JP6329856B2 - 焼成器具 - Google Patents

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Description

本発明は、焼成される部品を炉内で収容又は支持する焼成器具に関する。
従来、この種の焼成器具として、黒鉛板同士を黒鉛製のピンで結合してなる箱形の焼成容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、2つの黒鉛板同士の結合構造としては、ピンを利用したもの以外に、両黒鉛板の側部にスライド係合突部とスライド係合溝とを交互に並べた形状にしておいて、一方の黒鉛板のスライド係合突部を他方のスライド係合突部同士の間のスライド係合溝にスライド係合したものが考えられている(例えば、特許文献2参照)。
実開平4−74296号公報(請求項1、図1、図5)
特開2013−159492号公報(図1、図3)
上述した従来の焼成器具では、黒鉛板の熱変形や搬送時の衝撃等によって黒鉛板同士の結合部分(例えば、ピンやスライド係合突部)が破壊されてしまうことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来と比較して耐久性が高い焼成器具の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の焼成される部品を炉内で収容又は支持する焼成器具は、少なくとも2つ以上の黒鉛製の器具構成部品と、2つの前記器具構成部品の一方と他方とに分けて形成され、相互にスライド係合してスライド方向と交差する方向で2つの前記器具構成部品を分離不能に結合するスライド係合突部及びスライド係合溝とを備え、前記スライド係合突部と前記スライド係合溝の内面の間に、2つの前記器具構成部品の相対的な動きを許容する溝内隙間を有している。
器具構成部品をスライド係合で結合すれば、1点への応力集中が起こり難くなり、また、スライド係合突部にかかる力の方向が限定される。さらに、スライド係合突部とスライド係合溝の内面の間に溝内隙間を有するように構成すれば、器具構成部品間の熱膨張や反り、振動などによって生じるスライド係合部への応力が緩和される。
本発明の焼成器具は、直方体状の内部空間を囲むように配置されて互いに前記スライド係合突部と前記スライド係合溝で結合されている4つの前記器具構成部品を有することが好ましい。器具構成部品で内部空間を囲むように構成すれば、内部空間内の熱が逃げ難くなる。また、器具構成部品を互いにスライド係合突部とスライド係合溝で係合するように構成すれば、焼成器具の組み立てが容易になる。さらに、スライド方向以外への移動が抑制され、器具構成部品同士の連結強度が強くなる。
本発明の焼成器具は、板状をなして、その側縁部に前記スライド係合突部と前記スライド係合溝とが交互に並べてそれぞれ複数ずつ設けられている少なくとも2つ以上の前記器具構成部品を備え、2つの前記器具構成部品の側縁部同士の間で複数の前記スライド係合突部と複数の前記スライド係合溝とがスライド係合していることが好ましい。複数のスライド係合突起とスライド係合溝でスライド係合するように構成すれば、器具構成部品同士の連結強度が強くなる。さらに、スライド係合部にかかる力が分散される。
本発明の焼成器具のスライド係合部は、前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に、横幅が徐々に広がる形状をなしていることが好ましい。スライド係合突部及びスライド係合溝の輪郭が共に、横幅が徐々に広がる形状になるように構成すれば、スライド係合突部及びスライド係合溝の加工が容易になる。
本発明の焼成器具は、前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に円形状をなしていることが好ましい。スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に円形状になるように構成すれば、スライド係合突部及びスライド係合溝が衝突や摩擦で破損し難くなる。
