JP2008079598A - 細胞培養用シートとその製造法並びにそれを用いた3次元培養用ディッシュと培養プレート - Google Patents

細胞培養用シートとその製造法並びにそれを用いた3次元培養用ディッシュと培養プレート Download PDF

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Abstract

【課題】培養細胞が伸展、増殖し、更に細胞凝集塊へと組成形成を促進すると共に機能発現し、且つ、抗血栓性にも優れた細胞培養膜(シート)及びそれを利用した3次元培養用ディッシュや培養プレートを提供すること。
【解決手段】多孔性のシート状物、例えば、含フッ素樹脂からなるシート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シートと、そのシート状物を用いた3次元培養用ディッシュ及び培養プレート。
【選択図】なし

Description

本発明は、細胞培養用シート、更に詳しくは、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とオーシャンコラーゲンを用いた細胞培養用シートと、その製造法並びにそれを用いた3次元培養用ディッシュと培養プレートに関する。
今日、物質産生用や再生医療用などの用途分野で、細胞培養に関する技術開発が盛んに行われている。生体を構成する細胞は、微生物細胞とは異なり、接着依存性細胞が多いので、細胞が接着し易く且つ細胞増殖を促進する素材が必要である。その素材の1つとして、生物の構成タンパク質であるコラーゲンが挙げられる。そして、従来は、哺乳動物等のコラーゲンが使用される場合が多かった。しかし、最近、哺乳動物コラーゲンの中でも最もポピュラーな牛皮コラーゲンではBSEの問題が発生し、牛皮コラーゲン等の哺乳動物コラーゲンに代わり、魚類コラーゲン等のオーシャンコラーゲン(海洋性コラーゲン又はマリンコラーゲン)が注目され始めている(例えば、非特許文献1参照)。
棟方正信、高分子、55巻、7月号、498-499頁(2006年)
ところが、オーシャンコラーゲンは、哺乳動物コラーゲンと異なり、熱変性し易いという問題がある。例えば、魚類コラーゲンは、37℃以下の低温で熱変性し細胞接着性が低下するという欠点を有する。そこで、オーシャンコラーゲンを改良・改善して、細胞接着と増殖効果を発揮する安定なコラーゲンとする方法の開発が望まれている。
一方、細胞が接着し易く且つ細胞増殖を促進する素材として、コラーゲンの他に、従来、合成物質であるポリスチレンやポリメチルメタクリレート等が良く用いられている。中でも、ポリスチレンは細胞毒性が低く、経済性、加工性の点で優位性があるため、現在組織培養にはポリスチレンを親水化処理したものが多用されている。しかし、これらにより形成された培養床では、細胞の伸展、増殖が認められるものの、生体内と同じような細胞形態で接着、増殖し、かつ3次元培養まで行うことは困難であった。
そこで、本発明者らは、かかる問題点を解決するために、細胞接着性に優れたポリアミノ酸に抗血栓性に優れているポリウレタン(又はウレタン)を共重合することにより、細胞培養膜として使用したときに細胞の接着性に優れ、且つ、ポリアミノ酸に比べて抗血栓性が大幅に優れた細胞培養膜が得られることを見い出し、かかるポリマーやそれを利用した人工血管について既に提案した(特許文献1と特許文献2)。
特開2001−136960号公報 特開2006−68401号公報
本発明の目的は、前記発明を更に改良し発展させ、細胞の接着性が良好であり、培養細胞が伸展、増殖し、更に細胞凝集塊、即ち3次元的接着へと組成形成を促進すると共に機能発現し、且つ、抗血栓性にも優れた細胞培養膜(シート)とその製造法並びにそれを用いた3次元培養用ディッシュと培養プレートを提供することにある。
本発明は、本発明者らが既に提案したポリアミノ酸ウレタン共重合体(PAU)を、コラーゲンと結合させるとコラーゲンが安定化されること、特にオーシャンコラーゲンと結合させると、オーシャンコラーゲンが劇的に安定化し、37℃でも安定でしかも細胞接着性や培養特性が非常に優れた培養シートが得られることを知見し、本発明に至ったものである。
本発明のうち請求項1に記載された発明は、多孔性のシート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シートである。
請求項2に記載された発明は、コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項1記載の細胞培養用シートである。
請求項3に記載された発明は、オーシャンコラーゲンが、魚類コラーゲンである請求項2記載の細胞培養用シートである。
請求項4に記載された発明は、多孔性のシート状物が、含フッ素樹脂からなるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養用シートである。
請求項5に記載された発明は、ポリアミノ酸ウレタン共重合体が、アミノ酸ユニットが平均4以上連結したポリアミノ酸とウレタンとの共重合体である請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞培養用シートである。
