JP5521190B2 - コラーゲン組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コラーゲン組成物及びコラーゲン組成物の製造方法に関する。本発明のコラーゲン組成物によれば、魚類由来のコラーゲンの3重らせん構造を安定的に維持し、高い保水性、保湿性、皮膚親和性を発揮させることができる。
コラーゲンは3本のポリペプチド鎖から形成される3重らせん構造を有するタンパク質である。コラーゲンは3重らせん構造を有していることにより、高い保水性及び保湿性を示し、肌になじみやすく、老化に伴って失われる皮膚の機能を補うことができる。コラーゲンはこのような特徴を有しているため、化粧料の原料として有用に用いられている。
更に、コラーゲンの3重らせん構造は、コラーゲンの強靭な強さ、及び細胞への接着性に関係している。従って、コラーゲンは、再生医療における細胞の足場材料として、医薬品への応用が広がっている。
従来、コラーゲンは、そのほとんどが牛皮など家畜の組織から採取されていた。近年、ウシのBSE(牛海綿状脳症)やヒツジの振戦病の原因物質が、プリオンと呼ばれる伝染性蛋白質であることが報告され、家畜由来の原料を用いたコラーゲン製品から、ヒトにプリオンなどの病原体が感染する危険性が指摘されている。そのため、安全性と資源量等の観点から、人畜共通伝染病の存在しない魚類由来コラーゲンが化粧品材料、食品材料及び医薬品材料として俄に脚光を浴びてきている。魚類のコラーゲンの原料としては、皮又は鱗が多く用いられているが、特に鱗はコラーゲンの収量の点で、魚皮に劣るものの、脂質が比較的少ないために魚臭が生じにくく、高付加価値のコラーゲンの原料として用いられてきている。
コラーゲンには、I型からXIII型までの多くの種類が存在するが、魚類の鱗に含まれるコラーゲンはI型コラーゲンである。I型コラーゲンは分子量約10万のポリペプチド鎖が3本集まって「3重らせん構造」を作っており、分子量は約30万である。長さ300nmで、直径1.5nmの1本の硬い棒のような形態をしている。
コラーゲンが特異な「3重らせん構造」を作るのは、ポリペプチド鎖のアミノ酸の配列が関与している。ポリペプチド鎖は3個のアミノ酸が並んだユニット「G−X−Y」のつながりからできている。Gはグリシンを表し、Xはプロリン、そしてYはヒドロキシプロリンであることが多い。ヒドロキシプロリンは、通常のタンパク質に含まれておらず、コラーゲンに特有のアミノ酸であるが、ヒドロキシプロリンの水酸基と水和水との水素結合によって3重らせん構造が安定すると考えられている。
コラーゲンは、温度が上昇すると3本のポリペプチドからなる「3重らせん構造」が解けて、3本のポリペプチドがばらばらになり、ゼラチンとなる。コラーゲンからゼラチンへの変化を変性と呼び、一度変性が起きると、再び温度を低下させても「3重らせん構造」に戻すことは困難であった。また、コラーゲンの種類により、変性の起きる温度は決まっており、その温度は変性温度と呼ばれている。コラーゲンがゼラチンに変性すると、その性質も大きく変化し、コラーゲンの重要な特徴である保水性及び保湿性が低下し、更に細胞接着性が低下する(非特許文献1)。従って、コラーゲンが変性すると、コラーゲンの化粧料や、再生医療における原材料としての重要な機能が失われてしまうことになる。
コラーゲンの変性温度は、通常そのコラーゲンが由来する生物の棲息温度より、若干高い程度であり、例えば哺乳動物のコラーゲンの変性温度は、36〜40℃程度であるが、水中に生息している魚類の鱗のコラーゲンの変性温度は、それほど高くない。従って、魚類の鱗のコラーゲンは、抽出中に温度を上昇させるだけでも変性してしまい、「3重らせん構造」を維持したまま精製することは困難であったが、プロテアーゼ処理を低温で行うことにより、「3重らせん構造」が維持されたコラーゲンの精製が可能になってきている(特許文献1)。しかしながら、コラーゲンは、化粧料又は医薬品の、製造時又は保管時において、温度が上昇することによっても、変性が起きることが多く、厳重な温度管理を行なう必要があった。そのため、化粧料又は医薬品の製造又は保管を容易にするために、温度が上昇しても変性が起きにくいコラーゲン又はコラーゲン組成物の開発が望まれていた。
更に、魚類の鱗のコラーゲンは、鱗の状態では、「3重らせん構造」のコラーゲンが、重なり合って、緻密な繊維状の構造をとっている。そのため、魚類の鱗由来のコラーゲンは、他のコラーゲンと比較して繊維化しやすく、繊維形成速度が著しく速いという特徴を有している。この特徴は、優れた皮膜形成能又は材料の高強度化には有用であるが、化粧料又は医薬品の製造時においては、容易に繊維化し、凝集及び不溶化により化粧料又は医薬品が白濁するため、製造時における取り扱いを困難にしていた。従って、化粧料又は医薬品の製造又は保管時において、繊維化の起こりにくいコラーゲン又はコラーゲン組成物の開発が望まれていた。
特開2006−257014号公報
「月刊バイオインダストリー2009年8月号」(日本)2009年、第26巻、第8号、p.26−32
本発明の目的は、高温の状態でも「3重らせん構造」を維持することができ、繊維化を起こさないコラーゲン組成物、及びそのコラーゲン組成物の製造方法を提供することである。
3重らせん構造を有するコラーゲンを、その構造を溶液状態で維持する方法として、酸性の溶液にコラーゲンを溶解させる技術が知られている。しかしながら、pHが酸性から中性若しくはアルカリ性に変化したり、又は塩濃度が上昇したりすると、容易に繊維化が起こり、溶液が白濁する。また、中性付近でコラーゲンを繊維化させない方法としては、コラーゲンのアスパラギン又はグルタミンの酸アミドを加水分解し、アスパラギン酸又はグルタミン酸にする方法がある。しかしながら、この方法はコラーゲンの重要な機能である保水性、保湿性、及び細胞接着性が低下するという欠点があった。更に、加熱することにより、繊維化を防ぐことができるが、コラーゲンが変性して3重らせん構造が壊れたゼラチンとなるため、コラーゲンの細胞親和性、細胞接着性、保水性、及び保湿性などの性質が失われる。一方、界面活性剤、有機溶剤、又は油剤を含んだ溶液との単純な混合では、コラーゲンの高い繊維化能により繊維形成が起こり、凝集及び不溶化により、溶液が白濁する。
本発明者は、コラーゲンの細胞親和性、細胞接着性、保水性、及び保湿性などの優れた性質を維持するために、3重らせん構造を維持したまま、溶液の白濁を防ぐためにコラーゲンの繊維化能を制御することのできるコラーゲン組成物及びその製造方法について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、親水性基及び疎水性基を有する直鎖状の特定の構造の化合物を用いることにより、コラーゲンが3重らせん構造を維持したまま、繊維化により白濁することのない、コラーゲン組成物を得ることができることを見出した。更に、親水性基及び疎水性基を有する分岐状の特定の構造の化合物を添加することにより、コラーゲンの3重らせん構造が安定化し、また繊維化により白濁が起こりにくくなることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、一般式(1)
(式中、Rは、同一又は異なる炭素原子2〜4個を含む親水性基であり、Rは、両端にペプチド結合を有するか、又は有しない炭素数10〜30の炭化水素基を含む疎水性基であり、nは2〜16の整数を示し、mは1〜10の整数を示す)で表される化合物、及び魚類由来コラーゲンを含むことを特徴とする、コラーゲン組成物に関する。
