JP6335081B2 - 多層セラミック基板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層セラミック基板およびその製造方法に関する。
多層セラミック基板は、相互に積層された複数の絶縁セラミック層を備える。多層セラミック基板は、絶縁セラミック層の元となる複数のグリーンシートを積層した積層体を焼成することによって製造される。
多層セラミック基板としては、少なくとも1つの絶縁セラミック層に空隙(キャビティ)を有するものが知られている。空隙を有する多層セラミック基板は、厚み方向に貫通する空隙が形成された少なくとも1つのグリーンシートを含む複数のグリーンシートを積層した積層体を焼成することによって製造される。空隙を有する多層セラミック基板では、空隙を有するグリーンシートと、空隙を有さないグリーンシートとの間における焼成時の収縮差に起因して、空隙に隣接する絶縁セラミック層にクラック(ひび割れ)が発生する場合がある。
特許文献1,2には、空隙を有する多層セラミック基板に発生するクラックを防止するために、グリーンシートを焼結させる温度では焼結せずにグリーンシートの収縮を抑制する収縮抑制層を、空隙に向かい合うグリーンシートの表面に形成し、収縮抑制層が形成された積層体を焼成することが記載されている。
特開2006−108483号公報 特開2003−318309号公報
特許文献1,2の技術では、積層体を焼成した後に収縮抑制層が焼結されずに残る。焼結していない状態の収縮抑制層を残したままにしておくと、多層セラミック基板の使用時に収縮抑制層を構成する粒子が離脱する虞がある。そのため、空隙に向かい合うグリーンシートの表面から収縮抑制層を除去する必要がある。しかしながら、空隙から収縮抑制層を除去するのに手間がかかるという課題があった。特に、多層セラミック基板の内部に閉塞された空間、並びに、比較的に深く形成された空隙では、グリーンシートの表面から収縮抑制層を除去することは困難であった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、多層セラミック基板の製造方法が提供される。この製造方法は、電気絶縁性を有する絶縁セラミック層の元となる複数のグリーンシートとして、厚み方向に貫通する空隙が形成された少なくとも1つのグリーンシートを含む複数のグリーンシートを用意し;前記複数のグリーンシートを積層することによって、前記複数のグリーンシートのうち少なくとも1つのグリーンシートに前記空隙が形成されたグリーンシート積層体を作製し;前記グリーンシートを焼結させる焼結温度より高い温度で焼結する収縮抑制層を前記グリーンシート積層体に積層した複合積層体を作製し;前記焼結温度で前記複合積層体を焼成することによって、複数の絶縁セラミック層のうち少なくとも1つの絶縁セラミック層に前記空隙が形成された多層セラミック基板を作製する。この製造方法において、前記グリーンシート積層体において前記空隙が形成されたグリーンシートに隣接する他のグリーンシートの表面のうち、少なくとも前記空隙に向かい合う部分に、アルミニウム粉末から成る第1材料粉末と、前記焼結温度より高い温度で焼結する第2材料粉末とを含有する空隙露出層を、積層し;前記複合積層体を焼成する際、前記他のグリーンシートに前記空隙露出層が形成された前記複数のグリーンシートを、前記焼結温度で焼結させる。この形態によれば、複合積層体を焼成する際に、空隙が形成されたグリーンシートに隣接する他のグリーンシートにおける過剰な収縮を空隙露出層によって抑制するとともに、空隙露出層には、第1材料粉末に由来する相互に結合した複数の粒子によって囲まれた領域に複数の第2材料粉末が保持された構造が形成される。そのため、空隙露出層を構成する粒子の脱離が抑制された状態で、空隙露出層は多層セラミック基板の一部として形成される。したがって、空隙から空隙露出層を除去する手間を必要としない。その結果、空隙を有する多層セラミック基板を製造するための工数を抑制しつつ、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層の欠陥(クラック、剥離および変形など)を防止できる。
(2)上記形態の製造方法において、前記第1材料粉末と、アルミナ粉末、ムライト粉末およびジルコニア粉末の少なくとも1つから主に成る前記第2材料粉末とを混合した混合物から、前記空隙露出層を形成してもよい。この形態によれば、空隙露出層を容易に実現できる。
(3)上記形態の製造方法において、前記第1材料粉末と前記第2材料粉末とを25:75から75:25までの重量比で混合した混合物から、前記空隙露出層を形成してもよい。この形態によれば、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層の欠陥を効果的に抑制できる。
