<実施形態>
図1〜図9を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)、(b)に示す通り、本実施形態の表示装置100は、板状のコンバイナCと、コンバイナCを保持してコンバイナCの上下移動及びチルト移動(回動)を行う移動装置(表示板移動装置、移動機構)Mとを主に有する。
コンバイナCは、凹板形状を有するハーフミラーであり、凹面側が情報等が投影される表示面C1である。コンバイナCは、移動装置Mによって、図1(a)に示す収納位置と、図1(b)に示す展開位置との間で上下(上下方向)に移動される。また、図1(b)に示す展開位置にあるコンバイナCは、移動装置Mによって、コンバイナC(表示面C1)の下辺と略平行に水平方向に延びる回転軸(チルト軸)Xを中心にチルト移動される。
移動装置Mは、図1に示す通り、回転軸X方向に対向して平行に配置された第1案内板(第1案内部材)11及び第2案内板(第2案内部材)12と、第1、第2案内板11、12の間に、第1、第2案内板11、12と直交して配置された側板2により外形が画成されている。移動装置Mはまた、図2に示す通り、第1案内板11と第2案内板12との間に側板2及び収納状態にあるコンバイナCと略平行に配置された上下スライド板(上下可動部)3、コンバイナサポート(表示板保持部)4、及び水平スライド板(軸方向可動部)5を含む。移動装置Mは更に、側板2に上下方向に並べて取り付けられたギア列6を含む。
第1案内板11は、上下方向が長手方向である矩形の板状部材であり、内面(第2案内板12と対向する面)に第1軸案内溝(第1案内溝)11gと第1ラック11rと第1板案内溝11aとを有する。第1軸案内溝11gは、上下方向に延在しており、上端11gtは第1案内板11の上辺近傍に、下端11gbは第1案内板11の上下中央のやや下方にある。上端11gtには、図2中の拡大図に示す通り板バネfsが軸SHを下方に付勢するような状態で配置されている。第1ラック11rも、第1軸案内溝11gと同様に、第1案内板11の上辺近傍と上下中央のやや下方の位置との間で上下方向に延在している。すなわち、第1軸案内溝11gと第1ラック11rとは平行であり、且つ上下方向にほぼ同じ長さを有して延在している。また第1板案内溝11aは、第1案内板11の内面上において、第1軸案内溝11gの第1ラック11r側とは反対側で上下方向に延在している。第1板案内溝11aの上端は第1案内板11の上下中央のやや上方に、下端は第1案内板11の下辺近傍にある。また第1板案内溝11aの上下方向の長さは、第1軸案内溝11g、第1ラック11rの上下方向の長さと略同一、または第1軸案内溝11g、第1ラック11rよりも長い。
第2案内板12は第1案内板11と同様に、上下方向が長手方向である矩形の板状部材であり、内面(第1案内板11と対向する面)に、上下方向に延在する第2軸案内溝(第2案内溝)12gと第2ラック12rとを有する。第2軸案内溝12gの上端12gtは第2案内板12の上辺近傍に、下端12gbは第2案内板12の上下中央のやや下方にある。上端12gtには、第1軸案内溝11gの上端11gtと同様に板バネ(不図示)が軸SHを下方に付勢するような状態で配置されている。第2ラック12rは第1ラック11rと同様に、第2案内板12の上辺近傍と上下中央のやや下方との間に延在している。第2板案内溝12aは第1板案内溝11aと同様に、第2案内板12の内面上において、第2軸案内溝12gの第2ラック12r側とは反対側で上下方向に延在している。
側板2は、回転軸X方向が長手方向である矩形の板状部材である。側板2の回転軸X方向の一方側には、第1案内板11が側板2と略直交して取り付けられており、他方側には、第2案内板12が側板2と略直交して取り付けられている。すなわち、第1、第2案内板11、12と側板2とは、平面視がコ字(U字)となるように互いに連結されている。
上下スライド板3は、図2に示す通り回転軸X方向が長手方向である矩形の板状部材であり、平板部30と、平板部30の回転軸X方向の両端部に形成された第1、第2連結部31、32(図3)とを有する。上下スライド板3は、平板部30が第1、第2案内板11、12の間に、第1、第2案内板11、12と略直交に、且つ側板2及び収納状態にあるコンバイナCと略平行に位置するよう配置されている。平板部30の側板2と対向する面には、上下ラック(第1ラック)VR、カム溝CG、案内溝GG、及び3つの支持溝SG1〜SG3が形成されている。また、平板部30の回転軸X方向の両端の下端部には、第1案内板11の第1板案内溝11a、第2案内板12の第2板案内溝12aに嵌合されるボス30aが形成されている。
上下ラックVRは、上下スライド板3(平板部30)の上端と下端との間に、歯を第2案内板12側に向けて上下方向に延在している。上下ラックVRは、側板2に取り付けられたギア列6と共にラックアンドピニオン機構を構成し、後述するモータ(不図示)の回転を上下スライド板3の上下移動に変換する。
カム溝CG、案内溝GG、支持溝SG1〜SG3は、それぞれ、平板部30から直立する一対の平行板により構成された直線状の溝である。カム溝CGは、上下ラックVRの第2案内板12側において、上端が第1案内板11側に位置し、下端が第2案内板12側に位置するように、上下方向に対して45°の角度を有して延在している。
