JP6334515B2 - ショルダーミーリングカッター用の刃先割出し可能インサート及び刃先割出し可能インサートのための取付け切欠きを有するショルダーミーリングカッター - Google Patents

Description

本発明は、周縁方向に延びる複数の表面部分から成る側面によって結合された上面と下面を有する刃先割出し可能インサートに関する。詳しくは、前記表面部分と上面及び下面の交線の少なくともいくつかは互いに等価な切れ刃を形成し、刃先割出し可能インサートは上面及び下面への平面視において、それぞれほぼ菱形の基本形の非直角平行四辺形であり、菱形形状で張利出す仮想的中間平面を有し、その辺は上面及び下面に対してある間隔で延び、ある平面内で周縁方向に延びる側面に沿って、上面と下面の等価な切れ刃が仮想的な菱形形状で張り出す中間平面に対して間隔と角度が同じ変化を有するように延びていることを特徴とする刃先割出し可能インサートに関する。

本発明は、また、刃先割出し可能インサートのための複数の取付け切欠きを有するショルダーミーリングカッターに関する。この取付け切欠きはそれぞれ少なくとも３つのシート表面を有し、そのうち第１のシート表面は主に径方向で刃先割出し可能インサートに対する支持を与え、第２のシート表面は主に軸方向で支持を与え、第３のシート表面は主に接線方向で刃先割出し可能インサートに対する支持を与える。

平面視で菱形の基本形を有し、対角線で対向するコーナーがそれぞれ仮想的な中間平面に対して同じ間隔にある刃先割出し可能インサートであって、コーナーがそれぞれペアになって前記中間平面に対して小さな間隔及び大きな間隔を有する刃先割出し可能インサートは特許文献１から公知である。

特許請求の範囲の請求項１の分類部分の特徴があてはまる別の刃先割出し可能インサートは特許文献２から公知である。この刃先割出し可能インサートは、平行四辺形のプレートの側面に対角線方向に溝を研削することによって製造される。正方形又は長方形によって張られる中間平面からスタートして、上面はある対角線に沿って引き延ばされ、他方の対角線に沿って圧縮され、同様に下面もそれぞれ他の対角線に沿って引き延ばされ、圧縮されるという形でこのプレートを表現することができる。

この公知の刃先割出し可能インサートでは、上面と下面は互いに平行であり、この刃先割出し可能インサートは実質的に接線方向の前進送り（ａｄｖａｎｃｅ ｆｅｅｄ）を意図している、すなわち、菱形の主表面はすくい面でなく逃げ面（ｒｅｌｉｅｆ ｓｕｒｆａｃｅ）であり、周縁方向に延びる側面は少なくとも部分的にすくい面である。

特許文献２の場合、対角線上のコーナーが隆起及び沈下する結果として上面と下面がらせん状に捻れるために、刃先割出し可能インサート及び対応する工具、例えばショルダーミーリングカッターで適当な支持接触表面を生成することが比較的難しい。また、中央に平坦な凹みが設けられていても対応する刃先割出し可能インサートをそれぞれの有効な切れ刃に対して大きな面積で支持することが困難である。さらに、平面視で長方形である形と前方及び後方側面の対称な形態の結果として、ショルダーミーリングカッターを用いる場合、軸方向でも径方向でも十分な逃げ角をとることが難しく、そのため可能な最大送りに関して制限があり、あるいは表面の対角線方向の歪みのためにすくい面を短縮させる必要があり、それはまた、ポジティブの径方向すくい角を保ちたいと思った場合には切れ刃を弱くすることになる。逃げ角とすくい角の調整は比較的小さい範囲でしか行うことができず、実現できる逃げ角とポジティブのすくい角は比較的小さい。

独国特許出願公開第１０３１２９２２号明細書 米国特許第４０７４９４９号明細書

このような技術の現状にかんがみ、本発明の目的は、４つの等価な安定した主切れ刃を可能にし、前方の副切れ刃のための十分な逃げ角を可能にし、主切れ刃のくさび角が９０°より小さい刃先割出し可能インサートを提供することである。

この目的は、特許請求の範囲の請求項１の特徴を有する刃先割出し可能インサートによって達成される。本発明によれば、上面の対角線で互いに対向する２つのコーナーと下面の対角線方向で互いに対向する２つのコーナーは、上面と下面におい前記上面の２つのコーナー及び前記下面の２つのコーナーのそれぞれの間にある対角線方向で互いに対向する２つのコーナーに比べて中間平面からの間隔がより大きく、上面の対角線方向で互いに対向するコーナー、並びに下面の対角線方向で互いに対向するコーナーは、中間平面を介して並行関係にあり、中間平面を張り出す菱形の関連する対角線を基準にして互いに反対側にずれて配置されている。

