JP6333544B2 - チップ抵抗器 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁基板上に設けられた抵抗体にトリミング溝を形成することで抵抗値が調整されるチップ抵抗器に関するものである。
一般的にチップ抵抗器は、直方体形状の絶縁基板と、絶縁基板上に所定間隔を存して対向配置された一対の表面電極と、これら表面電極間を橋絡する長方形状の抵抗体等によって主に構成されており、抵抗体には抵抗値を調整するためのトリミング溝が形成されている。トリミング溝はレーザの照射によって形成されるスリットであり、そのスリット形状としてはストレートカットやLカットが広く採用されている。
このようなトリミング溝を形成する場合、抵抗体の両端部に接続する表面電極に測定端子(プローブ)を接触させて、抵抗体の抵抗値を測定しながら抵抗体の一方の側縁から幅方向にスリットを入れることにより、測定抵抗値を目標抵抗値に対して一致させるようにトリミング溝を形成する(ストレートカット)。あるいは、上記のように抵抗体の一方の側縁から幅方向にスリットを入れて、測定抵抗値が目標抵抗値よりも僅かに下回るまで抵抗値を上昇させた後(抵抗値の粗調整)、そのスリットを方向変換して抵抗体の長手方向へ延ばすことにより(Lカット)、測定抵抗値を目標抵抗値に対して一致させるようにしている(抵抗値の微調整)。
しかしながら、上記したチップ抵抗器においては、トリミングの進行位置に関係なく抵抗体を介して対向する両表面電極間の距離が一定であり、抵抗体に入れられたスリットの切り込み量が増えていくと、さらなるスリットの切り込み量増分に対する抵抗値増分の割合が大きくなっていくため、抵抗値設定の精度を向上させることが困難となる。
そこで従来より、抵抗値調整を容易に行えるようにするために、表面電極の端部を傾斜辺にしたチップ抵抗器が提案されている(特許文献1参照)。図6に示すように、この従来例に係るチップ抵抗器は、直方体形状の絶縁基板10上に所定間隔を存して配置された一対の表面電極11,12のうち、図示左側の表面電極11の端部は抵抗体13と斜めに重なる対向辺(傾斜辺)11aとなっており、図示右側の表面電極12の端部は抵抗体13と直角に重なる対向辺12aとなっている。したがって、両表面電極11,12間の距離は抵抗体13の幅方向に沿って徐々に変化し、図示の例では、抵抗体13の下辺に沿った電極間距離が最も短く、抵抗体13の上辺に沿った電極間距離が最も長くなっている。
トリミング溝14は抵抗体13の下辺から鉛直方向上側へ延びるように形成されており、このように電極間が狭い側からトリミング溝14を形成すると、トリミング溝14のスリット長さ当たりの抵抗値変化が大きくなるため、抵抗値の切上げ幅を広くすることができる。なお、これとは逆にトリミング溝14を抵抗体13の上辺から鉛直方向下側へ延びるように形成したものも知られており、このように電極間が広い側からトリミング溝14を形成した場合は、トリミング溝14のスリット長さ当たりの抵抗値変化が小さくなるため、微調整が行い易くなって抵抗値精度を高めることが可能になる。
特開平9−129405号公報
ところで、表面電極や抵抗体を絶縁基板上に形成する場合は、スクリーンと呼ばれる製版を用いてペーストを転写するスクリーン印刷が一般的であり、図6に示したチップ抵抗器においては、絶縁基板10上にAgペーストをスクリーン印刷して一対の表面電極11,12を形成した後、これら表面電極11,12に跨がるように抵抗体ペーストをスクリーン印刷して抵抗体13を形成するようにしている。しかしながら、表面電極と抵抗体は別々の工程でスクリーン印刷されるものであるため、両者の位置関係が常に正確に保たれるとは限らず、例えば、図7(a),(b)に示すように、表面電極11,12と抵抗体13の位置関係がずれてしまうことがある。また、チップ抵抗器は大判の集合基板を縦横の分割溝に沿って個片化することによって製造されるため、スクリーンの伸び等に起因して集合基板の周辺付近に上記したような位置ずれが発生し易くなる。
図7(a)は両表面電極11,12の中心を通る直線Pに対して抵抗体13が下方へ位置ずれした場合を示し、図7(b)は同直線Pに対して抵抗体13が上方へ位置ずれした場合を示している。図7(a)の場合は、両表面電極11,12の対向辺11a,12aで挟まれた電極間距離が短くなるため、トリミング溝を形成する前の抵抗体13の初期抵抗値は低くなる方向へシフトする。その結果、目標抵抗値にするのに必要なトリミング溝の長さを通常よりも延ばさなくてはならないため、生産効率が低下してしまう虞があり、また、トリミング溝の形成後の抵抗体残部が少なくなるため、過負荷特性の悪いチップ抵抗器になってしまう虞がある。