JP6324674B2 - 乗物用シート - Google Patents
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Description
特許文献1には、肘掛部に収納可能な照明装置が記載されており、当該照明装置には照射方向を自在に変えられる連結部を備えることも記載されている。
一方、連結部を長くすれば、所望の照射方向に照射可能にすることは可能である。しかしながら、連結部を長くすると、その分、重くなるとともに、振動しやすい構造となる可能性がある。
先ず、第1の発明は、屈曲可能なフレキシブルチューブを屈曲させることで照射方向を変更可能な照明装置を備えた乗物用シートであって、照明装置は、照明具側に配設される第1カバー部と、シート本体側に配設される第2カバー部と、第1カバー部と第2カバー部を連結しているフレキシブルチューブとを備え、フレキシブルチューブが連結されている第2カバー部の端部に樽形状とされた部位が設けられており、フレキシブルチューブの一方の端部は、第2カバー部の長手方向の中心軸に対して傾斜させた状態で固定されていることを特徴とする。
なお、本明細書における前後方向、上下方向、左右方向などの方向は、図1に示したXが前方向、Yが左方向、Zが上方向と規定される。例えば、通常、乗員が着座した際に視界に入るほうが前方で、視界に入らない後頭部側が後方となる。
本実施の形態の乗物用シート1は、電車に用いられる乗物用シート1である。また、当該乗物用シート1は、乗員の背凭れ部となるシートバック3と、シートバック3に備えた枕部31と、着座面を形成するシートクッション2と、着座者の前腕部あたりを支持することが可能な肘掛部4を備えている。シートバック3はシートクッション2と回動可能に接続されており、シートバック3とシートクッション2がなす角度を所望の角度で保持することが可能に構成されている。また、シートバック3の背面にはシートバック3を背面で包むように、覆い部5が設けられている。当該覆い部5は左右に配置された肘掛部4,4の双方と接続するように構成されている。
また、肘掛部4内に収納された机部41は変位可能に構成されており、肘掛部4の前方において左右の肘掛部4,4を跨ぐように位置させることが可能に構成されている。シートバック3には斜め上方から乗員の手元辺りを照らすことが可能な照明装置7が付設されており、いわゆる読書灯の役割を果たしている。当該照明装置7には屈曲部を設けており、当該屈曲部を利用して照射方向を変えることが可能となっている(図2参照)。
図3に示すように、照明装置7は光源としての照明具73と、その照明具73に電気を供給するために使用される電気配線などを備えている。照明具73としてはLEDライトを採用しており、電気配線としてはワイヤーハーネス75を採用している。また、照明装置7は、主要な外形をアルミニウム製のカバー71で形成しており、図1に示すように、シートバック3の上部から斜め下前方あたりを照らすことが可能に配置されている。なお、本実施の形態における照明装置7のカバー71は第1カバー部711、第2カバー部712、第3カバー部713を組み合わせて構成されている。照明装置7は図示しない電源と接続されており、図示しないボタンを操作することで照明装置7の先端部近傍に設けられた照明具73の点灯と消灯の選択が可能に構成されている。
本実施の形態で用いるフレキシブルチューブ72は二つの螺旋状の金属が絡むように二重構造となっているものである。より具体的には、螺旋状のコイルの外周に対して、板バネが螺旋状に巻きついたような形状である。また、その内部に電気配線であるワイヤーハーネス75を挿通させることが可能な構成となっている。
なお、本実施の形態においては、第3カバー部713は乗物用シート1のシート本体を構成するシートバック3に接続されるものである。
第1カバー部711とフレキシブルチューブ72は接着剤による固定に加え、一般的に芋ねじと言われる六角穴付き止め螺子により固定がなされている。また、第2カバー部712とフレキシブルチューブ72は接着剤で固定され、第2カバー部712と第3カバー部713も接着剤で固定されている。更には第2カバー部712と第3カバー部713とフレキシブルチューブ72の端部が相対移動しないように、芋ねじで固定されている。
また、第1カバー部711と第2カバー部712とは摺接しながら相対移動可能に構成されており、第1カバー部711と第2カバー部712とが相対移動することにより内部に配置されたフレキシブルチューブ72が屈曲されるものである。