本発明による刃先割出し可能インサートの幾何形状は次の言い方で最もよく表現できる。平面視で菱形である一様な厚さのプレートからスタートして、まずプレートの厚さを対角線方向で対向する２つのコーナーで増加させる、もっと具体的に言うと上面及び下面の方へ一様に増加させる。すると上面と下面はそれぞれ、２つの互いに傾斜した三角形表面を含む。

次に、さらに、初めはまだ平面視で菱形であるプレートの対角線方向で対向するコーナーを、菱形の対角線を基準にして互いに反対側にずらして位置させ、それぞれに隣接する菱形のコーナーも関連する対角線を基準に対して反対側にずらして位置させる。その結果、平面視において、上面と下面の菱形の基本形から非直角（ｎｏｎ−ｒｅｃｔａｎｇｕｌａｒ）平行四辺形が形成される。菱形の基本形の同じコーナーに属する上面と下面のコーナーを、それぞれ菱形の対角線を基準にして反対側に配置する。中間平面と平行な、中間平面を画定する菱形のコーナーに対する、上面と下面のコーナーの水平方向の変位は、好ましくは、対応するコーナーの領域における刃先割出し可能インサートの厚さの約５％〜１５％である。

このようにして、平面視で、側面と上面及び下面の間の交線で長いエッジと短いエッジがそれぞれ得られ、好ましくは長い辺が主切れ刃を画定し、短い辺が副切れ刃となる、すなわち、ショルダーミーリングカッターで用いるとき、主切れ刃はミーリングカッターの軸と平行に向き、副切れ刃はミーリングカッターの軸と直交している平面に対してある逃げ角でわずかに後方に傾斜して延びている。少なくとも４つの主切れ刃はそれぞれ同じ形態であり、刃先割出し可能インサートを回すことによって刃先交換することが可能である。同じ形態であって、互いに刃先交換可能なこれらの切れ刃が、本発明おいて、“等価な”エッジ又は切れ刃と呼ばれる。これはまた、関連する副切れ刃への移行部におけるカッティング・コーナー（ｃｕｔｔｉｎｇ ｃｏｒｎｅｒ）も含む。

この文脈において、“平面視”という用語は常に仮想的中間平面に対して直角方向で見たことを指す。

同時に、主切れ刃と副切れ刃、そしてまた特に主切れ刃から副切れ刃への移行部におけるカッティング・コーナーも、くさび角が９０°より小さく、したがって、ショルダーミーリングカッターで用いた場合、その配置は周縁方向でも軸方向でもポジティブの切削幾何形状となるように向きを決めることができる。副切れ刃は同一である必要はなく、対応する大きな逃げ角のおかげでワークピースと係合することがあり得ない場合、ポジティブの切削幾何形状を有しなくても良い。上面と下面の平面視における平行四辺形の鋭角が顕著に９０°よりも小さい場合、すなわち、例えば８８°より小さければ、これは特にショルダーミーリングカッターでの使用にあてはまる。その場合、切れ刃によって限られる上面は中間平面に対して傾斜し、上面への平面視は中間平面への切れ刃の投影に対応しているので、実際に主切れ刃と副切れ刃の間に含まれる角度も顕著に小さくなる。

さらに、ショルダーミーリングカッターでの主切れ刃の向きが軸と平行であっても、主切れ刃における逃げ角と無関係に、（平面図で刃先割出し可能インサートのコーナーを画定する平行四辺形の鋭角形態のおかげで）主切れ刃に対して９０°より小さな角を含む副切れ刃に関しては常に十分な逃げ角がある。

さらに、平面視において、上面と下面の三角形表面は平坦表面の形であり、したがって、それぞれ対向する辺の切れ刃が活動するように刃先割出し可能インサートが取り付けられたとき、ショルダーミーリングカッターなどのシートにシンプルで比較的大きくしっかりした接触表面を与える。

その場合、４つの周縁方向に延びる表面部分と上面及び下面のそれぞれとの全部で８本の交線は８つのエッジを形成し、そのうち、ある実施形態では、４本の長いエッジが主切れ刃を形成し、残りの４本のエッジは副切れ刃になるであろう。これらのエッジは上面の主切れ刃がそれぞれ下面の副切れ刃と対向し、その逆にもなっているという形で配置されている。

上面及び下面の好ましくは平坦である三角形表面は、ミーリングカッターの対応するシートで大きな面積の接触表面を形成し、反対側に配置された主切れ刃に対するしっかりした支持を可能にする。さらに別の接触表面が周縁方向に延びる側面の少なくとも２つの表面部分によってそれぞれ形成される。

周縁方向に延びる側面によって画定されて中間平面を画定する菱形は、一般に直角ではなく、好ましくはその鋭角のコーナーで６０°〜８８°までの間の角を有する。ある実施形態では、それぞれ上面及び下面の平面視において、対角線で対向する２つのコーナーは菱形の関連する対角線に対して時計回り方向に変位し、それらの間のコーナーは関連する対角線に対して反時計回り方向に変位して、それによって上述したような平行四辺形の形が生ずる。