本発明のコラーゲン組成物の好ましい態様においては、前記親水性基が、−CHCHO−、又は−CHCHOCHCH−であり、前記炭化水素基が、炭素数10〜30の直鎖状アルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数10〜30のシクロアルキレンアルキレンシクロアルキレン基、炭素数10〜30のアルキレンシクロアルキレンアルキレン基、炭素数10〜30のアリーレンアルキレンアリーレン基、炭素数10〜30のアルキレンアリーレン基、炭素数10〜30のアリーレンアルキレン基、炭素数10〜30のアルキレンシクロアルキレン基、又は炭素数10〜30のシクロアルキレンアルキレン基であり、特には、前記化合物が、一般式(2)
(式中、mは1〜4の整数を示す)
で表される1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体である。
また、本発明のコラーゲン組成物の別の好ましい態様においては、一般式(3)
(式中、Xは式(4)
で表される基であって、A及びEが親水性基であり、B及びDが疎水性基であり、X’は、水素原子又は前記式(4)で表される基である)で表される化合物を、更に含む。
また、本発明のコラーゲン組成物の別の好ましい態様においては、前記Xが、一般式(5)
(式中、Rは、−CHCHO−、又は−CHCHOCHCH−であり、Rは炭素数3〜10の直鎖状のアルキル基であり、p及びrは、分子中のp+rが40〜60となる整数であり、qは5〜20の整数である)
で表され、特には、前記一般式(3)で表される化合物が、一般式(6)
(式中、40≦s+t+u+x+y+z60である)
で表されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。
また、本発明は、前記コラーゲン組成物を含む、化粧料組成物に関する。
更に、本発明は、前記コラーゲン組成物を含む、医薬組成物に関する。
更に、本発明は、魚類由来コラーゲンと、一般式(1)
(式中、Rは、同一又は異なる炭素原子2〜4個を含む親水性基であり、Rは、両端にペプチド結合を有するか、又は有しない炭素数10〜30の炭化水素基を含む疎水性基であり、nは2〜16の整数を示し、mは1〜10の整数を示す)
で表される化合物とを混合し、混合物を得る工程を含む、コラーゲン組成物の製造方法に関する。
本発明のコラーゲン組成物の製造方法の好ましい態様においては、前記混合物に、一般式(3)
(式中、Xは式(4)
で表される基であって、A及びEが親水性基であり、B及びDが疎水性基であり、X’は、水素原子又は前記式(4)で表される基である)
で表される化合物を、更に混合する工程を含む。
本発明のコラーゲン組成物及びコラーゲン組成物の製造方法によれば、魚類由来コラーゲンの変性を抑制し、3重らせん構造を安定的に維持することができる。従って、化粧料又は医薬品の製造又は保管時において、コラーゲンの細胞親和性、細胞接着性、皮膚親和性、保水性、及び保湿性を維持することができる。また、本発明のコラーゲン組成物により、魚類由来コラーゲンの変性温度を、上昇させることが可能である。更に、本発明により、魚類由来コラーゲンの溶液中における繊維化を制御することが可能であり、pH又は塩濃度が変化しても、化粧料又は医薬品の製造又は保管時における白濁を防ぐことができる。従って、本発明の化粧料又は医薬品に有用に用いることができる。
コラーゲン組成物E6に含まれる魚鱗由来コラーゲンの3重らせん構造が維持されていることを、円偏光二色性分光法により測定したグラフである。221nmにピークが見られる。 コラーゲン組成物E6、及び中性コラーゲンの変性温度を測定したグラフである。本発明に用いる直鎖状親水/疎水化合物の添加により、コラーゲンの変性温度が、上昇することがわかる。 コラーゲン組成物E6、及び中性コラーゲンの変性温度を測定したグラフである。 本発明の化粧料の塗布後の、皮膚の角質水分量を測定したグラフである。化粧料の塗布後、角質水分量が長時間保持されることがわかる。 本発明の化粧料の塗布後の、皮膚のキメを測定したグラフである。化粧料の塗布後、皮膚のキメが改善されることがわかる。 本発明の化粧料E4の塗布後の、皮膚のキメを撮影し、画像処理したものである。本発明の化粧料の塗布により、皮膚のキメが改善されることがわかる。
1.コラーゲン組成物
本発明のコラーゲン組成物は、一般式(1)
(式中、Rは、同一又は異なる炭素原子2〜4個を含む親水性基であり、Rは、両端にペプチド結合を有するか、又は有しない炭素数10〜30の炭化水素基を含む疎水性基であり、nは2〜16の整数を示し、mは1〜10の整数を示す)
で表される化合物(以下、直鎖状親水/疎水化合物と称することがある)を含む。
前記直鎖状親水/疎水化合物の親水性基は、炭素原子2〜4個を含む親水性基であり、好ましくは、−CHCHO−、又は−CHCHOCHCH−であり、最も好ましくは−CHCHO−である。前記親水性基Rは、2〜16個連続して結合しており、親水性領域を形成している。親水性基Rの連続する個数、すなわちnは、2〜16であり、好ましくは4〜14であり、より好ましくは6〜12であり、最も好ましくは8〜10である。
親水性基−CHCHO−からなる親水性領域は、エチレングリコールを重合することによって作成することができ、親水性基−CHCHOCHCH−からなる親水性領域は、ジエチレングリコールを重合することによって、作成することができる。
前記直鎖状親水/疎水化合物の疎水性基Rは、炭素数10〜30の炭化水素基の両端にペプチド結合(−CONH−)を有してもよく、又はペプチド結合を有さなくてもよいが、両端にペプチド結合を有する炭素数10〜30の炭化水素基が好ましい。
また、前記親水性基Rと疎水性基Rとを含む繰り返し単位の数、すなわちmは、1〜10であり、好ましくは1〜8であり、より好ましくは2〜6であり、最も好ましくは3〜5である。
前記炭化水素基は、例えば、炭素数10〜30の直鎖状アルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数10〜30のシクロアルキレンアルキレンシクロアルキレン基、炭素数10〜30のアルキレンシクロアルキレンアルキレン基、炭素数10〜30のアリーレンアルキレンアリーレン基、炭素数10〜30のアルキレンアリーレン基、炭素数10〜30のアリーレンアルキレン基、炭素数10〜30のアルキレンシクロアルキレン基、又は炭素数10〜30のシクロアルキレンアルキレン基を用いることができるが、特には炭素数10〜30のシクロアルキレンアルキレンシクロアルキレン基が好ましい。
前記炭化水素基に含まれるシクロアルキレン基は、炭素数3〜12が好ましく、炭素数4〜8が好ましく、炭素数6のシクロアルキレン基が最も好ましい。前記炭化水素基に含まれるアリーレン基は、フェニレン基又はナフチレン基が好ましく、フェニレン基が最も好ましい。
本発明のコラーゲン組成物に使用する直鎖状親水/疎水化合物は、酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤であることができる。
また、前記直鎖状親水/疎水化合物の分子量は、平均分子量で300〜10000であり、好ましくは600〜5400であり、最も好ましくは900〜3600である。