一方、図7(b)の場合は、両表面電極11,12の対向辺11a,12aで挟まれた電極間距離が長くなるため、抵抗体13の初期抵抗値は高くなる方向へシフトし、最悪の場合、トリミング溝の形成前に目標抵抗値を超えてしまう虞がある。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、電極と抵抗体の位置関係にずれが生じたとしても、初期抵抗値にほとんど影響を及ぼすことのないチップ抵抗器を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、絶縁基板と、この絶縁基板上に所定間隔を存して対向配置された一対の電極と、これら電極間を橋絡する長方形状の抵抗体とを備え、前記抵抗体にトリミング溝を形成することで抵抗値が調整されるチップ抵抗器において、前記両電極の少なくとも一方の対向辺が、前記抵抗体の両側縁部と直角に交わる一対の直交辺部と、これら直交辺部の間で前記抵抗体の長手方向に沿う直線に対して斜めに交差する傾斜辺部とを有しており、前記トリミング溝は、前記抵抗体のいずれか一方の側縁部から前記傾斜辺部を介して対向する部位に形成されており、一対の前記直交辺部が前記抵抗体の短手方向に沿う同一直線上に配置されていると共に、前記両電極間の距離が前記抵抗体の両側縁部で同一寸法に設定されている構成とした。
このように構成されたチップ抵抗器では、少なくとも一方の電極の対向辺が、抵抗体の両側縁部と直角に交わる一対の直交辺部と、これら直交辺部の間で抵抗体の長手方向に沿う直線に対して斜めに交差する傾斜辺部とを有しており、傾斜辺部を介して対向する両電極間距離が抵抗体の幅方向に沿って徐々に変化するため、このような抵抗体に対してトリミング溝をいずれか一方の側縁部から傾斜辺部を介して対向する部位に向けて形成することにより、抵抗値の切上げ幅を広くしたり微調整をし易くすることができる。そして、一対の直交辺部が抵抗体の短手方向に沿う同一直線上に配置されており、抵抗体の両側縁部に沿った両電極間の距離が同一寸法に設定されているため、絶縁基板上で一対の電極に対して抵抗体が幅方向へ位置ずれした状態で形成されても、その位置ずれが直交辺部の長さ範囲内であれば、抵抗体の両側縁部における両電極間の距離は一定となり、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。
上記の構成において、通常の印刷ずれの許容範囲を考慮すると、両直交辺部が50μm以上の長さに設定されていれば、電極と抵抗体の相対的な位置ずれを確実に直交辺部の長さ範囲内に納めることができて好ましい。
また、上記の構成において、傾斜辺部の形状は相手側電極の対向辺との距離を抵抗体の幅方向に沿って徐々に変化させるものであれば良いが、この傾斜辺部が抵抗体の長手方向に沿う直線に対して逆向きに傾く2つの傾斜辺を有している形状、すなわち、山形状や谷形状に屈曲した傾斜辺部が抵抗体と重なる形態になっていると、電極間距離の最短または最長部分を抵抗体の幅方向中央付近に設定することができる。
本発明のチップ抵抗器は、抵抗体を介して対向する一対の電極のうち、少なくとも一方の電極の対向辺が、抵抗体の両側縁部と直角に交わる一対の直交辺部と、これら直交辺部の間で抵抗体の長手方向に沿う直線に対して斜めに交差する傾斜辺部とを有しており、傾斜辺部を介して対向する両電極間距離が抵抗体の幅方向に沿って徐々に変化するため、このような抵抗体に対してトリミング溝をいずれか一方の側縁部から傾斜辺部を介して対向する部位に向けて形成することにより、抵抗値の切上げ幅を広くしたり微調整をし易くすることができる。また、一対の直交辺部が抵抗体の短手方向に沿う同一直線上に配置されており、抵抗体の両側縁部に沿った両電極間の距離が同一寸法に設定されているため、絶縁基板上で一対の電極に対して抵抗体が幅方向へ位置ずれした状態で形成されても、その位置ずれが直交辺部の長さ範囲内であれば、抵抗体の両側縁部における両電極間の距離は一定となり、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。
本発明の第1実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図である。 該チップ抵抗器における抵抗体の位置ずれ状態を示す説明図である。 本発明の第2実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図である。 本発明の第3実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図である。 本発明の第4実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図である。 従来例に係るチップ抵抗器の平面図である。 該チップ抵抗器における抵抗体の位置ずれ状態を示す説明図である。
