からは少しの材料がスパッタされ、または該ターゲットからは材料がスパッタされず、前駆物質ガスのイオン化は、主に、コイル151によって誘導結合されたRFエネルギの結果として起きる。ICPプラズマは、上記ホールの底部におけるバリア層の抵抗を低減するためのエッチングまたは再スパッタリングにより、底部被覆を薄くするためまたは該被覆をなくすために注がれる。また、コイル151は、薄膜化が所望されない場合に、保護材料を堆積させるためにスパッタしてもよい。一つの実施形態においては、上記圧力は、プラズマ密度が、上記コイルからのスパッタされた堆積材料のイオン化を低減するように比較的低くなるように、比較的低く保ってもよい。その結果として、スパッタされたコイル材は、主に上方側壁に堆積してその部分を薄膜化から保護するように、十分に中性のままとすることができる。
[0041]図示したリアクタ150は、自己イオン化スパッタリングが可能であるため、堆積材料は、RFコイル151によって持続されたプラズマの結果としてだけではなく、ターゲット156自体のスパッタリングによってもイオン化することができる。良好な底部被覆性を有する層を堆積することが望まれる場合には、SIPとICPを組み合わせたイオン化プロセスが、良好な底部被覆性及び底部角部被覆性のための十分なイオン化材料を供給すると考えられる。しかし、RFコイル151によって生成された低圧プラズマの低いイオン化速度が、十分な中性のスパッタ材料を、上記上部側壁に堆積されるようにイオン化しないままとすることが可能であるとも考えられる。すなわち、イオン化した堆積材料のソースの組合せが、以下により詳細に説明するように、良好な上部側壁被覆性、および良好な底部被覆性及び底部角部被覆性を実現できると考えられる。
[0042]代替の実施形態においては、良好な上部側壁被覆性、および良好な底部被覆性及び底部角部被覆性は、一つの工程において、上記コイルに少しのRF電力が印加される、あるいは該コイルにRF電力が印加されない、マルチステッププロセスにおいて実現することができると考えられる。すなわち、一つの工程において、堆積材料のイオン化は、主に自己イオン化の結果として生じることになる。その結果として、良好な上部側壁被覆性を実現できると考えられる。第2の工程において、および好ましくは同じチャンバ内において、RF電力をコイル151に印加してもよい。また、一つの実施形態において、上記圧力は、高密度プラズマを維持できるように、充分に上昇させることができる。その結果として、良好な底部被覆性及び底部角部被覆性を上記第2の工程において実現できると考えられる。
[0043]ウェーハクランプ160は、ウェーハ158をペデスタル電極162上に保持する。ペデスタル162内の抵抗性ヒータ、冷却剤流路及び熱伝達ガスキャビティは、該ペデスタルの温度を、−40℃以下の温度に制御できるようにし、それにより上記ウェーハの温度を同様に制御できるようにするために設けることができる。
[0044]部分的に中性の流れを用いてより深いホール被覆を実現するために、ターゲット156とウェーハ158との間の距離を、ロングスローモードで動作するように増加させることができる。使用時において、上記ターゲットと基板間の間隔は、通常、該基板の口径の半分よりも大きい。例示の実施形態において、該間隔は、好ましくは、ウェーハの口径の90%以上であるが(例えば、200mmウェーハの場合190mm、300mmウェーハの場合290mm)、基板口径の100%以上及び140%以上を含む80%以上の間隔も適切であると考えられる。たいていの用途の場合、50〜1000mmの、ターゲットとウェーハとの間隔が適切であると考えられる。従来のスパッタリングにおけるロングスローは、スパッタリング堆積速度を低減するが、イオン化したスパッタ粒子には、そのような大きな減少はない。
[0045]第2の絶縁シールドアイソレータ168によって絶縁された暗黒部シールド164及びチャンバシールド166は、チャンバ壁部152をスパッタ材料から保護するために、チャンバ152内に保持されている。例示の実施形態においては、暗黒部シールド164及びチャンバシールド166は、共に接地さている。しかし、いくつかの実施形態においては、非接地レベルにフローティングまたはバイアスしてもよい。チャンバシールド166も、カソードターゲット156と対向するアノード接地面として作用し、それにより、プラズマを容量的に支持する。上記暗黒部を電気的に浮遊させることができる場合、負の電荷がそこに蓄積するように、いくつかの電極を暗黒部シールド164上に堆積させることができる。負の電位が、さらなる電子が堆積するのを防止するだけでなく、該電子を主要なプラズマ領域内に閉じ込めることができ、それに伴って、必要に応じて、電子の損失を低減し、低圧スパッタリングを持続させ、かつプラズマ密度を増加させることができると考えられる。
[0046]コイル151は、コイル151を支持シールド164から電気的に絶縁する複数のコイルスタンドオフ180によってシールド164上に載置されている。また、スタンドオフ180は、ターゲット110からコイルスタンドオフ180への導電性材料の繰り返し堆積を可能にすると共に、コイル151を(一般に接地されている)シールド164に対して短絡させる可能性がある、堆積材料のコイル151からシールド164への完全な導電経路の形成を防ぐ迷路状の通路を有する。
[0047]上記コイルを回路経路として使用できるようにするために、RF電力が、上記真空チャンバ壁を通って、およびシールド164を通ってコイル151の端部に流される。真空フィードスルー(図示せず)は、好ましくは、真空圧力チャンバの外側に配設されたジェネレータからRF電流を供給するために、上記真空チャンバを通って伸びている。RF電力は、シールド164を通って、コイルスタンドオフ180と同様に、コイル151をシールド164に対して短絡させる可能性がある、コイル151からシールド164への堆積材料からなる経路の形成を防ぐ迷路状の通路を有するフィードスルースタンドオフ182(図5)によってコイル151に印加される。
[0048]プラズマ暗黒部シールド164は、概して円筒型形状である。プラズマチャンバシールド166は、概してカップ状であり、コイル151を絶縁支持するためにスタンドオフ180及び182が取り付けられる、概して円筒型形状で、垂直方向に向けられた壁部190を含む。
[0049]図5は、例証となる実施形態のプラズマ生成装置の電気的接続を表わす概略図である。プラズマによって生成されたイオンを誘引するために、ターゲット156は、好ましくは、可変DC電源200により、例えば、1〜40kWのDC電力で負の電位にバイアスされる。電源200は、プラズマを点火し、持続させるために、ターゲット156をチャンバシールド166に対して約−400〜−600VDCに負の電位にバイアスする。1〜5kWのターゲット電力は、通常、プラズマを点火するのに用いられ、10kW以上の電力は、本願明細書に記載したSIPスパッタリングに対して好ましい。例えば、24kWのターゲット電力は、SIPスパッタリングによってタンタルナイトライドを堆積させるのに使用することができ、また、20kWのターゲット電力は、SIPスパッタリングによりタンタルを堆積するのに使用することができる。ICP再スパッタリングの間、ターゲット電力は、例えば、プラズマ均一性を維持するために、100〜200ワットに低減してもよい。別法として、ターゲット電力は、ICP再スパッタリング中のターゲットのスパッタリングが望まれる場合には、高いレベルに維持してもよく、あるいは、必要に応じてターンオフしてもよい。
[0050]ペデスタル162及びウェーハ158は、電気的に浮遊させたままでもよいが、負のDC自己バイアスは、かけてもかまわない。別法として、ペデスタル162は、イオン化した堆積材料を上記基板に引きつけるように基板158を負の電位にバイアスするために、電源202によって−30vDCで負の電位にバイアスしてもよい。別の実施形態は、上記ペデスタルに対して発生させる負のDCバイアスをさらに制御するために、RFバイアスをペデスタル162に加えてもよい。例えば、バイアス電源202は、13.56MHzで作動するRF電源であってもよい。SIP堆積における200mmウェーハの場合、例えば、10W〜5kW、より好ましくは、150〜300WのRF電力を供給することができる。
[0051]コイル151の一端部は、フィードスルースタンドオフ182によってシールド166を介して、増幅器及び整合ネットワーク204の出力等のRF電源に絶縁結合されている。整合ネットワーク204の入力は、この実施形態の場合に、ICPプラズマ生成のために、1または1.5kW程度でRF電力を供給するRFジェネレータ206に結合されている。例えば、タンタルナイトライドの堆積の場合には、1.5kWの電力が、タンタルの堆積の場合には、1kWの電力が好ましい。好ましい範囲は、50W〜10kWである。SIP堆積の間、上記コイルへのRF電力は、必要に応じてターンオフしてもよい。別法として、RF電力は、必要に応じて、SIP堆積中に供給してもよい。
[0052]コイル151の他端も、同様のフィードスルースタンドオフ182によってシールド166を介して、好ましくは、コイル151に対するDCバイアスをサポートする可変コンデンサであってもよい阻止コンデンサ208を介してアースに絶縁結合されている。コイル151に対するDCバイアス及びコイルスパッタリング速度は、米国特許第6,375,810号明細書に記載されているように、コイル151に結合されたDC電源209によって制御することができる。ICPプラズマ生成及びコイルスパッタリングに対する適切なDC電力の範囲としては、50W〜10kWが挙げられる。コイルスパッタリング中の好ましい値は500Wである。コイル151に対するDC電力は、必要に応じて、SIP堆積中にターンオフしてもよい。
[0053]上述した電力レベルは、特定の用途により、当然変化してもよい。コンピュータをベースとしたコントローラ224は、特定の用途に従って、様々なソースの電力レベル、電圧、電流及び周波数を制御するようにプログラムすることができる。
[0054]RFコイル151は、該コイルからスパッタされた材料物質が、上記ウェーハにぶつかったときに低い入射角を有するように、上記チャンバ内に比較的低く配置してもよい。そのため、コイル材料は、上記ホールの底部がICPプラズマによって再スパッタされているときに、該ホールの上方角部を保護するように、該ホールの上方角部に優先的に堆積させることができる。図示の実施形態においては、上記コイルの主な機能が、上記ウェーハを再スパッタするためのプラズマを生成すること、および再スパッタリング中の保護被覆を形成することである場合には、該コイルを上記ターゲットよりも該ウェーハの近くに配置することが好ましい。たいていの用途の場合、コイルとウェーハとの間隔は0〜500mmが適切であると考えられている。しかし、実際の位置は、特定の用途により変化することが認識されている。上記コイルの主な機能が、堆積材料をイオン化するためのプラズマを生成することである用途においては、該コイルは、上記ターゲットに近づけて配置してもよい。また、1996年7月10日にファイルされ(代理人登録番号1390−CIP/PVD/DV)、本出願の譲受人に譲渡され、「プラズマを生成するためのスパッタリングコイル」と題された米国特許第6,368,469号明細書に詳細に記載されているように、RFコイルは、スパッタされたコイル材料によって堆積層の均一性を改善するように配置することもできる。さらに、該コイルは、ヘリックスまたは螺旋状に形成された複数の巻線を有してもよく、あるいは、複雑性及びコストを低減しかつクリーニングを容易にするために、単一の巻線や数回の巻線を有してもよい。
[0055]種々のコイル支持スタンドオフ及びフィードスルースタンドオフを、該コイルを絶縁支持するのに使用することができる。特に、SSS、SIP及びICPに関連する高電力レベルにおけるスパッタリングは、高電圧を伴うので、絶縁アイソレータは、通常、異なるバイアスの部材を絶縁する。その結果として、そのようなアイソレータをメタル堆積から保護することが望ましい。
[0056]上記スタンドオフの内部構造は、好ましくは、2000年2月29日にファイルされ本出願の譲受人に譲渡された、「プラズマを生成するためのコイル及びコイル支持体」と題された、同時係属出願第09/515,880号明細書に詳細に記載されているように入り組んでいる。プラズマに直接さらされるコイル151及び上記スタンドオフのそのような部分は、好ましくは、堆積される同じ材料で形成される。すなわち、堆積される材料物質がタンタルからなる場合には、上記スタンドオフの外側部分は、好ましくは、タンタルで形成される。堆積材料の付着を容易にするために、メタルの露出面は、粒子の堆積材料からの発散を低減するビードブラストによって処理してもよい。タンタルの他にも、上記コイル及びターゲットは、銅、アルミニウム及びタングステンを含む様々な堆積材料で形成することができる。上記迷路状の通路は、上記コイルからシールドへの完全な導電経路の形成を妨げるように形成すべきである。このような導電性経路は、導電性堆積材料が、上記コイル及びスタンドオフ上に堆積したときに形成される可能性がある。特定の用途により、他の寸法、形状及び数の迷路状の通路も可能であることを認識すべきである。該迷路のデザインに影響を及ぼす要因としては、堆積する材料物質の種類、上記スタンドオフが洗浄または交換を必要とする前の所望の堆積数が挙げられる。適当なフィードスルースタンドオフは、RF電力が、該スタンドオフを貫通して伸びるボルトまたは他の導電性部材に印加されることを除いて、同じように構成することができる。
