A.第1実施形態
A−1.半導体装置の構成
図1は、第1実施形態における半導体装置100の構成を模式的に示す断面図である。図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。図1のXYZ軸のうち、X軸は、図1の紙面左から紙面右に向かう軸である。+X軸方向は、紙面右に向かう方向であり、−X軸方向は、紙面左に向かう方向である。図1のXYZ軸のうち、Y軸は、図1の紙面手前から紙面奥に向かう軸である。+Y軸方向は、紙面奥に向かう方向であり、−Y軸方向は、紙面手前に向かう方向である。図1のXYZ軸のうち、Z軸は、図1の紙面下から紙面上に向かう軸である。+Z軸方向は、紙面上に向かう方向であり、−Z軸方向は、紙面下に向かう方向である。
本実施形態では、半導体装置100は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置100は、縦型ショットキーバリアダイオードである。本実施形態では、半導体装置100は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置100は、基板110と、半導体層112と、絶縁膜130と、ショットキー電極150と、パッド電極160と、カソード電極170とを備える。
半導体装置100の基板110は、X軸およびY軸に沿って広がる板状を成す半導体である。本実施形態では、基板110は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本明細書の説明において、「窒化ガリウム(GaN)から主に成る」とは、モル分率において窒化ガリウム(GaN)を90%以上含有することを意味する。本実施形態では、基板110は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有するn型半導体である。本実施形態では、基板110に含まれるケイ素(Si)濃度の平均値は、約1×1018cm−3である。
半導体装置100の半導体層112は、基板110の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるn型半導体層である。本実施形態では、半導体層112は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層112は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有する。本実施形態では、半導体層112に含まれるケイ素(Si)濃度の平均値は、約1×1016cm−3である。本実施形態では、半導体層112の厚み(Z軸方向の長さ)は、約5μm(マイクロメートル)である。本実施形態では、半導体層112は、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって形成された半導体層である。
半導体装置100の絶縁膜130は、電気絶縁性を有し、半導体層112の上に形成された膜である。本実施形態では、絶縁膜130は、半導体層112の表面を保護する保護膜であり、半導体層112の表面を被覆する。絶縁膜130は、絶縁層133と絶縁層134とを含む。
絶縁膜130の絶縁層133は、半導体層112の上に形成され、半導体層112に隣接する。本実施形態では、絶縁層133の厚み(Z軸方向の長さ)は、約100nm(ナノメートル)である。
本実施形態では、絶縁層133の比誘電率は、6以上である。本実施形態では、絶縁層133は、アルミニウム(Al)の酸化物である酸化アルミニウム(Al2O3)から主に成る。本明細書の説明において、「酸化アルミニウム(Al2O3)から主に成る」とは、モル分率において酸化アルミニウム(Al2O3)を90%以上含有することを意味する。
絶縁層133は、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)によって成膜され、絶縁層131と絶縁層132とを含む。絶縁層131は、半導体層112に隣接する第1の絶縁層である。絶縁層132は、絶縁層131の上に形成され、絶縁層131と同種材料から成る第2の絶縁層である。絶縁層131の結晶性は、絶縁層132より高い。
本実施形態では、絶縁層131は、半導体層112から5nm以内の範囲に形成されている。本実施形態では、絶縁層131の厚み(Z軸方向の長さ)は、約3〜5nmである。
本実施形態では、絶縁層131は、負電荷を帯びた微結晶から主に成る絶縁層である。本明細書の説明において、「微結晶から主に成る」とは、体積比において微結晶を90%以上含有することを意味する。本実施形態では、絶縁層131に帯びている負電荷は、固定電荷である。絶縁層131における負の電荷密度の絶対値は、1×1012cm−2以上が好ましく、5×1012cm−2以上がいっそう好ましく、1×1013cm−2以上がさらに好ましい。また、絶縁膜130の電気絶縁性を十分に確保する観点から、絶縁層131における負の電荷密度の絶対値は、1×1016cm−2以下が好ましい。
絶縁膜130の絶縁層134は、絶縁層133の上に形成され、非晶質から主に成る他の絶縁膜である。本実施形態では、絶縁層134は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。本実施形態では、絶縁層134の厚み(Z軸方向の長さ)は、約500nmである。本実施形態では、絶縁層134は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD:Plasma Chemical Vapor Deposition)によって成膜された絶縁層である。
絶縁膜130には、絶縁膜130を貫通する開口部138が形成されている。開口部138は、半導体層112が露出するまで絶縁膜130の一部を半導体層112の上からウエットエッチングによって除去した構造である。
半導体装置100のショットキー電極150は、導電性材料から成り、半導体層112にショットキー接合されたアノード電極である。ショットキー電極150は、絶縁膜130の開口部138の内側における半導体層112の上から、絶縁膜130の上にわたって形成されている。これによって、ショットキー電極150の端部は、半導体層112との間に絶縁膜130を挟むフィールドプレート構造を構成する。絶縁膜130の端部とショットキー電極150の端部との間の距離De1は、電界集中を緩和する観点から、2μm(マイクロメートル)以上から好ましく、5μm以上がいっそう好ましく、10μm以上が更に好ましい。半導体装置100を微細化する観点から、距離De1は、1mm(ミリメートル)以下が好ましい。
本実施形態では、ショットキー電極150は、電子ビーム蒸着によって、半導体層112側から順に、厚さ約100nmのニッケル(Ni)から成る層と、厚さ約100nmのパラジウム(Pd)から成る層と、厚さ約20nmのモリブデン(Mo)から成る層とを積層した電極である。
半導体装置100のパッド電極160は、導電性材料から成り、ショットキー電極150の上から絶縁膜130の上にわたって形成されたアノード電極である。ショットキー電極150の端部とパッド電極160の端部との間の距離De2は、電極の密着性を向上させるとともに半導体層112への電極材料の拡散を抑制する観点から、3μm以上から好ましく、5μm以上がいっそう好ましく、10μm以上が更に好ましい。半導体装置100を微細化する観点から、距離De2は、1mm以下が好ましい。
本実施形態では、パッド電極160は、スパッタ蒸着によって、ショットキー電極150側から順に、厚さ約20nmのチタン(Ti)から成る層と、厚さ約200nmの窒化チタン(TiN)から成る層と、厚さ約20nmのチタン(Ti)から成る層と、厚さ約4μmのアルミニウム−ケイ素合金(AlSi)から成る層とを積層した電極である。
半導体装置100のカソード電極170は、導電性材料から成り、基板110の−Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、カソード電極170は、スパッタ蒸着によってチタン(Ti)から主に成る層にアルミニウム−ケイ素合金(AlSi)から成る層を積層した電極である。