刃先割出し可能インサートのカッティング・コーナーは、上面と下面が画定する平行四辺形の鋭角コーナーに配置されており、それぞれ中間平面に対して大きな間隔のところにある。その場合、鈍角コーナーの領域における上面と下面の間のインサートの（最小）厚さは、平行四辺形の鋭角コーナーにおける刃先割出し可能インサートの（最大）厚さの４０％〜７０％までの間、そして好ましくはそのほぼ半分、である。

すでに述べたように、上面と下面はそれぞれ２つの実質的に三角形表面によって構成され、その先端はそれぞれ平行四辺形の上面と下面の鋭角コーナーと合致し、上記先端に対向する三角形表面の辺は互いに平行に延び、ほぼ鈍角コーナーの間で延びており、これらの三角形表面は約１１０°〜１６５°まで、好ましくは１３５°〜１５５°までの間の角を含む。

上面と下面の表面部分の傾斜角は、側面への移行部で切れ刃と直角方向で測定される実質的に９０°より小さいくさび角につながる。

上面と下面の２つの三角形表面は、また、その平行な辺に沿って、三角形表面の平行な辺の間で中間平面と平行に延びる狭い帯状の平坦表面又は対応する半径で丸められた移行部分によって分離できる。

すでに述べたように、刃先割出し可能インサートの周縁方向に延びる側面は実質的に４つの表面部分を含み、各表面部分は主切れ刃に沿って境界部分、すなわち逃げ面、を有し、これは切れ刃に近い表面部分の一部にわたってのみ延び、上面と下面のそれぞれとの間で表面部分の残りの部分よりもさらに小さなくさび角を含む。

さらに上面と下面の三角形表面などの表面部分は、それぞれ互いに平行でない表面であり、平坦であってもよいが、部分的に、特に切れ刃に沿った逃げ面の境界帯状部分の領域ではわずかに球面状の形態であってもよい。

菱形基本形のコーナー領域、そしてまた上面と下面の、コーナー領域も、それぞれ平坦にすることも丸めることもでき、上面と下面はそれぞれ２つの切れ刃を有し、そのうち第１のものは刃先割出し可能インサートの鈍角コーナーと鋭角コーナーの間で延び、第２の主切れ刃はそれらと対角線上で対向する関係にあるコーナーの間で延びている。上で述べたように、刃先割出し可能インサートのコーナーにおけるこれらの丸められた又は平坦にされた形態は側面に沿ってさらに小さな表面部分を形成するが、それは基本の幾何形状に関して何も本質的な役割を演じないことは理解されるであろう。

もしも、菱形の基本形をベースとして、上面と下面の対角線上で対向するコーナーの変位と、上面と下面の同じ菱形コーナーに関連したコーナーの変位が、それぞれペアの関係で反対方向に同じ量だけ実行されるならば、それによって点対称の刃先割出し可能インサートが得られる。

さらに、本発明による刃先割出し可能インサートは、仮想的な中間平面の菱形の両対角線のそれぞれのまわり、さらに中間平面に直交する菱形の中心軸のまわり、の１８０°の回転に関して対称である。しかし、本発明による刃先割出し可能インサートはどんな平面に関しても鏡映対称を含まず、また１８０°の整数倍でないどんな回転に関しても対称でない。上述の対称条件の全体は、本発明による刃先割出し可能インサートの特徴を表現するための別のオプションである。

ショルダーミーリングカッターに関して、本発明の目的は、ショルダーミーリングカッターが刃先割出し可能インサートのための取付け切欠きを有し、それらは各々少なくとも３つのシート表面を有し、そのうち第１のシート表面は主に径方向で刃先割出し可能インサートに対する支持を与え、第２のシート表面は主に軸方向で刃先割出し可能インサートに対する支持を与え、第３のシート表面は主に接線方向で刃先割出し可能インサートに対する支持を与え、第３のシート表面が少なくとも２つの互いに対して角度を成す表面部分を含み、その一方はショルダーミーリングカッターの軸に対してポジティブの軸方向角度を含み、他方はネガティブの軸方向角度を含むようにすることによって達成される。

“ポジティブ”及び“ネガティブ”という用語は、本明細書ではランダムに選択されており、単に一方の表面が軸に対して第１の方向に傾いており、他方の表面がこの軸に対して反対方向に傾いているということを表現しようと意図したものである。

ショルダーミーリングカッターは、好ましくは、以下にリストされる複数の特徴の少なくともひとつ又は何らかの組合せを有する。

軸に直交する平面に関し、第３のシート表面の２つの前記表面部分は、それぞれこの径方向平面に対して正反対に傾く角度を有する。

第３のシート表面の２つの表面部分は三角形状であり、ミーリングカッターの接線方向平面視では、三角形の２つの表面部分の辺のうち２つが平行に延びる限り、ほぼ菱形の基本形の平行四辺形を共同して画定する。

