以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態に係る貨幣処理システムを示す図である。ここで、図1は、本実施の形態による貨幣処理システムの全体構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣処理システムの概略的な構成を示す構成図であり、図3は、図1等に示す貨幣処理システムの機能ブロック図である。また、図4は、図1等に示す貨幣処理システムにおいて、棒金収納庫の筐体から収納ドロアを引き出した際の収納ドロア、棒金硬貨穴センサ、棒金硬貨径センサ等の構成を示す上面図であり、図5は、図1等に示す貨幣処理システムにおいて、棒金収納庫の筐体から収納ドロアを引き出した際の収納ドロア、棒金硬貨穴センサ、棒金硬貨径センサ等の構成を示す側断面図である。また、図6は、棒金収納庫の様々な異常状態の種類および各異常状態の種類に対応する表示方法を示す表である。また、図7は、棒金収納庫の収納ドロアにおいて異常状態が発生する場所の区分を示す図である。また、図8は、図1等に示す貨幣処理システムの動作を示すフローチャートであり、図9(a)〜(d)はそれぞれ、図1等に示す貨幣処理システムの硬貨釣銭機の表示部に表示される表示内容を示す図である。また、図10は、硬貨釣銭機の表示部における表示内容の優先度を示す表である。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態による貨幣処理システム1は、棒金収納庫100と、硬貨釣銭機200と、紙幣釣銭機300と、POSレジスタ(金銭登録機)400とを備えている。棒金収納庫100は、複数の棒金硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数だけ棒状に包装したもの)を収納可能となっている。なお、後述するように、棒金収納庫100は、バラ紙幣やバラ硬貨等の棒金硬貨以外の貨幣や、貨幣以外の有価証券等も収納可能となっている。硬貨釣銭機200は、顧客から店員に手渡された硬貨を機体内に収納するとともに、釣銭としての硬貨を機体内から外部に投出するようになっている。紙幣釣銭機300は、顧客から店員に手渡された紙幣を機体内に収納するとともに、釣銭としての紙幣を機体内から外部に投出するようになっている。図1に示すように、硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300は左右に連結して並ぶよう配設されている。POSレジスタ400は、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等の管理を行うようになっている。図1では各装置を見やすくするために棒金収納庫100、硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300を連結させたもの、ならびにPOSレジスタ400を上下に分離して表示しているが、実際には、棒金収納庫100の上面に硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300を連結させたものが載置され、これらの硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300の上面にPOSレジスタ400が更に載置されるような構成となっている。このような貨幣処理システム1では、硬貨釣銭機200において釣銭として払い出されるべき硬貨の収納枚数が不足したときには、店員は棒金収納庫100から棒金硬貨を取り出し、この棒金硬貨の包装を解いてバラ硬貨とし、このバラ硬貨を釣銭用の硬貨として硬貨釣銭機200に収納するようになっている。
本実施の形態では、硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300は互いに通信接続されており、これらの硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300は、硬貨釣銭機200に設けられた表示部212(後述)および操作部214(後述)により操作することができるようになっている。また、硬貨釣銭機200はPOSレジスタ400にも通信接続されており、このPOSレジスタ400でも硬貨釣銭機200および紙幣釣銭機300の操作を行うことができるようになっている。また、棒金収納庫100は硬貨釣銭機200に通信接続されており、この棒金収納庫100の状態情報(後述)は硬貨釣銭機200の表示部212に表示されるようになっている。また、図2および図3に示すようにPOSレジスタ400は店舗サーバ500に通信接続されており、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報がPOSレジスタ400から店舗サーバ500に送信されるようになっている。
以下、これらの棒金収納庫100、硬貨釣銭機200、紙幣釣銭機300およびPOSレジスタ400の構成の詳細について説明する。
棒金収納庫100は、略直方体形状の筐体102と、筐体102に対して引き出し自在に設けられた収納ドロア104とを有している。図1は、棒金収納庫100の筐体102に収納ドロア104が完全に収容されたときの状態を示している。
図2に示すように、収納ドロア104には3つの棒金硬貨収納部110、112、114が設けられており、各棒金硬貨収納部110、112、114には複数の棒金硬貨が図2における上下方向に一列に並ぶよう収納されるようになっている。より詳細には、各棒金硬貨収納部110、112、114には複数の棒金硬貨収納部分が図2における上下方向に一列に並ぶよう設けられており、各棒金硬貨収納部分にはそれぞれ棒金硬貨の複数の金種のうち一の金種が割り当てられている。そして、各棒金硬貨収納部分は、対応する金種の棒金硬貨が収納されるような大きさとなっている。例えば、棒金硬貨収納部110は、500円の棒金硬貨が収納可能な1つの棒金硬貨収納部分と、100円の棒金硬貨が収納可能な4つの棒金硬貨収納部分とを有しており、棒金硬貨収納部112は、50円の棒金硬貨が収納可能な1つの棒金硬貨収納部分と、10円の棒金硬貨が収納可能な4つの棒金硬貨収納部分とを有しており、棒金硬貨収納部114は、5円の棒金硬貨が収納可能な1つの棒金硬貨収納部分と、1円の棒金硬貨が収納可能な4つの棒金硬貨収納部分とを有している(図7参照)。
また、収納ドロア104には予備紙幣収納部116、予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122がそれぞれ設けられている。予備紙幣収納部116には、予備としてのバラ紙幣が収納されるようになっており、予備硬貨収納部118には予備としてのバラ硬貨が収納されるようになっている。また、オーバーフロー硬貨収納部120には、硬貨釣銭機200において機体内の硬貨収納部208(後述)が満杯であるため収納することができないようなオーバーフロー硬貨が収納されるようになっている。また、損貨収納部122には、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300において損貨と判断された硬貨や紙幣が収納されるようになっている。また、収納ドロア104には現金外収納部124が設けられており、この現金外収納部124には紙幣や硬貨以外の有価媒体(例えば、商品券や小切手等)が収納されるようになっている。また、本実施の形態では、予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122および現金外収納部124が1枚の蓋で覆われるようになっている。そして、予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122および現金外収納部124を1枚の蓋で閉めた状態で、収納ドロア104を筐体102に収容するようになっている。