(4)上記形態の製造方法において、前記複数のグリーンシートを積層する前に、前記他のグリーンシートの表面のうち、前記空隙に向かい合う第1部分と、前記第1部分から連続して前記第1部分の外側に広がる第2部分とに、前記空隙露出層を形成してもよい。この形態によれば、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層の欠陥を十分に抑制できる。
(5)上記形態の製造方法において、前記空隙は、前記多層セラミック基板の外部に開放された空間であってもよい。この形態によれば、多層セラミック基板の外部に開放された空間に隣接する絶縁セラミック層の欠陥を防止できる。
(6)上記形態の製造方法において、前記空隙は、前記多層セラミック基板の内部に閉鎖された空間であってもよい。この形態によれば、多層セラミック基板の内部に閉鎖された空間に隣接する絶縁セラミック層の欠陥を防止できる。
(7)本発明の一形態によれば、相互に積層された複数の絶縁セラミック層を備え、前記複数の絶縁セラミック層のうち少なくとも1つの絶縁セラミック層に空隙が形成された多層セラミック基板が提供される。この多層セラミック基板は、前記空隙が形成された絶縁セラミック層に隣接する他の絶縁セラミック層の表面のうち、少なくとも前記空隙に向かい合う部分に積層された空隙露出層を備え、前記空隙露出層は、相互に結合した複数のアルミニウム粒子によって囲まれた領域に複数のセラミック粉末が保持された構造を有する。この形態によれば、焼成時の収縮差に起因する他の絶縁セラミック層の欠陥(クラック、剥離および変形など)を防止できる。
本発明は、多層セラミック基板およびその製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、多層セラミック基板を備える装置、多層セラミック基板を製造する製造装置などの形態で実現することができる。
多層セラミック基板の断面を模式的に示す説明図である。 空隙露出層の詳細構造を模式的に示す説明図である。 空隙露出層の拡大断面を模式的に示す説明図である。 多層セラミック基板の製造方法を示す工程図である。 多層セラミック基板を製造する途中に作製される複合積層体を示す説明図である。 多層セラミック基板における焼成時の収縮差に起因する欠陥を評価する評価試験の結果を示す表である。
A.実施形態
A−1.多層セラミック基板の構成
図1は、多層セラミック基板100の断面を模式的に示す説明図である。多層セラミック基板100には、所定の機能を実現する回路の少なくとも一部が形成されている。本実施形態では、多層セラミック基板100には、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)ディプレクサを構成する回路が形成されている。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。図1のXYZ軸におけるX軸は、図1の紙面手前(−X軸側)から紙面奥(+X軸側)に向かう軸である。図1のXYZ軸におけるY軸は、図1の紙面右(−Y軸側)から紙面左(+Y軸側)に向かう軸である。図1のXYZ軸におけるZ軸は、図1の紙面下(−Z軸側)から紙面上(+Z軸側)に向かう軸である。
多層セラミック基板100は、複数の絶縁セラミック層110a〜110fと、複数の貫通導体120と、複数の配線層130と、複数の空隙140a〜140cと、空隙露出層150a〜150eとを備える。本実施形態の説明では、複数の絶縁セラミック層110a〜110fを総称する場合、英文字を除いた符号「110」を用いる。本実施形態の説明では、複数の空隙140a〜140cを総称する場合、英文字を除いた符号「140」を用いる。本実施形態の説明では、空隙露出層150a〜150eを総称する場合、英文字を除いた符号「150」を用いる。
多層セラミック基板100の絶縁セラミック層110は、電気絶縁性を有するセラミック材料から成る。本実施形態では、絶縁セラミック層110のセラミック材料は、ガラスの粉末(例えば、硼珪酸系ガラスの粉末)とアルミナ(Al)の粉末とを混合した低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)である。硼珪酸系ガラスは、二酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)および酸化ホウ素(B)を主成分とする。本実施形態では、絶縁セラミック層110を焼結させる焼結温度は、約900℃である。
絶縁セラミック層110は、他の絶縁セラミック層110と相互に積層された状態で一体的に焼結されている。本実施形態では、多層セラミック基板100には、−Z軸側から順に、6つの絶縁セラミック層110a〜110fが積層されている。本実施形態では、絶縁セラミック層110は、XY平面に沿って広がった矩形状を成す。本実施形態では、絶縁セラミック層110の厚み方向は、Z軸方向である。
