以下、本発明による好ましい実施形態につきセラミック多層基板のベースを用いた表面実装型水晶発振器(表面実装型圧電デバイス)を例にとり図面とともに説明する。
図1乃至図6は本発明の実施形態を示すものである。
表面実装型水晶発振器6は、上部が開口した凹部を有する絶縁性のセラミック多層基板からなるベース1(以下、ベースと称する)と、当該ベースの中に収納される一つの集積回路素子2と、同じく当該ベース中の上部に収納されるメガヘルツ帯で振動してなる一つの矩形水晶振動素子(第1圧電振動素子)3Aと、キロヘルツ帯で振動してなる一つの音叉型水晶振動素子(第2圧電振動素子)3Bと、ベースの開口部に接合される蓋4とからなる。この表面実装型水晶発振器では、ベース1と蓋4とが封止材5を用いて接合されて気密封止され、表面実装型水晶発振器6が構成されている。以下、この表面実装型水晶発振器6の各構成について説明する。
セラミック多層基板のベース1は全体として直方体で、最下層であるアルミナ等のセラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板の底部11と、この底部11上に積層した中間層のセラミック材料の平面視枠形状の堤部12と、最上層のセラミック材料の平面視枠形状の堤部13とから構成され、ベース1の一主面のみに一つの収納部10を有する断面凹形の箱状体(外装部14)に形成されている。収納部10には、内底面10aと当該内底面から上部に突き出し、内底面より高さの高い保持台10bとがベース1の平面視長辺方向に隣接して形成されている。
内底面10aの上面には後述する集積回路素子2と音叉型水晶振動素子3Bとがお互いに接触しない状態でベース1の長辺方向に隣接して搭載される。この時、保持台10bに近接する方に集積回路素子2が配置され、保持台10bに隔離する方に音叉型水晶振動素子3Bが配置され、結果として保持台10bと音叉型圧電振動素子3Bとの間に集積回路素子2が介在した状態で、保持台10bと集積回路素子2と音叉型圧電振動素子3Bとがベース1の長辺方向に沿って配置されている。
また、内底面10aの上面には、集積回路素子2と矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bのいずれの素子にも接続されず、後述する第1外部グランド端子(GND1、メガヘルツ用外部グランド端子)GT3Aと第2外部グランド端子(GND2、キロヘルツ用外部グランド端子)GT3Bともベース1では共通接続されていない、独立して接地された配線パターンH13C(独立シールド配線部の一部)が形成されている。この配線パターンH13Cは、ベース1の長辺方向のほぼ中央の位置で、短辺方向に沿って帯状に形成されており、後述する第1配線部と第2配線部との境界を形成している。つまり、ベース1の平面視長辺方向では、後述する第1配線部と第2配線部との間に配線パターンH13Cが介在した状態で形成される。また、配線パターンH13Cは、引き回し電極GT31Cと引き回し電極GT31Dとを介して、第3外部グランド端子(GND3、独立用第1外部グランド端子)GT3Cと第4外部グランド端子(GND3、独立用第2外部グランド端子)GT3Dとにより外部に独立して接地されている。このように構成された配線パターンH13Cの上部には集積回路素子2が搭載されている。
保持台10bの上面には矩形水晶振動素子3Aが搭載される。この時、矩形水晶振動素子3Aの一短辺33Aの方のみを保持台10bに固定して搭載するとともに、矩形水晶振動素子の他短辺34Aの方を内底面10aの方に延出し、当該他端辺34Aの少なくとも中心部341Aが集積回路素子2の上面の領域に対して平面視重畳する位置に配置している。結果として矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aが集積回路素子2の上部稜線のうち音叉型水晶振動素子3Bに近接する稜線21を超えて音叉型水晶振動素子3Bの方へはみ出すことがない。なお、セラミック多層基板として本形態のように3層構造のベースに限定されるものではなく、ベースの収納部の構造に応じて4層以上で構成してもよい。
前記セラミック多層基板のベース1の最上層である堤部13の上面(端面)は平坦であり、後述する蓋4との接合領域(金属膜)13aである。この接合領域13aは、タングステンあるいはモリブデン等のメタライズ材料からなるメタライズ層と、このメタライズ層に積層されたニッケル層と、このニッケル層に積層された金層とから構成される。タングステンあるいはモリブデンは厚膜印刷技術を活用してメタライズ技術によりセラミック焼成時に一体的に形成され、メタライズ層上にニッケル層、金層の順でメッキ形成される。
ベース1の外周壁の4角には上下方向に伸長するキャスタレーションC1,C2,C5,C6がそれぞれ形成され、ベース1の外周壁の一方(ベースの外装部底面の長辺15側)の長辺中央の一部には上下方向に伸長する半長円状のキャスタレーションC3,C13,C4が形成され、ベース1の外周壁の他方(ベースの外装部底面の長辺16側)の長辺中央の一部には上下方向に伸長する半長円状のキャスタレーションC7,C14,C8が形成されている。当該キャスタレーションはベースの外周壁に対して円弧状あるいは半長円状の切り欠きが上下方向に形成された構成である。
なお、前記接合領域13aはベースの堤部12,13を上下に貫通接続する図示しない導電ビアやキャスタレーション上部に形成された図示しない配線パターンのいずれか少なくとも一方により、ベース底面側に形成された外部グランド端子に電気的に導出してもよい。本発明では、図示しない上記配線パターンにより、後述する金属製の蓋4と接合される接合領域13aについて、集積回路素子2と矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bのいずれの素子にも接続されず、独立して接地されたグランド端子(第3外部グランド端子GT3Cと、第4外部グランド端子GT3D)に接続している。このため、表面実装型水晶発振器の電磁気的なシールド効果を得ることができるだけでなく、ベース内部の各素子からも独立しているので、これらの電磁気的なノイズの影響を受けず、ベース外部からの電磁気的なノイズについても平面積の大きな蓋4を用いて効果的に取り除き、ベース内部の各素子に対して悪影響を与えることがなくなる。