A−2.半導体装置の製造方法
図2は、第1実施形態における半導体装置100の製造方法を示す工程図である。半導体装置100の製造者は、基板110の上に半導体層112をエピタキシャル成長によって形成する(工程P110)。本実施形態では、製造者は、有機金属気相成長法(MOCVD)を実現するMOCVD装置を用いたエピタキシャル成長によって、半導体層112を形成する。
半導体層112を形成した後(工程P110)、製造者は、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって、半導体層112の上に絶縁層133を成膜する(工程P132)。これによって、半導体層112の上には、絶縁層131と絶縁層132とを含む絶縁層133が形成される。絶縁層131は、半導体層112に隣接し、絶縁層132は、絶縁層131の上に形成され、絶縁層131の結晶性は、絶縁層132より高い。
絶縁層131は、負電荷を帯びており、その負電荷は、固定電荷である。絶縁層131における負の電荷密度の絶対値は、1×1012cm−2以上が好ましく、5×1012cm−2以上がいっそう好ましく、1×1013cm−2以上がさらに好ましい。また、絶縁膜130の電気絶縁性を十分に確保する観点から、絶縁層131における負の電荷密度の絶対値は、1×1016cm−2以下が好ましい。
本実施形態では、絶縁層131,132は、アルミニウム(Al)の酸化物である酸化アルミニウム(Al2O3)から主に成り、絶縁層132の比誘電率は、6以上である。本実施形態では、絶縁層133の厚みは、約100nmであり、そのうち、絶縁層131は、半導体層112から5nm以内の範囲に形成され、絶縁層131の厚みは、約3〜5nmである。
絶縁層133の成膜(工程P132)において、絶縁層131,132を形成する処理温度は、100℃以上400℃以下であればよく、本実施形態では、約300℃である。処理温度を100℃以上とすることによって絶縁層131,132における絶縁性を十分に確保できるとともに、処理温度を400℃以下とすることによって気相原料の分解を抑制できるため絶縁層131,132を効率的に形成できる。
絶縁層133の成膜(工程P132)において、酸素(O2)プラズマを発生させるプラズマ電力は、100W(ワット)以上1000W以下であればよく、本実施形態では、500Wである。プラズマ電力を100W以上とすることによって絶縁層131,132における絶縁性を十分に確保できるとともに、プラズマ電力を1000W以下とすることによって半導体層112の損傷による半導体装置100の耐圧低下を抑制できる。
絶縁層133の成膜(工程P132)において、酸素(O2)プラズマを照射するプラズマ照射時間は、0.1秒以上10秒以下であればよく、本実施形態では、0.2秒である。プラズマ照射時間を0.1秒以上とすることによって絶縁層131,132における絶縁性を十分に確保できるとともに、プラズマ照射時間を10秒以下とすることによって絶縁層131,132を効率的に形成できる。
絶縁層133を成膜した後(工程P132)、製造者は、絶縁層132の上に絶縁層134を成膜する(工程P134)。これによって、絶縁層132および絶縁層134を積層した絶縁膜130が半導体層112の上に形成される。本実施形態では、絶縁層132は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。本実施形態では、製造者は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)によって絶縁層134を成膜する。本実施形態では、絶縁層134の厚みは、約500nmである。
絶縁膜130を形成した後(工程P134)、製造者は、ウエットエッチングによって絶縁膜130に開口部138を形成する(工程P138)。本実施形態では、製造者は、絶縁膜130の上にフォトレジストによるマスクパターンを形成した後、フッ酸系エッチング液を用いて絶縁膜130の一部を除去することによって、絶縁膜130に開口部138を形成する。本実施形態では、製造者は、絶縁膜130に開口部138を形成した後、絶縁膜130の上に形成したマスクパターンを除去する。
絶縁膜130に開口部138を形成した後(工程P138)、製造者は、アノード電極であるショットキー電極150を、絶縁膜130の開口部138の内側における半導体層112の上から、絶縁膜130の上にわたって形成する(工程P150)。本実施形態では、製造者は、ショットキー電極150をリフトオフ法によって形成する。具体的には、製造者は、絶縁膜130の上にフォトレジストによるマスクパターンを形成する。その後、製造者は、電子ビーム蒸着によって、半導体層112側から順に、厚さ約100nmのニッケル(Ni)から成る層と、厚さ約100nmのパラジウム(Pd)から成る層と、厚さ約20nmのモリブデン(Mo)から成る層とを成膜する。その後、製造者は、絶縁膜130の上からマスクパターンを除去する。これによって、絶縁膜130の開口部138にショットキー電極150が形成される。
ショットキー電極150を形成した後(工程P150)、製造者は、カソード電極170を基板110の−Z軸方向側に形成する(工程P170)。本実施形態では、製造者は、スパッタ蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム−ケイ素合金(AlSi)から成る層を積層することによって、カソード電極170を形成する。他の実施形態では、製造者は、カソード電極170を形成する工程(工程P170)を、ショットキー電極150を形成する工程(工程P150)に先立って実施してもよい。
カソード電極170を形成した後(工程P170)、製造者は、アノード電極であるパッド電極160を、ショットキー電極150の上から絶縁膜130の上にわたって形成する(工程P180)。本実施形態では、製造者は、絶縁膜130およびショットキー電極150の全面に、スパッタ蒸着によって、ショットキー電極150側から順に、厚さ約20nmのチタン(Ti)から成る層と、厚さ約200nmの窒化チタン(TiN)から成る層と、厚さ約20nmのチタン(Ti)から成る層と、厚さ約4μmのアルミニウム−ケイ素合金(AlSi)から成る層とを成膜する。その後、製造者は、これらの層の上にフォトレジストによるマスクパターンを形成し、マスクパターンから露出した部分を塩素系のドライエッチングによって除去する。その後、製造者は、マスクパターンを除去する。これによって、ショットキー電極150の上にパッド電極160が形成される。これらの工程を経て、半導体装置100が完成する。
A−3.第1評価試験
第1評価試験では、試験者は、窒化ガリウム(GaN)から主になるn型半導体の上に絶縁膜を成膜した後、ニッケル(Ni)から成る層に金(Au)から成る層を積層した電極を絶縁膜の上に形成することによって、絶縁膜の構成が異なる複数のMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造体を試料S1,S2,S3として作製した。試験者は、各MOS構造体に対してC−V(容量−電圧)測定を実施し、その測定結果から得られるフラットバンド電圧に基づいて、絶縁層における電荷量を算出した。各試料における絶縁膜の仕様および電荷量は次のとおりである。
<試料S1>
絶縁膜の材質:二酸化ケイ素(SiO2)
絶縁膜の形成方法:プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)
絶縁膜の電荷量:+1.1×1012cm−2(正の電荷)
<試料S2>
絶縁膜の材質:酸化アルミニウム(Al2O3)
絶縁膜の形成方法:オゾン(O3)を酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)
絶縁膜の電荷量:−4.4×1011cm−2(負の電荷)
<試料S3>
絶縁膜の材質:酸化アルミニウム(Al2O3)
絶縁膜の形成方法:酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)
絶縁膜の電荷量:−3.1×1012cm−2(負の電荷)