また、本実施の形態では、棒金収納庫100には、筐体102に収容された収納ドロア104をロックするためのロック機構160が設けられている。このロック機構160は、筐体102からの収納ドロア104の引き出しを阻止/容認するロック/ロック解除を行うようになっている。ここで、収納ドロア104が筐体102に完全に収容され、ロック機構160により収納ドロア104が筐体102にロックされた状態にあるときに、収納ドロア104を筐体102から引き出したいときには、手動で収納ドロア104を筐体102の奥方に更に押し込むことによりロック機構160による収納ドロア104のロックが解除され、さらに筐体102の内部奥方に設けられたバネ部材(図示せず)により、ロックが解除された収納ドロア104が筐体102の前方へ所定量飛び出すようになっており、棒金硬貨を出し入れするには筐体102の前方へ飛び出した収納ドロア104を全開位置まで手動で引き出すようになっている。また、収納ドロア104が筐体102から前方に引き出されているときに、この収納ドロア104を筐体102に収容させたいときには、手動で収納ドロア104を筐体102の内部に押し込むことによってロック機構160により収納ドロア104が筐体102にロックされるようになる。
図3に示すように、棒金収納庫100には、当該棒金収納庫100の各構成要素の制御を行う制御部150と、記憶部152と、インターフェース154とがそれぞれ設けられている。ここで、棒金収納庫100の制御部150は、インターフェース154により他の装置、具体的には硬貨釣銭機200との間で信号の送受信を行うことができるようになっている。また、記憶部152には、次に説明する在高検出手段130により検出された棒金収納庫100の在高等の情報が記憶されるようになっている。
棒金収納庫100には、この棒金収納庫100の在高を検出する在高検出手段130が設けられている(図3参照)。在高検出手段130の構成の詳細について図4および図5を用いて説明する。本実施の形態では、棒金収納庫100の収納ドロア104の各棒金硬貨収納部110、112、114に対応して棒金硬貨穴センサ132および棒金硬貨径センサ134がそれぞれ設けられている。これらの棒金硬貨穴センサ132および棒金硬貨径センサ134は、それぞれ、フォトインララプタセンサ(対向する発光部および受光部を有しており、発光部からの光が物体により遮られることを受光部で検出することによって物体の有無等を判定するセンサ)からなる。図4および図5では、3つの棒金硬貨収納部110、112、114のうち棒金硬貨収納部110を例にして説明する。
図4および図5に示すように、一つの棒金硬貨収納部110に対してこの棒金硬貨収納部110を挟むよう棒金硬貨穴センサ132の発光部および受光部、ならびに棒金硬貨径センサ134の発光部および受光部がそれぞれ筐体102に設けられている。また、棒金収納庫100には、筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量を検出するためのロータリエンコーダ106が1つ設けられている。棒金硬貨穴センサ132の発光部および受光部は、棒金硬貨収納部110を左右方向から挟むよう配設されており、この棒金硬貨穴センサ132は、筐体102から収納ドロア104が引き出されるとき、および収納ドロア104が筐体102に図4および図5の矢印方向に押し込まれて収容されるときに、棒金硬貨収納部110の各棒金硬貨収納部分に収納されている棒金硬貨の穴の有無を検出するようになっている。より詳細には、図5に示すように、棒金硬貨収納部110の各棒金硬貨収納部分の側面には穴検出用のスリット136が設けられており、各棒金硬貨収納部分に収納されている棒金硬貨の中心に穴が設けられている場合には棒金硬貨穴センサ132の発光部からの光が穴検出用のスリット136を通って受光部で受光され、このことにより棒金硬貨が穴空き硬貨(5円硬貨、50円硬貨)であることが検出される。一方、棒金硬貨収納部分に収納されている棒金硬貨の中心に穴が設けられていない場合には棒金硬貨穴センサ132の発光部からの光が棒金硬貨により遮られて受光部で受光されないようになり、このことにより棒金硬貨が穴空き硬貨ではないことが検出される。なお、棒金硬貨穴センサ132が棒金硬貨収納部110におけるどの棒金硬貨収納部分の棒金硬貨を検出しているかについては、ロータリエンコーダ106により検出された筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量に基づいて決められるようになる。
また、棒金硬貨径センサ134の発光部および受光部は、棒金硬貨収納部110を上下方向から挟むよう配設されており、この棒金硬貨径センサ134は、筐体102から収納ドロア104が引き出されるとき、および収納ドロア104が筐体102に図4および図5の矢印方向に押し込まれて収容されるときに、棒金硬貨収納部110の各棒金硬貨収納部分に収納されている棒金硬貨の径の大きさを検出するようになっている。より詳細には、図4に示すように、棒金硬貨収納部110の底面には径大きさ検出用のスリット138が設けられており、各棒金硬貨収納部分に棒金硬貨が収納されていない場合には棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が径大きさ検出用のスリット138を通って受光部で受光される。一方、各棒金硬貨収納部分に棒金硬貨が収納されている場合には棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が棒金硬貨により遮られて受光部で受光されないようになる。そして、棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が棒金硬貨により遮られている間における、ロータリエンコーダ106により検出された筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量に基づいて、この棒金硬貨の径の大きさが算出される。
このようにして、在高検出手段130の棒金硬貨穴センサ132および棒金硬貨径センサ134により、収納ドロア104の各棒金硬貨収納部110、112、114の各棒金硬貨収納部分に棒金硬貨が収納されているか否か、そして収納されている場合にはこの棒金硬貨の径の大きさや穴の有無に基づいて当該棒金硬貨の金種が判別されるようになる。また、在高検出手段130は、棒金硬貨穴センサ132や棒金硬貨径センサ134に限定されることはなく、他の種類のセンサにより、収納ドロア104における各棒金硬貨収納部110、112、114以外の収納部の在高も検出することができるようになっていてもよい。