前記直鎖状親水/疎水化合物の最も好ましい例としては、一般式(2)
(式中、mは1〜4の整数である)
で表される1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体を挙げることができる。
本発明のコラーゲン組成物に含まれる魚類由来コラーゲンは、I型コラーゲンであれば、特に限定されるものではなく、どのような種類の魚類のコラーゲンであっても用いることができる。化粧品や医薬品の原料としてコラーゲン組成物を用いる場合は、製造や保存を考慮すると、変性温度が比較的高いコラーゲンを用いることが好ましい。
コラーゲンを取得する魚類も、I型コラーゲンを有する魚類であれば、特に限定されるものではなく、例えば、テラピア、タイ、ヒラメ、サメ、及びサケを挙げることができる。特には、変性温度が比較的高いコラーゲンを取得できることから、水温の高い川、湖沼、又は海に生息する魚類が好ましく、例えばオレオクロミス属の魚類が好ましく、日本や中国で食用として養殖されており入手が容易であるナイルテラピア(Oreochromis niloticus)が特に好ましい。
更に、魚類由来コラーゲンを取得する魚の部位も、限定されるものではないが、皮又は鱗を挙げることができるが、魚臭の原因となる脂質が少ないことから、鱗が好ましく、従って、魚鱗由来コラーゲンが好ましい。魚類由来コラーゲンの取得方法も、コラーゲンの3重らせん構造が破壊されない方法であれば、特に限定されないが、例えば、前記特許文献1に開示された取得方法によって得ることができる。
《直鎖状親水/疎水化合物の作用》
本発明のコラーゲン組成物において、前記直鎖状親水/疎水化合物によって魚類由来コラーゲンの3重らせん構造が安定的に維持される理由は、完全に解明されているわけではないが、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
魚類由来コラーゲンはα1、α2、及びα3の3本のポリペプチドからなり、3重らせん構造の周囲は、大量の水和水が保持されている。これはコラーゲンに特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンが、水和水の双極子を引きつけて安定化させるためである。
魚類由来コラーゲンは、長さ300nmで、直径1.5nmの細長い直線状の棒のような形態をしており、その表面には疎水性部分と親水性部分が散在しており、前記直鎖状親水/疎水化合物を添加すると、直鎖状親水/疎水化合物の疎水性基が、魚類由来コラーゲンの疎水性部分と疎水結合し、直鎖状親水/疎水化合物の親水性基(親水性領域)が、魚類由来コラーゲンの親水性部分と結合して、魚類由来コラーゲンの周囲を取り囲み、安定化させ、コラーゲンの変性を抑制していると考えられる。従って、直線状の魚類由来コラーゲンに結合するために、前記直鎖状親水/疎水化合物も、疎水性基及び親水性基(親水性領域)が散在した直鎖状の形態をとる化合物が好ましいと考えられる。
また、魚類由来コラーゲンは、溶液のpHが6以上に変化した場合、及び/又は塩濃度が上昇した場合に、それぞれの魚類由来コラーゲンの分子同士が、疎水結合及びイオン結合によって整列し、緻密な繊維を形成する。直鎖状親水/疎水化合物は、前記のように魚類由来コラーゲン分子の周囲を取り囲むことによって、魚類由来コラーゲンの分子同士の疎水結合及びイオン結合を阻害し、魚類由来コラーゲンの繊維形成を制御することができると考えられる。
前記コラーゲン組成物における、魚類由来コラーゲンの濃度は、溶解可能な濃度であれば、限定されることはないが、例えば、0.001%〜50%であり、好ましくは0.01%〜5%であり、より好ましくは0.1%〜3%である。
また、直鎖状親水/疎水化合物の濃度は、魚類由来コラーゲンの変性、又は繊維化を抑制することのできる濃度であれば、特に限定されることはなく、魚類由来のコラーゲンの濃度に合わせて、適宜決定することができる。すなわち、溶液中に存在する魚類由来コラーゲンの3重らせん構造の分子の周囲を取り囲み、安定化させることのできる濃度であり、当業者であれば、適宜決定することができるが、例えば、1〜99%であり、好ましくは5〜80%であり、より好ましくは10〜70%である。
また、魚類由来コラーゲンと直鎖状親水/疎水化合物の結合モル比は、1:1〜1:10000が好ましく、1:5〜1:5000がより好ましく、1:10〜1:1000が更に好ましく1:100〜1:600が最も好ましい。
本発明のコラーゲン組成物は、一般式(3)
(式中、Xは式(4)
で表される基であって、A及びEが親水性基であり、B及びDが疎水性基であり、X’は、水素原子又は前記式(4)で表される基である)
で表される化合物(以下、分岐状親水/疎水化合物と称することがある)を、更に含むことができる。
前記分岐状親水/疎水化合物は、前記X’が水素原子である場合、3つの長鎖の分子鎖を有し、X’が式(4)で表される基である場合、4つの長鎖の分子鎖を有する。
前記式(4)で表される基は、A及びEのそれぞれの基からなる、親水性領域A及び親水性領域E、及びB及びDのそれぞれの基からなる疎水性領域B及び疎水性領域Dを有している。
前記基Xは、好ましくは、一般式(5)
(式中、Rは、−CHCHO−、又は−CHCHOCHCH−であり、Rは炭素数3〜10の直鎖状のアルキル基であり、p及びrは、分子中のp+rが40〜60となる整数であり、qは5〜20の整数である)
で表される基である。
前記Rは、−CHCHO−、又は−CHCHOCHCH−であり、最も好ましくは−CHCHO−である。前記前記Rは、例えば2〜15個連続して結合し、前記親水性領域A、又は親水性領域Eの大部分を形成している。
前記Rは、炭素数3〜10の直鎖状のアルキル基であり、前記疎水性領域Dの大部分を形成している。また、qは5〜20の整数であり、メチレン基(−CH2−)が結合することにより、−(CH2)q−は、前記疎水性領域Bの大部分を形成している。
本発明のコラーゲン組成物に使用することのできる分岐状親水/疎水化合物は、酸化エチレン付加型非イオン性界面活性剤であることができる。
また、前記直鎖状親水/疎水化合物の分子量は、平均分子量で300〜10000であり、好ましくは600〜5400であり、最も好ましくは900〜3600である。
前記分岐状親水/疎水化合物の最も好ましい例としては、一般式(6)
(式中、20≦s+t+u+x+y+z≧80である)
で表されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を挙げることができる。前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の1分子中の酸化エチレンの個数、すなわちs+t+u+x+y+zは、20〜80であるが、好ましくは、30〜70であり、より好ましくは40〜60である。後述の実施例で用いているポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の1分子中の酸化エチレンの個数は50であるが、40又は60のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、全く同じ効果が得られる。
《分岐状親水/疎水化合物の作用》
本発明のコラーゲン組成物において、前記分岐状親水/疎水化合物によって魚類由来コラーゲンの3重らせん構造が安定的に維持される理由は、完全に解明されているわけではないが、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
