以下、下記の手順に従って本発明を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)第4の実施形態:
(5)第5の実施形態:
(6)第6の実施形態:
(7)まとめ:
(1)第1の実施形態:
本実施形態にかかる自動水栓装置の構成の概要を図1に示す。図2は、本実施形態にかかる自動水栓装置の構成を例示するブロック図である。図示されるように、本発明による自動水栓装置1は、水栓2と、水栓2の先端部に設けた吐水口3と、水栓2の内部を挿通して吐水口3に連通した給水路4と、給水路4の中途に設けられ、吐水口3からの水の吐水および止水を行う開閉弁部5と、吐水口3の上部と水栓2の先端部内面との間に設けた人体検出手段の一例である光電センサ6と、光電センサ6からの信号を処理し、開閉弁部5の開閉を制御する制御手段7と、を備えている。開閉弁部5は、制御手段7からの信号によって開閉動作を制御できる手段であれば良く、例えば、電磁弁などを用いることができる。なお、制御手段7と、開閉弁部5や光電センサ6との間の信号の伝達手段は、有線であっても無線であっても良い。さらに、制御手段7は、電源50より電力供給を受けている。電源50は、商用電源を使ったAC電源でも、電池などを使ったDC電源でもよい。
光電センサ6は、投光回路8と検出回路9を備え、洗面器8の上方において吐水口3の前方に差し出された手等を検出すると、その検出結果を知らせるための信号を制御手段7に送信する。制御手段7は、光電センサ6から受信した当該信号に基づいて開閉弁部5を開き、吐水口3から手等に向けて水を吐水させる。また、制御手段7は、光電センサ6からの手等の検出による信号を受信しなくなると、開閉弁部5を閉じて吐水口3からの水の吐水を停止する。
図3は、本実施形態にかかる自動水栓装置の構成を例示する回路図である。本実施形態の自動水栓装置1は、CPUを備えた制御手段7と、投光素子10による赤外光の投光を制御する投光回路8と、受光素子13で受けた信号を処理する検出回路9とを備えている。
制御手段7は、出力ポートP01,P11,P12と、入力ポートP21,P22を有している。出力ポートP01は、投光回路8のトランジスタ12に接続されており、制御手段7は交互にオン/オフ(Hiレベル/Loレベルの電圧)が繰り返されるパルス信号LEDOUTを出力する。出力ポートP11は、検出回路9へ積分タイミング信号INTを出力する。出力ポートP12は、検出回路9へリセット信号RSTを出力する。入力ポートP21は、検出回路9で増幅されたアナログ増幅出力S1を受ける。入力ポートP22は、検出回路9からのアナログ積分出力S2を受ける。制御手段7は、このアナログ増幅出力とアナログ積分出力をA/D変換した結果に基づいて、光電センサ6への人体の近接を判定する。
投光回路8は、投光素子10と、抵抗11と、トランジスタ12を備えている。制御手段7より出力されるパルス信号LEDOUTに同期し、投光素子10で赤外光をパルス投光する。
検出回路9は、受光手段40と、出力手段として増幅手段41と積分手段42と、を備えている。受光手段40は、抵抗14とOPアンプ15を備え、受光素子13がその受光量に比例して発生する光電流を電圧に変換する。この電圧は、コンデンサ16によりDC成分がカットされ、AC成分のみ増幅手段41に入力される。
増幅手段41は、抵抗17,18及びOPアンプ19を備えている。抵抗17は、コンデンサ16とOPアンプ19の反転入力との間に接続されている。抵抗18は、OPアンプ19の反転入力と出力との間に接続されている。OPアンプ19の非反転入力は、基準電圧源30に接続されている。基準電圧源30は、GNDに対して増幅手段41の基準電圧Vref(例えば、1.5V)を提供する。増幅手段41の出力は、制御手段7の入力ポートP21と共に、アナログスイッチ20を介し、積分手段42の抵抗21に接続されている。制御手段7の入力ポートP21は、増幅手段41で増幅されたアナログ出力S1を受ける。
積分手段42は、抵抗21と、OPアンプ24と、コンデンサ23を備えている。増幅手段41の出力は、抵抗21を介してOPアンプ24の反転入力に入力される。コンデンサ23は、OPアンプ24の反転入力と出力との間に接続されている。OPアンプ24の非反転入力は、基準電圧源30に接続されている。積分手段42は、積分処理によりコンデンサ23に形成された基準電圧Vrefとの電位差に基づく積分出力を制御手段7の入力ポートP22へ出力している。
コンデンサ23の両端間には、リセット手段としてのアナログスイッチ22が接続されている。アナログスイッチ22は、常時はオフであり、制御手段7からのリセット信号RSTによりオンされるように構成されている。リセット信号RSTにより、アナログスイッチ22が所定期間オンになると、コンデンサ23の両端電圧がゼロリセットされる。
更に、積分手段42は、選択手段としてのアナログスイッチ20を備えている。アナログスイッチ20は、増幅手段41の出力と積分手段42の抵抗21との間に配置されており、制御手段7からのタイミング信号INTによりオン、オフされるように構成されている。
タイミング信号INTは、Hi/Lo電位レベルが切り替わる所定周波数の矩形波パルス信号である。アナログスイッチ20は、タイミング信号INTのHiレベル電位が入力したときにオンとなり、その他の期間はオフとなる。なお、本実施形態では、タイミング信号INTは、デューティー比が50%のパルス信号であり、HiレベルとLoレベルのパルス幅が同じであるが、必ずしもデューティー比は50%でなくてもよい。
次に、本実施形態にかかる自動水栓装置において、ノイズが存在しない状態で人体検知する場合を図4のタイミングチャートを用いて説明する。ここでいうノイズとは、光ノイズ(蛍光灯などの照明等)や電気的ノイズ(電源ノイズやアンテナノイズ等)が発生させる、インバータノイズやホワイトノイズなどの定常的に起きる定常ノイズや、単発で起きるインパルスノイズを意味する。
まず、パルス投光を行う前に、T0のタイミングから所定時間、リセット信号RSTによってアナログスイッチ22をオンし、コンデンサ23を放電、すなわち積分手段42をリセットする。この状態の積分手段42の出力電圧(OPアンプ24の出力)が基準(反射信号のゼロ位置)となる。この時、この基準の電圧はVrefである。
T1のタイミングで信号LEDOUTがオン出力され、トランジスタ12がオンして、投光素子10が発光する。これと同時にアナログスイッチ20がオンし、投光素子10の発光に同期して、反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段42で積分する。T2のタイミングで信号LEDOUTがオフし、これと同時にアナログスイッチ20がオフし、増幅手段出力の積分を終了する。この積分動作により積分出力Vint1が得られる。これらの一連のセンシング動作を初期投光とする。
