(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るセンサシステム10、及び照明制御システム100の概要について、図1、図2を参照して説明する。
本実施形態のセンサシステム10は、検知範囲における動体の存在の有無を検知する動体検知システムである。図2に示すように、センサシステム10は、検知対象物である動体として人9を想定しており、例えば住宅、オフィス、店舗、学校、病院等に設定された検知空間90における人9の存在の有無を検知する人検知システムに用いられる。本実施形態のセンサシステム10は、特に、赤外線の受光強度の変化を検知することにより、赤外線を放射する検知対象物(人9)の存在の有無を検知する。
本実施形態のセンサシステム10は、検知空間90からの赤外線の強度変化に基づいて、人9の存在の有無を検知する。すなわち、センサシステム10は、検知空間90外から検知空間90内への人9の移動(進入)、又は検知空間90内での人9の微動によって生じる、赤外線の受光強度の変化から、人9の存在の有無を検知する。ここでいう「微動」とは、例えば人9の呼吸による身体の揺らぎ、及び身じろぎ等、人9の比較的小さな動きを意味する。
センサシステム10は、検知空間90の状態が、存在状態と不在状態とのいずれであるかを検知する。ここでいう「存在状態」とは、検知空間90に人9が存在する状態である。「不在状態」とは、検知空間90に人9が存在しない状態である。センサシステム10は、検知空間90の状態の検知結果(検知空間90が、「存在状態」であるか「不在状態」であるか)を示す判定信号を、出力する。
本実施形態では一例として、センサシステム10の検知結果(判定信号)は、照明システム80に出力される。照明システム80は、検知空間90を照明する負荷機器としての照明器具81と、照明器具81を制御する制御装置82と、を備えている。センサシステム10の検知結果は、制御装置82に入力される。制御装置82は、センサシステム10の検知結果が「存在状態」であれば、照明器具81を点灯させる。一方、センサシステム10の検知結果が「不在状態」であれば、制御装置82は、照明器具81を消灯させる。制御装置82は、例えば、照明器具81への給電路に挿入され照明器具81の通電をオン/オフするスイッチを備える。このように、センサシステム10と照明システム80とで、センサシステム10の検知結果に応じて照明器具81の動作状態(点灯/消灯)を制御する照明制御システム100が、構成される。
本実施形態の照明制御システム100は、検知空間90内での人9の存在の有無(センサシステム10の検知結果)に応じて、照明器具81を自動制御する。これにより、照明制御システム100は、検知空間90に人9が進入すれば自動的に照明器具81を点灯させることができる。また、照明制御システム100は、検知空間90から人9が退出すれば自動的に照明器具81を消灯させることで、照明器具81の消し忘れによる無駄な電力消費を抑えることができる。
ところで、赤外線は、検知対象物(人9)以外の物体からも放射される可能性がある。例えば、照明器具81等から放射される赤外線が、検知空間90内に存在する金属板等により反射される、又は、照明器具81等から放射される可視光が検知対象物以外の物体に吸収されて、この物体から、赤外線が放射される可能性がある。このため、センサシステム10は、検知空間90内に存在する物体であって検知対象物(人9)以外の物体から放射される赤外線の強度変化を、検知する可能性がある。特に、照明器具81が消灯されると、照明器具81が消灯されたことに起因して、検知空間90内の物体から放射される赤外線の強度が変動する可能性がある。すなわち、センサシステム10の検知結果が「不在状態」になったことに応じて照明器具81が消灯されたときに、センサシステム10が、検知空間90内の物体からの赤外線の強度の変動を検知してしまう可能性がある。このような、検知対象物以外の物体からの赤外線の強度変動が、検知空間90内の人9の動きによる赤外線の強度変動と判定されると、実際には検知空間90が「不在状態」であるにもかかわらず、「存在状態」であると誤判定されてしまう可能性がある。誤判定した場合、センサシステム10は、検知空間90が「不在状態」であるにもかかわらず、照明器具81を再度点灯させてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態のセンサシステム10は、負荷機器の動作状態を変更する第1負荷制御処理、具体的には照明器具81を消灯させる消灯処理、を行ってから所定の変動検知時間TD(図3参照)内での、赤外線の受光強度の変動の発生の有無を検知している(変動検知処理)。変動検知時間TD内に赤外線の受光強度の変動が有った場合、センサシステム10は、その後の期間において、赤外線の受光強度が変動した回数を計数する(計数処理)。そして、センサシステム10は、計数された変動回数が所定の判定回数に達したときに「存在状態」であると判定し、負荷機器の動作状態を変更する第2負荷制御処理、具体的には照明器具81を点灯させる点灯処理を行っている。
すなわち、本実施形態のセンサシステム10は、変動検知時間TDの間に検知空間90からの赤外線の受光強度に変動があった場合、この変動は、制御対象である負荷機器(照明器具81)の動作状態の変更に起因するものであると推定する。そして、センサシステム10は、変動検知時間TDの間に変動を検知した場合には、負荷機器の動作状態の再変更をすぐには行わず、その後の期間において赤外線の受光強度の変動を所定の判定回数だけ検知したときに、負荷機器の動作状態を再度変更(照明器具81を再点灯)している。これにより、センサシステム10の誤判定に起因する負荷機器の不必要な再稼働(照明器具81の不必要な再点灯)を、抑制することが可能となる。
