JP6331770B2 - インホイールモータ転舵輪のサスペンション装置 - Google Patents
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Description
前記ナックルに対しキングピン軸を中心として回転可能に設けられ、アッパーアーム支持部とキングピン回転軸支持部とショックアブソーバ下端支持部を備えたサードリンクを有する。
この装置において、前記タイロッドと前記ナックルの連結点を、前記インホイールモータの上端面より上方位置に配置した。
前記タイロッドと前記ナックルの連結点の高さを、前記アッパーアーム支持部の高さより低い位置であって、前記サードリンクのキングピン回転軸支持部と前記ナックルのキングピン回転軸の連結点の高さより高い位置に配置した。
この結果、タイロッドがモータ生存空間を狭めることがなく、インホイールモータのモータ体積を確保することができる。
さらに、タイロッドとナックルの連結点の高さを、アッパーアーム支持部の高さより低い位置であって、サードリンクのキングピン回転軸支持部とナックルのキングピン回転軸の連結点の高さより高い位置に配置した。このため、ショックアブソーバのレバー比及びサスペンションの上下ストロークを十分に確保することができる。この結果、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる効果が生じる。
図1及び図2は、実施例1におけるインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S1の正面図及び側面図(車輪が転舵していない直進状態)を示す。以下、図1及び図2に基づき、全体構成を説明する。
第1の特徴構成は、タイロッド7とナックル5の連結点である点Aを、駆動モータ6aの上端に接する平面である面Bより上方に配置している点である。
例えば、点Aが面Bより下方に配置している場合は、いかなる配置の工夫をしても、タイロッドの振れ回り空間が駆動モータへ接近し、結果として駆動モータ直径に制約が出てしまう。
これに対し、点Aが面Bより上方配置であることで、転舵時や上下ストローク時に、タイロッド7とインホイールモータ6のそれぞれが振れ回る空間を分離することができる。つまり、図2の領域Qは、インホイールモータ6の位置を固定して示したとき、タイロッド7がインホイールモータ6に対し相対的に振れ回る空間を示している。第1の特徴構成では、タイロッド7が振れ回る領域Qを、駆動モータ6aの上端に接する面Bより上方位置に配置している。そのため、タイロッド7が駆動モータ6aの生存空間を狭めることがなく、モータ体積を拡大することが可能になる。
このように、タイロッド7とナックル5の連結点である点Aだけではなく、面Cよりも車体外側のロッド軸部分を含むタイロッド7’の全体を、転舵角の大きさによらず、図2の面Eよりも上方位置に配置している。つまり、タイロッド7とモータ上端面(面B)が最も接近するバウンド側フルストローク時において、タイロッド7の全体とインホイールモータ6が干渉しない構成となっている。そのため、駆動モータ6aのモータ径を径方向ぎりぎりまで拡大することが可能である。
例えば、タイロッドと駆動モータの距離を車両前後方向に離すために、モータ中心軸MCLをキングピン軸K/Pから離れた位置へ配置すると、転舵時にモータの車体側軸端面が車体サイドメンバへ接近しやすくなり、モータ軸長に制約が出る。
これに対し、第3の特徴構成は、その逆であり、キングピン軸K/Pとモータ中心軸MCLの距離を近づけられる構成となっている。その結果、駆動モータ6aのモータ軸長を拡大することができる。
実施例1のインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
タイロッド7とナックル5の連結点(点A)を、インホイールモータ6の上端面(面B)より上方位置に配置した(図1)。
このため、タイロッド7がモータ生存空間を狭めることがなく、インホイールモータ6のモータ体積を確保することができる。
このため、(1)の効果に加え、タイロッド7とモータ上端面(面B)が最も接近するときにタイロッド7の全体とインホイールモータ6の干渉を回避することができる。この結果、インホイールモータ6の直径を干渉回避範囲で拡大することができ、インホイールモータ6のモータ体積を拡大できる効果が生じる。
このため、(2)の効果に加え、連結点(点A)の位置規定により、タイロッド7とモータ上端面(面B)が最も接近するときにタイロッド7の全体とインホイールモータ6の干渉を回避することができる。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、キングピン軸K/Pと駆動モータ中心軸MCLの距離を近づけることができる。この結果、インホイールモータ6の軸長を拡大でき、インホイールモータ6のモータ体積を拡大できる効果が生じる。
図3〜図5は、実施例2におけるインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S2の正面図、側面図及び平面図(車輪が転舵していない直進状態)を示す。以下、図3〜図5に基づき、全体構成を説明する。
第1の特徴構成は、図3及び図4に示されるとおり、タイロッド7とナックル5の連結点である点Aの高さを、サードリンク10のキングピン回転軸支持部10bとナックル5のキングピン回転軸5cの連結点である点Pの高さより高い位置としている点である。
このように、タイロッド7をナックル5へ高い位置で連結することで、十分なモータ体積を確保できる。また、このようなナックル5をサードリンク10に回転可能に取り付けることで、大きな体積の駆動モータ6aをナックル5に装着した場合でも、ショックアブソーバ8のレバー比及びサスペンションの上下ストロークを十分大きくとれる構成となっている。そのため、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
