JP6324733B2 - コラーゲンの三重螺旋構造安定化剤 - Google Patents

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本発明は、コラーゲンの三重螺旋構造の安定化剤に関する。
コラーゲンは、動物の結合組織の主要なタンパク質の一種で、動物の皮膚に多く存在する。ヒトの全タンパク質の30%はコラーゲンであると言われている。コラーゲンは3本の分子鎖からなる三重螺旋構造を有し、両端にテロペプタイドが結合している。このテロペプタイドは溶解性の妨げとなり、また、抗原性を有するので、除去することが望ましい。このテロペプタイドをプロテアーゼ処理により除去する方法が一般的に知られており、テロ ペプタイドを除去したコラーゲンはアテロコラーゲンと呼ばれている。
アテロコラーゲンの溶解性をさらに高めるために、アシル化する技術が知られている(特許文献1:特開2003−128698号公報)。コラーゲンをアルキルオキシアルキレングリコール誘導体でエステル化して溶解性を向上させる技術が知られている(特許文献2:特許第3742133号公報)。
コラーゲンの三重螺旋構造は水溶液中で徐々に三重螺旋構造がほぐれて不安定化し、特有の構造を失い、不溶化することが知られている(非特許文献1)。
このコラーゲンの三重螺旋構造に着目し、温和な条件で螺旋構造をほぐして、分子鎖を切断することなく、単独の分子鎖とすることにより溶解性を向上させる技術が知られている(特許文献3:特開2000−128759号公報)。本出願人は、コラーゲンの三重螺旋構造を安定化する技術について検討し、β−シクロデキストリン、ラクトース、ラフィノース、ヒアルロン酸、ジグリセリンが安定化剤として有用であることを発見した(特許文献4:特許第5255777号公報)。
また生体の結合組織においてコラーゲンと並ぶ重要な構成成分としてプロテオグリカンが知られている。プロテオグリカンは糖鎖とコアタンパク質からなる巨大分子であり、糖鎖を構成するグリコサミノグリカンが特異的な繰り返し構造をもち、糖含量がきわめて多いことから一般の糖タンパク質とは明確に区別されている(詳細は非特許文献2参照)。
プロテオグリカンは、通常動物の軟骨から抽出されているが、最近サケの鼻軟骨から抽出する技術が開発され(特許文献5:特許第3731150号公報、特許文献6:特許第5252623号公報参照)、安価に供給されるようになっている。このサケ軟骨由来のプロテオグリカンを用いた口腔用組成物(特許文献7:特開2013−129633号公報)、皮膚線維芽細胞の増殖促進剤(特許文献8:特許5194253号公報)、化粧料(特許文献9:WO2011/007885国際公開公報)などの用途が提案されている。
特開2003−128698号公報 特許第3742133号公報 特開2000−128759号公報 特許第5255777号公報 特許第3731150号公報 特許第5252623号公報 特開2013−129633号公報 特許第5194253号公報 WO2011/007885国際公開公報
生化学辞典、コラーゲンの項、コラーゲン繊維の項、480〜481頁、1989年 生化学辞典、プロテオグリカンの項、1107〜1108頁、1989年 東京化学同人刊
本発明はコラーゲンの三重螺旋構造を安定化させる剤の提供、三重螺旋構造が安定化されたコラーゲンを含む化粧料、三重螺旋構造が安定化されたコラーゲンを提供することを課題とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.プロテオグリカンを含有するサクシニル化アテロコラーゲンの三重螺旋構造安定化剤。
2.プロテオグリカンがサケ軟骨から得られるものである1に記載のサクシニル化アテロコラーゲンの三重螺旋構造安定化剤。
3.1又は2に記載のサクシニル化アテロコラーゲンの三重螺旋構造安定化剤により安定化されたサクシニル化アテロコラーゲンを含有することを特徴とする化粧料。
4.1又は2に記載の安定化剤により安定化された サクシニル化アテロコラーゲンの15℃における比旋光度が約−420°〜−310°である3に記載の化粧料。
5.サクシニル化アテロコラーゲンがクロマグロ由来のコラーゲンから調製されたものである4に記載の化粧料。
本発明の実施により新たなコラーゲンの三重螺旋構造を安定化させる剤が提供される。
また、三重螺旋構造を安定的に維持したコラーゲンを含有する化粧料が提供される。本発明の化粧料は、皮膚の柔軟性を向上させる。