第1評価試験によれば、比誘電率が6以上である酸化アルミニウム(Al2O3)を絶縁膜に用いることによって絶縁膜に負電荷が発生することが分かるとともに、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)を用いることによって絶縁膜に発生する負電荷が増加することが分かる。
図3は、酸素(O2)プラズマを用いて形成された絶縁膜の断面を示す説明図である。図3(a)には、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて絶縁膜の断面を撮影したTEM画像でしめされている。図3(b)には、図3(a)を拡大したTEM画像が示されている。図3の絶縁膜は、試料S3の絶縁膜に相当する。図3の絶縁膜の上には、電極ではなく、炭素(C)保護膜が形成されている。
図4は、オゾン(O3)を用いて形成された絶縁膜の断面を示す説明図である。図4には、絶縁膜の断面を撮影したTEM画像が示されている。図4の絶縁膜は、試料S2の絶縁膜に相当する。図4の絶縁膜の上には、電極ではなく、炭素(C)保護膜が形成されている。
試験者は、試料S3に相当する絶縁膜(図3)における窒化ガリウム(GaN)との界面から約3nmの領域に、試料S2に相当する絶縁膜(図4)に見られない微結晶から主に成る層を確認した。この微結晶から主に成る層が形成される要因は、酸素(O2)プラズマの影響で窒化ガリウム(GaN)の表面が、酸化アルミニウム(Al2O3)が結晶化しやすい構造へと改質されたことによると考えられる。これによって、窒化ガリウム(GaN)との界面付近に酸化アルミニウム(Al2O3)が結晶化し、その結果、絶縁膜に発生する負電荷が増加する。
A−4.第2評価試験
図5は、負電荷を帯びた絶縁層による耐圧向上の効果に関する評価結果を示すグラフである。第2評価試験では、試験者は、デバイスシミュレータを用いて試料の耐圧向上の効果を評価した。第2評価試験の試料は、次の点を除き、第1実施形態の半導体装置100と同様である。
・半導体層112の厚み:12μm
・半導体層112に含まれるケイ素(Si)濃度の平均値:6×1015cm−3
・絶縁膜130:酸化アルミニウム(Al2O3)から主に成る絶縁層(厚さ0.6μm)のみ
・絶縁膜130における負の電荷密度の絶対値:0〜2×1013cm−2
・絶縁膜130における負電荷の位置:半導体層112との界面から0nm、5nm
図5の横軸は、絶縁膜130における負の電荷密度の絶対値を示す。図5の縦軸は、試料において逆方向電流密度が1mA/cm2となる耐圧であるリーク耐圧を示す。破線BLは、絶縁膜130に負電荷が存在しない場合のリーク耐圧を示す。
第2評価試験によれば、絶縁膜130における負電荷の位置は、半導体層112との界面から5nm以下であれば、同等のリーク耐圧が得られることが分かる。このことから、絶縁膜130における負電荷は、半導体層112との界面に対して二次元的なシート状に分布している必要はなく、三次元的に分布していてもよい。また、第2評価試験によれば、絶縁膜130における負の電荷密度の絶対値が大きいほど、リーク耐圧が高くなる、すなわち、逆方向リーク電流が抑制されることが分かる。具体的には、絶縁層132における負の電荷密度の絶対値は、1×1012cm−2以上が好ましく、5×1012cm−2以上がいっそう好ましく、1×1013cm−2以上がさらに好ましい。
A−5.第3評価試験
図6は、負電荷を帯びた絶縁層が逆方向リーク特性に及ぼす影響を評価した評価結果を示すグラフである。第3評価試験では、試験者は、評価対象である半導体装置として試料E1、試料C1および試料C2を作成し、各試料について逆方向リーク特性を評価した。試験者は、逆方向電圧を印加した場合における各試料の逆方向電流密度を測定することによって、逆方向リーク特性を評価した。図6の横軸は、逆方向電圧を示し、図6の縦軸は、逆方向電流密度を示す。
試料E1は、第1実施形態の半導体装置100と同様の半導体装置である。試料C1は、オゾン(O3)を酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって絶縁層133を形成した点を除き、第1実施形態の半導体装置100と同様の半導体装置である。試料C2は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る厚さ600nmの絶縁層134のみで絶縁膜130を構成した点を除き、第1実施形態の半導体装置100と同様の半導体装置である。
図6に示すように、試料E1の逆方向電流密度は、100V(ボルト)以上の逆方向電圧に対する試料C1,C2の逆方向電流密度より低い。この結果は、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって形成される絶縁層131に発生する負電荷に起因すると考えられる。絶縁層131に発生する負電荷によって、半導体層112の+Z軸方向側の表面において空乏化が促進されるため、半導体層112の表面に発生する電界集中が緩和される。これによって、逆方向電流密度が低下する。すなわち、逆方向リーク電流が抑制される。
A−6.効果
以上説明した第1実施形態によれば、結晶化に伴って絶縁層131に発生する負電荷によって半導体層112の表面を空乏化させることができる。そのため、半導体層112の表面に発生する電界集中を十分に緩和でき、その結果、逆方向リーク電流を十分に抑制できる。また、絶縁層131が半導体層112から5nm以内の範囲に形成されているため、逆方向リーク電流を効果的に抑制できる。また、絶縁層131に帯びている負電荷が固定電荷であるため、界面準位による負電荷と異なり、電圧印加に対して遅れることなく半導体層112の表面を空乏化させることができる。
A−7.変形例
第1実施形態の変形例では、絶縁層134は、複数の絶縁層を含む多層構造であってもよい。また、多層構造の絶縁層134を構成する少なくとも1つの絶縁層は、負電荷を帯びた絶縁層であってもよい。
第1実施形態の他の変形例では、絶縁膜130において、絶縁層131,132の比誘電率は、6以上であり、その絶縁層は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)の少なくとも1つの化合物を含有する層であればよい。このような形態によれば、比較的に高い結晶性を有する絶縁層131を容易に実現できる。
第1実施形態の他の変形例では、絶縁膜130において、絶縁層131,132は、酸化物から主に成り、具体的には、その絶縁層は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の少なくとも1つから主に成る層であればよい。このような形態によれば、窒化物およびケイ化物と比較して、比較的に高い結晶性を有する絶縁層131を容易に実現できる。
B.第2実施形態
図7は、第2実施形態における半導体装置200の構成を模式的に示す断面図である。図7には、図1と同様にXYZ軸が図示されている。本実施形態では、半導体装置200は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置200は、縦型pn接合ダイオードである。本実施形態では、半導体装置200は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置200は、基板210と、半導体層212と、半導体層213と、絶縁膜230と、アノード電極250と、フィールドプレート電極260と、カソード電極270とを備える。
半導体装置200の基板210は、X軸およびY軸に沿って広がる板状を成す半導体である。本実施形態では、基板210は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、基板210は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有するn型半導体である。