なお、第2カバー部712は、第3カバー部713に設けた貫通孔である第3カバー部貫通孔713aと嵌めあわされるように構成されており、その一部が接着剤で接着固定されるとともに第2カバー部712に設けた段構造と第3カバー部713に設けた段構造とが係合することにより所定の嵌めあい深さとなるように定められている。
なお、本実施の形態におけるフレキシブルチューブ72の内周側に配索されたワイヤーハーネス75は一方側に照明具73が接続されており、他方側は図示しない電源と接続されるように構成されている。
フレキシブルチューブ72は、どのような形状にしても問題が無いものではない。変形させることに耐え得る条件が定まっている。具体的には曲率半径を基準として耐え得る条件が定まっている。
本実施の形態で用いるフレキシブルチューブ72は曲率半径が60mmと想定されており、それ以下の曲率半径で使用することは、想定されていない仕様である。
例えば、第1の固定部材91と第2の固定部材92とをフレキシブルチューブ72で図4(A)のように接続するものとする。また、この状態においてフレキシブルチューブ72の中でも屈曲可能な部位の長さHは31.4cmとする。このフレキシブルチューブ72を図4(B)に示すように円弧状に屈曲させた際、フレキシブルチューブ72が形成する角度θ1が30度以下までなら許容範囲である。なお、フレキシブルチューブ72が形成する角度θ1は、屈曲前の状態と屈曲後の状態における第1の部材の外形における角度の差θ2と一致する。つまり、θ2が30度以下であるならばフレキシブルチューブ72の屈曲は許容範囲に収まっている。
このように、フレキシブルチューブ72の曲率半径が60mmと想定されている仕様においては、屈曲可能な部位の長さHが31.4cmである場合において、30度より大きな傾きをさせることはフレキシブルチューブ72にとって負担が大きくなり、フレキシブルチューブ72が早期に劣化していく原因となるものである。
そこで、フレキシブルチューブ72に負担がかかる状況を避けるために、フレキシブルチューブ72が屈曲しすぎない構成とすることが考えられる。このため本実施の形態においては、フレキシブルチューブ72の外側に位置する部材であるカバー71の曲げ角度を規制することで、曲げ角度規制機構を構成している。より詳しくは、図5で示すようにフレキシブルチューブ72の外側であり第1カバー部711の内周側に第2カバー部712の一部をはめ込んだ構成とすることにより曲げ角度規制機構を形成している。この構成であると、第1カバー部711と第2カバー部712を相対変位させることでフレキシブルチューブ72を屈曲させていくと、図6に示すように第1カバー部711と第2カバー部712の相対変位が抑制されるように接触する。本実施の形態においては、第1カバー部711と第2カバー部712とが接触することで、更に相対移動できない状態においては、フレキシブルチューブ72の傾きθ1が25度となるものとしている。これは曲率半径にして72mmの円弧を描く状態である。つまり、フレキシブルチューブ72が描く弧は標準的に使用が可能とされている円弧よりも緩やかな円弧を描くような範囲でしか使用できない設定とされている。
一方、乗物用シート1の照明装置7は照射したい領域というのがほとんど決まっている。例えば図1で示すところのシート外側に向けて照射する要望は高くない。
当該構成を採用すると、フレキシブルチューブ72としては第2カバー部712の長手方向の中心軸から5度傾いているため、例えば、フレキシブルチューブ72を25度だけ傾かせれば、第2カバー部712の長手方向の中心軸からは30度傾かせることになる(図7(B)参照)。
また、乗物用シート1の外側に対して5度傾けることで、第1カバー部711の長手方向と、第2カバー部712の長手方向を同方向とすることができる(図7(C)参照)。
なお、第1カバー部711に設けられフレキシブルチューブ72を固定する貫通孔である第1カバー部貫通孔711aの長手方向は、第1カバー部711の中心軸の方向と略一致するように設けている(図3参照)。
なお、乗物用シート1の外側の領域に対しては、第1カバー部711と第2カバー部712とが形成できる角度は小さくなってしまうが、照射する要望が高くない領域であるため、大きな問題は無い。
第1カバー部711は略円筒形状をしており、その一端側に照明具73を備えた構造である。また、第1カバー部711の他端側には、その内周面と摺接可能なように第2カバー部712が位置している。
第2カバー部712は膨らみを持った樽形状の部位を端部に備えており、その外周面が第1カバー部711の内周面と摺接可能となっている。