T3のタイミングで、判定手段としての制御手段7は、積分出力Vint1をA/D変換し、閾値Vth1と比較する。本実施形態(図4)では、積分出力Vint1は閾値Vth1を上回っている(Vint1>Vth1)ため、制御手段7は出力変化ありと判定する。ここで、閾値Vth1は請求項における第1の閾値であり、使用環境においてあらかじめ設定された値であり、適宜変更してもよい。
T4〜T7では、T0〜T3までのセンシング動作(初期投光)と同じ動作を実施する。この時、T4〜T7の積分動作で得られるのは、積分出力Vint2である。制御手段7は、T8のタイミングで積分出力Vint2をA/D変換し、メモリへ保存する。これらの一連のセンシング動作を確認投光aとする。なお、初期投光と確認投光aの処理時間は同じである。
次に、T8〜T11のセンシング動作である確認投光bを説明する。T8のタイミングでは、初期投光と確認投光aと同じく、積分手段42をリセットする。T9のタイミングで、アナログスイッチ20がオンし、反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段42で積分する。この時、信号LEDOUTはオフ状態のままであり、投光素子10は発光しない。T10のタイミングで、アナログスイッチ20がオフし、増幅手段出力の積分を終了する。この積分動作により積分出力Vint3が得られる。制御手段7は、T11のタイミングで積分出力Vint3をA/D変換し、メモリへ保存する。なお、確認投光bの処理時間は、初期投光と確認投光aと同じである。
この確認投光bの動作は、投光素子が非発光であることを除けば、初期投光と確認投光aの積分動作と同じである。この確認投光bは、ノイズ検出のための動作である。制御手段7は、投光素子10を発光させない確認投光bにおいて、積分出力が閾値を上回る場合はノイズあり、閾値以下の場合はノイズなしと判断する。
T11のタイミングで、制御手段7は、積分出力Vint2と閾値Vth1とを比較し、かつ、積分出力Vint3と閾値Vth1とを比較する。本実施形態(図4)では、積分出力Vint2>閾値Vth1であるため、T7のタイミングでは出力変化ありと判定する。また、制御手段7は、積分出力Vint3<閾値Vth1であるため、T11のタイミングではノイズなしと判定する。なお、本実施形態(図4)で設定されている閾値は、初期投光、確認投光a、確認投光bが同値であるが、全てが同値でなくてもよい。例えば、初期投光の閾値を確認投光aの閾値より小さくし、微小なノイズによる出力変化でも確認投光aと確認投光bが頻繁に発動するようにすることで、ノイズ検出精度が上がる。また、初期投光や確認投光aでの積分出力に対し、確認投光bでの積分出力が小さくなるようなタイミングのノイズに対しては、確認投光b(非発光動作)の閾値を小さくすることで、ノイズ検出精度を上げられる。つまり、発光動作の確認投光aで比較する閾値よりも、初期投光で比較する閾値、非発光動作の確認投光bで比較する閾値を低くすることでノイズの検出精度を上げることができる。このように各閾値の設定は、ノイズの環境や許容できる消費電力等により、適宜変更してよい。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、人体検出判断を行う。図4の動作の場合は、初期投光と確認投光aで出力変化あり、確認投光bでノイズがないため、制御手段7は人体を検出し、開閉弁5を開弁し、自動水栓装置は吐水する。本実施形態(図4)では、出力変化有無を積分出力が閾値を上回るか否かで判断しているが、この限りではない。例えば、積分出力が閾値を下回る場合に出力ありと判断してもよいし、閾値をある範囲で構成しその範囲を出た場合に出力ありと判断するように構成してもよい。
本実施形態(図4)では、初期投光で出力変化のある場合を説明したが、このタイミングで制御手段7が出力変化なしと判定した場合は、センシング動作を初期投光のみで終了し、光電センサ6は次回のセンシングタイミングまで待機する。これにより、初期投光の出力変化、すなわち人体検知などのセンシング対象の状態変化がない場合は、次回以降のセンシング動作をしないため、消費電力を抑えることができる。
次に、本実施形態にかかる自動水栓装置において、定常ノイズが存在する場合の動作を図5のタイミングチャートを用いて説明する。この時、人体は存在しない。なお、定常ノイズとは、定常的に発生しているノイズであり、インバータノイズやホワイトノイズなどを意味する。
T0〜T3では、図4で説明したセンシング動作(初期投光もしくは確認投光a)と同じ動作を実施する。この時、T0〜T3の積分動作で得られるのは、積分出力Vint1である。制御手段7は、積分出力Vint1をA/D変換し、T3のタイミングで積分出力Vint1と閾値Vth1とを比較する。本実施形態(図5)では、積分出力Vint1>閾値Vth1であるため、出力変化ありと判定する。この閾値は積分出力の変化を検出するための閾値であるが、今回の積分出力が人体による反射信号なのか、ノイズによる反射信号なのかは、この時点では制御手段7は区別できない。そこで、本実施形態(図5)では、初期投光で出力変化があった際は、引き続き確認投光をすることで、初期投光で受信した信号が、人体だったのかノイズだったのかを判別している。
T4〜T7では、図4で説明したセンシング動作(初期投光もしくは確認投光a)と同じ動作を実施する。この時、T4〜T7の積分動作で得られるのは、積分出力Vint2である。制御手段7は、T7のタイミングで積分出力Vint2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T8〜T11では、図4で説明したセンシング動作(確認投光b)と同じ動作を実施する。この時、T8〜T11の積分動作で得られるのは、積分出力Vint3である。制御手段7は、T11のタイミングで積分出力Vint3をA/D変換し、メモリへ保存する。
T11のタイミングで、制御手段7は、積分出力Vint2と閾値Vth1とを比較し、かつ、積分出力Vint3と閾値Vth1とを比較する。本実施形態(図5)では、積分出力Vint2>閾値Vth1であるため、T7のタイミングでは出力変化ありと判定する。また、制御手段7は、積分出力Vint3>閾値Vth1であるため、T11のタイミングではノイズありと判定する。なお、本実施形態(図5)で設定されている閾値は、図4で説明したとおり、全てが同値でなくてもよく、適宜変更してよい。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、投光素子10が非発光にも関わらず、積分出力Vint3が閾値Vth1を上回ることから、積分出力Vint1と積分出力Vint2の出力変化は、人体による反射ではなく、定常ノイズの影響であると判断する。
次に、本実施形態にかかる自動水栓装置において、インパルスノイズが存在する場合の動作を図6のタイミングチャートを用いて説明する。この時、人体は存在しない。なお、インパルスノイズとは、単発で発生するノイズを意味する。