請求項6に記載された発明は、多孔性シート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体をコーティングし、次いで、その上にコラーゲンをコーティングすることからなる細胞培養用シートの製造法である。
請求項7に記載された発明は、多孔性シート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンの混合物をコーティングすることからなる細胞培養用シートの製造法である。
請求項8に記載された発明は、コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項6又は7記載の細胞培養用シートの製造法である。
請求項9に記載された発明は、多孔性のシート状物にポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シートを用いた3次元培養用ディッシュである。
請求項10に記載された発明は、コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項9記載の3次元培養用ディッシュである。
請求項11に記載された発明は、多孔性のシート状物にポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シートを、プラスチックプレート表面に貼り付けた培養プレートである。
そして、請求項12に記載された発明は、コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項11記載の培養プレートである。
本発明によれば、コラーゲンとPAUが結合して安定化されるので、細胞接着性と増殖性に優れた細胞培養用シートが、簡単な方法で得られる。そして、特に、熱変性し易いオーシャンコラーゲンをPAUと結合させて安定化させ、37℃でも細胞接着や増殖ができるようにすることができる。従って、BSE問題のあるウシ、ブタ由来コラーゲンを用いないで、オーシャンコラーゲン、例えば、鮭コラーゲン等の魚類コラーゲンを用いて細胞培養ができる。そして、得られた培養シートは、3次元培養用ディッシュや培養プレートにも使用できる。
本発明において用いられる多孔性のシート状物は、親水化性の表面を有し、細胞の接着及び細胞の通過を許容するものである。多孔性のシート状物とは、細胞の接着及び細胞の通過を許容するものであれば、その材質や形態に特に制限はないが、好ましいのは、公知の有機ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの含フッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、セルロース、再生セルロース、ポリアミド、ポリイミドから形成された多孔性フィルム、シートあるいは不織布である。特に、含フッ素樹脂からなる多孔性のシート状物が好ましい。
前記多孔性のシート状物は、細胞の通過を可能にするのに十分な孔径を有しているため、細胞の移動が可能であり、多量に細胞、微生物、組織を保持しても目詰まりが起こり難い。孔径としては20〜500μm、好ましくは20〜50μm程度のものが適当である。
本発明において用いられるポリアミノ酸ウレタン共重合体(PAU)は、疎水性と親水性の領域を併せ持つ両親媒性ポリマーである。PAUはUchidaら(J. Polymer Science, Polymer Chemistry 37, 383-389 (1999年;
Polymer41,473-480 (2000年))によって開示された方法、あるいは、本発明者らの一人が公表している方法(前記特許文献1)で合成することができる。このポリマーの、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)の懸濁液を、適当な濃度(樹脂濃度として、1〜3重量%)に、ジクロロ酢酸で希釈し、得られた溶液に、例えば、PTFE製の多孔性のシート状物浸漬することによって、PAUをコーティングすることができる。
本発明において用いられるPAUとしては、疎水性と親水性の領域を併せ持つものであれば、特に制限はないが、好ましいのは、アミノ酸ユニットが平均4以上連結したポリアミノ酸とウレタンとの共重合体である。これらは、例えば、(a)α−アミノ酸−N−カルボン酸無水物、(b)イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、(c)水、ヒドラジン及び有機アミンから選ばれる少なくとも1種、を反応させて得られる。
本発明において用いられるコラーゲンは、牛、豚等の動物性コラーゲンでも、あるいは魚類等のオーシャンコラーゲンであっても良い。しかし、本発明において特に好ましいのは、オーシャンコラーゲンである。オーシャンコラーゲンとは、哺乳動物由来のものではない、魚類コラーゲン等の海洋性コラーゲン(あるいはマリンコラーゲン)を意味する。工業的な入手のし易さという観点からは鮭コラーゲン等の魚類コラーゲンが好ましい。