また、図2に実線で示した状態から二点差線で示した状態に第1カバー部711を動かすと、第1カバー部711の内周面と第2カバー部712の外周面との間で発生する摩擦力が大きくなり、それ以上の変位が抑制される。この状態における第1カバー部711と第2カバー部712周辺の位置関係は図9に断面図で示したようになる。この時点では図10(A)に示すように第1カバー部711の先端は第2カバー部712と接していない。より内側つまりは、より照明具73側の部分で第1カバー部711と第2カバー部712とが接する関係となっている。通常着座者が操作する際の操作荷重では、この状態までしか照明装置7が屈曲することは無い。この状態における第1カバー部711と第2カバー部712が接する部分である接触部位は照明装置7の外部から目視できない場所に位置している。
なお、第1カバー部711に対して乗員の全体重がかかるような特別な場合においては、当該摩擦力だけでは耐えることができない。そのため、第1カバー部711と第2カバー部712とは、更に屈曲されることになる。この状態においては、図10(B)に示すように第1カバー部711の先端部は第2カバー部712と更なる摺動が生じないように当接する。当該状態においては、一層強固に第1カバー部711と第2カバー部712との相対変位が抑制される。
図11(A)及び図11(B)に示されているように、フレキシブルチューブ72は第2カバー部712の一端側から第2カバー部貫通孔712aに挿入されることになり、貫通孔の壁面に設けられたフレキシブルチューブ用段差部712bまで挿入可能であり、それ以上に挿入させることができない構成としている。
より具体的には、第2カバー部712の樽形状の部位から挿入されるフレキシブルチューブ72は、フレキシブルチューブ72と略同径のフレキシブルチューブ固定領域712cの端部に設けられたフレキシブルチューブ用段差部712bを構成する面にフレキシブルチューブ72の端面が接するようにして、その挿入位置が定められる構成である。
当該構成であると、フレキシブルチューブ72の一端が予定していた位置よりも第2カバー部712の奥側(第3カバー部713側)に入り込んだ状態で固定されることも、フレキシブルチューブ72の一端が予定していた位置よりも第2カバー部712の手前側(第1カバー部711側)にある状態で固定されることも抑制でき、フレキシブルチューブ72と第2カバー部712とが特定の深さで嵌めあわされることが容易に可能となる。
なお、本実施の形態においては、真っ直ぐにしたフレキシブルチューブ72の長手方向を第2カバー部712の長手方向に対して傾斜するように配置する構成であるが、図12に示すように、真っ直ぐにしたフレキシブルチューブ72の長手方向と第2カバー部712の長手方向に対して傾斜するように配置する構成にすることも可能である。
フレキシブルチューブ屈曲許容領域712dは、主として第2カバー部712に設けた樽形状の部位側において、第2カバー部712の長手方向に対して角度がつけられるように形成されており、端部側の開口面積が広くなるように形成している。特に主たる屈曲方向となるシート内側に向けて大きく広がるように形成している(図3、11(B)等参照)。
フレキシブルチューブ72は周方向への捻じり力に対して強くないため、第1カバー部711が捻じられることでフレキシブルチューブ72に捻じり力がかかることは好ましくない。
より具体的には、第2カバー部712の端部に位置する樽形状の部位には貫通孔の垂直断面視径方向に突出する略円柱形状の突起部712dが設けられており(図14参照)、第1カバー部711には、その突起部712dの移動方向を規制する溝部711dが設けられている。当該溝部711dは図15(A)に示すように、第1カバー部711の長手方向と同方向に直線状に設けた溝部711dであり、溝部711dの幅は突起部712dの径の長さよりも若干長い構成としている。当該溝部711d内で突起部712dが移動可能となるように構成されている。したがって、第1カバー部711が周方向に捻じられることを抑制することが可能となっている。なお、突起部712dが略円柱形状であるため、フレキシブルチューブ72は左右方向の屈曲に加え、若干の上下方向の屈曲も可能となっている。
なお、突起部712dがテーパ状の領域に存在してフレキシブルチューブ72が若干の捻じり状態にあったとしても、突起部712dが直線状の領域に移動する際には、図15(B)に矢印で示すように移動するため、自然にフレキシブルチューブ72の捻じり状態を解消することが可能となる。
また、フレキシブルチューブ72が外部から見えない構造であるため、意匠性をあげることが可能となる。
また、第1カバー部711と第2カバー部712が摺動することでフレキシブルチューブ72の曲がり方を規制するため、フレキシブルチューブ72を極端に変形させる事態が抑制される。そのため、フレキシブルチューブ72に過度な負担がかかることを抑制することが可能となる。