本発明の焼成器具のスライド係合部は、前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に、屈曲部分を有するフック形状をなしていることが好ましい。スライド係合突部前記スライド係合溝の輪郭が共に屈曲部分を有するフック形状をなすように構成すれば、スライド係合突部及びスライド係合溝を組み合わせる向きが特定される。
本発明の焼成器具のスライド係合部は、前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部と前記スライド係合溝との何れか一方の輪郭が多角形状をなす一方、他方の輪郭が円形状をなしていることが好ましい。スライド係合突部とスライド係合溝との何れか一方の輪郭が多角形状をなす一方、他方の輪郭が円形状をなすように構成すれば、複数方向の応力に対してスライド係合突部及びスライド係合溝が破損し難くなる。
本発明の焼成器具は、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝で結合されている2つの前記器具構成部品を結合する少なくとも1つの黒鉛製のピンと、前記ピンで結合される2つの前記器具構成部品に跨がって形成され、前記ピンを収容するピン収容孔と、前記ピンと前記ピン収容孔の内面との間に、前記器具構成部品同士の間の相対的な動きを許容する孔内隙間とを有していることが好ましい。黒鉛製のピンを使うように構成すれば、構成部品同士の結合がさらに強くなる。また、高温環境下でもピンが破損し難い。さらに、ピンとピン収容孔の内面との間に、器具構成部品同士の間の相対的な動きを許容する孔内隙間を有するように構成すれば、熱膨張や反り、振動などによって器具構成部品間に生じるピンに剪断力を与える動きに対して、ピンが孔内隙間を動くことで剪断力が緩和され、ピンの剪断破壊が抑制される。
本発明の焼成器具は、前記器具構成部品の外面に開口して前記ピン収容孔の一端部に連通すると共に前記ピン収容孔より段付き状に狭くなり、前記ピンが前記ピン収容孔に収容されるときに通過するピン通過孔を有することが好ましい。器具構成部品の外面に開口してピン収容孔の一端部に連通したピン通過孔を設ければ、器具構成部品の外面よりピンを差し込んでピン収容孔に収容することができる。また、ピン通過孔をピン収容孔より段付き上に狭くすれば、ピン収容孔内に収容されたピンが振動などにより動いた場合に、ピンがピン通過孔から外部へ抜け難くなる。
本発明の焼成器具の前記ピン収容孔は、前記スライド係合突部と、前記スライド係合溝を囲む前記器具構成部品の壁部とに跨がって形成されていることが好ましい。ピン収容孔が構成部品の壁部と跨るように構成すれば、器具構成部品同士の連結強度が増加する。
本発明の焼成器具の前記スライド係合突部は、一方の前記器具構成部品の表裏の一方の面から突出し、前記ピン収容孔は、前記スライド係合突部内をそのスライド係合突部の突出方向に延び、前記一方の器具構成部品の他方の面に開口して前記ピン収容孔に連通すると共に前記ピン収容孔より段付き状に狭くなり、前記ピンが前記ピン収容孔に収容されるときに通過するピン通過孔を有することが好ましい。ピン収容孔をスライド係合突部内のそのスライド係合突部の突出方向に延びるように構成すれば、ピン収容孔に収容されたピンによって器具構成部品同士のスライド係合方向へのずれが抑制される。
本発明の第1実施形態に係る焼成器具の斜視図 焼成器具の分解斜視図 黒鉛板同士の結合部分の断面図 第2実施形態の黒鉛板同士の結合部分の断面図 第3実施形態の黒鉛板同士の結合部分の断面図 第4実施形態の黒鉛板同士の結合部分の断面図 第5、第6実施形態の黒鉛板同士の結合部分の断面図 第7、第8実施形態の黒鉛板同士の結合部分の断面図 第9、第10実施形態の黒鉛板同士の結合部分の断面図