T0〜T4では、図4で説明したセンシング動作(初期投光もしくは確認投光a)と同じ動作を実施する。T2のタイミングでインパルスノイズが発生する。T0〜T4の積分動作で得られるのは、積分出力Vint1である。制御手段7は、T4のタイミングで積分出力Vint1をA/D変換し、T4のタイミングで積分出力Vint1と閾値Vth1とを比較する。本実施形態(図6)では、積分出力Vint1>閾値Vth1であるため、出力変化ありと判定する。この閾値は積分出力の変化を検出するための閾値であるが、今回の積分出力が人体による反射信号なのか、ノイズによる反射信号なのかは、この時点では制御手段は区別できない。そこで、本実施形態では、初期投光で出力変化があった際は、引き続き確認投光をすることで、初期投光で受信した信号が、人体だったのかノイズだったのかを判別している。
T5〜T8では、図4で説明したセンシング動作(初期投光もしくは確認投光a)と同じ動作を実施する。この時、T5〜T8の積分動作で得られるのは、積分出力Vint2である。制御手段7は、T8のタイミングで積分出力Vint2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T9〜T12では、図4で説明したセンシング動作(確認投光b)と同じ動作を実施する。この時、T9〜T12の積分動作で得られるのは、積分出力Vint3である。制御手段7は、T12のタイミングで積分出力Vint3をA/D変換し、メモリへ保存する。
T12のタイミングで、制御手段7は、積分出力Vint2と閾値Vth1とを比較し、かつ、積分出力Vint3と閾値Vth1とを比較する。本実施形態(図6)では、積分出力Vint2<閾値Vth1であるため、T8のタイミングでは出力変化なしと判定する。また、制御手段7は、積分出力Vint3<閾値Vth1であるため、T12のタイミングではノイズなしと判定する。なお、本実施形態(図6)で設定されている閾値は、図4で説明したとおり、全てが同値である必要は無く、適宜変更してよい。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、T8のタイミングで出力変化なく、T12のタイミングでノイズがないことから、T4のタイミングでの出力変化検出は単発的なインパルスノイズの影響であると判断する。
以上、ノイズが存在しないときと存在するときにわけてのセンサ動作を説明した。ノイズの有無によって信号波形に差異は出ているが、センサの動作処理としては同じである。つまり、人体がない状態、又はノイズが無い状態ではセンサ動作は初期投光で終了するが、人体がある状態、又はノイズがある状態ではセンサ動作は確認投光を行う。そして、確認投光の結果によって人体とノイズの判別を制御手段が処理する。人体とノイズの判別処理内容については、図7以降で説明する。
次に、図7により、本実施形態にかかる自動水栓装置でセンシング動作のフローを説明する。まず、投光タイマをスタートする(S100)。次に、投光タイマが0.5s経過するまでループして待機する(S101)。この0.5sは光電センサ6の投光周期であり、設置状況などに応じて変更しても構わない。0.5sが経過すると(S101のYES)、投光タイマをリセットスタートする(S102)。これは、次の投光周期(0.5s)を再び計測するためである。
次に、遅延フラグが1にセットされているか否かをチェックする(S132)。遅延フラグが1にセットされる条件については後ほど説明するが、遅延フラグの役割は、インパルスノイズが存在するか否かを示すことである。遅延フラグが1にセットされている場合は(S132のYES)、6ms待機し(S133)、S103へと移行する。また、S132において、遅延フラグが1にセットされていない場合は(S132のNO)、S103へと移行する。
次に、制御手段7は、出力ポートP01より信号LEDOUTを出力し、トランジスタ12がオンして、投光素子10が発光する(S103)。検出回路9は、反射光の出力に伴い、増幅処理、積分処理を実行し、積分出力Vint1を制御手段7の入力ポートP22へ出力する(S104)。制御手段7は、積分出力Vint1を受けると、データをメモリへ格納し(S105)、S106へ移行する。
S106では、積分出力Vint1と閾値Vth1とを比較する。積分出力Vint1が閾値Vth1以下である場合(S106のNO)、制御手段7は、ユーザーの操作はなく(人体なしと判定し)、ノイズも存在しないと判定し(S107)、S128へと移行する。S128以降の処理は後ほど説明する。これは、前述した図4のタイムチャートにおいて、初期投光のみで処理を完了した場合がS128への移行に相当する。
S106で積分出力Vint1が閾値Vth1より大きい場合(S106のYES)、S110へと移行する。S110では、制御手段7はS103と同様の投光動作を実施し、S111へ移行する。検出回路9は、反射光の出力に伴い、増幅処理、積分処理を実行し、制御手段7の入力ポートP22へ出力する(S111)。制御手段7は、積分出力Vint2をメモリへ格納し(S112)、S113へ移行する。
S113では、制御手段7は投光素子10を発光させず、S114へ移行する。検出回路9は、反射光の出力に伴い、増幅処理、積分処理を実行し、制御手段7の入力ポートP22へ出力する(S114)。制御手段7は、積分出力Vint3をメモリへ格納し(S115)、S116へ移行する。
積分出力Vint2が閾値Vth1より大きく、かつ、積分出力Vint3が閾値Vth1より小さい場合(S116のYES)、S117へと移行する。この場合、投光素子10の発光時は出力変化あり、非発光時は出力がない(ノイズは存在しない)と判断し、人体の近接ありと判定して(S117)、フローはAの位置に戻る。これは、前述した図4のタイムチャートにおいて、確認投光bまでを処理した場合がS117への移行に相当する。
積分出力Vint2と、積分出力Vint3がS116の条件(Vint2>Vth1、かつ、Vint3<Vth1)を満たさない場合(S116のNO)、S120へと移行する。
積分出力Vint2が閾値Vth1より大きく、かつ、積分出力Vint3が閾値Vth1より大きい場合(S120のYES)、S121へと移行する。この場合、投光素子10の発光時は出力変化あり、非発光時は出力がある(ノイズは存在する)と判断し、定常ノイズ検知と判定し(S121)、S122へと移行する。これは、前述した図5のタイムチャートにおいて、確認投光bまでを処理した場合がS122への移行に相当する。
S122では、定常ノイズモード解除タイマの停止中か否かを確認し、動作中であれば(S122のNO)、Aの位置(S101の手前)に戻る。また、定常ノイズモード解除タイマが停止中であれば(S122のYES)、S123へと移行する。
S123では、定常ノイズモード解除タイマをリセットスタートし、S124へ移行する。S124では、閾値Vth1の数値を上げるため、閾値Vth1=Vth1+αを実行し、Aの位置に戻る。閾値Vth1の数値を上げるのは、定常ノイズによる誤動作を防止するためである。なお、加算値αは設置環境やノイズレベルによって適宜変更してよい。例えば、定常ノイズによって積分値がVth4(>Vth1)まで上がることが予め分かっていれば、それ以上の値を新たなVth1とすればよい。
