JP6324848B2 - 導波路材料膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光導波路を構成するための光導波路材料からなる光導波路材料膜の形成方法に関する。
シリコン基板の上に形成された光導波路を基本とする平面導波型光回路は、作製プロセスに半導体装置の製造技術を利用できるため、まず、作製が容易であり、また、集積化および大規模化にも有利であるなどの特徴を有している。このため、この平面導波型光回路は、光分岐,光スイッチ,波長フィルターなどの光通信のキー部品に広く利用されている。現在の光通信システムに導入されている一般的な平面導波路型光回路は、導波路のコアおよびクラッドが、主に石英系材料で構成されている。
一方、光デバイスの大幅な小型化、高集積化、さらにはシリコン電子素子との融合を目的に、近年、導波路のコアに、石英の代わりにより屈折率の大きい材料の適用が検討されている。このような材料として、例えば、SiONやSiNがある。比屈折率差が1〜3%の石英導波路では、最小の曲げ半径がおよそ300μmと大きいために集積度の向上が難しいが、比屈折率差が24%のSiN導波路の最小の曲げ半径は30μm程度であり、石英導波路と比較して集積度の向上が期待できる。
また、SiON導波路の酸素と窒素の組成比を変化させることで、比屈折率差を1〜24%の間で選択することができる。これによって、パッシブデバイスなどにおける干渉光学系を作製する際に最適な比屈折率差を選択することができ、設計自由度の向上が期待できる。
一方で、SOI基板を用いることで形成されるSi導波路の比屈折率差は41%であり、最小曲げ半径はおよそ3μmと非常に小さいため、SiON導波路よりも高い集積度が期待できる。しかしながら、高すぎる光閉じ込めによって、Si導波路では加工誤差起因による位相誤差が大きく現れてしまう。例えば、幅440nm、厚さ220nmのサイズを持つSi導波路コアにおいて、コア幅加工誤差が1nmの場合に引き起こされる実効屈折率変化は、−0.002nm-1と極めて大きい。
また、Siは非線形性が高い材料であり、特に比屈折率差が高く光閉じ込めが強いSi導波路内では、高いパワー密度によって四光波混合によるクロストーク増大や二光子吸収による損失増大が発生するため、非線形効果を無視できなくなる。材料の非線形定数と導波路内のモードフィールド径を考慮した実効非線形パラメータγの値は、Si導波路の場合γ〜300[W-1-1]である。またSiは、バンドギャップが小さいため二光子吸収が発現してしまい、二光子吸収係数βの値は0.9[cm/GW]と大きく、過剰損失の原因となる。
Si導波路内における非線形効果の発現は、数十dBmのパワーの光を入力した際に特に顕著な問題となる。これは、波長分割多重伝送を用いて多波長の光を用いる場合や、デジタルコヒーレント伝送における高いパワーを必要とする局発光を用いる場合においても非線形効果が実用上の問題となる。
一方で、SiNを用いた光導波路の場合は、γ〜1.4[W-1-1]であり、Si導波路の非線形効果よりも十分に小さくすることができるため、四光波混合によるクロストーク増大を抑制することができる。また、SiNは絶縁体であるため、バンドギャップは非常に大きく、二光子吸収の効果は無視できることから、パワー耐性を高くすることが可能である。
上述した特徴を備える光導波路材料としてのSiONおよびSiNは、一般には、プラズマCVD(Chemical vapor deposition)法により膜として形成して用いられている。プラズマCVD法により上記材料の成膜では、シリコン供給源としてSiH4,Si26などが用いられ、酸素供給源としてO2が用いられ、窒素供給源としてN2,NH3,NO,NO2,N2Oなどの窒素化合物が用いられている。
例えば、プラズマCVDによるSiON膜の形成では、原料ガスとしてSiH4,O2,N2が用いられている。また、プラズマCVDによるSiON膜の形成では、上記原料ガスの供給流量比を変えることで酸素と窒素の元素比率を変えることができ、SiON膜の屈折率をコントロールできる。具体的には,SiOxの屈折率n≒1.5からSiNの屈折率n≒2.0程度である。なお、SiNの屈折率は、SiOxとSi(n≒3.5)の屈折率の中間に位置する。
しかしながら、上述したSiH4,Si26などの原料ガスを用いる場合、形成されるSiN膜やSiON膜中にN−H基が形成される。N−H基の伸縮振動では、λ=1.5μmにおける光吸収が生じるため、膜中にN−H基が形成されているSiNおよびSiONを用いて光導波路を構成した際の光吸収が問題となる。