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1には、本実施形態の焼成器具10が示されている。この焼成器具10は、4つの帯状の黒鉛板を結合して枠形構造にしたものであり、内側に本発明に係る「直方体状の内部空間」を備えている。焼成器具10を構成する4つの黒鉛板は、本発明の「器具構成部品」に相当し、第1の水平方向で互いに対向する第1黒鉛板11と、第2の水平方向で互いに対向する第2黒鉛板12とからなり、互いに対向する第1黒鉛板11の間に第2黒鉛板12が挟まれた状態に配置されている。
図2に示すように、互いに対向する第2黒鉛板12の相互の対向した内面12Nには、長手方向の両端寄り位置から両端に亘って徐々に板厚が大きくなるように肉盛部13が形成されている。そして、各肉盛部13によって幅が広くなった第2黒鉛板12の各端面12Aに、上下方向に延びたスライド係合溝14が形成されている。本実施形態のスライド係合溝14は、一般にアリ溝と呼ばれる構造をなし、第2黒鉛板12における溝開口から奥側に向かうに従って溝幅が徐々に大きくなっていて、スライド係合溝14を上下方向から見た形状は左右対称な台形になっている。
一方、両第1黒鉛板11の相互に対向した内面11Nにおける横方向の両端部には、第2黒鉛板12のスライド係合溝14にスライド係合するスライド係合突部15がそれぞれ形成されている。スライド係合突部15は、第1黒鉛板11から離れるに従って幅が大きくなっていて、スライド係合突部15を上下方向から見た形状もスライド係合溝14と同様の左右対称な台形になっている。
そして、第1黒鉛板11又は第2黒鉛板12の何れか一方を他方に対して上下方向でずらし、スライド係合溝14の一端部からスライド係合突部15の一端部を挿入して、スライド係合溝14とスライド係合突部15とがスライド係合されている。そして、スライド係合溝14とスライド係合突部15とがスライド係合した状態で、スライド係合溝14の内面とスライド係合突部15との間には隙間が形成されるようになっている。
具体的には、図3に示すように、スライド係合突部15を上下方向から見た形状である台形(以下、「突部台形D1」という)の左右対称となる中心線とスライド係合溝14を上下方向から見た形状である台形(以下、「孔台形D2」という)の左右対称となる中心線とを重ねかつ、第2黒鉛板12の端面12Aを第1黒鉛板11の内面11Nに面当接させた状態で、突部台形D1の2つの斜辺S1及び底辺T1と孔台形D2の2つの斜辺S2及び底辺T2とがそれぞれ平行になり、斜辺S1,S2とを結んだ直線が垂直になる間隔L1と、底辺T1,T2とを結んだ直線が垂直になる間隔L2とを有している。即ち、スライド係合突部15とスライド係合溝14の内面の間に、第1と第2の黒鉛板11,12の相対的な動きを許容する溝内隙間20が形成されている。
間隔L1及びL2は、黒鉛板の反りなどによる相対的な動きを許容するように適宜決めることができ、間隔L1は0.05〜5[mm]が望ましく、0.05〜2.5[mm]がさらに望ましく、特には0.05〜1.5[mm]が望ましい。間隔L1が0.05[mm]より小さい場合、黒鉛板の結合部に発生する反り等の相対的な動きを許容できなくなり、黒鉛板の結合箇所が破損してしまう。また、5[mm]よりも大きい場合、黒鉛板の結合箇所に大きな隙間を作るため、振動で係合突部が係合溝の壁面に衝突し、係合部が破壊され易くなる。間隔L2は0.05〜10[mm]が望ましく、0.05〜5[mm]がさらに望ましく、特には0.05〜2.5[mm]が望ましい。間隔L2が0.05[mm]より小さい場合、黒鉛板の結合部に発生する反り等の相対的な動きを許容できなくなり、黒鉛板の結合箇所が破損してしまう。間隔L2が5[mm]より大きい場合、黒鉛板の結合箇所に大きな隙間を作るため、振動により係合突部が係合溝の壁面に衝突し、係合部が破壊され易くなる。
図2に示すように、第1黒鉛板11の各スライド係合突部15の横方向の両端部には、上下方向の中央にピン孔16がそれぞれ形成されている。図3に示すように、ピン孔16は、各スライド係合突部15の幅方向の中央において、第1黒鉛板11の外面11Gからスライド係合突部15の先端面に亘って貫通した断面円形の孔であって、途中で内径が段付き状に拡径されている。即ち、ピン孔16は、途中に段差面16Dを備え、その段差面16Dより第1黒鉛板11の外面11G側が内径が比較的小さいピン通過孔16Aをなす一方、スライド係合突部15側が内径が比較的大きなピン収容孔16Bになっている。