[0057]コイル151は、重なっているが離間した端部を有してもよい。この構成においては、各端部のためのフィードスルースタンドオフ182は、図4に示すように、真空チャンバターゲット156と基板ホルダ162との間のプラズマチャンバの中心軸と平行な方向に重ねてもよい。その結果、上記コイルの一端部から該コイルの他端部へのRF経路は、同様に重ねて、上記ウェーハ上の間隙を避けることができる。そのような重なり構成は、1998年3月16日にファイルされ本出願の譲受人に譲渡された、同時係属出願第09/039,695号明細書に記載されているように、プラズマの生成、イオン化及び堆積の均一性を改善することができると考えられる。
[0058]支持スタンドオフ180は、適切な支持を可能にするために、上記コイルの残りの部分の周りに配設してもよい。図示の実施形態においては、上記コイルは、それぞれ、各コイルの外側面に90度の間隔で配設された3つのハブ部材504を有する。上記スタンドオフの数及び間隔は、特定の用途により変化してもよいことを認識すべきである。
[0059]図示の実施形態のコイル151は、それぞれ、単一巻のコイル内に形成された2インチ×1/4インチの高耐久のビードブラストしたタンタルまたは銅のリボンで形成されている。しかし、他の高導電性材料及び形状を用いてもよい。例えば、上記コイルの厚さは、1/16インチまで低減してもよく、かつ幅は、2インチまで増してもよい。また、特に、水冷が望まれる場合には、中空管も使用することができる。
[0060]適切なRFジェネレータ及び整合回路は、当業者には周知の構成部材である。例えば、上記整合回路及びアンテナとの最良の周波数整合のために周波数を探す能力を有するENI Genesisシリーズ等のRFジェネレータが適切である。上記コイルへのRF電力を生成するジェネレータの周波数は、好ましくは2MHzであるが、レンジは、例えば、1MHz〜200MHz等のA.C.周波数や非RF周波数において変化する可能性があることが予想される。なお、これらの構成部材は、プログラム可能なコントローラ224によって制御することができる。
[0061]図4に戻って、チャンバシールド166の底部円筒型部分296は、ウェーハ158を支持するペデスタル162の上部の裏の凹んだ部分へ続いている。そして、チャンバシールド166は、カップ状部分302内に径方向内側に、および最も内側の円筒形部分151内に垂直方向上方に続いて、ウェーハ158の高さに近づくが、ペデスタル162の径方向外側に離間している。
[0062]シールド164、166は、一般に、ステンレス鋼で構成されており、またそれらの内側は、該内側にスパッタ堆積される材料の付着を促進するように、ビードブラストされ、あるいは他の方法で粗面化してもよい。しかし、長いスパッタリングの間のある時点で、上記堆積材料は、剥がれやすい厚さに堆積して、有害な粒子を生成する。この時点に達する前に、上記シールドをクリーニングするべきであり、あるいは、新たなシールドと交換すべきである。しかし、より高価なアイソレータ154、168は、たいていのメンテナンス期間においては交換する必要はない。さらに、該メンテナンス周期は、該アイソレータの電気的短絡ではなく、該シールドの剥がれによって決まる。
[0063]ガスソース314は、スパッタリング作用ガス、一般には化学的に不活性なアルゴンガスを、マスフローコントローラ316を介してチャンバ152に供給する。該作用ガスは、シールドチャンバシールド166の底部を通る、またはチャンバシールド166、ウェーハクランプ160及びペデスタル162の間の間隔318を通る開口を貫通する1つまたはそれ以上の流入パイプによって、該チャンバの上部に、あるいは、図に示すように、その底部に進入することができる。広いポンピングポート322を介してチャンバ152に接続された真空ポンプ装置320は、該チャンバを低圧に維持する。ベース圧力は、約10-7トルまたはそれより低く保持することができるが、上記作用ガスの圧力は、従来のスパッタリングにおいては、通常、約1〜1000ミリトルに、およびSIPスパッタリングにおいては約5ミリトル以下に維持される。コンピュータをベースとしてコントローラ224は、DCターゲット電源200、バイアス電源202及びマスフローコントローラ316を含む上記リアクタを制御する。
[0064]有効なスパッタリングを可能にするために、ターゲット156の裏にマグネトロン330が配置されている。該マグネトロンは、磁気ヨーク336に接続され、該ヨークによって支持された対抗する磁極の磁石332、334を有する。該磁石は、チャンバ152内のマグネトロン330の近くに磁界を形成する。該磁界は、電子をトラップし、電荷が中性の場合、イオン密度も、高密度プラズマ領域338を形成するように増加する。マグネトロン330は、ターゲット156のスパッタリング時の完全な被覆を実現するために、通常、モータで駆動される軸342によってターゲット156の中心340の周りに回転される。持続性自己スパッタリングを可能にする十分なイオン化密度の高密度プラズマ338を実現するために、マグネトロン330の近くの領域に供給される電力密度は、高くすることができる。このことは、上記の引用特許においてFu及びChiangによって記載されているように、DC電源200から供給される電力レベルを増加させることにより、および例えば、三角形または競馬場の形にマグネトロン330の領域を低減することにより実現することができる。その先端部をターゲットの中心340とほぼ一致させた状態で回転される60度の三角形状マグネトロンは、いつでも該ターゲットの約1/6のみをカバーする。SIPスパッタリングが可能な市販のリアクタにおいては、1/4のカバレージが好ましい最大値である。
[0065]電子の損失を減らすためには、内側磁石332によって表わされる内側磁極及び磁極面は、相当数の開口を有すべきではなく、また外側磁石334によって表わされる連続外側磁極及び磁極面によって囲むべきである。さらに、イオン化したスパッタ粒子をウェーハ158へ案内するために、外側の極は、内側の磁極よりもかなり高い磁束を生成すべきである。広がっている磁界線は、電子をトラップし、それに伴ってプラズマをウェーハ158の近くまで伸ばす。磁束の比は、少なくとも150%、好ましくは200%以上とすべきである。Fuの三角形状マグネトロンの2つの実施形態は、同じ強度であるが逆極性の25の外側磁石と6または10の内側磁石を有する。平坦なターゲット面と共に示しているが、様々な不平衡なマグネトロンを、自己イオン化したプラズマを生成する様々なターゲット形状と共に使用することができることが認識される。該磁石は、円形やその他の形状を含む三角形以外の形状を有してもよい。
[0066]アルゴンが上記チャンバ内に入ると、ターゲット156とチャンバシールド166との間のDC電圧差が該アルゴンをプラズマにし、正に荷電したアルゴンイオンは、負に荷電したターゲット156に引きつけられる。該イオンは、かなりのエネルギでターゲット156にぶつかって、ターゲット原子または原子群をターゲット156からスパッタさせる。ターゲット粒子のうちのいくつかは、ウェーハ158に衝突し、それによって該ウェーハ上に堆積され、ターゲット材料からなる膜を形成する。金属ナイトライドの反応性スパッタリングにおいては、窒素が、ソース343から上記チャンバ内に追加的に入れられ、該窒素は、スパッタされた金属原子と反応してウェーハ158上に金属ナイトライドを形成する。
[0067]図6〜図9bは、本発明の一つの態様に係るライナー層の形成に関する連続的な断面図を示す。図6を参照すると、層間絶縁体345(例えば、二酸化シリコン)が、配線348(図9b)の第1のメタル層(例えば、第1の銅層347a)を覆って堆積されている。そして、第1の銅層347aを露出させるために、層間絶縁体345内にビア349がエッチングされる。上記第1のメタル層は、CVD、PVD、電気メッキあるいは、公知の金属堆積技術を用いて堆積することができ、また、該メタル層は、コンタクトを介して、絶縁層を介して、下にある半導体ウェーハに形成されたデバイスと接続される。第1の銅層347aが酸素にさらされる場合、例えば、上記ウェーハが、該第1の銅層と第2のメタル層との間のビアの形成のための開口を形成するために、該第1の銅層に重なる酸化物がエッチングされるエッチングチャンバから移動される場合、該第1の銅層上に、絶縁性/高抵抗性の銅酸化物層347a’を容易に形成することができる。従って、銅配線348の抵抗を低減するために、ビア349内のいかなる銅酸化物層347a’及び処理残留物も除去してよい。
[0068]バリア層351は、銅酸化物層347a’を除去する前に、(例えば、図4のスパッタリングチャンバ152内で)層間絶縁体345を覆って、および第1の銅層347aを覆って堆積することができる。好ましくは、タンタル、タンタルナイトライド、チタンナイトライド、タングステンまたはタングステンナイトライドからなるバリア層351は、(前述したように)後に堆積される銅層が、層間絶縁体345に混ざって該絶縁体を劣化させることを防ぐ。
[0069]例えば、スパッタリングチャンバ152が、タンタルナイトライド層の堆積のために構成されている場合には、タンタルターゲット156が用いられる。一般的に、アルゴン及び窒素ガスは、共に、ガスインレット360(それぞれが各ガス用のものである複数のインレットを使用することができる)を介してスパッタリングチャンバ152内に流れ込み、電力信号は、DC電源200を介してターゲット156に印加される。状況に応じて、電力信号は、第1のRF電源206を介してコイル151に印加してもよい。定常状態処理の間、窒素は、タンタルターゲット156と反応してタンタルターゲット156上にナイトライド膜を形成し、そこからタンタルナイトライドがスパッタされる。また、非窒化物タンタル原子も上記ターゲットからスパッタされ、該原子は、窒素と結合して飛翔するタンタルナイトライドを形成し、または、ペデスタル162によって支持されたウェーハ(図示せず)上にタンタルナイトライドを形成する。
[0070]動作中、排気口362に作用可能に結合されたスロットルバルブは、プロセスガスのチャンバ152内への導入の前に、堆積チャンバ152を、約1×10-8トルの所望の低真空レベルに維持するために、中間位置に位置している。スパッタリングチャンバ152内での処理を開始するために、アルゴンガスと窒素ガスとの混合物が、ガスインレット360を介してスパッタリングチャンバ152内に流入される。DC電力は、DC電源200を介してタンタルターゲット156に印加される(また、上記ガス混合物は、ガスインレット360を介してスパッタリングチャンバ152内に流入し続けると共に、ポンプ37を介して供給される)。ターゲット156に印加されるDC電力は、上記アルゴン/窒素ガス混合物に、SIPプラズマを生成させ、かつターゲット材料(例えば、タンタルやタンタルナイトライド)を該ターゲットから射出させるターゲット156に引き付けられて該ターゲットに衝突するアルゴンイオン及び窒素イオンを生成させる。射出されたターゲット材料は、ペデスタル162によって支持されたウェーハ158まで移動して、該ウェーハ上に堆積する。上記SIPプロセスによれば、上記不平衡なマグネトロンによって生成されたプラズマは、スパッタされたタンタル及びタンタルナイトライドの一部をイオン化する。基板支持ペデスタル162に印加するRF電力信号を調整することにより、負のバイアスを、基板支持ペデスタル162とプラズマとの間に形成することができる。基板支持ペデスタル162とプラズマとの間の負のバイアスは、タンタルイオン、タンタルナイトライドイオン及びアルゴンイオンを、ペデスタル162及び該ペデスタル上に支持されたウェーハの方へ加速させる。それに応じて、中性及びイオン化したタンタルナイトライドを上記ウェーハ上に堆積させることができ、SIPスパッタリングにしたがって、良好な側壁被覆性及び上方側壁被覆性を実現できる。さらに、特に、RF電力を上記ICPコイルに随意に印加した場合、上記ウェーハをアルゴンイオンによってスパッタエッチングできると同時に、ターゲット156からのタンタルナイトライド材料が、該ウェーハ上に堆積する(例えば、同時堆積/スパッタエッチング)。
[0071]バリア層351の堆積に続いて、ビアの底部の薄膜化または除去が望まれる場合には、ビア349の底部におけるバリア層351の一部、および該バリア層の下の銅酸化物層347a’(及び処理残留物)を、図7に示す様なアルゴンプラズマによってスパッタエッチングまたは再スパッタしてもよい。該アルゴンプラズマは、好ましくは、この工程において、主に、RF電力を上記ICPコイルに印加することによって生成される。この実施形態におけるスパッタリングチャンバ152(図4)内でのスパッタエッチングの間、ターゲット156に印加される電力は、ターゲット156からの著しい堆積を防ぐためまたは抑制するために、好ましくは、取り除かれるか、あるいは、低レベル(例えば、100または200W)に低減されることに注意する。ゼロのターゲット電力ではなく低いターゲット電力レベルは、より均一なプラズマを生成することができ、好ましい。
[0072]ICPアルゴンイオンは、電界(例えば、負の自己バイアスを上記ペデスタル上に形成させる、図4の第2のRF電源41を介して基板支持ペデスタル162に印加されるRF信号)を介してバリア層351の方へ加速されて、バリア層351に衝突し、運動量の伝達により、ビア開口の底部からのバリア層材料をスパッタし、該材料を、ビア349の側壁を被覆するバリア層351の部分に沿って再配分する。該アルゴンイオンは、上記基板とほぼ直角な方向で該基板に引き付けられる。その結果として、上記ビアの側壁のわずかなスパッタリングであるが、該ビアの底部の実質的なスパッタリングが行われる。再スパッタリングを容易にするために、上記ペデスタル及びウェーハに印加されるバイアスは、例えば、400Wにしてもよい。