積分出力Vint2と、積分出力Vint3がS120の条件(Vint2>Vth1、かつ、Vint3<Vth1)を満たさない場合(S120のNO)、インパルスノイズ検知と判定し(S130)、S131へと移行する。S131では、遅延フラグに1をセットし、Aの位置に戻る。
ここで、フローチャートのS128以降を説明する。S128では、定常ノイズモード解除タイマの停止中か否かを確認し、停止中であれば(S128のYES)、Aの位置(S101の手前)に戻る。また、定常ノイズモード解除タイマが停止中であれば(S128のYES)、S125へと移行する。
S125では、定常ノイズモード解除タイマが経過時間を確認し、10min経過していなければ(S125のNO)、Aの位置に戻る。また、定常ノイズモード解除タイマが10min経過していれば(S125のYES)、S126へと移行する。
S126では、定常ノイズモード解除タイマを停止し、S127へ移行する。S127では、閾値Vth1を初期値に戻し、フローはAの位置に戻る。これは、定常ノイズが時間経過と共に光電センサに影響しないレベルまで弱まる、もしくは無くなった場合に、使い勝手を初期状態に戻すためである。定常ノイズが発生し続けている場合は、次のセンシング動作により、再度定常ノイズモードへと移行する。このように、本実施形態では、人体やノイズの有無、ノイズの種類を見極め、自動水栓装置の置かれた環境に即した制御に切り替えることで、使用者に対し、使い勝手の良さを提供する。
上記実施形態では、確認投光動作は、投光素子の発光/非発光を含む投光動作を各1回ずつとしているが、これに限定するものではなく、適宜変更してもよい。また、確認投光動作において、投光素子の発光動作を先、非発光動作を後に実施しているが、順序変更してもノイズ判定効果は変わらないため、適宜変更してもよい。
図8は、本実施形態にかかる自動水栓装置の判定結果を表にしたものであり、図7の処理結果を一覧している。つまり、ノイズが無く、人体もいない状態では初期投光のみでセンサ動作は終了する。また、初期投光でVth1より大きければ、確認投光aと確認投光bを続いて実行して、これらの結果より「人体検出」「インパルスノイズ」「定常ノイズ」を判別する。
図9は、本実施形態にかかる自動水栓装置で別構成の判定結果を表にしたものである。図9の実施形態では、初期投光の後、確認投光動作を3回実施している。また、確認動作は1回目と2回目は投光素子を発光し、3回目は投光素子を非発光で動作させている。この場合、発光確認回数が増すため、インパルスノイズの検出精度が上がるため、ノイズ判別効果が向上する。図8において、非常に稀なタイミングではあるが、インパルスノイズが偶然にも、初期投光と確認投光aのタイミングでのみ発生した場合、人体検出と誤判断してしまう。そこで、図9のように発光の確認投光の回数を増やすことで、インパルスノイズが発生するタイミングをより確実に避けて確認投光をすることが可能となる。例えば、インパルスノイズが初期投光と確認投光aのタイミングで発生しても、確認投光bのタイミングで発生しなければ、確実にインパルスノイズと判別することが可能である(パターン6,7の場合)。また、同様の考え方で定常ノイズの検出精度を上げることも可能である。定常ノイズの周波数や発光強度のタイミングによっては、図8のパターン3の結果になることもある。つまり、定常ノイズのタイミングによって、偶然にも確認投光cの結果がVth1以下であれば、パターン4ではなくてパターン3の結果になって人体検出と誤判断してしまう。そこで、非発光の確認投光の回数を増やすことで、定常ノイズのチェック回数を増やすことができる。そして、非発光の確認投光のタイミングで一度でもVth1を上回ることがあれば、定常ノイズであると判別することができる。
(2)第2の実施形態:
ここからは、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態のインパルスノイズ検出精度を更に向上するものである。図10は、第2の実施形態にかかる自動水栓装置のタイミングチャートである。図9で説明したように確認投光の回数を増やすことでインパルスノイズの検出精度は向上できるが、確認投光の回数増加は処理の複雑化につながる。本実施形態では、投光回数を増やさずに(処理を複雑化せずに)、インパルスノイズの検出精度を向上することができる。
T0〜T4では、図4で説明したセンシング動作(初期投光もしくは確認投光a)と同じ動作を実施する。T2のタイミングでインパルスノイズが発生していた。T0〜T4の積分動作で得られるのは、積分出力Vint1である。制御手段7は、積分出力Vint1をA/D変換し、T4のタイミングで積分出力Vint1と閾値Vth1とを比較する。本実施形態では、積分出力Vint1>閾値Vth1であるため、出力変化ありと判定する。この閾値は積分出力の変化を検出するための閾値であるが、今回の積分出力が人体による反射信号なのか、ノイズによる反射信号なのかは、この時点では制御手段は区別できない。そこで、本実施形態では、初期投光で出力変化があった際は、引き続き確認投光をすることで、初期投光で受信した信号が、人体だったのかノイズだったのかを判別している。第1の実施形態と同じ処理内容である。
T5〜T9では、図4で説明したセンシング動作(初期投光もしくは確認投光a)と同じ動作を実施する。但し、図4と異なって、T7のタイミングでインパルスノイズが発生している。この時、T5〜T9の積分動作で得られるのは、積分出力Vint2である。制御手段7は、T9のタイミングで積分出力Vint2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T10〜T13では、図4で説明したセンシング動作(確認投光b)と同じ動作を実施する。この時、T10〜T13の積分動作で得られるのは、積分出力Vint3である。制御手段7は、T13のタイミングで積分出力Vint3をA/D変換し、メモリへ保存する。
T13のタイミングで、制御手段7は、積分出力Vint2と閾値Vth1とを比較し、かつ、積分出力Vint3と閾値Vth1とを比較する。本実施形態では、積分出力Vint2>閾値Vth1であるため、T9のタイミングでは出力変化ありと判定する。また、制御手段7は、積分出力Vint3<閾値Vth1であることにより、T13のタイミングでは人体検出もしくはインパルスノイズの影響のどちらか一方であると判定する。なお、本実施形態(図10)で設定されている閾値は、図4で説明したとおり、全てが同値である必要は無く、適宜変更してよい。
次に、人体検出もしくはインパルスノイズの影響を明確にするため、積分出力Vint1と積分出力Vint2の差分と第2の閾値Vth2を比較する。本実施形態(図10)では、|積分出力Vint1−積分出力Vint2|≧閾値Vth2であり、積分出力int1と積分出力int2の出力変化はインパルスノイズの影響であると判断する。なお、閾値Vth2は請求項における第2の閾値であり、その設定は、人体検出の場合の積分出力Vint1と積分出力Vint2の差分を基に設定する。また、閾値Vth2は、使用環境、使用形態で適宜変更してもよい。