また、第2黒鉛板12には、スライド係合溝14における前記孔台形D2の中心とスライド係合突部15における前記突部台形D1の中心とを一致させた状態で第1黒鉛板11のピン収容孔16Bの同軸延長線上となる位置にピン収容孔17が形成されている。そのピン収容孔17は、第1黒鉛板11のピン収容孔16Bと同一径をなし、一端がスライド係合溝14の奧面に開口して第1黒鉛板11側のピン収容孔16Bと連通する一方、他端が閉塞されている。
ピン収容孔16B,17には、黒鉛製のピン18が収容されている。ピン18は、断面円形の丸棒であり、その外径は、ピン収容孔16Bの内径と略同一になっている。ピン収容孔16B,17の内径は、ピン18の外径に対して、0.1〜20%大きくなっており、この差は、好ましくは0.5〜15%であり、1〜10%が特に好ましい。また、ピン通過孔16Aの内径は、ピン18の外径に対して、0.01〜10%大きくなっており、この差は、好ましくは0.01〜5%であり、0.01〜2%が特に好ましい。そして、ピン通過孔の内径は、ピン収容孔の内径よりも小さくし、前記範囲内にて調整する。これにより、ピン18とピン収容孔16B,17の内面とに間には、第1黒鉛板11と第2黒鉛板12との相対的な動きを許容する孔内隙間19が形成される。ピン収容孔の内径とピンの外径との差が、ピンの外径の0.1%より小さい場合、ピン収容孔内でピンが動けなくなり、ピンが破壊され易く、20%を超える場合、器具構成部品の相対移動が大きくなるので、ピンには曲げ応力が大きく加わり折損してしまう。また、ピン通過孔の内径とピンの外径との差が、ピンの外径の0.01%よりも小さい場合、ピン通過孔をピンが通過する際に、ピン通過孔内面から受ける摩擦力などによりピンが破損し、20%を超える場合、ピン収容孔にあるピンがピン通過孔を通って外部へと抜ける。
また、第2黒鉛板12の端面12Aを第1黒鉛板11の内面11Nに面当接させた状態で、ピン孔16の段差面16Dからピン収容孔17の奧面までの全長が、ピン18の全長に対して1〜20%大きくなっており、この差は、好ましくは2〜15%であり、特には3〜7%が好ましい。ピン18の全長や外形寸法は適宜決めればよいが、全長15〜50[mm]で外径寸法2〜10[mm]が好ましい。
そして、ピン18は、第1黒鉛板11のスライド係合突部15と第2黒鉛板12のスライド係合溝14とがスライド係合され、ピン孔16とピン収容孔17とが同軸上に配置された状態でピン通過孔16A側からピン収容孔16B,17に挿入される。ピン18は、ピン通過孔16Aを通過すると、ピン収容孔16B,17内でピン通過孔16Aの中心からずれた位置に納まり、抜け止めされる。
なお、上記した第1及び第2の黒鉛板11,12は、コークス粒子、ピッチ、コールタールの混練物を成形、焼成して黒鉛にしてから、後述するスライド係合溝14及びスライド係合突部15を切削加工し、かつ、ピン孔16及びピン収容孔17をルーターで穿孔して製造される。また、ピン18は、第1及び第2の黒鉛板11,12と同様にコークス粒子、ピッチ、コールタールの混練物を成形、焼成して黒鉛にしてなる。そして、例えば、1つの第2黒鉛板12の両側のスライド係合溝14に、2つの第1黒鉛板11の一端のスライド係合突部15がスライド係合される。次いで、残りの第2黒鉛板12が両第1黒鉛板11の間に挿入され、その第2黒鉛板12のスライド係合溝14と両第1黒鉛板11の他端側のスライド係合突部15とがスライド係合される。そして、各ピン孔16にピン通過孔16A側からピン18が挿入され、ピン18より細いシャフトでピン通過孔16Aを通過する位置までピン18が押し込まれてピン収容孔16B,17に収容される。この際、ピン18は、従来のように炭化接着剤を使用せずに済むので、歩留まりがよく、また、組み付け作業を容易に行うことができる。全てのピン18がそれぞれピン収容孔16B,17に収容されると各スライド係合突部15とスライド係合溝14とがスライド係合した状態で維持され、焼成器具10が完成する。