前記セラミック多層基板のベース1の最下層である底部11の下面(ベースの他主面)には、図3に示すように、4角と長辺中央に実装用の外部端子として外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4A,GT1B,GT2B,GT3B,GT4B,GT3C,GT3Dが構成される。これらの実装用の外部端子のうち、矩形水晶振動素子3Aのみに関連するメガヘルツ用外部端子群の一部が外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4Aとなり、音叉型水晶振動素子3Bのみに関連するキロヘルツ用外部端子群の一部が外部端子GT1B,GT2B,GT3B,GT4Bとなる。外部端子GT3C,GT3Dは、集積回路素子2と矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bのいずれの素子にも関連せず(接続されず)、配線パターンH13Cのみに関連する(接続される)。独立用外部グランド端子群となる。
また、ベース1の最下層である底部11の下面(ベースの他主面)には、ベース1の平面視長辺方向に沿って2分する第1領域と第2領域を設け、前記第1領域にメガヘルツ用外部端子群を配置し、前記第2領域にキロヘルツ用外部端子群とそれぞれ配置している。本発明の形態では、図3に示すように、ベースの長辺方向の中央線110に向かって左側の領域を第1領域111として設定し、メガヘルツ用外部端子群の一部である外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4Aを配置する。ベースの長辺方向の中央線110に向かって右側の領域を第2領域112として設定し、キロヘルツ用外部端子群の一部である外部端子GT1B,GT2B,GT3B,GT4Bを配置する。外部端子GT3C,GT3D(独立用外部グランド端子群)は、ベースの長辺方向の中央線110に沿って配置しており、前記メガヘルツ用外部端子群とキロヘルツ用外部端子群の間に介在して前記第1領域と前記第2領域との境界をなすように形成されている。
外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4A,GT1B,GT2B,GT3B,GT4B,GT3C,GT3Dは、それぞれ4角と長辺中央のキャスタレーションC8,C1,C2,C3,C6,C5,C4,C7,C13,C14を介してベース1の最下層である底部11の側面(底面層のセラミック基板の側面)にも引き回し電極GT11A,GT21A,GT31A,GT41A,GT11B,GT21B,GT31B,GT41B,GT31C,GT31Dが形成されている。また、外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4A,GT1B,GT2B,GT3B,GT4B,GT3C,GT3Dは、引き回し電極GT11A,GT21A,GT31A,GT41A,GT11B,GT21B,GT31B,GT41B,GT31C,GT31Dを介して、後述する配線パターンH11A,H12A,H13A,H14A,H11B,H12B,H13B,H14B,H13Cに電気的に導出されている。
例えば、本形態では、外部端子GT1Aは矩形水晶振動素子3A用の第1外部電源端子(VCC1、メガヘルツ用外部電源端子)、外部端子GT1Bは音叉型水晶振動素子3B用の第2外部電源端子(VCC2、キロヘルツ用外部電源端子)として構成している。
外部端子GT2Aは矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子(OUT1、メガヘルツ用外部出力端子)、外部端子GT2Bは音叉型水晶振動素子3B用の第2外部出力端子(OUT2、キロヘルツ用外部出力端子)として構成している。
外部端子GT3Aは矩形水晶振動素子3A用の第1外部グランド端子(GND1、メガヘルツ用外部グランド端子)、外部端子GT3Bは音叉型水晶振動素子3B用の第2外部グランド端子(GND2、キロヘルツ用外部グランド端子)として構成している。
外部端子GT4Aは矩形水晶振動素子3A用の第1外部他端子(TA1、メガヘルツ用外部他端子)、外部端子GT4Bは音叉型水晶振動素子3B用の第2外部他端子(TA2、キロヘルツ用外部他端子)として構成しており、外部出力制御端子(OE)や外部周波数制御端子(VCONT)、外部調整端子、外部NC端子などいずれかとして構成される。
外部端子GT3Cと外部端子GT3Dとは、集積回路素子2と矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bのいずれの素子にも接続されず、配線パターンH13Cのみに共通接続され、第3外部グランド端子(GND3、独立用第1外部グランド端子)GT3Cと、第4外部グランド端子(GND3、独立用第2外部グランド端子)GT3Dとして、独立した外部グランド端子として構成されている。
本発明では、ベース1の底部11の下面(ベースの他主面)の対角位置に、矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子(OUT1、メガヘルツ用外部出力端子)である外部端子GT2Aと、音叉型水晶振動素子3B用の第2外部出力端子(OUT2、キロヘルツ用外部出力端子)である外部端子GT2Bとを配置しており、これらの外部出力端子を隔離した位置に配置していることが特徴点である。このような構成により、周波数の異なる矩形水晶振動素子3Aの出力電気信号と音叉型水晶振動素子3Bの出力電気信号とがお互いに干渉することがなくなり、これら2つの素子のうちいずれか一方が他方の疑似信号ノイズとして含まれることが軽減するうえでより望ましい。さらに、外部回路基板における出力ラインを流れる高周波信号は、不要な輻射ノイズが発生しているため、この不要な輻射ノイズが水晶発振器としての電気的な特性に悪影響を与えることがあるが、これらの影響も軽減することができる。なお、第1外部出力端子GT2Aと第2外部出力端子GT2Bとは、対角位置が離隔するうえで最も好ましいが、ベース1の底部11の平面視長辺方向の対向位置に形成してもよい。
また、本発明では、上述のように2つの外部出力端子をベース1の長辺方向の両端に配置するとともに、外部出力端子に比較して理想グランド(地表や外部回路など外部の理想となる基準電位)からの抵抗が低い外部グランド端子や外部出力制御端子(OE)、外部周波数制御端子(VCONT)、外部調整端子、外部NC端子などの一部をベース1の長辺方向のほぼ中央の位置に配置することで、出力ラインからの電磁放射による混入をより減少させる効果が高まるうえで望ましい。