また、収納ドロア104の現金外収納部124の底面の所定位置にも、棒金硬貨径センサ134用の開口(図示せず)が設けられている。現金外収納部124の底面における開口が設けられる位置は、棒金硬貨径センサ134の発光部から受光部へ送られる光が通過する領域であって、この現金外収納部124に収納された有価媒体では隠れないが(例えば、現金外収納部124の前端または後端近傍の区切られた区域)、この現金外収納部124等を覆う蓋により隠れるような位置となっている。すなわち、現金外収納部124等を覆う蓋は、現金外収納部124の底面における開口を隠すような形状となっている。そして、収納ドロア104が筐体102に完全に収容されたときに、ロータリエンコーダ106の情報に基づいて、この開口が所定の位置にあるはずのタイミングで、棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が受光部で受光されない場合には、予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122および現金外収納部124が蓋で覆われておりこの蓋で遮光が行われたと判断される。一方、棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が受光部で受光された場合には、現金外収納部124等を蓋で閉めていない状態(蓋を閉め忘れた状態)で収納ドロア104が筐体102に収容されたと判断されるようになる。
また、棒金収納庫100には、当該棒金収納庫100において異常状態が発生しているときにこのことを検出する異常状態検出手段140が設けられている(図3参照)。異常状態検出手段140により検出されるべき異常状態は予め複数種類設定されている。具体的には、異常状態検出手段140は、各棒金硬貨収納部110、112、114の各棒金硬貨収納部分に誤った金種の棒金硬貨が収納されていたり、収納ドロア104の先頭や奥に異物が挟まっていたりしたときに、棒金収納庫100において異常状態が発生していると判断するようになっている。異常状態検出手段140により検出されるべき異常状態の種類およびその具体的内容を図6に示す。「現金外収納部蓋忘れ検知」とは、収納ドロア104の予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122および現金外収納部124に対して蓋を閉め忘れた状態で収納ドロア104を筐体102に完全に収容したときに異常状態として検出されることをいう。また、「径穴該当金種なし」とは、各棒金硬貨収納部110、112、114の各棒金硬貨収納部分に、当該棒金硬貨収納部分に対応した金種の棒金硬貨が入れられていないときに異常状態として検出されることをいう。なお、「ドロア1〜3」は、それぞれ各棒金硬貨収納部110、112、114のことを示している。また、「収納位置異常」とは、各棒金硬貨収納部110、112、114の各棒金硬貨収納部分に、当該棒金硬貨収納部分に対応した金種の棒金硬貨が入れられていないときに異常状態として検出されることをいう。また、「最終遮光板位置異常」とは、収納ドロア104の奥に異物が挟まっているときに異常状態として検出されることをいう。また、「ドロア開閉時遮光板チェック」とは、収納ドロア104の先頭に異物が挟まっているときに異常状態として検出されることをいう。
また、異常状態検出手段140により検出されるべき異常状態について、「ハーフロック検知」とは、収納ドロア104を閉めたがハーフロック状態だったときに異常状態として検出されることをいう。また、「速度異常」とは、収納ドロア104を閉める速度が所定値よりも大きかった場合に異常状態として検出されることをいう。また、「センサ異常」とは、棒金硬貨穴センサ132や棒金硬貨径センサ134等の各種センサの調整が失敗した状態のまま棒金収納庫100が使用されているときに異常状態として検出されることをいう。また、「禁止中の引き出し検知」とは、棒金収納庫100の制御部150において収納ドロア104を筐体102から引き出す動作が禁止されているときに収納ドロア104が筐体102から引き出された際に異常状態として検出されることをいう。また、「開許可中トレー異常オープンチェック」とは、筐体102から収納ドロア104を引き出したりこの筐体102に収納ドロア104を収容したりする際に棒金硬貨穴センサ132や棒金硬貨径センサ134等の各種センサに異常が生じたときに異常状態として検出されることをいう。また、「設定変更」とは、棒金収納庫100の稼働中に制御部150において500円の棒金硬貨の巻数の設定が変更されたときに異常状態として検出されることをいう。また、「インタラプタ破損チェック」とは、棒金収納庫100に設けられた棒金硬貨穴センサ132や棒金硬貨径センサ134等のインタラプタセンサが壊れている可能性があるときに異常状態として検出されることをいう。
図6に示すように、異常状態検出手段140により検出されるべき異常状態の各種類には、それぞれ「表示方法1」または「表示方法2」のうちいずれか一方が割り当てられている。そして、異常状態検出手段140により実際に異常状態が検出されたときには、この異常状態の各種類に対応する表示方法に基づいて硬貨釣銭機200の表示部212における表示内容が決まるようになる。ここで、硬貨釣銭機200の記憶部222(後述)には、複数の表示内容が、予め設定された複数の種類の異常状態に関連付けて記憶されるようになっている。そして、硬貨釣銭機200の表示部212は、記憶部222に記憶された複数の表示内容のうち、異常状態検出手段140により検出された異常状態の種類に対応する一の表示内容を表示するようになっている。硬貨釣銭機200の表示部212における表示内容の詳細については後述する。
また、異常状態検出手段140は、収納ドロア104における異常状態が発生した場所の検出も行うことができるようになっている。具体的には、収納ドロア104における異常状態が発生した場所として、図7における(a)〜(j)のうちいずれか一つの場所が異常状態検出手段140により検出されるようになる。ここで、図7における(a)〜(c)の場所は、それぞれ棒金硬貨収納部110、112、114を示しており、図7における(d)の場所は、予備紙幣収納部116、予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122および現金外収納部124を含む領域を示している。また、図7における(e)〜(g)の場所は、それぞれ収納ドロア104における棒金硬貨収納部110、112、114よりも奥の場所を示しており、図7における(h)〜(j)の場所は、それぞれ収納ドロア104における棒金硬貨収納部110、112、114よりも手前の場所(予備紙幣収納部116や予備硬貨収納部118等との境界部分)を示している。例えば、棒金硬貨収納部110のある棒金硬貨収納部分に、当該棒金硬貨収納部分に対応した金種の棒金硬貨が収納されていないときには、場所(a)において異常状態が発生したことが異常状態検出手段140により検出される。また、収納ドロア104における棒金硬貨収納部110の奥に異物が挟まっていたときには、場所(e)において異常状態が発生したことが異常状態検出手段140により検出される。
次に、硬貨釣銭機200の構成の詳細について以下に説明する。図1に示すように、硬貨釣銭機200には硬貨投入口202および硬貨投出口204が設けられており、店員が顧客から受け取った硬貨は硬貨投入口202に投入されることにより硬貨釣銭機200の機体内に収納されるようになっている。また、硬貨釣銭機200から釣銭としての硬貨が機体内から硬貨投出口204に投出されるようになっている。