本実施形態の焼成器具10の構成に関する説明は、以上である。次に、焼成器具10の作用効果について説明する。
焼成器具10は、図示しない黒鉛製のトレイの上に配置されて内部に焼成対象物を収容し、上方から図示しない黒鉛製の蓋板を乗せられた状態で焼成炉内に配置され、内部の焼成対象物を焼成するために使用される。焼成器具10を構成する第1と第2の黒鉛板11,12及びピン18は黒鉛製なので、高温環境下(600℃以上)でも利用でき、さらに、熱で生じた変形による応力に対して耐えることが可能な強度を有する。なお、焼成炉の高温環境下において焼成器具10内は焼成器具の熱伝導や輻射熱により、焼成器具10外に比べて高温環境を維持し易く、かつ、温度分布が均一になり、これにより焼成対象物の品質が向上する。
ところで、焼成器具10は、搬送等により様々な振動を受ける。また、焼成器具10がトレイの上に配置されるときなどのハンドリング時に、衝撃を受ける。さらには、第1と第2の黒鉛板11,12と焼成対象物とが部分的に反応し、黒鉛とその反応物との熱膨張率との違いによって、第1と第2の黒鉛板11,12が反るよう熱変形する。しかしながら、本実施形態の焼成器具10では、スライド係合突部15とスライド係合溝14の内面の間に、第1と第2の黒鉛板11,12の相対的な動きを許容する溝内隙間20が形成されているので、熱変形の反りで第1と第2の黒鉛板11,12の間に生じる熱応力を緩和でき、振動等によって第1と第2の黒鉛板11,12からスライド係合突部15が大きな剪断力を受けるようなことはなく、スライド係合突部15の破損も防がれると共に、第1と第2の黒鉛板11,12の板状の本体部分の破損も防がれる。また、本実施形態の焼成器具10では、ピン18とピン収容孔16B,17の内面との間に第1と第2の黒鉛板11,12の間の相対的な動きを許容する孔内隙間19が形成されているので、ピン18はピン収容孔16B,17内で力を緩和するように移動することができる。そのため、ピン18の破損も防がれる。そして、ピン18は、収容孔16B、17内を移動するだけでピン18の外径と略同径となっているピン通過孔16Aへは移動しないため、振動によってピン18が抜け落ちるようなこともなくなる。即ち、本実施形態の焼成器具10は、従来と比較して耐久性が高くなり、取り扱いが容易になる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、図4に示されており、ピン収容孔16C,17Vがピン通過孔16Aから離れるに従って徐々に拡径するテーパー孔になっている。
[第3及び第4の実施形態]
第3実施形態は、図5に示されており、ピン収容孔16E,17Wがピン通過孔16Aから離れるに従って徐々に縮径するテーパー孔になっている。また、第4実施形態は、図6に示されており、第2黒鉛板12のピン収容孔17Xがピン通過孔16Aから離れるに従って徐々に縮径するテーパー孔になっていると共に、そのピン収容孔17Xにおける第1の黒鉛板11側の開口が、第1の黒鉛板11のピン収容孔16Bの開口より大きくなっている。これら第3及び第4の実施形態の構成によれば、ピン18の挿入作業が容易になると共にピン18の抜け止めが強化される。なお、図6に示した構造において、ピン収容孔17Xを単にピン収容孔16Bより内径が大きな均一径の孔にしてもよい。
[第5〜第8実施形態]
第5実施形態は、図7(A)に示されている。この実施形態の焼成器具10Vの第1黒鉛板11Vのスライド係合突部15V及び、第2黒鉛板12Vのスライド係合溝14Vを上下方向から見た形状は、第1黒鉛板11Vと第2黒鉛板12Vが接する面が欠けた略円形になっている。また、第6実施形態は、図7(B)に示されていて、その焼成器具10Wの第1黒鉛板11Wのスライド係合突部15Wを上下方向から見た形状は、第1黒鉛板11Wから離れるに従って幅が大きくなる台形である一方、第2黒鉛板12Wのスライド係合溝14Wを上下方向から見た形状は、第1黒鉛板11Wと第2黒鉛板12Wが接する面が欠けた略円形になっている。図8(A)に示す第7実施形態の焼成器具10Xでは、第1黒鉛板11Xのスライド係合突部15X及び、第2黒鉛板12Xのスライド係合溝14Xを上下方向から見た形状は、第1黒鉛板11Xの板厚方向に突出し、中間部分より先が第1黒鉛板11Xと平行に屈曲したL字型、即ち、屈曲部分を有するフック形状になっている。