セラミック多層基板のベース1の最下層である底部11の上面(内底面10a)には、図4に示すように、後述する集積回路素子2と接続される複数の配線パターンH11A,H12A,H13A,H14A,H15A,H16A,H11B,H12B,H13B,H14B,H15B,H16B,H13Cが並んで形成されている。
セラミック多層基板のベース1の中間層である堤部12の上面には、後述する矩形水晶振動素子3Aを搭載する保持台10bが形成されており、その上面には後述する矩形水晶振動素子3Aと接続される矩形水晶振動素子用の第1の入力側の保持台配線パターンH25Aと矩形水晶振動素子用の第1の出力側の保持台配線パターンH26Aとが形成されている。保持台10bは堤部12の一部が収納部10の方に突出することで構成されている。この第1の入力側の保持台配線パターンH25Aは、下部に貫通接続する導電ビアV1を介して、矩形水晶振動素子用の第1の入力側の配線パターンH15Aに電気的に導出されている。第1の出力側の保持台配線パターンH26Aは、下部に貫通接続する導電ビアV2を介して、矩形水晶振動素子用の第1の出力側の配線パターンH16Aに電気的に導出されている。
セラミック多層基板のベース1の中間層である堤部12の一対の短辺中央には、キャスタレーションC9,C10,C11,C12の一部がそれぞれ形成されている。
堤部12の一短辺中央のキャスタレーションC9の上部には、第1の入力側の保持台配線パターンH25Aと接続され、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aと直接接続された矩形水晶振動素子3Aの特性測定用の第1外部入力側測定端子GT5A(X1A、メガヘルツ用第1外部入力側測定端子)が構成される。堤部12の一短辺中央のキャスタレーションC10の上部には、第1の出力側の保持台配線パターンH26Aと接続され、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の出力側に相当し、後述する矩形水晶振動素子3Aの一方の励振電極31Aと直接接続された矩形水晶振動素子3Aの特性測定用の第1外部出力側測定端子GT6A(X2A、メガヘルツ用第1外部出力側測定端子)が構成される。
つまり、第1外部入力側測定端子GT5Aと第1外部出力側測定端子GT6Aは、中間層である堤部12の上面にのみ形成されているので、底部11の下面(ベースの他主面)と最上層である堤部13の接合領域(金属膜)13aとから離隔した状態で形成されている。なお、第1外部入力側測定端子GT5Aと第1外部出力側測定端子GT6Aに対して、圧電振動素子特性装置のコンタクトプローブを接触することで、他の回路部品が介在しない発振回路全体としての特性ではなく、後述する矩形水晶振動素子3A単独の特性を測定することができる。
本発明では、矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子である外部端子GT2Aと、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aと直接接続された矩形水晶振動素子3Aの特性測定用の第1外部入力側測定端子GT5Aとの形成位置が特定されていることが特徴点の一つでもある。すなわち、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aと直接接続された矩形水晶振動素子3Aの特性測定用の第1外部入力側測定端子GT5Aは、矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子に近接する側面の上部よりの位置には形成しない。言い換えると、堤部12の一短辺のうち、矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子から遠ざかる側の位置よりに形成することで、不要な輻射ノイズの悪影響を軽減するうえでより望ましい。
これは、C−MOSなどのインバータ増幅器(発振用増幅器)を内蔵した発振回路構成では、インバータ増幅器(発振用増幅器)の入力側(ゲート側G)とその出力側(ドレイン側D)とで発振回路特性に与える影響度は大きく異なっており、インバータ増幅器(発振用増幅器)の入力側(ゲート側G)から不要なノイズを拾うと、そのノイズも増幅され、水晶発振器としての電気的な特性に与える影響度も大きくなるためである。また、前記インバータ増幅器(発振用増幅器)の入力側(ゲート側G)がその出力側(ドレイン側D)に比較して入力抵抗が高いため、他の外部端子からの干渉を受けやすく、矩形水晶振動素子3Aに異常な電圧を発生させ、水晶発振器として正常な発振起動を妨げることがあった。これらの悪影響を軽減するため、矩形水晶振動素子3Aの特性測定用の第1外部入力側測定端子GT5Aを、矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子から遠ざかる側の位置よりに形成することが望ましい。
また、堤部12の他短辺中央のキャスタレーションC11の上部には、音叉型水晶振動素子3B用の入力側の配線パターンH15Bと接続され、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する音叉型水晶振動素子3Bの他方の励振電極32Bと直接接続された音叉型水晶振動素子3Bの特性測定用の第2外部入力側測定端子GT5B(X1B、キロヘルツ用第2外部入力側測定端子)が構成される。堤部12の他短辺中央のキャスタレーションC12の上部には、音叉型水晶振動素子3B用の出力側の配線パターンH16Bと接続され、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の出力側に相当し、後述する音叉型水晶振動素子3Bの一方の励振電極31Bと直接接続された音叉型水晶振動素子3Bの特性測定用の第2外部出力側測定端子GT6B(X2B、キロヘルツ用第2外部出力側測定端子)が構成される。
つまり、第2外部入力側測定端子GT5Bと第2外部出力側測定端子GT6Bは、中間層である堤部12の上面にのみ形成されているので、底部11の下面(ベースの他主面)と最上層である堤部13の接合領域(金属膜)13aとから離隔した状態で形成されている。なお、第2外部入力側測定端子GT5Bと第2外部出力側測定端子GT6Bに対して、圧電振動素子特性装置のコンタクトプローブを接触することで、他の回路部品が介在しない発振回路全体としての特性ではなく、後述する音叉型水晶振動素子3B単独の特性を測定することができる。
