JP6334263B2 - 重金属類汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛などの土壌汚染対策法に定める第二種特定有害物質(以下、重金属類)に汚染された重金属類汚染土壌の浄化方法に関する。
鉛などの重金属類に汚染された土壌を浄化する技術として、a水洗分級法、b加熱処理法、c電気泳動法が知られている。
水洗分級法は、水洗・分塊,もしくは物理的な土壌研磨等により粗い土壌粒子表面から汚染物質または汚染物質を多量に含む微粒子を分離、濃集、捕捉する方法である。
水洗分級法の場合、土壌磨砕が不十分であると、粗い土壌粒子からの汚染物質または汚染物質を多量に含む微粒子が完全に除去されず、汚染物質を土壌指定基準値以下まで低減できない可能性がある。
また、土壌磨砕時間を長くしたり、粗い土壌粒子表面を完全に研磨する高度磨砕装置を適用したりすることにより、粗い土壌粒子からの汚染物質または汚染物質を多量に含む微粒子の除去率を向上させることは可能であるが、この場合においても高濃度に汚染された土壌では、汚染物質を土壌指定基準値以下まで確実に低減できるとは限らない。さらに、前者はランニングコストの増大、後者は装置イニシャルコストの増大となることが指摘されている。また、磨砕による微粒子量が増加し浄化土壌の歩留まりを低下させることとなる。
加熱処理法は、土壌をロータリーキルンや電気抵抗炉等で加熱焼結またはガラス固化することにより、汚染物質である鉛等の重金属類を非常に安定な状態として封じ込める方法である。
加熱処理法の場合、鉛などの重金属類により汚染されている土壌の場合、加熱焼結またはガラス固化状態にするために、加熱焼結:800〜1200℃、ガラス固化:1600〜2000℃まで加熱する必要があり、大量の熱源を必要とし、ランニングコストの増大を招く。
さらに、加熱時に発生する排ガスに対しても適切に処理する付加設備等が必要となり、イニシャルコスト増大につながる。また、汚染物質である鉛などの重金属類を揮発除去していない場合、加熱焼結やガラス固化状態が完全に形成されていないと、汚染物質が再溶出する可能性のあることが指摘されている。
電気泳動法は、汚染された土壌に対して陽極と陰極を設け、電解液等を加えた後に直流電流を流すことにより、汚染物質を電極近傍に集め、除去する方法である。
電気泳動法の場合、低電圧、低電流で実施した場合、その浄化速度は非常に遅くなり、浄化完了まで非常に長時間を要する。また、高電圧,高電流で実施した場合、浄化速度は速くなると考えられるが、多量の電力を必要とし、ランニングコストが非常に高いものとなる。また、電極表面が汚染物質等で覆われてしまうと、その除去効率が劣化するため、随時、電極近傍に濃集された汚染物質を除去しなければならず、特別な構造をもった電極及び汚染物質回収装置が必要となることが指摘されている。
上述したように、水洗分級法、加熱処理法、電気泳動法のいずれの方法にも、欠点があるため近年では装置の簡便化、汚染物質の除去効率の向上を図ることを目的として、吸着剤を用いた処理方法が提案されている。
例えば、特許文献1には薬剤洗浄により洗浄液に重金属類を移動させ、重金属類を吸着する鉄粉に担持させる方法が記載されている。
また、特許文献2では重金属類汚染土壌スラリに鉄を含有する鉄含有粒子を混合して重金属類を吸着させた後、磁気にて鉄含有粒子を回収し再利用する方法が記載されている。
特開2000-51835号公報 特開2011-56482号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示されている浄化方法の場合、汚染濃度、吸着材添加量、吸着に要する混合時間等、多くのパラメータが存在するため、これらのパラメータの中から、最適条件を見出すことは非常に困難で、技術を具体化し、現実に適用する場合、種々の不利益が生じている。
例えば、過度の吸着剤添加量や混合時間で洗浄を行なった場合は、装置が大きくなり、ランニングコストが増大するため、浄化コストアップの要因となるばかりか吸着材の消費量が増大する。また、吸着剤添加量や混合時間が不足した条件下で洗浄を行なった場合、洗浄後の土壌を土壌指定基準値以下まで低減できない危険性がある。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、コストパフォーマンスに優れた重金属類汚染土壌の浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、重金属類に汚染された土壌(以下、重金属類汚染土壌)を浄化する方法について鋭意検討し、一定の条件下で酸性溶液により重金属類汚染土壌を洗浄し、土壌粒子表層の溶解作用により、砂質のみならず、シルト・粘土などの土壌粒子表層に強固に結合した重金属類を液相に分離して、重金属類を吸着する鉄粉を添加混合して土壌の浄化を行うコストパフォーマンスに優れた土壌浄化技術を完成させた。
