JP6132299B2 - コラーゲンを含む組成物 - Google Patents
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Description
例えば、化粧品には、皮膚又は髪の潤いを保つために、保湿剤としてコラーゲンが添加されている。具体的には、特許文献1において、皮膚の真皮の成分であるヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びコラーゲンを含有する化粧料が提案されており、バリア機能及び肌改善機能を示すことが開示されている。また、特許文献2には、真皮の線維成分であるコラーゲン、及びエラスチン、並びに真皮の基質成分であるヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、及びN−アセチルグルコサミンを含む化粧料が開示されている。
本発明者らは、化粧品における保湿成分として、コラーゲンの研究を進めていたところ、熱処理によって3重らせん構造の破壊された変性コラーゲン(ゼラチン又は水溶性コラーゲン)や、酵素処理されたコラーゲンペプチドと比較して、3重らせん構造が維持されたコラーゲン(以下、「非変性コラーゲン」と称することがある)が保湿成分として有用であることを見出した。しかしながら、この非変性コラーゲンも、相溶性が低く、化粧品に添加すると浮遊物や沈殿物(澱)が発生することがあった。本発明者らは、この澱について検討を重ね、特定の界面活性剤を用いることにより、澱の生成を防ぐことを見出した。しかしながら、界面活性剤の添加は、コストの増加につながるものであった。
従って、本発明の目的は、液体組成物において、浮遊物や沈殿物(澱)が発生しない優れたコラーゲン並びにそれを含む液体組成物を提供することである。また、本発明の更なる目的は、保湿性に優れ、且つ化粧品の成分として操作性に優れたコラーゲン並びにそれを含む組成物及び化粧品基剤を提供することである。
すなわち、前記魚類由来コラーゲンは、特定の界面活性剤を添加することなく、またサクシニル化することなく、容易に液体組成物に溶解し、操作性に優れるものであった。更に、前記魚類由来コラーゲンは高い保湿性を示し、化粧品の保湿成分として有用であった。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]相対湿度85%及び温度23℃における吸湿率が40重量%以上である、魚類由来のコラーゲンを含む液体組成物、
[2]前記コラーゲンのアミノ酸組成が、アミノ酸組成分析から計算される全アミノ酸の数を1000残基に換算した場合に、グルタミン及びグルタミン酸が75残基以上及びリシンが24残基以下である、[1]に記載の液体組成物、
[3]前記コラーゲンの変性温度が25℃以上である、[1]又は[2]に記載の液体組成物、
[4]前記組成物が、液体化粧品組成物、細胞培養溶液組成物、美容形成用注入組成物、液体医薬組成物、又は液体食品組成物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の液体組成物、
[5]相対湿度85%及び温度23℃における吸湿率が40重量%以上である、魚類由来コラーゲンを含む化粧品基剤、
[6]前記コラーゲンのアミノ酸組成が、アミノ酸組成分析から計算される全アミノ酸の数を1000残基に換算した場合に、グルタミン及びグルタミン酸が75残基以上及びリシンが24残基以下である、[5]に記載の化粧品基剤、及び
[7]前記コラーゲンの変性温度が25℃以上である、[5]又は[6]に記載の化粧品基剤、
に関する。
本発明の液体組成物は、相対湿度85%及び温度23℃における吸湿率が40重量%以上である、魚類由来のコラーゲンを含む。前記魚類由来コラーゲンを含む液体組成物は、浮遊物や沈殿物(澱)の発生が無く、液体化粧品組成物、細胞培養溶液組成物、美容形成用注入組成物、液体医薬組成物、又は液体食品組成物に、用いることにより、それらの組成物の効果、保湿性・細胞親和性・組織安定性・粘稠性などを高めることができる。
本発明の液体組成物に用いる魚類由来コラーゲンは、相対湿度85%及び温度23℃における吸湿率が40重量%以上であるが、吸湿率は45重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、55重量%以上が更に好ましく、60重量%以上が最も好ましい。吸湿率が40重量%以上であることにより、優れた相溶性を示す。