案内溝GGは、上下ラックVRの第2案内板12側において、上下方向に延在している。案内溝GGの上端は、上下スライド板3(平板部30)の上端のやや下方に位置し、下端はカム溝CGの上端に接続している。
支持溝SG1〜SG3は回転軸X方向に延在している。支持溝SG1〜SG3の位置は上下方向においては互いに同じであり、回転軸X方向においては、支持溝SG1が上下ラックVRの第1案内板11側に、支持溝SG2、SG3が、上下ラックVRの第2案内板12側に配置されている。支持溝SG1〜SG3のうち回転軸X方向の中央に配置された支持溝SG2の第1案内板11側の端部は、カム溝CGの下端に接続している。また、支持溝SG1〜SG3の第2案内板12側の端部には、各端部を画成する一対の平行板をつなぐ停止板sが形成されている。
第1連結部31は、平板部30の第1案内板11側の上端に形成されている。第1連結部31は回転軸X方向を軸方向とする略円筒形を有し、中心部に軸方向に貫通する孔が形成されている。第2連結部32は、図3に示す通り、平板部30の第2案内板12側の上端に形成されている。第2連結部32は、平板部30から、回転軸X方向に直交に、上下ラックVR等が形成された面とは反対側に延びる略半円形の板部であり、回転軸X方向に貫通する孔を有している。
コンバイナサポート4は、図2及び図3に示す通り、回転軸X方向が長手方向である矩形の保持板部40と、保持板部40の下端から保持板部40と直交して延在する2つのリブ41と、保持板部40の回転軸X方向の両端部に形成された連結部42とを有する。保持板部40の、リブ41が延在する側とは反対側の面には、コンバイナCが固定される(図9)。
リブ41は、保持板部40の下端に、回転軸X方向に2つ並んで形成されている。リブ41は、平面視形状が矩形の第1矩形部R1及び第2矩形部R2と、回転軸X方向において第1矩形部R1と第2矩形部R2とに挟まれた、平面視形状が台形の台形部TRとを有する。
第1矩形部R1の、保持板部40に直交する方向(上下方向と回転軸X方向とに直交する方向)の寸法tR1は、回転軸X方向の全域に渡って一定である。すなわち、第1矩形部R1の側板2と対向する側面SR1は、回転軸X方向に沿って、保持板部40と平行に延在している。
台形部TRの、保持板部40に直交する方向の寸法tTRは、回転軸X方向に沿って第1案内板11側から第2案内板12側に移動するにつれて、次第に大きくなっている。換言すれば、台形部TRの側板2と対向する傾斜側面STRは、保持板部40に対して角度θを有して傾斜して延在している。傾斜側面STRの第1案内板11側の端部は、側面SR1の第2案内板12側の端部と接続している。
第2矩形部R2の、保持板部40に直交する方向の寸法tR2は、回転軸X方向の全域に渡って一定である。すなわち、第2矩形部R2の側板2と対向する側面SR2は、回転軸X方向に沿って、保持板部40と平行に延在している。側面SR2の第1案内板11側の端部は、傾斜側面STRの第2案内板12側の端部と接続している。また、第2矩形部R2の寸法tR2は、第1矩形部R1の寸法tR1よりも大きい。なお以下の説明では、適宜、側面SR1、SR2及び傾斜側面STRをまとめて側面SSと呼ぶ。
連結部42は、保持板部40の回転軸X方向の両端部の上端に形成されている。連結部42は、それぞれ回転軸X方向に直交してリブ41と同じ方向に延びる略半円形を有する板部であり、回転軸X方向の貫通孔を有している。
図2及び図3に示す通り、上下スライド板3に対してコンバイナサポート4は、軸SHを介して回転可能に連結されている。具体的には、上下スライド板3は、コンバイナサポート4のリブ41が延在する側(コンバイナCが取り付けられた面とは反対側)に、第1連結部31及び第2連結部32が、コンバイナサポート4の2つの連結部42の間に位置するように配置されている。軸SHは、この状態において上下スライド板3の第1、第2連結部31、32の貫通孔と、コンバイナサポート4の2つの連結部42の貫通孔とを通り、上下スライド板3とコンバイナサポート4とを連結している。また、上下スライド板3の平板部30とコンバイナサポート4の保持板部40との間には、コンバイナサポート4の保持板部40を、上下スライド板3に近づく方向に付勢するねじりばね(不図示)が設けられている。
上下スライド板3とコンバイナサポート4とを連結した軸SHの両端部の近傍には、それぞれ同期ピニオンSPnが取り付けられている。軸SHの第1案内板11側の端部は、第1案内板11の第1軸案内溝11gに嵌合されており、当該端部近傍の同期ピニオンSPnは第1案内板11の第1ラック11rと噛み合わされている。同様に、軸SHの第2案内板12側の端部は、第2案内板12の第2軸案内溝12gに嵌合されており、当該端部近傍の同期ピニオンSPnは第2案内板12の第2ラック12rと噛み合わされている。
水平スライド板5は、回転軸X方向が長手方向である矩形状の本体部50と、本体部50の第1案内板11側から下方に延在する矩形状の第1張出部51と、本体部50の第2案内板12側から下方に延在する矩形状の第2張出部52とを有する。水平スライド板5は、第1案内板11と第2案内板12との間において、回転軸X方向に移動可能なように、不図示のレール機構を介して側板2に取り付けられている。また水平スライド板5は、側板2及び上下スライド板3に直交する方向(上下方向と回転軸X方向とに直交する方向)においては、側板2と上下スライド板3との間に配置されている。