[0073]上記再スパッタリングプロセスのパラメータの特定の値は、特定の用途により変化してもよい。同時係属のまたは発行された出願第08/768,058号、同第09/126,890号、同第09/449,202号、同第09/846,581号、同第09/490,026号及び同第09/704,161号は、再スパッタリングプロセスについて記載しており、それらの出願全体を本願明細書に組み入れる。
[0074]本発明の他の態様によれば、ICPコイル151は、ターゲット156と同じように、タンタル等のライナー材料で形成してもよく、また、上記ビアの底部が再スパッタされる間、上記ウェーハ上にタンタルナイトライドを堆積させるためにスパッタしてもよい。上記再スパッタリングプロセスの間の比較的低い圧力のため、コイル151からスパッタされた堆積材料のイオン化速度は、比較的低い。すなわち、上記ウェーハ上に堆積した上記スパッタされた材料物質は、主に中性の材料である。また、コイル151は、上記チャンバ内の比較的低い位置に配置され、上記ウェーハを囲みかつ該ウェーハに隣接する。
[0075]従って、コイル151からスパッタされた材料物質の軌跡は、比較的小さな入射角を有する傾向がある。すなわち、コイル151からのスパッタされた材料物質は、上記ウェーハの上面の層364に、および該ウェーハのホール内の深部よりは該ウェーハのホールまたはビアの開口部の周りに堆積する傾向がある。このコイル151からの堆積した材料物質は、上記バリア層の薄膜化が所望されない場合に、該バリア層が、上記側壁上及び上記ホールの開口部の周囲ではなく、主に該ホールの底部において再スパッタリングすることにより薄膜化されるような、再スパッタリングからの一定の保護を可能にするために用いることができる。
[0076]バリア層351が、一旦、上記ビアの底部からスパッタエッチングされると、上記アルゴンイオンは、銅酸化物層347a’に衝突し、該酸化物層は、該ビアの底部から銅酸化物層材料を再配分するようにスパッタされ、該スパッタされた材料物質のうちの一部または全ては、ビア349の側壁を被覆するバリア層351の部分に沿って堆積される。また、銅原子347a”は、ビア349の側壁上に堆積したバリア層351及び364を被覆する。しかし、最初に堆積したバリア層351、および上記ビアの底部からビアの側壁に再配分された層は銅原子347a”に対する拡散バリアであるため、銅原子347a”は、バリア層351内で実質的に静止しており、層間絶縁体345に達することが妨げられている。従って、上記側壁に堆積される“銅原子347a”は、被覆されていない側壁に再配分されても、ビア間漏れ電流を概して生成しない。
[0077]その後、タンタル等の第2の材料物質からなる第2のライナー層371を、同じチャンバ152内で、あるいは、SIP及びICPの両能力を有する同様のチャンバ内で、直前のバリア層351上に堆積することができる(図8)。タンタルライナー層は、下にあるタンタルナイトライドバリア層と、銅等の導電体からなる、後に堆積されるメタル配線層との間に良好な付着を実現できる。しかし、ある用途においては、シード層の前に、または上記ホールを充填する前に、バリア層またはライナー層を堆積させることが好ましい。
[0078]第2のライナー層371は、第1のライナー層351と同じ方法で堆積することができる。すなわち、タンタルライナー371は、主にターゲットマグネトロン330によってプラズマが生成される第1のSIP工程において、堆積することができる。しかし、タンタルナイトライドではなくタンタルが堆積されるように、窒素は進入しない。SIPスパッタリングによれば、良好な側壁被覆性及び上方側壁被覆性を得ることができる。ICPコイル151へのRF電力は、必要に応じて低減またはなくすことができる。
[0079]タンタルライナー層371の堆積に続いて、上記底部の薄膜化または排除が所望される場合には、該ライナー層の下のビア349の底部(及び処理残留物)におけるライナー層371の部分を、図9aに示すように、ライナー層351の底部と同様の方法で、アルゴンプラズマによってスパッタエッチングまたは再スパッタしてもよい。該アルゴンプラズマは、好ましくは、この工程において、主にRF電力を上記ICPコイルに印加することによって生成される。またここでも、スパッタリングチャンバ152(図4)内でのスパッタエッチングの間、ターゲット156に印加される電力は、第2のライナー層371の底部被覆の薄膜化または排除の間に、ターゲット156からの著しい堆積を防ぐためまたは抑制するために、好ましくは、取り除かれるか、あるいは、低レベル(例えば、500W)に低減されることに注意する。また、コイル151は、好ましくは、ライナー材料374を堆積させるためにスパッタされ、アルゴンプラズマは、該ライナー側壁及び上方部が、底部の再スパッタリングの間に実質的に薄膜化されることから保護するために、該ライナー層の底部を再スパッタする。
[0080]上述した実施形態においては、ターゲット材料の上記ビアの側壁へのSIP堆積は、主として1つの工程中に行われ、上記ビア底部のICP再スパッタリング及びコイル151材料のICP堆積は、主に後の工程において行われる。ターゲット材料及びコイル材料のビア349の側壁への堆積は、必要に応じて、同時に行うことができることを認識されたい。また、堆積材料の、ビア349の底部におけるICPスパッタエッチングは、必要に応じて、ターゲット材料及びコイル材料の上記側壁への堆積と同時に行うことができることを認識されたい。同時堆積/スパッタエッチングは、コイル151、ターゲット156及びペデスタル162に印加する電力信号を調節することにより、図4のチャンバ152によって実行することができる。コイル151は、プラズマを維持するのに使用することができるため、該プラズマは、(該プラズマを持続させるのに必要なバイアスより小さい)上記ウェーハに対する比較的低いバイアスで該ウェーハをスパッタすることができる。スパッタリングのしきい値に一旦達すると、特定のウェーハバイアスの場合、ターゲット156に印加されるDC電力(“DCターゲット電力”)と比べて、ワイヤコイル151に印加されるRF電力(“RFコイル電力”)の比は、スパッタエッチングと堆積との関係に影響を及ぼす。例えば、RF電力とDC電力との比が高ければ高い程、スパッタエッチングは、増加したイオン化、および上記ウェーハに対する増加したイオン衝撃流によりより多く行われることになる。上記ウェーハバイアスを増加させること(例えば、支持ペデスタル162に供給されるRF電力を増加させること)は、スパッタリング能力を増し、エッチング速度を増加させる、生じるイオンのエネルギを増すことになる。例えば、ペデスタル162に印加するRF信号の電圧レベルを増加させると、上記ウェーハに入射するイオンのエネルギが増加すると共に、ペデスタル162に印加されるRF信号のデューティサイクルを増加させると、入射イオンの数が増加する。
[0081]従って、上記ウェーハバイアスの電圧レベル及びデューティサイクルは、スパッタリング速度を制御するために調節することができる。また、DCターゲット電力を低く保つことは、堆積に利用可能なバリア材料の量を減らすことになる。ゼロのDCターゲット電力は、スパッタエッチングのみをもたらすことになる。高RFコイル電力及びウェーハバイアスと結合した低いDCターゲット電力は、同時のビア側壁堆積及びビア底部スパッタリングをもたらすことができる。従って、上記プロセスは、上記材料物質及び該構造のために調整することができる。200mmウェーハの一般的な3:1のアスペクト比の場合、タンタルまたはタンタルナイトライドをバリア材料として用いると、連続的に印加される(例えば、100%デューティサイクル)500W〜1kWのDCターゲット電力、2〜3kW以上のRFコイル電力、250W〜400W以上のウェーハバイアスで、上記ウェーハ側壁へのバリア堆積及び上記ビア底部からの材料の除去が可能になる。上記DCターゲット電力を低くすればする程、上記側壁に堆積される材料物質は少なくなる。上記DCターゲット電力を高くすればする程、上記ビアの底部をスパッタするのに必要なRFコイル電力および/またはウェーハバイアス電力は多くなる。例えば、コイル151に対する2kWのRFコイル電力レベル及びペデスタル162に対する、100%デューティサイクルの250WのRFウェーハ電力レベルは、同時堆積/スパッタエッチングに用いることができる。同時堆積/スパッタエッチングの間、最初は、(例えば、特定の構造/材料により、数秒間またはそれ以上)ウェーハバイアスを印加せずに、充分なビア側壁の被覆を可能にして、該ビアの底部からスパッタエッチングされた材料物質による該側壁の汚染を防ぐことが好ましい。
[0082]例えば、ビア349の同時堆積/スパッタエッチングの間、最初はウェーハバイアスをかけないことにより、堆積/スパッタエッチング工程の残りの間に、スパッタされた銅原子が層間絶縁体345を汚染するのを防ぐ、層間絶縁体345の側壁上への最初のバリア層の形成を容易にすることができる。別法として、堆積/スパッタエッチングは、同じチャンバ内で“連続的に”実行してもよく、あるいは、第1の処理チャンバ内でバリア層351を堆積した後、異なる第2の処理チャンバ(例えば、アプライドマテリアルズ社のPreclean IIチャンバ等のスパッタエッチングチャンバ)内でバリア層351及び銅酸化物層347a’をスパッタエッチングすることによって実行することができる。
[0083]第2のライナー層371の堆積及び底部被覆の薄膜化に続いて、銅配線348を形成するために、第2のメタル層347bが堆積される(図9b)。第2の銅層347bは、図9bに示すように、第2のライナー層371を覆う、および各ビアの底部に露出する第1の銅層347aの一部を覆う被覆として、または銅プラグ347b’として堆積させることができる。銅層347bは、銅シード層を含んでもよい。第1及び第2の銅層347a、347bは、バリア層351または第2のライナー層371を介して接触しているのではなく、直接接触しているため、銅配線348の抵抗は、ビア間漏れ電流と同様に低くすることができる。しかし、ある用途においては、上記ビアの底部に、上記ライナー層またはバリア層あるいはその両方の被覆を残すことが好ましいことを認識されたい。
[0084]上記配線が、上記ライナー層と異なる導電性金属で形成される場合、該配線層は、該異なる導電金属からなるターゲットを有するスパッタチャンバ内で堆積することができる。該スパッタチャンバは、SIP型またはICP型であってもよい。しかし、現在の銅シード層の堆積は、図10と共に以下に説明する種類のチャンバ内で行うことが好ましい。上記メタル配線は、他の種類のチャンバ内での別の方法及びCVD及び電気化学メッキを含む装置によって堆積してもよい。
[0085]銅シード層は、図10の概略断面図に示すような別のプラズマスパッタリングリアクタ410によって堆積してもよい。リアクタ410、及びシード及び他の層を形成するための種々のプロセスは、2001年11月14日に出願された、同時係属の出願第09/993,543号明細書(代理人登録番号6265)に記載されており、その全体を本願明細書に組み入れる。該明細書に記載されているように、真空チャンバ412は、電気的に接地されている概して円筒形の側壁414を含む。一般的には、該側壁をスパッタ被覆から保護するために、側壁414の内側に、図示していない接地された交換可能なシールドが設けられているが、該シールドは、真空を保持することを除いて、チャンバ側壁として機能する。スパッタされる金属からなるスパッタリングターゲット416は、電気的アイソレータ418を介してチャンバ412に密封されている。ペデスタル電極422は、ターゲット416と対向して平行にスパッタ被覆されるウェーハ424を支持する。処理空間は、ターゲット416と、上記シールドの内側のウェーハ424との間に形成される。
[0086]スパッタリング作用ガス、好ましくはアルゴンは、マスフローコントローラ428を介してガス供給部426から上記チャンバ内に計量供給される。図示しない真空ポンピング装置は、チャンバ412の内部を、通常10-8トル以下の非常に低いベース圧力に維持する。プラズマの点火中、アルゴンの圧力は、5ミリトル程度のチャンバ圧力を生成する量で供給されるが、後述するように、該圧力は、その後減少する。DC電源434は、ターゲット416に−600VDC程度の負の電位のバイアスをかけて、上記アルゴン作用ガスを、電子及び正のアルゴンイオンを含むプラズマに励起させる。該正のアルゴンイオンは、負のバイアスをかけられたターゲット416に引き付けられ、該ターゲットから金属原子をスパッタする。
[0087]本発明は、特に、小さな入れ子状のマグネトロン436が、ターゲット416の後ろの図示されていないバックプレート上に支持されているSIPスパッタリングに対して有用である。チャンバ412及びターゲット416は、概して円筒形で、中心軸438周りに対称的である。SIPマグネトロン436は、第1の垂直磁極性の内側磁極440と、対向する第2の垂直磁極性の外側を囲む磁極442とを含む。両極とも、磁気ヨーク444によって支持され、かつ該ヨークを介して磁気結合されている。ヨーク444は、中心軸4438に沿って伸びる回転軸448に支持されている回転アーム446に固着されている。軸448に結合されたモータ450は、マグネトロン436を中心軸438周りに回転させる。