本発明では、音叉型水晶振動素子3B用の第1外部出力端子である外部端子GT2Bと、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する音叉型水晶振動素子3Bの他方の励振電極32Bと直接接続された音叉型水晶振動素子3Bの特性測定用の第2外部入力側測定端子GT5Bとの形成位置が特定されていることが特徴点の一つでもある。すなわち、後述する集積回路素子2の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する音叉型水晶振動素子3Bの他方の励振電極32Bと直接接続された音叉型水晶振動素子3Bの特性測定用の第2外部入力側測定端子GT5Bは、音叉型水晶振動素子3B用の第2外部出力端子に近接する側面の上部よりの位置には形成しない。言い換えると、堤部12の一短辺のうち、音叉型水晶振動素子3B用の第2外部出力端子から遠ざかる側の位置よりに形成することで、不要な輻射ノイズの悪影響を軽減するうえでより望ましい。
これは、C−MOSなどのインバータ増幅器(発振用増幅器)を内蔵した発振回路構成では、インバータ増幅器(発振用増幅器)の入力側(ゲート側G)とその出力側(ドレイン側D)とで発振回路特性に与える影響度は大きく異なっており、インバータ増幅器(発振用増幅器)の入力側(ゲート側G)から不要なノイズを拾うと、そのノイズも増幅され、水晶発振器としての電気的な特性に与える影響度も大きくなるためである。また、前記インバータ増幅器(発振用増幅器)の入力側(ゲート側G)がその出力側(ドレイン側D)に比較して入力抵抗が高いため、他の外部端子からの干渉を受けやすく、音叉型水晶振動素子3Bに異常な電圧を発生させ、水晶発振器として正常な発振起動を妨げることがあった。これらの悪影響を軽減するため、音叉型水晶振動素子3Bの特性測定用の第2外部入力側測定端子GT5Bを、音叉型水晶振動素子3B用の第2外部出力端子から遠ざかる側の位置よりに形成することが望ましい。
また、矩形水晶振動素子3Aから集積回路素子2へと接続する矩形圧電振動素子接続配線部としての保持台配線パターンH25A,H26A、導電ビアV1,V2、配線パターンH15A,H16Aと、矩形水晶振動素子3Aのみに関連するとともに集積回路素子2から外部端子へと接続する矩形圧電振動素子関連配線部としての引き回し電極GT11A,GT21A,GT31A,GT41A、配線パターンH11A,H12A,H13A,H14Aとを第1配線部としている。外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4A,GT5A,GT6Aは、第1配線部のみに関連する外部端子となる。
音叉型水晶振動素子3Bから集積回路素子2へと接続する音叉型圧電振動素子接続配線部としての配線パターンH15B,H16Bと、音叉型水晶振動素子3Bのみに関連するとともに集積回路素子2から外部端子へと接続する音叉型圧電振動素子関連配線部としての引き回し電極GT11B,GT21B,GT31B,GT41B、配線パターンH11B,H12B,H13B,H14Bとを第2配線部としている。外部端子GT1B,GT2B,GT3B,GT4B,GT5B,GT6Bは、第2配線部のみに関連する外部端子となる。
集積回路素子2と矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bのいずれの素子にも関連せず電気的に接続されない配線パターンH13Cと、当該配線パターンH13Cから外部端子GT3C,GT3Dまでを接続する引き回し電極GT31C,GT31Dとを独立シールド配線部としている。外部端子GT3C,GT3D(独立用外部グランド端子群)は、独立シールド配線部のみに関連する外部端子となる。
独立シールド配線部のみに関連する独立用外部グランド端子群は、第1外部グランド端子(GND1、メガヘルツ用外部グランド端子)GT3Aと第2外部グランド端子(GND2、キロヘルツ用外部グランド端子)GT3Bともベース1では共通接続されず、第3外部グランド端子(GND3、独立用第1外部グランド端子)GT3Cと第4外部グランド端子(GND3、独立用第2外部グランド端子)GT3Dとしてベース外部に独立して接地されている。
本発明では、例えば、独立シールド配線部である配線パターンH13Cと引き回し電極GT31C,GT31Dについて、ベース1の長辺方向のほぼ中央の位置で、ベースの短辺方向全体に沿って帯状に形成されており、第1配線部と第2配線部との領域としての境界を形成している。なお、この境界としての配線パターンH13Cについては、帯状のものに限定されるのではないが、配線パターンの省スペース化を考慮すると帯状に形成するのが望ましい。つまり、ベース1の平面視長辺方向では、第1配線部と第2配線部との間に、第1配線部と第2配線部とは電気的に独立して形成された独立シールド配線部が介在した状態で形成されることが本発明の特徴点の一つでもある。
以上のような構成のベース1は周知のセラミック積層技術やメタライズ技術を用いて形成される。各外部端子、各引き回し電極、各測定用外部端子、各配線パターン、接合領域13aの形成と同様にタングステンあるいはモリブデン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成である。
内底面10aに搭載される集積回路素子2は、C−MOSなどのインバータ増幅器(発振用増幅器)を内蔵したワンチップの集積回路素子であり、矩形水晶振動素子3A用の発振回路および音叉型水晶振動素子3B用の発振回路の2つを構成し、集積回路素子2の底面側には複数のパッドP1、P2が形成されており、集積回路素子2の平面側には電気的に機能しない非有効面として形成されている。
また、一つの集積回路素子2の中には、矩形水晶振動素子3Aとのみ接続され当該矩形水晶振動素子3Aの周波数信号のみを増幅するメガヘルツ用発振回路部2Aを構成する領域と、音叉型水晶振動素子3Bとのみ接続され当該音叉型水晶振動素子3Bの周波数信号のみを増幅するキロヘルツ用発振回路部2Bを構成する領域とを有している。さらに、メガヘルツ用発振回路部2Aを構成する領域から各パッドP1までの接続経路と、キロヘルツ用発振回路部2Bを構成する領域から各パッドP2までの接続経路についても一つの集積回路素子2の内部で電気的に独立して形成されている。