本体部50の下辺50aの第1案内板11側には、歯を下方に向けて水平に延在する水平ラック(軸方向ラック)HRが形成されている。水平ラックHRは、側板2に取り付けられたギア列6と共にラックアンドピニオン機構を構成し、後述するモータ(不図示)の回転を水平スライド板5の回転軸X方向の移動に変換する。水平ラックHRのピッチは上下ラックVRのピッチと同一である。
本体部50の、上下スライド板3側を向く面(側板2とは反対側を向く面)には、円筒状の3つの突起p1〜p3が形成されている。突起p1〜p3は、上下方向においては互いに同じ位置に配置されており、回転軸X方向においては定められた間隔で配置されている。突起p1、p3は、後述する通り、上下スライド板3が上方に移動して水平スライド板5と対向した時にそれぞれ支持溝SG1内、SG3内に嵌入するように、回転軸X方向の両端部近傍に配置されている。また突起p2は、上下スライド板3が上方に移動して水平スライド板5と対向したときに、案内溝GG内、カム溝CG内、支持溝SG2内に順に嵌入するように、本体部50の回転軸X方向の中央近傍に配置されている。
第1張出部51は、本体部50の第1案内板11側の端部と、水平ラックHRの第1案内板11側の端部との間から、下方に延在している。第1張出部51の上下スライド板3側を向く面(側板2とは反対側を向く面)には、円筒状の突起(突出部)p4が形成されている。突起p4は、後述する通り、コンバイナサポート4が上方に移動して水平スライド板5と対向した時に、第1案内板11側のリブ41の側面SSと接触し、傾斜側面STR上を摺動するように配置されている。
第2張出部52は、本体部50の第2案内板12側の端部と、水平ラックHRの第2案内板12側の端部との間から、下方に延在している。第2張出部52の上下スライド板3側を向く面(側板2とは反対側を向く面)には、円筒状の突起(突出部)p5が形成されている。突起p5は、後述する通り、コンバイナサポート4が上方に移動して水平スライド板5と対向した時に、第2案内板12側のリブ41の側面SSと接触し、傾斜側面STR上を摺動するように配置されている。
ギア列6は、側板2に取り付けられており、図2に示す通り3つのピニオンギアPn1〜Pn3と、各ピニオンギアの間に配置された2つのアイドルギアAd1、Ad2とを含む。アイドルギアAd1にはモータ(不図示)が連結されている。
次に、図4〜図9を参照して、移動装置Mの動作を説明する。なお図4〜6は、図2の側板2側から、上下スライド板3、コンバイナサポート4、水平スライド板5を見た様子を簡略に示している。図7(a)〜(d)は、図4〜6と同方向から見たピニオンギアPn1周辺の拡大図であり水平スライド板5を半透明に描いている。
図4(a)は、コンバイナCが図1(a)に示す収納状態にある時の、上下スライド板3、コンバイナサポート4、水平スライド板5の配置を示す。
この状態において、上下スライド板3及びコンバイナサポート4は、上下方向の可動範囲内で最も下方に位置しており、上下スライド板3の上下ラックVRは、ギア列6の最も下方にあるピニオンギアPn3と噛み合っている。一方で、水平スライド板5の水平ラックHRは、ギア列6のピニオンギアPn1とは噛み合っておらず、またギア列6の他のいずれのギアとも噛み合っていない。
またこの状態においては、軸SHの両端部は、それぞれ第1軸案内溝11gの下端11gbと第2軸案内溝12gの下端12gbに接触して下方への移動が規制されており、上下スライド板3の平板部30の両端部のボス30aは、それぞれ第1板案内溝11aの下端と第2板案内溝12aの下端とに接触して下方への移動が規制されている。また軸SHの両端部近傍に取り付けられた同期ピニオンSPnは、それぞれ第1ラック11r、第2ラック12rと噛合している。
この状態において、モータ(不図示)を駆動してギア列6のピニオンギアPn1〜Pn3を回転させると、上下ラックVRとピニオンギアPn1〜Pn3とにより構成されるラックアンドピニオン機構により、上下スライド板3が上方に移動する。またこの時、上下スライド板3に連結されたコンバイナサポート4とコンバイナサポート4に固定されたコンバイナC、及び上下スライド板3とコンバイナサポート4とを連結する軸SHも上方に移動する。
上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHの上方への移動は、軸SHの両端部に取り付けられた同期ピニオンSPnを、第1ラック11r及び第2ラック12rにそれぞれ噛み合わせた状態で行われる。したがって軸SHの上下位置は両端部において同期がとられ、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHは、水平を保ったまま上方に移動する。
また上下スライド板3は、上端近傍においては軸SHを介して第1軸案内溝11g、第2軸案溝12gにガイドされており、下端近傍においてはボス30aを介して第1板案内溝11a、第2板案内溝12aにガイドされている。したがって上下スライド板3は、側板2と定められた角度を保ったまま安定的且つ良好に上方に移動する。
一方で、水平スライド板5は、上述の通りギア列6のいずれのギアとも噛み合っていない。したがってギア列6の回転は水平スライド板5には伝達されず、水平スライド板5は静止したままである。
図4(a)に示す状態から、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHが所定距離だけ上方に移動すると、図4(b)に示す状態に至る。