図3に示すように、硬貨釣銭機200には主制御部220と、記憶部222と、インターフェース224とが設けられている。ここで、硬貨釣銭機200の主制御部220は、インターフェース224により他の装置、具体的には棒金収納庫100、紙幣釣銭機300およびPOSレジスタ400との間でそれぞれ信号の送受信を行うことができるようになっている。また、記憶部222には硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報が記憶されるようになっている。また、図1に示すように、硬貨釣銭機200の筐体の前方上面には表示部212および操作部214が設けられており、表示部212には硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報が表示されるようになっている。また、操作部214は例えば6つの操作キーを有しており、表示部212には各操作キーに対応する操作内容が表示されるようになっている。そして、操作者が各操作キーを押下することにより、表示部212に表示された当該操作キーに対応する操作内容が主制御部220に入力されるようになっている。また、主制御部220は表示部212に指令を送ることによりこの表示部212に様々な情報を表示させるようになっている。
また、図3に示すように、硬貨釣銭機200には硬貨制御部250と、記憶部252と、インターフェース254とが設けられている。硬貨制御部250は主に硬貨釣銭機200の各構成要素の制御を行うようになっている。ここで、硬貨制御部250は、インターフェース254により主制御部220との間で信号の送受信を行うことができるようになっている。また、記憶部252には硬貨釣銭機200における貨幣の処理状況や在高等の情報が記憶されるようになっている。また、図3に示すように、硬貨釣銭機200には硬貨処理部206および硬貨収納部208が設けられている。硬貨収納部208は、硬貨投
入口202により硬貨釣銭機200の機体内に投入された硬貨を金種別に収納するようになっている。また、硬貨処理部206は、硬貨投入口202により硬貨釣銭機200の機体内に投入された硬貨を識別し、識別された硬貨を硬貨収納部208に収納したり、硬貨収納部208に収納された硬貨を硬貨投出口204に投出したりするようになっている。これらの硬貨処理部206や硬貨収納部208は硬貨制御部250により制御されるようになっている。
次に、紙幣釣銭機300の構成の詳細について以下に説明する。図1に示すように、紙幣釣銭機300には紙幣投入口302および紙幣投出口304が設けられており、店員が顧客から受け取った紙幣は紙幣投入口302に投入されることにより紙幣釣銭機300の機体内に収納されるようになっている。また、紙幣釣銭機300から釣銭としての紙幣が機体内から紙幣投出口304に投出されるようになっている。
図3に示すように、紙幣釣銭機300には紙幣制御部350と、記憶部352と、インターフェース354とが設けられている。紙幣制御部350は主に紙幣釣銭機300の各構成要素の制御を行うようになっている。ここで、紙幣制御部350は、インターフェース354により硬貨釣銭機200の主制御部220との間で信号の送受信を行うことができるようになっている。また、記憶部352には紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報が記憶されるようになっている。また、図3に示すように、紙幣釣銭機300には紙幣処理部306および紙幣収納部308が設けられている。紙幣収納部308は、紙幣投入口302により紙幣釣銭機300の機体内に投入された紙幣を金種別に収納するようになっている。また、紙幣処理部306は、紙幣投入口302により紙幣釣銭機300の機体内に投入された紙幣を識別し、識別された紙幣を紙幣収納部308に収納したり、紙幣収納部308に収納された紙幣を紙幣投出口304に投出したりするようになっている。これらの紙幣処理部306や紙幣収納部308は紙幣制御部350により制御されるようになっている。
次に、POSレジスタ(金銭登録機)400の構成の詳細について以下に説明する。前述したように、POSレジスタ400は店員等の操作者により操作されるようになっており、このPOSレジスタ400により店員等の操作者は硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300の操作を行うようになっている。図1に示すように、POSレジスタ400には、取引内容等のPOSレジスタ本来の情報に加えて硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報を表示可能な表示部412、および複数の操作キーからなる操作部414がそれぞれ設けられている。
図3に示すように、POSレジスタ400には制御部420と、記憶部422と、インターフェース424とが設けられている。ここで、POSレジスタ400の制御部420は、インターフェース424により他の装置、具体的には硬貨釣銭機200や店舗サーバ500との間でそれぞれ信号の送受信を行うことができるようになっている。また、記憶部422には硬貨釣銭機200の主制御部220から送信された、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報が記憶されるようになっている。また、制御部420には表示部412および操作部414がそれぞれ接続されており、制御部420は表示部412に指令を送ることにより、表示部412には硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報が表示されるようになっている。また、店員等の操作者は操作部414の各操作キーを押下することにより、様々な操作内容を制御部420に入力することができるようになっている。
また、図3に示すように、POSレジスタ400にはカードリーダ426およびプリンタ428がそれぞれ設けられている。カードリーダ426は、店員等の操作者が携帯するIDカードの読み取りを行うようになっており、このようなIDカードの読み取りをカードリーダ426で行うことによって制御部420において操作者の操作権限等の確認が行われるようになっている。また、プリンタ428により、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における貨幣の処理状況や在高等の情報が印字されるようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作について説明する。具体的には、硬貨釣銭機200に設けられた表示部212の表示内容の推移について図8および図9を用いて説明する。
硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300の待機時には、図8のSTEP1に示すように、硬貨釣銭機200の表示部212には図9(a)に示すような待機画面が表示される。この待機画面では、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300に収納された貨幣の金種毎の枚数が表示される。なお、表示部212における待機画面において、図9(a)に示すような硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300に収納された貨幣の金種毎の枚数を示す画面から、棒金収納庫100に収納された棒金硬貨等の貨幣の金種毎の枚数(あるいは本数)や在高を示す画面に切り替えることができるようになっていてもよい。