多層セラミック基板100の貫通導体120は、少なくとも1つの絶縁セラミック層110を貫通する導体である。貫通導体120は、配線層130と電気的に接続され、配線層130と共に回路を構成する。本実施形態では、貫通導体120は、Z軸方向に延びた円柱状を成す。本実施形態では、貫通導体120は、銀(Ag)の粉末を含有する導体ペーストを焼成して成り、銀(Ag)を主成分とする。
多層セラミック基板100の配線層130は、絶縁セラミック層110におけるXY平面に沿った表面に広がった導体である。配線層130は、貫通導体120と電気的に接続され、貫通導体120と共に回路を構成する。本実施形態では、配線層130は、銀(Ag)の粉末を含有する導体ペーストを焼成して成り、銀(Ag)を主成分とする。
多層セラミック基板100の空隙140は、少なくとも1つの絶縁セラミック層110を厚み方向(Z軸方向)に貫通する空間である。空隙140は、キャビティ(cavity)とも呼ばれる。
本実施形態では、空隙140aは、絶縁セラミック層110aを貫通し、多層セラミック基板100の外部に開放された空間である。本実施形態では、空隙140aは、多層セラミック基板100に実装される回路素子(図示しない)を収容する空間である。他の実施形態では、空隙140aは、2層以上の絶縁セラミック層110を貫通する空間であってもよい。
本実施形態では、空隙140b,140cの各々は、2層の絶縁セラミック層110c,110dを貫通し、多層セラミック基板100の内部に閉鎖された空間である。本実施形態では、空隙140b,140cは、高周波に対する回路特性を実現するために絶縁セラミック層110の静電特性を調整する空間である。他の実施形態では、空隙140b,140cは、絶縁セラミック層110の外部に連通され、絶縁セラミック層110を冷却する媒体(液体、気体など)を流す流路であってもよい。他の実施形態では、空隙140b,140cは、1層の絶縁セラミック層110を貫通する空間であってもよいし、3層以上の絶縁セラミック層110を貫通する空間であってもよい。
多層セラミック基板100の空隙露出層150は、空隙140が形成された絶縁セラミック層110に隣接する他の絶縁セラミック層110の表面のうち、少なくとも空隙140に向かい合う部分に積層された層である。空隙露出層150は、第1材料粉末と第2材料粉末とを混合した混合物を、絶縁セラミック層110を焼結させる焼結温度で焼成して成る。空隙露出層150の第1材料粉末は、絶縁セラミック層110を焼結させる焼結温度で部分的に溶融するアルミニウム(Al)の粉末である。空隙露出層150の第2材料粉末は、絶縁セラミック層110を焼結させる焼結温度より高い温度で焼結する材料粉末である。
本実施形態では、空隙露出層150の第2材料粉末は、アルミナ(Al)の粉末である。他の実施形態では、空隙露出層150の第2材料粉末は、ムライト(AlSi13)の粉末であってもよいし、ジルコニア(ZrO)の粉末であってもよい。
図2は、空隙露出層150の詳細構造を模式的に示す説明図である。空隙露出層150は、相互に結合した複数の粒子151によって囲まれた領域に複数のセラミック粉末152が保持された構造を有する。図2には、粒子151は、ハッチングが施されていない円で示され、セラミック粉末152は、ハッチングが施された円で示されている。空隙露出層150における複数の粒子151は、絶縁セラミック層110を焼結させる焼結温度で部分的に溶融する第1材料粉末に由来する。複数の粒子151は、隣り合う他の粒子151と結合している。本実施形態では、複数の粒子151は、複数のセラミック粉末152を取り囲む網目状に結合している。空隙露出層150における複数のセラミック粉末152は、絶縁セラミック層110を焼結させる焼結温度より高い温度で焼結する第2材料粉末に由来する。複数のセラミック粉末152は、隣り合う他のセラミック粉末152と結合していない。
図3は、空隙露出層150b,150cの拡大断面を模式的に示す説明図である。空隙露出層150bは、空隙140bが形成された絶縁セラミック層110cに隣接する絶縁セラミック層110bの表面のうち、空隙140bに向かい合う部分に積層されている。本実施形態では、空隙露出層150bは、絶縁セラミック層110bの表面のうち、空隙140bに向かい合う第1部分111と、第1部分111から連続して第1部分111の外側に広がる第2部分112とに形成されている。すなわち、空隙露出層150bは、XY平面に沿って空隙140bより広い範囲にわたって形成されている。他の実施形態では、空隙露出層150bは、空隙140bの内側に形成されていてもよい。