この状態において上下スライド板3及びコンバイナサポート4は、その上端が水平スライド板5の上端とほぼ一致する高さまで上昇して水平スライド板5と対向しており、上下スライド板3の上下ラックVRは、ギア列6の最も上方にあるピニオンギアPn1と噛み合っている。一方で、水平スライド板5の水平ラックHRは、図4(a)に示す状態と同様にギア列6のいずれのギアとも噛み合っていない。
またこの状態においては、水平スライド板5に形成された突起p2が、上下スライド板3に形成された案内溝GGに嵌合している。
図4(b)に示す状態から、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHが更に上方に移動すると、上下スライド板3の案内溝GGに嵌合した水平スライド板5の突起p2は、案内溝GG内を下方に相対移動し、案内溝GGの下端に至る。この状態の拡大図を図7(a)に示す。この状態においては、ギア列6のピニオンギアPn1は、上下ラックVRと噛み合っているが、水平ラックHRとは依然として噛み合っていない。
図7(a)に示す状態から、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHがわずかに上方に移動すると、上下スライド板3の案内溝GGの下端に位置していた突起p2は、案内溝GG内をわずかに下方に相対移動し、案内溝GGの下端に接続されたカム溝CGに至る。この状態の拡大図を図7(b)に示す。
ここでカム溝CGは、上述の通り、上端が第1案内板11側に、下端が第2案内板12側に位置するように、上下方向に対して45°の角度を有して延在している。したがって突起p2がカム溝CGに至り、さらに上下スライド板3及びこれに形成されたカム溝CGが上方に移動すると、突起p2は、カム溝CGを画成する壁面に押されて、回転軸X方向に、第2案内板12に向かって移動する。これにより、水平スライド板5、及び水平スライド板5に形成された水平ラックHRも回転軸X方向を第2案内板12に向かって移動し、図5(c)及び図7(b)に示す通り、水平ラックHRとピニオンギアPn1とが噛合される。
水平ラックHRとピニオンギアPn1とが噛合することにより、ピニオンギアPn1と水平ラックHRとによってラックアンドピニオン機構が形成される。したがって、図5(c)及び図7(b)に示す状態においては、ギア列6の回転は、上下スライド板3に伝達されて上下スライド板3を上方に移動すると同時に、水平スライド板5に伝達されて水平スライド板5を回転軸X方向に移動する。ここで、上下ラックVRと水平ラックHRのピッチは同一である。したがって、上下スライド板3と水平スライド板5は同一速度で移動し、水平スライド板5に設けられた突起p2は、上下方向に対して45°の角度を有して上下スライド板3に設けられたカム溝CGの中を滑らかに移動する。
図5(c)、図7(b)に示す状態から、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHがわずかに上方に移動した状態を図7(c)に示す。この状態においても、水平スライド板5の突起p2は上下スライド板3のカム溝CGに嵌合している。またこの状態においても、上下ラックVRと水平ラックHRの両方がピニオンギアPn1と噛み合っており、ピニオンギアPn1の回転により、上下スライド板3、水平スライド板5の両方が移動される。
このように本実施形態の移動装置Mにおいては、水平スライド板5の突起p2が上下スライド板3のカム溝CGと嵌合している間は、上下スライド板5の上下ラックVRと水平スライド板5の水平ラックHRの両方がピニオンギアPn1と噛み合っており、ピニオンギアPn1の回転により、上下スライド板3と水平スライド板5の両方が移動される。
図7(c)に示す状態から、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHがわずかに上方に移動し、水平スライド板5がわずかに第2案内板12側に移動した状態を、図5(d)及び図7(d)に示す。
この状態においては、上下スライド板3の上下ラックVRの下端部はギア列6のピニオンギアPn1の上方に位置しており、ピニオンギアPn1は上下ラックVRから離脱している。すなわち、上下ラックVRとピニオンギアPn1〜Pn3とは、ラックアンドピニオン機構を形成していない。
一方で、この状態においては、水平スライド板5に形成された突起p1、p2、p3が、上下スライド板3に回転軸X方向に定められた間隔で形成された支持溝SG1、SG2、SG3にそれぞれ嵌合している。したがって、上下スライド板3は、上下ラックVRとギア列6との噛合が解消されているにもかかわらず、突起p1〜p3と、支持溝SG1〜SG3との嵌合により支持されて、下方への移動が規制されている。
またこの状態においては、軸SHの両端部はそれぞれ、第1軸案内溝11gの上端部11gt第2軸案内溝12gの上端部12gtに配置された板ばねfsに当接して、上方への移動が規制されている。すなわち上下スライド板3、コンバイナサポート4、及びこれらを一体に連結する軸SHは、水平スライド板5の突起p1〜p3と上下スライド板3の支持溝SG1〜SG3との嵌合により下方への移動が、軸SHの両端部と板バネfsとの当接により上方への移動が規制され、上下方向の一定位置に保持されている。また軸SHは、下方への移動が規制された状態で両端部において板バネfsにより下方に付勢されているため搖動が抑制されている。この状態は、コンバイナサポート4及びこれに支持されたコンバイナCの上方への移動が完了した状態であり、コンバイナCが図1(b)に示す展開状態にある時の、移動装置Mの状態に相当する。