本実施形態のセンサシステム10では、さらに、変動検知時間TDの間に変動を検知しなかった場合には、変動検知時間TDの経過後において次に赤外線の受光強度の変動を検知したときに、負荷機器の動作状態を再度変更(照明器具81を再点灯)している。すなわち、センサシステム10は、変動検知時間TDの間に赤外線の受光強度の変動を検知しなかった場合には、照明器具81の消灯に起因して検知空間90内の物体からの赤外線の強度に変動がなかった、と判定する。そして、センサシステム10は、次の赤外線の受光強度の変動は、新たに人9が検知空間90に進入したことによるものと推定し、照明器具81を再点灯する。これにより、一律に(変動検知時間TDの間に変動を検知したか否かにかかわらず)計数処理を行う構成と比較して、照明器具81を再度点灯させるまでのタイムラグを、短くすることができる。
(2)センサシステムの構成
以下、本実施形態のセンサシステム10の構成について説明する。
本実施形態のセンサシステム10は、図1に示すように、センサ部である受光部1と、制御部2と、を備えている。
本実施形態の受光部1は、受光素子(赤外線受光素子)11と、処理回路12と、を有している。
受光素子11は、焦電素子であって、検知空間90からの赤外線の受光強度の変化に応じた信号(電気信号)を出力する。
処理回路12は、受光素子11から出力される電気信号の信号処理を行う回路である。本実施形態では、一例として、処理回路12は、受光素子11から出力される電流信号を電圧信号に変換するIV変換機能、電圧信号を増幅する増幅機能、及び増幅後のアナログ信号(電圧信号)をデジタル信号に変換するA/D変換機能を有している。したがって、受光部1は、受光素子11から出力される電気信号に対応するデジタル信号を、出力信号S1として出力する。
受光部1は、光学系15(図2参照)と組み合わせて用いられる。光学系15は、レンズ若しくはミラー、又はこれらの組み合わせからなり、検知空間90からの赤外線を受光素子11に集光する。本実施形態では、受光部1は、制御部2と共に1つの筐体16(図2参照)に収納される。受光部1を含むセンサシステム10は、図2に示すように、例えば住宅の居室の天井に設置され、居室内に設定された検知空間90から赤外線を受光する。
制御部2は、図1に示すように、フィルタ3と、判定部4と、出力部5と、を有している。本実施形態では、制御部2は、マイクロコンピュータなどのコンピュータを主構成とする。制御部2は、マイクロコンピュータのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコンピュータのプロセッサで実行することにより、上述した各部の機能を実現する。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネットなどの電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。
フィルタ3は、受光部1の出力に接続されており、受光部1(処理回路12)からの出力信号S1が入力される。フィルタ3は、受光部1の出力信号S1に対して、特定の周波数成分を減衰又は増幅させるフィルタリングの処理を行う。つまり、フィルタ3では、受光部1の出力信号S1から、特定の周波数帯域の信号成分(交流成分)が抽出されることになる。
判定部4は、受光部1(処理回路12)からの出力信号S1(フィルタ3でフィルタリングされた出力信号S1)に基づいて、検知空間90が、人9が存在する「存在状態」と人9が存在しない「不在状態」とのいずれであるか、を判定する。
ここで、判定部4の動作モードは、進入検知モードと、滞在検知モードと、を含んでいる。
進入検知モードは、検知空間90への人9の進入の有無を検知するための動作モードである。判定部4が進入検知モードで動作するのは、判定部4が「不在状態」と判定している期間である。すなわち、進入検知モードは、検知空間90に人9が存在しないと判定部4が判定している状態において、検知空間90に人9が進入してきたか否かを判定するための動作モードである。判定部4は、進入検知モードで動作中に「存在状態」と判定すると、検知空間90に人9が進入したと判定し、動作モードを滞在検知モードに切り替える。
滞在検知モードは、検知空間90からの人9の退出の有無を検知するための動作モードである。判定部4が滞在検知モードで動作するのは、判定部4が「存在状態」と判定している期間である。すなわち、滞在検知モードは、検知空間90に人9が存在すると判定部4が判定している状態において、人9が検知空間90から退出したか否かを判定するための動作モードである。判定部4は、滞在検知モードで動作中に「不在状態」と判定すると、検知空間90から人9が退出したと判定し、動作モードを進入検知モードに切り替える。
進入検知モード及び滞在検知モードの各々において、判定部4が「存在状態」と「不在状態」とを判定する方法については、下記「(3)判定部の動作モード」にて説明する。
ここで、進入検知モードでの判定用の出力信号S1と、滞在検知モードでの判定用の出力信号S1とでは、フィルタ3を通過する周波数帯域(通過帯域)が異なっていることが好ましい。滞在検知モードでは、フィルタ3の通過帯域は、例えば0.1Hz〜0.3Hzである。この周波数帯域は、人9の呼吸に対応した周波数帯域である。一方、進入検知モードでは、フィルタ3の通過帯域は、例えば1Hz付近を中心周波数とする周波数帯域である。フィルタ3は、判定部4の動作モードに応じて個別のフィルタを有していてもよいし、判定部4の動作モードに応じて通過帯域を切り替える構成であってもよい。