この問題を解消するためには、膜中におけるN−H基を低減すればよいが、このために原料ガスにHを含まないガス系を用いた成膜法が検討されている。具体例としては,Si系材料ガスとして、SiCl4,Si2Cl6,SiF4を用い、O2,O3,N2,NO,N2Oを組み合わせてSiN膜およびSiON膜の形成が試されている。
特開2000−091337号公報 特開2000−077406号公報
しかしながら、SiCl4,Si2Cl6,SiF4などのハロゲン系シリコン化合物と、窒素化合物とを原料ガスとして用いる場合、形成される膜中にSi−Cl基,Si−F基が残るという問題がある。この点について、図3を用いて説明する。図3は、SiCl4ガスを用いたECR(Electron cyclotron resonance)プラズマCVD法により形成したSiON膜およびSiO2膜の、EDS(Energy dispersive x-ray spectroscopy)の結果を示す特性図である。各膜の形成における原料ガスの供給条件,形成膜厚,形成された膜の屈折率は、以下の表1に示す。なお、表1中のsccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。
図3に示すように、SiON膜とSiO2膜のKα(Cl)を比較すると、SiON膜の方が膜中にClが多く含まれているのが分かる。これは、SiCl4ガスに反応する窒素プラズマの酸化力が、酸素プラズマと比較して低いためであり、窒素プラズマでは膜中にSi−Cl基が多く残ったまま成膜される。
膜中に残留するSi−Cl基またはSi−F基は、成膜後に大気中のH2Oと、次に示す化学反応を起こす。「Si−Cl+H2O→Si−OH+HCl↑・・・(1)」。「Si−F+H2O→Si−OH+HF↑・・・(2)」。反応式(1),(2)に示すように、Si−Cl基またはSi−F基を含んだ膜は、大気中またはプロセス中のH2Oと反応することで酸化されてしまう。このため、ハロゲン系シリコン化合物を用いて成膜し、膜中にSi−Cl基,Si−F基などのシリコンとハロゲン元素との結合基が形成されると、高屈折率化が難しいという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、光吸収が生じる結合基や、雰囲気の酸素と結合して屈折率の低下を招く結合基などの生成を抑制してSiN膜またはSiON膜が形成できるようにすることを目的とする。
本発明に係る導波路材料膜の形成方法は、プラズマCVD法により、基板の上にハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスを供給して基板の上にSiNまたはSiONからなる導波路材料膜を形成する工程を備え、原料ガスとは別の、重水素を含む水素供給ガスより重水素イオンを生成し、生成した重水素イオンを基板の上に供給して導波路材料膜を形成する。
上記導波路材料膜の形成方法において、ハロゲン系シリコン化合物は、SiCl4,Si2Cl6,SiHCl3,SiH2Cl2,SiH3Cl,SiDCl3,SiD2Cl2,SiD3Cl,SiF4,Si26,SiHF3,SiH22,SiH3F,SiDF3,SiD22,SiD3Fの少なくとも1つから構成すればよい。
上記導波路材料膜の形成方法において、水素供給ガスは、D 2 ,N3の少なくとも1つから構成すればよい。
上記導波路材料膜の形成方法において、プラズマCVD法は、ECRプラズマCVD法であるとよい。この場合、水素供給ガスは、ECRプラズマを生成するプラズマ生成室に供給し、水素供給ガスのプラズマより水素イオンまたは重水素イオンを生成すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、原料ガスとは別の水素供給ガスより水素イオンまたは重水素イオンを生成して供給するようにしたので、光吸収が生じる結合基や、雰囲気の酸素と結合して屈折率の低下を招く結合基などの生成を抑制してSiN膜またはSiON膜が形成できるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における導波路材料膜の形成方法を説明するためのフローチャートである。 図2は、本発明の実施の形態における導波路材料膜の形成方法を実施する製造装置の構成例を示す構成図である。 図3は、SiCl4ガスを用いたECRプラズマCVD法により形成したSiON膜およびSiO2膜の、EDSの結果を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における導波路材料膜の形成方法を説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101で、対象とする基板を所定の温度に加熱する。例えば、一般に用いられているプラズマCVD装置を用い、この処理室内に基板を搬入して基板台の上に載置し、処理室内を密閉状態とする。この状態で、基板台に設けられている温度制御機構を動作させ、基板を所定の温度に加熱または冷却する。ここで、基板を必ずしも温度制御しておく必要はない。