本発明の細胞培養用シートは、前記多孔性のシート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲンをコーティングすることによって製造される。製造法(コーティング方法)としては、(1)多孔性シート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体をコーティングし、次いで、その上にコラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲンをコーティングする方法(請求項6の発明)と、(2)多孔性シート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲンの混合物をコーティングする方法(請求項7の発明)がある。
前記(1)の方法は、例えば、PAUのジメチルホルムアミド(DMF)の懸濁液を、適当な濃度(樹脂濃度として、1〜3重量%)に、ジクロロ酢酸で希釈し、得られた溶液に、孔性のシート状物例えば、PTFE製の多孔性のシートを浸漬することによって、PAUをコーティングする。コーティングに要する時間は15時間程度で十分であるが、PAU濃度により適宜変更することが可能である。PAUに浸漬したシートは、大量の蒸留水で十分に洗浄、風乾し、ついで、120℃で5分間加熱し、PAUを乾固する。これによってPAUをコートしたシートが作製される。PAUのコート量は、多孔性のシート状物に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%が適当である。
上記のようにして多孔性のシート状物にPAUをコーティングした後、多孔性のシート状物をコラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲン溶液(例えば、0.1〜0.2重量%水溶液)に浸し、次いで、常温あるいはそれより低い温度で蒸発乾燥させ、オーシャンコラーゲンをコーティングし安定化させる方法である。PAUとオーシャンコラーゲンの結合は、PAUのマイナスと、コラーゲンのプラスチャージのイオン結合によるものと考えられる。オーシャンコラーゲンのコート量は、特に制限はないが、多孔性のシート状物の表面積当たり10マイクログラム/cm程度で十分である。
前記(2)の方法は、例えば、PAUのジメチルホルムアミド(DMF)の懸濁液を、適当な濃度(樹脂濃度として、1〜3重量%)にジクロロ酢酸で希釈し、得られた溶液と、コラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲンをジクロロ酢酸に溶かした溶液(例えば、0.1〜0.2重量%溶液)とを混合し、得られた混合液に、多孔性のシート状物、例えば、PTFE製の多孔性のシートを浸漬することによって、PAUとオーシャンコラーゲンの混合物をコーティングする。コーティングに要する時間は15時間程度で十分であるが、PAU濃度等により適宜変更することが可能である。
次いで、多孔性のシート状物は乾燥、蒸留水による洗浄、乾燥を繰り返し、PAUとオーシャンコラーゲンを混合物としてコートしたシート状物が作製される。PAUのコート量は、多孔性のシート状物に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%が適当である。オーシャンコラーゲンのコート量は、特に制限はないが、多孔性のシート状物の表面積当たり10マイクログラム/cm程度で十分である。
本発明者の知見によると、PAUはコラーゲンと結合して、コラーゲンを安定化させる機能がある。例えば、鮭由来コラーゲンはPAUと結合することにより安定化し、37℃でも、細胞接着性、タンパク結合能が低下しない。そして、本発明者の検討結果によると、多孔性シート状物にPAUをコーティングし、次いで、その上にコラーゲンを重層的にコーティングした場合だけでなく、PAUとコラーゲンの混合溶液をコーティングした場合でも、安定なPAUのコーティングと、細胞の良好な接着と増殖が観察される。これは、コラーゲンが、表面に出ており、細胞と相互作用をしているためであると考えられる。
本発明においては、多孔性のシート状物に、PAUとコラーゲン、例えば、オーシャンコラーゲンをコーティングしてなる本発明の細胞培養用シートを用いて、図2に示すような、3次元培養用ディッシュを作製することができる。そして、得られた本発明の3次元培養用ディッシュは、次のような特徴を有している。例えば、市販の6穴、あるいは24穴プレートに入れて培養に使用することができる。そして、次のような特徴を有している。(1)細胞が、膜(シート)の中に入りやすくなっていて、生体と同じような3次元培養に近い培養が可能である。(2)場合によっては、多孔質のポリ4フッ化エチレン樹脂(PTFE)の両面に、PAUとオーシャンコラーゲンがコーティングされているので、裏面にフィーダー細胞を培養でき、細胞と細胞の相互作用を見ることもできる。(3)膜の穴径を変えることも出来るので、3次元培養ディッシュの内側と外側の培地を変えることも出来る。