つまり、ナックル5の上端を延長してタイロッド支持部5bを設ける構成なので、特徴的なナックル形状となるが、タイロッド7を取り付けるための専用別部材を新たに追加することなく、十分なモータ体積を確保できる。
また、キングピン軸K/Pよりも車体外方、かつ、車体前方の位置に、タイロッド7とナックル5の連結点(点A)を有する構成は、内外輪の転舵角差を示すアッカーマン率を大きくとりやすい。一般に、最大転舵角を十分確保しようとすると、タイヤ1aの偏摩耗軽減や極低速のハンドル復元性確保の観点から、アッカーマン率を比較的大きめに設定する必要がある。実施例2の構成であれば、最大転舵角を十分確保できる構成となっており、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
例えば、ショックアブソーバ上端と車体の連結点が、図5に示す8a’の位置にあり、ショックアブソーバ8とタイロッド7が同じく車体前方側に配置されている場合は、仮に多少タイロッドを湾曲させたとしても、転舵時にタイロッドとショックアブソーバが干渉してしまい、十分な最大転舵角を確保できない。
これに対し、実施例2は、タイロッド7とショックアブソーバ8を、キングピン軸K/Pに対してそれぞれ逆方向に配置することで、転舵時のタイロッド7とショックアブソーバ8の干渉を回避して、最大転舵角を十分確保できる。そのため、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
実施例2のインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S2にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
タイロッド7とナックル5の連結点(点A)の高さを、サードリンク10のキングピン回転軸支持部10bとナックル5のキングピン回転軸5cの連結点(点P)の高さより高い位置に配置した(図3)。
このため、(1)又は(4)の効果に加え、ショックアブソーバ8のレバー比及びサスペンションの上下ストロークを十分に確保することができる。この結果、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる効果が生じる。
このため、(1)又は(5)の効果に加え、タイロッド7の取り付け専用の別部品を追加することなく、十分なモータ体積を確保できる。加えて、内外輪の転舵角差を示すアッカーマン率を大きくとりやすく、最大転舵角を十分に確保することができる。この結果、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる効果が生じる。
このため、(5)又は(6)の効果に加え、転舵時において、タイロッド7とショックアブソーバ8の干渉を回避することができる。この結果、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる効果が生じる。
実施例3におけるインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S3を、「特徴構成及び作用」、「効果」に分けて説明する。なお、全体構成及び第1の特徴構成は実施例2と同等であるので、図示並びに説明を省略する。
図6は、実施例3におけるインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S3の平面図(車輪が転舵していない直進状態)を示す。以下、図6に基づき、実施例3の特徴構成を説明する。
この組み合わせにおいても、一般的な車両に求められる最大転舵角までであれば、十分なアッカーマン率を確保することができ、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
作用としては、実施例2の第3の特徴構成の場合と同様である。つまり、タイロッド7とショックアブソーバ8を、キングピン軸K/Pに対してそれぞれ逆方向に配置することで、転舵時のタイロッド7とショックアブソーバ8の干渉を回避して、最大転舵角を十分確保できる構成となっている。このため、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
上記のように、実施例3のインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S3にあっては、実施例2の(5)の効果が得られると共に、第2の特徴構成による実施例2の(6)の効果と、第3の特徴構成による実施例2の(7)の効果が得られる。
実施例4におけるインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S4を、「特徴構成及び作用」、「効果」に分けて説明する。なお、全体構成及び第1の特徴構成、第2の特徴構成、第3の特徴構成は、実施例2と同等であるので、図示並びに説明を省略する。
図7及び図8は実施例3のナックル及び断面構造を示し、図9及び図10は実施例3のサードリンク及び断面構造を示す。以下、図7〜図10に基づき、特徴構成及び作用を説明する。
すなわち、ナックル5のタイロッド支持部5bには大きな力がかかるため、図7の破線(NGライン)のようにサードリンク10に近い側に補強リブを立てたいが、その場合、ナックル5とサードリンク10が干渉するおそれがある。
これに対し、実施例4のように、サードリンク10に遠い側に補強リブ5b’を設ける構造にすれば、サードリンク10との干渉を生じずに十分なナックル5のタイロッド支持部5bの強度を確保でき、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
すなわち、サードリンク10のアッパーアーム支持部10dには、大きな曲げモーメントが入るため、十分な断面積を持たせたいが、ナックル5のタイロッド支持部5bに近い側(図10のNGエリア)に補強構造を設けると、フル転舵時にタイロッド7と干渉するおそれがある。