C−MOSインバータの発振回路構成としては、C−MOSインバータの入力側(ゲート)と出力側(ドレイン)にそれぞれ容量素子(分割コンデンサC1,C2)が直列で接続されており、このC−MOSインバータと前記容量素子との間に、圧電振動素子と帰還抵抗Rとが並列で接続されている。本発明の集積回路素子2では、図5に示すように、このような発振回路構成のものについて、内部に矩形水晶振動素子3Aのみ関連するメガヘルツ発振回路部2Aと、音叉型水晶振動素子3Bのみ関連するキロ発振回路部2Bとで個別に独立した状態で形成されている。なお、これらのメガヘルツ発振回路部2Aとキロ発振回路部2Bの間には独立シールド配線部が存在することになる。
このように形成された集積回路素子2は、配線パターンH13Cの上部を跨るように配置され、例えば金などの金属バンプCを介してFCBにより接続される。集積回路素子2のうちメガヘルツ用(矩形水晶振動素子3Aに関連する部分)の複数のパッドP1とベース1に形成されたメガヘルツ用(矩形水晶振動素子3Aに関連する部分)の配線パターンH11A,H12A,H13A,H14A,H15A,H16Aとを接続し、集積回路素子2の複数のキロヘルツ用(音叉型水晶振動素子3Bに関連する部分)の複数のパッドP2とベース1に形成されたキロヘルツ用(音叉型水晶振動素子3Bに関連する部分)の配線パターンH11B,H12B,H13B,H14B,H15B,H16Bとを接続している。
この時、集積回路素子2のうちメガヘルツ用の電源に相当するパッドP1を外部端子GT1Aと接続される電源用の配線パターンH11Aに接続する。集積回路素子2のうちキロヘルツ用の電源に相当するパッドP2を外部端子GT1Bと接続される電源用の配線パターンH11Bに接続する。集積回路素子2のうちメガヘルツ用の出力に相当するパッドP1を外部端子GT2Aと接続される出力用の配線パターンH12Aに接続する。集積回路素子2のうちキロヘルツ用の出力に相当するパッドP2を外部端子GT2Bと接続される出力用の配線パターンH12Bに接続する。集積回路素子2のうちメガヘルツ用のグランド部に相当するパッドP1を外部端子GT3Aと接続されるグランド用の配線パターンH13Aに接続する。集積回路素子2のうちキロヘルツ用のグランド部に相当するパッドP2を外部端子GT3Bと接続されるグランド用の配線パターンH13Bに接続する。集積回路素子2のうちメガヘルツ用の他のパッドP1を外部端子GT4Aと接続される他の配線パターンH14Aに接続する。集積回路素子2のうちキロヘルツ用の他のパッドP2を外部端子GT4Bと接続される他の配線パターンH14Bに接続する。
また、図5における集積回路素子2のうちメガヘルツ用の発振用増幅器の出力側に相当し、後述する矩形水晶振動素子3Aの一方の励振電極31Aに接続されるパッドP1を第1外部出力側測定端子GT6Aと接続される第1の出力側の配線パターンH16Aに接続する。集積回路素子2のうちメガヘルツ用の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aに接続されるパッドP1を第1外部入力側測定端子GT5Aと接続される第1の入力側の配線パターンH15Aに接続する。
また、図5における集積回路素子2のうちキロヘルツ用の発振用増幅器の出力側に相当し、後述する音叉型水晶振動素子3Bの一方の励振電極31Bに接続されるパッドP2を第2外部出力側測定端子GT6Bと接続される第2の出力側の配線パターンH16Bに接続する。集積回路素子2のうちキロヘルツ用の発振用増幅器の入力側に相当し、後述する音叉型水晶振動素子3Bの他方の励振電極32Bに接続されるパッドP2を第2外部入力側測定端子GT5Bと接続される第2の入力側の配線パターンH15Bに接続する。
以上のように各構成要素を接続することで、集積回路素子2のうちメガヘルツ用発振回路部2Aから前記第1配線部を経由したメガヘルツ用外部端子群の各外部端子(GT1A,GT2A,GT3A,GT4A,GT5A,GT6A)に至るまでのメガヘルツ用の電気的な接続経路と、集積回路素子2のキロヘルツ用発振回路部2Bから前記第2配線部を経由したキロヘルツ用外部端子群の各外部端子(GT1B,GT2B,GT3B,GT4B,GT5B,GT6B)に至るまでのキロヘルツ用の電気的な接続経路とが、電気的に独立して形成される。加えて、メガヘルツ用発振回路部2Aから前記第1配線部を経由したメガヘルツ用外部端子群の各外部端子に至るまでのメガヘルツ用の電気的な接続経路と、キロヘルツ用発振回路部2Bから前記第1配線部を経由したキロヘルツ用外部端子群の各外部端子に至るまでのキロヘルツ用の電気的な接続経路との間には、これら電気的な接続経路とは独立し、前記独立シールド配線部から第3外部グランド端子GT3Cと第4外部グランド端子GT3Dとに至るまでの独立シールド用の電気的な接続経路が介在しこれらの境界をなしている。
集積回路素子2の上方で、収納部10の保持台10bの上面には所定の間隔を持って矩形水晶振動素子3Aが搭載される。矩形水晶振動素子3Aは、例えばメガヘルツ(MHz)帯で厚みすべり振動してなるATカット水晶振動板であり、その裏面に一方の矩形状の励振電極31Aとこの引出電極が形成され、その表面に他方の矩形状の励振電極32Aとこの引出電極が形成されており、これら一対の励振電極31A,32Aが表裏面の中央部分で対向して形成されている。表面に形成される他方の励振電極32Aの形成領域については、電極材料を増減することで周波数調整する領域として活用される。これらの電極は、例えば、クロムまたはニッケルの下地電極層と、銀または金の中間電極層と、クロムまたはニッケルの上部電極層とから構成された積層薄膜、クロムやニッケルの下地電極層と、銀または金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。これら各電極は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。