空隙露出層150cは、空隙140bが形成された絶縁セラミック層110dに隣接する絶縁セラミック層110eの表面のうち、空隙140bに向かい合う部分に積層されている。本実施形態では、空隙露出層150cは、絶縁セラミック層110eの表面のうち、空隙140bに向かい合う第1部分111と、第1部分111から連続して第1部分111の外側に広がる第2部分112とに形成されている。すなわち、空隙露出層150cは、XY平面に沿って空隙140bより広い範囲にわたって形成されている。他の実施形態では、空隙露出層150cは、空隙140bの内側に形成されていてもよい。
空隙露出層150dは、空隙露出層150bと同様に、空隙140dが形成された絶縁セラミック層110cに隣接する絶縁セラミック層110bの表面のうち、空隙140cに向かい合う部分に積層されている。空隙露出層150eは、空隙露出層150cと同様に、空隙140cが形成された絶縁セラミック層110dに隣接する絶縁セラミック層110eの表面のうち、空隙140cに向かい合う部分に積層されている。
空隙露出層150aは、空隙140aが形成された絶縁セラミック層110aに隣接する絶縁セラミック層110bの表面のうち、空隙140aに向かい合う部分に積層されている。空隙140bと空隙露出層150bとの関係と同様に、本実施形態では、空隙露出層150aは、XY平面に沿って空隙140aより広い範囲にわたって形成されている。他の実施形態では、空隙露出層150aは、空隙140aの内側に形成されていてもよい。
A−2.多層セラミック基板の製造方法
図4は、多層セラミック基板100の製造方法を示す工程図である。図5は、多層セラミック基板100を製造する途中に作製される複合積層体200を示す説明図である。多層セラミック基板100を製造する際には、製造者は、複数の絶縁セラミック層110の元となる複数のグリーンシート110pを用意する(工程P110)。これら複数のグリーンシート110pのうち、少なくとも1つのグリーンシート110pには、厚み方向に貫通する空隙140が形成されている。グリーンシート110pは、セラミック材料に、結合剤(バインダ)、可塑剤、溶剤などを混合して薄板状(シート状)に成形したものである。
本実施形態では、グリーンシート110pの原料は、硼珪酸系ガラスの粉末とアルミナ(Al)の粉末とを混合した低温同時焼成セラミックス(LTCC)である。原料の硼珪酸系ガラスは、二酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)および酸化ホウ素(B)を主成分とする。本実施形態では、原料の硼珪酸系ガラス粉末の平均粒径は、約4μmである。本実施形態では、原料のアルミナ粉末の平均粒径は、約3μmであり、その比表面積は、1.8m/gである。
本実施形態では、製造者は、グリーンシート110pの原料である硼珪酸系ガラス粉末とアルミナ粉末とを、体積比60:40、総量で1kgとなるように秤量した後、これらの原料をアルミナ製の容器(ポット)に入れる。その後、製造者は、結合剤として120gのアクリル樹脂と、溶剤として適量のメチルエチルケトン(MEK)と、可塑剤として適量のジオクチルフタレート(DOP)とを、ポット内の原料に加える。その後、製造者は、5時間、ポット内の原料を混合することによって、セラミックスラリを得る。その後、製造者は、ドクターブレード法によって、セラミックスラリからグリーンシート110pを作製する。本実施形態では、グリーンシート110pの厚みは、0.15mmである。
グリーンシート110pを作製した後、製造者は、打ち抜き加工によってグリーンシート110pに空隙140を形成する。本実施形態では、製造者は、絶縁セラミック層110aの元となるグリーンシート110pに空隙140aを形成する。本実施形態では、製造者は、絶縁セラミック層110cの元となるグリーンシート110pに空隙140b,140cの一部をそれぞれ形成し、絶縁セラミック層110dの元となるグリーンシート110pに空隙140b,140cの一部をそれぞれ形成する。
グリーンシート110pを作製した後、製造者は、貫通導体120および配線層130の元となる導体ペーストをグリーンシート110pに塗布する。貫通導体120および配線層130に用いられる導体ペーストは、原料粉末に、結合剤、可塑剤および溶剤などを混合したペーストである。本実施形態では、導体ペーストの原料粉末は、銀(Ag)の粉末と硼珪酸系ガラスの粉末とを混合した混合粉末である。本実施形態では、製造者は、結合剤としてエチルセルロースと溶剤としてターピネオールとを加えた原料粉末を、3本ロールミルを用いて混練することによって、導体ペーストを得る。本実施形態では、製造者は、貫通導体120の位置に合わせてビア孔(貫通孔)をパンチング加工によってグリーンシート110pに形成した後、そのビア孔に導体ペーストを穴埋め印刷によって充填する。本実施形態では、製造者は、配線層130のパターンに合わせて、スクリーン印刷によって導体ペーストをグリーンシート110pの表面に塗布する。