このシートの三角形状の２つの表面部分は、刃先割出し可能インサートから遠い辺で互いに対して約１１０°〜１６５°まで、好ましくは１３５°〜１５５°までの間の角を成す。

三角形状の２つの表面部分の平行な辺は、ほぼミーリングカッターの軸を含む平面内で延び、ミーリングカッターの軸に対して３０°〜６０°までの間の角度で傾いている。

さらに、本発明の好ましい実施形態では、第３のシート表面の三角形状の表面部分は狭く細長い平面状部分によって分離されている。これは第３のシート部分の一部を成し、ほぼ軸と平行関係にあり、その長い辺は三角形状の表面部分の平行な辺と合致している。

三角形状の表面部分の間で三角形の平行な辺又は平面状表面の領域に固定孔が設けられ、孔の軸は（ミーリングカッターに対して）接線方向とほぼ平行に第３のシート表面を貫通して延びている。

最後に、ショルダーミーリングカッターのある好ましい実施形態には、請求項１〜１９の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサートが複数設けられる。

本発明のその他の利点、特徴、及び可能な応用は、好ましい実施形態についての以下の説明と添付された図面から明らかになるであろう。

本発明に係わる刃先割出し可能インサートの幾何形状基本構造を上面又は下面への平面図として示す。 本発明に係わる刃先割出し可能インサートのある実施形態を上から又は下からの平面図で示す。 図２の刃先割出し可能インサートの側面図を示す。 本発明に係わる刃先割出し可能インサートの上面と下面の重ね合わせを図１に対して９０°回した位置で示す図である。 図４の刃先割出し可能インサートの切断線Ｖ−Ｖに対応する断面図を示す。 図２に示されたような刃先割出し可能インサートを備えたショルダーミーリングカッターを示す斜視図である。 図２に示されたような刃先割出し可能インサートを備えたショルダーミーリングカッターを示す図である。 図２に示されたような刃先割出し可能インサートを備えたショルダーミーリングカッターを示す図である。 図２に示されたような刃先割出し可能インサートを備えたショルダーミーリングカッターを示す図である。 刃先割出し可能インサートを有しない本発明に係わるショルダーミーリングカッターを示す斜視図である。 図７の細部を示す図である。

図１は本発明に係わる刃先割出し可能インサートの基本形を透視した図で示し、特に上面への平面図（これは下面への平面図と同一である）として示す。幾何形状基本形のすべての目に見えるエッジは実線で表され、隠されているが透視した図であるために見えるようになっている線は点鎖線で示されている。最後に、破線は刃先割出し可能インサートに内接する菱形Ｒ_Ｚの輪郭を示しており、それは紙面と一致していると考えられ中間平面を画定する。

菱形は、そのコーナーｚａからｚｄまでによって、又はここで中間平面Ｚと呼ぶ共通の平面にあって刃先割出し可能インサートの側面２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄに沿って延びる等しい長さの４つの辺ｚ１，ｚ２，ｚ３，ｚ４によって形成されている。

この刃先割出し可能インサートの基本幾何形状の上面１は２つの三角形表面１ａと１ｂで構成され、それらの三角形はコーナー４ａ，４ｂ，４ｄ、及び４ｃ，４ｂ，４ｄによって張り出している。上面１のこれらの三角形はそれらを画定するエッジ３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄを含めて紙面の平面より上にある。コーナー４ｂと４ｄを結ぶ線（図示せず）は三角形表面１ａと１ｂの共通の辺になっている。

下面も同様に、それぞれコーナー４ａ’，４ｂ’，４ｄ’、及び４ｃ’，４ｂ’，４ｄ’で画定される２つの同一の三角形表面によって張り出している。下面及び画定するエッジ３ａ’，３ｂ’，３ｃ’及び３ｄ’は紙面の平面の下に位置する。