図11は重金属類の一つである鉛に汚染された土壌(以下、鉛汚染土壌)について、土壌粒子径毎の鉛溶出量を調査した結果を示すもので、土壌粒子径に依存して鉛溶出量は変化し、土壌粒子径が大きくなると鉛溶出量は低下する。
また、シルト・粘土などの細粒土壌の場合、土壌微粒子、特に粘土鉱物による永久電荷作用やアロフェンなどの変異電荷作用により重金属類などの汚染物質と強固に結合しやすい。また、細粒土壌は粗粒土壌に比べ活性が高く重金属類と土壌粒子の表層にて難溶性の化合物、鉱物を形成しやすい。一方、砂質などの粗粒土壌の場合は、土壌粒子表面への物理吸着や付着などで比較的緩やかに結合している場合が多い。
そこで、本発明者は、最初に、酸性溶液で重金属類の汚染土壌を洗浄することによって、土壌粒子表層の溶解作用により、砂質のみならず、シルト・粘土などの土壌粒子表層に強固に結合した重金属類を液相に分離し、これに鉄粉を添加することにより、重金属類の土壌への再付着を防止し、且つ、効果的に重金属類を鉄粉に担持させることができると考えた。
本発明はかかる考えに基づくものであり、具体的には以下の構成を備えてなるものである。
(1)本発明に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、重金属類汚染土壌を解砕する第一の工程と、該第一の工程により解砕された土壌を酸性溶液で洗浄する第二の工程と、該第二の工程により酸性溶液により洗浄された土壌に対して、重金属類を吸着する鉄粉を添加混合する第三の工程と、該第三の工程により重金属類を吸着する鉄粉が添加された土壌より鉄粉を分離する第四の工程とを有し、
前記第三の工程において、土壌溶出量と鉄粉添加量、混合時間、繰り返し使用回数が下記を満たすことを特徴とするものである。
X>0.6×C0・{1−1/exp(t/4)}/(θ/n)+0.5
但し、
X:土壌重量に対する鉄粉添加率(重量%)、C0:洗浄前土壌溶出量(mg/L)
θ:重金属類の土壌溶出量基準値に対して平衡状態における吸着量(g/kg)
t:鉄粉添加完了後の土壌スラリと鉄粉の混合時間(分)
n:鉄粉の繰り返し使用回数
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第三の工程において、平均粒子径毎に区分された複数の粒子群の鉄粉を平均粒子径の小さい粒子群のものから順に添加することを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記第四の工程において、重金属類を吸着する鉄粉を回収した後、回収された鉄粉を特定の平均粒子径を境に少なくとも二つの粒子群に分別することを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のものにおいて、前記第二の工程において、酸性溶液と土壌を混合後のpHを4〜6とし、洗浄時間を5分以上とすることを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、重金属を吸着する鉄粉として、還元処理前の鉄粉に、酸性金属塩を粉末のまま混合した後に水を添加混合する、又は/及び、酸性金属塩の水和物を添加混合する酸処理を施した鉄粉を使用することを特徴とするものである。
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記第四の工程において、回収された吸着鉄粉に対して、1(mol/L)以上の酸性溶液を添加混合し重金属類を吸着鉄粉から脱着する工程と、酸性金属塩を粉末のまま混合した後に水を添加混合する、又は/及び、酸性金属塩の水和物を添加混合して吸着鉄粉を再生する工程ことを具備することを特徴とするものである。
本発明においては、重金属類汚染土壌を解砕する第一の工程と、該第一の工程により解砕された土壌を酸性溶液で洗浄する第二の工程と、該第二の工程により酸性溶液により洗浄された土壌に対して、重金属類を吸着する鉄粉を添加混合する第三の工程と、該第三の工程により重金属類を吸着する鉄粉が添加された土壌より鉄粉を分離する第四の工程とを有し、前記第三の工程における土壌重量に対する鉄粉添加量Xが、洗浄前土壌溶出量C0、重金属類の土壌溶出量基準値に対して平衡状態における吸着量θ、鉄粉添加完了後の土壌スラリと鉄粉の混合時間t、鉄粉の繰り返し使用回数nとの関係で、X>0.6×C0・{1−1/exp(t/4)}/(θ/n)+0.5となるようにしたことにより、鉄粉添加量、混合時間、鉄粉の繰り返し使用回数が適切な値となり、設備を大型化することなくコストパフォーマンスに優れた重金属類汚染土壌の浄化方法となる。