複数のグリーンシート110pを用意した後(工程P110)、製造者は、空隙140が形成されたグリーンシート110pに隣接する他のグリーンシート110pの表面のうち、空隙140に向かい合う部分に空隙露出層150を積層する(工程P120)。本実施形態では、製造者は、絶縁セラミック層110の表面のうち、空隙140に向かい合う第1部分111と、第1部分111から連続して第1部分111の外側に広がる第2部分112とに、空隙露出層150を積層する。すなわち、製造者は、空隙140より広い範囲にわたって空隙露出層150を形成する。他の実施形態では、製造者は、空隙140の内側となる範囲に空隙露出層150を形成してもよい。
本実施形態では、製造者は、絶縁セラミック層110bの元となるグリーンシート110pの表面のうち、空隙140aに対応する部分に空隙露出層150aを積層し、空隙140bに対応する部分に空隙露出層150bを積層し、空隙140cに対応する部分に空隙露出層150dを積層する。本実施形態では、製造者は、絶縁セラミック層110eの元となるグリーンシート110pの表面のうち、空隙140bに対応する部分に空隙露出層150cを積層し、空隙140cに対応する部分に空隙露出層150eを積層する。
空隙露出層150の原料は、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度で部分的に溶融するアルミニウム(Al)から成る第1材料粉末と、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度より高い温度で焼結する第2材料粉末とを混合した混合物である。本実施形態では、空隙露出層150の第2材料粉末は、アルミナ(Al)の粉末である。他の実施形態では、空隙露出層150の第2材料粉末は、ムライト(AlSi13)の粉末であってもよいし、ジルコニア(ZrO)の粉末であってもよい。
本実施形態では、空隙露出層150の原料において、第1材料粉末と第2材料粉末との混合する比率は、重量比で75:25である。第1材料粉末と第2材料粉末との混合する比率は、25:75から75:25までの重量比であればよい。
本実施形態では、製造者は、空隙露出層150の原料である第1材料粉末と第2材料粉末とを秤量した後、これらの原料に結合剤としてエチルセルロースと溶剤としてターピネオールとを加えて、3本ロールミルを用いて混練することによって、空隙露出層150の元となるペーストを得る。本実施形態では、空隙140の位置に合わせて、空隙露出層150の元となるペーストをスクリーン印刷によってグリーンシート110pの表面に塗布する。これによって、空隙露出層150がグリーンシート110pの表面に積層される。
空隙露出層150をグリーンシート110pに積層した後(工程P120)、製造者は、複数のグリーンシート110pを積層したグリーンシート積層体100pを作製する(工程P130)。本実施形態では、製造者は、空隙140の構造を維持するために、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度で焼失する材料を、グリーンシート積層体100pにおける空隙140に充填する。
グリーンシート積層体100pを作製した後(工程P130)、製造者は、収縮抑制層210をグリーンシート積層体100pに積層した複合積層体200を作製する(工程P140)。収縮抑制層210の原料は、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度より高い温度で焼結するセラミック粉末である。本実施形態では、製造者は、原料にアルミナ粉末のみを用いる点を除きグリーンシート110pと同様の製法で、収縮抑制層210を作製する。本実施形態では、収縮抑制層210の厚みは、0.30mmである。本実施形態では、製造者は、グリーンシート積層体100pの+Z軸側および−Z軸側の各表面に収縮抑制層210を積層した後、熱圧着によって隣り合うグリーンシート110p同士を接合する。これによって、製造者は、複合積層体200を得る。本実施形態では、製造者は、切削加工によって複合積層体200を後工程の焼成に適した形状に成形する。本実施形態では、製造者は、250℃の大気中に10時間、複合積層体200を曝すことによって、複合積層体200を脱脂する。