これら第5〜第7実施形態においても、スライド係合突部とスライド係合溝の内面の間に、第1と第2の黒鉛板の相対的な動きを許容する溝内隙間20が形成されているので、焼成器具が振動や衝撃等を受けた場合に、スライド係合突部の破損も防がれると共に、第1と第2の黒鉛板の板状の本体部分の破損も防がれる。ところで、図7(A)に示されている第5実施形態の焼成器具10Vのように、スライド係合突部15V及びスライド係合溝14Vが角部を有さない構成にすれば、衝突や摩擦によってもスライド係合突部15Vが破損し難くなる。また、スライド係合突部15Vの破損カスや焼成時にでるススがスライド係合溝14Vの角部に蓄積され難く、溝内隙間20が埋まり難い。また、図8(B)に示されている第8実施形態の焼成器具10Yのように、前記第1実施形態のスライド係合突部15とスライド係合溝14とを複数備えると、第1と第2の黒鉛板11Y,12Yの連結強度が高くなる。さらに、図7(B)に示されている第5実施形態の焼成器具10Wの第1黒鉛板11Wのスライド係合突部15Wの断面形状を台形から他の多角形状等に変えれば、設計時に想定外だった方向への反りに対しても対応し易い。
[第9実施形態]
第9実施形態の焼成器具10Zは、図9(A)に示されており、前記第8実施形態の係合構造の一部が逆向きになっている。即ち、第1の黒鉛版11Zから突出したスライド係合突部15Z1と第2の黒鉛版12に形成されたスライド係合溝14Z1、及び、第2の黒鉛版12Zから突出したスライド係合突部15Z2と第1の黒鉛版11Zに形成されたスライド係合溝14Z2のそれぞれがスライド係合している。
[第10実施形態]
第10実施形態の焼成器具30は、図9(B)に示されている。この焼成器具30の第1と第2の黒鉛板31,32の横方向の端面はそれぞれ45度の傾斜面31S,32Sになっていて、傾斜面31S,32Sが面当接した状態になっている。そして、傾斜面32Sから突出したスライド係合突部34と傾斜面31Sに形成されたスライド係合溝33とがスライド係合している。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態のスライド係合突部とスライド係合溝はそれぞれ第1と第2の黒鉛板の上下方向全体に亘って形成されていたが、例えば、スライド係合溝の下部が閉塞され、スライド係合突部がそのスライド係合溝とスライド係合するように形成されるなど、上下方向の一部に形成されていてもよい。
(2)前記実施形態の第1及び第2の黒鉛板は、横方向に対称な形状をしていたが、例えば、上下方向から見たときにそれぞれのスライド係合突部が時計回り方向に突出しているなど、横方向に非対称な形状であってもよい。
(3)前記実施形態の第1及び第2の黒鉛板は、両端に肉盛部を備えた平板状であったが、例えば、曲板状や、内面や外面が上下方向で面一でない形状など、異なる形状であってもよい。
(4)スライド係合突部及びスライド係合溝は、前記実施形態で例示した形状に限らず、他の形状であってもよい。
(5)前記実施形態のピン収容孔17は、スライド係合突部15とスライド係合溝14それぞれの上下方向の中間部分に1つ形成されていたが、上下方向あるいは横方向、あるいはその両方向に複数形成されていてもよい。また、ピン収容孔及びピンの断面形状は円形に限らず、長方形や多角形であってもよいし、さらには、ピン収容孔の断面形状とピンの断面形状は異なっていてもよい。
10,10V,10W,10X,10Y,10Z,30 焼成器具
11,11V,11W,11X,11Y,11Z,12,12V,12W,12X,12Y,12Z 黒鉛板(器具構成部品)
14,14V,14W,14X,14Y,14Z1,14Z2,33 スライド係合溝
15,15V,15W,15X,15Y,15Z1,15Z2,34 スライド係合突部
16 ピン孔