本発明のコラーゲン組成物に含まれる魚類由来コラーゲンは、前記のように直鎖状親水/疎水化合物の疎水性基が、魚類由来コラーゲンの疎水性部分と疎水結合し、直鎖状親水/疎水化合物の親水性基(親水性領域)が、魚類由来コラーゲンの親水性部分と結合して、魚類由来コラーゲンの周囲を取り囲み、安定化させていると考えられる。
本発明のコラーゲン組成物に含むことのできる分岐状親水/疎水化合物は、更に直鎖状親水/疎水化合物の親水性基(親水性領域)に、分岐状親水/疎水化合物の親水性領域A、又は親水性領域Eが結合し、直鎖状親水/疎水化合物の疎水性基に、分岐状親水/疎水化合物の疎水性領域B及び疎水性領域Dが結合し、魚類由来コラーゲンを、更に安定化させているものと考えられる。
本発明のコラーゲン組成物は、更に、後述の化粧料に含むことのできる、基剤(又は担体)、有効成分(保湿剤など)、又は添加剤を含むことができる。また本発明のコラーゲン組成物は、後述の医薬品に含むことのできる、担体などを含むこともできる。従って、本発明のコラーゲン組成物には、化粧料組成物、及び医薬組成物が含まれる。
2.化粧料
本発明の化粧料は、前記コラーゲン組成物に加えて、通常、基剤(又は担体)、有効成分(保湿剤など)、又は添加剤を含むことができる。
基剤のうち粉末状基剤としては、糖類(グルコース、ラクトース、デンプンなどの単糖類又は多糖類;ソルビトールなどの糖アルコールなど)、アミノ酸類(セリン、グリシン、スレオニン、アラニンなど)、金属石鹸類(脂肪酸金属塩、例えば、ステアリン酸カリウム、やし油脂肪酸ナトリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、樹脂類[ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルアルコール系重合体、カルボン酸ビニルエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、アミン樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、熱硬化性アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(メチルポリシロキサンなど)などの熱硬化性樹脂など]、無機粉末成分[セリサイト、体質顔料(カオリン、タルク、雲母などの天然粘度鉱物;合成フッ素金雲母、六方晶窒化ホウ素など)など]などが挙げられる。
固形又は半固形基剤としては、動植物由来の固形又は半固形油性基剤(蜜ろう、木ろう、カルナバろう、キャンデリラろう、カカオ脂、牛脂;ラノリンなど)、鉱物由来の固形又は半固形油性基剤(固形パラフィン、セレシン、ミクロクリスタリンワックス;ワセリンなど)の他、脂肪酸エステル(2−エチルヘキサン酸セチルなどの飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステル;リンゴ酸イソステアリルなどの飽和又は不飽和オキシ酸アルキルエステル;グリセリルモノステアレート、エチレングリコールジステアリン酸エステルなどの飽和脂肪酸と多価アルコールとのエステルなど)、高級アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの飽和脂肪族アルコールなど)、高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)、ゲル基剤(粘液質など)などが挙げられる。
前記ゲル基剤の粘液質としては、動植物系粘液質(クインシードガム、トラガントガム、キサンタンガムなどのガム類;ペクチン、デンプンなどの糖類;アイリッシュモス;アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギネートなどのアルギン酸類;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチンヘパリンなどの多糖類;カゼイン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリーなどのタンパク質類など)、セルロース又はその誘導体(セルロース;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、合成ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、高分子量のポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)など)、無機系粘液質(ビーガム、ベントナイト、有機変性ベントナイト、膨潤性ベントナイトなど)などが挙げられる。
液状基剤としては、油性基剤(ホホバ油、オリーブ油、やし油、つばき油、マカデミアンナッツ油、ひまし油、スクアランなど)、鉱物系油性基剤(流動パラフィン、ポリブテン、シリコーン油など)、合成系油性基剤(合成エステル油、合成ポリエーテル油など)などの油性基剤;水性基剤、例えば、水、水溶性有機溶媒[低級脂肪族アルコール(エタノール、イソプロパノールなど);アルキレングリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエステルなどの低分子量のポリオキシアルキレングリコール又はそのモノアルキルエステルなど);グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどのカルボン酸類]などが挙げられる。基剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基剤の割合は、化粧品全体に対して、10〜99.999重量%、好ましくは10〜99重量%、更に好ましくは20〜95重量%程度であってもよい。また、コラーゲン組成物の割合は、基剤100重量部に対して、0.001〜500重量部、好ましくは0.01〜300重量部、更に好ましくは0.1〜100重量部(例えば、1〜50重量部)程度であってもよい。
有効成分としては、収れん剤(クエン酸、乳酸、酒石酸などのオキシ酸又はこれらの塩など;塩化アルミニウムなどのアルミニウム化合物;硫酸亜鉛、スルホフェノキソ亜鉛などの亜鉛化合物;プロアントシアニジン類;ハマメリス、白樺などのタンニン含有植物抽出物;ガイヨウエキス、ダイオウエキス、スギナエキスなど)、エモリエント剤(トリグリセリド油、スクワラン、エステル油などの油性成分を、モノグリセリドなどの非イオン乳化剤などにより乳化した乳化物など)、保湿剤、皮膚軟化剤(サリチル酸又はその誘導体、乳酸、尿素など)、抗酸化剤(トコフェロール又はその誘導体;アントシアニンなどのポリフェノール類など)、紫外線吸収剤や紫外線を散乱する無機顔料、美白剤(アスコルビン酸又はその誘導体、システイン、プラセンタエキス、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カミツレ抽出物など)、制汗剤(アルミニウム化合物、亜鉛化合物、タンニンなどの収れん剤など)、肌荒れ防止剤(グリチルリチン酸塩、ビタミン類など)、抗炎症剤(アラントイン、グアイアズレン、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸又はその塩、