出力部5は、判定部4の判定結果を、センサシステム10の検知結果として、照明システム80(制御装置82)に出力する。出力部5は、センサシステム10の検知結果を示す判定信号を、照明システム80に出力する。出力部5は、判定部4による判定結果が「存在状態」から「不在状態」に変化したときに、「第1負荷制御指令(オフ制御指令)」を含む判定信号を出力する(第1負荷制御処理)。出力部5は、例えば、判定部4による判定結果が「不在状態」の場合、「不在状態」を示す判定信号を出力する。出力部5は、判定部4による判定結果が「不在状態」から「存在状態」に変化したときに、「第2負荷制御指令(オン制御指令)」を含む判定信号を出力する(第2負荷制御処理)。出力部5は、例えば、判定部4による判定結果が「存在状態」の場合、「存在状態」を示す判定信号を出力する。出力部5は、判定部4の判定結果を表す判定信号を、照明システム80の制御装置82に対してシリアル出力する。具体的には、出力部5は、スタートビット、判定結果及びストップビットを含む判定信号を出力する。
ここで、出力部5は、マスク機能を有していることが好ましい。マスク機能は、判定信号が示す検知結果を変化させた後、所定のマスク時間TMだけ、判定信号が示す検知結果を再変更しない機能である。出力部5は、例えば、マスク時間TMを計時するためのマスク時間タイマーを備えている。マスク時間TMは、例えば1秒程度に設定される。
本実施形態の出力部5は、特に、判定信号の示す検知結果を「存在状態」から「不在状態」に変化させた後、マスク時間TMだけ、判定信号の示す検知結果を「存在状態」に再変更しないよう構成されている。すなわち、出力部5は、マスク時間TMの計時中において、判定部4による判定結果が「不在状態」から「存在状態」に変化しても、マスク時間TMの間は、「第2負荷制御指令」を含む判定信号を出力せず、検知結果として「不在状態」を示す判定信号を出力する。また、出力部5は、例えば、マスク時間TMが経過すると、マスク時間TMが経過した時点における判定部4の判定結果(マスク時間TM内に「存在状態」に変化していれば「存在状態」、「不在状態」のままであれば「不在状態」)を示す判定信号を出力する。
照明システム80の制御装置82は、「不在状態」の検知結果を示す判定信号を受け取ると、検知空間90の状態が「不在状態」であると判定し、照明器具81を消灯させる。一方、照明システム80の制御装置82は、「存在状態」の検知結果を示す判定信号を受け取ると、検知空間90の状態が「存在状態」であると判定し、照明器具81を点灯させる。
(3)判定部の動作モード
次に、滞在検知モード及び進入検知モードにおいて、判定部4が、検知空間90の状態が存在状態であるか不在状態であるかを判定する方法について、図3、図4のタイムチャートを参照しながら説明する。
上記のように、判定部4が滞在検知モードで動作するのは、判定部4が「存在状態」と判定している期間である。滞在検知モードで動作中において、判定部4は、人9が検知空間90に人9が滞在し続けている(存在状態)か、検知空間90から人9が退出した(不在状態)か、を判定する。
滞在検知モードにおいて、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が閾値を超えない状態が所定期間(判定時間TA)継続するか否かに基づいて、検知空間90が存在状態と不在状態とのいずれであるかを判定する。具体的には、判定部4は、出力信号S1の振幅A1を、滞在判定閾値Vth0と随時比較する。滞在判定閾値Vth0は、検知空間90内での人9の微動によって生じる、赤外線の受光強度の変化を、検知できる程度の大きさに設定される。判定部4は、所定の判定時間TAを計時するための判定時間タイマーの計時中に、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えると、検知空間90内に人9が滞在している(存在状態)と判定する。また、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えると、判定時間タイマーの計時時間をリセットして、出力信号S1の振幅A1と滞在判定閾値Vth0との比較を継続する。一方、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が最後に滞在判定閾値Vth0を超えた時点(図3の時点t0、図4の時点t10)から、滞在判定閾値Vth0を超えない状態が判定時間TA以上継続すると、検知空間90から人9が退出した(不在状態)と判定する(図3の時点t1、図4の時点t11)。判定部4は、滞在検知モードで動作中に、検知空間90が不在状態になったと判定すると、動作モードを進入検知モードに切り替える。
なお、本実施形態では、出力信号S1の振幅A1は、出力信号S1における基準電圧からの変化量(基準電圧との差分の絶対値)を意味する。また、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えるとは、出力信号S1の振幅A1が、滞在判定閾値Vth0より小さな値から滞在判定閾値Vth0より大きな値に変化することを意味する。
一方、上記のように、判定部4が進入検知モードで動作するのは、判定部4が「不在状態」と判定している期間である。進入検知モードで動作中において、判定部4は、検知空間90に人9がいないまま(不在状態)であるか、検知空間90に人9が進入した(存在状態)か、を判定する。
進入検知モードにおいて、判定部4は、以下の変動検知動作M0、及びその後に択一的に行われる第1検知動作M1と第2検知動作M2とに基づいて、検知空間90が存在状態と不在状態とのいずれであるかを判定する。
変動検知動作M0は、判定部4が進入検知モードでの動作を開始してから所定の変動検知時間TD内での、出力信号S1の振幅A1の変動の発生の有無を検知する動作である。本実施形態において、判定部4が出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知するとは、判定部4が、出力信号S1の振幅A1が第1の閾値Vth1(第1値)を超えたことを検知することを意味する。変動検知時間TDは、例えば、判定部4が備える変動検知時間タイマーによって計時される。変動検知時間TDは、例えば1秒程度に設定される。変動検知時間TDは、例えば、上記のマスク時間TMと同じ長さに設定される。