貨幣処理システム1の動作中に、棒金収納庫100において異常状態が発生したことが異常状態検出手段140により検出されたときには(図8のSTEP2の「YES」)、硬貨釣銭機200の表示部212には図9(b)に示すような収納ドロア開指令画面が表示される(図8のSTEP3)。このような収納ドロア開指令画面では、棒金収納庫100の手前側の収納ドロア104の画像とともに、「ドロアを手前いっぱいまで引き出してください。」というメッセージが表示される。なお、異常状態検出手段140により検出される異常状態の種類としては、図6に示すようなものが挙げられる。また、異常状態検出手段140は、収納ドロア104における異常状態が発生した場所として、図7の(a)〜(j)の場所の中から一つの場所を検出する。
そして、操作者により収納ドロア104が筐体102から完全に引き出されて全開の状態になると(図8のSTEP4の「YES」)、硬貨釣銭機200の表示部212には復旧指令画面が表示される。一方、硬貨釣銭機200の表示部212に図9(b)に示すような収納ドロア開指令画面が表示されているときに、操作者がこの画面の「戻る」に対応する操作部214の操作キーを押下すると、棒金収納庫100における異常状態が解除されないままであっても、硬貨釣銭機200の表示部212における表示画面は図9(a)に示すような待機画面に戻るようになる。
本実施の形態では、異常状態検出手段140により検出される異常状態の種類によって、硬貨釣銭機200の表示部212に表示される復旧指令画面の内容が異なるようになっている。前述したように、硬貨釣銭機200の記憶部222には、復旧指令画面に関する複数の表示内容が、予め設定された複数の種類の異常状態に関連付けて記憶されるようになっている。そして、硬貨釣銭機200の表示部212は、記憶部222に記憶された複数の表示内容のうち、異常状態検出手段140により検出された異常状態の種類に対応する一の表示内容を表示するようになっている。
具体的には、図6において表示方法1であると示された異常状態(「現金外収納部蓋忘れ検知」「径穴該当金種なし」「収納位置異常」「最終遮光板位置異常」「ドロア開閉時遮光板チェック」)の場合には、硬貨釣銭機200の表示部212には図9(c)に示すような第1の復旧指令画面が表示される(STEP5)。この第1の復旧指令画面では、収納ドロア104における異常状態が発生した場所がレイアウト図で示されるとともに(図9(c)では異常状態が発生した場所を斜線で表示)、「金種間違い、ごみなどを確認してください。」「ドロアをゆっくりとセットしてください。」というメッセージが表示される。なお、異常状態が「現金外収納部蓋忘れ検知」である場合には、図9(c)に示すような第1の復旧指令画面において、「金種間違い、ごみなどを確認してください。」というメッセージの代わりに、「収納ボックス蓋をセットしてください。」というメッセージが表示されるようになっている。
一方、図6において表示方法2であると示された異常状態(「ハーフロック検知」「速度異常」「センサ異常」「禁止中の引き出し検知」「開許可中トレー異常オープンチェック」「設定変更」「インタラプタ破損チェック」)の場合には、硬貨釣銭機200の表示部212には図9(d)に示すような第2の復旧指令画面が表示される(STEP6)。この第2の復旧指令画面では、収納ドロア104を筐体102に収容させる方向を示す矢印を含むイラストで示されるとともに、「ドロアをゆっくりとセットしてください。」というメッセージが表示される。このように2つの復旧指令画面を設けた理由について以下に説明する。図6において表示方法1であると示された異常状態では、棒金収納庫100を復旧させるにあたり、操作者は誤った金種の棒金硬貨を収納ドロア104から取り出したり収納ドロア104に挟まれた異物を取り除いたりする必要があるため、このような作業をメッセージで表示するとともに収納ドロア104において異常状態が発生した場所を画像で示すことにより操作者が復旧作業を行うのを手助けすることで復旧作業の効率を上げることができる。一方、図6において表示方法2であると示された異常状態では、棒金収納庫100を復旧させるにあたり操作者は単に収納ドロア104を筐体102内に戻せばいいため、収納ドロア104において異常状態が発生した場所を画像で示す必要はなく、操作者に対して収納ドロア104を筐体102に収容させることをアドバイスするだけでよい。このように、異常状態の種類によって復旧指令画面の内容を変えることにより、操作者に対してより的確な指令を与えることができるようになる。なお、本実施の形態では2つの復旧指令画面が設けられているが、必要に応じて復旧指令画面の数を3つ以上としてもよい。
その後、操作者により所定の復旧操作が行われると(図8のSTEP7、8の「YES」)、図8のSTEP9に示すように、硬貨釣銭機200の表示部212における表示画面は図9(a)に示すような待機画面に戻るようになる。なお、硬貨釣銭機200の表示部212に図9(c)(d)に示すような復旧指令画面が表示されているときに、操作者がこの画面の「戻る」に対応する操作部214の操作キーを押下した場合でも、硬貨釣銭機200の表示部212における表示画面は図9(a)に示すような待機画面に戻るようになる。また、硬貨釣銭機200の表示部212に図9(c)(d)に示すような復旧指令画面が表示されているときに、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300、あるいはPOSレジスタ400において取引に関する操作が行われた場合でも、硬貨釣銭機200の表示部212における表示画面は図9(a)に示すような待機画面に戻るようになる。
本実施の形態では、硬貨釣銭機200の表示部212における表示内容に関して図10に示すような優先度が設けられている。すなわち、優先度が最も高いのは「釣銭機で異常状態発生」の場合であり、「POSレジスタからの指示」「棒金収納庫で異常状態発生」「釣銭機の通常操作画面」の順に優先度が低くなる。具体的に説明すると、硬貨釣銭機200の表示部212には、通常時には、図9(a)に示すような待機画面のような釣銭機の通常の操作画面が表示されているが、棒金収納庫100において異常状態検出手段140が棒金収納庫100の異常状態を検出したときには、図9(b)〜(d)に示すような
棒金収納庫100の異常状態に関する情報が釣銭機の通常の操作画面よりも優先的に硬貨釣銭機200の表示部212に表示されるようになる。また、硬貨釣銭機200の表示部212に、棒金収納庫100の異常状態に関する情報や、釣銭機の通常の操作画面が表示されているときでも、POSレジスタ400から硬貨釣銭機200に指示が与えられたときには、POS取引は貨幣処理システム1の正常稼働時の最優先事項であるため、POSレジスタ400から硬貨釣銭機200に与えられた指示に関する情報が優先的に硬貨釣銭機200の表示部212に表示されるようになる。また、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300において異常状態が発生した場合には、このような異常はシステム異常のため、硬貨釣銭機200の表示部212にはこの硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300における異常状態の情報が最優先で表示されるようになる。このように、硬貨釣銭機200の表示部212における表示内容に関して図10に示すような優先度を設けることにより、様々なイベントやトラブルの発生時に本当に必要な情報が硬貨釣銭機200の表示部212に表示されるようになる。なお、優先順位が高い情報が表示されている状態であっても、所定の操作が行われることにより、優先順位が低い情報の表示に切り替えることが可能である。