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、イブプロフェン、インドメタシン、酸化亜鉛、或いはこれらの誘導体;アルニカ抽出物などの植物抽出物など)、殺菌剤又は抗菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ジステアリルメチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩;安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステルなどの安息香酸類;サリチル酸、サリチル酸ナトリウムなどのサリチル酸類;トリクロロカルバニリド、トリクロサンなど)、酵素(プロテアーゼ、リパーゼなど)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)、アミノ酸(トリプトファン、システインなど)、細胞賦活剤(リボフラビン、ピリドキシン、ニコチン酸、パントテン酸、α−トコフェロール、又はこれらの誘導体;ユキノシタエキスなどの植物抽出物など)などが挙げられる。
前記保湿剤としては、アルキレングリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエステルなどのポリアルキレングリコール又はそのモノアルキルエステルなど)、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム;アミノ酸類(セリン、グリシン、スレオニン、アラニンなど);糖類(ソルビトールなどの糖アルコール;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチンヘパリンなどの多糖類など);タンパク質(ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリーなど)などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムなどのベンゾフェノン系吸収剤;メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジイソプロピルケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、ジ−p−メトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリルなどのケイ皮酸系吸収剤;p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸オクチル、p−ジメチルアミノ安息香酸オクチルなどのp−アミノ安息香酸系吸収剤;サリチル酸オクチルなどのサリチル酸系吸収剤;4−t−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン系吸収剤;ウロカニン酸又はそのエステル;β−イソプロピルフラノン;β−カロチンなどが挙げられる。前記紫外線を散乱する無機顔料としては、酸化チタン(二酸化チタン)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などが挙げられる。また、有効成分には、用途に応じて、毛髪用化粧料の有効成分(コンディショニング剤、ふけ抑制剤など)、しみそばかす用化粧料の有効成分(チロシナーゼ活性阻害剤、メラニン還元剤など)、ニキビ用化粧料の有効成分(硫黄などの角質軟化剤、消炎剤、副腎皮質ホルモン、皮脂分泌抑制剤など)なども含まれる。前記有効成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
有効成分の割合は、化粧料全体に対して、0.001〜90重量%、好ましくは0.01〜80重量%、更に好ましくは0.1〜60重量%程度であってもよい。
添加剤としては、界面活性剤、無機塩類(硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムなど)、着色剤、繊維(ナイロン繊維などの合成繊維、天然繊維など)、研磨剤(リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸など)、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)、湿潤剤(ソルビット、グリセリンなど)、粘結剤(前記例示の粘液質、例えば、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナンなど)、不透明化剤、香料(合成香料、精油、精油成分など)、甘味剤(サッカリンナトリウムなど)、植物抽出物などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤(アルキル硫酸塩;アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキルエーテル硫酸塩;アシルメチルタウリン塩;アシルグルタミン酸ナトリウムなどのアシルグルタミン酸塩;アミドエーテル硫酸塩;ソルビタンセスキオレイン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル類;グリセリルモノステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレングリセリルモノステアレートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルなど)、両性界面活性剤(アルキル酢酸ベタイン、アミド酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン(アミンオキシド型半極性界面活性剤)など)、非イオン性界面活性剤(ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体など)、陽イオン界面活性剤(塩化アルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム塩など)などが挙げられる。
前記着色剤(染顔料)としては、合成又は天然顔料(染料、色素)、例えば、タール色素、酸化鉄系無機顔料、黒酸化鉄レーキ、二酸化チタンなどの白色顔料;パール顔料(雲母チタン系、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔など);赤色223号、橙色201号などの染料;天然色素(コチニール、カルサミンなど)などが挙げられる。
更に添加剤には、pH調整剤(炭酸水素ナトリウムなどの塩基;リン酸一水素ナトリウムなどの酸;ホウ砂など)、キレート剤(クエン酸などのオキシカルボン酸、メタリン酸などのリン酸など)、金属イオン封鎖剤(ポリリン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩など)、固化剤(前記基剤の項で例示の高級アルコール、飽和脂肪酸、ワックス類など)、可溶化剤(ポリオキシエチレン硬化ひまし油など)、可塑剤(カンファー、フタル酸ジブチルなどのフタル酸エステル、アセチルクエン酸トリブチルなどの脂肪族多塩基酸エステルなど)、ゲル化剤(有機変性ベントナイトなど)、増粘剤(前記基剤の項で例示の粘液質など)、有機溶剤(エタノール、ブタノールなどのアルコールなど)、還元剤(チオグリコール酸又はその塩、システインなど)、塩基性剤(アンモニア水、炭酸アンモニウム、エタノールアミンなど)、酸化剤(臭素酸ナトリウム、過酸化水素、過ホウ素酸ナトリウムなど)、防腐剤又は保存料(パラベン、安息香酸ナトリウムなど)、清涼剤(メントールなど)なども含まれる。前記添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記添加剤の割合は、化粧料全体に対して、0.001〜40重量%、好ましくは0.01〜30重量%、0.1〜20重量%程度であってもよい。