変動検知動作M0において判定部4は、出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知した時点(図3の時点t2)で、出力信号S1の振幅A1の変動が発生したと判定する。一方、変動検知動作M0において判定部4は、出力信号S1の振幅A1の変動を検知することなく変動検知時間TDが経過した時点(図4の時点t12)で、出力信号S1の振幅A1の変動が発生しなかったと判定する。
なお、変動検知動作M0を行っている間、判定部4による検知空間90の検知結果は「不在状態」のままである。
そして、判定部4は、変動検知動作M0での判定結果に基づいて、第1検知動作M1と第2検知動作M2とのいずれかを行う。判定部4は、変動検知動作M0において出力信号S1の振幅A1の変動が発生したと判定した場合(図3の例の場合)には、第1検知動作M1を行う。判定部4は、変動検知動作M0において出力信号S1の振幅A1の変動が発生しなかったと判定した場合(図4の例の場合)には、第2検知動作M2を行う。
図3に示す例では、時点t1で変動検知動作M0を開始し、時点t2で第1検知動作M1を開始している。また、図4に示す例では、時点t11で変動検知動作M0を開始し、時点t12で第2検知動作M2を開始している。
第1検知動作M1において、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2(第2値)を超えた回数が、所定の判定回数に達したか否か、を判定する。具体的には、判定部4は、出力信号S1の振幅A1と第2の閾値Vth2とを随時比較する。また、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2を超える度に、累積回数を1だけ増加させる。そして判定部4は、累積回数が、所定の判定回数に達したか否かを判定する。
ここでは、第2の閾値Vth2は、検知空間90に人9が進入したことを検知できる程度の大きさに設定される。また、第2の閾値Vth2(第2値)は、第1値(第1の閾値Vth1)よりも大きい値に設定されている。また、判定回数は、センサシステム10が設置される環境に応じて適宜設定される。判定回数は、例えば1回以上の整数回であり、好ましくは2回以上の整数回であり、ここでは6回に設定されている。
第1検知動作M1において、判定部4は、累積回数が判定回数に達していない場合、検知空間90内に人9が進入していない(不在状態)と判定する。一方、判定部4は、累積回数が判定回数に達した時点(図3の時点t3)で、検知空間90内に人9が進入した(存在状態)と判定する。
第2検知動作M2において、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えたか否かを判定する。ここでは、第3の閾値Vth3(第3値)は、第2の閾値Vth2と等しい値に設定されている。そして、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えていない場合には、検知空間90内に人9が進入していない(不在状態)と判定する。一方、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えると(図4の時点t13)、検知空間90内に人9が進入した(存在状態)と判定する。
すなわち、判定部4は、進入検知モードでの動作の開始後、以下の第1検知条件及び第2検知条件のうちの何れかが満たされるまでは、検知空間90内に人9が進入していない(不在状態)と判定する。また、判定部4は、進入検知モードでの動作中に、第1検知条件と第2検知条件とのうちの何れかが満たされたときに、検知空間90内に人9が進入した(存在状態)と判定する。
第1検知条件は、判定部4が進入検知モードでの動作を開始してから変動検知時間TD内に、判定部4が出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知し、かつ、その後に出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2を超えた回数が所定の判定回数に達すること、である。第2検知条件は、判定部4が進入検知モードでの動作を開始してから変動検知時間TD内に、判定部4が出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知せず、かつ、その後に出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えること、である。
ここでは、判定部4が進入検知モードでの動作を開始するとは、センサシステム10に電源が投入されてセンサシステム10が起動し、判定部4が進入検知モードで動作を開始することと、判定部4の動作モードが滞在検知モードから進入検知モードに切り替わって、判定部4が進入検知モードで動作を開始することと、を含む概念である。
ここで、判定部4が進入検知モードでの動作を開始するとき(図3の時点t1、図4の時点t11)には、上述のように、出力部5から照明システム80に対して、照明器具81を消灯させるための第1負荷制御指令を含む判定信号が出力される。
すなわち、判定部4が進入検知モードでの動作を開始する時点は、照明器具81が消灯される時点である。照明器具81が消灯されると、上述のように、検知空間90内の物体からの赤外線の強度が変動する可能性があり、受光部1(受光素子11)が、この変動を検知して、この変動に応じた出力信号S1を出力する可能性がある。このような、照明器具81の消灯に起因する検知空間90内での赤外線の強度変動では、複数回の強度変動が、数秒程度(例えば4秒程度)にわたって発生する場合がある。さらに、照明器具81の消灯に起因する検知空間90内での赤外線の強度変動では、変動検知時間TD内に比較的小さな強度変動が起こり、変動検知時間TDの経過後に比較的大きな強度変動が起こる場合もある。