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係るチップ抵抗器は、セラミック等からなる直方体形状の絶縁基板1と、絶縁基板1の表面の長手方向両端部に設けられた一対の表面電極2,3と、これら一対の表面電極2,3に接続する長方形状の抵抗体4と、この抵抗体4を覆う図示せぬ保護層等によって主に構成されており、抵抗体4には抵抗値を調整するためのトリミング溝5が形成されている。なお、図示省略されているが、絶縁基板の裏面には表面電極2,3に対応するように一対の裏面電極が設けられており、絶縁基板の長手方向の両端面には対応する表面電極と裏面電極を橋絡する端面電極が設けられている。
絶縁基板1はセラミック等からなり、この絶縁基板1は大判の集合基板を縦横の分割溝に沿って分割して多数個取りしたものである。一対の表面電極2,3はAgペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものであり、抵抗体4は酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものである。
図示左側の表面電極2の端部は第1および第2の直交辺部2a,2bと傾斜辺部2cを有する対向辺となっており、これら第1および第2の直交辺部2a,2bは抵抗体4の短手方向に沿う同一の直線Q1上に配置されている。すなわち、第1の直交辺部2aは抵抗体4の一方の側縁部(図の下辺)4aと直角に交わり、第2の直交辺部2bは抵抗体4の他方の側縁部(図の上辺)4bと直角に交わっている。また、傾斜辺部2cは抵抗体4の長手手方向に沿う直線(図1の直線P参照)対して斜めに交差しており、第1の直交辺部2aと第2の直交辺部2bは傾斜辺部2cを介して連続するようになっている。なお、第1および第2の直交辺部2a,2bの幅寸法(上下方向の長さ)は50μm以上に設定されており、設計上は抵抗体4の両側縁部4a,4bが第1および第2の直交辺部2a,2bの中心を横切るように設定されている。
一方、図示右側の表面電極3の端部は直線部3eのみを有する対向辺となっており、この直線部3eは抵抗体4の短手方向に沿う別の直線Q2上に配置されている。すなわち、抵抗体4の両側縁部4a,4bと表面電極3の直線部3eは直角に交わっており、第1の直交辺部2aと直線部3eが対向する部分の電極間距離をL1、第2の直交辺部2bと直線部3eが対向する部分の電極間距離をL2とすると、両者の電極間距離L1,L2は等しく設定されている(L1=L2)。これに対して傾斜辺部2cと直線部3eが対向する部分の電極間距離は、第1の直交辺部2a側で最短のL1寸法となり、抵抗体4の幅方向に沿って次第に長くなって第2の直交辺部2b側で最長のL3寸法となっている。
トリミング溝5はストレートカット形状のスリットパターンであり、抵抗体4の下辺4aから上方へ形成されたスリットである。前述したように、抵抗体4の下辺4aは電極間距離L1が最も短い部分であり、このように電極間距離の狭い側からトリミング溝5を形成した場合、トリミング溝5のスリット長さ当たりの抵抗値変化が大きくなるため、抵抗値の切上げ幅を広くすることができる。なお、トリミング溝5を抵抗体4の上辺4bから下方へ向けて形成することも可能であり、その場合はトリミング溝5のスリット長さ当たりの抵抗値変化が小さくなるため、微調整が行い易くなって抵抗値精度を高めることができる。
前述したように表面電極2,3と抵抗体4は別々のスクリーン印刷工程を経て絶縁基板1上に形成されるため、スクリーンの位置ずれやスクリーン自体の伸び等に起因して、表面電極2,3と抵抗体4の位置関係がずれてしまう場合がある。以下、これら表面電極2,3と抵抗体4の位置ずれについて図2を参照して説明する。
図2は表面電極2,3に対して抵抗体4が基準位置(絶縁基板1の中心を通る直線P)よりも下方へ位置ずれした状態を示しており、この場合、表面電極2の第1および第2の直交辺部2a,2bが直線Pと直交する同一線上(直線Q1)にあるため、抵抗体4のずれ量が第1および第2の直交辺部2a,2bの長さ範囲内に収まっていれば、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離L1,L2は変化しない(L1=L2)。その反対に、表面電極2,3に対して抵抗体4が基準位置Pよりも上方へ位置ずれした場合も、そのずれ量が第1および第2の直交辺部2a,2bの長さ範囲内に収まっていれば、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離L1,L2は変化しないため、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。
