JP6335370B1 - デュアルソフトクローザ - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に開示の戸閉具及び引戸の戸閉装置は、同文献1の図1(A)(B)、図2(B)等に示すように、引っ張り弾性体としてコイルばねが用いられ、緩衝ダンパーとしてシリンダとピストンとを組み合わせた直線型のダンパーが用いられている。
コイルばねは、長く伸長した状態と緊縮した状態とでは、引っ張り力に差がある。このため、引戸の開閉速度が一定でない。
ところで、引戸が何年も円滑に開閉できるか否かは、定荷重ばねとダンパーの耐久性に依るところが大きい。定荷重ばねの引っ張り力は、帯状ばねの横幅と板厚によるところが大きい。
ソフトクローザを鴨居レール内に配置させる関係上、定荷重ばねの横幅には制限がある。重い引戸に対応させるためには、強い引っ張り力が必要になるため、板厚が厚い帯状ばねが用いられる。しかしながら、帯状ばねの板厚を厚くすると、長期間の使用により、破断の原因になるクラックが発生し易い。
(1)引戸の上端部に装着されて、内側上面にトリガーを設けた鴨居側レール内に走行自在に支持される、前記引戸を吊下げ得る本体側レールを有する。
(2)該本体側レールの内側に、前部カムを上下回動自在に軸支した前枠材と、後部カムを上下回動自在に軸支した後枠材とが前後移動自在に配置されている。
(3)双方のカムの少なくとも一方が下方回動して前記本体側レールに係止した位置にある。
(4)前記前枠材と前記後枠材との間に、双方の枠材を互いに引き寄せるばねと、このばねによる引き寄せる速度を減速させるダンパーとが配置されている。
(5)前記引戸を開閉が終わる手前の位置まで手動操作すると、前記双方のカムのいずれか一方が前記トリガーをキャッチして上方回動し、これにより該カムの係止が解除されて、前記本体側レールが前記ばねによる引っ張りと前記ダンパーによる抗力とよって前記引戸を低速で閉じ終え又は開き終えさせる双方向型のソフトクローザである。
(6)前記ばねは、定荷重ばねであり、該定荷重ばねのリールから引き出された複数本の帯状ばねが、重ねられた状態で、或いは近接した状態で、前記前枠材と前記後枠材とによって支持されて、前記前部カムと前記後部カムとの間に位置し、且つ前記ダンパーの上方位置にある。
(1)請求項1に記載の構成を備える。
(2)前記複数本の帯状ばねは、前後に並んで設けられた複数個の定荷重ばねのリールから、1本又は複数本が引き出されている。
(1)請求項1又は2に記載の構成を備える。
(2)前記複数本の帯状ばねは、前記リールに重ね合わされて巻装されて、重ね合わされた状態で引き出されている。
(1)請求項1乃至3のいずれかの項に記載の構成を備える。
(2)前記ダンパーは、シリンダとピストンロッドを備えた直線型の流体ダンパーであり、該シリンダが前記後枠材に取り付けられ、前記ピストンロッドの先端部が前記前枠材の後部に取り付けられている、
請求項5に係るデュアルソフトクローザは次の構成を備える。
(1)(請求項4)に記載の構成を備える。
(2)前記ダンパーは、エアダンパーである。
(3)該該エアダンパーのシリンダ後端部に設けられているバルブのエア吸排出孔の出入口に接する外側に、エア排出音の発生を防ぐ布材が押し当てられており、該布材は前記シリンダの後端部に設けられた小容器部内に後方から押さえられた状態で詰められている。
(1)請求項1乃至3のいずれかの項に記載の構成を備える。
(2)前記ダンパーは、前記後枠材に取り付けられた油圧ロータリーダンパーと、該ロータリーダンパーの駆動軸に装着されているピニオンギヤと、前記前枠材から後方に長く突出するラックギヤとによる組み合わせで構成され、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤとが噛合している。
(3)前記ばねの引き寄せによる該ラックギヤの後方移動の速度が、前記油圧ロータリーダンパーによって減速される。
従来のソフトクローザで使用されていた定荷重ばねと比べて、板厚が若干薄くなる場合も含めて板厚が厚くならなければ、帯状ばねの長期間の使用によるクラックの発生、引っ張り力の減衰が格段に抑えられる。この結果、帯状ばねの耐久性が1本の場合と比べて格段に向上し、延いては、デュアルソフトクローザの耐久性を格段に向上させる。しかも一定の強い引っ張り力が得られる。