さらにまた、本発明によりコラーゲンの三重螺旋構造が安定化したコラーゲンが提供される。三重螺旋構造が安定化したコラーゲンはコラーゲンとしての機能を維持しており、医薬などの用途に有用である。
本発明は、水溶液中や化粧料中に存在するコラーゲンの三重螺旋構造を安定化させるために、プロテオグリカンを安定化剤として使用する。
水溶液中のコラーゲンは経時的にコラーゲン固有の三重螺旋構造を失ってゆくが、プロテオグリカンが水溶液や化粧料中に共存すると安定化する。またプロテオグリカンによって水溶液中の安定化された三重螺旋構造は、その他の化粧料などに使用される成分が共存していても三重螺旋構造は維持される。またプロテオグリカンと共存して安定化された三重螺旋構造を有するコラーゲンは凍結乾燥などの乾燥処理を行った後、再度水溶液としても三重螺旋構造は維持される。
本発明においてコラーゲンの三重螺旋構造を安定化する有効成分であるプロテオグリカンとして、例えば、サケ、サメ、ウシ、クジラなどの軟骨を原材料にして精製されたものが挙げられる。プロテオグリカンの精製方法としては、特許文献5に記載された酢酸を用いた方法を好適に採用することができる。この方法は、例えば粉砕したサケの鼻軟骨から溶出溶媒として酢酸を用いて粗プロテオグリカンを溶出した後、得られる溶出液を濾過してから遠心分離し、その上澄液に食塩飽和エタノールを加えて遠心分離することにより得られる粗プロテオグリカンを含む半固形沈殿物を酢酸に溶解し、次いで透析することでプロテオグリカンを得るものである。この方法によれば、サケの鼻軟骨から約100〜400kDaの分子量を有するプロテオグリカンを得ることができる。
あるいは特許文献6に記載されたサケ鼻軟骨を粉砕後に水に再分散させ、これを9000rpmで30分間遠心分離して得られる沈殿物を凍結乾燥し、さらにエタノールを用いて脂質を除去し、プロテオグリカンを含む残存物を得る方法である。
プロテオグリカンによりコラーゲンの三重螺旋構造を安定化させるためには、水溶液中のコラーゲン1質量部に対し0.001〜1000質量部、好ましくは0.01〜100質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部添加する。
プロテオグリカンは必ずしも精製されたものである必要はなく、他の成分を含んでいるものであっても、プロテオグリカンの含有量が明確であれば使用可能である。
精製されたプロテオグリカンは、サケ由来のプロテオグリカンが株式会社角弘プロテオグリカン研究所から販売されている。また精製したプロテオグリカン1質量%とブチレングリコール29.7質量%を含有する水溶液が「プロテオグリカンIPC(製品名)」として一丸ファルコス株式会社から市販されており、これら市販されたものをコラーゲン安定化剤として用いることもできる。
本発明に用いるコラーゲンはコラーゲンとしての三重螺旋構造を維持したコラーゲンであればどのような由来、化学修飾処理されたコラーゲンであってもよい。特に、サクシニル化アテロコラーゲンが好ましいコラーゲンである。
コラーゲンは動物の皮膚、例えば、牛皮、豚皮、魚皮から抽出することができる。
魚皮としてはクロマグロが好ましい原料である。
魚皮をコラーゲンの抽出原料とする場合の抽出方法について説明する。まず、魚皮から血液、色素、脂質等をナイフ等の刃物、あるいは水流により除き、次いで塩溶液、もしくは塩基性溶液で洗浄し、さらに有機溶剤で洗浄して不純物を取り除く。得られた魚皮を粉砕してpH3に調整した酸溶液に分散し、酸性プロテアーゼによるプロテアーゼ処理をすることによりアテロコラーゲンが得られる。
より具体的には、0.01〜2mol/Lの希酢酸溶液、0.001〜2mol/Lの希乳酸溶液、0.001〜2mol/Lの希クエン酸溶液、0.001〜0.2mol/Lの希塩酸溶液、0.001〜0.5mol/Lの希リン酸溶液等の酸溶液に不純物を取り除いた魚皮を加え、さらに、酸性プロテアーゼを加え、3〜5℃の低温で12〜48時間攪拌することにより、三重螺旋構造を維持したアテロコラーゲンを抽出することができる。不溶解物は濾過法や遠心分離法により除去することが望ましい。酸性プロテアーゼはコラーゲン溶液を塩基を用いてpH10〜12に調整し、3〜5℃の低温で12〜48時間攪拌することにより失活させることができる。