平面視では菱形形状であり、平面視での上面と下面のコーナー（４ａ，ｂ，ｃ，ｄ，及び４ａ’，ｂ’，ｃ’，ｄ’）がそれぞれ菱形Ｒｚのコーナーに整列し、上面と下面のすべてのコーナーとエッジが平面視で中間平面のコーナー及び破線に重なっているボディからスタートして、実際の幾何形状の形成は、例えば、このボディを菱形ｚの対角線ｄ_１と対角線ｄ_２のまわりに、対角線ｄ_１と対角線ｄ_２の端の矢印で示されるようにらせん状に捩るという仕方で想像することができる。言い換えると、上面のコーナー４ａと下面のコーナー４ａ’を結ぶエッジを軸又は対角線ｄ_１のまわりに第１の方向で回し、上面のコーナー４ｃと下面のコーナー４ｃ’を結ぶ対角線方向に対向するエッジを軸ｄ_１のまわりに反対方向に回す。同様に、このボディはまた軸ｄ_２のまわりにも捩られる、具体的に言うと、らせん状の捻れの回転方向が軸ｄ_１に対する回転方向と反対になる。言い換えると、コーナー４ａは、菱形ｚの関連したコーナーからスタートして、右の方へ位置し、コーナー４ｃは菱形のコーナー又は対角線ｄ_１から左の方へ位置するが、下面における変位は完全に反対方向である。以下の図で示されている特定の刃先割出し可能インサートはこの幾何形状の基本形からの小さな変更に関して異なるだけである、すなわち、コーナー４ａ，４ａ’及び４ｃ，４ｃ’を結ぶエッジを丸める、コーナー４ｂ，４ｂ’及び４ｄ，４ｄ’を結ぶエッジを平らにする又は斜角をつける、など、及び、さらに上面の２つの三角形表面１ａ，１ｂ，及び下面の対応する表面も、菱形Ｒｚの中間平面と平行な面に配置された狭い平坦な帯５，５’によって分離されているという点で異なっているだけである。

このような実際の刃先割出し可能インサートの平面図が図２に示されている。

図２では、上面のコーナー、エッジ、及び表面だけに参照数字がつけられている。

見られるように、コーナー４ａと４ｃは丸められ、コーナー４ｂと４ｄは平らにされている。さらに、上面で横方向に狭い帯状の平坦表面５が延びており、これは上記中間平面ｚと平行であるが、平らにされたコーナーを中央で結ぶ線に対しては多少の角度がついている。さらにまた中央の孔６によって中断されている三角形表面１ａ，１ｂの平行な辺７ａ，７ｂが平坦表面５の２つのエッジを成している。したがって、２つの三角形表面１ａ，１ｂはこの帯状平坦表面５に隣接しており、すでに述べたようにこれらの三角形表面は紙面の平面から角度を成してでており、互いに対しても約４０°の角度を成す、つまり、図３からも見られるように、それらは１４０°の角度を間に含んでいる。

刃先割出し可能インサートの中心で、表面１ａ，１ｂ，及び５は中央固定孔６によって分断されており、その軸Ｃは仮想的な中間平面Ｚに対して直角方向に延び、平面Ｚは逆にカッティング・コーナーのペア４ａ，４ａ’及び４ｃ，４ｃ’がそれぞれ中間平面に対して同じ間隔にあり、コーナー４ｂと４ｂ’，並びに４ｄと４ｄ’が中間平面に対してある間隔（実際にはもっと小さい間隔）にあり、これらの間隔は互いに等しいが、コーナー４ａの間隔とは異なるということで画定される。

図１に示された刃先割出し可能インサートの幾何形状の基本構造によってすでに見られるように、コーナー４ａ，４ｄと４ｃ，４ｂをそれぞれ結合する２つの対向するエッジは比較的長いエッジ（それぞれ３ａと３ｃ）であり、上面の他方のエッジ、すなわちコーナー４ａと４ｂ，そして４ｄと４ｃ，をそれぞれ結合するもの、はもっと短い。逆に、下面では、長いエッジ３ａと３ｃに対向するエッジ３ａ’と３ｃ’は短いエッジであり、その間に配置されるエッジ３ｂ’と３ｄ’は長いエッジであり、したがって主切れ刃を形成する。

これはまた、図２と５に示された特定の刃先割出し可能インサートにもあてはまるが、丸められた形態とコーナーの斜角のために残りのエッジはさらに少し短くなる。主切れ刃と副切れ刃はそれぞれ丸められたカッティング・コーナー４ａ，４ｃ及び４ａ’，４ｃ’によって互いに結合するが、それらの間の角度は図示の実施形態では平面図で約８２°である。カッティング・コーナーの曲率半径は１から２ｍｍまでの間である。平坦化されたコーナー４ｂ，ｂ’と４ｄ，ｄ’はワークピースと係合するようになっていない。コーナーが平坦化されたために表面１ａと１ｂは厳密には三角形ではなく、コーナーが切り取られた形になる。それでも表面１ａと１ｂは依然として実質的に三角形であり、このようなわずかな相異があってもここでは三角形表面と呼ばれる。

図３は、図２の刃先割出し可能インサートを右の方向から見た図に対応する刃先割出し可能インサートの側面図を示す。

見て分かるように、それぞれ切れ刃と隣接する関係にある側面２ａ，２ｂ，２ｃ及び２ｄは、それぞれの側面の他の部分に対してわずかに角度がつき、さらにまた表面部分２ａ，ｂ，ｃ，ｄの他の部分から平坦な丸められた溝９によってずれている逃げ面８を有する。側面の他の部分に比べて逃げ面８の傾斜は大きいため、ポジティブのくさび角（くさび角＜９０°）は、この角度がついた形態がない場合に比べるとさらに少し大きくなっている。