矩形水晶振動素子3Aの一短辺33Aの方のみを保持台10bに導電性接合材Sにより固定して搭載するとともに、矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aの方を内底面10aの方に延出し、当該他端辺34Aの少なくとも中心部341Aが集積回路素子2の上面の領域に対して平面視重畳する位置に配置している。導電性接合材Sとしては、例えばペースト状であり銀フィラー等の金属微小片を含有するシリコーン系の導電樹脂接着剤を用いている。配線パターンH25A,H26Aのうちの一部の上面に塗布されるとともに、導電性接合材Sを矩形水晶振動素子3Aと保持台10bの間に介在させ硬化させることで、お互いを電気的機械的に接合している。以上により、矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aをベース1の内底面に搭載された集積回路素子2の上面から隙間を設けながら、矩形水晶振動素子3Aの一短辺33Aの方のみをベースの保持台10bに接合して、片持ち保持される。なお、本形態では、シリコーン系の導電樹脂接着剤により接合した構成を例にしているが、この導電性接合材として他の導電性樹脂接着剤や金属バンプ、金属メッキバンプなどを用いてもよい。
この時、矩形水晶振動素子3Aの一方の励振電極31Aに接続される引出電極を、図5における集積回路素子2のうちメガ用の発振用増幅器の出力側に相当し、第1外部出力側測定端子GT6Aと接続される第1の出力側の保持台配線パターンH26Aに接続する。矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aに接続される引出電極を、図5における集積回路素子2のうちメガ用の発振用増幅器の入力側に相当し、第1外部入力側測定端子GT5Aと接続される第1の入力側の保持台配線パターンH25Aに接続する。
収納部10の内底面10aの上面のうち、集積回路素子2に隣接し保持台10bに隔離する方には、音叉型水晶振動素子3Bが配置搭載される。音叉型水晶振動素子3Bは、例えばキロヘルツ(KHz)帯で屈曲振動してなるXY’カットの音叉型水晶振動片であり、基部と当該基部に接続された一対の脚部とを有している。このうち一方の脚部の表裏面と他方の脚部の両側面には少なくとも一方の励振電極31B(一部のみ図示)が形成されており、一方の励振電極31Bを基部にまで引き出す引出電極が形成され、このうち他方の脚部の表裏面と一方の脚部の両側面には少なくとも他方の励振電極32B(一部のみ図示)が形成されており、他方の励振電極32Bを基部にまで引き出す引出電極が形成されている。また、各脚部の先端部分には、電極材料を増減することで周波数調整する領域としての錘電極35Bが形成されている。これらの電極は、クロムやニッケルの下地電極層と、銀または金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。これら各電極は真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により形成することができる。
音叉型水晶振動素子3Bの基部を内底面10aの配線パターンH15B,H16Bの端部に導電性接合材Sにより固定して搭載するとともに、音叉型水晶振動素子3Bの脚部をベースの長辺方向の堤部12の方に延出して配置している。このため、ベース1に搭載された矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aと、音叉型水晶振動素子3Bの錘電極35Bとは、ベースの短辺方向に沿ってお互いにずれた位置に配置されてなる。導電性接合材Sとしては、例えばペースト状であり銀フィラー等の金属微小片を含有するシリコーン系の導電樹脂接着剤を用いている。配線パターンH15B,H16Bのうちの一部の上面に塗布されるとともに、導電性接合材Sを音叉型水晶振動素子3Bと内底面10aの間に介在させ硬化させることで、お互いを電気的機械的に接合している。以上により、音叉型水晶振動素子3Bの脚部側をベース1の内底面10aから隙間を設けながら、音叉型水晶振動素子3Bの基部のみをベースの内底面10aに接合して、片持ち保持される。なお、本形態では、シリコーン系の導電樹脂接着剤により接合した構成を例にしているが、この導電性接合材として他の導電性樹脂接着剤や金属バンプ、金属メッキバンプなどを用いてもよい。
この時、音叉型水晶振動素子3Bの一方の励振電極31Bに接続される引出電極を、図5における集積回路素子2のうちキロ用の発振用増幅器の出力側に相当し、第2外部出力側測定端子GT6Bと接続される第1の出力側の配線パターンH16Bに接続する。音叉型水晶振動素子3Bの他方の励振電極32Bに接続される引出電極を、図5における集積回路素子2のうちキロ用の発振用増幅器の入力側に相当し、第2外部入力側測定端子GT5Bと接続される第1の入力側の配線パターンH15Bに接続する。
なお、本形態では、図1に示すように、集積回路素子2の厚みに対して音叉型水晶振動素子3Bの厚みの方が薄く形成されており、内底面10aに搭載された集積回路素子2の高さに対して内底面10aに搭載された音叉型水晶振動素子3Bの高さの方が低く形成されている。このため、矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aが音叉型水晶振動素子3Bに接触することがより一層なくなる構成とできる。
しかしながら、音叉型水晶振動素子3Bの厚みに対して集積回路素子2の厚みの方を薄く形成してもよい(内底面10aに搭載された集積回路素子2の高さに対して内底面10aに搭載された音叉型水晶振動素子3Bの高さの方が高く形成される。)。この構成では、保持台10bの高さを低く設定することができるため、パッケージ全体としての低背化に有利なものとできる。
ベース1を気密封止する蓋4は、例えば、コバール等からなるコア材に金属ろう材(封止材)が形成された構成である。この金属ろう材からなる封止材5がベース1の接合領域(金属膜)13aと接合される構成となる。金属製の蓋4の平面視外形はセラミックベースの当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。
収納部10に集積回路素子2と矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bとが格納されたベース1の接合領域13aに対して金属製の蓋4にて被覆し、金属製の蓋4の封止材5とベースの接合領域13aを溶融硬化させ、気密封止を行うことで表面実装型水晶発振器6の完成となる。
このように構成された表面実装型水晶発振器6は、図1に示すように、回路基板7の配線パターン71に対してはんだなどの接合材72を用いて接合される。つまり、各外部端子に接合材を用いて回路基板の配線パターンへ接合する。