また、鉄粉を繰り返し利用する場合を想定し、かつ吸着性能として破過するまでの繰り返し回数を把握していることから、鉄粉使用量を適切にすることができ、生産性の向上にも繋がる。
さらに、第一の工程において、重金属類汚染土壌から効果的に重金属類を分離するようにしているので、吸着材による重金属類の吸着作用を向上させ、吸着に要する混合時間を大幅な短縮することができる。
本発明の一実施形態に係る重金属類汚染土壌の浄化工程を説明する説明図である。 浄化後の土壌中の重金属類溶出量に及ぼす土壌/酸性溶液混合後のpHの影響を示す図である。 浄化後の重金属類溶出量に及ぼす酸性溶液での土壌洗浄時間の影響を示す図である。 鉄粉の砒素吸着量に及ぼす鉄粉還元処理及び酸処理の関係を示す図である。 洗浄処理前後の土壌への砒素溶出量の比(C/C0)と鉄粉混合時間の関係を示す図である。 洗浄前の土壌における金属溶出量と吸着鉄粉の必要添加量の関係を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る重金属類汚染土壌の浄化工程を説明する説明図である。 浄化後の重金属類溶出量に及ぼす吸着鉄粉粒子径の関係を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る第三の工程及び第四の工程を詳細に示す図である。 本発明の他の実施形態に係る重金属類汚染土壌の浄化工程の他の態様の説明図である。 重金属(鉛)汚染濃度と土壌粒子径の関係を示す図である。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る重金属類汚染土壌の浄化方法は、図1に示すように、重金属類汚染土壌を解砕する第一の工程(S1)と、該第一の工程により解砕された土壌を酸性溶液で洗浄する第二の工程(S2)と、該第二の工程により酸性溶液により洗浄された土壌に対して、重金属類を吸着する鉄粉を添加混合する第三の工程(S3)と、該第三の工程により重金属類を吸着する鉄粉が添加された土壌より鉄粉を分離する第四の工程(S4)とを有している。
以下、各工程を詳細に説明する。
<第一の工程>
第一の工程(S1)は、掘削された重金属類汚染土壌を土壌解砕機1により、土壌粒子が凝集し、塊状となった状態から単粒子にときほぐすことを目的とする。
第一の工程により、単体粒子にときほぐされた土壌は、土壌粒子の大きさごとに分級が可能となる。
また、第二の工程である酸性溶液による洗浄において、土壌粒子と酸性溶液の接触面積が増大し、洗浄時間が短縮し、汚染物質を除去する効率も向上する。
土壌解砕機1としては、ドラムウオッシャー、パドルミキサー、ロットミル、アトライター、ボールミルなど既存の装置を利用する。
尚、解砕する前、又は解砕後の土壌から、重金属類汚染物質が付着しやすい炭ガラ、金属片などの異物を比重選別機、磁力選別機、浮遊選別機で取り除いたり、大きな土壌粒子を振動スクリーンで取り除いたりすることが望ましい。
<第二の工程>
第二の工程(S2)は、第一の工程で単体粒子にときほぐされた土壌を、酸性溶液を貯留した酸洗浄槽3に投入して洗浄し、土壌粒子表層の溶解作用により土壌表層より重金属類を分離することを目的とする。この第二の工程を行う理由は、土壌から重金属類を溶液中に溶出(分離)させて吸着に要する混合時間を短くし、また吸着剤量を少なくするためである。
また、洗浄条件として酸性溶液の濃度、pHおよび洗浄時間等を調整する。
ふっ素汚染土壌を対象として、ふっ素溶出量、土壌回収率に及ぼすpHの影響を調査する実験を行った。実験は、ふっ素汚染土壌と塩酸溶液の固液重量比を1:10、ふっ素吸着性を有する鉄粉の添加量を土壌重量に対して3%として、鉄粉添加後10分間混合した後、磁石にて鉄粉を回収し、浄化土壌回収率(重量%)とふっ素溶出低減率(%)を調査するというものである。
実験結果を図2に示す。図2の左側の縦軸は浄化土壌回収率(重量%)を示し、右側の縦軸はふっ素溶出低減率(%)を示し、横軸は酸性溶液を混合した後の土壌のpHを示している。
図2に示すとおり、洗浄に用いる酸性溶液の濃度または量は、酸性溶液を混合した後の土壌のpHを4.0〜6.0なるように調整することが好ましい。
なぜならば、pHが4.0未満の場合、重金属類を溶解、抽出するほか、土壌を構成する主要鉱物、物質の溶解、抽出比率が増加し、浄化土壌の回収率歩留まりが低下する上、洗浄後の液の処理、その残渣の分離などコストパフォーマンスが著しく低下するため、pH4.0以上が好ましい。さらには、鉄粉を繰り返し使用する場合、pHが4.0未満では、鉄粉表面に吸着した重金属類を剥離、または、脱着する恐れがある。
また、pHが高い場合、土壌粒子表層に付着・結合している、あるいは、地下水等に溶解しやすい状態である重金属類の汚染物質を土壌から効率的に分離することができないため、pH6.0以下が好ましい。
また、重金属類汚染土壌と酸性溶液の固液重量比は、洗浄の効率、効果、設備への負荷、規模などを考慮すると1:1〜1:20が好ましい。