また、図5(d)に示す状態においては、水平スライド板5の第1張出部51に形成された突起p4の頂面が、コンバイナサポート4の第1案内板11側に設けられたリブ41の側面SSに対向しており、水平スライド板5の第2張出部52に形成された突起p5の頂面が、コンバイナサポート4の第2案内板12側に設けられたリブ41の側面SSに対向している。
この状態を上方から見た様子を図8に示す。図8に示す通り、突起p4、p5の頂面は、リブ41の側面SSのうち、コンバイナサポート4の保持板部40と平行に延在する側面SR1に対向している。
図5(d)に示す状態から、ピニオンギアPn1を更に回転すると、上述の通り上下ラックVRはピニオンギアPn1とは噛み合っておらず、水平ラックHRのみがピニオンギアPn1と噛み合っているため、水平スライド部5のみが回転軸X方向に沿って第2案内板12側に移動する。この時、上下スライド板3に形成された支持溝SG1〜SG3にそれぞれ嵌合した水平スライド板5の突起p1〜p3は、支持溝SG1〜SG3内を第2案内板12に向かって摺動する(図6(e))。したがって、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHの下方への移動は引き続き規制されたままである。
また、水平スライド板5が、回転軸X方向を第2案内板12側に移動することにより、図6(e)に示す通り、水平スライド板5の第1、第2張出部51、52に形成された突起p4、p5が、コンバイナサポート4のリブ41の傾斜側面STRに当接し、傾斜側面STR上を摺動する。これにより、コンバイナサポート4の保持板部40は、図9の矢印Aで示す通り、側板2及び上下スライド板3から離間する方向に押され、保持板部40に取り付けられたコンバイナCは、第1軸案内溝11gの上端部11gt及び第2軸案内溝12gの上端部12gtにおいて、板バネfsに付勢され、搖動が防止された安定した状態で静止している軸SHを回転軸Xとして回動(チルト移動)する。
その後、水平スライド板5は、突起p1〜p3が、支持溝SG1〜SG3の停止板sに当接するまで回転軸X方向を移動する。突起p1〜p3が停止板sに当接すると、水平スライド板5は停止し、コンバイナCのチルト移動も停止する。
次に、上記の動作によりチルト移動されたコンバイナCを、収納位置に戻す動作について説明する。この動作は基本的に、上記した、収納状態のコンバイナCを展開状態とし、次いでチルト移動させる動作を反対に行うものである。
まず、チルト動作が完了した状態においてモータ(不図示)の回転方向を反転すると、水平スライド板5は回転軸X方向を第1案内板11側に移動する。この時、突起p4、p5は、コンバイナサポート4のリブ41の側面SS上を、傾斜側面STRから側面SR1に向けて摺動する。よってチルトされていたコンバイナCは、上下スライド板3の平板部30とコンバイナサポート4の保持板部40との間に配置されたねじりばね(不図示)により図9に示す、上下スライド板3及び水平スライド板5に平行な初期状態に戻される。
次いで、水平スライド板5が更に第1案内板11側に移動すると、図5(d)、図7(d)に示す通り、水平スライド板5の突起p2が、上下スライド板3のカム溝CGの手前に移動する。カム溝CGは、上述の通り、上端が第1案内板11側に、下端が第2案内板12側に位置するように、上下方向に対して45°の角度を有して延在している。したがって突起p2がカム溝CGに至り、さらに水平スライド板5及びこれに形成された突起p2が第1案内板11側に移動すると、カム溝CGを画成する壁面は突起p2に押されて下方に移動する。これにより、上下スライド板3、及び上下スライド板3に形成された上下ラックVRも下方に移動し、図5(c)及び図7(c)に示す通り、上下ラックVRとピニオンギアPn1とが噛合される。
図5(c)、図7(c)に示す状態から更に水平スライド板5を第1案内板11側に移動すると、水平ラックHRは、図4(b)及び図7(a)に示す通りピニオンギアPn1を超えて第1案内板11側に移動する。したがって、ピニオンギアPn1が水平ラックHRから離脱し、水平スライド板5は停止する。
一方で、上下ラックVRは、ピニオンギアPn1、Pn2、Pn3と順に噛み合って、図4(a)に示す状態に戻る。これにより、コンバイナCは図1(a)に示す収納状態に戻る。
本実施形態の移動装置M及び表示装置100の効果を以下にまとめる。
本実施形態の移動装置Mは、コンバイナCの上下移動とチルト移動とを安価なラックアンドピニオン機構により行っているため製造コストが安く、特にスクリューシャフト等を用いてコンバイナCを上下移動させる装置に比べて製造コストが安い。また、本実施形態の移動装置Mは、コンバイナCを上下方向に移動させるためのラックアンドピニオン機構と、コンバイナCをチルト移動させるためのラックアンドピニオン機構とを、共通のピニオンギアPn1を用いて省スペースで配置しているため、部品数が少なくコンパクトである。