以上説明したように、第1実施形態例に係るチップ抵抗器は、抵抗体4を介して対向する一対の表面電極2,3のうち、一方の表面電極2の対向辺が、抵抗体4の両側縁部4a,4bと直角に交わる第1および第2の直交辺部2a,2bと、これら両直交辺部2a,2b間で抵抗体4の長手方向に沿う直線に対して斜めに交差する傾斜辺部2cとを有しており、この傾斜辺部2cを介して対向する両電極間距離が抵抗体4の幅方向に沿って徐々に変化するようになっているため、このような抵抗体4に対してトリミング溝5を形成することにより、抵抗値の切上げ幅を広くしたり微調整をし易くすることができる。また、第1および第2の直交辺部2a,2bが抵抗体4の短手方向に沿う同一直線Q1上に配置されており、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離L1,L2が同一寸法に設定されているため、絶縁基板1上で両表面電極2,3に対して抵抗体4が幅方向へ位置ずれした状態で形成されても、その位置ずれが第1および第2の直交辺部2a,2bの長さ範囲内であれば、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離L1,L2は変化せず、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。
しかも、本実施形態例では、第1および第2の直交辺部2a,2bの幅寸法が50μm以上に設定されており、換言すると、基準位置に対する抵抗体4のずれ量を±25μmまで許容可能となっており、これは通常の印刷ずれとして予測される範囲内であるため、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を確実に防止することができる。
図3は本発明の第2実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図であり、この第2実施形態例が前述した第1実施形態例と相違する点は、図示左側の表面電極2の第1および第2の直交辺部2a,2bが、最短電極間となる位置に形成されておらずに最長電極間となる位置に形成されていることにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。すなわち、左側の表面電極2の傾斜辺部2cは第2の直交辺部2bから抵抗体4の下辺4aに向かって右斜め下方へ延びた後、左方向に折れ曲がって第1の直交辺部2aに連続ており、表面電極2の傾斜辺部2cと表面電極3の直線部3eが対向する部分の電極間距離は、第2の直交辺部2b側から抵抗体4の幅方向に沿って次第に短くなって第1の直交辺部2a側で最短となる。
このように構成された第2実施形態例に係るチップ抵抗器においても、両表面電極2,3に対して抵抗体4が幅方向へ位置ずれした状態で形成された場合、その位置ずれが第1および第2の直交辺部2a,2bの長さ範囲内であれば、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離は変化しないため、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。また、傾斜辺部2cを介して対向する両電極間距離が抵抗体4の幅方向に沿って徐々に変化するようになっているため、このような抵抗体4に対して下辺4aと上辺4bのいずれか一方側からトリミング溝5を形成することにより、抵抗値の切上げ幅を広くしたり微調整をし易くすることができる。
図4は本発明の第3実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図であり、この第3実施形態例においては、図示左側の表面電極2の端部が第1および第2の直交辺部2a,2bと逆くの字状(山形状)に屈曲する傾斜辺部2cとを有する対向辺になっており、図示右側の表面電極3の端部も第1および第2の直交辺部3a,3bとくの字状(山形状)に屈曲する傾斜辺部3cとを有する対向辺になっている。したがって、両表面電極2,3間の距離は、両傾斜辺部2c,3cの頂点を結ぶ抵抗体4の幅方向中央部が最も短くなり、この最短部分を境に抵抗体13の下辺4aと上辺4b側に向かって次第に長くなっている。
このように構成された第3実施形態例に係るチップ抵抗器においても、両表面電極2,3に対して抵抗体4が幅方向へ位置ずれした状態で形成された場合、その位置ずれが表面電極2の第1および第2の直交辺部2a,2bと表面電極3の第1および第2の直交辺部3a,3bの長さ範囲内であれば、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離2は変化しないため、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。また、このように側縁部(下辺4aと上辺4b)の電極間距離を最長とする抵抗体4に対してトリミング溝を形成した場合、トリミング溝のスリット長さ当たりの抵抗値変化が小さくなるため、微調整が行い易くなって抵抗値精度を高めることができる。