図9では、発光の確認投光の回数を増やすことで、インパルスノイズをより確実に判別していた。一方、本実施形態(図10)では、初期投光のデータと発光を伴う確認投光のデータとの差異をチェックすることでインパルスノイズの検出精度を上げている。図10のように、インパルスノイズが偶然にも初期投光と確認投光aのタイミングで発生した場合、図8の検出判定では人体ありと誤判断してしまう。そこで、本実施形態(図10)では、複数の積分出力の差異をチェックすることで、人体なのかインパルスノイズなのかを判別している。人体の反射信号は短時間(センサのセンシング周期程度=数ms)では安定した反射レベルとなるため、複数回の投光をすると、全ての積分出力は安定しており、各積分出力間での差異はほとんど発生しない。一方、ノイズは、例えばインバータノイズなどであれば、数十kHz以上の高い周波数であり、人体の反射信号に比べ高速である。そのようなノイズが、センシング周期に関係なく発生し、発光タイミングとも非同期であるため、その受光信号(反射信号)は安定しない。つまり、インパルスノイズの環境下では、複数回の積分出力は安定しておらず、差異が発生する。そこで、各積分出力の差異をチェックすることで、人体とインパルスノイズの判別がより正確にできるようになる。
次に、図11により、本実施形態にかかる自動水栓装置でセンシング動作のフローを説明する。なお、本フローの内容と、図7で説明したフローの内容とで重複している点は省略し、相違点のみを説明する。具体的には、ステップS117の手前にステップS150を追加している点である。
第2の実施形態では、S116で積分出力Vint2が閾値Vth1より大きく、かつ、積分出力Vint3が閾値Vth1より小さい場合(S116のYES)、S150へと移行する。
S150では、積分出力Vint1と積分出力Vint2の差分と閾値Vth2を比較する。S150の条件(|積分出力Vint1−積分出力Vint2|<閾値Vth2)を満たす場合、積分出力が安定しているため、人体の近接ありと判定して(S117)、今回の検出処理を終了する。S150の条件(|積分出力Vint1−積分出力Vint2|<閾値Vth2)を満たさない場合、積分出力が不安定であるため、インパルスノイズ検知と判定して(S130)、S131へと移行する。S131の動作は、図7のフローで説明した通りである。
これらの動作を実施することで、光電センサは、人体の近接とインパルスノイズをより精度良く見極めることができ、使い勝手の良い自動水栓装置を提供できる。また、同様の考え方で定常ノイズの検出精度を上げることも可能である。定常ノイズの周波数や発光強度のタイミングによっては、図8のパターン3の結果になることもある。つまり、定常ノイズのタイミングによって、偶然にも確認投光cの結果がVth1以下であれば、パターン4ではなくてパターン3の結果になって人体検出と誤判断してしまう。そこで、非発光の確認投光の回数を増やし、非発光時の各積分出力の差異をチェックすることで、人体と定常ノイズの判別がより正確にできるようになる。つまり、ある非発光時の確認投光において、定常ノイズの発生タイミングが偶然にもVth1以下となる場合であっても、別の非発光時の確認投光における結果との差異をチェックすることで、定常ノイズであるか否かが判別できる。
(3)第3の実施形態:
ここからは、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、検出回路9の出力が増幅手段41の出力であり、制御手段7が受信する構成である。図12は、第3の実施形態にかかる自動水栓装置のタイミングチャートで、人体を検知する場合である。これまでの第1の実施例、第2の実施例では、人体検出のために積分出力の結果を利用しており、インパルスノイズ、定常ノイズの判別も積分出力で判別していた。それに対して本実施形態では、積分出力は使わずに、増幅出力のみで人体検出とノイズの判別を行う。これは、ノイズの判別用に特別な回路を必要とせず、人体検出のために使用する回路を兼用してノイズ判別が可能であることを示している。以下、増幅出力のみで人体検出とノイズ判別を行う処理内容を説明する。
T0のタイミングで信号LEDOUTがオン出力され、トランジスタ12がオンして、投光素子10が発光する。これと同時に制御手段7はP21の入力信号の確認を開始する。T1のタイミングで信号LEDOUTはオフ出力し、発光を停止する。
T2のタイミングで、制御手段7はP21の入力信号の確認を終了し、T0〜T2の期間で反射光に比例した信号の極値である増幅手段出力Vamp1を、P21により受信する。これらの一連のセンシング動作を初期投光2とする。なお、この信号の極値は、使用環境や構成により、極大値か極小値を選択してよく、本実施形態では、極小値としている。
引き続き、T2のタイミングで増幅手段出力Vamp1をA/D変換し、閾値Vth3と比較する。本実施形態(図12)では、増幅手段出力Vamp1は閾値Vth3を上回っている(Vamp1>Vth3)ため、制御手段7は出力変化ありと判定する。ここで、閾値Vth3は請求項における第1の閾値の1つで、使用環境においてあらかじめ設定された値であり、適宜変更してもよい。なお、このタイミングで制御手段7が出力変化なしと判定した場合は、図4のタイミングチャートで説明した動作と同様である。
T3〜T5では、T0〜T2までのセンシング動作(初期投光2)と同じ動作を実施する。この時、制御手段7は、T3〜T5の増幅動作で得られた、増幅手段出力Vamp2をA/D変換し、メモリへ保存する。これらの一連のセンシング動作を確認投光a2とする。なお、初期投光2と確認投光a2の処理時間は同じである。
次に、T6〜T7のセンシング動作である確認投光b2を説明する。T6のタイミングで、制御手段7はP21の入力信号の確認を開始する。T7のタイミングで、制御手段7はP21の入力信号の確認を終了し、増幅手段出力Vamp3をA/D変換し、メモリへ保存する。なお、確認投光b2の処理時間は、初期投光2と確認投光a2と同じである。
引き続き、T7のタイミングで、制御手段7は、増幅手段出力Vamp2と閾値Vth3とを比較し、かつ、増幅手段出力Vamp3と閾値Vth3とを比較とを比較する。本実施形態(図12)では、増幅手段出力Vamp2>閾値Vth3であるため、T5のタイミングでは出力変化ありと判定する。また、制御手段7は、増幅手段出力Vamp3<閾値Vth3であるため、T7のタイミングではノイズなしと判定する。なお、本実施形態(図12)で設定されている閾値は、図4で説明したとおり、全てが同値である必要は無く、適宜変更してよい。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、人体検出判断を行う。図4の動作の場合は、初期投光2と確認投光a2で出力変化あり、確認投光b2でノイズがないため、制御手段7は人体を検出し、開閉弁5を開弁し、自動水栓装置は吐水する。
次に、本実施形態にかかる自動水栓装置において、定常ノイズが存在する場合の動作を図13のタイミングチャートを用いて説明する。この時、人体は存在しないものとして説明する。