なお、基剤、有効成分及び添加剤は、魚類由来コラーゲンの3重らせん構造の特性を損なわない限り、魚類由来コラーゲンと相互作用していてもよい。
本発明の化粧料は、皮膚などに適用する外用組成物として利用できる。適用部位としては、特に制限されないが、例えば、頭、顔、首、腕、手、胴、足などの種々の部位の外皮の他、口腔内、頭髪、睫、眉毛などの体毛、爪などが例示できる。
本発明の化粧料の形態は、特に制限されず、例えば、液剤(ローション、乳剤、懸濁液など)、半固形剤(ゲル剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤など)、固形剤(粉末、ケークなど)などが挙げられる。液剤及び半固形剤は、基材(不織布、織布、紙、ポリマーフィルムなど)に含浸又は塗布した形態、例えば、パック、マスク、ウェットティッシュなどとして用いてもよい。
前記液剤は、溶液、又は分散液(水性液剤に粉末が分散した分散液、水−非水系有機溶媒の二層系液剤の分散液、水−非水系有機溶媒の二層系液剤に粉末が分散した分散液など)であってもよい。また、液剤は、スプレーやエアゾール剤として用いてもよく、スプレー又はエアゾール剤では、噴射される液剤は、霧状であってもよく、泡状であってもよい。なお、エアゾール剤の噴射剤としては、液化ガス(フッ化炭化水素、炭化水素類、液化石油ガス、ジメチルエーテルなど)、圧縮ガス(窒素ガス、二酸化炭素などの圧縮不活性ガスなど)などが使用できる。
化粧料の使用形態としては、基礎化粧料(ローション、化粧水、ジェル状化粧水、乳液、クリーム、美容液など)、メークアップ化粧料(液体又は粉末状ファンデーション、頬紅、アイシャドー、整髪剤など)、入浴料(浴用剤など)、洗浄料(洗顔料、クレンジング剤、石鹸、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、コンディショナーなど)などが挙げられる。
また、化粧料には、適用部位や用途(機能)に応じて、例えば、頭皮・頭髪用化粧料(シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、毛髪用美容液、ヘアスタイリング剤、パーマ液、コールドウェーブローション、染毛料など)、部分用化粧料[アイライナー、マスカラなどのアイメーク用化粧料;リップクリーム、口唇用美容液、口紅、リップグロス、口紅用リムーバーなどの口唇用化粧料;口腔用化粧料(歯磨き剤、洗口剤、口中清涼剤など);爪用化粧料(爪用美容液、ネールエナメル、エナメルリムーバーなど)など]、日焼け・日焼け止め用化粧料、しみそばかす用化粧料、ニキビ用化粧料、防臭化粧料(制汗剤など)なども含まれる。
本発明の化粧料の用法及び用量は、化粧料の種類(用途)や形態などに応じて選択でき、例えば、1日あたり1〜5回程度、所定部位に適用できる。例えば、パーマ液などの用途では、1週間乃至数ヶ月に1〜3回程度、所定部位に適用でき、エナメルなどの用途では、1日乃至1週間に1〜10回程度、所定部位に適用できる。また、洗浄料、毛髪料(リンス、コンディショナー、トリートメント、パーマ液など)などの用途では、化粧料を適用後、水や湯などにより洗い落としてもよい。
3.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、担体を含むことができる。また、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、又は合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を含むことができる。
投与剤型としては、特に限定はなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤などの経口剤、又は注射剤、外用液剤、軟膏剤、坐剤、局所投与のクリーム、ゼリー、ジェル、ペースト、若しくは点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、これに限定されるものではないが、魚類由来コラーゲン組成物を、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜80重量%の量で含有することができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などにより異なり、当業者が適宜決定することができる。更に、形態も医薬品に限定されるものではなく、種々の形態、例えば、機能性食品や健康食品、又は飼料として飲食物の形で与えることも可能である。
4.コラーゲン組成物の製造方法
本発明のコラーゲン組成物の製造法は、一般式(1)
(式中、Rは、同一又は異なる炭素原子2〜4個を含む親水性基であり、Rは、両端にペプチド結合を有するか、又は有しない炭素数10〜30の炭化水素基を含む疎水性基であり、nは2〜16の整数を示し、mは1〜10の整数を示す)
で表される化合物(直鎖状親水/疎水化合物)と、魚類由来コラーゲンとを混合し、混合物を得る工程を含む。
本発明のコラーゲン組成物は、前記直鎖状親水/疎水化合物と魚類由来コラーゲン以外の化合物を含むことができるため、魚類由来コラーゲンに直鎖状親水/疎水化合物を添加する前に、その他の化合物を魚類由来コラーゲンに混合することも可能である。しかしながら、魚類由来コラーゲンと直鎖状親水/疎水化合物とが、最初に安定な形態をとるためには、魚類由来コラーゲンと直鎖状親水/疎水化合物とを混合させる工程(以下、混合工程(1)と称する)を第一に行うことが好ましい。
本発明のコラーゲン組成物の製造方法は、前記混合工程(1)で得られた魚類由来コラーゲンと直鎖状親水/疎水化合物の混合物に、
一般式(3)
(式中、Xは式(4)
で表される基であって、A及びEが親水性基であり、B及びDが疎水性基であり、X’は、水素原子又は前記式(4)で表される基である)
で表される化合物(分岐状親水/疎水化合物)を混合する工程(以下、混合工程(2)と称する)を含むことができる。
前記混合工程(1)及び(2)における混合温度は、魚類由来コラーゲンの変性温度よりも低い温度であり、直鎖状親水/疎水化合物、又は分岐状親水/疎水化合物が固体化しない温度であれば、限定されないが、例えば、テラピア由来コラーゲンであれば、37℃以下が好ましく、タイ由来コラーゲンであれば、28℃以下が好ましく、ヒラメ由来コラーゲンであれば、25℃以下が好ましく、サメ由来コラーゲンであれば、20℃以下が好ましく、サケ由来コラーゲンであれば、19℃以下が好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《製造例1:魚類由来コラーゲンの製造》
(1)魚燐のアルカリ処理