従って、液体組成物(例えば、液体化粧品組成物、細胞培養溶液組成物、美容形成用注入組成物、液体医薬組成物、又は液体食品組成物)に用いた場合に、浮遊物又は沈殿物の発生が見られず、それぞれの液体組成物の機能性を向上させたり、商品価値を高めたりすることができる。例えば、化粧品に添加した場合は、澱の発生が見られず、サクシニル化することなく高い相溶性を示すことができる。更に、本発明に用いるコラーゲンは、高い膨潤性を有しており、優れた化粧品基剤及び化粧品組成物を調製することができる。すなわち、前記魚類由来コラーゲンは優れた膨潤性を有しており、例えば前記魚類由来コラーゲンを含む化粧品基剤を、化粧品用クリームに用いることにより、膨潤性及び保湿性に優れた化粧品を得ることができる。
コラーゲンを、pH3の塩酸水溶液に1.0重量%となるように溶解する。1.0gのコラーゲン溶液を24ウェルに分注し−20℃で凍結する。凍結したコラーゲン溶液を一昼夜凍結乾燥させて、コラーゲンスポンジを得る。得られたコラーゲンスポンジを、五酸化ニリンを置いた減圧デシケーター中に室温で1週間保持し、絶乾する。絶乾したコラーゲンスポンジの重量を測定し、絶乾重量を求める。減圧デシケーター(ポリカデシケーターミニPC−150KG)中に、飽和塩化カリウム水溶液(塩化カリウム100gを超純水40mLに溶解して調製)を置き、温度23℃で、相対湿度85%に調湿し、24時間保持する。デシケーターから取り出し、コラーゲンスポンジの吸着後重量を測定する。吸湿率は、以下の式(3)により計算する。
吸湿率(%)=[(吸着後重量−絶乾重量)/絶乾重量]×100 (3)
また、魚類の種類も限定されるものでなく、例えば、チョウザメ、テラピア、タイ、ヒラメ、サメ、イワシ、マグロ、フグ、キンギョ、タラ、カレイ、コイ、又はクラゲを挙げることができるが、特にはチョウザメ由来コラーゲンが好ましい。チョウザメは、チョウザメ亜目(Acipenseroidei)に属し、2科6属27種に分類されている。2つの科はチョウザメ科(2亜科、4属、25種)とヘラチョウザメ科(2属、2種)とに分類される。
チョウザメ科のAcipenserinae亜科のチョウザメ属(Acipenser属)には、Acipenser baeri、Acipenser brevirostrum、Acipenser dabryanus(ダブリーチョウザメ)、Acipenser fulvescens(レイクチョウザメ)、Acipenser gueldenstaedti(ロシアチョウザメ)、Acipenser medirostris(ミドリチョウザメ)、Acipenser mikadoi(ミカドチョウザメ)、Acipenser naccarii(アドリアチョウザメ)、Acipenser nudiventris、Acipenser oxyrinchus、Acipenser persicus(ペルシャチョウザメ)、Acipenser ruthenus(コチョウザメ)、Acipenser schrencki(アムールチョウザメ)、Acipenser sinensis(カラチョウザメ)、Acipenser stellatus、Acipenser sturio(バルトチョウザメ)、及びAcipenser transmontanus(シロチョウザメ)の17種が含まれる。チョウザメ科のAcipenserinae亜科のPseudoscaphirhynchus属には、Pseudoscaphirhynchus fedtschenkoi、Pseudoscaphirhynchus hermannii、及びPseudoscaphirhynchus kaufmanniの3種が含まれる。チョウザメ科のAcipenserinae亜科のScaphirhynchus属には、Scaphirhynchus albus、Scaphirhynchus platorynchus、及びScaphirhynchus suttkusiの3種が含まれる。また、チョウザメ科のHusinae亜科のダウリアチョウザメ属(Huso属)には、Huso huso(オオチョウザメ)、及びHuso douricus(ダウリアチョウザメ)の2種が含まれる。
ヘラチョウザメ科には、ヘラチョウザメ属(Polyodon)のPolyodon spathula(ヘラチョウザメ)及びハシナガチョウザメ属(Psephurus)のPsephurus gladius(シナヘラチョウザメ)の2種が含まれる。