なお、還元性の異なる複数の鉄粉を吸着材として使用、添加する場合は、酸性溶液による土壌からの重金属類の溶液中への溶出(脱離)の阻害作用とならないように還元性の低い鉄粉より順次添加した方がよい。
図3は、pH4.0〜6.0に調整後に洗浄を行い、ふっ素吸着性を有する鉄粉の添加量を土壌重量に対して3%として、鉄粉添加後10分間混合した後、磁石にて鉄粉を回収した場合のふっ素溶出量(mg/L)と洗浄時間との関係を示すグラフであるが、この図3に示すように洗浄時間は土壌の粒子径によらず、5分経過することでふっ素溶出量がほぼ一定となるので、洗浄時間としては5分以上とするのが好ましい。また、洗浄装置のイニシャルコストを抑制する観点からは好ましくは30分以下、さらに好ましくは15分以下とすればよい。
なお、本工程は、第一の工程で単体粒子にときほぐされた土壌を、粒子群に分級した後に、それぞれの粒子群に対して行ってもよい。
また、分級は振動スクリーン、クラシファイア、スパイラル分級機、遠心分離機、サイクロン、フィルタプレスなどを単独または組み合わせて行う。
解砕された重金属類の汚染土壌で粒子径0.075mm未満はシルト・粘土質、粒子径0.075mm以上2.0mm以下は砂質で土壌の性質が異なり、汚染濃度、重金属類を吸着するための鉄粉量の条件が大きく相違するため、本発明では粒子径0.075mm未満と粒子径0.075mm以上2.0mm以下の少なくとも2種類の粒子群に分級してもよい。また、粒子径0.075mm未満と粒子径0.075mm以上2.0mm以下のそれぞれを更に分級しても良い。
<第三の工程>
第三の工程(S3)は、第二の工程により酸性溶液により洗浄された土壌に対して、鉄粉混合槽5にて重金属類を吸着する鉄粉を添加混合し、鉄粉に重金属類を担持することを目的とする。
鉄粉としては重金属類を吸着するものであればよいが、重金属類に対する吸着性の観点から、マンガンが0.1重量%から10重量%含有しているものがよく、また、平均粒子径としては、10μmから500μmのものがよい。すなわち、平均粒子径が10μm未満の場合、重金属類を担持した後の土壌と鉄粉の分離が困難であり、また、粒径500μm超の粒径の場合、鉄粉の比表面積が小さくなるため反応性が著しく劣化し、さらに、土壌と混合する場合には、混合容器やその混合スラリを圧送する配管、ポンプにて詰りや摩耗が発生するためである。
さらに、鉄粉の比表面積が高いものほど重金属の吸着性が優れているため、比表面積の大きな鉄粉を使用することにより吸着材の使用量を低減することができる。
そのため、重金属類を吸着するための鉄粉、または、重金属類を吸着するための鉄粉として使用するために乾式・湿式による表面処理や加工処理を行う前の材料鉄粉においては、水素等の還元ガス雰囲気下にて加熱による還元処理を行うことで熱振動による鉄の拡散進行や結晶粒の粗大化によって比表面積が著しく低下すると推定されるため、還元処理前の鉄粉を用いた方がよい。
また、還元処理前の鉄粉を使用する場合は、還元処理を実施していないために鉄粉表面に酸化皮膜が残存しているため、重金属類を吸着するための鉄粉として使用する前や材料鉄粉として加工処理する前に、酸性物質や酸性溶液の添加、混合による酸処理を施して鉄粉表面の酸化皮膜の一部、又は、全部を除去することにより鉄粉表面の吸着点を活性化し吸着性を高めることが望ましい。
酸性物質や酸性溶液としては、硫酸や塩酸などの無機酸、クエン酸や酒石酸などの有機酸、及び/又は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、銅などの塩化物や硫酸塩などの金属塩、及び/又は、それら酸や金属塩の水溶液のいずれかであればよく、中でも、鉄粉表面の活性化、コストや入手、取り扱いの容易さ、混合処理時の発熱低減や混合処理後の乾燥時間の短縮の観点より、酸性物質のうち、特に、硫酸第一鉄や硫酸第二銅、塩化マグネシウム等の酸性金属塩を粉末のまま混合した後に少量の水を添加混合する、及び/又は、酸性金属塩の水和物を添加混合すればよい。なお、酸性金属塩の添加量や金属塩混合に添加する水量は鉄粉表面の活性化の観点から鉄粉と酸性金属塩の均一混合を確保できる量であればよいが、添加量が多いと混合処理時の発熱量の増大、混合処理後の乾燥時間の増加を招くため、鉄粉重量に対して酸性金属塩添加量:0.5〜5重量%、酸性金属塩重量に対して水添加量:0〜500重量%とすればよい。
図4は、還元処理前後の鉄粉、及び、酸処理前後の鉄粉における砒素濃度0.01mg/Lに対して平衡となる24時間後の吸着量を示すグラフであり、還元処理前、且つ、酸処理後の鉄粉の吸着量が優れていることが分かる。なお、鉄粉としてはアトマイズ法にて製造された仕上還元処理前の鉄粉であり、酸処理としては硫酸第一鉄7水和物の酸性金属塩を鉄粉に対し2重量%添加混合したものである。