図４は再び刃先割出し可能インサートの上面への平面図を、図２に対して９０°回した位置で示している。この場合も、刃先割出し可能インサートは透明であるように示され、本来隠れているエッジは破線で示されている。この図から、平坦表面５の長手方向が対応するコーナーの間の対角線に対してその長手方向にさらに少し傾斜することが見られる。しかし、２つの表面５，５’は、図３で水平の点鎖線で示され、図２と４では紙の平面に対応している中間平面Ｚと平行に延びている。

最後に図５も本発明による刃先割出し可能インサートの図４における線Ａ−Ａに沿った断面を示している。この場合も、中間平面Ｚの位置は点鎖線で示されている。カッティング・コーナーの領域で（中間平面に対して直角方向に測った）刃先割出し可能インサートの厚さは約６から１２ｍｍまでの間であり、平坦化されたコーナーの領域における厚さはカッティング・コーナー４ａ，４ａ’，４ｃ，４ｃ’の領域における厚さの約４０〜７０％である。

見て分かるように、中央孔６は中間平面Ｚに対して直角方向に、刃先割出し可能インサートの上面から下面まで延びている。孔６は、図１に対して定められた対角線ｄ１とｄ２のひとつのまわりの回転に関して対称である。

図６は、対応する刃先割出し可能インサートを備えたミーリングカッターを示す斜視図であり、図６ａから６ｃまでは同じミーリングカッターを端面図及び互いに９０°ずれた２つの側面図で示している。

このミーリングカッターにおける刃先割出し可能インサート１０の配置によれば、これは５つのシートとそこに対応して配置された刃先割出し可能インサート１０を有するショルダーミーリングカッター２０を示している。この場合、刃先割出し可能インサートは、主切れ刃３ａ，３ｃ及び３ｂ’又は３ｄ’のそれぞれが、ショルダーミーリングカッターの周縁で軸とほぼ並行に配置され、副切れ刃（３ｂ，３ｄ，３ａ’及び３ｃ’）がそれぞれ回転軸１５に直交する平面Ｅに対して小さな逃げ角で傾斜して延びるという配置になっている。

特に図６ａの端面図から、この配置は、すくい面が回転方向で主切れ刃の後を追う形で主切れ刃にとってポジティブのすくい角γでのポジティブの切削幾何形状になっていることが見られる。

図７は再び対応するミーリングカッターを斜視図で、しかし刃先割出し可能インサートなしで示しており、図８は図７の一部を拡大して示している。

見られるように、対応する刃先割出し可能インサートのためのシート２８は径方向接触及び支持表面２１，軸方向接触表面２２，及び主として周縁方向で支持する３つのシート表面２３，２４，及び２５を有し、どの場合も表面２３と２４の少なくともひとつが三角形表面１ａ，１ｂ（又は１’ａ，１’ｂ）の少なくともひとつの支持表面として働く。表面２１と２２は、活動している切れ刃がエッジ３ａであるとき、それぞれ側面２ｃと２ｄに接触するようになる。

接触表面２１と２２の間の移行部で、刃先割出し可能インサート１０のエッジを表面２３の方へ無接触で受容するそれぞれのリリーフ溝２６，２７を見ることができる。ねじ溝つきの孔１６が中央で表面２５に配置され、表面２３と２４にも関わっている。

図６から８までに見られるように、ショルダーミーリングカッター２０の対応するシート２８は刃先割出し可能インサート１０の相補的表面のための大きな、互いに角度を成している接触表面を備え、特に主切れ刃に対向する表面２４刃先割出かインサート及び活動しているそれぞれの切れ刃をしっかりと大きな面積で支持する。

本発明に係わる刃先割出し可能インサートは主切れ刃として配置される４つの等価な切れ刃を有し、それらは同じ側（それぞれ上面と下面）で互いに対向するペアの関係で配置され、切れ刃にはいっしょに使用されるコーナーはなく、主切れ刃はそれぞれ回転又は割出の後、そのコーナーも含めて使用されない。それに関連して、上面の主切れ刃は下面の副切れ刃と対向し、その逆にもなっている。言い換えると、表面部分２ａ，２ｂ，２ｃ及び２ｄの各々は上面又は下面で主切れ刃を形成し、それぞれ他方の面で副切れ刃を形成する。同時に、主切れ刃と副切れ刃は、それぞれ、ポジティブの切削幾何形状であり、反対側でしっかりと大きな面積で支持される。活動していない切れ刃はミーリングカッターで良く保護される形で受容される。

本発明による刃先割出し可能インサートはこのように高性能のショルダーミーリングカッターにきわめて好適である。

Claims (21)