T0〜T2では、図12で説明したセンシング動作(初期投光2)と同じ動作を実施する。この時、T0〜T2のセンシング動作で得られるのは、増幅手段出力Vamp1である。T2のタイミングで、制御手段7は、増幅手段出力Vamp1をA/D変換し、閾値Vth3と比較する。本実施形態(図13)では、増幅手段出力Vamp1>閾値Vth3であるため、出力変化ありと判定する。この時人体は存在しないため、増幅手段出力Vamp1が閾値Vth3を上回るのは、定常ノイズを検出回路9が出力として検出したものであるが、この時点で人体による反射であるか、定常ノイズであるかは判別できない。
T3〜T5では、図12で説明したセンシング動作(確認投光a2)と同じ動作を実施する。この時、制御手段7は、T3〜T5のセンシング動作で得られた、増幅手段出力Vamp2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T6〜T7では、図12で説明したセンシング動作と同じ動作を実施する。この時、制御手段7は、T6〜T7のセンシング動作で得られた、増幅手段出力Vamp3をA/D変換し、メモリへ保存する。
T7のタイミングで、制御手段7は、増幅手段出力Vamp2と閾値Vth3とを比較し、かつ、増幅手段出力Vamp3と閾値Vth3とを比較する。本実施形態(図13)では、増幅手段出力Vamp2>閾値Vth3であるため、T5のタイミングで出力変化ありと判定する。また、制御手段7は、増幅手段出力Vamp3>閾値Vth3であるため、T7のタイミングでノイズありと判定する。なお、本実施形態(図13)で設定されている閾値は、図4で説明したとおり、全てが同値である必要は無く、適宜変更してよい。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、投光素子10が非発光にも関わらず、増幅手段出力Vamp3が閾値Vth3を上回っており、人体による反射ではなく、定常ノイズの影響であると判断する。
次に、本実施形態にかかる自動水栓装置において、インパルスノイズが存在する場合の動作を図14のタイミングチャートを用いて説明する。この時、人体は存在しないものとして説明する。
T0〜T3では、図12で説明したセンシング動作(初期投光2)と同じ動作を実施する。T1のタイミングでインパルスノイズが発生する。T0〜T3のセンシング動作で得られるのは、増幅手段出力Vamp1である。T3のタイミングで、制御手段7は、増幅手段出力Vamp1をA/D変換し、増幅手段出力Vamp1と閾値Vth3とを比較する。本実施形態(図14)では、増幅手段出力Vamp1>閾値Vth3であるため、出力変化ありと判定する。この時人体は存在しないため、増幅手段出力Vamp1が閾値Vth3を上回るのは、インパルスノイズを検出回路9が出力として検出したものであるが、この時点で人体による反射であるか、インパルスノイズであるかは判別できない。
T4〜T6では、図12で説明したセンシング動作(確認投光a2)と同じ動作を実施する。この時、制御手段7は、T4〜T6のセンシング動作で得られた、増幅手段出力Vamp2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T7〜T8では、図12で説明したセンシング動作(確認投光b2)と同じ動作を実施する。この時、制御手段7は、T7〜T8のセンシング動作で得られた、増幅手段出力Vamp3をA/D変換し、メモリへ保存する。
T8のタイミングで、制御手段7は、増幅手段出力Vamp2と閾値Vth3とを比較し、増幅手段出力Vamp2<閾値Vth3であるため、出力変化なしと判定する。また、制御手段7は、増幅手段出力Vamp3と閾値Vth3とを比較し、増幅手段出力Vamp3<閾値Vth3であるため、ノイズなしと判定する。なお、本実施形態(図14)で設定されている閾値は、図4で説明したとおり、全てが同値である必要は無く、適宜変更してよい。
制御手段7は、T6のタイミングで出力変化なく、T8のタイミングでノイズがないことから、T4のタイミングでの出力変化検出はインパルスノイズの影響であると判断する。
上記実施形態では、確認投光動作は、投光素子の発光/非発光を含む投光動作を各1回ずつとしているが、これに限定するものではなく、適宜変更してもよい。また、確認投光動作において、投光素子の発光動作を先、非発光動作を後に実施しているが、順序変更してもノイズ判定効果は変わらないため、適宜変更してもよい。また、本実施形態ではフローチャートを省略しているが、処理内容の要領は図7と同じである。図7と異なる部分は、S106、S116、S120において比較する値がVintからVampに変わっているということだけである。なお、増幅出力のみで人体検出をする場合においても、第1の実施形態で説明したのと同じようにすることができる。つまり、図9のように確認投光の回数を増やすことでノイズの検出精度を上げることが可能である。更に、第2の実施形態で説明したのと同じようにもすることができる。つまり、図11のように各確認投光の結果の差異をチェックすることでノイズの検出精度を上げることも可能である。
(4)第4の実施形態:
ここからは、本発明の実施形態の一つである第4の実施形態について説明する。図15は、第4の実施形態にかかる自動水栓装置のタイミングチャートである。例えば、第1の実施形態では、初期投光において、積分手段をリセットした後、投光動作を1回実施し、確認投光において再度積分手段をリセットし、投光動作を1回実施していた。しかし、本発明では、積分手段のリセット後の投光動作は1回に限定されず、複数回でも良い。第4の実施形態では、積分手段のリセット後の投光動作が3回の場合を説明する。
T0のタイミングから所定時間、積分手段42をリセットする。T1〜T3の期間で、投光素子10を発光させ、反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段42で積分し、積分出力Vint1が得られる。制御手段7は、T3のタイミングで積分出力Vint1をA/D変換し、メモリへ保存する。
T4〜T6の期間で、投光素子10を発光させ、反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段42で積分する。この積分動作により、T3のタイミングで得られた積分出力Vint1に加算された積分出力Vint2が得られる。T6のタイミングで積分出力Vint2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T7のタイミングで、アナログスイッチ20がオンし、反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段42で積分する。この時、信号LEDOUTはオフ状態のままであり、投光素子10は発光しない。T8のタイミングで、アナログスイッチ20がオフし、増幅手段出力の積分を終了する。この積分動作により積分出力Vint3が得られる。T9のタイミングで積分出力Vint3をA/D変換し、メモリへ保存する。