このため、判定部4は、変動検知時間TD内に、照明器具81の消灯に起因する赤外線の強度変動を検知した場合には、それ以降に出力信号S1の振幅A1が第1の閾値Vth1を超えた回数を、計数する。そして判定部4は、計数した回数が判定回数(ここでは6回)に達したときに、検知空間90が存在状態になった、と判定している(第1の判定条件)。
一方、照明器具81と検知空間90内の物体との位置関係等によっては、照明器具81が消灯しても、検知空間90内で、受光部1で受光可能な程度の赤外線の強度変動が起こらない場合もある。この場合、判定部4は、変動検知時間TD内には赤外線の受光強度の変動を検知しない。そして、判定部4は、変動検知時間TDの経過後、次に出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えると、検知領域が存在状態になった、と判定している(第2の判定条件)。
さらに、本実施形態では、変動検知時間TDにおける閾値(第1の閾値Vth1)を、変動検知時間TDの経過後の閾値(第2の閾値Vth2、第3の閾値Vth3)よりも小さくしてある。これにより、変動検知時間TD内に比較的小さな赤外線強度の変動が起こり、その後に比較的大きな変動が起こるような場合であっても、変動検知時間TD内での変動の検知漏れが起こり難くなる。
本実施形態では、判定部4は、変動検知時間TD内に変動を検知して第1検知動作M1を開始した後、変動検知時間TD内に出力信号S1の振幅A1が第1の閾値Vth1を超えたときにも、累積回数を増加させる。すなわち、判定部4は、第1検知動作M1の開始後であって変動検知時間TDが経過する前に検知された赤外線強度の変動の回数も、第1検知動作M1における累積回数に含めている。
(4)センサシステムの動作
次に、本実施形態に係るセンサシステム10の動作について、図5、図6のフローチャートを参照して説明する。
センサシステム10に電源が投入されると、センサシステム10が起動する。センサシステム10の起動直後においては、判定部4の判定結果は、例えば不在状態である(S11)。また、センサシステム10の起動時、判定部4は、まず進入検知モードで動作する(S12)。また、出力部5は、マスク時間TMの計時を開始する。
進入検知モードでの動作を開始すると、判定部4は、変動検知動作M0を実行する。すなわち、判定部4は、変動検知時間TDの間、出力信号S1の振幅A1の変動(検知空間90からの赤外線の強度変化)の発生の有無を検知する(S13)。ここでは、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第1の閾値Vth1を超えたか否かに基づいて、出力信号S1の振幅A1の変動の発生の有無を検知する。
変動検知時間TD内に、出力信号S1の振幅A1の変動を検知した場合(S13:Yes)、判定部4は、第1検知動作M1を行う(S14)。第1検知動作M1において、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2を超えたか否かを随時判定し(S15)、出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2を超えたとき(S15:Yes)に累積回数を1だけ増加させる(S16)。判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2を超えていない場合(S15:No)、ステップS15に戻って出力信号S1の振幅A1と第2の閾値Vth2との比較を続ける。
判定部4は、累積回数を1だけ増加させると、累積回数が所定の判定回数に達したか否かを判定する(S17)。累積回数が判定回数に達していない場合(S17:No)、判定部4は、ステップS15に戻って出力信号S1の振幅A1と第2の閾値Vth2との比較を続ける。累積回数が判定回数に達すると(S17:Yes)、判定部4は、検知空間90が存在状態になった(第1検知条件が満たされた)と判定し(S18)、出力部5にその旨を通知する。通知を受けた出力部5は、マスク時間TMが経過しているか否かを判定する(S19)。マスク時間TMが経過していない場合(S19:No)、出力部5は、ステップS19に戻る。マスク時間TMが経過する(S19:Yes)と、判定部4は、出力部5から第2負荷制御指令を含む判定信号を送信させる第2負荷制御処理を行い(S20)、滞在検知モードに移行する(S31)。
一方、変動検知時間TD内に、出力信号S1の振幅A1の変動を検知しなかった場合(S13:No)、判定部4は、第2検知動作M2を行う(S21)。第2検知動作M2において、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えたか否かを随時判定する(S22)。判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えると(S22:Yes)、検知空間90が存在状態になった(第2検知条件が満たされた)と判定する(S18)。そして、マスク時間TMの経過後(マスク時間TMが変動検知時間TDと等しい値に設定されている場合には、必ず経過している)、判定部4は、出力部5から第2負荷制御指令を含む判定信号を送信させる第2負荷制御処理を行い(S20)、滞在検知モードに移行する(S31)。なお、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えていない場合(S22:No)、ステップS22に戻って出力信号S1の振幅A1と第3の閾値Vth3との比較を続ける。