複合積層体200を作製した後(工程P140)、製造者は、複合積層体200を焼成する(工程P150)。これによって、製造者は、グリーンシート積層体100pを焼結させた多層セラミック基板100を得る。本実施形態では、製造者は、900℃の大気中に60分、複合積層体200を曝すことによって、複合積層体200を焼成する。本実施形態では、製造者は、研磨切削加工によって多層セラミック基板100を成形する。他の実施形態では、製造者は、多層セラミック基板100の表面に露出した配線層130の少なくとも一部にメッキを施してもよい。これらの工程を経て、多層セラミック基板100が完成する。
複合積層体200を焼成する間、収縮抑制層210は、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度(900℃)では焼結せずに、グリーンシート110pの収縮を抑制する。複合積層体200の焼成を終えた後、製造者は、グリーンシート積層体100pを焼結させた多層セラミック基板100から収縮抑制層210を除去する。
複合積層体200を焼成する間、空隙露出層150において、第1材料粉末は、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度(900℃)で相互に結合し、第2材料粉末は、グリーンシート110pを焼結させる焼結温度(900℃)では焼結せずに、グリーンシート110pの収縮を抑制する。複合積層体200の焼成を終えた後、空隙露出層150には、図2に示したように、相互に結合した複数の粒子151によって囲まれた領域に複数のセラミック粉末152が保持された構造が形成される。
A−3.評価試験
図6は、多層セラミック基板100における焼成時の収縮差に起因する欠陥を評価する評価試験の結果を示す表である。図6の評価試験では、試験者は、グリーンシート110pの組成、および、空隙露出層150の組成が異なる複数の多層セラミック基板100を試料1〜11として作製し、これらの試料について焼成時の収縮差に起因する欠陥を評価した。
試料1では、空隙露出層150の第1材料粉末は、アルミニウム(Al)の粉末であり、空隙露出層150の第2材料粉末は、アルミナ(Al)の粉末である。試料1では、第1材料粉末と第2材料粉末との比率は、重量比で75:25である。試料1では、グリーンシート110pの原料は、焼結温度900℃で焼結する低温同時焼成セラミックス(LTCC)である。
試料2は、第1材料粉末と第2材料粉末との比率が重量比で50:50である点を除き、試料1と同様である。試料3は、第1材料粉末と第2材料粉末との比率が体積比で25:75である点を除き、試料1と同様である。
試料4は、第2材料粉末がムライト(AlSi13)の粉末である点を除き、試料2と同様である。試料5は、第2材料粉末がジルコニア(ZrO)の粉末である点を除き、試料2と同様である。試料6は、グリーンシート110pの原料が焼結温度850℃で焼結するLTCCである点を除き、試料2と同様である。
試料7は、空隙露出層150が形成されていない点を除き、試料1と同様である。試料8は、空隙露出層150が形成されていない点を除き、試料1と同様である。
試料9は、空隙露出層150の原料が第1材料粉末のみである点を除き、試料1と同様である。試料10は、空隙露出層150の原料が第2材料粉末のみである点を除き、試料1と同様である。
図6の評価試験によれば、試料1〜6に示すように、第1材料粉末および第2材料粉末を含有する空隙露出層150によって、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層110の欠陥(クラック、剥離および変形など)を防止できた。空隙露出層150が形成されていない試料7,8では、空隙140に向かい合う絶縁セラミック層110にクラックおよび剥離が発生した。第1材料粉末のみを含有する空隙露出層150を備える試料9では、空隙140に向かい合う絶縁セラミック層110にクラックおよび変形が発生した。第2材料粉末のみを含有する空隙露出層150を備える試料10では、空隙140に向かい合う絶縁セラミック層110に剥離が発生した。
A−4.効果
以上説明した実施形態によれば、複合積層体200を焼成する際に、空隙140に向かい合うグリーンシート110pにおける過剰な収縮を空隙露出層150によって抑制するとともに、空隙露出層150には、相互に結合した複数の粒子151によって囲まれた領域に複数のセラミック粉末152が保持された構造が形成される。そのため、空隙露出層150は多層セラミック基板100の一部として焼成される。したがって、空隙140から空隙露出層150を除去する手間を必要としない。その結果、空隙140を有する多層セラミック基板100を製造するための工数を抑制しつつ、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層110の欠陥(クラック、剥離および変形など)を防止できる。