また、養殖種としてオオチョウザメの雌とコチョウザメの雄を人工交配して作出されたベステル(Acipenser ruthenus×Huso huso)、その他、人工交配して作出されたチョウザメも含まれる。
本発明に用いる魚類由来コラーゲンを得るためのチョウザメは限定されるものではないが、ベステル又はアムールチョウザメが好ましい。また、魚類由来コラーゲンを抽出する組織も特に限定されるものではないが、吻部軟骨又は脊索が好ましい。
グルタミン及びグルタミン酸の個数は、特に限定されるものではないが、下限は80残基以上が好ましく、83残基以上がより好ましく、86残基以上が更に好ましい。グルタミン及びグルタミン酸の個数の上限は、特に限定されるものではないが、120残基以下が好ましく、110残基以下がより好ましく、100残基以下が更に好ましい。
リシンの個数は、限定されるものではないが、上限は22残基以下が好ましく、20残基以下がより好ましく、18残基以下が更に好ましく、16残基以下が最も好ましい。リシンの個数の下限は、特に限定されるものではないが、7残基以上が好ましく、10残基以上がより好ましく、14残基以上が更に好ましい。
本発明におけるコラーゲンの1000個のアミノ酸の特定は、高速液体クロマトグラフを用いたニンヒドリン法によって行う。クロマトグラフにより得られたピークエリアと標準物質を比較し、その面積からアミノ酸個数に換算する。更に、総アミノ酸数を1000個に補正し、1000残基に換算したアミノ酸の組成が求められる。
本発明に用いる魚類由来コラーゲンの変性温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは、25℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは33.5℃以上である。変性温度が25℃未満であると、液体組成物が高温に置かれた場合などに、コラーゲンの3重らせん構造が壊れることがあり、コラーゲンの機能を発揮できないことがある。また、変性温度の上限は特に限定されるものではないが、50℃以下でよい。
本発明に用いる魚類由来コラーゲンは、限定されるものではないが、総疎水性値が−710以下である魚類由来コラーゲンが好ましい。前記総疎水性値(THV)は、下記式(1)によって求めることができる。
式(1)
HV=dn×(−3.5)+t×(−0.7)+s×(−0.8)+qe×(−3.5)+g×(−0.4)+a×1.8+v×4.2+m×1.9+i×4.5+l×3.8+f×2.8+hk×(−0.8)+k×(−3.9)+r×(−4.5)+c×2.5+y×(−0.3)+h×(−3.2)+hp×(−0.6)+p×(−0.6)
[式中、アミノ酸組成分析から計算される全アミノ酸数を1000残基に換算した場合の、dnはアスパラギン及びアスパラギン酸の数、tはトレオニンの数、sはセリンの数、qeはグルタミン及びグルタミン酸の数、gはグリシンの数、aはアラニンの数、vはバリンの数、mはメチオニンの数、iはイソロイシンの数、lはロイシンの数、fはフェニルアラニンの数、hkはヒドロキシリシンの数、kはリシンの数、rはアルギニンの数、cはシステインの数、yはチロシンの数、hはヒスチジンの数、hpはヒドロキシプロリンの数、pはプロリンの数を表す]。
本発明の液体組成物は、前記魚類由来コラーゲンを含む液状の組成物である限り限定されないが、液体化粧品組成物、細胞培養溶液組成物、美容形成用注入組成物、液体医薬組成物、又は液体食品組成物を挙げることができる。これらの組成物は、コラーゲン由来の浮遊物又は沈殿物の発生がない。従って、浮遊物や沈殿物の発生によるコラーゲンの機能又は作用の低下が見られない。
本発明の液体化粧品組成物が、後述の本発明の化粧品基剤を含んでもよい。本発明の液体化粧品組成物は、前記魚類由来コラーゲンに加えて、通常、基剤(又は担体)、有効成分(保湿剤など)、又は添加剤を含むことができる。