また、本発明の細胞培養用シートを、通常の4穴、6穴、24穴、96穴等のプラスチックプレートからなる培養プレートの底面に、密着させ貼り付けることによって、細胞や組織培養を行うための培養プレートを作成することもできる。かかる培養プレートにおいては、プレートのプラスチック表面は、細胞接着性にする必要が無く、通常のポリスチレン樹脂等でプラスチック加工すればよいので、製造コストを大幅に低減できるメリットがある。そして、かかる培養プレートを用いると、細胞が伸展することなく、また、スフェロイド形成をすることなく、生体内に近い増殖と機能発現を実現できる。
以下、実施例と比較例により本発明を具体的に説明する。
[比較例1]
3次元細胞培養用ディッシュMillicell(ミリポア社)のPTFE上に、鮭コラーゲン(Ocean collagen)と牛コラーゲン(Bovine collagen)をコーティングして、細胞接着性と進展性を調べた。方法・条件は以下のとおりである。
[播種細胞と培地]
細胞:L929 6.0×102 〜2.5×103 cells/well
培地:DMEM,10%(v/v)ウシ胎児血清
[鮭コラーゲンの処理]
鮭コラーゲンを氷上で、酢酸溶液(pH 3.0)に静かに溶解し、0.2% コラーゲン溶液を調製した。使用直前に、氷上で0.05 M Tris-HCl(pH 7.4)と1:1で混合して、0.1% コラーゲン溶液を調製した。MillicellのPTFE上に、調製した0.1% コラーゲン溶液を50 mL入れ、冷蔵庫内で一晩乾燥した。
[牛コラーゲンの処理]
0.3% 牛コラーゲンの塩酸溶液(pH 3.1)を、氷上で0.05 M Tris-HCl(pH 7.4)と1:2で混合して、0.1% コラーゲン溶液を調製した。MillicellのPTFE上に、調製した0.1% コラーゲン溶液を50 mL入れ、冷蔵庫内で一晩乾燥した。
37℃で一週間後、鮭コラーゲンをコーティングしたものは、牛コラーゲンと比較して細胞が進展せず、球状のままであったが、牛コラーゲンの場合は、進展していた。これは、鮭コラーゲンが、MillicellのPTFE上では、37℃で、変成している可能を示している。
[実施例1]
[PAUの製造]
特開2001−136960(特許文献1)の実施例1に記載された方法に準じて、PAUを合成した。即ち、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(OH価57.35)980gと、トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネートと、2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、2,4−トリレンジイソシアネート80重量%)174gを70℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(NCO当量、1165)を得た。このウレタンプレポリマー58.2gとγ−メチル−L−グルタメート−N−カルボン酸無水物58.2gとをジメチルホルムアミド(DMF)394.3gに溶解し、これにヒドラジンヒドラート1.375gをDMF20gに溶解した溶液を滴下、反応させ、粘度18500cp/25℃のポリアミノ酸ウレタン共重合体(PAU)溶液(濃度20重量%DMF溶液)を得た。アミノ酸鎖の平均重合度について、1級アミンとイソシアネートの反応性及び1級アミンによるN−カルボン酸無水物の重合機構(Murray
Goodman and John Hutchison.J.Am.Chem.Soc.,88,3627(1966))に基づいて算出すると約62であった。
[PAUコートPTFE多孔性シートの作製]
上記で得られたPAUを用いて、PTFE多孔性シートのコーティングを次のように行った。初めに、PAUの溶液をジクロロ酢酸で希釈して、PAU濃度を2重量%とした。PTFE多孔性シートは、予め、エタノールに漬けて、気泡を除いておき、上記のPAU液に、直ちに浸漬した。4℃で15時間置いた後、500mlの蒸留水に投じ、更に蒸留水を三回交換した後、24時間、蒸留水中に室温で保持した(常時攪拌)。その後、500mlの蒸留水で3回洗浄した。洗浄されたPTFE多孔性シートは、風乾後、120℃のオーブンに移し、5分間加熱し、PAUコートPTFE多孔性シートとした。コート前後の重量の差から、PTFE多孔性シートの重量に対して、0.5重量%に相当する量のPAUがコートされていた。
[本発明のPTFE多孔性シートの作製]
上記PAUコートPTFE多孔性シートを、メタノールで洗浄し、次いで70%メタノールで3回洗浄した後、蒸留水で洗浄を3回行った。次に、0.2%のオーシャンコラーゲン水溶液を、PAUコートPTFE多孔性シート上にコーティングし、4℃で15時間静置した。処理後、PBSで洗浄を3回行い、次いで蒸留水で洗浄し、乾燥し、PAUの上にオーシャンコラーゲンが積層・コートされた本発明のPTFE多孔性シートを作製した。
[実施例2]
ポリアミノ酸ウレタン共重合体(PAU)の鮭コラーゲンに対する親和性を調べた。実験は以下のとおりに行なった。