[0088]不平衡マグネトロンにおいては、外側極442は、好ましくは、少なくとも150%の磁力比を有する、内側極440によって形成されるものよりも大きな領域に一体化された総磁束を有する。対向する磁極440、442は、ターゲット416の面に平行で近接する強力な成分を有する、概して半トロイダルな磁界をチャンバ412の内部に形成して、そこに高密度プラズマを生成し、それによりスパッタリング速度を高め、かつスパッタされた金属原子のイオン化量を増大させる。外側極442は、内側極440よりも磁気的に強力であるため、外側極442からの磁界の一部は、外側極442の後ろに戻ってループを形成して磁気回路を完成する前に、ペデスタル422の方へ突出する。
[0089]例えば、13.56MHzの周波数を有するRF電源454は、ウェーハ424に対して負の自己バイアスをかけるために、ペデスタル電極422に接続されている。該バイアスは、隣接するプラズマのシースを横切る正に帯電した金属原子を引き付け、それにより、層間ビア等の、上記ウェーハ内の高アスペクト比ホールの側部及び底部を被覆する。
[0090]SIPスパッタリングにおいては、上記マグネトロンは、小さく、かつ高い磁気強度を有し、プラズマ密度が、ターゲット416近傍で約10-10cm-3まで上昇するように、大量のDC電力が該ターゲットに印加される。このプラズマ密度がある場合には、大量のスパッタされた原子が、正に帯電した金属イオンにイオン化される。金属イオン密度は充分高いため、大量のイオンが上記ターゲットに戻って引き付けられて、さらに多くの金属イオンがスパッタされる。その結果、該金属イオンは、アルゴンイオンをスパッタリングプロセスにおける有効な作用種として少なくとも部分的に置換する。すなわち、アルゴン圧力を低減することができる。低減された圧力は、金属イオンの散乱及び脱イオン化を低減するという効果を有する。銅スパッタリングの場合、ある条件下で、持続性自己スパッタリング(SSS)と呼ばれるプロセスにおいて、プラズマが一旦点火されると、アルゴン作用ガスを完全に除去することが可能である。アルミニウムまたはタングステンスパッタリングの場合、SSSは不可能であるが、上記アルゴン圧力は、従来のスパッタリングで用いる圧力よりもかなり低減することができ、例えば、1ミリトル未満に低減することができる。
[0091]本発明の一実施形態においては、永久磁石462からなる補助アレイ460が、チャンバ側壁414の周囲に配置され、該アレイは、ウェーハ424に向かって、処理空間の半体内に概して配置されている。この実施形態において、補助磁石462は、磁界の不平衡な部分を外側極442から引っ張るために、入れ子状マグネトロン436の外側極442と同じ第1の垂直磁極性を有する。以下に詳細に説明する実施形態においては、8つの永久磁石があるが、中心軸438の周りに配置された4つまたはそれ以上のどのような数でも、同様の良好な結果をもたらす。補助磁石462を、チャンバ側壁414の内側、好ましくは、薄い側壁シールドの外側に配置して、処理領域における有効な強度を増加させることが可能である。しかし、全体的な処理結果にとっては、側壁414の外側での配置が好ましい。
[0092]上記補助磁石アレイは、円形の対称的な磁界を形成するために、中心軸438の周りに、概して対称的に配置されている。一方、入れ子状マグネトロン436は、中心軸438の周りに非対称的に配置される磁界配置を有するが、該磁界配置が、回転時間の経過とともに平均化されると、該磁界配置は対称的になる。入れ子状マグネトロン436の形態には、多くの形態がある。最も単純であるがあまり好ましくない形態は、その磁界が、チャンバ軸438からずれている軸の周りに対称的で、かつ入れ子状マグネトロンの軸が、チャンバ軸438周りに回転されるような、円形環状外側極442によって囲まれたボタン中心極440を有する。好ましい入れ子状マグネトロンは、中心軸438の近くに頂点を有し、ターゲット416の周囲近傍に底辺を有する、図11の底面図に示す三角形状を有する。この形状は、磁界の時間平均が、円形の入れ子状マグネトロンの場合よりもより均一であるため、特に有利である。
[0093]回転周期中の特定の瞬間における有効な磁界を、図10に点線で示す。半トロイダル磁界BMは、ターゲット416の面と平行で接近した強い水平成分を生じ、それにより、プラズマの密度、スパッタリング速度及びスパッタされた粒子のイオン化を増加させる。補助磁界BA1、BA2は、補助磁石アレイ460からの磁界と、入れ子状マグネトロン436の磁界の不平衡部分の合計である。入れ子状マグネトロン436から離れた上記チャンバの側では、入れ子状マグネトロン436の磁界の不平衡部分からの成分BA1が優勢であり、該成分は、ウェーハ424の方までは及んでいない。しかし、入れ子状マグネトロン436の側のチャンバ側壁414の近傍では、補助磁石462は、外側磁極442と強く結合しており、ウェーハ424の方まで突出する磁界成分BA2を生成する。図の平面の範囲外では、上記磁界成分は、2つの成分BA1、BA2を組み合わせたものである。
[0094]この構造は、補助磁石442及び強力な外側磁極442のアライメントのため、強力な垂直磁界が、その周りで動く入れ子状マグネトロン436の下の領域内で、チャンバ側壁414の実質的な長さの近傍に沿って形成されるという結果をもたらす。その結果として、最も強くスパッタされるターゲット416の領域に隣接するチャンバ412の外側に、強力な垂直磁界が存在する。この突出する磁界は、プラズマの領域を広げること、およびイオン化した粒子をウェーハ424に案内することの両方に有効である。
[0095]補助磁石アレイ460は、そのうちの1つは、図12に正射投影法で示されている、2つの半円形磁石キャリア470の使用によって実施することができる。各キャリア470は、その内部に面し、かつ1つの磁石462を含む各磁石アセンブリ474を収容するような大きさになっている4つの凹部472を含む。磁石アセンブリ474は、円弧状の上方クランプ部材476と、下方クランプ部材478とを含み、該部材は、2つのネジ480が、2つのクランプ部材476、478を締め付けたときに、円筒形の磁石462を凹部内に捕える。キャリア470及びクランプ部材476、478は、アルミニウム等の非磁性材料で形成してもよい。下方クランプ部材478は、凹部472に嵌まるような長さを有するが、上方クランプ部材476は、凹部472を越え、かつそこを貫通して2つのスルーホール482が穿孔されている端部を有する。2つのネジ484は、各スルーホールを通って、ネジ484を、磁石キャリア470のネジ穴486に固定できるようにし、それによって磁石462を磁石キャリア470上の定位置に固定する。このように組み立てられた2つの半円形磁石キャリア470はチャンバ壁部414の周囲のリング内に配置されて、従来の固定手段によって固定される。この構造は、磁石462を、チャンバ壁部414の外部に直接隣接して配置する。
[0096]Wei Wangの電磁石コイルの内側に形成されたソレノイド磁界は、永久磁石の環状アレイによって形成された周囲の双極子磁界よりも、上記リアクタチャンバの直径にわたってより均一である。しかし、永久磁石462を、図13の断面図に示すような、チャンバ壁の周囲に配置された電磁気コイル490からなる環状アレイと置き換えることによって、同じような形状の双極子磁界を形成することが可能である。コイル490は、一般に、中心軸438と平行な各軸周りのヘリックスとして巻回されており、上記チャンバの内側に、ほぼ同じ磁気双極子界を形成するように電気的に作動される。このようなデザインは、上記補助磁界の強度及び該磁界の極性の迅速な調整を可能にするという利点を有する。
[0097]本発明は、銅のSIPスパッタリングに適用してきた。従来のSIPリアクタは、シート抵抗測定値により決まる9%の非均一性を有する銅膜をスパッタするが、上記補助マグネトロンは、ある実施形態においては、1%の非均一性を生じるように最適化できると考えられる。均一性の改善は、ある用途における改良されたプロセス制御のためには好ましい、深いホール内への薄い銅シード層の堆積の場合、ある適用においては、低減された堆積速度を伴う可能性がある。
[0098]本発明を、SIPスパッタリアクタでの使用のために説明してきたが、上記補助永久磁石アレイは、米国特許第6,251,242号明細書のSIPリアクタの環状アーチ型のターゲット、米国特許第6,179,973号明細書または2000年7月/8月、J.Vac.Sci TechnologyのKlawuhn等による「進歩したメタライゼーションのための中空カソードマグネトロンソースを用いたイオン化された物理気相堆積」の中空カソードターゲット、米国特許第6,045,547号明細書の誘導結合IMPリアクタ、あるいは、例えば、2000年のIEEEのWada等による「イオンリフレクタを有する自己イオンスパッタリング(SIS)を用いた、0.13μm技術世代のためのCuデュアルダマシンプロセス」に記載されているようなイオンリフレクタを使用して、基板へのイオン流を制御する自己イオンスパッタリング(SIS)システム等の他のターゲット及び電力構成に対して有利に適用することができる。平衡マグネトロン及び静止型等の他のマグネトロン構成も用いることができる。さらに、上記補助磁石の極性は、上部マグネトロンの外側極の磁極性と平行または非平行にしてもよい。Al、Ta、Ti、Co、W等及び耐熱性金属からなる窒化物を含む他の材料物質をスパッタしてもよい。
[0099]従って、上記補助磁石アレイは、マグネトロンスパッタリングに有用な磁界の追加的な制御を実現できる。しかし、部分的に中性なイオン流でより深いホール被覆を実現するには、ターゲット416とウェーハ424との距離を長くすること、すなわち、ロングスローモードで作動させることが好ましい。図4のチャンバと共に上述したように、ロングスローにおいては、ターゲット・基板間の間隔は、通常、該基板の口径の半分よりも大きい。SIP銅シード堆積で使用する場合、好ましくは、200mmウェーハの場合、140%ウェーハ口径よりも大きく(例えば、290mm間隔)、300mmウェーハの場合130%以上(例えば、400mm間隔)であるが、基板口径の90%以上及び100%以上を含む80%以上の間隔が適切であると考えられる。たいていの用途の場合、50〜1000mmのターゲット・ウェーハ間の間隔が適切であると考えられる。従来のスパッタリングにおけるロングスローは、スパッタリング堆積速度を低減するが、イオン化したスパッタ粒子には、そのような大きな減少という欠点がない。
[00100]図4のチャンバ及び図10のチャンバによって形成できる構造からなる一実施形態は、図14aに断面で示すビアである。シード銅層492は、図10のチャンバによって、ビアホール494内で、SIP及びICPを促進する条件下で、上述のTaNバリア351、364及びTaライナー層371、374等の1つまたはそれ以上のバリア及びライナー層を含んでもよい、図4のチャンバ内で形成されたライナー層を覆って堆積される。SIP銅層492は、例えば、50〜300nm、または、より好ましくは80〜200nmの厚みを被覆するために堆積してもよい。SIP銅シード層492は、好ましくは、上記ビア側壁上で、2〜20nm、より好ましくは、7〜15nmの範囲の厚さを有する。狭いホールのため、50nmを超える上記側壁の厚さは、ある用途に対しては最適ではない可能性がある。該膜の品質は、ある用途においては、上記ペデスタルの温度を、0℃以下、好ましくは−40℃以下に低下させることによって改善することができる。このような適用においては、迅速なSIP堆積が有利である。
[00101]例えば、スパッタリングチャンバ410が、銅層の堆積のために構成されている場合、銅ターゲット416が使用される。動作中、上記チャンバ排気口に操作可能に結合されたスロットルバルブは、プロセスガスの該チャンバ内への導入前に、堆積チャンバ410を、約1×10-8トルの所望の低い真空レベルに維持するために、中間位置に配置される。スパッタリングチャンバ410内での処理を開始するために、ガスインレット428を介して、スパッタリングチャンバ410内に、アルゴンガスが流入される。ロングスローSIPチャンバ内での銅シードの堆積の場合、0〜2mトル等の非常に低い圧力が好ましい。図示の実施形態においては、0.2mトルの圧力が適切である。DC電力は、DC電源434を介して銅ターゲット416に印加される(同時に、上記ガス混合物は、ガスインレット360を介してスパッタリングチャンバ410内に流入され続け、該チャンバから適当なポンプを介して供給される)。ターゲット416に印加される電力は、銅ターゲットの場合、200mmウェーハに対して20〜60kWの範囲でもよい。一つの実施例においては、電源434は、銅ターゲット416に、−600VDCで38kWを印加することができる。300mmウェーハ等の大きなウェーハの場合、56kW等のより大きな値が適切であることが予想される。特定の用途により、他の値を用いてもよい。
[00102]ターゲット416に印加されるDC電力は、アルゴンに、SIPプラズマを形成させ、かつターゲット材料(例えば、銅)をそこから射出させるターゲット416に引き付けられて衝突するアルゴンイオンを生成させる。射出したターゲット材料は、移動して、ペデスタル422によって支持されたウェーハ424上に付着する。上記SIPプロセスによれば、上記不平衡マグネトロンによって生成されたプラズマは、スパッタされた銅の一部をイオン化する。基板支持ペデスタル422に印加されるRF電力信号を調節することにより、基板支持ペデスタル422とプラズマとの間に、負のバイアスを形成することができる。