以上のように本実施の形態の貨幣処理システム1によれば、複数の棒金硬貨を収納可能な棒金収納庫100とは別に、この棒金収納庫100の状態情報を表示するための表示部を有する外部装置が設けられている。このように、棒金収納庫100とは別に設けられた外部装置の表示部にこの棒金収納庫100の状態情報を表示させることにより、棒金収納庫100に設けられた表示ランプにこの棒金収納庫100の状態情報を表示させる場合と比較して、操作者が棒金収納庫100の状態情報をより容易かつ確実に確認することができる。すなわち、棒金収納庫100に設けられた表示ランプにこの棒金収納庫100の状態情報を表示させる場合には、各表示ランプにおける表示内容と、各棒金硬貨収納部分との間の位置対応関係がわかりにくいという問題がある。具体的には、ある表示ランプにおいて赤色が点灯しているが、どの棒金硬貨収納部分で棒金硬貨が適切に収納されていないのかが一目で分からないという問題がある。また、棒金収納庫100において収納異常状態が発生したことが表示ランプに表示されたときに、操作者がどのような対処を行えばよいかが分かりにくいという問題がある。さらに、棒金収納庫100の収納ドロア104の前面に複数の表示ランプを設けた場合には、このような各表示ランプによる表示が小さい上に、棒金収納庫100は硬貨釣銭機200、紙幣釣銭機300、POSレジスタ400の下方に配置されるため、各表示ランプの表示内容を位置的に見にくいという問題があり、ある表示ランプが赤色に点灯している場合でも操作者が見逃してしまうおそれがある。これに対し、本実施の形態による貨幣処理システム1では、このような問題を解消することができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、上述のように、棒金収納庫100において異常状態が発生しているときにこのことを検出する異常状態検出手段140が設けられており、外部装置の表示部(例えば、硬貨釣銭機200の表示部212)は、状態情報として異常状態検出手段140により検出された異常状態に関する情報を表示するようになっている。
ここで、図6に示すように、異常状態検出手段140により検出されるべき異常状態は予め複数種類設定されており、外部装置の表示部(例えば、硬貨釣銭機200の表示部212)は、異常状態検出手段140により検出された異常状態の種類によって表示内容を変えるようになっている(図9(c)(d)参照)。
また、この場合、硬貨釣銭機200の記憶部222において、複数の表示内容が、予め設定された複数の種類の異常状態に関連付けて記憶されるようになっており、外部装置の表示部(例えば、硬貨釣銭機200の表示部212)は、記憶部222に記憶された複数の表示内容のうち、異常状態検出手段140により検出された異常状態の種類に対応する一の表示内容を表示するようになっている。
なお、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、外部装置の表示部(例えば、硬貨釣銭機200の表示部212)は、状態情報として、異常状態検出手段140により検出された異常状態に関する情報の代わりに、あるいはこの情報に加えて、在高検出手段130により検出された棒金収納庫100の在高を表示するようになっていてもよい。
本実施の形態の貨幣処理システム1においては、外部装置は、貨幣の処理を行う貨幣処理装置(具体的には、硬貨釣銭機200)であり、この硬貨釣銭機200の表示部212は、図10の表に示すように、異常状態検出手段140によって棒金収納庫100において異常状態が発生していることが検出されたときに硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等の貨幣処理装置の操作画面(具体的には、図9(a)に示すような待機画面)よりも異常状態検出手段140により検出された棒金収納庫100の異常状態に関する情報を優先して表示するようになっている。また、硬貨釣銭機200の表示部212は、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等の貨幣処理装置において異常状態が発生しているときに、棒金収納庫100の状態情報よりも貨幣処理装置の異常状態に関する情報を優先して表示するようになっている。
なお、本実施の形態では、棒金収納庫100の状態情報を表示するための表示部は、硬貨釣銭機200の表示部212に限定されることはない。硬貨釣銭機200の表示部212の代わりに、あるいはこの表示部212に加えて、POSレジスタ400の表示部412が棒金収納庫100の状態情報(具体的には、異常状態検出手段140により検出された棒金収納庫100の異常状態に関する情報や在高検出手段130により検出された棒金収納庫100の在高に関する情報)が表示されるようになっていてもよい。棒金収納庫100の状態情報をPOSレジスタ400の表示部412に表示させる場合には、この表示部412は硬貨釣銭機200の表示部212よりも大きいため、操作者にとって棒金収納庫100の状態情報をより見やすくなる。
また、本実施の形態では、図10の表に示すように、硬貨釣銭機200の表示部212は、棒金収納庫100の状態情報よりもPOSレジスタ400から硬貨釣銭機200に送信された指示内容を優先して表示するようになっている。
本実施の形態による棒金収納庫100では、当該棒金収納庫100において異常状態が発生しているときにこのことを検出する異常状態検出手段140と、異常状態検出手段140により検出された異常状態に関する情報をこの棒金収納庫100とは別に設けられた外部装置に送信する通信部(具体的には、インターフェース154)とがそれぞれ設けられている。このような棒金収納庫100によれば、当該棒金収納庫100とは別に設けられた外部装置の表示部にこの棒金収納庫100の状態情報を表示させることにより、棒金収納庫100に設けられた表示ランプにこの棒金収納庫100の状態情報を表示させる場
合と比較して、操作者が棒金収納庫100の状態情報をより容易かつ確実に確認することができる。
なお、本実施の形態による貨幣処理システム1は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、棒金収納庫100の収納ドロア104に設けられる各収納部は、図2や図7に
示すようなものに限定されることはない。他の種類の収納ドロア104aとして、図11に示すような、複数の棒金硬貨が図11における上下方向に沿って一列に並ぶよう収納される棒金硬貨収納部126のみが複数(具体的には、6つ)設けられたような構成としてもよい。図11に示すような収納ドロア104aでは、2つの棒金硬貨収納部126はそれぞれ、500円の棒金硬貨が収納可能な1つの棒金硬貨収納部分と、100円の棒金硬貨が収納可能な4つの棒金硬貨収納部分とを有しており、別の2つの棒金硬貨収納部126は、50円の棒金硬貨が収納可能な1つの棒金硬貨収納部分と、10円の棒金硬貨が収納可能な4つの棒金硬貨収納部分とを有しており、更に別の2つの棒金硬貨収納部126は、5円の棒金硬貨が収納可能な1つの棒金硬貨収納部分と、1円の棒金硬貨が収納可能な4つの棒金硬貨収納部分とを有している。このような態様によれば、棒金硬貨の収納本数を多くすることができる。