なお、鉄粉と酸性溶液や酸性物質を混合する方法としては鉄粉と酸性溶液や酸性物質が容易に均一混合できる方法であればよく、パドルミキサやドラムミキサ、モルタルミキサなどの混合装置を単独または組み合わせて行う。また、混合時間としては、均一混合性の観点から5分以上であればよい。
また、混合処理後の鉄粉の含水率としては、重金属類の吸着する鉄粉として使用するまでの保管期間中の劣化防止の観点から鉄粉重量に対して0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下となるように乾燥装置などで調整した方がよい。
さらに、混合処理後、または、乾燥処理後の鉄粉に固結が見られた場合は、適宜、解砕や分級により粒度調整を行えばよい。
また、重金属類を吸着する鉄粉の添加量、混合時間が不足すると、酸性溶液で土壌から分離された重金属類が土壌に再度残留したり付着したりするので、酸性溶液による重金属類の分離効果が損なわれる。
これらを防止するに、鉄粉量の過剰添加、混合時間の延長を実施することにより、浄化後の土壌に対するこれらの影響を小さくすることはできる。
しかしながら、この場合、鉄粉添加量が多くなり、また混合装置等の装置費が増大し、さらには、生産性の低下を招いてしまう。
そこで、本発明者らは、種々の混合試験を行うことにより、土壌重量に対する鉄粉添加率(重量%):X、洗浄前土壌溶出量(mg/L):C0、重金属類の土壌溶出量基準値に対して平衡状態における吸着量(g/kg):θ、鉄粉添加完了後の土壌スラリと鉄粉の混合時間(分):t、鉄粉の繰り返し使用回数:n(1以上の整数)の間に下記(5)式の関係を見出した。
なお、鉄粉の繰り返し回数とは、第四の工程にて鉄粉を分離した後に再度、添加する工程を1工程とし、その繰り返し回数とする。
すなわち、酸性溶液により重金属類が溶液中に移行する場合、土壌1kgに対する溶液中の重金属量α(g/土kg)は、洗浄後の土壌溶出量:C,補正係数をAとすると、
α=A×(C0−C)(g/土kg)―――――(1)
複数回の繰り返し使用の場合、一回あたりの平均吸着量ψ=θ/n(g/材kg)であり、補正定数Bとし、この関係を用いて、必要鉄粉添加量X(%)を整理すると、
X>α/ψ+B=[A×(C0−C)]/(θ/n)+B ―――――(2)
今、一例として、砒素溶出量超過土壌に対して、酸性溶液を添加混合してpH4.0〜6.0に調整・洗浄した後、土壌重量に対して5重量%添加した場合の混合時間tと洗浄処理前後の土壌の砒素溶出量の比(C/C0)の関係を図5に示す。
図5より、浄化処理後、すなわち、洗浄処理後の土壌溶出量Cと混合時間tは、下記の関係になると推定される。
C/C0=1/exp(t/4) ―――――(3)
(3)式の関係を(2)式に代入すると、
X>[A×C0×{1−exp(t/4)}/(θ/n) ―――――(4)
図6は、種々の溶出量基準不適合の汚染土壌サンプルをpH5.0で洗浄した条件下での鉄粉吸着試験の結果を示すグラフであり、縦軸が吸着鉄粉添加量(重量%)で、横軸が C0・{1−1/exp(t/4)}/(θ/n)を示している。
図6において、浄化後の土壌の溶出量が環境省の定める溶出量基準を下回る場合を中抜きの記号、満たさない場合を中実の記号で示し、それらの境界線を直線で示している。
この直線の切片は0.5であり(図6参照)、これに基づいて(4)式を整理するとA=0.6となり、(5)式の関係となる。

X>0.6×C0・{1−1/exp(t/4)}/(θ/n)+0.5―――――(5)

このように、(5)式が鉄粉添加率の指標として有用であることが実証された。つまり、(5)式に基づいて溶出量基準不適合の汚染土壌の土壌溶出量:C0(mg/L)において、土壌重量に対する鉄粉添加率(重量%):X、重金属類の土壌溶出量基準値に対して平衡状態における吸着量(g/kg):θ、鉄粉添加完了後の土壌スラリと鉄粉の混合時間(分):t、鉄粉の繰り返し使用回数:n(1以上の整数)を決めるようにすれば、効果的でかつ効率的に第三の工程を行うことができる。
また、(5)式では、鉄粉を繰り返し利用する場合を想定しているが、このように、吸着性能として破過するまでの繰り返し回数を把握することは生産性の向上にも繋がる。
なお(5)式は鉄粉添加量の上限を定めるものではないが、通常は30重量%を超える鉄粉を添加する場合、混合装置等の装置費の増大によるランニングコストの増加、さらには、生産性の低下を招いてしまう。よって、前記の場合にも(5)式を用いて、繰り返し回数の設定を少なくすることで、通常設備で扱える範囲の鉄粉添加量を決定すればよい。
なお、複数の重金属類で汚染されている場合においては、各重金属類に対する土壌溶出量、吸着量を用いて鉄粉添加量を算出しそれらの数値の総和を鉄粉添加量として用いればよい。また、複数の鉄粉を混合したものからなる鉄粉を使用する場合においては、その吸着量は混合比率と吸着量の加重平均を用いればよい。