半導体装置200の半導体層212は、基板210の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるn型半導体層である。本実施形態では、半導体層212は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層212は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有する。本実施形態では、半導体層212は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体装置200の半導体層213は、半導体層212の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるp型半導体層である。本実施形態では、半導体層213は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層213は、マグネシウム(Mg)をアクセプタ元素として含有する。本実施形態では、半導体層213は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
本実施形態では、半導体層213は、キャリア濃度が異なる2つの半導体層214,215を備える。半導体層214は、半導体層212の+Z軸方向側に積層され、半導体層215は、半導体層214の+Z軸方向側に積層されている。他の実施形態では、半導体層213は、単層であってもよいし、3層以上の半導体層によって構成されてもよい。
半導体装置200には、半導体層213の+Z軸方向側から半導体層212の内部へと厚み方向(Z軸方向)に落ち込んだ段差部228が形成されている。段差部228は、半導体装置200を他の半導体装置から分離する素子分離構造(トレンチアイソレーション構造)である。本実施形態では、段差部228は、基板210の上に形成された半導体層212,213の一部をドライエッチングによって除去した構造である。
半導体層212と半導体層213との間には、pn接合部216が形成されている。pn接合部216は、n型半導体である半導体層212とp型半導体である半導体層213とが接合する界面である。pn接合部216は、段差部228に露出した端部216eを有する。
半導体装置200の絶縁膜230は、電気絶縁性を有し、段差部228から半導体層213の+Z軸方向側の表面にわたって形成された膜である。本実施形態では、絶縁膜230は、半導体層212,213の表面を保護する保護膜であり、半導体層212,213の表面を被覆する。絶縁膜230は、絶縁層233と、絶縁層234とを含む。
絶縁膜230の絶縁層233は、段差部228から半導体層213の+Z軸方向側の表面にわたって形成され、pn接合部216の端部216eに隣接する。本実施形態では、絶縁層233の厚みは、約100nmである。本実施形態では、絶縁層233は、アルミニウム(Al)の酸化物である酸化アルミニウム(Al2O3)から主に成る。
絶縁層233は、第1実施形態の絶縁層133と同様に、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって成膜され、絶縁層231と絶縁層232とを含む。絶縁層231は、pn接合部216の端部216eに隣接する第1の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層131と同様である。絶縁層232は、絶縁層231の上に形成され、絶縁層231と同種材料から成る第2の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層132と同様である。第1実施形態と同様に、絶縁層231の結晶性は、絶縁層232より高い。
絶縁膜230の絶縁層234は、絶縁層233の上に形成され、非晶質から主に成る他の絶縁膜である。本実施形態では、絶縁層234は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。本実施形態では、絶縁層234の厚みは、約500nmである。本実施形態では、絶縁層234は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)によって成膜された絶縁層である。
絶縁膜230には、絶縁膜230を貫通し半導体層213の+Z軸方向側の表面に至る開口部238が形成されている。開口部238は、半導体層213が露出するまで絶縁膜230の一部を半導体層213の上からウエットエッチングによって除去した構造である。
半導体装置200のアノード電極250は、導電性材料から成り、半導体層213の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。アノード電極250は、絶縁膜230の開口部238の内側に位置する。本実施形態では、アノード電極250は、電子ビーム蒸着によってニッケル(Ni)から成る層に金(Au)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置200のフィールドプレート電極260は、導電性材料から成り、アノード電極250の上を含む絶縁膜230の開口部238の内側から、絶縁膜230の上に広がる電極である。これによって、フィールドプレート電極260は、段差部228においてpn接合部216の端部216eとの間に絶縁膜230を挟むフィールドプレート構造を構成する。本実施形態では、フィールドプレート電極260は、電子ビーム蒸着によって形成され、アルミニウム(Al)から主に成る。
半導体装置200のカソード電極270は、導電性材料から成り、基板210の−Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、カソード電極270は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
以上説明した第2実施形態によれば、結晶化に伴って絶縁層231に発生する負電荷によって半導体層212の表面を空乏化させることができる。そのため、pn接合部216の端部216eの近傍における半導体層212の表面に発生する電界集中を十分に緩和でき、その結果、逆方向リーク電流を十分に抑制できる。また、絶縁層231が半導体層212から5nm以内の範囲に形成されているため、逆方向リーク電流を効果的に抑制できる。また、絶縁層231に帯びている負電荷が固定電荷であるため、界面準位による負電荷と異なり、電圧印加に対して遅れることなく半導体層212の表面を空乏化させることができる。
第2実施形態の半導体装置200は、第1実施形態と同様の変形例を適用可能である。例えば、絶縁層234は、複数の絶縁層を含む多層構造であってもよい。また、多層構造の絶縁層234を構成する少なくとも1つの絶縁層は、負電荷を帯びた絶縁層であってもよい。
C.第3実施形態
図8は、第3実施形態における半導体装置300の構成を模式的に示す断面図である。図8には、図1と同様にXYZ軸が図示されている。本実施形態では、半導体装置300は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置300は、プレーナ型pn接合ダイオードである。本実施形態では、半導体装置300は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置300は、基板310と、半導体層312と、半導体層313と、絶縁膜330と、アノード電極350と、フィールドプレート電極360と、カソード電極370とを備える。
半導体装置300の基板310は、X軸およびY軸に沿って広がる板状を成す半導体である。本実施形態では、基板310は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、基板310は、マグネシウム(Mg)をアクセプタ元素として含有するp型半導体である。
半導体装置300の半導体層312は、基板310の+Z軸方向側の一部に対してイオン注入を行うことによって形成されたn型半導体である。本実施形態では、半導体層312は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層312は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有する。