16A ピン通過孔
16B,16C,16E,17,17V,17W,17X ピン収容孔
18 ピン
19 孔内隙間
20 溝内隙間

Claims (11)

  1. 少なくとも2つ以上の黒鉛製の器具構成部品と、
    2つの前記器具構成部品の一方と他方とに分けて形成され、相互にスライド係合してスライド方向と交差する方向で2つの前記器具構成部品を分離不能に結合するスライド係合突部及びスライド係合溝とを備えた焼成される部品を炉内で収容又は支持する焼成器具であって、
    前記スライド係合突部と前記スライド係合溝の内面の間に、2つの前記器具構成部品の相対的な動きを許容する溝内隙間を有していることを特徴とする焼成器具。
  2. 直方体状の内部空間を囲むように配置されて互いに前記スライド係合突部と前記スライド係合溝で結合されている4つの前記器具構成部品を有する請求項1に記載の焼成器具。
  3. 板状をなして、その側縁部に前記スライド係合突部と前記スライド係合溝とが交互に並べてそれぞれ複数ずつ設けられている少なくとも2つ以上の前記器具構成部品を備え、
    2つの前記器具構成部品の側縁部同士の間で複数の前記スライド係合突部と複数の前記スライド係合溝とがスライド係合している請求項1又は2に記載の焼成器具。
  4. 前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に、横幅が徐々に広がる形状をなしている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の焼成器具。
  5. 前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に円形状をなしている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の焼成器具。
  6. 前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝の輪郭が共に、屈曲部分を有するフック形状をなしている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の焼成器具。
  7. 前記スライド係合のスライド方向から見ると、前記スライド係合突部と前記スライド係合溝との何れか一方の輪郭が多角形状をなす一方、他方の輪郭が円形状をなしている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の焼成器具。
  8. 前記スライド係合突部及び前記スライド係合溝で結合されている2つの前記器具構成部品を結合する少なくとも1つの黒鉛製のピンと、
    前記ピンで結合される2つの前記器具構成部品に跨がって形成され、前記ピンを収容するピン収容孔と、
    前記ピンと前記ピン収容孔の内面との間に、前記器具構成部品同士の間の相対的な動きを許容する孔内隙間とを有している請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載の焼成器具。
  9. 前記器具構成部品の外面に開口して前記ピン収容孔の一端部に連通すると共に前記ピン収容孔より段付き状に狭くなり、前記ピンが前記ピン収容孔に収容されるときに通過するピン通過孔を有する請求項8に記載の焼成器具。
  10. 前記ピン収容孔は、前記スライド係合突部と、前記スライド係合溝を囲む前記器具構成部品の壁部とに跨がって形成されている請求項8又は9に記載の焼成器具。
  11. 前記スライド係合突部は、一方の前記器具構成部品の表裏の一方の面から突出し、
    前記ピン収容孔は、前記スライド係合突部内をそのスライド係合突部の突出方向に延び、
    前記一方の器具構成部品の他方の面に開口して前記ピン収容孔に連通すると共に前記ピン収容孔より段付き状に狭くなり、前記ピンが前記ピン収容孔に収容されるときに通過するピン通過孔を有する請求項10に記載の焼成器具。
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