基剤のうち粉末状基剤としては、糖類(グルコース、ラクトース、デンプンなどの単糖類又は多糖類;ソルビトールなどの糖アルコールなど)、アミノ酸類(セリン、グリシン、スレオニン、アラニンなど)、金属石鹸類(脂肪酸金属塩、例えば、ステアリン酸カリウム、やし油脂肪酸ナトリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、樹脂類[ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニルアルコール系重合体、カルボン酸ビニルエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、アミン樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、熱硬化性アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(メチルポリシロキサンなど)などの熱硬化性樹脂など]、無機粉末成分[セリサイト、体質顔料(カオリン、タルク、雲母などの天然粘度鉱物;合成フッ素金雲母、六方晶窒化ホウ素など)など]などが挙げられる。
前記ゲル基剤の粘液質としては、動植物系粘液質(クインシードガム、トラガントガム、キサンタンガムなどのガム類;ペクチン、デンプンなどの糖類;アイリッシュモス;アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコールアルギネートなどのアルギン酸類;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチンヘパリンなどの多糖類;カゼイン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリーなどのタンパク質類など)、セルロース又はその誘導体(セルロース;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、合成ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、高分子量のポリオキシアルキレングリコール(ポリエチレングリコールなど)など)、無機系粘液質(ビーガム、ベントナイト、有機変性ベントナイト、膨潤性ベントナイトなど)などが挙げられる。
有効成分の割合は、化粧品全体に対して、0.001〜90重量%、好ましくは0.01〜80重量%、更に好ましくは0.1〜60重量%程度であってもよい。
前記添加剤の割合は、化粧品組成物全体に対して、0.001〜40重量%、好ましくは0.01〜30重量%、0.1〜20重量%程度であってもよい。
本発明の細胞培養溶液組成物は、前記魚類由来コラーゲンを含む細胞培養溶液組成物である。具体的には、細胞培養溶液組成物は、細胞培養用培地として用いることができる。前記魚類由来コラーゲンは、浮遊物や沈殿物(澱)の発生が無いという効果に加えて、前記のグルタミン及びグルタミン酸などのアミノ酸組成を有している。従って、前記魚類由来コラーゲンは、細胞親和性にも優れており、細胞培養用培地として効果的に用いることができる。そのため、細胞培養溶液組成物をポリスチレンなどでつくられた細胞培養皿に滴下後、洗浄を行い、そこに細胞を播種すると、細胞の接着・増殖・分化などに有効である。特に、細胞の3次元培養などにおいて、細胞と担体との接着や細胞外基質の産生に有効である。
本発明に用いる魚類由来コラーゲンが優れた相溶性を示し、優れた吸湿性、及び優れた膨潤性を示す理由は、明確に解明されたわけではないが、吸湿性に関しては、以下のように考えることができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
魚類由来コラーゲンの吸湿性は、グルタミン及びグルタミン酸の個数からリシンの個数を除した個数によって規定されていると考えられる。吸湿性はグルタミン及びグルタミン酸に含まれるカルボキシル基が多いほうが優れていると考えられる。しかしながら、リシンが多いとグルタミン及びグルタミン酸の優れた吸湿性を示すカルボキシル基の吸湿性の効果が減少する。従って、優れた吸湿性を示すためには、グルタミン及びグルタミン酸の個数からリシンの個数を減算した個数が多いほうが好ましい。
しかしながら、相溶性及び膨潤性との関連から、グルタミン及びグルタミン酸とリシンとの個数のバランス、及びその他のアミノ酸の個数とのバランスや配列も重要である。
本発明の化粧品基剤は、化粧品に用いることのできる基剤に前記魚類由来コラーゲンが含まれるものである。化粧品基剤における魚類由来コラーゲンの含有量は、特に限定されるものではないが、0.001重量%〜20重量%であり、好ましくは0.01重量%〜15重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。