[00103]ペデスタル422に印加される電力は、銅シード堆積の場合、0〜1200Wの範囲であってもよい。一実施例においては、RF電源454は、200mmウェーハの場合、ペデスタル422に300W印加することができる。300mmウェーハ等のより大きなウェーハの場合には、より大きな値が適切であると予想される。特定の用途により、他の値を用いることもできる。
[00104]基板支持ペデスタル422とプラズマとの間の負のバイアスは、銅イオン及びアルゴンイオンを、ペデスタル422及び該ペデスタル上に支持されたウェーハの方へ加速させる。従って、中性及びイオン化した銅を、該ウェーハ上に堆積させることができ、SIPスパッタリングに従って良好な底部、側壁及び上方側壁被覆性を実現できる。また、上記ウェーハ、ターゲット416からの銅材料が、該ウェーハ上に堆積すると同時に、上記アルゴンイオンによってスパッタエッチングしてもよい(例えば、同時堆積/スパッタエッチング)。
[00105]シード層492の堆積の後または間に、ビア494の底部496におけるシード層492の一部は、該底部の再配分が好ましい場合、図14Bに示すようなアルゴンプラズマによってスパッタエッチングまたは再スパッタしてもよい。底部496は、図14Bに示すように、上記銅シード層の底部角部領域498の被覆厚を増加させるために再配分してもよい。たいていの用途においては、上記ビア全体にわたる適切なシード層被覆を形成するために、銅シード層の底部496が、完全に除去されていないことが好ましい。
[00106]上記アルゴンプラズマは、好ましくは、この再スパッタリング工程において、電力を上記ターゲット及びペデスタルに印加することによってSIPプラズマとして生成される。SIPアルゴンイオンは、電界によってシード層492の方へ加速され(例えば、負の自己バイアスを該ペデスタル上に形成する、図10の第2のRF電源454を介して基板支持ペデスタル422に印加されるRF信号)、シード層492にぶつかり、運動量の伝達により、ビア開口の底からのシード層材料をスパッタし、ビア349の底部角部を被覆するシード層492の一部498に沿って該材料を再配分する。
[00107]上記アルゴンイオンは、上記基板とほぼ直角な方向で該基板に引き付けられる。その結果、上記ビアの側壁のスパッタリングはほとんど起きないが、該ビアの底部の実質的なスパッタリングが行われる。この実施形態におけるスパッタリングチャンバ410(図10)内での銅シード層の再スパッタリングの間、ペデスタル422に印加される電力は、例えば、該銅シード層の底部の再配分を容易にするために、例えば600〜1200Wあるいは900Wの高い値まで増加させることができる。すなわち、この実施例においては、上記ペデスタル電力は、上記再スパッタリングの再配分効果を強めるために、600W以下のレベル(例えば、300W)から,600W以上のレベル(例えば、900W)まで上昇する。
[00108]他の実施例においては、ターゲット416に印加される電力は、上記銅シード層の底部の再配分を容易にするために、ターゲット416からの付着を妨げるように、例えば、30kWまたは28kW等の低い値に低減することができる。ゼロのターゲット電力ではなく、低いターゲット電力レベルは、より均一なプラズマを生成することができ、シード層の底部の再配分のために、現在ターゲット電力が低減される実施形態においては好ましい。従って、この実施例においては、上記ターゲット電力は、再スパッタリングを強めるために、30000(例えば、38kW)を超えるレベルから30000W(例えば、28kW)未満レベルに低下される。
[00109]さらに別の実施例においては、上記銅シード層の底部の再スパッタリングは、上記ターゲット及びペデスタルの電力レベルを、該シード層の堆積中に、比較的一定に維持できるように(例えば、それぞれ38kW及び300kW)、該銅シード層堆積全体にわたって同時に実行してもよい。他の実施形態においては、ターゲット電力の低減は、シード層の底部の再配分を容易にするために、ペデスタル電力の増加と交互に行うか、または該ペデスタル電力の増加と組み合わせてもよい。
[00110]上記再スパッタリングプロセスのパラメータの特定の値は、特定の用途により変化してもよい。同時係属または発行された出願第08/768,058号、同第09/126,890号、同第09/449,202号、同第09/846,581号、同第09/490,026号及び同第09/704,161号は、再スパッタリングプロセスについて記載しており、それらの出願全体を本願明細書に組み入れる。
[00111]SIP銅シード層492は、良好な底部及び側壁被覆性と、強化された底部角部被覆性とを有する。銅シード層492が堆積された後、上記ホールは、好ましくは、シード層492を電気メッキ電極のうちの1つとして用いる電気化学メッキにより、図1に示すように、銅層18によって充填される。別法として、SIPシード層492の円滑な構造は、リフローまたは標準的なスパッタリングまたは物理気相堆積(PVD)による銅の高温堆積を促進する。
[00112]図4及び10のチャンバは、イオン化した及び中性の原子流を共に用いる。その全体を本願明細書に組み入れる米国特許第6,398,929号明細書(代理人登録番号3920)に記載されているように、DCマグネトロンスパッタリングリアクタ内でのイオン化した及び中性の原子流の配分は、絶縁層内のホール内に有利な層を形成するように調整することができる。このような層は、それ自体により、あるいは、化学気相堆積(CVD)により、スパッタした銅核形成層を覆って堆積された銅シード層と共に用いることができる。銅ライナー層は、電気メッキした銅のための薄いシード層として特に有用である。
[00113]従来のDCマグネトロンスパッタリングリアクタは、従来の作用ガススパッタリング、または持続性自己スパッタリングに注力してきた。この2つアプローチは、異なる種類のスパッタリングを強調する。一方、上記銅ライナーのためのリアクタは、イオン化した銅原子と中性粒子の間の配分を制御するために、従来技術の様々な態様を組み合わせることが好ましい。このようなリアクタ550の実施例を、図15の概略断面図に示す。図4、10及び13のリアクタは、カリフォルニア、サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なEndura PVDリアクタの変更に基づいている、図15のリアクタの態様を用いてもよい。リアクタ550は、一般に金属からなり、かつ電気的に接地され、ウェーハ558上にスパッタ堆積される、この場合銅または銅合金である材料物質かなる表面部分を少なくとも有するPVDターゲット556に対して、ターゲットアイソレータ554によって密封された真空チャンバ552を含む。合金元素は、通常、5重量%未満であり、また適切なバリアが別な方法で形成される場合、本質的に純粋な銅を使用してもよい。ウェーハクランプ560は、ウェーハ558をペデスタル電極562上に保持する。ペデスタル562内の図示しない抵抗性ヒータ、冷却流路及び熱伝達ガスキャビティは、該ペデスタルの温度を−40℃未満の温度に制御できるようにし、それにより該ウェーハの温度を同様に制御できるようにする。
[00114]第2の絶縁シールドアイソレータ568によって絶縁されたフローティングシールド564と接地シールド566は、チャンバ552内に保持されて、チャンバ壁552をスパッタされた材料物質から保護する。接地シールド566は、カソードターゲット556と対向するアノード接地面としても作用し、それによりプラズマを容量的に支持する。いくつかの電子は、フローティングシールド564上に堆積して、そこに負の電荷を蓄積する。該負の電位は、さらなる電子が堆積されるのを防止するだけではなく、該電子を主要なプラズマ領域内に閉じ込めて、電子の損失を低減し、低圧スパッタリングを持続させ、プラズマ密度を増加させる。
[00115]上記ターゲット及びシールドの詳細を、図16の拡大断面図に示す。ターゲット556は、銅ターゲット部572がはんだ接合または拡散接合されるアルミニウムまたはチタン支持プレート570を含む。支持プレート570のフランジ573は、好ましくは、アルミナ等のセラミックで構成されているターゲットアイソレータ554上に載置され、かつ重合ターゲットOリング574を介してターゲットアイソレータ554に対して真空密閉されている。ターゲットアイソレータ554は、実際には、主チャンバ本体に対して密封されたアルミニウムアダプタであってもよいチャンバ552上に載置され、かつアダプタOリング575を介して該チャンバ552に対して真空密封されている。メタルクランプリング576は、その内側径方向側部に、上方に伸びる環状リム577を有する。図示しないボルトは、メタルクランプリング576を、チャンバ552の内側に伸びる棚部578に固定して、接地シールド566のフランジ579を捕捉する。それによって、接地シールド566は、接地されたチャンバ552に、機械的かつ電気的に接続される。
[00116]シールドアイソレータ568は、クランプリング576上に自由に載置し、かつアルミナ等のセラミック材で機械加工できる。該アイソレータは、コンパクトであるが、上記リアクタの温度サイクル中に強度をもたらす小さな幅と比較して、165mm程度の比較的大きな高さを有する。シールドアイソレータ568の低部は、クランプリング576のリム577の外側に嵌合する内側環状凹部を有する。リム577は、クランプリング576に対して、シールドアイソレータ568の内径をセンタリングするように作用するだけではなく、主処理領域に達してから、セラミックシールドアイソレータ568とメタルリングクランプ576との間のスライド面580で生成されたいかなるパーティクルに対してもバリアとして作用する。
[00117]フローティングシールド564のフランジ581は、シールドアイソレータ568上に自由に載置され、かつその外側に、シールドアイソレータ568の上方外側角部に形成された環状凹部内まで下方に伸びるタブまたはリム582を有する。それによって、タブ582は、シールドアイソレータ568の外径において、ターゲット556に対してフローティングシールド564をセンタリングする。シールドタブ582は、プラズマ暗黒部を位置合わせするには充分小さいが、シールドアイソレータ568のジャミングを防ぐには充分大きい狭い間隙によって、シールドアイソレータ568から分離されており、フローティングシールド581は、タブ582の内側上部のスライド接触領域583において、シールドアイソレータ568上に載置されている。
[00118]フローティングシールド564のヘッド585とターゲット556との間には、狭いチャネル584が形成されている。該チャネルは、プラズマ暗黒部として作用する約2mmの幅を有する。狭いチャネル584は、図示よりもさらに径方向内側に伸びる経路内で、支持プレートフランジ574の下方に突出する隆起部586を通って、シールドヘッド585とターゲットアイソレータ554との間の上方裏間隙584aへ続いている。これらの構成要素の構造及びそれらの特性は、Tang等により、1998年10月30日に出願された米国特許出願09/191,253号明細書に開示されているものと同様である。上方裏間隙584aは、室温で約1.5mmの幅を有する。上記シールド要素が温度サイクルにさらされると、該要素は、変形する傾向がある。ターゲット556に隣接する狭いチャネル584よりも小さな幅を有する上方裏間隙584aは、狭いチャネル584内にプラズマ暗黒部を維持するには充分である。該裏間隙584aは、下方に向かって、内側のシールドアイソレータ568及びリングクランプ576と、外側のチャンバ本体552との間の低部裏間隙584b内に続いている。低部裏間隙584bは、セラミックシールドアイソレータ568、クランプリング576、フローティングシールド564間のスライド面580、583で発生したセラミック粒子を集めるキャビティとして機能する。また、シールドアイソレータ568は、その上方内側角部に、その径方向内側のスライド面583からセラミック粒子を集める中空凹部583aを含む。
[00119]フローティングシールド564は、フランジ581から下方に伸び、かつその低い方の端部が、接続部592を介して狭い低部円筒形部分590に接続された、下方に伸びる幅広の上部円筒形部分588を含む。同様に、接地シールド566は、フローティングシールド564の上方円筒形部分588の外側、すなわち該上方円筒形部分よりも幅広の上方円筒形部分594を有する。接地された上方円筒形部分594は、その上端部が接地シールドフランジ580に、またその低端部が、上記チャンバの径方向に伸びる接続部598を介して狭い低部円筒形部分596に接続されている。接地された低部円筒形部分596は、フローティング低部円筒形部分590の外側に嵌合し、それに伴って該フローティング低部円筒形部分よりも幅広になっているが、フローティング上方円筒形部分564よりは、約3mmの径方向間隔だけ小さい。2つの接続部分592、598は、垂直方向及び水平方向にずれている。それにより、フローティングシールド564と接地シールド566との間には、2つの垂直チャネル部の間に直進する視線を保障しない、接地低部円筒形部分596とフローティング上方円筒形部分564との間のずれを有する迷路状の狭いチャネル600が形成される。チャネル600の目的は、2つのシールド564、566を電気的に絶縁すると共に、クランプリング576及びシールドアイソレータ568を銅の堆積から保護することである。