帯状ばねの本数は、必ずしも限定されないが、通常、2枚が最適である。請求項2,3に係るデュアルソフトクローザに場合、引き出された複数本の帯状ばねが重なって位置するため、或いは略重なって位置するため、ダンパーの進退動作の邪魔になることはなく、周囲との不要な接触は避けられる。
図1(a)(b)は、本発明の各実施形態で共通するデュアルソフトクローザ3の使用状態を示している。
デュアルソフトクローザ3は、引き戸100の上端部に取り付けられて、鴨居側レール1の内側に走行自在な状態で位置している。鴨居側レール1は、鴨居110の溝内に丁度収まる長さと幅があり、ビス又は木ねじを用いて鴨居の溝内に取り付けられている。引戸100は、デュアルソフトクローザ3の前端部に取り付けた引戸吊り具7と、デュアルソフトクローザ3から後方に離れた位置にある引戸吊り具9とによって、鴨居側レール1に吊り下げられている。
[第1実施形態に係るデュアルソフトクローザ3A]
図2に示すように、鴨居側レール1は下部中央に沿って開口された断面形状が略コ字形状の長尺な型材で構成されている。鴨居側レール1の内側上面における前部箇所と後部箇所にはトリガー2a,2bが取り付けられている。
第1実施形態に係るデュアルソフトクローザ3Aは、本体側レール6と、デュアルソフトクローザ3Aと、引戸吊り具7.9とを備える。
図2、図3(a)に示すように、前部進退ユニット4は前枠材41と前部カム42とを有する。前枠材41は、上端部と前端部が開放した角枠形状を有している。前部カム42は、略横コ字形状の開口部42aを上方に向けたブロック体であり、支軸42bを介して前枠材41の前部内側の上部に取り付けられている。
前枠材41の両側面の前後2箇所には、ガイド凸部41a,41bが横方向に突出した状態で設けられている。前部カム42の前枠材41から前方に突出した両側面にも、ガイド用の凸部42c,42cが設けられている。
図2、図3(b)及び図4(b)に示すように、本体側レール6は、上端と前後の各端部を開放させた中尺枠型材で形成されている。
本体側レール6の内側両面には、ガイド板61,61が取り付けられている。ガイド板61の上部は、凸部42c,42c及び凸部52c,52cの移動を案内するガイド縁61a,61aになっている。ガイド縁61a,61aの前端部から下方には、係合部61b,61bが設けられている。ガイド縁61a,61aの後端部から下方にも係合部61c,61cが設けられており、ガイド板61の下部にも、横長形状のガイド長孔61d,61dが設けられている。
図3(a)(b)において、前部進退ユニット4の本体側レール6内に向けた支持は、前枠材41側の凸部41a,41bをガイド長孔61d,61d内に突入させ、前部カム42側の凸部42c,42cをガイド長孔61a,61a内に突入させた状態で行われている。
前部カム42は、支軸42bを介して前枠材41の内側の前上部に枢着されている。部カム42側の凸部42c,42cがガイド縁61a,61aの前端に位置しているときには、凸部42c,42cの下支えが無いため、前部カム42は自重で前下方に回動して係合部61b,61bに係合している。この係合によって、前部進退ユニット4に対する本体側レール6の前後移動を規制している。
図2、図4(a)(b)において、後部部進退ユニット5は、上端部と後端部が開放した角枠形状を有する後枠材51と後部カム52とを有する。
後部カム52は、支軸52bを介して後枠材51の内側の前寄りの上部に枢着されている。後枠材51の両側面の前後2箇所には、凸部51a,51bが設けられている。後部カム52の後枠材51から上方に突出した両側面にも、凸部52c,52cが設けられている。
後部進退ユニット5の支持は、ガイド凸部51a,51bを本体側レール6側のガイド縁61d,61d上に沿わせて行っている。
ガイド縁61aの後端部も、下方に向けた係合部61cがある。後部カム52が後端まで移動すると、後部カム52は自重によって後下方に回動して係合部61cに係合する。この係合によって、後部進退ユニット5に対する本体側レール6の前後移動が規制される。
[定荷重ばね10,12]
図2、図3(a)に示すように、2個の定荷重ばね10,12は、前枠材41の内側に、前後方向に位置をずらして取り付けられている。定荷重ばね10(12)は、リール10a(12a)に帯状ばね11(13)の一端側が巻装されて構成されている。