判定部4は、滞在検知モードでの動作を開始すると(S31)、判定時間TAを計時するための判定時間タイマーの動作を開始する(S32)。そして、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えたか否かを随時判定する(S33)。出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えると(S33:Yes)、判定部4は、検知空間90内に人9が存在すると判断して判定時間タイマーをリセットし(S34)、ステップS32に戻る。
一方、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えない(S33:No)まま、判定時間タイマーによって判定時間TAの計時が完了すると(S35:Yes)、判定部4は、検知空間90が不在状態になったと判定する(S36)。そして、判定部4は、出力部5から第1負荷制御指令を含む判定信号を送信させる第1負荷制御処理を行い(S37)、進入検知モードに移行する(S12)。なお、判定時間タイマーによって判定時間TAの計時が完了していない場合(S35:No)、判定部4は、ステップS33に戻って出力信号S1の振幅A1と滞在判定閾値Vth0との比較を続ける。
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るセンサシステム10A及び照明制御システム100Aについて、図7を参照して説明する。
本実施形態のセンサシステム10Aは、複数(例えば5個)の受光部1を備えている点で、実施形態1のセンサシステム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
複数の受光部1の各々は、実施形態の1の受光部1と同様に、受光素子11と処理回路12とを備えている。複数の受光部1は、制御部2Aとともに1つの筐体に収納される。
制御部2Aは、複数の受光部1にそれぞれ対応して、複数のフィルタ3及び複数の判定部4を備えている。また、制御部2Aは、複数の判定部4の判定結果の組み合わせに基づいて検知空間90の状態を判定する総合判定部6を、備えている。本実施形態では、総合判定部6の判定結果が、センサシステム10の検知結果として出力部5から出力される。
複数の受光部1の各々は、検知空間90の中に設定された複数の検知領域の各々からの、赤外線の受光強度の変化に応じた信号(電気信号)を出力する。複数の検知領域は、互いに一部又は全部が重複していてもよいし、重複していなくてもよい。そして、複数の判定部4の各々は、対応する受光部1からの出力信号S1に基づいて、検知領域が、人9が存在する「存在状態」と人9が存在しない「不在状態」とのいずれであるか判定する。
総合判定部6は、各判定部4からの判定結果に基づいて、検知空間90が「存在状態」であるか「不在状態」であるかの判定を行う。総合判定部6は、複数の判定部4の判定結果がいずれも(全て)「不在状態」である場合、検知空間90が「不在状態」であると判定する。一方、総合判定部6は、複数の判定部4のうちの少なくとも一つの判定結果が「存在状態」である場合、検知空間90が「存在状態」であると判定する。
次に、センサシステム10Aの動作について、簡単に説明する。
センサシステム10Aに電源が投入されると、センサシステム10Aが起動する。センサシステム10Aの起動直後においては、各判定部4の判定結果は不在状態であり、各判定部4は、進入検知モードで動作を開始する。また、総合判定部6の判定結果は不在状態である。
複数の判定部4は、進入検知モードでの動作を開始すると、それぞれ独立に、変動検知動作M0、及び第1検知動作M1又は第2検知動作M2を実行する。すなわち、複数の判定部4のうち、変動検知動作M0において出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知した判定部4は、第1検知動作M1を行う。また、複数の判定部4のうち、変動検知動作M0において出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知しなかった判定部4は、第2検知動作M2を行う。
そして、何れかの判定部4が、検知領域が存在状態になった(第1検知条件又は第2検知条件が満たされた)と判定すると、この判定部4は、その旨を総合判定部6に通知する。総合判定部6は、何れかの判定部4から「存在状態」という判定結果を受け取ると、検知空間90が存在状態になったと判定し、出力部5から、(マスク時間TMの経過後に)第2負荷制御指令を含む判定信号を送信させる。そして、総合判定部6は、複数の判定部4の各々に、動作モードを滞在検知モードに切り替えるよう通知する。複数の判定部4の各々は、総合判定部6からの通知に応じて、動作モードを滞在検知モードに切り替えて、動作を開始する。
複数の判定部4の各々は、滞在検知モードにおいて、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えると、検知領域内に人が存在すると判断して、その旨を総合判定部6に通知する。通知を受けた総合判定部6は、複数の判定部4の各々に、何れかの判定部4で人9の存在が検知された旨を通知する。この通知を受けた判定部4は、判定時間タイマーをリセットし、滞在検知モードを継続する。
複数の判定部4の各々は、滞在検知モードにおいて、出力信号S1の振幅A1が滞在判定閾値Vth0を超えないまま、判定時間TAの計時が完了すると、検知領域が不在状態になったと判定し、総合判定部6にその旨を通知する。総合判定部6は、全ての判定部4から「不在状態」という検知結果を受け取ると、検知空間90が不在状態になったと判定し、出力部5から第1負荷制御指令を含む判定信号を送信させる。そして複数の判定部4に、動作モードを進入検知モードに切り替えるよう通知する。