[00120]シールド564、566の低部円筒形部分590、596間のチャネル600の低部は、4:1以上、好ましくは、8:1以上のアスペクト比を有する。チャネル600の低部は、具体例としての0.25cmの幅及び2.5cmの長さを有し、好ましい範囲は、0.25〜0.3cm及び2〜3cmである。それによって、チャネル600を通るどのような銅イオン及び散乱した銅原子も、更にクランプリング576及びシールドアイソレータ568の方への経路が見つかる前に、該シールドから数回跳返り、上方の接地円筒形部分594によって少なくとも停止することになる。どの1度の跳返りも、上記シールドにより吸収されるイオンを生じやすい。2つの接続部592、598間のチャネル600における2つの隣接する90度の曲がりまたは湾曲は、更にシールドアイソレータ568を銅プラズマから絶縁する。同様であるが限定された効果は、60度の湾曲や45度の湾曲でも実現することができるが、より効果的な90度の湾曲は、上記シールド材に形成するのに容易である。該90度の曲がりは、あらゆる方向から来る銅粒子が、少なくとも1度の高角度の衝突を有し、それにより、上方接地円筒形部分594により停止されるほとんどのエネルギを失うことになる可能性を増すため、かなり有効である。また該90度の曲がりは、クランプリング576及びシールドアイソレータ568を、銅粒子に直接更されることから保護する。銅は、フローティング接続部592の底部における水平面上、および垂直上方接地円筒形部分594上の、共に上記90度の曲がりのうちの1つの端部に優先的に堆積することが分かってきている。また、入り組んだチャネル600は、接地シールド566の水平接続部598上での処理中に、シールドアイソレータ568から生成されたセラミック粒子を集める。このように集められた粒子は、そこで集められた銅にくっつきやすい。
[00121]図15に戻って、接地シールド566の低部円筒形部分596は、ウェーハ558を支持するペデスタル562の上部の裏のウェルに向かって下方に続いている。そして、接地シールド566は、カップ状部分602内で径方向内側に続いた後、ウェーハ558のペデスタル562の径方向外側に離間した略持ち上げのために最も内側の円筒形部分604において垂直上方に続いている。
[00122]シールド564、566は、一般に、ステンレス鋼で構成されており、それらの内側面は、該面上に堆積した銅スパッタの付着を促進するために、ビードブラストまたは他の方法で粗面化してもよい。しかし、長いスパッタリングの間のある時点において、銅は、剥がれやすい厚さに堆積して、有害な粒子を生成する。この時点に達する前に、上記シールドは、クリーニングするか、あるいは、新しいシールドと交換すべきである。しかし、より高価なアイソレータ554、568は、たいていのメンテナンス期間において交換する必要はない。更に、該メンテナンス期間は、該アイソレータの電気的短絡によってではなく、該シールドの剥がれによって判断される。
[00123]上述したように、フローティングシールド564は、電子電荷を蓄積し、負の電位を蓄積する。それにより、フローティングシールド564に対する更なる電子の損失が防止され、ターゲット556のより近くにプラズマが閉じ込められる。Ding等は、多少似ている構造を用いた同様の効果を、米国特許第5,736,021号明細書に開示している。しかし、図16のフローティングシールド564は、Ding等の対応する部分よりも、ターゲット556からかなり離れて伸びている、その低部円筒形部分590を有しており、それによって、プラズマをより大きな空間にわたって閉じ込める。しかし、フローティングシールド564は、ターゲット556から離れすぎて伸びないように、接地シールド566をターゲット556から電気的にシールドする。長すぎた場合には、プラズマにぶつかるのが困難になるが、短すぎた場合には、電子の損失が増加して、プラズマを低圧で持続させることができず、プラズマ密度が低下する。最適な長さは、フローティングシールド566の総軸長が7.6cmである場合、フローティングシールド566の底部の先端部606が、図16に示すように、ターゲット556の表面から6cm離れている長さであることが分かってきている。銅スパッタリングが持続される最少圧力に対して、3つの異なるフローティングシールドをテストした。1kW及び18kWのターゲット電力に対するその結果を図17に示す。横座標は、総シールド長を示し、シールド先端部606とターゲット556との間の間隔は、1.6cm未満である。該間隔の好ましい範囲は、5〜7cmであり、該長さの好ましい範囲は、6.6〜8.6cmである。該シールド長を10cmまで伸ばすと、上記最少圧力がかなり低減されるが、プラズマにぶつかることの困難さは増す。
[00124]再び図15に戻って、選択可能なDC電源610は、プラズマを点火して維持するために、ターゲット556に、接地シールド566に対して約−400〜−600VDCの負のバイアスをかける。1〜5kWのターゲット電力は、通常、プラズマを点火するのに用いられ、10kW以上の電力は、ここに記載したSIPスパッタリングに好ましい。従来、ペデスタル562及びウェーハ558は、電気的に浮遊されているが、該ペデスタルには、負のDC自己バイアスがかかっている。一方、あるデザインにおいては、ペデスタルに生じる負のDCバイアスを更に制御するために、DCまたはRFバイアスをペデスタル562に印加する制御可能な電源612を使用する。テストした構成においては、バイアス電源612は、13.56MHzで作動するRF電源である。600WまでのRF電力を供給してもよく、200mmウェーハの場合の好ましい範囲は、350〜550Wである。
[00125]ガスソース614は、一般に、化学的に不活性なアルゴンガスである、スパッタリング作用ガスを、マスフローコントローラ616を介してチャンバ552に供給する。該作用ガスは、シールド接地シールド566の底部を通って、あるいは、接地シールド566、ウェーハクランプ560及びペデスタル562間の間隙618を通って、開口を貫通する1つまたはそれ以上のインレットパイプによって、該チャンバの上部に進入することが可能であり、あるいは、図に示すように、その底部に進入することが可能である。幅広のポンピングポート622を介してチャンバ552に接続された真空ポンプ装置620は、該チャンバを低圧に維持する。ベース圧力は、約10-7トルまたはそれ未満に保持することができるが、上記作用ガスの圧力は、従来のスパッタリングにおいては、通常、約1〜1000ミリトルに、SIPスパッタリングにおいては、約5ミリトル以下に維持される。コンピュータをベースとしたコントローラ624は、DCターゲット電源610、バイアス電源612及びマスフローコントローラ616を含むリアクタを制御する。
[00126]効果的なスパッタリングを可能にするために、ターゲット556の裏にマグネトロン630が配設されている。該マグネトロンは、磁気ヨーク636に接続され該ヨークによって支持された、対向する磁石632、634を有する。該磁石は、チャンバ552内のマグネトロン630の近傍に磁界を形成する。この磁界は、電子を捕え、電荷が中性の場合、イオン密度も増加して、高密度プラズマ領域638を形成する。マグネトロン630は、通常、モータ駆動軸642によってターゲット556の中心640周りに回転して、ターゲット556のスパッタリングにおける完全なカバレージを実現する。銅の持続性自己スパッタリングを可能にするための充分なイオン化密度の高密度プラズマ638を実現するには、マグネトロン630に隣接する上記領域に供給される電力密度は、高くしなければならない。このことは、Fuが上述の引用特許に記載しているように、DC電源610から供給される電力レベルを増加させることにより、およびマグネトロン630の領域を、例えば、三角形または競馬場の形状に低減することにより実現することができる。その先端部を、ターゲット中心640と略一致させて回転される601三角形マグネトロンは、いつでも上記ターゲットの1/6程度のみをカバーする。SIPスパッタリングが可能な工業用リアクタにおいては、1/4のカバレージが好ましい最大値である。
[00127]電子の損失を減らすために、内側の磁石632及び図示しない磁極面によって表わされる内側磁極は、相当数の開口を有するべきではなく、また外側磁石634及び図示しない磁極面によって表わされる連続した外側磁極によって囲むべきである。更に、イオン化したスパッタ粒子をウェーハ558へ案内するために、外側磁極は、内側磁極よりもかなり高い磁束を生成すべきである。伸びている磁界線は、電子を捕え、それによって、プラズマをウェーハ558の近くまで拡げる。磁束の比は少なくとも150%、好ましくは200%を超えるべきである。Fuの三角形状マグネトロンの2つの実施形態は、同じ強度であるが反対極性の、25個の外側磁石と、6個または10個の内側磁石を有する。
[00128]アルゴンが、上記チャンバ内に入ると、ターゲット556と接地シールド566とのDC電圧差が、該アルゴンを点火してプラズマにし、正に荷電したアルゴンイオンが、負に荷電したターゲット556に引き付けられる。該イオンは、かなりのエネルギでターゲット556にぶつかって、ターゲット原子または原子群をターゲット556からスパッタさせる。上記ターゲット粒子のうちのいくつかは、ウェーハ558にぶつかり、それによって該ウェーハ上に堆積されて、該ターゲット材料からなる膜を形成する。金属窒化物の反応性スパッタリングにおいては、上記チャンバ内に窒素が追加的に入れられて、スパッタされた金属原子と反応し、金属窒化物をウェーハ558上に形成する。
[00129]図示のチャンバは、持続性自己スパッタリングを含む銅の自己イオン化スパッタリングが可能である。この場合、プラズマが点火された後、アルゴンの供給は、SSSの場合には遮断してもよく、銅イオンは、2以上のイールドで銅ターゲットを再スパッタするのに充分高い密度を有する。別法として、低減された流量及びチャンバ圧力で、あるいは純粋な持続性自己スパッタリングを維持するのに不十分なターゲット電力密度と共に、かなりの量であるが低減された量の自己スパッタリングに対して、ある程度のアルゴンを供給し続けてもよい。アルゴン圧力が5ミリトルを超えていちぢるしく増加すると、アルゴンは、銅イオンからエネルギを取り除き、それに伴って自己スパッタリングを減じる。ウェハーバイアスはイオン化された銅粒子をホールの深くまでひきつける。
[00130]しかし、部分てきな中性流でより深いホール被覆を実現するには、ターゲット556とウェーハ558との間の距離を増加させること、すなわち、ロングスローモードで作動させることが好ましい。ロングスローにおいては、ターゲット・基板間の間隔は、通常、基板の口径の半分よりも大きい。使用時には、ウェーハ口径の90%を超えるが好ましいが、基板口径の100%及び140%を含む80%を超えるの間隔が適切であると考えられる。本実施形態の実施例において述べたスローは、200mmウェーハについて説明している。従来のスパッタリングにおけるロングスローは、スパッタリング堆積速度を低減するが、イオン化したスパッタ粒子には、そのような大きな減少という欠点はない。
[00131]従来の(アルゴンをベースとした)スパッタリングと持続自己スパッタリング(SSS)との間の制御された分配は、中性のスパッタ粒子とイオン化したスパッタ粒子との間の配分の制御を可能にする。このような制御は、特に、高アスペクト比のビアホールへの銅シード層のスパッタ堆積に有利である。スパッタ原子のイオン化の制御は、自己イオン化プラズマ(SIP)スパッタリングと呼ばれている。
[00132]本発明によって形成される構造の一実施形態は、図18の断面図に示すビアである。シード銅層650は、例えば、図15のロングスロースパッタリアクタを使用して、SIPを促進する条件下で、バリア層24を覆ってビアホール22内に堆積される。SIP銅層650は、例えば、50〜300nm、より好ましくは、80〜200nmの被覆厚に堆積される。SID銅シード層650は、好ましくは、上記ビアの側壁上に、2〜20nm、より好ましくは、7〜15nmの範囲の厚さを有する。狭いホールのため、上記側壁の厚さは、50nmを越えるべきではない。該膜の品質は、迅速なSIP堆積により与えられる冷たさが重要になるので、上記ペデスタルの温度を、0℃未満、好ましくは−40℃未満に下げることにより改善される。
[00133]SIP銅シード層650は、良好な底部被覆性及び強められた側壁被覆性を有する。バリア層24を直接覆って堆積されたIMPまたはCVD銅よりもはるかに滑らかであることが実験的に分かっている。銅シード層650が堆積された後、上記ホールが、好ましくは、シード層650を電気メッキ電極のうちの1つとして用いた電気化学メッキにより、図1に示すように銅層118で充填される。しかし、SIP銅シード層650の滑らかな構造は、一般的なスパッタリングまたは物理気相堆積(PVD)によるリフローまたは銅の高温堆積を促進する。
[00134]このようなシード層を、0.20μm幅のビアホール内に1.2μm厚の酸化膜で堆積するいくつかの実験をSIPで行った。ターゲット・基板間の間隔が290mm、チャンバ圧力が0.1ミリトル以下(SSSモードを表わす)、および601三角形状マグネトロンによって上記ターゲットに印加されるDC電力が14kWの場合、上記酸化膜の上面に0.2μmの被覆厚の銅を形成する堆積は、上記ビア底部に18nm、上記ビア側壁に約12nm形成する。30秒以下の堆積時間が一般的である。上記ターゲット電力を18kWに増加させると、上記底部被覆性は、側壁の厚さの顕著な変化を伴うことなく、37nmに増加する。高電力での高い底部被覆性は、高いイオン化量を示す。どちらの場合も、堆積した銅膜は、IMPまたはCVD銅よりもかなり滑らかであることが観察される。