PAUの鮭コラーゲンに対する親和性を確認するため、多孔性のシート状物(PTFE)に直接鮭コラーゲンをコーティングしたものと、シート状物にPAUをコーティングした上に更に鮭コラーゲンをコーティングしたものを準備した。これらに成長因子融合蛋白質FNCBD-EGF(上皮細胞成長因子EGF融合タンパク)及びFNCBD-HGF(肝細胞成長因子HGF融合タンパク)を処理して、洗浄を行った後、その成長因子融合蛋白質の残存率を測定して、鮭コラーゲンのPAUに対する親和性の検討を行った。
結果を図1に示した。図1から明らかなとおり、FNCBD-EGF及びFNCBD-HGFのどちらにおいても、シート状物にPAUをコーティングした上に鮭コラーゲンをコーティングしたものは、シート状物に直接鮭コラーゲンをコーティングしたものと比べて有意に結合性が高かった。このことから、成長因子融合蛋白質の結合性が高かったのは、結合するための鮭コラーゲンが残存していたためであると推測され、PAUの鮭コラーゲンに対する親和性が証明された。
[実施例3]
PAU濃度を2重量%としたジクロロ酢酸溶液と、オーシャンコラーゲン(鮭コラーゲン)濃度を0.2重量%としたジクロロ酢酸溶液を等量で混合した溶液を、PTFE多孔性シートに、実施例1の場合と同様にしてコーティングした。その後、水で溶媒を除去し、乾燥して、PAUとコラーゲンをコーティングした多孔性シートを得た。このものも実施例2において得られた、PAUをコーティングした上に鮭コラーゲンをコーティングしたものと同様の性質を示した。
[実施例4]
以下のような仕様の3次元培養用ディッシュを作製した(図2参照)。
内径:10mmあるいは30mm
高さ:10mmあるいは20mm
膜:多孔質ポリ4フッ化エチレン樹脂製、2軸遠心仕様
膜厚:10〜50ミクロン(又は50〜100ミクロン)
膜のコーティング:ポリアミノ酸ウレタン共重合体(PAU)によるコーティングの上に更にオーシャンコラーゲンをコーティングした。
上記の3次元培養用ディッシュは、以下のような特徴を有している。実験者による膜修飾が不必要で、直ぐに細胞播種ができる。通常の市販品、例えば、3次元細胞培養用ディッシュMillicell(ミリポア社)は、酸性のため、実験者が中和して、コラーゲンをコーティングする必要がある。また、本発明の3次元培養用ディッシュは、倒立顕微鏡で観察が可能である。また、細胞がディッシュの膜に入り込む形になり、より生体に近い3次元培養が可能となる。従来製品と比較して廉価である。
本発明の細胞培養用シートは、3次元培養ディッシュあるいは培養プレートに簡単に応用できる。また、膜利用のバイオリアクターにも応用できる。
鮭コラーゲンのPAUに対する親和性を示す図である。 本発明の3次元培養用ディッシュを示す図である。

Claims (12)

  1. 多孔性のシート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シート。
  2. コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項1記載の細胞培養用シート。
  3. オーシャンコラーゲンが、魚類コラーゲンである請求項2記載の細胞培養用シート。
  4. 多孔性のシート状物が、含フッ素樹脂からなるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養用シート。
  5. ポリアミノ酸ウレタン共重合体が、アミノ酸ユニットが平均4以上連結したポリアミノ酸とウレタンとの共重合体である請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞培養用シート。
  6. 多孔性シート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体をコーティングし、次いで、その上にコラーゲンをコーティングすることからなる細胞培養用シートの製造法。
  7. 多孔性シート状物に、ポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンの混合物をコーティングすることからなる細胞培養用シートの製造法。
  8. コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項6又は7記載の細胞培養用シートの製造法。
  9. 多孔性のシート状物にポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シートを用いた3次元培養用ディッシュ。
  10. コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項9記載の3次元培養用ディッシュ。
  11. 多孔性のシート状物にポリアミノ酸ウレタン共重合体とコラーゲンをコーティングしてなる細胞培養用シートを、プラスチックプレート表面に貼り付けた培養プレート。
  12. コラーゲンが、オーシャンコラーゲンである請求項11記載の培養プレート。

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