なお、上記実施形態では、独立シールド配線部とこれに関連する独立用外部グランド端子群を形成したものを示しているが、これらの独立シールド配線部と独立用外部グランド端子群とを割愛した構成であってもよい。つまり、図6の他の実施形態に示すように、ベース1の最下層である底部11の下面(ベースの他主面)には、ベースの長辺方向の中央線110に向かって左側の領域を第1領域111として設定し、メガヘルツ用外部端子群の一部である外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4Aを配置する。ベースの長辺方向の中央線110に向かって右側の領域を第2領域112として設定し、キロヘルツ用外部端子群の一部である外部端子GT1B,GT2B,GT3B,GT4Bを配置する。このような各外部端子群のみが配置された状態で、ベース1の底部11の下面(ベースの他主面)の対角位置に、矩形水晶振動素子3A用の第1外部出力端子(OUT1、メガヘルツ用外部出力端子)である外部端子GT2Aと、音叉型水晶振動素子3B用の第2外部出力端子(OUT2、キロヘルツ用外部出力端子)である外部端子GT2Bとを配置しており、これらの外部出力端子を隔離した位置に配置している。
上記実施形態と他の実施形態により、周波数の異なる2つの圧電振動素子(矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3B)の出力電気信号がお互いに干渉しあうことが抑制され、これら2つの素子のうちいずれか一方が他方の疑似信号ノイズとして含まれることが軽減する。また、外部回路基板における出力ラインを流れる高周波信号は、不要な輻射ノイズが発生しているため、この不要な輻射ノイズが圧電振動デバイスとしての電気的な特性に悪影響を与えることがあるが、これらの影響も軽減することができる。
また、上記実施形態では、メガヘルツ用発振回路部2Aの接続経路とキロヘルツ用発振回路部2Bの接続経路とは一つの集積回路素子2の内部で電気的に独立して形成されており、かつ、集積回路素子2のうちメガヘルツ用発振回路部2Aから前記第1配線部を経由したメガヘルツ用外部端子群の各外部端子(GT1A,GT2A,GT3A,GT4A,GT5A,GT6A)に至るまでのメガヘルツ用の電気的な接続経路と、集積回路素子2のキロヘルツ用発振回路部2Bから前記第2配線部を経由したキロヘルツ用外部端子群の各外部端子(GT1B,GT2B,GT3B,GT4B,GT5B,GT6B)に至るまでのキロヘルツ用の電気的な接続経路とが、電気的に独立して形成しており、メガヘルツ用の電気的な接続経路とキロヘルツ用の電気的な接続経路との間には、独立シールド配線部(配線パターンH13C、引き回し電極GT31C,GT31D)から独立用外部グランド端子群(外部端子GT3C,GT3D)に至るまでの独立シールド用の電気的な接続経路が介在している。このため、独立シールド配線部から前記独立用外部グランド端子に至るまでの独立シールド用の電気的な接続経路により完全に分断することができる。電気的な接続経路におけるお互いの電磁気的な信号もより効果的に遮蔽されるので、周波数の異なる2つの圧電振動素子(メガヘルツ帯の矩形水晶振動素子3Aとキロヘルツ帯の音叉型水晶振動素子3B)を近接配置してもお互いに電気的な相互干渉を与えることがさらに抑制される。
特に、本発明では、上記接続経路のうち、ベース1に形成されて比較的面積を占有し電磁気的な影響度の高い外部端子と配線部に工夫を施している。つまり、外部端子としては、ベース1の平面視長辺方向では、メガヘルツ用外部端子群の一部である外部端子GT1A,GT2A,GT3A,GT4Aと、キロヘルツ用外部端子群の一部である外部端子GT1B,GT2B,GT3B,GT4Bとの間に独立用外部グランド端子群としての外部端子GT3C,GT3Dが介在した状態で形成され、第1領域111と第2領域112との境界をなすように形成されている。このため、周波数の異なる2つの圧電振動素子(メガヘルツ帯の矩形水晶振動素子3Aとキロヘルツ帯の音叉型水晶振動素子3B)を近接配置しても、前記第1領域と第2領域との境界を形成した前記独立用外部グランド端子がお互いの電磁気的な信号を吸収して遮蔽することができるので、電気的な相互干渉を抑制する。また、配線部としても、ベース1の平面視長辺方向では、矩形水晶振動素子3Aのみに関連する第1配線部(保持台配線パターンH25A,H26A、導電ビアV、配線パターンH15A,H16A、引き回し電極GT11A,GT21A,GT31A,GT41A、配線パターンH11A,H12A,H13A,H14A)と、音叉型水晶振動素子3Bのみに関連する前記第2配線部(配線パターンH15B,H16Bと、引き回し電極GT11B,GT21B,GT31B,GT41B、配線パターンH11B,H12B,H13B,H14B)との間に前記独立シールド配線部(配線パターンH13C、引き回し電極GT31C,GT31D)が介在した状態で形成され、前記第1配線部と前記第2配線部と前記独立シールド配線部とは電気的に独立して形成している。このため、周波数の異なる2つの圧電振動素子(メガヘルツ帯の矩形水晶振動素子3Aとキロヘルツ帯の音叉型水晶振動素子3B)を近接配置しても、前記第1配線部と第2配線部との境界を形成した前記独立シールド配線部がお互いの電磁気的な信号を吸収して遮蔽することができるので、電気的な相互干渉をさらに抑制する。
また、集積回路素子2と第1外部出力端子GT2Aとを接続するメガヘルツ用出力ライン(メガヘルツ用の第1外部出力端子GT2Aから第1配線部の一部でメガヘルツ用の出力配線部の配線パターン12A)と集積回路素子と第2外部出力端子GT2Bとを接続するキロヘルツ用出力ライン(キロヘルツ用の第2外部出力端子GT2Bから第2配線部の一部でキロヘルツ用の出力配線部の配線パターン12B)とでそれぞれ生じる外部ノイズは、第1領域111と第2領域112との境界に形成された前記独立用外部グランド端子と前記第1配線部と第2配線部との境界を形成した前記独立シールド配線部とが吸収しお互いの電磁気的な信号が遮蔽されるので、他方の外部ノイズ信号として悪影響を与えることがより一層なくなる。
また、外部電源端子と外部グランド端子とは、メガヘルツ用外部電源端子GT1Aとメガヘルツ用外部グランド端子GT3A、キロヘルツ用外部電源端子GT1Bとキロヘルツ用外部グランド端子GT3Bとしてそれぞれベース1の配線パターンとしても独立しており、パッケージ内部(ベース1)で共通接続されることがないので、お互いの周波数信号に疑似信号として混入することがなくなるため、電気的な特性の劣化につながることがない。