<第四の工程>
第四の工程(S4)は、第三の工程を経た重金属類汚染土壌から重金属類を担持した鉄粉を吸着鉄粉分離装置7により回収することを目的とする。吸着鉄粉分離装置7は磁力選別機、振動スクリーン、クラシファイア、スパイラル分級機、遠心分離機、サイクロン、フィルタプレス、膜/中空糸膜装置などの既存の装置を単独または組み合わせて行う。
吸着鉄粉分離装置7で回収された鉄粉は、第三の工程の鉄粉として当該土壌の洗浄に再循環させるのが好ましい。
本実施の形態は、以上に述べた第一の工程〜第四の工程により、鉄粉添加量、混合時間、鉄粉の繰り返し使用回数が適切な値となり、設備を大型化することなくコストパフォーマンスに優れた重金属類汚染土壌の浄化方法となる。
また、鉄粉を繰り返し利用する場合を想定し、かつ吸着性能として破過するまでの繰り返し回数を把握していることから、鉄粉使用量を適切にすることができ、生産性の向上にも繋がる。
さらに、第一の工程において、重金属類汚染土壌から効果的に重金属類を分離するようにしているので、吸着材による重金属類の吸着作用を向上させ、吸着に要する混合時間を大幅な短縮することができる。
なお、各工程の説明に用いた図1では各工程を一回実施する場合を示したが、本発明は所望の洗浄効果が得られるまで必要に応じて、いずれかの工程を複数回実施することが可能である。
[実施の形態2]
本実施の形態は、第三の工程において鉄粉を添加する際に、鉄粉を平均粒子径によって複数の粒子群に分け、平均粒子径の小さい粒子群の鉄粉から順に添加するようにしたものである。図7は本実施の形態の工程を示すものであり、第一の工程(S1)と第二の工程(S2)は実施の形態1と同様である。
鉄粉の平均粒子径が小さい粒子群から順に添加する理由について説明する。
砒素汚染土壌に対して、土壌と塩酸溶液の固液重量比を1:10、pHを5.0に調整し、砒素吸着性を有する鉄粉を75μmで区分した後、75μm未満の鉄粉(平均粒子径 45μm)と75μm以上の鉄粉(平均粒子径 180μm)を各1重量%添加し、鉄粉添加後10分間混合した後、磁石にて鉄粉を回収した場合の汚染土壌の砒素溶出量を測定する実験を行った。実験においては、平均粒子径が45μmの鉄粉(粒子径小)と平均粒子径が180μm(粒子径大)の鉄粉の添加順序を変えて行った。
図8は実験結果を示すグラフであり、図8に示すとおり、重金属類を吸着する鉄粉としては、平均粒子径の小さな鉄粉粒子群から順に添加した方が、砒素溶出量が少なくなっており、この順で添加するのが効果的であることが分かる。
この理由は以下の通りであると推察される。
第二の工程で土壌より分離された重金属類は時間経過とともに土壌に再付着するため、再付着を防止するためには、比表面積が高い、すなわち、吸着性能が高い平均粒子径の小さな鉄粉から構成される粒子群を最初に添加した方がよい。
また、順次、平均粒子径の大きな鉄粉を添加することにより、土壌表層に対する鉄粉の磨砕(もみ洗い効果)によって重金属類の再付着が生じた際は土壌表層から重金属類を再分離し、重金属類を自身に担持することができるからである。
なお、各々の鉄粉粒子群としては、1の鉄粉を特定の粒子径で区分したものばかりではなく、材質、吸着性、粒度構成の異なる鉄粉を混合した後、特定の粒子径で区分したものでもよい。
また、重金属類汚染土壌に対して、平均粒子径の小さい鉄粉粒子群を添加した後、平均粒子径が大きい鉄粉粒子群を添加するまでの間隔は、重金属類の土壌への再付着を防止する観点から出来る限り迅速に実施した方がよいが、重金属類汚染土壌に対して平均粒子径の小さい鉄粉粒子群が均一に混合された後に、平均粒子径が大きい鉄粉粒子群を添加した方が処理後土壌の汚染状況の不均一性が生じにくくなるため、添加の間隔としては3分〜10分程度がよい。
なお、吸着鉄粉分離装置7で回収された鉄粉を第三の工程の鉄粉として当該土壌の洗浄に再循環させる場合は、図7に示すように、第四の工程で吸着鉄粉分級装置9を使用して特定の粒子径を境に少なくとも二つの粒子群に分別して平均粒子径の小さい粒子群から順に添加するようにすれば、第三の工程での鉄粉による重金属類の吸着作用を向上させ、処理時間を大幅な短縮させることができる。
吸着鉄粉分級装置9としては、特定の粒子径を境に分別できるものであればよく、振動スクリーン、クラシファイア、スパイラル分級機、サイクロンなどが挙げられる。
図9は本実施の形態における第四の工程を具体化する設備の一例を示すものであり、吸着鉄粉を重金属類汚染土壌と分離する吸着鉄粉分離装置7と、分離された鉄粉を特定の粒子径にて粒子径毎に分別する吸着鉄粉分級装置9と、鉄粉を薬剤洗浄や鉄粉表面研磨などにより重金属類を鉄粉から脱着させて再生する吸着鉄粉再生装置11と、新たな鉄粉を補給するための補給装置13を備えてなるものである。