半導体装置300の半導体層313は、半導体層312の+Z軸方向側の一部に対してイオン注入を行うことによって形成されたp型半導体である。本実施形態では、半導体層313は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層313は、マグネシウム(Mg)をアクセプタ元素として含有するp型半導体である。
基板310と半導体層312との間には、pn接合部316が形成されている。pn接合部316は、p型半導体である基板310とn型半導体である半導体層312とが接合する界面である。pn接合部316は、+Z軸方向側に露出した端部316eを有する。
半導体層312と半導体層313との間には、pn接合部317が形成されている。pn接合部317は、n型半導体である半導体層312とp型半導体である半導体層313とが接合する界面である。pn接合部317は、+Z軸方向側に露出した端部317eを有する。
半導体装置300の絶縁膜330は、電気絶縁性を有し、基板310および半導体層312,313の各半導体における+Z軸方向側の表面に形成された膜である。絶縁膜330は、基板310の表面、半導体層312,313の表面、pn接合部316の端部316e、並びにpn接合部317の端部317eを保護する保護膜であり、基板310および半導体層312,313の各表面を被覆する。絶縁膜330は、絶縁層333と、絶縁層334とを含む。
絶縁膜330の絶縁層333は、基板310および半導体層312,313における+Z軸方向側の各表面に形成され、pn接合部316の端部316eおよびpn接合部317の端部317eに隣接する。本実施形態では、絶縁層333の厚みは、約100nmである。本実施形態では、絶縁層333は、アルミニウム(Al)の酸化物である酸化アルミニウム(Al2O3)から主に成る。
絶縁層333は、第1実施形態の絶縁層133と同様に、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって成膜され、絶縁層331と絶縁層332とを含む。絶縁層331は、pn接合部316の端部316eおよびpn接合部317の端部317eに隣接する第1の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層131と同様である。絶縁層332は、絶縁層331の上に形成され、絶縁層331と同種材料から成る第2の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層132と同様である。第1実施形態と同様に、絶縁層331の結晶性は、絶縁層332より高い。
絶縁膜330の絶縁層334は、絶縁層333の上に形成され、非晶質から主に成る他の絶縁膜である。本実施形態では、絶縁層334は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。本実施形態では、絶縁層334の厚みは、約500nmである。本実施形態では、絶縁層334は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)によって成膜された絶縁層である。
絶縁膜330には、絶縁膜330を貫通し半導体層313の+Z軸方向側の表面に至る開口部338が形成されている。開口部338は、半導体層313が露出するまで絶縁膜330の一部を半導体層313の上からウエットエッチングによって除去した構造である。
絶縁膜330には、絶縁膜330を貫通し半導体層312の+Z軸方向側の表面に至る開口部339が形成されている。開口部339は、半導体層312が露出するまで絶縁膜330の一部を半導体層312の上からウエットエッチングによって除去した構造である。
半導体装置300のアノード電極350は、導電性材料から成り、半導体層313の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。アノード電極350は、絶縁膜330の開口部338の内側に位置する。本実施形態では、アノード電極350は、電子ビーム蒸着によってニッケル(Ni)から成る層に金(Au)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置300のフィールドプレート電極360は、導電性材料から成り、アノード電極350の上を含む絶縁膜330の開口部338の内側から、絶縁膜330の上に広がる電極である。これによって、フィールドプレート電極360は、pn接合部316の端部316eおよびpn接合部317の端部317eとの間に絶縁膜330を挟むフィールドプレート構造を構成する。本実施形態では、フィールドプレート電極360は、電子ビーム蒸着によって形成され、アルミニウム(Al)から主に成る電極である。
半導体装置300のカソード電極370は、導電性材料から成り、絶縁膜330の開口部339の内側において半導体層312の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、カソード電極370は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
以上説明した第3実施形態によれば、結晶化に伴って絶縁層331に発生する負電荷によって半導体層312の表面を空乏化させることができる。そのため、pn接合部317の端部317eの近傍における半導体層312の表面に発生する電界集中を十分に緩和でき、その結果、逆方向リーク電流を十分に抑制できる。また、絶縁層331が半導体層312から5nm以内の範囲に形成されているため、逆方向リーク電流を効果的に抑制できる。また、絶縁層331に帯びている負電荷が固定電荷であるため、界面準位による負電荷と異なり、電圧印加に対して遅れることなく半導体層312の表面を空乏化させることができる。
第3実施形態の半導体装置300は、第1実施形態と同様の変形例を適用可能である。例えば、絶縁層334は、複数の絶縁層を含む多層構造であってもよい。また、多層構造の絶縁層334を構成する少なくとも1つの絶縁層は、負電荷を帯びた絶縁層であってもよい。
D.第4実施形態
図9は、第4実施形態における半導体装置400の構成を模式的に示す断面図である。図9には、図1と同様にXYZ軸が図示されている。本実施形態では、半導体装置400は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置400は、縦型トレンチMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。本実施形態では、半導体装置400は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置400は、基板410と、半導体層412と、半導体層413と、半導体層414と、絶縁膜430と、ソース電極441と、ゲート電極442と、ドレイン電極443と、ボディ電極444と、ゲート絶縁膜450とを備える。
半導体装置400の基板410は、X軸およびY軸に沿って広がる板状を成す半導体である。本実施形態では、基板410は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、基板410は、ケイ素(Si)をドナー元素として含有するn型半導体である。