また、ステップS102で、基板の上にハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスを供給し、プラズマCVD法によりSiNまたはSiONからなる導波路材料膜を形成する。例えば、SiCl4,Si2Cl6,SiHCl3,SiH2Cl2,SiH3Cl,SiDCl3,SiD2Cl2,SiD3Cl,SiF4,Si26,SiHF3,SiH22,SiH3F,SiDF3,SiD22,SiD3Fの少なくとも1つのガスを基板上(処理室)に供給する。
また、ステップS103で、原料ガスとは別の水素供給ガスより水素イオンまたは重水素イオンを生成し、生成した水素イオンまたは重水素イオンを基板の上に供給する。例えば、H2,D2,NH3,ND3の少なくとも1つのガスを用い、水素イオンまたは重水素イオンを生成して供給する。
ここで、水素イオンまたは重水素イオンの供給は、基板の上にハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスを供給してプラズマCVD法によりSiNまたはSiONからなる導波路材料を堆積しているときに実施すればよい。また、所定の厚さに導波路材料膜が形成された段階でハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスの供給を停止してから、基板上に水素イオンまたは重水素イオンを供給してもよい。
上述した実施の形態によれば、水素イオンを供給するので、供給した水素イオンが導波路材料膜におけるSi−Cl基またはSi−F基などを構成しているハロゲン元素と反応し、HCl,HFを生成する。これらは、基板上の導波路材料膜より脱離される。
また、D2やND3などを用いて重水素イオンを供給する場合、重水素イオンが、Si−Cl基またはSi−F基などを構成しているハロゲン元素と反応し、DCl,DFを生成する。これらも、基板上の導波路材料膜より脱離される。
以上のことにより、実施の形態によれば、形成された導波路材料膜中においては、Si−Cl基またはSi−F基などが低減され、屈折率の低下を防止できる。また、実施の形態によれば、原料ガスとしてハロゲン系シリコン化合物を用いているので、導波路材料膜中にN−H基を形成することが抑制され、光吸収による問題が防止できる。
ここで、シリコン原料ガス、酸素原料ガス、窒素原料ガスのいずれにおいても、水素が含まれていない場合、導波路材料膜中における水素量が大幅に低減されるため、特に上述した効果が顕著に得られる。また、シリコン原料ガス、酸素原料ガス、窒素原料ガスに水素が含まれている場合においても、SiH4,Si26をシリコン原料として用いた場合に比較して、導波路材料膜中の水素量を低減できるので、実施の形態における効果が得られる。
次に、本発明の実施の形態における導波路材料膜の形成方法を実施する製造装置について説明する。導波路材料膜の形成では、例えば、図2に示すようなECRプラズマCVD装置を用いればよい。
ECRプラズマCVD装置は、図2に示すように、プラズマ生成室201と、プラズマ生成室201に連通する成膜室202とを備える。成膜室202の内部には、基板台203が固定されている。プラズマ生成室201の周囲には、例えば、0.0875T(テスラ)の磁場をプラズマ生成室201内に発生させる磁気コイル204が備えられている。また、プラズマ生成室201には、図示しないマイクロ波供給源により例えば2.45GHzのマイクロ波が、矩形導波管205および石英窓206を介して供給可能とされている。
また、プラズマ生成室201には、N2ガスおよびO2ガスなどを導入する導入管207が接続され、成膜室202には、SiCl4などの原料ガスを導入する導入管208が接続されている。また、基板台203には図示しない温度制御部が内蔵され、基板台203上に載置される基板209の温度を制御可能としている。
例えば、プラズマ生成室201および成膜室202を、成膜室202に連通している図示しない排気機構により減圧排気して所定の圧力とした後、導入管207よりN2ガスおよびO2ガスなどを導入し、所定の圧力に維持する。この状態で、石英窓206を介して2.45GHzのマイクロ波をプラズマ生成室201に導入し、加えて、磁気コイル204により0.0875Tの磁場を供給して電子サイクロトロン共鳴条件とすれば、プラズマ生成室201内にECRプラズマを形成させることができる。