クロマグロ皮由来のコラーゲンを精製する際には、原料中に含まれる色素量を低減することが好ましく、漁獲後の冷凍処理を無くすか、冷凍期間を極めて短くすると良い。次いで重曹に浸漬して表皮を膨潤させた後、物理的に表皮を除去する。重曹濃度は0.01%〜50%、望ましくは、0.1〜10%である。また物理的な除去には、ナイフや包丁等適当な道具を使用する。続いてアルカリ処理を実施するが、アルカリ処理は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、エタノールアミン類などの水溶液に皮を浸漬して実施すれば良い。使用する塩基性溶液のアルカリは、好ましくは水酸化物であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがさらに好ましい。水酸化物水溶液の濃度は色素が低減され、収量が確保できる濃度であれば良いが、0.01mol/L〜0.4mol/Lの濃度の水酸化物水溶液を用いるのが好ましく、さらに好ましくは0.05mol/L〜0.2mol/Lである。アルカリ処理を実施する際の温度は10℃以下が好ましい。ここで、処理温度が高いと、コラーゲンがアルカリ中に溶解してしまい、著しくコラーゲンの収率が低下する。
得られた色素量が低減されたクロマグロ皮はさらに通常の精製処理を実施することにより、脂質、不純タンパク質を除去することが可能である。すなわち、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等の塩溶液を用いて洗浄する工程を実施することが可能である。
また、上記の処理後得られたクロマグロ皮を脱脂するために有機溶媒すなわち、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの有機ハロゲン化合物、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類、アセトニトリル、ピリジンなどの含窒素有機溶媒、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどグリコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系有機化合物、その他N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの有機溶媒を単独または混合した溶液か、または、これら有機溶媒と水の混合溶液を用いて有機溶媒処理をした後に、遠心分離処理する工程を必要に応じて適用し脱脂効果を上げることもできる。
次いで脱脂処理後のクロマグロ皮から酢酸、クエン酸、乳酸などの希有機酸や、塩酸、リン酸などの希無機酸を用いてコラーゲンを酸抽出すると同時にペプシン等の酸性プロテアーゼ処理することによりアテロコラーゲンが得られる。すなわち0.01mol/L〜2mol/Lの濃度の希酢酸溶液、0.001 mol/L〜2mol/Lの濃度の希乳酸溶液、0.001 mol/L〜2mol/Lの濃度の希クエン酸溶液、0.001mol/L〜0.2mol/Lの濃度の希塩酸溶液、0.001mol/L〜0.5mol/Lの濃度の希リン酸溶液等の酸溶液に色素及び不純物を除いたクロマグロ皮を加え、さらに酸性プロテアーゼを加え、10℃以下、望ましくは2〜8℃で、1〜240時間、望ましくは24〜96時間撹拌することによりアテロコラーゲンが抽出される。アテロ化するためのプロテアーゼとしてはペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であればいずれの酵素でも良く、好ましくは酸性プロテアーゼによる分解であり、さらに好ましくはペプシンによる分解である。その添加量はコラーゲンに対して、0.01〜30質量%添加することができるが、好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは1〜5質量%である。
抽出されたアテロコラーゲン溶液に不溶解分が残存している場合には、濾過法、遠心分離法により不溶解分を除去することが望ましい。得られたアテロコラーゲンは、酸溶液に溶解しているので、そのままでも使用可能であるが、さらに精製することが好ましい。