また、図11に示すような収納ドロア104aが用いられる場合には、異常状態検出手段140は、異常状態が発生した場所として、図11における(a)〜(l)のうちいずれか一つの場所を検出するようになる。ここで、図11における(a)〜(f)の場所は、それぞれ各棒金硬貨収納部126を示している。また、図11における(g)〜(i)の場所は、それぞれ収納ドロア104aにおける後列の各棒金硬貨収納部126よりも奥の場所を示しており、図11における(j)〜(l)の場所は、それぞれ収納ドロア104aにおける前列の各棒金硬貨収納部126よりも手前の場所を示している。例えば、図11における左上の棒金硬貨収納部126のある棒金硬貨収納部分に、当該棒金硬貨収納部分に対応した金種の棒金硬貨が収納されていないときには、場所(a)において異常状態が発生したことが異常状態検出手段140により検出される。また、収納ドロア104aにおける左上の棒金硬貨収納部126の奥に異物が挟まっていたときには、場所(g)において異常状態が発生したことが異常状態検出手段140により検出される。
図11に示すような収納ドロア104aが用いられた場合でも、本実施の形態では、棒金収納庫100とは別に設けられた外部装置の表示部(例えば、硬貨釣銭機200の表示部212)にこの棒金収納庫100の状態情報を表示させるようになっており、このことにより、棒金収納庫100に設けられた表示ランプにこの棒金収納庫100の状態情報を表示させる場合と比較して、操作者が棒金収納庫100の状態情報をより容易かつ確実に確認することができる。
また、本実施の形態では、棒金収納庫100の収納ドロアのレイアウトパターンを変更可能となっていてもよい。すなわち、棒金収納庫100の筐体102に対し、図2に示すような収納ドロア104、および図11に示すような収納ドロア104aを選択的に収容させることができるようになっていてもよい。具体的には、棒金収納庫100の筐体102に図2に示すような収納ドロア104が収容されているときに、この収納ドロア104を筐体102から取り外して代わりに図11に示すような収納ドロア104aを収容させることができるようになる。この場合には、棒金収納庫100には、筐体102にどの種
類の収納ドロアが収容されたかを検出するための収納ドロア種類検出手段(図示せず)が設けられていてもよい。より詳細には、各収納ドロア104、104aにそれぞれ、収納ドロアの種類に関する情報が記憶されたICタグ等が設けられており、筐体102には各収納ドロア104、104aに設けられたICタグの情報を読み取るICタグリーダが設けられている。そして、各収納ドロア104、104aが筐体102に収容されたときにこの収納ドロア104、104aに設けられたICタグの情報がICタグリーダにより読み取られることにより筐体102に収容された収納ドロアの種類が検出される。そして、収納ドロア種類検出手段により検出された収納ドロアの種類に関する情報に基づいて、硬貨釣銭機200の表示部212に表示される収納ドロアの各収納部の表示内容が変わるようになる。具体的には、図2に示すような収納ドロア104が筐体102に収容されたときには、棒金収納庫100に関する情報(例えば、異常状態の発生場所に関する情報)が硬貨釣銭機200の表示部212に表示される際に、この表示部212には、3つの棒金硬貨収納部110、112、114、予備紙幣収納部116、予備硬貨収納部118、オーバーフロー硬貨収納部120、損貨収納部122、現金外収納部124がそれぞれ表示される。一方、図11に示すような収納ドロア104aが筐体102に収容されたときには、棒金収納庫100に関する情報が硬貨釣銭機200の表示部212に表示される際に、この表示部212には、6つの棒金硬貨収納部126がそれぞれ表示される。このように、本実施の形態では、棒金収納庫100の収納ドロアのレイアウトパターンをユーザーニーズに合ったものに変更可能となっている。
また、硬貨釣銭機200の表示部212に、異常状態検出手段140により検出された棒金収納庫100の異常状態に関する情報を表示する際に、図7や図11に示すような、棒金硬貨収納部110、112、114や棒金硬貨収納部126のエリア単位ではなく、これらの棒金硬貨収納部における個別の棒金硬貨収納部分単位で異常状態の発生場所を表示してもよい。すなわち、異常状態の発生場所に係る情報として、例えば棒金硬貨収納部110における前から2番目の棒金硬貨収納部分で異常状態が発生したことを硬貨釣銭機200の表示部212に表示させてもよい。
また、棒金収納庫100における棒金硬貨の在高を検出するための在高検出手段130は、図4および図5に示すような、筐体102に設けられた棒金硬貨穴センサ132および棒金硬貨径センサ134からなるものに限定されることはない。他の態様として、収納ドロア104の各棒金硬貨収納部110、112、114の各棒金硬貨収納部分にそれぞれ棒金硬貨検出手段が設けられていてもよい。この場合には、各棒金硬貨収納部110、112、114の各棒金硬貨収納部分にそれぞれ設けられた棒金硬貨検出手段は、例えば棒金硬貨有無検出センサ、棒金硬貨材質検出センサ、棒金硬貨長さ検出センサ等からなり、各棒金硬貨収納部分に設けられた棒金硬貨検出手段による棒金硬貨の検出情報に基づいて、棒金収納庫100における棒金硬貨の在高が検出される。このような態様では、収納ドロア104の開閉を行わなくても、棒金収納庫100における棒金硬貨の在高や、棒金収納庫100において異常状態が発生したか否かを即座に検出することができるようになる。
また、異常状態検出手段140により棒金収納庫100の異常状態が検出されていない場合でも、棒金収納庫100において収納ドロア104に棒金硬貨が収納された状態でこの収納ドロア104が筐体102から引き出されてドロア開状態となった後、所定時間(例えば、1分)放置されたときには、操作者に対して筐体102に収納ドロア104を収容させる動作を促進するために、硬貨釣銭機200の表示部212においてドロア閉を操作者に催促する指令画面(例えば、図9(d)に示すような画面)が表示されるようになっていてもよい。
また、更なる変形例として、棒金収納庫100の筐体102から収納ドロア104を引き出す方法を自在に変更することができるようになっていてもよい。すなわち、上述した実施の形態では、棒金収納庫100にはロック機構160が設けられており、操作者が筐体102から収納ドロア104を引き出す際に、収納ドロア104を筐体102の奥方に更に押し込むことによりロック機構160による収納ドロア104のロックが解除され、さらに筐体102の内部奥方に設けられたバネ部材(図示せず)により、ロックが解除された収納ドロア104が筐体102の前方に飛び出すような方法が用いられているが、このような方法に加えて、POSレジスタ400から硬貨釣銭機200の主制御部220に収納ドロアの開指令が与えられることにより、ロック機構160による収納ドロア104のロックが自動的に解除されてこの収納ドロア104が引き出し可能となるような方法が選択的に行われるようになっていてもよい。この場合には、操作者は、硬貨釣銭機200の表示部212や操作部214、あるいはPOSレジスタ400によって、収納ドロア104を引き出す方法をどちらの方法にするかについて選択することができるようになっており、選択された収納ドロア104の開方法が用いられるようになる。
また、本実施の形態では、操作者が硬貨釣銭機200の表示部212や操作部214、あるいはPOSレジスタ400を操作することによって、棒金収納庫100の電源のオン/オフの切り替えを行うことができるようになっていてもよい。