図2、図4(a)に示すように、帯状ばね11,13の先端部は後方に引き出されて、後枠材51の前端上部に装着されている。この実施形態においては、後方に引き出された帯状ばね11,13は、上下に近接した状態で、前部カム42と後部カム52の間に位置している。
引き出された帯状ばね11,13は、エアダンパー14が有するピストン14bの上方に位置している。
図2に示すように帯状ばね11,13の先端部を後方に強く引き出すと、巻き方向のばね弾性によって戻り方向(引っ張り方向)の付勢力が働く。この付勢力(引っ張り力)は、帯状ばね11(13)の先端部の引き出した長さにかかわらず常に一定であることが知られている。
図2、図3(a)、図4(a)に示すように、エアダンパー14は、シリンダ14aとピストン14bとが伸縮自在に組み合わされて構成されている。エアダンパー14は、シリンダ14aの前部から長さ途中部に至る部分が後枠材51に取装着され、ピストン14bの前端部が前枠材41の後端部に装着されて、該前枠材41と前記後枠材51とを連結させた状態で取り付けられている。
この配設において、前記前部カム42と前記後部カム52の少なくともいずれか一方が下方回動して本体側レール6に係合している。この係合は段落「0029」、「0030」に記載の係合である。
図5(a)はデュアルソフトクローザ3Aが引戸100が手動で開閉させるニュートラル位置にある状態で示されている。この状態では、前部カム42は前下方に回動して、図3(a)に示す凸部42cが図3(b)に示す係合部61b内に突入したロック状態になっている。図3(c)は前部カム42が係合した状態を示している。
後部カム52も同様に、後下方に回動して図4(a)に示す凸部52cが図4(b)に示す係合部61b内に突入したロック状態になっている。
この状態においては、エアダンパー14は大きく伸長しており、2個の定荷重ばね10,12の帯状ばね11,13は、長く永引き出された状態で巻き戻し方向の強い付勢力を保有している。
図8に示すように、シリンダ15の後端部には、エアの吸排気をさせるバルブVが装着されている。シリンダ15の後端部からバルブVの後方には、上端部が開放した角型の小容器部Sが位置している。小容器部S内には、シリンダ14a内からバルブVを通じて強く排出されるエアの排出音が生じないようにする布目の細かい織布又は不織布からなる布材Nが詰められている。
[第2実施形態に係るデュアルソフトクローザ3B]
図9に示す本発明第2実施形態に係るデュアルソフトクローザ3Bの場合も、鴨居側レール2とデュアルソフトクローザ3Bと、引戸吊り具7.9等を備える
2枚重ねの帯状ばね11,11は、重ね合わせてあるだけで、接着されている訳ではない。2枚重ねの帯状ばね11,11の後方に向けた先端部は、後部進退ユニット5の1構成部品であるばね取付け部55に装着されている。2枚重ねの帯状ばね11,11を用いると、引戸クローザの横幅内に収まる横幅がある1個の定荷重ばね10でも、30万回以上の使用に耐え、重い引戸の自動開閉も問題無く行える。帯状ばね11,11は、市販の多くの種類の定荷重ばねが持つ帯状ばねの板厚よりも、若干薄い板厚のものが用いられて、巻径が大きくなり過ぎないようにしている。
油圧式のロータリーダンパー82を用いた点においても第1実施例の場合と異なる。このデュアルソフトクローザ3Bにおいては、本体側レール6の前部両側面と後部両側面には、前後方向に長いガイド長孔62,63(62,63)が設けられている。前枠材41の両外側面の前後2箇所に設けられているガイドローラー43,43がガイド長孔62,62内に配置されて、前枠材41を前後移動可能に支持されている。そして、後枠材51の両外側面の前後2箇所に設けられているガイドローラー44,44がガイド長孔63,63内に配置されて、後枠材51を前後移動可能に支持されている。
ばね取付け部55は、後下部をピン55aに支持させるとともに、両側面に突出する凸部55c,55cをガイド長孔61d,61d内に突入させる方法で支持されている。
上述した以外の構成と動作は、基本的に第1実施形態の場合と同じである。
[第3実施形態に係るデュアルソフトクローザ3C]
図10に示す第3実施形態に係るデュアルソフトクローザ3Cは、1個の定荷重ばね10に2本の帯状ばね11,11が巻装されたばねと、直線型の油圧ダンパー14Aとが用いられている。なお、この実施形態において前述した各実施形態と共通する箇所は、同一符号が付されている。各ガイド凸部41a,41b、59a、51a,51bの斜線で示す先端部がガイド溝61d内に前後移動自在に支持されている。