また、T9のタイミングで、積分出力Vint1と第1の閾値Vth1を比較する。本実施形態(図15)では、積分出力Vint1>第1の閾値Vth1であるため、出力変化あり(人体検出もしくはノイズあり)と判断する。次に、積分出力Vint1と積分出力Vint2の差分と、積分出力Vint1を比較する。本実施形態(図15)では、|積分出力Vint1−積分出力Vint2|≒積分出力Vint1であり、T1〜T3の期間とT4〜T6の期間の積分出力増加が同等、つまり安定して増加していることがわかる。さらに、積分出力Vint2と積分出力Vint3の差分を確認する。本実施形態(図15)では、|積分出力Vint2−積分出力Vint3|≒0であり、出力変化がないことがわかる。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、人体検出判断を行う。図15の動作の場合は、T1〜T3の期間とT4〜T6の期間で出力変化あり、また、両期間の出力増加量がほぼ同じである。さらに、T7〜T9の期間(投光素子非発光)で出力変化がないことからノイズはないと判断し、制御手段7は人体を検出し、開閉弁5を開弁し、自動水栓装置は吐水する。
次に、本実施形態にかかる自動水栓装置において、インパルスノイズが存在する場合の動作を図16のタイミングチャートを用いて説明する。この時、人体は存在しないものとして説明する。
T0〜T4の期間では、図15のセンシング動作(投光素子発光動作)と同じ動作を実施する。T2のタイミングでインパルスノイズが発生する。T4のタイミングで、制御手段7は、積分出力Vint1を受け、A/D変換し、メモリへ保存する。
T5〜T7の期間では、図15のセンシング動作(投光素子発光動作)と同じ動作を実施し、積分出力Vint2が得られる。制御手段7は、T7のタイミングで積分出力Vint2をA/D変換し、メモリへ保存する。
T8〜T10の期間で、図15のセンシング動作と同じ動作(投光素子非発光動作)を実施し、積分出力Vint3が得られる。制御手段7は、T6のタイミングで積分出力Vint3をA/D変換し、メモリへ保存する。
また、T10のタイミングで、積分出力Vint1と第1の閾値Vth1を比較する。本実施形態(図16)では、積分出力Vint1>第1の閾値Vth1であるため、出力変化あり(人体検出もしくはノイズあり)と判断する。次に、積分出力Vint1と積分出力Vint2の差分と、積分出力Vint1を比較する。本実施形態(図16)では、|積分出力Vint1−積分出力Vint2|≒0であり、T0〜T4の期間とT5〜T7の期間の積分出力が変化していないことがわかる。さらに、積分出力Vint2と積分出力Vint3の差分を確認する。本実施形態(図16)では、|積分出力Vint2−積分出力Vint3|≒0であり、出力変化がないことがわかる。
以上の一連の動作結果より、制御手段7は、人体検出判断を行う。図16の動作の場合は、T0〜T4の期間とで出力変化あり、T5〜T7の期間では出力増加はない。さらに、T8〜T10の期間(投光素子非発光)で出力変化がない。これらの結果より、T0〜T4の期間での出力変化はインパルスノイズによるものであると判断する。
以上のように、本実施形態(図16)では、積分手段のリセット後の投光動作が発光2回と非発光1回で、計3回となる場合を説明した。この投光動作は、図9のように回数を増やすことで、ノイズの検出精度を上げることができる。また、本実施形態(図16)ではインパルスノイズが存在する場合を説明したが、定常ノイズに対しても、同様の効果を得られる。例えば、定常ノイズが存在する環境下では、非発光のセンサ動作タイミングで積分出力が変化するため、定常ノイズであることを判別できる。また、図11のように各確認投光の結果の差異をチェックすることでノイズの検出精度を上げることも可能である。さらに、本実施形態(図16)では、フローチャートを省略しているが、処理内容の要領は図7と同じである。図7と異なる部分は、積分出力比較を、3回の投光動作終了後に行い、その間積分手段リセットを実施しないことと、S116、S120において比較する値が変わっていることである。
(5)第5の実施形態:
ここからは、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態による自動水栓装置の基本構成や制御内容については、第1の実施形態で説明した内容と同様のため、同じ構成には同符号を付し、その説明は省略する。
第1の実施形態と異なる点を以下に説明する。第1の実施形態では、積分出力の結果を利用して人体判定とノイズ判定を行っていたが、本実施形態では、積分出力の経時変化を利用して人体判定とノイズ判定を行う。
図17は、積分出力の経時変化を示すタイムチャートである。ノイズが無い場合の積分出力の経時変化は(イ)のようになり、積分出力はリニア性を持った直線波形となる。この場合、積分出力の経時変化は「正常」といえる。一方、ノイズが有る場合の積分出力の経時変化は(ロ)のようになり、積分出力はリニア性を持たず、乱れた波形となる。この場合、積分出力の経時変化は「異常」といえる。ノイズが有ると、LEDOUTのタイミングに非同期で受光手段40が受光するためである。つまり、積分出力の経時変化が正常であるか否かをチェックすることにより、ノイズの存在有無を判定することが可能である。
ここで、経時変化をチェックする具体的な方法を例示する。例えば、図17でのT50からT55の各タイミングで積分出力の値を取り込んでおく。そして、投光動作が終了した時点で、各タイミングの積分出力結果の経時変化をチェックする。
図17の(ロ)の波形では、極大値が2つ存在している(T52とT54)。正常な経時変化であれば、極大値が複数存在することはないので、極大値が複数存在していれば経時変化は「異常」であると判定できる。
あるいは、(ロ)の波形では、パルス発光の途中で最大値が発生している(T52)。これも通常の積分出力では発生しない事象なので「異常」となる。
あるいは、(ロ)の波形では、パルス発光の途中で積分出力が減少している(T52からT53、T54からT55)。これも通常の積分出力では発生しない事象なので「異常」となる。
他にも(イ)と(ロ)の波形を比較することで相違点を見つけることは可能であり、経時変化のチェック方法自体の工夫は本発明の特徴とするところではない。もちろん、他の公知となっている経時変化のチェック方法を用いても本発明の技術範囲には含まれている。
続いて、本実施形態において、人体判定とノイズ判定を行うための具体的な処理フローを説明する。図18は、本実施形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。
基本的な処理の手順は第1の実施形態と同様であり、異なる点のみを以下に説明する。S106、S110、S111、S112、S116、S120が削除となっている。S200、S201、S202が追加となっている。初期投光が終わった後(S105の後)に、積分出力Vint1の経時変化が正常だったか否かをチェックする(S200)。経時変化が正常であれば(S200のYES)、S201へと移行する。