本実施形態の移動装置Mは、上下スライド板3が所定高さに移動した時に水平ラックHRとピニオンギアPn1とを噛み合わせる機構としてカム機構を採用しているため、製造コストをより削減することができる。また、本実施形態の移動装置Mは、上下スライド板3が所定高さに移動した時に水平ラックHRとピニオンギアPn1とを噛み合わせる機構として、上下方向に対して45°の傾斜を有して延在するカム溝CGと、カム溝CGに嵌合する突起p2とを含むカム機構を採用しているため、水平ラックHRとピニオンギアPn1との噛み合わせを確実に行うことができる。
本実施形態の移動装置Mは、上下スライド板3、コンバイナサポート4、水平スライド板5がすべて板状であり、これらが互いに平行な状態、且つ収納状態のコンバイナCと略平行な状態で配置されている。したがって、本実施形態の移動装置Mは、コンバイナCと直交する方向(自動車に搭載した場合には、運転手とフロントガラスとの間に渡る方向)の寸法を小さくすることができる。
本実施形態の移動装置Mにおいては、上下スライド板3に、回転軸X方向に定められた間隔で3つの保持溝SG1〜SG3が形成されており、水平スライド板5の突起p1〜p3が、3つの保持溝SG1〜SG3に嵌合するように設けられている。したがって、本実施形態の移動装置Mにおいては、水平スライド板3を軸SH方向の複数箇所でバランス良く保持して上下スライド板3の下方への移動を良好に規制することができ、ひいては軸SHを所定の高さに良好に保持した状態で、軸SHを回転中心としたコンバイナCのチルト移動を行うことができる。
本実施形態の移動装置Mにおいては、水平スライド板5の移動によりコンバイナサポート4を前記水平スライド板5に対してチルト移動させる機構として傾斜側面STRを有するリブ41を用いているため、製造コストをより削減することができる。
本実施形態の移動装置Mにおいては、コンバイナサポート4のリブ41は、回転軸X方向の両端部に2つ形成されており、水平スライド板5の突起p4、p5が、2つのリブ41に当接するように設けられている。本実施形態の移動装置Mにおいては、複数のリブ41に均等に力を付与してコンバイナサポート4にバランス良く回転力を付与しているため、コンバイナCのチルト移動を良好に行うことができる。
本実施形態の移動装置Mは、第1、第2案内板11、12を有し、第1、第2案内板11、12に形成された、第1、第2軸案内溝11g、12gが軸SHの上下移動を案内し、且つコンバイナサポート4のチルト移動時に軸SHを支持している。したがって、本実施形態の移動装置Mは、コンパクトであり、且つ上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHの上下移動を良好に行うことができる。
本実施形態の移動装置Mは、第1、第2案内板11、12を有し、第1、第2案内板11、12に形成された第1、第2ラック11r、12rに、軸SHに取り付けられた同期ピニオンSPnを噛み合わせた状態で、軸SHを上下移動させている。したがって、上下スライド板3、コンバイナサポート4、軸SHの上下移動時に、これらの水平状態を確実に保つことができる。
本実施形態の表示装置100も、本実施形態の移動装置Mと同様の効果を奏することができる。
なお、上記の実施形態の移動装置Mでは、コンバイナCの展開時に、「上下スライド板(上下可動部)3が所定高さに移動した時に水平ラック(軸方向ラック)HRとピニオンギア(ギア)Pn1とを噛み合わせる機構」として、上下スライド板3に形成されたカム溝CGと、水平スライド板5に形成された突起p2とを用いている。しかしながらこれには限られず、上下スライド板3に突起を形成し、水平スライド板5にカム溝を形成してもよい。
また、「上下スライド板(上下可動部)3が所定高さに移動した時に水平ラック(軸方向ラック)HRとピニオンギア(ギア)Pn1又はギア列とを噛み合わせる機構」を、その他の任意のカム機構とすることもできる。例えば、突起と、上下方向に対して斜めに配置された平板とを接触させて水平スライド板5移動して水平ラックHRとピニオンギアPn1を噛み合わせることもできるし、突起同士を接触させて水平スライド板5を移動して水平ラックHRとピニオンギアPn1を噛み合わせることもできるし、上下方向に対して斜めに配置された平板同士を接触させて水平スライド板5を移動して水平ラックHRとピニオンギアPn1を噛み合わせることもできる。なお本明細書においては、カム機構を形成する一対の部品のうち、一方を第1カム部品と呼び、他方を第2カム部品と呼ぶ。
「上下スライド板(上下可動部)3が所定高さに移動した時に水平ラック(軸方向ラック)HRとピニオンギア(ギア)Pn1又はギア列とを噛み合わせる機構」はカム機構以外の様々な機構であり得る。また「上下スライド板(上下可動部)3が所定高さに移動した時に水平ラック(軸方向ラック)HRとピニオンギア(ギア)Pn1又はギア列とを噛み合わせる機構」は、上記実施形態のように、コンバイナCを収容する工程において、水平スライド板(軸方向可動部)5が回転軸X方向の所定位置に移動した時に上下ラックVRとピニオンギア(ギア)Pn1とを噛み合わせる機能を有するものであってもよいし、有さないものであってもよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mでは、「水平スライド板(軸方向可動部)5の移動によりコンバイナサポート(表示板保持部)4を前記水平スライド板(軸方向可動部)5に対してチルト移動させる機構」として、コンバイナサポート4に傾斜側面STRを有するリブ41を設け、リブ41の傾斜側面STRと水平スライド板5の突起p4、p5とを接触させて、コンバイナサポート4及びコンバイナCのチルト移動を行っている。しかしながら、コンバイナサポート4及びコンバイナCをチルト移動させる機構はこれには限られず、図10に示す通り、水平スライド部5に、傾斜側面STRと同様の傾斜面を有する板状突起p6、p7を設け、これをコンバイナサポート4に形成された突起43と接触させて、コンバイナサポート4及びコンバイナCを、水平スライド板5に対してチルト移動させてもよい。また、コンバイナサポート4にリブ41を設け、水平スライド板5に板状突起p6、p7を設けても良い。本明細書では、コンバイナサポート4のリブ41や、水平スライド板5の突起p6、p7のように、上下方向と回転軸X方向とに直交する方向の寸法が回転軸X方向において次第に変化する部分を「厚さ変化部」と呼ぶ。