1. 複数の表面部分（２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ）を含む周縁方向に延びる側面によって結合されている上面（１）と下面（１’）とを有する刃先割出し可能インサート（１０）であって、
   前記表面部分（２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ）と、前記上面（１）及び前記下面（１’）のそれぞれとの交線の少なくとも一部が等価な切れ刃（３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ；３ａ’，３ｂ’，３ｃ’，３ｄ’）を形成し、
   前記上面及び前記下面（１，１’）の平面視において、前記上面及び前記下面（１，１’）が菱形形状の基本形を有する非直角平行四辺形の形であり、
   仮想的菱形の４つのコーナーへ張り出す仮想的中間平面（Ｚ）を有し、該仮想的中間平面（Ｚ）の辺（ｚ１，ｚ２，ｚ３，ｚ４）は、周縁方向に延びる前記側面に沿って前記上面及び前記下面に対して間隔を有し、
   前記上面と前記下面の前記切れ刃（３ａ，３ｃ；３ｂ’，３ｄ’）のそれぞれが、前記中間平面（Ｚ）に対する間隔と傾きとが同じ変化を有するような形で延びており、
   対角線方向で互いに対向する前記上面の２つのコーナー（４ａ，４ｃ）と対角線方向で互いに対向する前記下面の２つのコーナー（４ａ’，４ｃ’）は、それぞれ、前記２つのコーナー（４ａ，４ｃ；４ａ’，４ｃ’）のそれぞれの間にあって、前記上面及び前記下面において対角線方向で互いに対向する他の２つのコーナー（４ｂ，４ｄ；４ｂ’，４ｄ’）よりも前記中間平面（Ｚ）から大きな間隔（Ｄ）を有して配置され、前記中間平面（Ｚ）を有する前記菱形の同一のコーナーに関連づけられた対応する前記上面のコーナー（４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ）と前記下面のコーナー（４ａ’，４ｂ’，４ｃ’，４ｄ’）は、前記中間平面（Ｚ）に垂直な方向で該中間平面（Ｚ）に対して同じ距離に配置されると共に、前記中間平面（Ｚ）の平面視において、前記中間平面（Ｚ）を張り出す菱形の対角線（ｄ１，ｄ２）を基準にして反対側に配置されており、
   前記菱形は、周縁方向に延びる前記側面に沿う辺（ｚ１，ｚ２，ｚ３，ｚ４）によって張り出す前記中間平面（Ｚ）を画定すると共に非直角である、刃先割出し可能インサート（１０）において、
   前記上面と前記下面はそれぞれ実質的に２つの三角形表面（１ａ，１ｂ）によって形成され、前記２つの三角形表面（１ａ，１ｂ）の先端はそれぞれ平行四辺形の形をした上面と下面の鋭角コーナーと一致しており、前記２つの三角形表面（１ａ，１ｂ）の先端に対する反対側の辺（７ａ，７ｂ）は、それぞれ互いに平行に延びると共に、前記平行四辺形の一対の鈍角コーナーの間に延び、前記２つの三角形表面（１ａ，１ｂ）は１１０°〜１６５°までの間の角を成すことを特徴とする刃先割出し可能インサート。
2. 前記上面と前記下面には、それぞれ、前記中間平面と平行に狭い平面状表面（５）が三角形表面（１ａ，１ｂ）の平行な辺の間で延びていることを特徴とする請求項１に記載の刃先割出し可能インサート。
3. 前記上面と前記下面に対する平面視において対角線方向で対向する２つのコーナーが、それぞれ前記菱形の前記対角線（ｄ１）を基準にして時計回り方向にずれて配置され、対角線方向で対向する２つのコーナーの間の他の２つのコーナーは前記対角線（ｄ２）に対して反時計回り方向にずれて配置され、それにより前記上面と前記下面の前記菱形が歪んで異なる長さの辺を有する平行四辺形を生ずることを特徴とする請求項１又は２に記載の刃先割出し可能インサート。
4. 前記中間平面（Ｚ）の前記菱形の同じコーナーに対して配置された前記上面と前記下面のコーナー（４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ；４ａ’，４ｂ’，４ｃ’，４ｄ’）が、前記対角線（ｄ１，ｄ２）を基準にして反対側に配置されていることを特徴とする請求項１〜３の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
5. 前記切れ刃（３ａ，３ｃ；３ｂ’，３ｂ’）が、それぞれ前記平行四辺形の長い辺に沿って設けられていることを特徴とする請求項１〜４の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
6. 前記刃先割出し可能インサートの前記上面と前記下面における対向する２つのカッティング・コーナー（４ａ，４ａ’；４ｃ，４ｃ’）が、前記上面及び前記下面において対角線方向で互いに対向する他の２つの介在するコーナー（４ｂ，４ｄ；４ｂ’，４ｄ’）よりも、前記平行四辺形の鋭角コーナーにおいて前記中間平面（Ｚ）から大きな間隔を有して配置されていることを特徴とする請求項１〜５の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
7. 鈍角コーナーの領域における前記上面と前記下面との間で前記中間平面（Ｚ）に垂直に測ったインサートの厚さが、前記鋭角コーナーにおける厚さの約半分であることを特徴とする請求項１〜６の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