S201では、積分出力Vint1と閾値Vth1とを比較する。積分出力Vint1が閾値Vth1以下である場合(S201;Vint1≦Vth1)、制御手段7は、ユーザーの操作はなく(人体なしと判定し)、ノイズも存在しないと判定し(S107)、S128へと移行する。一方、S201で積分出力Vint1が閾値Vth1より大きい場合(S201;Vint1>Vth1)、S117へと移行する(人体ありと判定)。
また、S200にて経時変化が異常であれば(S200のNO)、S113へと移行する。S113からS115までの処理内容(確認投光b)は第1の実施形態と同じ非発光のセンサ動作である。
S115の次は、S202へと移行する。S202では、積分出力Vint3の経時変化が正常だったか否かをチェックする。経時変化が正常であれば(S202のYES)、インパルスノイズと判定して、S130へと移行する。一方、経時変化が異常であれば(S202のNO)、定常ノイズと判定してS121へと移行する。
説明をしていない処理内容は、第1の実施形態と同じである。
ここで、人体検知とノイズ判定の判断内容を整理する。初期投光にて、積分出力の経時変化が正常であれば、ノイズが存在していないことが確定する。この場合は、積分出力Vint1と閾値Vth1の関係で人体検知の有無を判定することが可能である。
一方、初期投光にて、積分出力の経時変化が異常であれば、ノイズが存在していることが確定する。但し、この時点ではノイズの判別まではできないため、引き続いて非発光の確認投光bを実行する。そして、確認投光bでの積分出力の経時変化が正常であれば、このタイミングではノイズが発生していないということなので、今回はインパルスノイズと判定できる。逆に、経時変化が異常であれば、このタイミングでもノイズが発生していたということなので、今回は定常ノイズと判定できる。
このように、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、初期投光の段階でノイズを検出することができる分、確認投光の処理が簡潔になる。これにより、通常の投光動作とノイズの判別動作を当時に実行することが可能となるため、無駄な電力を消費せずに確実に人体とノイズとを区別することが可能となる。
なお、本実施形態では、経時変化のチェックを積分出力にて行っているが、第3の実施形態で説明したように、人体検知判定として増幅出力を使う場合は、増幅出力の経時変化をチェックしてもよい。つまり、ノイズの判別用に特別な回路を必要とせず、人体検出のために使用する回路を兼用してノイズ判別が可能である。
(6)第6の実施形態:
ここからは、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態による自動水栓装置の基本構成や制御内容については、第5の実施形態で説明した内容と同様のため、同じ構成には同符号を付し、その説明は省略する。
第5の実施形態と異なる点を以下に説明する。第5の実施形態では、初期投光の積分出力の経時変化をチェックしていたが、本実施形態では、初期投光の積分出力の経時変化をチェックしない。図19は、本実施形態にかかる自動水栓装置の動作を示すフローチャートである。
基本的な処理の手順は第4の実施形態と同様であり、異なる点のみを以下に説明する。S200、S201が削除となっている。S106、S110、S111、S112、S300、S301が追加となっている。初期投光が終わった後(S105の後)に、S106へと移行する。
S106の処理内容は第1の実施形態で説明した処理内容と同じである。つまり、積分出力Vint1が閾値Vth1以下である場合(S106のNO)、制御手段7は、ユーザーの操作はなく(人体なしと判定し)、ノイズも存在しないと判定し(S107)、S128へと移行する。
一方、S106で積分出力Vint1が閾値1より大きい場合(S106のYES)、S110からS115へと移行する。S115までの処理は、第1の実施形態で説明した確認投光aと確認投光bと同じため、その説明は省略する。
S115の次は、S300へと移行する。S300では、積分出力Vint2の経時変化が正常だったか否かをチェックする。経時変化が正常であれば(S300のYES)、S301へと移行する。
S301では、積分出力Vint2と閾値Vth1とを比較する。積分出力Vint2が閾値Vth1以下である場合(S301のNO)、制御手段7は、ユーザーの操作はなく(人体なしと判定し)、ノイズも存在しないと判定し(S107)、S128へと移行する。一方、S301で積分出力Vint2が閾値Vth1より大きい場合(S301;YES)、S117へと移行する(人体ありと判定)。
また、S300にて経時変化が異常であれば(S300のNO)、S202へと移行する。S202以降は第4の実施形態と同じ処理内容であるため、その説明は省略する。また、その他に説明をしていない処理内容は、第1の実施形態と同じである。
ここで、人体検知とノイズ判定の判断内容を整理する。
初期投光では、第1の実施形態と同様であって積分出力に変化があるか否かだけをチェックしており、この段階では人体検知とノイズ判定のどちらも確定していない。そして、積分出力に変化があったときは、発光の確認投光aと非発光の確認投光bを実行して、それらの経時変化の内容から人体検知とノイズ判定を確定している。
発光の確認投光aにおける経時変化が正常であれば、ノイズが存在していないことは確定するので、発光の確認投光aの積分出力Vint2の結果で人体の検知を判断してよい。一方、確認投光aにおける経時変化が異常であれば、ノイズが存在していることは確定するので、非発光の確認投光bの経時変化の内容からノイズの種類を判別する。判別方法は第5の実施形態と同じ要領であり、非発光時の経時変化が正常であれば今回はインパルスノイズと判定でき、経時変化が異常であれば定常ノイズと判定できる。
このように、確認投光動作のときのみ、積分出力の経時変化をチェックすることで、初期投光の処理をより簡略化することができる。つまり、初期投光時においては、積分出力の経時値を取り込む処理が不要となり、取り込み処理に必要な回路やプログラムを動作させる必要が無くなる。こうすることで、ノイズが存在しない状況では経時変化をチェックする処理が無くなるので、自動水栓装置全体の更なる低消費電力化を図ることができる。
なお、本実施形態では、経時変化のチェックを積分出力にて行っているが、第3の実施形態で説明したように、人体検知判定として増幅出力を使う場合は、増幅出力の経時変化をチェックしてもよい。つまり、ノイズの判別用に特別な回路を必要とせず、人体検出のために使用する回路を兼用してノイズ判別が可能である。
(7)まとめ:
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、自動水栓装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合せることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り、本発明の範囲に包含される。