特に、地表や外部回路など外部の理想となる基準電位(以下、理想グランドと称する)は、一切の信号が存在しないフラットな電位状態を示している。しかしながら、メガヘルツ用発振回路を駆動して出力信号電圧を発生させるとメガヘルツ用外部グランド端子からも出力信号に応じた電流が流れるようになり、この流れた電流は理想グランドに接続されるメガヘルツ用外部グランド端子との間の抵抗により電圧を発生させる。同様に、キロヘルツ用発振回路を駆動して出力信号電圧が発生させるとキロヘルツ用外部グランド端子からも出力信号に応じた電流が流れるようになり、この流れた電流は理想グランドに接続されるキロヘルツ用外部グランド端子との間の抵抗により電圧を発生させる。このように発生した不要電圧は発生源以外の他方の発振回路に対しては各周波数のノイズ信号として影響することになる。本発明では、同様のパッケージ内部(ベース)で同じ外部グランド端子として共通接続せず、それぞれ独立した外部グランド端子とすることで、他の周波数成分の電流を電気的に遠ざけることができるため、不要電圧によるノイズ信号の発生を減少させることができる。
また、他の周波数成分の電流を電気的に遠ざけることによる作用は、理想グランドと対極にある外部の理想となる電源(以下、理想電源と称する)でも同様である。本発明では、同様のパッケージ内部(ベース1)で同じ外部電源端子として共通接続せず、それぞれ独立した外部電源端子とすることで、他の周波数成分の電流を電気的に遠ざけることができるため、理想電源に対して不要電圧によるノイズ信号の発生を減少させることができる。
また、理想グランドと外部グランド端子との間の抵抗は、ベース1に形成された外部グランド端子の数で割っただけ案分することができるので、発生する不要電圧の値も同様に案分することができ、不要電圧によるノイズ信号の影響を抑えることができる。
また、必要に応じてメガヘルツ帯の矩形水晶振動素子3Aとキロヘルツ帯の音叉型水晶振動素子3Bとの駆動を使い分けることができ、必要のない側の圧電振動子の駆動を休止することができるため、省エネルギーに貢献できる。特に、比較的消費電力が小さく時刻の基準源としてのキロヘルツ帯の音叉型水晶振動素子3Bのみを常時駆動させる一方で、比較的消費電力が大きく電子機器等の基準周波数源としてのメガヘルツ帯の矩形水晶振動素子3Aの動作を必要な時のみ駆動させるようなことが、お互いに電気的な接続経路が独立しているがゆえに外部回路上の操作により容易に実現できる。
また、ベース1の一主面側のみに一つの収納部10が形成されたシングル封止構成のパッケージ構造とするとともに、一つの収納部10に収納される部品を一つの集積回路素子2と一つの矩形水晶振動素子3Aと一つの音叉型水晶振動素子3Bのみとすることで、部品点数を減らしベース1の低背化や小型化をさらに実現とすることができる。
このようなシングル封止構成のパッケージでは、小型化や低背化を進めることでベースの収納部10に搭載された各部品の搭載位置が近接してお互いに干渉しあうことが懸念される。しかしながら、本発明では、保持台10bに矩形水晶振動素子3Aの一短辺33Aのみを固定して搭載するとともに、矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aの少なくとも中心部341Aが集積回路素子2の上面の領域に対して平面視重畳する位置に配置しているので、矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aが内底面10aのある下方向に傾くことがあっても、集積回路素子2を補助枕としてその傾きを抑制することができる。
特に、内底面10aに対して高さのある保持台10bの位置で水晶振動素子を片持ち保持により搭載すると、外部衝撃等により水晶振動素子に傾きが生じやすくなることがあるが、音叉型水晶振動素子3Bではなく矩形水晶振動素子3Aを保持台10bに固定して集積回路素子2の上部に配置することで、矩形水晶振動素子3Aが傾くことにより集積回路素素子2と接触することがあっても発振停止を招く危険性を低くできる。さらに、矩形水晶振動素子3Aの他短辺34Aが集積回路素子2の上部稜線のうち音叉型水晶振動素子3Bに近接する稜線21を超えて音叉型水晶振動素子3Bの方へはみ出すことがないため、矩形水晶振動素子3Aと音叉型水晶振動素子3Bとがお互いに接触することなく、お互いの振動特性に悪影響を与えることもない。
また、周波数調整工程に伴う調整物質(プラズマ粒子や電極屑等)の発生量が比較的少ない矩形水晶振動素子3Aを保持台10bに固定して集積回路素子2の上部に配置することで、下側に配置される音叉型水晶振動素子3Bに対して周波数調整工程に伴う調整物質(プラズマ粒子や電極屑等)が届くことが抑制される。
さらに、周波数調整領域としての矩形水晶振動素子3Aの他方の励振電極32Aと音叉型水晶振動素子3Bの錘電極35Bとは、ベース1の短辺方向に沿ってお互いにずれた位置、つまりベースの長辺方向において矩形水晶振動素子3Aの励振電極32Aと音叉型水晶振動素子3Bの錘電極35Bとが同一直線上から外れる位置に配置されているため、お互いに独立した領域とするだけでなく離隔して配置することができる。結果として、各電極を周波数調整する際には個別に行うことができ、お互いに干渉されることがない。特に、先端に錘電極35Bを有する音叉型水晶振動素子3Bではなく、中央に周波数調整領域でもある励振電極を有する矩形水晶振動素子3Aを保持台10bに固定して集積回路素子2の上部に配置することで、お互いの周波数調整領域を離隔させることができ、下側に配置される音叉型水晶振動素子3Bに対して周波数調整工程に伴う調整物質(プラズマ粒子や電極屑等)が届くことが抑制されるので、周波数調整する場合にお互いの干渉をなくすうえでより望ましい構成とすることができる。
また、前記第1配線部と第2配線部との境界を形成する独立シールド配線部の上部に一つの集積回路素子2が搭載されているので、集積回路素子2で発生した不要な電磁気的な輻射ノイズも近くにある独立シールド配線部に吸収され、他への悪影響を与えることが一切なくなる。
なお、上記した本実施例では、圧電振動素子として水晶を材料としているが、これに限定されるものではなく、圧電セラミックスやLiNbO3等の圧電単結晶材料を用いてもよい。すなわち、任意の圧電振動素子が適用可能である。
また、本実施例では、金属ろう材による封止を例にしたが、これに限定されるものではなく、シーム封止、ビーム封止(例えば、レーザビーム、電子ビーム)やガラス封止等でも適用することができる。
本発明は、その思想または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。