[00135]0.2μm/分のIMP堆積速度と比較して、SIP堆積は、比較的速く、0.5〜1.0μm/分である。速い堆積速度は、短い堆積期間をもたらし、またアルゴンイオンの加熱がない場合には、熱量をかなり低減する。低温SIP堆積は、非常に滑らかな銅シード層をもたらすと考えられる。
[00136]290mmのスローは、10個の内側磁石及び25個の外側磁石を用いるFuの標準的な三角形状マグネトロンと共に用いられた。イオン電流は、様々な条件下での、上記ターゲットの中心からの半径の関数として測定された。その結果を、図19のグラフにプロットする。曲線660は、16kWのターゲット電力及び0ミリトルのチャンバ圧力の場合に測定された。曲線662、664、664は、18kWのターゲット電力で、それぞれ、0、0.2及び1ミリトルのチャンバ圧力の場合に測定された。これらの電流は、従来のマグネトロン及びスパッタリアクタでの10-9cm-3と比べて、10-11〜10-12cm-3のイオン密度に相当する。ゼロ圧力条件も、銅イオン化量を測定するのに用いられた。空間的な依存性は、DCターゲット電力に対する直接的な依存性によって約10〜20%変化するイオン化量とほぼ同等である。比較的低いイオン化量は、ロングスローを用いないSIPが、従来のPVDの好ましくない深い充填特性を有する可能性がある大量の中性銅流を有する可能性があることを示す。結果は、高電力での動作が、増加したイオン化による良好なステップカバレージに対して好ましいことを示している。
[00137]Fuのマグネトロンにおける内側磁石の数を6個に減らして上記テストを繰り返した。すなわち、第2のマグネトロンは、磁束の均一性が改善されており、それにより、均一なスパッタイオン流を上記ウェーハの方へ促進する。その結果を図20にプロットする。曲線668は、12kWのターゲット電力及び0ミリトルの圧力の場合のイオン電流を、曲線670は、18kWの場合のイオン電流を示す。14kW及び16kWの場合の曲線は、中間である。すなわち、変更したマグネトロンは、上記ウェーハの全域でより均一なイオン電流を生成し、これも、好ましい高電力を有するターゲット電力に依存する。
[00138]10%〜20%の比較的低いイオン化量は、90%〜100%のIMPと比較すると、中性の銅のかなりの流れを示す。ウェーハバイアスは、銅イオンを上記ホール内の深部に案内することができるが、ロングスローは、中性の銅に対して同様のことを行う。
[00139]一連のテストは、スパッタ粒子の配分時に、スローとチャンバ圧力を組み合わせた効果を判断するのに用いられた。ゼロチャンバ圧力では、140mmのスローは、約45度の配分を形成し、190mmのスローは、約35度の配分を形成し、290mmのスローは、約25度の配分を形成する。上記圧力は、190mmのスローの場合変化した。中央の配分は、0、0.5及び1ミリトルの場合、ほぼ同じままである。しかし、低レベルの末端は、最も高い圧力の場合、いくつかの粒子の散乱を示す、ほとんど101にふくらむ。これらの結果は、許容できる結果は、5ミリトル未満で得られるが、好ましい範囲は、2ミリトル未満であり、より好ましい範囲は、1ミリトル未満であり、最も好ましい範囲は、0.2ミリトル以下であることを示す。また、予想されるように、上記配分は、ロングスローの場合に最良となる。
[00140]高アスペクト比のホール内に堆積されたSIP膜は、好ましい上方側壁被覆性を有し、オーバハングを生じにくい。一方、そのようなホール内に堆積されたIMP膜は、良好な底部被覆性及び底部角部被覆性を有するが、側壁膜は、不十分な被覆性を有しやすく、また粗くなりやすい傾向がある。両タイプのスパッタリングの利点は、2工程銅シードスパッタ堆積を用いることによって組み合わせることができる。第1の工程においては、銅が、高密度プラズマを生成するIMPリアクタ内で、例えば、RF誘導電源を使用することにより堆積される。例示的な堆積条件は、20〜60ミリトルの圧力、1〜3kWのRFコイル電力、1〜2kWのDCターゲット電力、および150Wのバイアス電力である。該第1の工程は、良好であるが粗い底部被覆性及び底部側壁被覆性をもたらす。第2の及び好ましくは次の工程において、より少ない銅イオン化を生じる上述したタイプのSIPリアクタ内で、銅が堆積される。例示的な堆積条件は、1トル圧力、18〜24kWのDCターゲット電力及び500Wのバイアス電力である。該第2の工程は、良好で滑らかな上方側壁被覆性をもたらし、そのうえ、すでに堆積されたIMP層を平滑にする。該2つの工程の場合の被覆性膜厚さは、IMP堆積に対して50〜100nm、SIP層に対して100〜200nmの範囲であることが好ましい。被覆厚さは、30:70〜70:30の比率であってもよい。別法として、上記SIP層は、上記IMP層の前に堆積することができる。上記銅シード層が上記2工程プロセスによってスパッタ堆積された後、上記ホールの残りの部分が、例えば、電気メッキによって充填される。
[00141]上記SIP側壁被覆性は、非常に狭い高アスペクト比のビアの場合に、問題となる可能性がある。0.13μm以下のビアのための技術が開発されている最中である。約100nmの被覆厚未満で、側壁被覆は、不連続となる可能性がある。図21の断面図に示すように、好ましくない構造が、SIP銅膜680を、ビア側壁30上にボイドまたは他の欠陥682を含む不連続な膜として形成する可能性がある。欠陥682は、銅の欠乏、あるいは、電気メッキカソードとして局所的に作用できない、銅からなる薄い層の可能性がある。それにもかかわらず、SIP銅膜680は欠陥682を除いて平坦であり、また良好に核を形成する。これらの挑戦的な構造においては、銅CVDシード層684を、SIP銅核形堆積680を覆って堆積することが有利である。該膜は、化学気相堆積によって堆積されるため、該膜は、概して等角であり、SIP銅膜680によって良好に核形成される。CVDシード層684は、ホール22の充填を完全にするために、欠陥682を修繕して、後の銅の電気メッキのために、連続的な、粗くないシード層をもたらす。該CVD層は、アプライドマテリアルズ社から入手できるCuxZチャンバ等の銅堆積のためにデザインされたCVDチャンバ内で、上述した熱プロセスを用いて堆積することができる。
[00142]20nmのCVD銅をSIP銅核形成層及びIMP核形成層に交互に堆積する実験を行った。SIPとの組合せは、比較的滑らかなCVDシード層を形成し、また、IMPとの組合せは、不連続といってもよいかなり粗い面をCVD層内に形成した。
[00143]CVD層684は、例えば、5〜20nmの範囲の厚さに堆積することができる。上記ホールの残りの部分は、他の方法により銅で充填してもよい。SIP銅の核形成層の上面のCVD銅によって形成された非常に平坦なシード層は、形成されている狭いビア内での電気メッキまたは従来のPVD技術により、銅の効率的なホール充填を実現できる。特に電気メッキの場合、上記滑らかな銅核形成層及びシード層は、電気メッキプロセスを促進する連続的でほぼ均一な電極を形成する。
[00144]非常に高いアスペクト比を有するビアまたは他のホールの充填においては、電気メッキを省くこと、およびその代わりに、図22の断面図に示すように、充分に厚いCVD銅層688を、SIP銅核形成層680を覆って堆積して、該ビアを完全に充填することが有利である。CVD充填の利点は、別々の電気メッキ工程の必要性を排除できることである。また、電気メッキは、0.13μm未満の幅のホールでは制御しにくい流体フローを要する。
[00145]本発明のこの実施形態の銅の二重層の利点は、銅の堆積を、比較的低い熱量で実行できるようにすることである。タンタルは、高い熱量で酸化膜からディウェッティングされる傾向がある。IMPは、深いホール充填に対して多くの同じ被覆利点を有するが、IMPは、堆積される層内でエネルギを放散する、強力なアルゴンイオン流を生成するため、かなりの高温で作用する傾向がある。更に、IMPは、ある程度のアルゴンを、堆積された膜内に常に埋め込む。一方、比較的薄いSIP層は、比較的高速で堆積され、SIPプロセスは、アルゴンがないため、本質的に熱くない。また、SIP堆積速度は、どの熱い堆積も、半分くらい短いため、IMPの場合よりもかなり速い。
[00146]上記熱量は、SIPプラズマの冷点火によっても低減される。冷プラズマ点火及び処理シーケンスを、図23のフロー図に示す。ウェーハが、ロードロックバルブを介して上記スパッタリアクタ内に挿入された後、該ロードロックバルブが閉じられ、工程690において、ガス圧力が釣り合わせられる。アルゴンチャンバ圧力は、点火に用いられる圧力まで、通常、2ミリトルから約5〜10ミリトルの間に増加され、アルゴン裏面冷却ガスが、約5〜10トルの裏面圧力で上記ウェーハの裏面に供給される。工程692において、該アルゴンは、通常1〜5kWの範囲の低レベルのターゲット電力で点火される。プラズマが点火するのが検知された後、工程694において、上記チャンバ圧力が、上記ターゲット電力を低レベルに保持した状態で急速に、例えば3秒間で低減される。持続性自己スパッタリングを行う場合、チャンバへのアルゴンの供給は停止されるが、プラズマは、SSSモードで継続する。自己イオン化プラズマスパッタリングの場合には、上記アルゴンの供給は低減される。上記裏面冷却ガスは、供給し続けられる。該アルゴン圧力が、一旦、低減されると、工程696において、上記ターゲット電力が、SIP又はSSSスパッタリングのために選定された、200mmウェーハの場合の例えば10〜24kW以上の意図されたスパッタリングレベルまで急速に増加される。圧力を低減すると同時に、上記電力を増加させることにより、工程694、696を組み合わせることが可能である。工程698において、上記ターゲットは、選定した厚さの材料物質をスパッタ堆積するのに必要な時間に対して選定されたレベルで作動し続ける。この点火シーケンスは、点火のために意図されたスパッタリング電力レベルを用いることよりも冷たい。スパッタ堆積に所望される高い電力レベルで続けられる場合、より高いアルゴン圧力は、点火を容易にするが、スパッタされた中性粒子に有害な影響を及ぼす。低い点火電力において、非常に少ない銅が、低減された電力で低い堆積速度により堆積される。また、ペデスタル冷却は、点火プロセスの間、上記ウェーハを冷たく保つ。
[00147]本発明の装置及びプロセスのほとんどの特徴は、ロングスローを伴わないスパッタリングにも適用することができる。
[00148]本発明は、現在、銅層間メタライゼーション、およびバリア及びライナー堆積に対して特に有用であるが、本発明の異なる態様は、他の材料物質のスパッタリング、および他の目的に対しても適用することができる。
[00149]その全体を本願明細書に組み入れる、2002年7月25日に出願された同時係属出願第10/202,778号(代理人登録番号4044)に記載されているように、上記配線層は、SIP及びICPプラズマの両方を生成するチャンバ152(図4)と同様のスパッタチャンバ内で堆積することもできる。チャンバ152のようなチャンバ内で堆積する場合、ターゲット156は、例えば、銅等の堆積材料で形成される。また、ICPコイル151は、特に、配線金属の堆積の一部又は全てに対して、コイルスパッタリングが所望される場合には、同じ堆積材料で形成してもよい。
[00150]上述したように、図示のチャンバ152は、持続性自己スパッタリングを含む銅の自己イオン化スパッタリングが可能である。この場合、プラズマが点火された後、アルゴンの供給は、SSSの場合、遮断してもよく、銅イオンは、2以上のイールドで銅ターゲットを再スパッタするのに充分高い密度を有する。別法として、低減された流速及びチャンバ圧力、あるいは、相当だが低減された量の自己スパッタリングと共に、純粋な持続性自己スパッタリングを持続するのには不十分なターゲット電力密度で、ある程度のアルゴンを供給し続けてもよい。アルゴン圧力が、約5ミリトルを超えて増加すると、アルゴンは、銅イオンからエネルギを除去し、自己スパッタリングを減少させる。上記ウェーハバイアスは、イオン化された銅粒子を上記ホール深部に引き付ける。
[00151]しかし、一部の中性流で深いホール被覆を実現するには、ターゲット156とウェーハ158との間の距離を増加させること、すなわち、上述したようなロングスローモードで作動させることが好ましい。自己イオン化プラズマ(SIP)スパッタリング、誘導結合プラズマ(ICP)スパッタリング及び持続性自己スパッタリング(SSS)の間の制御された割り振りは、中性のスパッタ粒子とイオン化されたスパッタ粒子との間の配分の制御を可能にする。このような制御は、高アスペクト比のビアホール内への銅シード層のスパッタ堆積に対して特に有利である。スパッタ粒子のイオン化量の制御は、自己イオン化プラズマ(SIP)スパッタリングと誘導結合プラズマ(ICP)スパッタリングとを混合することによって実現される。