ナイルテラピアの鱗を水で十分に洗浄し、鰭等の夾雑物を除去した後風乾した後、冷凍庫で保管したものをコラーゲン取得に供した。乾燥魚鱗50gを500mLの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、攪拌羽根を用いて24時間穏やかに攪拌した。金網で魚鱗をろ過し、1000mLの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に加えて同様の操作を行った。魚鱗を水でpHが中性を示すまで繰り返し洗浄した。
(2)魚燐のペプシン処理
上記魚鱗を1000mLの0.5M酢酸水溶液に加え、攪拌羽根を用いて25℃±1℃(以下、単に室温と表記する)で3日間穏やかに攪拌した。この水溶液を遠心(10000×g,20分)し、魚鱗を沈殿させた。5gのペプシン(和光純薬、ペプシン1:100)を含む1000mLの0.5M酢酸水溶液に前記魚鱗を加え、攪拌羽根を用いて室温で3日間穏やかに攪拌した。この水溶液を遠心(10000×g、20分)し、魚鱗を沈殿させた。上清を回収し、ガラスフィルター(SHIBATA、151G P16)を用いて吸引ろ過した。ろ液に0.5g/Lになるようにペプシンを加え、室温で24時間攪拌した。魚鱗残渣を上記と同様のペプシン含有酢酸水溶液に加え、同様に攪拌した。この操作を4回繰り返し、4バッチの上清を得た。
(3)コラーゲンの精製
ペプシン処理を終えた上清に対し、終濃度が0.9Mになるように塩化ナトリウム水溶液を加え、ガラス棒で混合した後、4℃で24時間静置して塩析した。これを遠心(10000×g、20分)し、沈殿物を300mLの0.5M酢酸水溶液に溶解した。この塩析工程を3回繰り返し、コラーゲンの酢酸水溶液をセルロースチューブに入れて蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。コラーゲンの合計収率は1.70(%)であった。
《実施例1:コラーゲン組成物の製造》
1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体(polyolprepolymer−50;日光ケミカルズ株式会社)1.0g、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(NIKKOL HCO−50;日光ケミカルズ株式会社)1.2gを、精製水87.9gに、80℃で溶解し溶液Aを得た。得られた溶液Aを室温に放置し、50℃まで冷却した。1,3−ブチレングリコール8g、フェノキシエタノール(防腐剤)0.4g、カッコンエキス、アロエベラエキス、及びクロレラエキス混合液0.5gを混合し、溶液Bを得た。50℃に冷却した90.1gの溶液Aに、8.9gの溶液Bを加えた。得られた混合溶液を、室温に放置し、30℃まで冷却した。30℃の混合溶液に、前記製造例1で得られた魚鱗由来コラーゲンの0.3%溶液を、1.0%加え、溶解した。
魚鱗由来コラーゲンは繊維化せず、透明なコラーゲン組成物が得られた。
《比較例1》
キサンタンガム0.9gを精製水92.3gに80℃で溶解し、溶液Aを得た。得られた溶液Aを室温に放置し、50℃まで冷却した。1,3−ブチレングリコール5.0g、フェノキシエタノール(防腐剤)0.2g、メチルパラベン(防腐剤)0.1g、カッコンエキス、アロエベラエキス、及びクロレラエキス混合液を0.5gを混合し、溶液Bを得た。50℃に冷却した93.2gの溶液Aに、5.8g溶液Bを加えた。得られた混合溶液を、室温に放置し、30℃まで冷却した。30℃の混合溶液に、前記製造例1で得られた魚鱗由来コラーゲンの0.3%溶液を、1.0g加え、溶解した。
魚鱗由来コラーゲンは繊維化を起こし、不透明なコラーゲン組成物となった。
《実施例2》
1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体(polyolprepolymer−50;日光ケミカルズ株式会社)10gに、前記製造例1で得られた魚鱗由来コラーゲンの0.3%溶液を、10g加え、コラーゲン組成物E2を得た。
《実施例3:化粧料の製造》
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(NIKKOL HCO−50;日光ケミカルズ株式会社)1.0gを、精製水88.6gに、80℃で溶解し溶液Aを得た。得られた溶液Aを室温に放置し、50℃まで冷却した。1,3−ブチレングリコール8.0g、フェノキシエタノール(防腐剤)0.4g、を混合し、溶液Bを得た。50℃に冷却した89.6gの溶液Aに、8.4gの溶液Bを加えた。得られた混合溶液を、室温に放置し、34℃まで冷却した。34℃の混合溶液に、前記実施例2で得られたコラーゲン組成物を、2.0g加え、化粧料E3を得た。
《実施例4:化粧料の製造》
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(NIKKOL HCO−50;日光ケミカルズ株式会社)1.0gを、精製水88.1gに、80℃で溶解し溶液Aを得た。得られた溶液Aを室温に放置し、50℃まで冷却した。1,3−ブチレングリコール8.0g、フェノキシエタノール(防腐剤)0.4g、カッコンエキス、アロエベラエキス、及びクロレラエキス混合液0.5gを混合し、溶液Bを得た。50℃に冷却した89.1gの溶液Aに、8.9gの溶液Bを加えた。得られた混合溶液を、室温に放置し、34℃まで冷却した。34℃の混合溶液に、前記実施例2で得られたコラーゲン組成物を、2.0g加え、化粧料E4を得た。
《実施例5:化粧料の製造》
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(NIKKOL HCO−50;日光ケミカルズ株式会社)1.0gを、精製水85.9gに、80℃で溶解し溶液Aを得た。得られた溶液Aを室温に放置し、50℃まで冷却した。1,3−ブチレングリコール8.0g、フェノキシエタノール(防腐剤)0.4g、クエン酸0.2g、クエン酸ナトリウム2.0g、ビタミンCエチル0.5gを混合し、溶液Bを得た。50℃に冷却した86.9gの溶液Aに、11.1gの溶液Bを加えた。得られた混合溶液を、室温に放置し、34℃まで冷却した。34℃の混合溶液に、前記実施例2で得られたコラーゲン組成物を、2.0g加え、化粧料E5を得た。
《比較例2:化粧料の製造》
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(NIKKOL HCO−50;日光ケミカルズ株式会社)1.0gを、精製水88.1gに、80℃で溶解し溶液Aを得た。得られた溶液Aを室温に放置し、50℃まで冷却した。1,3−ブチレングリコール8.0g、フェノキシエタノール(防腐剤)0.4g、を混合し、溶液Bを得た。50℃に冷却した89.1gの溶液Aに、8.4gの溶液Bを加えた。得られた混合溶液を、室温に放置し、34℃まで冷却した。コラーゲン組成物の配合されていない化粧料CE2を得た。
《実施例6》
1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体(polyolprepolymer−50;日光ケミカルズ株式会社)1.0gを、精製水98.0gに溶解した。得られた溶液に、前記製造例1で得られた魚鱗由来コラーゲン0.3%溶液を1.0g加え、コラーゲン組成物E6を得た。
《実施例7:3重らせん構造の測定(CD測定)》
本実施例では、前記実施例6において得られたコラーゲン組成物E6に含まれる魚鱗由来コラーゲンの3重らせん構造が維持されていることを、円偏光二色性分光法により確認した。