また、アルミニウム粉末とアルミナ粉末とを混合した混合物から空隙露出層150を形成するため、空隙露出層150を容易に実現できる。また、第1材料粉末と第2材料粉末とを25:75から75:25までの重量比で混合した混合物から空隙露出層150を形成するため、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層110の欠陥を効果的に抑制できる。また、空隙140に向かい合う第1部分111と、第1部分111から連続して第1部分111の外側に広がる第2部分112とに、空隙露出層150を形成するため、焼成時の収縮差に起因する絶縁セラミック層110の欠陥を十分に抑制できる。
B.他の実施形態
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
100…多層セラミック基板
100p…グリーンシート積層体
110,110a〜110e…絶縁セラミック層
110p…グリーンシート
111…第1部分
112…第2部分
120…貫通導体
130…配線層
140,140a〜140c…空隙
150,150a〜150e…空隙露出層
151…粒子
152…セラミック粉末
200…複合積層体
210…収縮抑制層

Claims (7)

  1. 電気絶縁性を有する絶縁セラミック層の元となる複数のグリーンシートとして、厚み方向に貫通する空隙が形成された少なくとも1つのグリーンシートを含む複数のグリーンシートを用意し、
    前記複数のグリーンシートを積層することによって、前記複数のグリーンシートのうち少なくとも1つのグリーンシートに前記空隙が形成されたグリーンシート積層体を作製し、
    前記グリーンシートを焼結させる焼結温度より高い温度で焼結する収縮抑制層を前記グリーンシート積層体に積層した複合積層体を作製し、
    前記焼結温度で前記複合積層体を焼成することによって、複数の絶縁セラミック層のうち少なくとも1つの絶縁セラミック層に前記空隙が形成された多層セラミック基板を作製する、多層セラミック基板の製造方法であって、
    前記グリーンシート積層体において前記空隙が形成されたグリーンシートに隣接する他のグリーンシートの表面のうち、少なくとも前記空隙に向かい合う部分に、アルミニウム粉末から成る第1材料粉末と、前記焼結温度より高い温度で焼結する第2材料粉末とを含有する空隙露出層を、積層し、
    前記複合積層体を焼成する際、前記他のグリーンシートに前記空隙露出層が形成された前記複数のグリーンシートを、前記焼結温度で焼結させることを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。
  2. 前記第1材料粉末と、アルミナ粉末、ムライト粉末およびジルコニア粉末の少なくとも1つから主に成る前記第2材料粉末とを混合した混合物から、前記空隙露出層を形成する、請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  3. 前記第1材料粉末と前記第2材料粉末とを25:75から75:25までの重量比で混合した混合物から、前記空隙露出層を形成する、請求項1または請求項2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  4. 前記複数のグリーンシートを積層する前に、前記他のグリーンシートの表面のうち、前記空隙に向かい合う第1部分と、前記第1部分から連続して前記第1部分の外側に広がる第2部分とに、前記空隙露出層を形成する、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  5. 前記空隙は、前記多層セラミック基板の外部に開放された空間である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  6. 前記空隙は、前記多層セラミック基板の内部に閉鎖された空間である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の多層セラミック基板の製造方法。
  7. 相互に積層された複数の絶縁セラミック層を備え、前記複数の絶縁セラミック層のうち少なくとも1つの絶縁セラミック層に空隙が形成された多層セラミック基板であって、
    前記空隙が形成された絶縁セラミック層に隣接する他の絶縁セラミック層の表面のうち、少なくとも前記空隙に向かい合う部分に積層された空隙露出層を備え、
    前記空隙露出層は、相互に結合した複数のアルミニウム粒子によって囲まれた領域に複数のセラミック粉末が保持された構造を有することを特徴とする多層セラミック基板。
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