(6)式における繰り返し回数を超えた場合、または、吸着性能の低下により吸着鉄粉の交換が必要となった場合、回収された吸着鉄粉に対して、1(mol/L)以上の塩酸、または、硫酸等の酸性溶液を添加混合することにより迅速に重金属類を吸着鉄粉から脱着することができる。すなわち、吸着鉄粉から鉄粉表面に吸着された重金属類を迅速、且つ、完全に除去するためには酸性溶液混合後のpHを0以下とした方がよく、pH管理の観点から強酸である塩酸や硫酸であって、且つ、1(mol/L)以上の濃度の溶液を用いた方がよい。
また、重金属類を脱着した鉄粉に対して、前述した通り、硫酸や塩酸などの無機酸、クエン酸や酒石酸などの有機酸、及び/又は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、銅などの塩化物イオンや硫酸イオンなどで形成される金属塩、及び/又は、それら酸や金属塩の水溶液のいずれかを添加し所定時間混合することにより、吸着鉄粉としての再生を図ることができる。特に、酸性物質のうち硫酸第一鉄や硫酸第二銅、塩化マグネシウム等の酸性金属塩を粉末のまま混合した後に少量の水を添加混合する、及び/又は、酸性金属塩の水和物を添加混合すれば、鉄粉表面の活性化、混合処理時の発熱低減や混合処理後の乾燥時間を短縮することができる。
なお、吸着鉄粉再生装置11は、必須ではなく、また吸着鉄粉再生装置11によって鉄粉を再生するのは、重金属類汚染土壌と吸着鉄粉を分離した以降であれば、分級前であってもよい。
なお、図7に示す例では、第三の工程で添加する鉄粉を大、小の2つの平均粒子径からなる粒子群に分けた場合であったが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば図10に示すように、大、中、小の3つの平均粒子径からなる粒子群に分けて添加するようにしてもよく、粒子群の数は特に限定されるものではない。
本発明の効果を確認するための実験を行ったので、以下これについて説明する。
工場跡地より砂質シルト土である溶出量基準不適合の砒素汚染土壌(砒素溶出量:0.056mg/L)を採取し、パドルミキサーにより100rpm、10分間の解砕を行った後、固液重量比1:2で0.3mol/lの塩酸溶液を添加し、15分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した。この時の塩酸洗浄液のpHは洗浄終了直後で4.5であった。
次に、砒素汚染土壌と塩酸洗浄液のスラリに対し、平均粒子径:50μm、砒素濃度0.01mg/Lに対して平衡となる吸着量:1.0g/kgの砒素吸着鉄粉(A)を土壌の最初の重量に対して1重量%で添加し、5分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した。
その後、平均粒子径:100μm、吸着量:砒素濃度0.01mg/Lに対して平衡となる0.6g/kgの砒素吸着鉄粉(B)を土壌の最初の重量に対して1重量%で添加し、15分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した。
この土壌スラリより1,000ガウスの磁力板にて砒素吸着鉄粉を回収した。風乾後の鉄粉回収量は、添加量に対して93.5重量%であった。また、砒素吸着鉄粉回収後の土壌スラリを遠心分離器(3000rpm、10分間)で脱水・風乾した。風乾後の土壌回収量は、最初の重量に対して、95.2重量%であった。
この風乾後の浄化土壌を環境省告示第18号の方法に準拠し、砒素溶出量を測定した。
比較例1として、実施例1で用いた工場跡地より採取した砒素汚染土壌に対してパドルミキサーにより100rpm、10分間の解砕を行った後、水を固液重量比で1:2になるよう添加した。このスラリを15分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した。それ以降の条件は実施例1と同じとした。
また、比較例2として、実施例1での砒素吸着鉄粉の添加を平均粒子径:100μm、吸着量:砒素濃度0.01mg/Lに対して平衡となる0.6g/kgの砒素吸着鉄粉(B)を土壌の最初の重量に対して1重量%で添加し、5分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した後、平均粒子径:50μm,砒素濃度0.01mg/Lに対して平衡となる吸着量:1.0g/kgの砒素吸着鉄粉(A)を土壌の最初の重量に対して1重量%で添加して15分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)し、それ以降の条件は実施例1と同じとした。