[00152]本発明による構造の一実施形態は、図24の断面図に示すビアである。銅シード層700は、例えば、図4に示すタイプのロングスロースパッタリアクタを用いて、SIP及びICPの組合せをおよび/またはSIP及びICPを交互に促進する条件下で、(上述したTaNバリア層及びTaライナー層等の1つ又はそれ以上のバリア層及びライナー層を含んでもよい)ライナー層704を覆って、ビアホール702内に堆積される。ここで、上記リアクタは、銅又は他のシード層堆積材料を含むターゲットを有する。SIP−ICP銅層700は、例えば、50〜300nm、またはより好ましくは、80〜200nmの被覆厚さに堆積してもよい。SIP−ICP銅シード層700は、好ましくは、上記ビアの側壁上で、2〜20nm、より好ましくは、7〜15nmの範囲の厚さを有する。狭いホールのため、上記側壁の厚さは、50nmを越えるべきではない。該膜の品質は、速いSIP堆積によって与えられる冷たさが重要になるため、上記ペデスタルの温度を、0℃未満、好ましくは、−40℃未満に低下させることによって改善される。
[00153]SIP−ICP銅シード層700は、良好な底部被覆性及び向上した側壁被覆性を有すると考えられる。以下に詳細に説明するように、銅シード層700は、銅堆積材料を再配分して、上記ビアの内側底部角部における被覆を増加させると共に、該ビアの底部の中心部分は薄い被覆のままにするように、別の工程で、あるいは、初期の堆積中のいずれかにおいて再スパッタすることができる。銅シード層700が堆積され(必要に応じて再配分され)た後、上記ホールは、好ましくは、シード層700を電気メッキ電極のうちの1つとして用いた電気化学メッキにより、図14bの銅層347b’と同様の銅層で充填することができる。しかし、SIP−ICP銅シード層700の滑らかな構造も、一般的なスパッタリングまたは物理気相堆積(PVD)による銅のリフローまたは高温堆積を促進する。
[00154]一実施形態において、SIP−ICP層は、SIP及びICPの両堆積方法の選択された態様を1つの工程に組み合わせるプロセスで形成することができる。また、代替の実施形態によるリアクタ715は、図25に示すように、第2のコイル716及びコイル151を有する。コイル151と同様の方法で、コイル716の一方の端部は、フィードスルースタンドオフ182により暗黒部シールド164’を介して、増幅器及び整合ネットワーク717の出力に絶縁結合されている(図26)。整合ネットワーク717の入力は、RFジェネレータ718に結合されている。コイル716の他端は、DCバイアスをコイル716に対してかけるために、阻止コンデンサ719を介して、フィードスルースタンドオフ182によりシールド164’を介してアースに絶縁結合されている。DCバイアスは、独立したDC電源721によって制御することができる。
[00155]ICP工程又は組み合わせたSIP−ICP工程において、例えば、1〜3kW及び2Mhzの周波数で、RFエネルギが、RFコイル151及び716のうちの一方又は両方に印加される。コイル151及び716は、作動されると、RFエネルギを上記リアクタの内部に誘導結合する。上記コイルによって生成されたRFエネルギは、プラズマを維持して、スパッタされた堆積材料をイオン化するために、アルゴン等の前駆体ガスをイオン化する。しかし、プラズマを、比較的高い圧力、例えば、一般的に高密度IMPプロセスの場合に20〜60mトルに維持するよりは、該圧力は、好ましくは、かなり低い圧力、例えば、2mトルに維持される。従って、リアクタ150内でのイオン化速度は、一般的な高密度IMPプロセスのイオン化速度よりもかなり低くなると考えられる。
[00156]更に、上述したように、図示したリアクタ150も、ロングスローモードで自己イオン化スパッタリングが可能である。従って、堆積材料は、上記RFコイルにより維持される低圧プラズマの結果としてイオン化できるだけではなく、上記ターゲットのDCマグネトロンスパッタリングにより自己生成されたプラズマによってもイオン化することができる。SIP及びICPイオン化プロセスの組合せは、充分なイオン化した材料に良好な底部及び底部角部被覆性をもたらすと考えられる。しかし、RFコイル151及び716によって生成された低圧プラズマの低イオン化速度が、充分な中性スパッタ材料を、上記リアクタのロングスロー能力によって上方側壁に堆積するように、イオン化しないままとすることを可能にするとも考えられる。すなわち、イオン化した堆積材料のSIP及びICPソースの組合せは、良好な上方側壁被覆性、および良好な底部及び底部角部被覆性を実現できると考えられる。別の実施形態においては、コイル151及び716への電力は、1つの工程において、上方のコイル726への電力が、下方のコイル151に印加される電力に対して除去または低減されるように、交互に印加される。この工程において、誘導結合したプラズマの中心は、上記ターゲットから離れて上記基板の近くにずれる。このような構成は、該ターゲットの近くで生成された自己イオン化されたプラズマと、上記コイルのうちの1つ又はそれ以上によって維持される誘導結合したプラズマとの間の相互作用を低減できる。従って、中性のスパッタされた材料物質の高い割合を維持することができる。
[00157]第2の工程において、上記電力は、下方のコイル151への電力が、上方コイル716へ印加される電力に対して除去又は低減されるように、逆にしてもよい。この工程において、上記誘導結合されたプラズマの中心は、上記基板から離れて上記ターゲットの方へずれる。このような構成は、イオン化したスパッタ材料の割合を増加させる。
[00158]他の実施形態においては、上記層は、本願明細書中でSIP工程と呼ぶ1つの工程において、RF電力が、どちらかのコイルに少しだけ印加される、あるいはまったく印加されない、2つ又はそれ以上の工程で形成してもよい。また、上記圧力は、比較的低いレベル、好ましくは、5mトル未満、より好ましくは、例えば、1mトルなどの2mトル未満に維持される。更に、上記ターゲットに印加される電力は、例えば、18〜24kWDCの範囲のように比較的高くなる。例えば、500Wの電力レベルで、上記基板支持部にバイアスをかけてもよい。これらの条件下では、上記堆積材料のイオン化は、主に、自己イオン化プラズマ(SIP)の結果として行われると考えられる。上記リアクタのロングスローモード構成と組み合わせると、良好な側壁被覆性を、低オーバハングで実現できると考えられる。この最初の工程で堆積された層の一部は、例えば、1000〜2000Åの範囲であってもよい。
[00159]本願明細書中でICP工程と呼び、かつ好ましくは同じチャンバ内における第2の工程において、RF電力は、コイル151及び716のうちの一方又は両方に印加してもよい。また、一つの実施形態において、上記圧力は、高密度プラズマを維持できるように、実質的に上昇させてもよい。例えば、該圧力は、20〜60mトルに、上記コイルへの上記RF電力は、1〜3kWの範囲に上昇させてもよく、また、上記ターゲットへのDC電力は、1〜2kWに、上記基板支持部へのバイアスは、150Wに低減してもよい。これらの条件下では、上記堆積材料のイオン化は、高密度ICPの結果として行われると考えられる。その結果、良好な底部及び底部角部被覆性を、上記第2の工程において実現できる。上述したように、電力は、上記両方のコイルに同時にまたは交互に印加することができる。
[00160]上記銅シード層が、SIP及びICPを組み合わせたプロセスによってスパッタ堆積された後、上記ホールの残りの部分は、同じ又は別のプロセスによって充填することができる。例えば、該ホールの残りの部分は、電気メッキ又はCVDによって充填することができる。
[00161]上記SIP工程及びICP工程の順序は、逆にしてもよいこと、および該SIP工程において、一定のRF電力を1つ又はそれ以上のコイルに印加してもよいこと、および一定の自己イオン化は、該ICP工程に含まれてもよいことを認識すべきである。また、持続性自己スパッタリング(SSS)は、1つ又はそれ以上の工程に含まれてもよい。すなわち、圧力、電力及びターゲット・ウェーハ間の距離を含むプロセスパラメータは、所望の結果を実現するために、特定の用途により変化してもよい。
[00162]上述したように、コイル151及び516は、独立して、または一緒に作動させることができる。一実施形態においては、上記コイルは、一緒に作動させることができ、この場合、一方のコイルに印加されるRF信号は、ヘリコン波を生成するように、他方のコイルに印加される別のRF信号に対して位相がずれている。例えば、該RF信号は、米国特許第6,264,812号明細書に記載されているように、1波長の何分の一か位相がずれていてもよい。
[00163]本発明の一実施形態は、図27の平面図に概略的に示すEndura 5500プラットフォーム等のインテグレーテッドマルチチャンバツールに対して好ましくは実施される統合プロセスを含む。該プラットホームは、Tepman等により、米国特許第5,186,718号明細書に機能的に記載されている。
[00164]ビアホールまたは絶縁層内の他の構造によってすでにエッチングされているウェーハは、各ロードロックチャンバに装填されたウェーハカセットから、ウェーハをシステムに出し入れするように構成された、2つの独立して作動されるロードロックチャンバ732、734を介して、該システムに対して取り入れ及び取り出しされる。ウェーハカセットが、ロードロックチャンバ732、734内に装填された後、上記チャンバは、適度に低圧に、例えば、10-3〜10-4トルに加圧され、該ロードロックチャンバと第1のウェーハ移送チャンバ736との間のスリットバルブが開かれる。第1のウェーハ移送チャンバ736の圧力は、その後、該低圧に維持される。
[00165]第1の移送チャンバ736内に配設された第1のロボット738は、上記ウェーハを、上記カセットから、2つの脱気/指向チャンバ740、742のうちの一方に移送した後、水素またはアルゴンプラズマが、該ウェーハの表面をクリーニングする第1のプラズマプリクリーンチャンバ744へ移送する。CVDバリア層が堆積されている場合、第1のロボット738は、上記ウェーハをCVDバリアチャンバ746へ渡す。CVDバリア層が堆積された後、ロボット738は、該ウェーハを通路チャンバ748内に移し、そこから第2のロボット750が、該ウェーハを第2の移送チャンバ752へ移送する。スリットバルブは、処理レベルと圧力レベルを分離するように、チャンバ744、746、748を第1の移送チャンバ736と分離する。
[00166]第2のロボット750は、周囲に配置された反応チャンバへ及び該チャンバからウェーハを選択的に移送する。第1のIMPスパッタチャンバ754は、銅の堆積専用のものである。上述したチャンバ410と同様のSIPスパッタチャンバ756は、SIP銅シード層または核形成層の堆積専用のものである。このチャンバは、底部及び側壁被覆のためのSIPと、1つの工程または、上述したようなマルチステッププロセスのいずれかで底部角部被覆性を改善するための再スパッタリングとを兼ねる。また、例えば、Ta/TaNからなるバリア層の少なくとも一部は、SIPスパッタリング及びコイルスパッタリング及びICP再スパッタリングによって堆積されており、そのため、SIP−ICPスパッタチャンバ760は、可能な限り反応性窒素プラズマ内での耐熱性金属のスパッタリング専用になっている。同様のSIP−ICPチャンバ760は、耐熱性金属及びその窒化物を堆積するのに使用することができる。CVDチャンバ758は、銅核形成、シードまたはライナー層の堆積のための、あるいは、上記ホールの充填を完了するための、またはその両方のための専用のものである。チャンバ754、756、758、760の各々は、スリットバルブにより、第2の移送チャンバ752に対して選択的に開かれる。異なる構成を用いることも可能である。例えば、IMPチャンバ754は、特に、上記ホールの充填を完了するためにCVDを用いる場合には、第2のCVD銅チャンバと置き換えてもよい。
[00167]低圧処理の後、第2のロボット750は、前の処理が熱かった場合には冷却チャンバであってもよく、あるいは、メタライゼーションのアニーリングが必要な場合には、瞬時熱プロセス(RTP)であってもよい、中間部に配置された熱チャンバ762へ上記ウェーハを移送する。熱処理後、第1のロボット738は、該ウェーハを取り出して、該ウェーハをロードロックチャンバ732、734のうちの一方においてカセットへ戻す。それを用いて本発明を統合プロセスの工程により実施することができる他の構成も、当然可能である。
[00168]上記システム全体は、上記チャンバの各々と関連付けられたサブコントローラと接続される制御バス772を通じて作動する、コンピュータをベースとしたコントローラ770によって制御される。プロセス方法は、コントローラ770に挿入可能な、または通信リンク776と通じる、磁気フロッピー(登録商標)ディスクまたはCD−ROM等の読み取り可能なメディア774によってコントローラ770に読み込まれる。
[00169]本発明の装置及びプロセスのほとんどの特徴は、ロングスローを伴わないスパッタリングにも適用することができる。本発明は、現在、タンタル及びタンタルナイトライドライナー層の堆積及び銅層間メタライゼーションに対して特に有用であるが、本発明の異なる態様を、他の材料物質のスパッタリングに、および他の目的のために適用することもできる。2001年8月30日に出願された仮出願第60/316,137号は、スパッタリング及び再スパッタリング技術に注力しており、該出願を本願明細書に組み入れる。
[00170]本発明の変更が、その様々な態様において、当業者には明らかであり、いくつかは研究後に明らかになり、他のものは、普通の機械的かつプロセスのデザインであることは、当然理解されるであろう。他の実施形態も可能であり、それらの特定のデザインは、特定の用途に依存する。従って、本発明の範囲は、本願明細書に記載した特定の実施形態によって限定すべきではなく、添付クレーム及びその均等物のみによって定義すべきである。