すなわち、再精製はアテロコラーゲン液に塩を添加して沈殿させる塩析法、有機溶媒を添加する有機溶媒沈殿法、塩基を添加する等電点沈殿法によりアテロコラーゲンを沈殿させ、生成した沈殿を分離することによりアテロコラーゲンは精製される。分離法としては、遠心分離法を採用すれば臭いの除去にさらに効果的である。塩析法に用いる塩は、アテロコラーゲンが沈殿する塩であればいずれの塩であっても使用可能であるが、経済性、安全性等から考えて塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムが望ましい。また、有機溶媒沈殿法に使用する有機溶媒は水と混合可能な溶媒であればいかなる有機溶媒でも使用することが出来るが、水と混合するアルコール類、ケトン類が好ましい。さらに、等電点沈殿法に使用する塩基は、水溶性であればいかなる塩基であっても使用可能であるが、経済性と安全性から水酸化ナトリウムなどの水酸化物、モノエタノールアミン等の有機アミン、アンモニアが望ましい。得られた沈殿物は、再度前述した酸溶液または、前述した酸の緩衝液に溶解してアテロコラーゲンとすることができる。しかし塩析法では塩、有機溶媒沈殿法では有機溶媒、等電点沈殿法では塩がアテロコラーゲンの沈殿中に残存するのでそれら不純物を透析、限外濾過、洗浄操作等により除去することが好ましい。また、不純物を除去したアテロコラーゲン溶液を凍結乾燥法やスプレードライ法などの乾燥法により乾燥物として得ることも可能である。
サクシニル化アテロコラーゲンは、上述した方法によって、得られたアテロコラーゲンを化学修飾する。サクシニル化は、アテロコラーゲン溶液に無水コハク酸を加え、pHを9〜12に維持するようにアルカリを添加しながら、3〜5℃の低温で反応させる。サクシニル化アテロコラーゲンは、さらに塩析法、有機溶媒沈殿法、等電点沈殿法等の常法により精製することができる。
三重螺旋構造を維持したサクシニル化アテロコラーゲンは15℃における比旋光度が約−420°〜−310°であり、加温攪拌して完全に三重螺旋構造をほぐしたサクシニル化アテロコラーゲンの15℃における比旋光度は約−100°である。このサクシニル化アテロコラーゲンは前述したプロテオグリカンと共存させることで三重螺旋構造が安定的に維持される。
本発明のプロテオグリカンにより三重螺旋構造を安定的に維持したサクシニル化アテロコラーゲンは化粧料に配合することにより、皮膚の柔軟性を向上させる優れた効果を有する。
この三重螺旋構造を安定化したサクシニル化アテロコラーゲンの化粧料への配合量は0.0001〜2質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が特に好ましい。0.0001質量%未満では皮膚の柔軟性向上効果が発揮されず、2質量%を超えて配合するとべたつきが強く好ましくない。
本発明のサクシニル化アテロコラーゲンを配合した化粧料には、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤、乾燥剤等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることができる。
本発明の化粧料は、例えば水溶液、乳液、懸濁液等の液剤、ゲル、クリーム等の半固形剤の形態で適用可能である。また、粉末、固形状の製剤として、使用時に水あるいは水溶液に溶解して皮膚に外用するものであっても良い。従来から公知の方法でこれらの形態に調製し、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤等の種々の剤型とすることができる。化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状又はクリーム状のファンデーション等のメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等とすることができる。
以下に試験例を示し、本発明を具体的に説明する。
<三重螺旋構造を有するコラーゲンの安定性試験>
1.サクシニル化アテロコラーゲンの調製
以下の製法によりサクシニル化アテロコラーゲンを調製した。なおアテロコラーゲンの誘導体化工程において、温度は3℃〜5℃内の範囲を外れないようにコントロールした。
冷凍しないクロマグロ皮から付着した肉を除去し、さらに表皮を重曹溶液に一晩浸漬してナイフで除去したクロマグロ皮を約1cm角にカットした。得られたクロマグロ皮50gに0.1mol/Lの濃度の水酸化ナトリウム溶液1Lを加え、5℃で一晩撹拌した。翌日皮を回収し、十分に冷水を用いて洗浄後、得られた白色の皮と1mol/Lの濃度の冷塩化ナトリウム溶液500mLをミキサーに加え1分間ホモジナイズし、沈殿物を濾過法により分離した。この操作をさらに3回繰り返した。