半導体装置400の半導体層412は、基板410の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるn型半導体層である。本実施形態では、半導体層412は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層412は、基板410より低い濃度でケイ素(Si)をドナー元素として含有する。本実施形態では、半導体層412は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体装置400の半導体層413は、半導体層412の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるp型半導体層である。本実施形態では、半導体層413は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層413は、マグネシウム(Mg)をアクセプタ元素として含有する。本実施形態では、半導体層413は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体装置400の半導体層414は、半導体層413の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるn型半導体層である。本実施形態では、半導体層414は、窒化ガリウム(GaN)から主に成る。本実施形態では、半導体層414は、半導体層412より高い濃度でケイ素(Si)をドナー元素として含有する。本実施形態では、半導体層414は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体装置400には、半導体層414の+Z軸方向側から半導体層413を貫通して半導体層412の内部へと厚み方向(Z軸方向)に落ち込んだ段差部428が形成されている。段差部428は、半導体装置400を他の半導体装置から分離する素子分離構造(トレンチアイソレーション構造)である。本実施形態では、段差部428は、基板410の上に形成された半導体層412,413,414の一部をドライエッチングによって除去した構造である。
半導体層412と半導体層413との間には、pn接合部416が形成されている。pn接合部416は、n型半導体である半導体層412とp型半導体である半導体層413とが接合する界面である。pn接合部416は、段差部428に露出した端部416eを有する。
半導体装置400の絶縁膜430は、電気絶縁性を有し、段差部428から半導体層414の+Z軸方向側の表面にわたって形成された膜である。本実施形態では、絶縁膜430は、半導体層412,413,414の表面を保護する保護膜であり、半導体層412,413,414の表面を被覆する。絶縁膜430は、絶縁層433と、絶縁層434とを含む。
絶縁膜430の絶縁層433は、段差部428から半導体層414の+Z軸方向側の表面にわたって形成され、pn接合部416の端部416eに隣接する。本実施形態では、絶縁層433の厚みは、約100nmである。本実施形態では、絶縁層433は、ジルコニウム(Zr)の酸化物である酸化ジルコニウム(ZrO2)から主に成る。
絶縁層433は、第1実施形態の絶縁層133と同様に、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって成膜され、絶縁層431と絶縁層432とを含む。絶縁層431は、酸化ジルコニウム(ZrO2)から主に成るとともにpn接合部416の端部416eに隣接する第1の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層131と同様である。絶縁層432は、絶縁層431の上に形成され、絶縁層431と同種材料から成る第2の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層132と同様である。第1実施形態と同様に、絶縁層431の結晶性は、絶縁層432より高い。
絶縁膜430の絶縁層434は、絶縁層433の上に形成され、非晶質から主に成る他の絶縁膜である。本実施形態では、絶縁層434は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。本実施形態では、絶縁層434の厚みは、約900nmである。本実施形態では、絶縁層434は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)によって成膜された絶縁層である。
絶縁膜430には、絶縁膜430を貫通し半導体層414の+Z軸方向側の表面に至る開口部438が形成されている。開口部438は、半導体層414が露出するまで絶縁膜430の一部を半導体層414の上からウエットエッチングによって除去した構造である。
半導体装置400のソース電極441は、導電性材料から成り、開口部438の内側において半導体層414の−Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、ソース電極441は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置400には、開口部438の内側におけるソース電極441より内側にトレンチ422が形成されている。トレンチ422は、半導体層414の+Z軸方向側から半導体層413を貫通して半導体層412の内部へと厚み方向(Z軸方向)に落ち込んだ溝部である。本実施形態では、トレンチ422は、基板410の上に形成された半導体層412,413,414の一部をドライエッチングによって除去した構造である。
半導体装置400のゲート絶縁膜450は、電気絶縁性を有し、開口部438の内側においてトレンチ422から半導体層414の+Z軸方向側の表面にわたって形成された膜である。本実施形態では、ゲート絶縁膜450は、原子層堆積法(ALD)によって形成され、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。
半導体装置400のゲート電極442は、ゲート絶縁膜450を介してトレンチ422に形成された電極である。ゲート電極442に電圧が印加された場合、半導体層413に反転層が形成され、この反転層がチャネルとして機能することによって、ソース電極441とドレイン電極443との間に導通経路が形成される。本実施形態では、ゲート電極442は、電子ビーム蒸着によって形成され、アルミニウム(Al)から主に成る。
半導体装置400のドレイン電極443は、導電性材料から成り、基板410の−Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、ドレイン電極443は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置400には、段差部428と開口部438との間にリセス424が形成されている。リセス424は、絶縁膜430および半導体層414を貫通して半導体層413に至るまで落ち込んだ凹部である。本実施形態では、リセス424は、絶縁膜430、半導体層414および半導体層413の一部をエッチングによって除去した構造である。
半導体装置400のボディ電極444は、リセス424に形成され、半導体層413にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、ボディ電極444は、電子ビーム蒸着によってパラジウム(Pd)から成る層に金(Au)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
以上説明した第4実施形態によれば、結晶化に伴って絶縁層431に発生する負電荷によって半導体層412の表面を空乏化させることができる。そのため、pn接合部416の端部416eの近傍における半導体層412の表面に発生する電界集中を十分に緩和でき、その結果、逆方向リーク電流を十分に抑制できる。また、絶縁層431が半導体層412から5nm以内の範囲に形成されているため、逆方向リーク電流を効果的に抑制できる。また、絶縁層431に帯びている負電荷が固定電荷であるため、界面準位による負電荷と異なり、電圧印加に対して遅れることなく半導体層412の表面を空乏化させることができる。
第4実施形態の半導体装置400は、第1実施形態と同様の変形例を適用可能である。例えば、絶縁層434は、複数の絶縁層を含む多層構造であってもよい。また、多層構造の絶縁層434を構成する少なくとも1つの絶縁層は、負電荷を帯びた絶縁層であってもよい。
E.第5実施形態