これに対し、干渉の厳しくない側に補強リブ10d’を設ける実施例4の構成にすると、タイロッド7との干渉を生じずに十分なサードリンク10の強度を確保でき、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる。
実施例4のインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置S4にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、(6)又は(7)の効果に加え、サードリンク10との干渉を生じずに十分なナックル5のタイロッド支持部5bの強度を確保することができる。この結果、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる効果が生じる。
このため、(6)又は(7)の効果に加え、タイロッド7との干渉を生じずに十分なサードリンク10の強度を確保することができる。この結果、モータ体積拡大とサスペンション性能確保を両立できる効果が生じる。
1 車輪
1a タイヤ
1b ホイール
2 ハブ
3 ブレーキディスク
4 ブレーキキャリパ
5 ナックル
5a ロアアーム支持部
5b タイロッド支持部
5b’ 補強リブ(補強構造)
5c キングピン回転軸
6 インホイールモータ
6a 駆動モータ
6b 減速機
7 タイロッド
8 ショックアブソーバ
8a ショックアブソーバ上端と車体の連結点
9 ロアアーム
10 サードリンク
10a ショックアッパーアーム支持部
10b キングピン回転軸支持部
10c アブソーバ下端支持部
10d アッパーアーム支持部
10d’ 補強リブ(補強構造)
11 アッパーアーム
K/P キングピン軸
WCL 車輪中心軸
MCL 駆動モータ中心軸
点A タイロッド7とナックル5の連結点
面B インホイールモータ6の上端面
Claims (8)
- ホイールに固定したナックルに、タイロッドが連結されると共にインホイールモータを設け、
前記ナックルに対しキングピン軸を中心として回転可能に設けられ、アッパーアーム支持部とキングピン回転軸支持部とショックアブソーバ下端支持部を備えたサードリンクを有するインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記タイロッドと前記ナックルの連結点を、前記インホイールモータの上端面より上方位置に配置し、
前記タイロッドと前記ナックルの連結点の高さを、前記アッパーアーム支持部の高さより低い位置であって、前記サードリンクのキングピン回転軸支持部と前記ナックルのキングピン回転軸の連結点の高さより高い位置に配置した
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項1に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記タイロッドと前記ナックルの連結点を、サスペンションによるバウンド側フルストローク時における転舵角の大きさによらず、前記タイロッドの全体が前記インホイールモータと干渉しない配置とした
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項2に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記タイロッドのうち、少なくとも前記インホイールモータの車体側端面よりも車体外側の部分が、側面視で前記インホイールモータの外周に接し、かつ、キングピン軸に垂直な平面より上方に位置するように、前記タイロッドと前記ナックルの連結点を配置した
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記インホイールモータの少なくとも一部分が、前記キングピン軸により貫かれるように駆動モータ中心軸を配置した
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記ナックルの上端部に、前記キングピン軸よりも車体外方、かつ、車体前方に延長したタイロッド支持部を設け、前記タイロッド支持部の先端部にタイロッドを連結した
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項5に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において
前記タイロッドと前記ナックルの連結点及びショックアブソーバ上端と車体の連結点の2点を、前記サードリンクのキングピン回転軸支持部と前記ナックルのキングピン回転軸の連結点に対し、車両前方と車両後方、或いは、車両後方と車両前方にそれぞれ配置した
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項5又は請求項6に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記サードリンクに対して前記ナックルを回転可能に連結し、前記ナックルのうち、前記サードリンクと反対方向の位置に、前記タイロッド支持部の補強構造を設けた
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。 - 請求項5又は請求項6に記載されたインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置において、
前記サードリンクに対して前記ナックルを回転可能に連結し、前記サードリンクのうち、前記ナックルのタイロッド支持部と反対方向の位置に、前記アッパーアーム支持部の補強構造を設けた
ことを特徴とするインホイールモータ転舵輪のサスペンション装置。
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