CD分光計(Jasco model725 spectrometer)を用い、2mLのコラーゲン組成物E6を、光波長2mmの石英セルに入れ、スキャンスピード50nm/分で測定した。図1に示すように、円偏光二色性スペクトルにおいて、221nm〜226nm付近にコラーゲンの3重らせん構造(α―へリックス構造)に対応するピークが観察された。このことは、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体の添加によって、魚鱗由来コラーゲンの3重らせん構造が、安定に維持されていることを示している。
《実施例8:変性温度測定》
前記実施例6で得られたコラーゲン組成物E6、及び中性コラーゲン(1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体が未添加)について、コラーゲンの変性温度を測定した。
コラーゲンの変成温度は、International Journal of Biological Macromolecules, 32199(2003)に記載の方法に従って、CD分光計(Jasco model725 spectrometer)を使用してコラーゲン水溶液の温度を段階的に上昇させることによって求めた。
サンプルをpH3の希塩酸100mLに溶解し、光路長2mmの石英セルに入れた。セルの温度を1℃/min(60℃/時間)で上昇させ、226nmにおける旋光度を0.2℃ごとに測定した。各温度における旋光度を温度に対してプロットすると、旋光度の値がコラーゲン螺旋の値からランダムコイルの値へと急激に変化する変成曲線が得られる。それらの旋光度値の中間値を与える温度、すなわち、螺旋率(Helicity;%)が50%になるときの温度を変成温度とした。この測定は3回行い、平均値を使用した。
コラーゲン組成物E6では、35℃付近からα−へリックス構造に対するピーク(221〜226nm)が減少し、46℃付近で完全にピークが観察されなくなった。計算の結果、変性温度は38.0℃であった(図2A)。
一方、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体が添加されていない中性コラーゲンは、変性温度は36.5℃であった(図2B)。
以上のことから、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体の添加によって、魚鱗由来コラーゲンの変性温度が、1.5度上昇することが確認された。
《実施例9:角層水分量測定》
前記実施例3〜5において得られた化粧料E3〜E5、及び比較例2において得られた化粧料CE2について、皮膚に塗布した場合の、保水性を検討した。
腕の内側に皮膚を、5つの区画に分割し、化粧料E3〜E5、化粧料CE2及び精製水(陰性コントロール)を、それぞれ0.5mLずつ、塗布した。室温24℃、湿度44〜46%の条件下で、塗布後、0分、15分、30分、60分、90分、及び120分後に、角質水分量を、Wave Cyber WSK−P500U(インフォワード社製)を用いて測定した。センサー部分を皮膚に押し当て、肌の静電容量を判別し、水分を表す価として計測した。生理食塩水を測定した状態の値を「飽和した状態(100)」とし、全く水分が存在しない状態の値を「ゼロの状態(0)」として計算している。結果を図3に示す。
精製水では、角質水分量は50%程度であった。1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体が、添加されていない化粧料CE2と比較して、化粧料E3〜E5を塗布した皮膚では、30分〜120分後において、角質水分量が高かった。
《実施例10:肌キメ測定》
前記実施例3〜5において得られた化粧料E3〜E5、及び比較例2において得られた化粧料CE2について、皮膚に塗布した場合の、肌のキメへの影響を検討した。
腕の内側に皮膚を、5つの区画に分割し、化粧料E3〜E5、化粧料CE2及び精製水(陰性コントロール)を、それぞれ0.5mLずつ、塗布した。室温24℃、湿度44〜46%の条件下で、塗布後、0分、15分、30分、60分、90分、及び120分後に、角質水分量を、ロボスキンアナライザーTypeA(インフォワード社製)を用いて測定した。皮膚の状態を画像処理し、モノクロ画像中における暗部を皮溝、明部を皮丘とし、暗部明部をそれぞれ強調処理して二値化した結果が、一辺0.4mmの正三角形のきめモデルに近ければ近いほど、100点満点に高い点となるように判断した。結果を図4に示す。また、化粧料E4と精製水(陰性コントロール9については、塗布前及び120分後の、処理画像を図5に示す。
精製水及び化粧料CE2と比較して、化粧料E3〜E5は、30分〜120分後において、キメの値が高く、特に、120分後において、化粧料CE2との差異が大きかった。
本発明のコラーゲン組成物は、化粧品、再生医療などに用いる医薬品の成分として有用に用いることができる。

Claims (8)

  1. 一般式(2)
    (式中、mは1〜4の整数を示す)
    で表される1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体、及び魚類由来コラーゲンを含むことを特徴とする、コラーゲン組成物。
  2. 一般式(3)
    (式中、Xは式(4)
    で表される基であって、A及びEが親水性基であり、B及びDが疎水性基であり、X’は、水素原子又は前記式(4)で表される基である)
    で表される化合物を、更に含む請求項1に記載のコラーゲン組成物。
  3. 前記Xが、一般式(5)
    (式中、Rは、−CHCHO−、又は−CHCHOCHCH−であり、Rは炭素数3〜10の直鎖状のアルキル基であり、p及びrは、分子中のp+rが40〜60となる整数であり、qは5〜20の整数である)
    で表される、請求項に記載のコラーゲン組成物。
  4. 前記一般式(3)で表される化合物が、一般式(6)
    (式中、40≦s+t+u+x+y+z60である)
    で表されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、請求項又はに記載のコラーゲン組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のコラーゲン組成物を含む、化粧料組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のコラーゲン組成物を含む、医薬組成物。
  7. 魚類由来コラーゲンと、一般式(2)
    (式中、mは1〜4の整数を示す)
    で表される1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)ポリエチレングリコール共重合体とを混合し、混合物を得る工程を含む、コラーゲン組成物の製造方法。
  8. 前記混合物に、一般式(3)
    (式中、Xは式(4)
    で表される基であって、A及びEが親水性基であり、B及びDが疎水性基であり、X’は、水素原子又は前記式(4)で表される基である)
    で表される化合物を、更に混合する工程を含む、請求項に記載のコラーゲン組成物の製造方法。
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