基剤は特に限定されるものでないが、液状基剤を用いることができる。液状基剤としては、油性基剤(ホホバ油、オリーブ油、やし油、つばき油、マカデミアンナッツ油、ひまし油、スクアランなど)、鉱物系油性基剤(流動パラフィン、ポリブテン、シリコーン油など)、合成系油性基剤(合成エステル油、合成ポリエーテル油など)などの油性基剤;水性基剤、例えば、水、水溶性有機溶媒[低級脂肪族アルコール(エタノール、イソプロパノールなど);アルキレングリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエステルなどの低分子量のポリオキシアルキレングリコール又はそのモノアルキルエステルなど);グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどのカルボン酸類]などが挙げられる。基剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本実施例では、ベステルチョウザメの脊索からII型コラーゲンを製造した。ベステルチョウザメの脊索1尾分を、4℃の脱イオン水で洗浄後、0.5cm×0.5cm程度に切断し、0.1%(w/v)ブタペプシンを含む塩酸溶液(pH2.0)を10倍量用いて、4℃で48時間、抽出及びアテロ化を行った。その後、溶液を2000gで1時間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清は孔径3.0、0.8、0.47μmのフィルターで順次濾過した。次に、濾液に最終濃度1MとなるようにNaClを添加し(塩析)、4℃下で2000gで90分遠心分離して沈殿を回収した。沈殿は再び塩酸溶液(pH2.0)に溶解した。以上の塩析と遠心分離を合計3度繰り返した。更に、50倍の容量の脱イオン水を用い、2回交換しながら4℃で透析を行い、透析された産物を凍結乾燥して、脊索由来コラーゲン1を得た。
ベステルチョウザメの脊索に代えて、アムールチョウザメの脊索を用いたことを除いては、製造例1の操作を繰り返して、脊索由来コラーゲン2を得た。
脊索に代えて、ベステルチョウザメ吻部軟骨を用いたことを除いては、製造例1の操作を繰り返して、吻部軟骨コラーゲン3を得た。
本製造例では、テラピアの鱗からI型コラーゲンを製造した。
(1)魚鱗のアルカリ処理
ナイルテラピアの鱗を水で十分に洗浄し、鰭等の夾雑物を除去した後風乾した後、冷凍庫で保管したものをコラーゲン取得に供した。乾燥魚鱗50gを500mLの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、攪拌羽根を用いて24時間穏やかに攪拌した。金網で魚鱗をろ過し、1000mLの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に加えて同様の操作を行った。魚鱗を水でpHが中性を示すまで繰り返し洗浄した。
上記魚鱗を1000mLの0.5M酢酸水溶液に加え、攪拌羽根を用いて25℃±1℃(以下、単に室温と表記する)で3日間穏やかに攪拌した。この水溶液を遠心(10000×g,20分)し、魚鱗を沈殿させた。5gのペプシン(和光純薬、ペプシン1:100)を含む1000mLの0.5M酢酸水溶液に前記魚鱗を加え、攪拌羽根を用いて室温で3日間穏やかに攪拌した。この水溶液を遠心(10000×g、20分)し、魚鱗を沈殿させた。上清を回収し、ガラスフィルター(SHIBATA、151G P16)を用いて吸引ろ過した。ろ液に0.5g/Lになるようにペプシンを加え、室温で24時間攪拌した。魚鱗残渣を上記と同様のペプシン含有酢酸水溶液に加え、同様に攪拌した。この操作を4回繰り返し、4バッチの上清を得た。
ペプシン処理を終えた上清に対し、終濃度が0.9Mになるように塩化ナトリウム水溶液を加え、ガラス棒で混合した後、4℃で24時間静置して塩析した。これを遠心(10000×g,20分)し、沈殿物を300mLの0.5M酢酸水溶液に溶解した。この塩析工程を3回繰り返し、コラーゲンの酢酸水溶液をセルロースチューブに入れて蒸留水に対して透析し、凍結乾燥した。コラーゲンの合計収率は1.70(%)であった。
製造例1及び2で得られた脊索由来コラーゲン1及び2のアミノ酸組成分析を行った。