図10は、第5実施形態における半導体装置500の構成を模式的に示す断面図である。図10には、図1と同様にXYZ軸が図示されている。本実施形態では、半導体装置500は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置500は、リセス構造を有する横型MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。本実施形態では、半導体装置500は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置500は、基板510と、半導体層512と、半導体層513と、半導体層514と、絶縁膜530と、ソース電極541と、ゲート電極542と、ドレイン電極543と、絶縁膜550とを備える。
半導体装置500の基板510は、X軸およびY軸に沿って広がる板状を成す半導体である。本実施形態では、基板510は、ケイ素(Si)から主に成る。
半導体装置500の半導体層512は、基板510の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるバッファ層である。本実施形態では、半導体層512は、窒化アルミニウム(AlN)から主に成る比較的に薄いアンドープ層の上に、窒化ガリウム(GaN)から主に成る比較的に厚いアンドープ層を積層した多層構造を有する。本実施形態では、半導体層512は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体装置500の半導体層513は、半導体層512の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がるキャリア走行層である。本実施形態では、半導体層513は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るアンドープ層である。本実施形態では、半導体層513は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体装置500の半導体層514は、半導体層513の+Z軸方向側に位置し、X軸およびY軸に沿って広がる障壁層である。本実施形態では、半導体層514は、窒化アルミニウムガリウム(Al0.25Ga0.75N)から主に成るアンドープ層である。半導体層514は、キャリア走行層である半導体層513より広い禁制帯幅を有し、半導体層513に対してキャリアを供給する。半導体層513と半導体層514とのヘテロ接合界面516には、正の分極電荷の影響によって、半導体層513側に二次元ガスが発生する。本実施形態では、半導体層514は、有機金属気相成長法(MOCVD)によって形成された半導体層である。
半導体層514の材質は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)に限らず、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlGaInN)など他の窒化物であってもよい。半導体層514は、アンドープ層に限らず、ドーピング層であってもよい。半導体層514は、単層に限らず、材質およびドーピング濃度の少なくとも一方が異なる複数の半導体層から成る半導体層であってもよく、例えば、GaN/AlGaN、InGaN/AlGaN、InGaN/AlGaN/AlNなどの多層構造を有してもよい。他の実施形態では、半導体層513および半導体層514の上に、他の障壁層および他のキャリア走行層から成る構造が形成されていてもよい。
半導体装置500には、半導体層514の+Z軸方向側から半導体層513の内部へと厚み方向(Z軸方向)に落ち込んだ段差部528が形成されている。段差部528は、半導体装置500を他の半導体装置から分離する素子分離構造(トレンチアイソレーション構造)である。段差部528には、ヘテロ接合界面516の端部516eが露出する。本実施形態では、段差部528は、基板510の上に形成された半導体層513,514の一部をドライエッチングによって除去した構造である。
半導体装置500の絶縁膜530は、電気絶縁性を有し、段差部528から半導体層514の+Z軸方向側の表面にわたって形成された膜である。本実施形態では、絶縁膜530は、半導体層513,514の表面を保護する保護膜であり、半導体層513,514の表面を被覆する。絶縁膜530は、絶縁層533と、絶縁層534とを含む。
絶縁膜530の絶縁層533は、段差部528から半導体層514の+Z軸方向側の表面にわたって形成され、ヘテロ接合界面516の端部516eに隣接する。本実施形態では、絶縁層533の厚みは、約100nmである。本実施形態では、絶縁層533は、ハフニウム(Hf)の酸化物である酸化ハフニウム(HfO2)から主に成る。
絶縁層533は、第1実施形態の絶縁層133と同様に、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって成膜され、絶縁層531と絶縁層532とを含む。絶縁層531は、酸化ハフニウム(HfO2)から主に成るとともにヘテロ接合界面516の端部516eに隣接する第1の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層131と同様である。絶縁層532は、絶縁層531の上に形成され、絶縁層531と同種材料から成る第2の絶縁層である点を除き、第1実施形態の絶縁層132と同様である。第1実施形態と同様に、絶縁層531の結晶性は、絶縁層532より高い。
絶縁膜530の絶縁層534は、絶縁層533の上に形成され、非晶質から主に成る他の絶縁膜である。本実施形態では、絶縁層534は、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。本実施形態では、絶縁層534の厚みは、約900nmである。本実施形態では、絶縁層534は、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD)によって成膜された絶縁層である。
絶縁膜530には、絶縁膜530を貫通し半導体層514の+Z軸方向側の表面に至る開口部538が形成されている。開口部538は、半導体層514が露出するまで絶縁膜530の一部を半導体層514の上からウエットエッチングによって除去した構造である。
半導体装置500のソース電極541は、導電性材料から成り、開口部538の内側において半導体層514の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、ソース電極541は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置500には、開口部538の内側におけるソース電極541より内側にリセス522が形成されている。リセス522は、半導体層514の+Z軸方向側から半導体層413の内部へと厚み方向(Z軸方向)に落ち込んだ凹部である。リセス522の深さは、ゲート電極542にゲート電圧が印加されていない状態で、ソース電極541とゲート電極542との間の二次元電子ガスと、ゲート電極542とドレイン電極543との間の二次元電子ガスとが十分に分離されるように、設定されている。これによって、ゲート電極542にゲート電圧が印加されていない状態でソース電極541とドレイン電極543との間を流れる電流を抑制するノーマリーオフが実現される。本実施形態では、リセス522は、基板510の上に形成された半導体層513,514の一部をドライエッチングによって除去した構造である。
半導体装置500のドレイン電極543は、導電性材料から成り、開口部538の内側においてリセス522およびゲート電極542を挟んでソース電極541とは反対側に位置し、半導体層514の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、ドレイン電極543は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置500の絶縁膜550は、電気絶縁性を有し、リセス522から半導体層514の+Z軸方向側の表面にわたって形成された膜である。本実施形態では、絶縁膜550は、原子層堆積法(ALD)によって形成され、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。
半導体装置500のゲート電極542は、絶縁膜550を介してリセス522に形成された電極である。本実施形態では、ゲート電極542は、電子ビーム蒸着によって形成され、アルミニウム(Al)から主に成る。