このように、本実施形態のセンサシステム10Aでは、複数の判定部4の何れかが人9の存在を検知している場合、検知空間90に人9が存在すると判定される。したがって、検知空間90内に人9が存在するにもかかわらず不在状態と判定してしまう、いわゆる検知漏れが起こり難い。
さらに、本実施形態のセンサシステム10Aでは、複数の判定部4は、それぞれ独立して進入検知モードでの検知動作を行っている。したがって、複数の判定部4のうちのいくつかが、変動検知動作M0において赤外線強度の変動を検知して第1検知動作M1を行っても、残りの判定部4は変動を検知せずに第2検知動作M2を行う可能性がある。第1検知動作M1を行う場合、判定部4は、出力信号S1の振幅A1が第2の閾値Vth2を超えた回数が判定回数に達したときに初めて、検知領域が「存在状態」であると判定する。このため、第1検知動作M1では、実際に人9が検知領域内に進入してから「存在状態」と判定するまでに、若干のタイムラグが生じる。これに対し、第2検知動作M2では、出力信号S1の振幅A1が第3の閾値Vth3を超えた時点で、検知領域が「存在状態」であると判定している。したがって、複数の判定部4が、それぞれ独立して、第1検知動作と第2検知動作M2のいずれを行うかを決定することで、人9が検知空間90に進入してから「存在状態」と判定するまでの時間を、短縮できる可能性がある。
ただし、複数の判定部4が第1検知動作M1を行うか第2検知動作M2を行うかを、複数の判定部4の各々の変動検知動作M0の結果に基づいて、一律に決定してもよい。例えば、複数の判定部4の何れかが、変動検知動作M0において出力信号S1の振幅A1の変動を検知した場合、複数の判定部4の全てに第1検知動作M1を行わせてもよい。この場合、何れかの判定部4が、変動検知時間TDを超えて変動が起こり得るような出力信号S1の振幅A1の変動の発生を検知し損ねていても、他の判定部4がこの変動を検知していれば、全ての判定部4が第1検知動作M1を行うことになる。したがって、変動検知時間TD後において検知対象物以外の物体から放射される赤外線の強度変動を、人9から放射される赤外線であると誤検知する可能性が低くなる。
(変形例)
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における制御部2は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、本開示における制御部2としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムの1以上のプロセッサの各々は、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。また、制御部2の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
センサ部は、検知空間90からの赤外線の受光強度の変化に応じた信号(電気信号)を出力する受光素子11を備えた受光部1に限られない。センサ部は、物理量の変化に応じた信号を出力する構成であればよく、例えば明るさセンサ又は温度センサ等であってもよい。
負荷機器は、照明器具81に限られない。例えば、負荷機器は空調機器等であってもよい。負荷機器が空調機器の場合、センサ部は温度センサであってもよい。例えば、センサシステムは、空調機器をオフ制御した後、変動検知時間TD内において温度センサからの出力信号の変動の発生の有無を検知し、変動を検知した場合は第1検知動作M1を行い、変動を検知しなかった場合は第2検知動作M2を行ってもよい。
第1負荷制御処理は、負荷機器の動作状態をオンからオフに切り替える処理に限られず、負荷機器の動作状態を第1状態から第2状態(第1状態とは異なる状態)に切り替える処理であってもよい。同様に、第2負荷制御処理は、負荷機器の動作状態をオフからオンに切り替える処理に限られず、負荷機器の動作状態を第2状態から、第2状態とは異なる第3状態に切り替える処理であってもよい。第3状態は、第1状態と同じであってもよい。例えば、第1状態及び第3状態は照明器具81が全点灯している状態、第2状態は照明器具81が調光点灯(例えば調光率50%)している状態であってもよい。
制御部2は、フィルタ3を備えていなくてもよい。
判定部4は、変動検知動作M0において、出力信号S1の振幅A1と第1の閾値Vth1との比較に基づいて、出力信号S1の振幅A1の変動の発生の有無を判定する構成に限られない。判定部4は、例えば、出力信号S1の振幅A1の微分値と所定の閾値との比較に基づいて、出力信号S1の振幅A1の変動の発生の有無を判定してもよい。
第1の閾値Vth1と第2の閾値Vth2(第3の閾値Vth3)は、同じ値であってもよい。第2の閾値Vth2と第3の閾値Vth3とは、異なる値であってもよい。
上記の実施形態では、判定部4は、変動検知時間TD内に変動を検知して第1検知動作M1を開始した後、変動検知時間TD内に出力信号S1の振幅A1が第1の閾値Vth1を超えたときにも、累積回数を増加させている。しかし、これに限られず、判定部4は、第1検知動作M1の開始後、変動検知時間TDの計時中(変動検知時間TDが経過する前)は、出力信号S1の振幅A1と第1の閾値Vth1との比較を行わなくてもよい。
判定部4は、出力信号S1の振幅A1が閾値よりも小さな値から大きな値に変化したときに、出力信号S1の振幅A1が閾値を超えたと判定する構成に限られない。判定部4は、出力信号S1の振幅A1が閾値よりも大きな値から小さな値に変化したときに、出力信号S1の振幅A1が閾値を超えたと判定してもよい。判定部4は、出力信号S1の振幅A1が閾値よりも小さな値から大きな値に変化したとき、及び出力信号S1の振幅A1が閾値よりも大きな値から小さな値に変化したときに、出力信号S1の振幅A1が閾値を超えたと判定してもよい。