また、第1カバー部711と第2カバー部712との取りうる相対角度が定められているため、使用者がフレキシブルチューブ72の曲げ角度を意識せずとも、フレキシブルチューブ72の標準仕様内の曲げ角度にしか曲げられないため、使い勝手が良い。
また、照明装置7を屈曲させても、照明装置7内に配索されている電気配線に過度な屈曲をもたらすことが無いため、照明装置7内での電気配線の断線などを抑制することが可能となる。
また、第1カバー部711〜第3カバー部713をアルミニウムで作成していることから、十分な強度があり、放熱性も良い。
また、フレキシブルチューブ72の長さが8cm程度と短く、その上、フレキシブルチューブ72における実質的に屈曲可能な部分の長さが3〜4cm程度であるため、照明装置7全体として振動しにくくなる。そのため、乗物用シート1の振動に起因する照明装置7の振動の発生を極力抑えることが可能となる。
また、第1カバー部711にはフレキシブルチューブ72を固定する部分の周囲に複数の穴部711fを設けることで、重量を軽減させるとともに、放熱効果を高めることが可能となっている。
例えば、本実施の形態においては第2カバー部と第3カバー部を別部材としているが、一つの部材によりシート本体とフレキシブルチューブが連結されるような構成とすることも可能である。
また、フレキシブルチューブと第1カバー部などとの固定は接着剤による固定とねじによる固定を併用しなくとも、接着剤だけ若しくはねじだけによる固定とすることも可能であるし、その他の固定方法を採用することも可能である。
また、照明装置はシートバックに備えられているものとするだけで無く、肘掛部やヘッドレストなどに備えられているものとすることも可能である。
また、フレキシブルチューブは金属製のものである必要性は無く、金属及び樹脂を備えた構成とすることも可能であるし、樹脂だけから構成するようなものとすることも可能である。
また、照明装置内にフレキシブルチューブを複数箇所設けることで、基端部から先端部の間の複数箇所で屈曲可能とすることも可能である。その際は、カバーを4つ以上のカバー部により構成されるものとすることも可能である。
また、カバー部は金属製である必要性は無く、木製や樹脂製などとすることも可能である。
また、フレキシブルチューブは、二つの螺旋状の部材が絡むように二重構造となっているものでなくともよく、屈曲させた際に、その形状を保持しうる構造であれば良い。
また、真っ直ぐにしたフレキシブルチューブの長手方向と第2カバー部の長手方向とを傾斜させて配置する構成は、第1カバー部により第2カバー部の一部が覆われている構成ではないものに採用することも可能である。
また、フレキシブルチューブは曲率半径が60mmまで耐えられるものを使用することに限られること無く、その他の曲率半径を実用的な使用範囲とするものを選択することも可能である。
また、第2カバー部の長手方向とフレキシブルチューブがなす角度は5度である必要性は無く、2度や10度などの所望の値とすることが可能である。
また、乗物としては、電車などの車両であることに限らず、飛行機やヘリコプターなど空中を飛行する乗物や、船舶や潜水艇など海面や海中などを移動する乗物としてもよい。
2 シートクッション
3 シートバック
4 肘掛部
5 覆い部
7 照明装置
71 カバー
72 フレキシブルチューブ
73 照明具
711 第1カバー部
712 第2カバー部
713 第3カバー部
Claims (3)
- 屈曲可能なフレキシブルチューブを屈曲させることで照射方向を変更可能な照明装置を備えた乗物用シートであって、
照明装置は、照明具側に配設される第1カバー部と、シート本体側に配設される第2カバー部と、第1カバー部と第2カバー部を連結しているフレキシブルチューブとを備え、フレキシブルチューブが連結されている第2カバー部の端部に樽形状とされた部位が設けられており、
フレキシブルチューブの一方の端部は、第2カバー部の長手方向の中心軸に対して傾斜させた状態で固定されていることを特徴とする乗物用シート。 - 請求項1に記載の乗物用シートであって、
フレキシブルチューブの一方の端部は、第2カバー部の長手方向の中心軸に対してシート内側に向けて傾斜させた状態で固定されていることを特徴とする乗物用シート。 - 請求項1又は2に記載の乗物用シートであって、
フレキシブルチューブを屈曲させることで、第2カバー部の長手方向と、円筒形状とされた第1カバー部の中心軸の延長方向である第1カバー部の長手方向を、同方向にすることが可能なことを特徴とする乗物用シート。
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