8. 前記側面は実質的に４つの表面部分（２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ）を含み、該表面部分の各々は切れ刃に沿ってリリーフ表面（８）を有し、該リリーフ表面（８）が表面部分（２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ）の切れ刃に近い一部にわたってのみ延び、前記リリーフ表面（８）はそれぞれ前記上面と前記下面との間で前記表面部分の前記切れ刃から離れている他の
   部分より小さなくさび角（Ｋ）を含むことを特徴とする請求項１〜７の何れか一項に記載
   の刃先割出し可能インサート。
9. 切れ刃を画定する前記上面及び前記下面の三角形表面と前記側面の前記表面部分、並びにリリーフ表面は、すべて非平行表面であることを特徴とする請求項１〜８の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
10. 刃先割出し可能インサートの鋭角コーナー及び／又は鈍角コーナーは平らにされるか又は丸められ、前記上面と前記下面はそれぞれ２つの切れ刃を有し、そのうち第１の切れ刃は鈍角コーナーと鋭角コーナーの間に延び、第２の切れ刃は対角線方向でそれらと対向する関係に配置されているコーナーの間に延びていることを特徴とする請求項１〜９の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
11. 刃先割出し可能インサートが点対称形状であることを特徴とする請求項１〜１０の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
12. 前記中間平面（Ｚ）の前記菱形の二つの対角線（ｄ１，ｄ２）の周り、及び前記中間平面に対して垂直の菱形の中心軸（Ｃ）の周りで、１８０°回転対称であることを特徴とする請求項１〜１１の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
13. 刃先割出し可能インサートはどんな平面に関しても鏡映対称を有せず、１８０°の整数倍でないどんな回転に関する対称も有しないことを特徴とする請求項１〜１２の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
14. 前記菱形は、前記中間平面（Ｚ）を規定し、周縁方向に延びる側面に沿う辺（ｚ１，ｚ２，ｚ３，ｚ４）によって張り出すと共に非直角であり、前記菱形の鋭角コーナーは６０°〜８８°までの間の角度を有することを特徴とする請求項１〜１３の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
15. 前記２つの三角形表面は１３５°〜１５５°までの間の角を成すことを特徴とする請求項１〜１４の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサート。
16. 刃先割出し可能インサート（１０）のための複数の取付け切欠きを有するショルダーミーリングカッターであって、
    取付け切欠きはそれぞれ少なくとも３つのシート表面を有し、そのうち第１のシート表面は主として径方向で刃先割出し可能インサート（１０）に対する支持を提供し、第２のシート表面は主として軸方向で刃先割出し可能インサート（１０）に対する支持を提供し、第３のシート表面は主として接線方向で刃先割出し可能インサート（１０）に対する支持を提供し、該第３のシート表面は少なくとも２つの互いに角度を成す表面部分（２３，２４）を含み、そのうち一方はショルダーミーリングカッターの軸に対してポジティブの軸方向角度を含み、他方はネガティブの軸方向角度を含み、
    前記２つの表面部分（２３，２４）は三角形状であり、接線方向からの平面視において、前記２つの表面部分（２３，２４）の２つの辺が平行で互いに並置された関係で延びる限り、菱形形状の基本形を有する平行四辺形の形を共同で画定し、
    前記２つの表面部分（２３，２４）が、前記軸と実質的に平行である狭く細長い平面状表面（２５）によって分離され、該平面状表面（２５）の長手方向の２つの辺が前記２つの表面部分（２３，２４）の２つの平行な辺と一致することを特徴とするショルダーミーリングカッター。
17. さらにまた、二つの前記表面部分は、正反対の方向である角度で径方向にそれぞれ傾いていることを特徴とする請求項１６に記載のショルダーミーリングカッター。
18. 三角形状の２つの前記表面部分（２３，２４）は、互いに対して１１０°〜１６５°の角度、好ましくは１３５°〜１５５°角度をなすことを特徴とする請求項１６又は１７に記載のショルダーミーリングカッター。
19. 三角形状の２つの前記表面部分（２３，２４）の平行な２つの辺は、前記軸と平行な平面内で延びると共に、前記ミーリングカッターの前記軸に対して３５°〜６０°の角度で傾いていることを特徴とする請求項１６〜１８の何れか一項に記載のショルダーミーリングカッター。
20. 請求項１〜１５の何れか一項に記載の刃先割出し可能インサートを複数備えていることを特徴とする請求項１６〜１９の何れか一項に記載のショルダーミーリングカッター。
21. 三角形状の２つの前記表面部分の間で、前記平行な２つの辺又は前記平面状表面の領域において、固定孔がミーリングカッターの軸との関係でほぼ接線方向に前記第３のシート表面を貫通して延びていることを特徴とする請求項１６〜２０の何れか一項に記載のショルダーミーリングカッターでの切削インサートの使用。

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