以上説明した第5実施形態によれば、結晶化に伴って絶縁層531に発生する負電荷によって半導体層513の表面を空乏化させることができる。そのため、ヘテロ接合界面516の端部516eの近傍における半導体層513の表面に発生する電界集中を十分に緩和でき、その結果、逆方向リーク電流を十分に抑制できる。また、絶縁層531が半導体層513から5nm以内の範囲に形成されているため、逆方向リーク電流を効果的に抑制できる。また、絶縁層531に帯びている負電荷が固定電荷であるため、界面準位による負電荷と異なり、電圧印加に対して遅れることなく半導体層513の表面を空乏化させることができる。
第5実施形態の半導体装置500は、第1実施形態と同様の変形例を適用可能である。例えば、絶縁層534は、複数の絶縁層を含む多層構造であってもよい。また、多層構造の絶縁層534を構成する少なくとも1つの絶縁層は、負電荷を帯びた絶縁層であってもよい。
F.第6実施形態
図11は、第6実施形態における半導体装置600の構成を模式的に示す断面図である。図11には、図1と同様にXYZ軸が図示されている。本実施形態では、半導体装置600は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置600は、横型HFET(Heterostructure Field-Effect Transistor)である。本実施形態では、半導体装置600は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。半導体装置600は、基板610と、半導体層612と、半導体層613と、半導体層614と、絶縁膜630と、ソース電極641と、ゲート電極642と、ドレイン電極643と、絶縁膜650とを備える。
半導体装置600の基板610は、第5実施形態の基板510と同様である。半導体装置600の半導体層613,614は、リセス522が形成されていない点を除き、第5実施形態の半導体層513,514と同様である。半導体層613と半導体層614との間には、ヘテロ接合界面616が形成される。半導体装置600には、第5実施形態の段差部528と同様に段差部628が形成されている。段差部628には、ヘテロ接合界面616の端部616eが露出する。
半導体装置600の絶縁膜630は、第5実施形態の絶縁膜530と同様であり、絶縁層633と、絶縁層634とを含む。絶縁膜630の絶縁層633は、第5実施形態の絶縁層533と同様に、酸素(O2)プラズマを酸素原料として用いた原子層堆積法(ALD)によって成膜され、絶縁層631と絶縁層632とを含む。絶縁層631は、ヘテロ接合界面616の端部616eに隣接する第1の絶縁層である点を除き、第5実施形態の絶縁層531と同様である。絶縁層632は、絶縁層631の上に形成され、絶縁層631と同種材料から成る第2の絶縁層である点を除き、第5実施形態の絶縁層532と同様である。第5実施形態と同様に、絶縁層631の結晶性は、絶縁層632より高い。絶縁膜630の絶縁層634は、第5実施形態の絶縁層534と同様に、非晶質から主に成る他の絶縁膜である。絶縁膜630には、第5実施形態の開口部538と同様に開口部638が形成されている。
半導体装置600のソース電極641は、第5実施形態のソース電極541と同様である。ソース電極641は、開口部638の内側において半導体層614の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。
半導体装置600のドレイン電極643は、第5実施形態のドレイン電極543と同様である。ドレイン電極643は、開口部638の内側においてゲート電極642を挟んでソース電極641とは反対側に位置し、半導体層614の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。
半導体装置600のゲート電極642は、開口部638の内側においてソース電極641とドレイン電極643との間に位置し、半導体層614の+Z軸方向側にオーミック接合されたオーミック電極である。本実施形態では、ゲート電極642は、電子ビーム蒸着によってチタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した後にアニール処理(熱処理)した電極である。
半導体装置600の絶縁膜650は、電気絶縁性を有し、開口部638の内側における半導体層614の+Z軸方向側の表面にわたって形成された膜である。絶縁膜650は、ソース電極641とゲート電極642との間、並びに、ゲート電極642とドレイン電極643との間に形成されている。本実施形態では、絶縁膜650は、原子層堆積法(ALD)によって形成され、二酸化ケイ素(SiO2)から主に成る。
以上説明した第6実施形態によれば、結晶化に伴って絶縁層631に発生する負電荷によって半導体層613の表面を空乏化させることができる。そのため、ヘテロ接合界面616の端部616eの近傍における半導体層613の表面に発生する電界集中を十分に緩和でき、その結果、逆方向リーク電流を十分に抑制できる。また、絶縁層631が半導体層613から5nm以内の範囲に形成されているため、逆方向リーク電流を効果的に抑制できる。また、絶縁層631に帯びている負電荷が固定電荷であるため、界面準位による負電荷と異なり、電圧印加に対して遅れることなく半導体層613の表面を空乏化させることができる。
第6実施形態の半導体装置600は、第1実施形態と同様の変形例を適用可能である。例えば、絶縁層634は、複数の絶縁層を含む多層構造であってもよい。また、多層構造の絶縁層634を構成する少なくとも1つの絶縁層は、負電荷を帯びた絶縁層であってもよい。
G.他の実施形態
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本発明が適用される半導体装置は、上述の実施形態で説明した半導体装置に限らず、電界集中が発生する部位の上に絶縁膜を備える半導体装置であればよく、例えば、MESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)および絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などであってもよい。
上述の実施形態において、基板の材質は、窒化ガリウム(GaN)に限らず、ケイ素(Si)、サファイア(Al2O3)および炭化ケイ素(SiC)などのいずれであってもよい。上述の実施形態において、各半導体層の材質は、窒化ガリウム(GaN)に限らず、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、III-V族化合物(例えば、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)など)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ガリウム(Ga2O3)、ワイドバンドギャップ半導体(例えば、ダイヤモンド)などのいずれであってもよい。
上述の実施形態において、n型半導体層に含まれるドナー元素は、ケイ素(Si)に限らず、ゲルマニウム(Ge)、酸素(O)などであってもよい。
上述の実施形態において、p型半導体層に含まれるアクセプタ元素は、マグネシウム(Mg)に限らず、亜鉛(Zn)、炭素(C)などであってもよい。
上述の実施形態において、絶縁膜は、少なくとも第1の絶縁層(例えば、絶縁層131,231など)と第2の絶縁層(例えば、絶縁層132,232など)とを含めばよく、更に他の絶縁層を含んでもよい。上述の実施形態において、第1および第2の絶縁層の材質は、上述した材質に限らず、結晶化しやすい高比誘電率(例えば6以上)の材質であればよい。第1および第2の絶縁層の材質は、酸化物に限らず、窒化物およびケイ化物(例えば、酸窒化アルミニウム(AlON)、酸窒化ジルコニウム(ZrON)、酸窒化ハフニウムシリコン(HfSiON)など)であってもよい。ただし、第1および第2の絶縁層の材質には、結晶化しやすい観点から酸化物が好ましい。