また、「水平スライド板(軸方向可動部)5の移動によりコンバイナサポートサポート(表示板保持部)4を前記水平スライド板(軸方向可動部)5に対してチルト移動させる機構」は、「厚さ変化部」を有さない機構であってもよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、上下スライド板3と水平スライド板5とは、板状部材には限定されない。しかしながら、移動装置Mの、コンバイナCと直交する方向の寸法を小さくするためには、該方向の寸法が小さい部材を使用することが好ましい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、第1案内板11は第1案内ラック11rを有さなくてもよく、第2案内板12は、第2案内ラック12rを有さなくても良い。この時、軸SHには同期ピニオンSPnが取り付けられていなくても良い。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、第1案内板11は第1軸案内溝11gを有さなくても良く、第2案内板12は第2軸案内溝12gを有さなくても良い。この時は例えば、上下スライド板3に上下方向の貫通孔を設け、この貫通孔に上下方向に延在する案内軸を挿入して上下スライド板3をガイドしてもよい。また、上記実施形態の移動装置Mにおいて、第1、第2案内板11、12は第1、第2軸板案内溝11a、12aを有さなくてもよく、上下スライド板3はボス30aを有さなくても良い。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、上下スライド板3は案内溝GGや支持溝SG1〜SG3のいずれか又は全てを有さなくてもよい。例えば上下スライド板3が、支持溝SG2のみを有する場合も、水平スライド板5の突起p2と支持溝SG2とを嵌合することによって、水平スライド板5の下方への移動を良好に制止することができる。支持溝SG1〜SG3を有さない場合は、例えば第1、第2軸案内溝11g、12gの上端11gt、12gtの近傍に、ばね等により付勢されて第1、第2案内溝11g、12gの側面から突出し、第1、第2軸案内溝11g、12gを幅方向にふさぐピンを設け、これにより軸SHの下方への移動を規制してもよい。なお、上下ラックVRと水平ラックHRの両者にピニオンギアPn1を噛合させる際、ラックとピニオンの位相を合わせるためには、上下ラックVRの最初にピニオンギアPn1に噛合する歯と案内溝CGの距離、及び水平ラックHRの最初にピニオンギアPn1に噛合する歯と突起P2との距離の寸法精度を高める必要がある。その場合、上下ラックVRと案内溝CG、水平ラックHRと突起p2がそれぞれ一体に形成されている方が有利となる。
なお、上記実施形態の移送装置Mは、上下スライド板3を有さなくても良い。この場合は、コンバイナサポート4の側板2と対向する面に、水平ラックVR、及びカム溝CGを設けることができる。またこの場合には、コンバイナサポート4がチルト移動する際の軸SHの下方への移動の規制は、例えば、第1、第2軸案内溝11g、12gの上端11gt、12gtの近傍に、ばね等により付勢されて第1、第2案内溝11g、12gの側面から突出し、第1、第2軸案内溝11g、12gを幅方向にふさぐピンを設けて行うことができる。このピンは、コンバイナサポート4のチルト移動時には軸SHの下方への移動を規制するが、コンバイナサポート4の上下移動時には、軸SHに押されて第1、第2案内溝11g、12gの側面内に退避し、軸SHの上下移動を許容する。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいては、ギア列6に含まれるギアの数は任意である。ピニオンギアの数を増やすことで、上下ラックVRの長さを小さくすることができ、上下ラックVRの長さを小さくすることで、上下スライド板3の上下寸法を小さくすることができる。上下スライド板3の上下寸法が小さくなれば、側板2、第1、第2案内板11、12の上下寸法も小さくできるため、移動装置M全体の上下寸法を小さくすることができる。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、ピニオンギアPn1を2段ギアとしてもよい。この場合、例えばモジュールの大きい1段目歯車を上下ラックVRと噛み合わせ、モジュールの小さい2段目歯車を水平ラックHRと噛み合わせれば、1段目歯車と上下ラックVRとにより構成されるラックアンドピニオン機構による上下スライド板3の上下移動を素早く行うことができ、同時に2段目歯車と水平ラックHRとにより構成されるラックアンドピニオン機構による水平スライド板5の移動速度を遅くして、コンバイナサポート4のチルト角度の微調整を容易とすることができる。