また、硬貨釣銭機200にブザーを設置しておき、硬貨釣銭機200の表示部212に、異常状態検出手段140により検出された棒金収納庫100の異常状態に関する情報を表示する際に、ブザーにより警告音を発するようにし、操作者に対して視覚的効果および聴覚的効果を併用して棒金収納庫100の異常状態を報知するようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、棒金収納庫100において異常状態が発生したときに、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等の運用から棒金収納庫100を切り離すことができるようになっていてもよい。具体的に説明すると、従来では、棒金収納庫100において異常状態が発生したときには、貨幣処理システム1全体としてシステムエラー状態となってしまい、このような棒金収納庫100における異常状態が解除されるまでの間、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等でも取引を行うことができなかった。このように、従来では、通常の取引において棒金収納庫100が使用されないにもかかわらず、このような棒金収納庫100にて異常状態が発生したときに硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等でも取引を行うことができなかったため、操作者にとって非常に不便であるという問題があった。
これに対し、本実施の形態では、棒金収納庫100において異常状態が発生した際に、硬貨釣銭機200の表示部212において操作部214のある操作キーに対応する箇所に、「切り離し」の指令が表示されるようになっていてもよい(図12参照)。そして、操作者がこの「切り離し」の指令に対応する操作部214の操作キーを押下することにより、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等の運用から棒金収納庫100が切り離されるようになる。このような棒金収納庫100の切り離しを、「縮退運用」ともいう。そして、操作者が表示部212に表示された「切り離し」の指令に対応する操作部214の操作キーを押下した後、表示部212に表示された「リセット」の指令に対応する操作部214の操作キーを押下することにより、表示部212には図9(a)に示すような待機画面が表示され、硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300の運用が可能となり、紙幣や硬貨の取引を行うことができるようになる。なお、縮退運用中に表示される待機画面に、縮退運用中である旨を示すマーク等を付加してもよい。
また、上述のような縮退運用を行った場合でも、収納ドロア104が筐体102に収容された際にロック機構160により収納ドロア104のロックを行うことができるようになっていてもよい。このことにより、棒金収納庫100において異常状態が発生し、この棒金収納庫100の運用が硬貨釣銭機200や紙幣釣銭機300等から切り離された場合でも、ロック機構160により収納ドロア104のロックを行うことによって収納ドロア104内の棒金硬貨等が盗難されることを防止することができ、セキュリティを向上させることができる。
また、上述した態様では、棒金収納庫100において、筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量を検出するためのロータリエンコーダ106が1つ設けられた例について説明したが、変形例として、2つのロータリエンコーダ106が棒金収納庫100の筐体102の幅方向における両端部にそれぞれ設けられるような態様が用いられてもよい。この場合には、棒金硬貨径センサ134により棒金硬貨の径の大きさが検出される際に、収納ドロア104が筐体102に対して傾いた場合でも、棒金硬貨の径の大きさを精度良く検出することができるようになる。このような変形例の詳細について図13および図14を用いて以下に説明する。なお、図13は、棒金収納庫100にロータリエンコーダ106が1つしか設けられていない場合における、筐体102からの収納ドロア104の引き出し動作を上方から見たときの図であり、図14は、棒金収納庫100にロータリエンコーダ106が2つ設けられている場合における、筐体102からの収納ドロア104の引き出し動作を上方から見たときの図である。
棒金収納庫100にロータリエンコーダ106が1つしか設けられていない場合には、図13に示すように筐体102から収納ドロア104を引き出す際にこの収納ドロア104が筐体102に対して傾いてしまったときに、棒金硬貨径センサ134により棒金硬貨の径の大きさが検出される際に実際の棒金硬貨の径の大きさと棒金硬貨径センサ134により検出された棒金硬貨の径の大きさとが異なってしまうときがある。すなわち、棒金硬貨の径の大きさを検出する際に、前述のように、棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が棒金硬貨により遮られて受光部により受光されない間における、ロータリエンコーダ106により検出された筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量に基づいて、この棒金硬貨の径の大きさが検出されるが、筐体102から収納ドロア104を引き出す際にこの収納ドロア104が筐体102に対して傾いてしまうと、当該収納ドロア104に収納された棒金硬貨も筐体102に対して傾いてしまい、棒金硬貨が筐体102に対して傾いていない場合と比較して、棒金硬貨径センサ134の発光部からの光が棒金硬貨により遮光される時間が変化してしまう。このため、棒金硬貨径センサ134により検出された棒金硬貨の径の大きさに誤差が生じてしまい、棒金硬貨の金種を正確に判定できないという問題がある。
これに対して、図14(a)に示すように、2つのロータリエンコーダ106が棒金収納庫100の筐体102の幅方向における両端部にそれぞれ設けられた場合には、2つのロータリエンコーダ106の各々により検出される筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量に基づいて、棒金硬貨の径の大きさの補正が行われる。具体的には、図14(b)に示すように、径の大きさが検出されるべき棒金硬貨に対応する棒金硬貨径センサ134と、一方のロータリエンコーダ106(例えば、図14における下方に位置するロータリエンコーダ106)との間の距離をd1とし、一対のロータリエンコーダ106間の距離をd2とする。このときに、図14における下方に位置するロータリエンコーダ106により検出される収納ドロア104の引き出し量に基づいて算出された棒金硬貨の径の大きさE1と、図14における上方に位置するロータリエンコーダ106により検出される収納ドロア104の引き出し量に基づいて算出された棒金硬貨の径の大きさE2とに基づいて、下記式により棒金硬貨の径の大きさの補正値E3が算出される。
E3=(E2−E1)×(d1÷d2)
そして、図14における下方に位置するロータリエンコーダ106に対応する棒金硬貨の径の大きさE1に、補正値E3を加えた値が、補正後の棒金硬貨の径の大きさEとなる。
E=E1+E3
このように、2つのロータリエンコーダ106を棒金収納庫100の筐体102の幅方向における両端部にそれぞれ設けるとともに、2つのロータリエンコーダ106の各々により検出される筐体102に対する収納ドロア104の引き出し量に基づいて、棒金硬貨の径の大きさの補正を行うことによって、筐体102から収納ドロア104を引き出す際にこの収納ドロア104が筐体102に対して傾いてしまった場合でも、検出される棒金硬貨の径の大きさの誤差をできるだけ小さくすることができるようになる。