また、上述したことにより生成されたECRプラズマは、磁気コイル204の発散磁場により、プラズマ生成室201から、これに連通する成膜室202の側に放出され、放出されたECRプラズマ210は、基板台203上の基板209上に照射される状態となる。
このとき、導入管208によりSiCl4などの原料ガスを導入すれば、この原料ガスは、ECRプラズマ210により分解が促進された状態となり、基板209上に供給される。この結果、基板209の上に、SiNやSiONなどの導波路材料膜が形成できる。導入管207よりO2ガスを導入せずにN2ガスを導入すれば、SiNからなる導波路材料膜が形成できる。また、導入管207よりN2ガスおよびO2ガスを導入すれば、SiONからなる導波路材料膜が形成できる。なお、温度制御部による成膜中の温度制御により、形成される導波路材料膜の応力を変化させることができる。
上述した構成の装置において、導入管207より、例えば、N2ガスやO2ガスなどとともに、H2ガスやD2ガスを導入すれば、導入したガスはプラズマ生成室201中で生成しているプラズマによりエネルギーが与えられイオン化し、水素イオン(重水素イオン)が生成する。この結果、基板209上に堆積されている導波路材料膜に対して水素イオン(重水素イオン)が供給できる。
以下、上述した装置を用いた導波路材料膜の形成について、より詳細に説明する。
はじめに、H+を供給する場合について説明する。例えば、SiNの成膜には、各ガスの流量を以下のように設定する。SiCl4は、3sccm、N2は、10sccm、H2は、1sccmである。また、SiONの成膜には、プラズマガスの原料としてO2を添加すれば良い。また、プラズマガスの原料を、O2/(N2+O2)流量比を0〜1.0の間で変えることで、形成されるSiON膜の屈折率を変化させる。
水素イオンの供給を実施せず、SiCl4に対して窒素プラズマのみを作用させた場合には、膜表面におけるSi−Cl基とプラズマとの反応は、例えば「2Si−Cl+2N++2e-→2Si−N+Cl2↑」となる。この反応系では、Cl脱離は完全にN+イオンに依存するものになる。N+イオンの酸化力は弱いために窒化反応が進まず、また膜中にSi−Cl基が多く残留した状態で、SiNが堆積されて導波路材料膜が形成されてしまう。
これに対し、本発明における水素イオンの基板上への供給を実施すると、成膜時には導波路材料膜表面のSi−Cl基に対し、プラズマ中のN+やH+によって、例えば「Si−Cl+N++H++2e-→Si−N+HCl↑」の反応が生じる。この反応式に示す通り、水素イオンが供給される場合には、Clの脱離が進み、導波路材料膜中のSi−Cl基が低減できる。このため、形成した後の大気中のH2Oとの反応による酸化が抑制され、高い屈折率が維持されたSiN膜やSiON膜が安定に得られる。
なお、水素イオンの供給を実施することで、通信波長帯での吸収損失を生じるN−H基が膜中に発生する場合がある。しかし、ハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスを用いる場合、SiH4やSi26をSi供給源として用いた場合に比較し、導波路材料膜中の水素量が大きく低減されるため、N−H基も少なく、N−H基による吸収損失も大きく低減され、実用上問題ない。
次に、D+を供給する場合について説明する。例えば、SiNの成膜には、各ガスの流量を以下のように設定する。SiCl4は、3sccm、N2は、10sccm、D2は、1sccmである。また、SiON成膜には、プラズマガスの原料としてO2を添加すれば良い。また、O2/(N2+O2)流量比を0〜1.0の間で変えることで、形成されるSiON膜の屈折率を変化させることができる。
前述したように、水素イオンの供給を実施しない場合、Si−Cl基が多く残留した状態で、SiNが堆積されて導波路材料膜が形成される。これに対し、上述したガス構成で水素イオンの基板上への供給を実施すると、成膜時には膜表面のSi−Cl基に対し、プラズマ中のN+やD+によって、例えば「Si−Cl+N++D++2e-→Si−N+DCl↑」反応が生じる。この反応式に示す通り、D+が供給された場合には、Cl元素の脱離が進み、導波路材料膜中のSi−Cl基が低減できる。このため、D+を供給する構成においても、形成した後の大気中のH2Oとの反応による酸化が抑制され、高い屈折率が維持されたSiN膜やSiON膜が安定に得られる。