この実施形態におけるカム動作、前部進退ユニット4及び後部進退ユニット5の進退動作、本体側レール6の進退動作は、第1実施形態の場合と同様である。
[第4実施形態に係るデュアルソフトクローザ3D]
図11、図12(a)に示す第3実施形態に係るデュアルソフトクローザ3Dは、コイルばね15が用いられている点において、前述した第2実施形態に係るデュアルソフトクローザと違いがある。コイルばね15の先端部は、図12(b)に示すように、前部カム42の後下部に接続され、コイルばね15の後端部は後部カム52の前下部に接続されている。
この実施形態におけるカム動作、前部進退ユニット4及び後部進退ユニット5の進退動作、本体側レール6の進退動作は、第1実施形態の場合と同様である。
3A (第1実施形態に係る)デュアルソフトクローザ
3B (第2実施形態に係る)デュアルソフトクローザ
3C (第3実施形態に係る)デュアルソフトクローザ
3D (第4実施形態に係る)デュアルソフトクローザ
4 前部側ユニット
41 前枠材
42 前部カム
5 後部進退ユニット
51 後枠材
52 後部カム
6 本体側レール
10 定荷重ばね
11 帯状ばね
12 定荷重ばね
13 帯状ばね
14 エアダンパー
14a シリンダ
14b ピストン軸
14A 油圧シリンダ
82 油圧ロータリーダンパー
85 ラックギヤ
Claims (6)
- 引戸の上端部に装着されて、内側上面にトリガーを設けた鴨居側レール内にローラー走行自在に支持される本体側レールを有し、
該本体側レールの内側に、前部カムを上下回動自在に軸支した前枠材と、後部カムを上下回動自在に軸支した後枠材とが前後移動自在に配置されて、双方のカムの少なくとも一方が下方回動して前記本体側レールに係止した位置にあり、
前記前枠材と前記後枠材との間に、双方の枠材を互いに引き寄せるばねと、このばねによる引き寄せる速度を減速させるダンパーとが配置され、
前記引戸を開閉が終わる手前の位置まで手動操作すると、前記双方のカムのいずれか一方が前記トリガーをキャッチして上方回動し、これにより該カムの係止が解除されて、前記本体側レールが前記ばねによる引っ張りと前記ダンパーによる抗力とよって前記引戸を低速で閉じ終え又は開き終えさせる双方向型のソフトクローザであって、
前記ばねは、定荷重ばねであり、該定荷重ばねのリールから引き出された複数本の帯状ばねが、重ねられた状態で、或いは近接した状態で、前記前枠材と前記後枠材とによって支持されて、前記前部カムと前記後部カムとの間に位置し、且つ前記ダンパーの上方位置にあることを特徴とするデュアルソフトクローザ。 - 前記複数本の帯状ばねは、前後に並んで設けられた複数個の定荷重ばねのリールから、1本又は複数本が引き出されている、請求項1に記載のデュアルソフトクローザ。
- 前記複数本の帯状ばねは、前記リールに重ね合わされて巻装されて、重ね合わされた状態で引き出されている、請求項1又は2に記載のデュアルソフトクローザ。
- 前記ダンパーは、シリンダとピストンロッドを備えた直線型の流体ダンパーであり、該シリンダが前記後枠材に取り付けられ、前記ピストンロッドの先端部が前記前枠材の後部に取り付けられている、請求項1乃至3のいずれかの項に記載のデュアルソフトクローザ。
- 前記ダンパーは、エアダンパーであり、
該エアダンパーのシリンダ後端部に設けられているバルブのエア吸排出孔の出入口に接する外側に、エア排出音の発生を防ぐ布材が押し当てられており、該布材は前記シリンダの後端部に設けられた小容器部内に後方から押さえられた状態で詰められている、請求項4に記載のデュアルソフトクローザ。 - 前記ダンパーは、前記後枠材に取り付けられた油圧ロータリーダンパーと、該油圧ロータリーダンパーの駆動軸に装着されているピニオンギヤと、前記前枠材から後方に長く突出するラックギヤとが組み合わされて構成され、
前記ピニオンギヤと前記ラックギヤとは噛合した状態にあり、
前記ばねの引き寄せによる該ラックギヤの後方移動の速度が、前記油圧ロータリーダンパーによって減速される、請求項1乃至3のいずれかの項に記載のデュアルソフトクローザ。
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