得られた沈殿物を冷水で水洗後、エタノール1000mLに加え10℃で一晩撹拌し、沈殿物を遠心分離法(10000G,10分)で回収し、再度、エタノール処理を加えた後、水洗し、クロマグロ皮精製沈殿物を20gを得た。得られたクロマグロ皮精製沈殿20gを0.03mol/Lの濃度のクエン酸水溶液800mLに加え、5℃で1時間撹拌した後、ペプシン0.23gを加えさらに24時間攪拌抽出した。その後、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10に調整し、5℃で24時間攪拌しペプシンを失活させた。得られたアテロコラーゲン溶液に無水コハク酸2.5gを加え、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを9〜12に調整しながら5℃で反応させた。反応終了後、溶液のpHを希塩酸によりpH4.5に調整して、サクシニル化アテロコラーゲンを沈殿させ、遠心分離法(10000G,20分)により回収した後、50%エタノールを用いて洗浄した。さらに0.3%の濃度となるように0.03mol/Lのリン酸緩衝溶液(pH6.0)に溶解し、サクシニル化アテロコラーゲン溶液を得た。
上記の製造直後のサクシニル化アテロコラーゲンの0.3質量%水溶液(4質量%の1,2−ペンタンジオール含有)を4℃で保管した。プロテオグリカン0.3質量%水溶液(実施例1)、ヒアルロン酸ナトリウム0.3質量%水溶液(比較例1)、ヒドロキシプロリンの0.3質量%水溶液(比較例2)を調製し、サクシニル化アテロコラーゲンの0.3質量%水溶液とそれぞれ等量で混合した混合液を試験試料とした。サクシニル化アテロコラーゲンの0.3質量%水溶液と水との等量混合液を対照試料とした。対照試料の15℃における旋光度は−369°であった(測定装置:AUTOPOL V(RUDOLPH RESEARCH ANALYSYS社))。実施例1のプロテオグリカン0.3質量%水溶液は一丸ファルコス株式会社製「プロテオグリカンIPC(製品名)」を精製水で希釈して調製した。
2.コラーゲンの三重螺旋構造安定性試験
各試験試料の15℃における比旋光度を測定し、ついでこの試料を40℃で加温し、コラーゲンの三重螺旋構造を不安定化した後、4℃に冷却し、15℃に加温して再度比旋光度を測定した。15℃の比旋光度の変化量から三重螺旋構造の回復率を求めた。結果を表1に示す。
なお回復率は、加温前の対照試料の15℃における旋光度−369°を基準として、次式により求めた。
回復率(%)=(−369+比旋光度の変化量)/(−369)×100
対照試料の回復率が71質量%であるのに対して、実施例1のプロテオグリカンでは85質量%と高く、プロテオグリカンは加熱により不安定化したコラーゲンの三重螺旋構造を安定化することが明らかである。またコラーゲンの三重螺旋構造を安定化することが知られている比較例1のヒアルロン酸ナトリウムでは76質量%、比較例2のヒドロキシプロリンでは72質量%であり、いずれも実施例1よりも比旋光度の回復率は小さかった。
以上の試験からプロテオグリカンはコラーゲンの三重螺旋構造を安定化させることが分かった。
処方例1 化粧水
[製法]上記成分を混合溶解して化粧水を得た。
処方例2 乳液
[製法]Aに属する水相成分とBに属する油相成分をそれぞれ加熱溶解し、油相成分を水相成分に混合し、乳化機にて乳化する。冷却後、C成分を混合し、乳液を得た。
処方例3 美容液
[製法]上記Aに属する成分を混合溶解した後、Bに属する成分を混合し、さらに冷却後C成分を混合して美容液を得た。
処方例4 クリーム
[製法]Aに属する水相成分とBに属する油相成分をそれぞれ加熱溶解し、油相成分を水相成分に混合し、乳下機にて乳化する。冷却後、C成分を混合してクリームを得た。

Claims (5)

  1. プロテオグリカンを含有するサクシニル化アテロコラーゲンの三重螺旋構造安定化剤。
  2. プロテオグリカンがサケ軟骨から得られるものである請求項1に記載のサクシニル化アテロコラーゲンの三重螺旋構造安定化剤。
  3. 請求項1又は2に記載のサクシニル化アテロコラーゲンの三重螺旋構造安定化剤により安定化されたサクシニル化アテロコラーゲンを含有することを特徴とする化粧料。
  4. 請求項1又は2に記載の安定化剤により安定化されたサクシニル化アテロコラーゲンの15℃における比旋光度が約−420°〜−310°である請求項3に記載の化粧料。
  5. サクシニル化アテロコラーゲンがクロマグロ由来のコラーゲンから調製されたものである請求項4に記載の化粧料。
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