また1段目歯車の歯数と2段目歯車の歯数を適切な組み合わせで可変させてもよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、上下ラックVRと噛み合うピニオンギアと水平ラックHRと噛み合うピニオンギアとを異ならせても良い。具体的には例えば、図11に示す通り、上下ラックVRと噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成するピニオンギアPn1に加えて、水平ラックHRと噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成するピニオンギアPn4と、ピニオンギアPn1とピニオンギアPn4とをつなぐアイドルギアAd3を設けることができる。またこの場合は、ピニオンギアPn4又はアイドルギアAd3を直接モータ(不図示)に取り付ければバックラッシュが抑制された状態で水平スライド板5を移動させることができ、ひいてはコンバイナサポート4のチルト角度の微調整を精密に行うことができる。ギアの配置は側板2上のわずかなスペースで行い得るため、このように単一のピニオンギアPn1ではなくギア列を構成するいずれかのギア(ピニオンギアPn1又はピニオンギアPn4)を上下ラックVR及び水平ラックHRと噛み合わせる構成を用いてもコンパクトな移動装置Mを実現できる。
なお、上下スライド板3と水平スライド板5とを異なる速度で移動させる態様において上下方向に対して傾斜したカム溝を用いる時は、そのカム溝の上下方向に対する傾斜角は、上下スライド板3と水平スライド板5との速度比に応じて決定することができる。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、上下スライド板3とコンバイナサポート4とを相対回転可能に連結する構造は、軸SHを用いた構造に限られない。例えば、上下スライド板3の連結部31、32とコンバイナサポート4の連結部42とをリベットで連結してもよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、コンバイナサポート4のリブ41の数は、2つには限られない。リブ41は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、傾斜側面STRの傾斜角θ、及び回転軸X方向の長さを適切に設計することで、コンバイナCの様々なチルト移動を実現することができる。例えば、コンバイナCのチルト角度を精密に制御したい場合には、傾斜角θを小さくし、回転軸X方向の長さを大きくするとよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいては、水平スライド板5の第1張出部51に設けられた突起p4と、第2張出部52に設けられた突起p5とをリブ41に接触させていたがこれには限られない。第1、第2張出部51、52を直接リブ41に接触させてもよいし、リブ41が回転軸X方向に1つのみ設けられている場合には、水平スライド板5の本体部50の第2案内板12側の端面を、リブ41に接触させてもよい。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、ギア列6に回転力を与えるためのモータは、任意の位置に配置することができる。したがって、モータを側板2に取り付けることにより、移動装置Mの上下寸法を小さくすることができる。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、リブ41の側面SSは傾斜側面STRのみで構成されていても良い。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、モータはピニオンギアPn1と直接、もしくはピニオンギアPn1により近いギアと噛合している時、もっともバックラッシュの影響が小さくなり、高い精度でチルト移動することが可能となる。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、停止板sに突起p1〜p3が当接した際に水平スライド板5や上下スライド板3の移動を停止するようにしていたが、モータの制御方法によっては物理的な当接を行う前にこれらの移動を停止することが可能である。その際、停止板sや上端11gtや12gtを設けておくと、何らかの不具合によりこれらの移動がオーバーランした場合のストッパーの役割を果たすことになり、ギアやモータの破損を防止することが可能である。
なお、上記実施形態の移動装置Mにおいて、保持板部40の傾斜側面STRの傾斜方向は図3で示す方向と逆方向に傾斜していても構わず、要求されるチルト移動方向に応じて、適宜選択すればよい。具体的には、図3において傾斜側面STRを傾斜角θがマイナスとなるように傾斜させる。
なお、上記実施形態の表示装置100においては、コンバイナCのコンバイナサポート4への取り付けを、表示面C1とは反対側の面とコンバイナサポート4とを接触させた状態で行っているが、表示面C1側をコンバイナサポート4に接触させた状態で行っても良い。このようにコンバイナCの取り付け方法を変えることによっても、コンバイナCのチルト方向を変えることができる。
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。