なおD+の供給を実施することで、N−D基が膜中に発生するが、N−D基による吸収はλ=2.1μmで、N−H基の固有振動数(λ=1.5μm)と大きく異なり、通信波長帯から外れるため、実用上問題は無い。
ところで、ECRプラズマCVD装置は、0.01〜1Pa程度の低ガス圧でプラズマを安定に発生することができ、導波路材料の膜堆積時には、0.1〜0.5Pa程度のガス圧を用いる。ECRプラズマは、低ガス圧で高エネルギーに電子を加速するため、プラズマ生成室に導入されたガスを高効率にイオン化できる。このため、ECRモードを用いない(持たない)プラズマCVD法などではイオン化が難しい窒素や水素が、ECRプラズマCVD装置によれば効率よくイオン化できる。
さらにECRプラズマCVD法では、プラズマ流内で形成される電界によってイオンが加速され、このイオン照射により基板表面にエネルギーを与えることで膜形成が促進されているため、加熱機構を用いて加熱することなく緻密で良質な膜が形成される。
以上のことにより、ECRプラズマCVD法を用いた成膜では、配線工程などにおけるプロセス温度を下回ることが可能となり、同一チップ上の電子デバイスや金属配線に負荷をかけることがない。
なお、上述では、SiCl4ガスに対するプラズマの反応を示したが、Si系ガスにSi2Cl6、SiHCl3、SiH2Cl2、SiH3Cl、SiDCl3、SiD2Cl2、SiD3Clを用いた場合でも同様の反応が起こるため、屈折率が制御された緻密なSiN膜やSiON膜ができる。
また、SiF4、Si26、SiHF3、SiH22、SiH3F、SiDF3、SiD22、SiD3Fガスでも同様に、「Si−F+N++H++2e-→Si−N+HF↑」などの反応で、屈折率が制御された緻密なSiN膜やSiON膜ができる。また、H+の供給は、H2に限らず、NH3を用いてもよい。また、D+の供給は、D2に限らず、ND3を用いてもよい。
以上に説明したように、本発明では、ハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスを用いたプラズマCVD法によるSiNまたはSiONからなる導波路材料膜の形成において、原料ガスとは別の水素供給ガスより、水素イオンまたは重水素イオンを生成して供給するようにした。この結果、本発明によれば、光吸収が生じる結合基や、O2,H2O,酸化性ガスなどを起因とする雰囲気の酸素との結合(酸化)による屈折率の低下を招く結合基などの生成を抑制し、高屈折率で安定したSiN膜またはSiON膜が形成できる
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
201…プラズマ生成室、202…成膜室、203…基板台、204…磁気コイル、205…矩形導波管、206…石英窓、207…導入管、208…導入管、209…基板、210…ECRプラズマ。

Claims (5)

  1. プラズマCVD法により、基板の上にハロゲン系シリコン化合物からなる原料ガスを供給して前記基板の上にSiNまたはSiONからなる導波路材料膜を形成する工程を備え、
    前記原料ガスとは別の、重水素を含む水素供給ガスより重水素イオンを生成し、生成した重水素イオンを前記基板の上に供給して前記導波路材料膜を形成する
    ことを特徴とする導波路材料膜の形成方法。
  2. 請求項1記載の導波路材料膜の形成方法において、
    前記ハロゲン系シリコン化合物は、SiCl4,Si2Cl6,SiHCl3,SiH2Cl2,SiH3Cl,SiDCl3,SiD2Cl2,SiD3Cl,SiF4,Si26,SiHF3,SiH22,SiH3F,SiDF3,SiD22,SiD3Fの少なくとも1つから構成する
    ことを特徴とする導波路材料膜の形成方法。
  3. 請求項1または2記載の導波路材料膜の形成方法において、
    前記水素供給ガスは、D 2 ,N3の少なくとも1つから構成する
    ことを特徴とする導波路材料膜の形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導波路材料膜の形成方法において、
    プラズマCVD法は、ECRプラズマCVD法であることを特徴とする導波路材料膜の形成方法。
  5. 請求項4記載の導波路材料膜の形成方法において、
    前記水素供給ガスは、ECRプラズマを生成するプラズマ生成室に供給し、前記水素供給ガスのプラズマより水素イオンまたは重水素イオンを生成する
    ことを特徴とする導波路材料膜の形成方法。
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