脊索由来コラーゲン1及び2それぞれ約300μgを、110℃、減圧下で、0.1%フェノールを含む6N塩酸中で加水分解した。加水分解後の試料をエバポレーターで乾固させた後、3mLの溶媒(クエン酸ナトリウム2水和物4.9g、塩化ナトリウム8.77g、クエン酸1水和物35g、チオジグリコール5mL、カプリル酸0.1mL、pH2.2として1リットルにメスアップしたもの)に溶解させ、その0.1mLを全自動アミノ酸分析装置に供し、アミノ酸組成を分析した。アミノ酸組成は1000残基あたりのアミノ酸数で表した。
本実施例では、製造例1で得られた脊索由来コラーゲン1を用いて、化粧品を製造した。基礎原料(キサンタンガム、カルボマー、BG、グリセリン、フェノキシエタノール、1%水酸化カリウム溶液、HCO−50)10.04重量部、脊索由来コラーゲン1(ベステルII型)0.10重量部、精製水89.86重量部を混合して、化粧品Dを得た。
化粧品Dは沈殿物(澱)の発生が見られなかった(表2、図1)。
本実施例では、製造例2で得られた脊索由来コラーゲン2を用いて、化粧品を製造した。脊索由来コラーゲン1に代えて、脊索由来コラーゲン2を用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、化粧品Cを得た。
化粧品Cは沈殿物(澱)の発生が見られなかった(表2)。
本比較例では、製造例4で得られたテラピア鱗I型コラーゲンを用いて、化粧品を製造した。脊索由来コラーゲン1に代えて、テラピア鱗I型コラーゲンを用いたことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、化粧品Bを得た。
化粧品Bは沈殿物(澱)の発生が見られた(表2、図1)。
本参考例では、製造例4で得られたテラピア鱗I型コラーゲン、及び界面活性剤を用いて、化粧品を製造した。基礎原料(キサンタンガム、カルボマー、BG、グリセリン、フェノキシエタノール、1%水酸化カリウム溶液、HCO−50)10.04重量部、テラピア鱗I型コラーゲン0.10重量部、精製水88.86重量部、及び界面活性剤(Polyolprepolymer−15)1.00重量部を混合して、化粧品Aを得た。
化粧品Aは沈殿物(澱)の発生が見られなかった(表2)。
製造例1で得られた脊索由来コラーゲン1、製造例2で得られた脊索由来コラーゲン2、製造例4で得られたテラピアI型コラーゲン、及びブタI型コラーゲン(新田ゼラチン社製)を用いて吸湿試験を行った。
それぞれのコラーゲンをpH3の塩酸水溶液に1.0重量%となるように溶解させ、コラーゲン溶液とした。1.0gのコラーゲン溶液を24ウェルに分注し、−20℃で凍結後、凍結乾燥させてコラーゲンスポンジを得た。得られたコラーゲンスポンジのいくつかは、減圧下130℃で1日間熱架橋処理を行った。吸湿試験に供するコラーゲンスポンジはすべて、五酸化ニリンを置いた減圧デシケーター中に室温で1週間保持し、絶乾した。吸湿試験は、減圧デシケーター(ポリカデシケーターミニPC−150KG)中に飽和塩化カリウム水溶液(塩化カリウム100gを超純水40mLに溶解して調製)を置き、23℃で85%に調湿した環境で行った。絶乾したそれぞれのコラーゲンスポンジを重量測定後、調湿したデシケーター中に23℃で1日間保持した。1日間経過後、コラーゲンスポンジの吸湿後重量を測定した。吸湿率は、以下式(3)により求めた。
吸湿率(%)=[(吸湿後重量−絶乾重量)/絶乾重量]×100 (3)
製造例1で得られた脊索由来コラーゲン1、ブタI型コラーゲン(新田ゼラチン社製)、及びトリ胸部肋軟骨由来のII型コラーゲン(日本ハム社製)を用いて膨潤試験を行った。
それぞれのコラーゲンをpH3の塩酸水溶液に1.0重量%となるように溶解させ、コラーゲン水溶液とした。1.0gのコラーゲン水溶液を24ウェルに分注し、−20℃で凍結後、凍結乾燥させてコラーゲンスポンジを得た。得られたコラーゲンスポンジは、減圧下130℃で1日間熱架橋処理を行った。コラーゲンスポンジの膨潤率の測定は、超純水を用いて行った。それぞれのコラーゲンスポンジを重量測定後、1日間超純水に浸漬させた。1日間経過後、再度コラーゲンスポンジの重量を測定した。膨潤率は、以下式(4)により求めた。
膨潤率(%)=(浸漬後重量−浸漬前重量)/浸漬前重量×100 (4)
Claims (3)
- チョウザメ由来のII型コラーゲンを含む液体化粧品組成物。
- 前記チョウザメがチョウザメ科に属する、請求項1に記載の液体化粧品組成物。
- 前記チョウザメがアムールチョウザメ又はベステルチョウザメである、請求項1に記載の液体化粧品組成物。
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