判定部4は、センサシステム10の起動時に変動検知動作M0を行わずに第2検知動作M2を行う構成でもよい。
出力部5は、マスク機能を有していなくてもよい。
センサシステム10(10A)と照明システム80の制御装置82とは、1つの筐体に収納されていてもよい。
実施形態2のセンサシステム10Aにおいて、複数の受光部1と制御部2Aとが1つの筐体に収納されているが、複数の筐体に分けて収納されていてもよい。例えば、センサシステム10Aは、1つの受光部1とフィルタ3と判定部4とが筐体に収納されてなる1以上の子機と、1つの受光部1とフィルタ3と判定部4と総合判定部6と出力部5とが筐体に収納されてなる親機と、を備えていてもよい。親機と子機(親機の総合判定部6と子機の判定部4)は、例えば有線で接続されて互いに情報を送受信する。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、センサ部(受光部1)と、センサ部からの出力信号(S1)に応じて、負荷機器(照明器具81)の動作状態を制御する制御部(2)と、を備える。制御部(2)は、第1負荷制御処理と、変動検知処理と、計数処理と、第2負荷制御処理と、を実行する。第1負荷制御処理は、負荷機器の動作状態を変更する処理である。変動検知処理は、第1負荷制御処理を行ってから所定の変動検知時間(TD)内での、出力信号(S1)の振幅(A1)の変動の発生の有無を検知する処理である。計数処理は、変動検知時間(TD)内に変動の発生を検知した場合、変動の発生を検知した時点よりも後に出力信号(S1)の振幅(A1)が所定の閾値(第1の閾値Vth1)を超えた回数を計数する処理である。第2負荷制御処理は、計数処理で計数された回数が所定の判定回数に達したときに、負荷機器の動作状態を変更する処理である。
第1の態様によれば、負荷機器の誤動作の発生の抑制を図ることが可能となる。また、第1の態様によれば、変動検知処理を行わずに一律に計数処理を行う構成に比べて、検知範囲内に人が進入してから負荷機器を制御するまでの時間の短縮を図ることが可能となる。
第2の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、第1の態様において、制御部(2)は以下のように動作する。すなわち、制御部(2)は、変動検知時間(TD)内に変動の発生を検知しなかった場合、変動検知時間(TD)の経過後において次に出力信号(S1)の振幅(A1)が閾値を超えたときに、記第2負荷制御処理を実行する。
第2の態様によれば、検知範囲内に人が進入してから負荷機器を制御するまでの時間の短縮を図ることが可能となる。
第3の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、第1の態様又は第2の態様において、制御部(2)は、出力信号(S1)の振幅(A1)が第1値を超えたときに、出力信号(S1)の振幅(A1)の変動が発生したと判定する。また、制御部(2)は、出力信号(S1)の振幅(A1)が第2値を超えたときに、出力信号(S1)が閾値を超えたと判定する。
第3の態様によれば、出力信号(S1)の振幅(A1)と所定の値との比較により、出力信号(S1)の振幅(A1)の変動の発生の有無を判定することが可能となる。
第4の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、第3の態様において、第1値は、第2値よりも小さい。
第4の態様によれば、変動検知時間(TD)内の閾値の方が、変動検知時間(TD)を経過した後の閾値よりも小さい。このため、出力信号(S1)の振幅(A1)の変動の発生の検知漏れを抑制することが可能となる。
第5の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、第1〜第4の何れかの態様において、第1負荷制御処理は、負荷機器の動作状態をオン状態からオフ状態に変更させる処理である。
第5の態様によれば、負荷機器の動作状態をオフ状態に変更したときに、上記の変動検知処理が実行される。すなわち、負荷機器の動作状態をオフ状態としたときの、負荷機器の誤動作(負荷機器の不要な再起動)の発生の抑制を図ることが可能となる。
第6の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、第1〜第5の何れかの態様において、センサ部は、検知範囲(検知空間90)における動体(人9)の存在を検知する動体検知センサである。
第6の態様によれば、検知範囲における動体の存否に基づいて、負荷機器の動作状態を制御することが可能となる。
第7の態様に係るセンサシステム(10、10A)は、第1〜第6の何れかの態様において、センサ部は、赤外線センサである。
第7の態様によれば、赤外線センサで受光する赤外線の受光強度の変化に基づいて、負荷機器の動作状態を制御することが可能となる。
第8の態様に係る照明制御システム(100、100A)は、第1〜第7の何れかの態様のセンサシステム(10、10A)と、負荷機器としての照明器具(81)と、を備える。制御部(2)は、センサ部からの出力信号(S1)に応じて、照明器具(81)の動作状態を制御する。
第8の態様によれば、照明器具(81)の動作状態(例えば、点灯/消灯)が不必要に変更される可能性を低減した照明制御システム(100、100A)を提供することが可能となる。
第9の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、第1〜第7の何れかの態様のセンサシステム(10、10A)における制御部(2)として機能させる。
第9の態様によれば、負荷機器の誤動作の発生の抑制を図ることが可能となる。また、検知範囲内に人が進入してから負荷機器を制御するまでの時間の短縮を図ることが可能となる。