実施例1、比較例1,2の実験の結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1は、第二の工程で塩酸溶液に代えて水で洗浄したものに比較して砒素溶出量が低減されている。また、実施例1は、砒素吸着鉄粉の添加に関し、平均粒子径が大きいものを先に添加した比較例2に比較して砒素溶出量が低減されている。
このように、本発明によれば、重金属類汚染土壌に対し優れた浄化効果を得られることが確認できた。
さらに、酸性溶液によりpH4〜6で洗浄後、重金属類の吸着鉄粉を添加することにより、土壌からの重金属類の分離に関して優れた効果が得られた。
吸着鉄粉の繰り返し利用回数の適正値を確認する実験を行ったので、以下これについて説明する。
工場跡地より採取したシルト土である溶出量基準不適合のふっ素汚染土壌(ふっ素溶出量:1.0mg/L)に対し、パドルミキサーにより100rpm、10分間の解砕を行った後、固液重量比1:2で0.2mol/lの塩酸溶液を添加し、15分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した。この時の塩酸洗浄液のpHは洗浄終了直後で5.3であった。
次に、ふっ素汚染土壌と塩酸洗浄液のスラリに対し、平均粒子径:20μm,ふっ素濃度0.8mg/Lに対して平衡となる吸着量:0.85g/kgのふっ素吸着鉄粉(A)を土壌の最初の重量に対して10重量%で添加し、15分間攪拌(攪拌条件:攪拌翼の回転数300rpm)した。
この土壌スラリより1,000ガウスの磁力板にてふっ素吸着鉄粉を回収した後、土壌スラリを遠心分離器(3000rpm、10分間)で脱水・風乾し、環境省告示第18号の方法に準拠して、ふっ素溶出量を測定した。
また、回収されたふっ素吸着鉄粉の繰り返し利用を目的として、上述のふっ素汚染土壌に対して同様に添加した。
比較例3として、ふっ素吸着鉄粉(A)の添加量を土壌の最初の重量に対して5重量%した実験も行った。実験結果を表2に示す。
本条件において、ふっ素吸着鉄粉の添加量が10重量%のときの最適な繰り返し利用回数は13回であり、表2の結果と合致しており、吸着鉄粉添加量、繰り返し利用回数を定義することにより、最適な吸着鉄粉添加量を決定することができた。
また、比較例3の結果のように、ふっ素吸着鉄粉(A)の添加量が少ない場合には、ふっ素吸着鉄粉(A)が吸着性能として破過するまでの繰り返し利用回数が実施例2よりも少なくなっており、このことから、ふっ素吸着鉄粉(A)の添加量と繰り返し利用回数とが密接に関連していることも確認された。
S1 第一の工程
S2 第二の工程
S3 第三の工程
S4 第四の工程
1 土壌解砕機
3 酸洗浄槽
5 鉄粉混合槽
7 吸着鉄粉分離装置
9 吸着鉄粉分級装置
11 吸着鉄粉再生装置
13 補給装置

Claims (3)

  1. 重金属類汚染土壌を解砕する第一の工程と、該第一の工程により解砕された土壌を酸性溶液で洗浄する第二の工程と、該第二の工程により酸性溶液により洗浄された土壌に対して、重金属類を吸着する鉄粉を添加混合する第三の工程と、該第三の工程により重金属類を吸着する鉄粉が添加された土壌より鉄粉を分離する第四の工程とを有し、
    前記第二の工程において、酸性溶液と土壌を混合後のpHを4〜6とし、洗浄時間を5分以上とし、
    前記第三の工程において、平均粒子径毎に区分された複数の粒子群の鉄粉を、平均粒子径の小さい粒子群のものから順に添加すると共に、土壌溶出量と鉄粉添加量、混合時間(5分以上)、繰り返し使用回数n(n=5〜50)が下記を満たすことを特徴とする重金属類汚染土壌の浄化方法。
    X>0.6×C0・{1−1/exp(t/4)}/(θ/n)+0.5
    但し、
    X:土壌重量に対する鉄粉添加率(重量%)、C0:洗浄前土壌溶出量(mg/L)
    θ:重金属類の土壌溶出量基準値に対して平衡状態における吸着量(g/kg)
    t:鉄粉添加完了後の土壌スラリと鉄粉の混合時間(分)
    n:鉄粉の繰り返し使用回数
  2. 前記第四の工程において、重金属類を吸着する鉄粉を回収した後、回収された鉄粉を特定の平均粒子径を境に少なくとも二つの粒子群に分別することを特徴とする請求項1記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
  3. 重金属を吸着する鉄粉として、還元処理前の鉄粉に酸性金属塩を粉末のまま混合した後に水を添加混合する、又は/及び、酸性金属塩の水和物を添加混合する酸処理を施した鉄粉を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の重金属類汚染土壌の浄化方法。
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