なお、上記した第3実施形態例では、一対の表面電極2,3の端部が両方共に山形状の傾斜辺部2c,3cを有する対向辺となっているが、例えば、一方の表面電極2の端部だけを第1および第2の直交辺部2a,2bと山形状の傾斜辺部2cを有する対向辺とし、他方の表面電極3の端部は図1と同様に直線部3eのみを有する対向辺とすることも可能である。
図5は本発明の第4実施形態例に係るチップ抵抗器の平面図であり、この第4実施形態例が前述した第3実施形態例と相違する点は、両表面電極2,3の傾斜辺部2c,3cがそれぞれ直線辺部2d,3dを介して台形状に連続していることにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。すなわち、左側の表面電極2について見ると、第1の直交辺部2aから右斜め上方へ1つの傾斜辺部2cが延びていると共に、第2の直交辺部2bから右斜め下方へ別の傾斜辺部2cが延びており、これら両傾斜辺部2c,2cが抵抗体4の幅方向へ延びる直線辺部2dを介して連続している。また、右側の表面電極3について見ると、第1の直交辺部3aから左斜め上方へ1つの傾斜辺部3cが延びていると共に、第2の直交辺部3bから左斜め下方へ別の傾斜辺部3cが延びており、これら両傾斜辺部3c,3cが抵抗体4の幅方向へ延びる直線辺部3dを介して連続している。
このように構成された第4実施形態例に係るチップ抵抗器においては、両表面電極2,3の直線辺部2d,3dが抵抗体4を介して平行に対向しているため、直線辺部2d,3dの長さに相当する広い範囲に亘って電極間距離が最短となる。したがって、抵抗体4の一箇所に負荷集中することがなくなり、負荷特性に優れたチップ抵抗器を実現することができる。また、表面電極2,3に対して抵抗体4が幅方向のどちらに位置ずれした状態で形成された場合でも、その位置ずれが表面電極2の第1および第2の直交辺部2a,2bと表面電極3の第1および第2の直交辺部3a,3bの長さ範囲内であれば、抵抗体4の両側縁部4a,4bに沿った電極間距離2が変化しないため、印刷ずれに起因する初期抵抗値の変動を抑えることができる。さらに、トリミング溝のスリット長さ当たりの抵抗値変化が小さくなるため、微調整が行い易くなって抵抗値精度を高めることができる。
なお、上記した各実施形態例では、抵抗体にストレートカット形状のトリミング溝を形成する場合について説明したが、トリミング溝のパターンとしてはストレートカットに限定されず、Lカットやダブルカットのトリミング溝を形成するようにしても良い。
また、上記した各実施形態例では、表面電極2の傾斜辺部2cや表面電極3の傾斜辺部3cを完全な直線状に形成した場合について説明したが、これらが緩やかな曲線状に形成されていても良い。例えば、図1に示す第1実施形態例や図3に示す第2実施形態例において、第1の直交辺部2aと第2の直交辺部2bとの間を緩やかに湾曲する傾斜辺部3cで連結するようにしても良い。あるいは、図4に示す第3実施形態例において、図示左側の傾斜辺部2cを逆C字状の曲線にて形成すると共に、図示右側の傾斜辺部3cをC字状の曲線にて形成することも可能である。
1 絶縁基板
2,3 表面電極
2a,3a 第1の直交辺部
2b,3b 第2の直交辺部
2c,3c 傾斜辺部
3d 直線辺部
3e 直線部
4 抵抗体
4a 側縁部(下辺)
4b 側縁部(上辺)
5 トリミング溝

Claims (3)

  1. 絶縁基板と、この絶縁基板上に所定間隔を存して対向配置された一対の電極と、これら電極間を橋絡する長方形状の抵抗体とを備え、前記抵抗体にトリミング溝を形成することで抵抗値が調整されるチップ抵抗器において、
    前記両電極の少なくとも一方の対向辺が、前記抵抗体の両側縁部と直角に交わる一対の直交辺部と、これら直交辺部の間で前記抵抗体の長手方向に沿う直線に対して斜めに交差する傾斜辺部とを有しており、
    前記トリミング溝は、前記抵抗体のいずれか一方の側縁部から前記傾斜辺部を介して対向する部位に形成されており、
    一対の前記直交辺部が前記抵抗体の短手方向に沿う同一直線上に配置されていると共に、前記両電極間の距離が前記抵抗体の両側縁部で同一寸法に設定されていることを特徴とするチップ抵抗器。
  2. 請求項1の記載において、前記両直交辺部が50μm以上の長さに設定されていることを特徴とするチップ抵抗器。
  3. 請求項1または2の記載において、前記傾斜辺部が前記抵抗体の長手方向に沿う直線に対して逆向きに傾く2つの傾斜辺を有していることを特徴とするチップ抵抗器。
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