JP6323421B2 - 外壁取付具及び外壁構造 - Google Patents

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本発明は、外壁取付具及び外壁構造に関し、特に、木造の建物物の躯体に外壁パネルを取り付ける外壁取付具及び外壁構造に関する。
従来より軽量鉄骨の鉄骨軸組に外壁パネルを取り付ける構造として、本願の出願人は、例えば特許文献1乃至3に示すような鉄骨軸組と外壁パネルとの取付金具を開発し、実用化している。具体的には、側端面に凹溝を有する外壁パネルを、溝形鋼からなる壁軸組に取付ける金具であり、基板の上に二枚の押え板が回動自在にビス止めされており、押え板の先端部が凹溝の溝縁を押圧して、外壁パネルを固定している(例えば特許文献1−3)。
また、木造住宅における木造軸組に外壁パネルを取り付ける構造としては、例えば、木製フレームと面材からなる外壁パネルを、木造軸組の柱間へ面材の外側面が柱外側面とほぼ同一面となる位置まで挿入して、面材の裏面側において、木製フレームを柱の側面及び梁、土台へ釘打ちして固定する構造が知られている(例えば特許文献4)。
特開平5−321368号公報 特開平5−321369号公報 特開平10−2056号公報 特開平9−41519号公報
しかし、木造住宅においては、外壁パネルの取付金具によって屋外側から目地を通して外壁パネルを取り付ける構成は知られておらず、また、上述の特許文献4のような取付構造は、断熱材などの層を木造軸組の柱よりも屋外側に設けられるスペースが少なく、また、施工に手間が掛かりやすい。
そこで本発明は、木造建築物において木造躯体に外壁パネルを取り付ける外壁取付具及び外壁構造であって、容易に外壁パネルを取り付けることができる取付具及び構造を提供することを目的とする。
本発明の外壁構造は、木造建築物の外周に間隔を開けて複数立設される外周柱と、互いに隣接する前記外周柱の間を覆うように当該外周柱の屋外面に側端縁が固定される板体と、前記板体の屋外側に前記外周柱に沿ってそれぞれ固定され、屋外側の面に上下方向へ延びる溝を設けた木製下地と、前記木製下地に該木製下地の屋外側の面から螺着される固定プレートと、前記固定プレートの屋外面に回動可能に固定されるとともに、先端部が前記固定プレートの片側に突出可能な2つの押さえ片と、を有する外壁取付具と、屋内側の側端部に前記押さえ片の前記先端部が挿入可能な係止溝を有し、前記押さえ片により、前記係止溝が前記木製下地側に押えられることによって木造建築物の屋外面に取り付けられる外壁パネルと、を備え、一方の前記押さえ片の前記先端部と他方の前記押さえ片の前記先端部は、固定プレートの側方であり、且つ、互いに逆方向へのみ突出可能であり、前記固定プレートは、中央に前記木製下地に螺着するビスを挿入可能なビス挿入孔を有するとともに、前記ビス挿入孔の上下それぞれに、前記押さえ片を回動可能に固定する押さえボルトを螺着させるねじ孔を有し、前記押さえボルトは、先端を前記溝に挿入することを特徴としている。
本発明の外壁パネル取付具によると、木造建築物の躯体に外壁パネルを取り付ける取付具であって、当該外壁パネルの屋内側の側端部に向けて開いた係止溝を外壁パネル取付具の押さえ片で木製下地側に押えて取り付けるものであるので、外壁パネルの側端部の係止溝に押さえ片を引っ掛けるだけで、きわめて簡単に外壁パネルを取り付けることができる。特に押さえ片は外壁パネルの側端部に引っ掛けるものであるので、互いに隣接する外壁パネルの間の目地から押さえ片を操作することが可能であり、簡単に施工することができ、また、リフォームなどの際に簡単に外壁パネルを取り替えることができる。
好ましい形態の外壁パネル取付具によると、固定プレートの中央に木製下地に螺着するビスを挿入可能なビス挿入孔を有するとともに、ビス挿入孔の上下それぞれに、押さえ片の基端部を回動可能に固定する押さえボルトを螺着させるねじ孔を有するので、一方の押さえ片の先端を固定プレートの一方の側方に、他方の押さえ片の先端を固定プレートの他方の側方に突出するように回転させることで、外壁パネルの側端部の係止溝に押さえ片を引っ掛けることができる。ビス挿入孔の上下に押さえ片の基端部を配置することで、互いに隣接する外壁パネルの間の目地にビス挿入孔及び上下の押さえ片の基端部が露出するので、屋外側から簡単な操作で外壁パネルを取り付け及び取り外しすることができる。
本発明の外壁構造によると、外周柱の屋外面に板体が設けられ、板体の屋外側に木製下地が設けられ、木製下地に外壁取付具が固定されており、外壁取付具の押さえ片と木製下地の間に係止溝が挟まった状態となるので、外壁パネルは外周柱から板体及び木製下地の厚さの分の距離を開けて屋外側に配置されることになる。したがって、外周柱に直接固定される場合に比べて屋内側の空間を広げることができる。また、木製下地は、前記外周柱に沿って設けられており、互いに隣接する木製下地の間には空間が形成されるので、この木製下地の間の空間に断熱材などを収納することができるので、隣接する外周柱の間には断熱材などを収納する必要がなくなり、屋内空間を広げることができる。
押さえ片の長手方向が鉛直方向を向くように配置した状態の外壁取付具を屋外側から見た正面図。 押さえ片の長手方向が鉛直方向を向くように配置した状態の外壁取付具を側方から見た側面図。 押さえ片の長手方向が水平方向を向くように押さえ片を回転させた状態の外壁取付具を屋外側から見た正面図。 外壁取付具を木製下地に取り付ける状態を示す上方から見た断面図。 外壁取付具を木製下地に取り付ける状態を示す一部省略正面図。 外壁取付具を木製下地に取り付けた状態を示す上方から見た断面図。 外壁取付具を木製下地に取り付けた後、外壁パネルを配置した状態を示す断面図。 図7の状態において、外壁取付具の押さえ片を長手方向が水平方向を向くように回転させた状態を示す断面図及び一部省略正面図。 外壁取付具により外壁パネルを木製下地に取り付けた状態を示す断面図。 外壁構造の構成を示す断面図。
以下、本発明に外壁取付具1及び外壁構造2の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本実施形態の外壁取付具1及び外壁構造2は、木造軸組構法の建築物の外壁パネル3を取り付ける外壁取付具1及び当該外壁取付具1を用いた外壁構造2である。なお、本発明の外壁取付具1及び外壁構造2は、木造軸組構法の建築物に限定されるものではなく、少なくとも木製の外周柱4を有する木造建築物であればよい。
外壁構造2は、図10に示すように、木造建築物の外周に間隔を開けて複数立設される外周柱4と、互いに隣接する外周柱4の間を覆うように当該外周柱4の屋外面に側端縁が固定される板体5と、板体5の屋外側に外周柱4に沿ってそれぞれ設けられる木製下地6と、木製下地6に外壁パネル3を取り付ける外壁取付具1と、矩形平板状の外壁パネル3と、を備えている。
外周柱4は、柱脚が図示しない基礎の外周立ち上がりに設けられた土台又は床梁に立設されており、柱頭に図示しない梁を架設する角材からなる柱である。基礎の外周立ち上がりに例えば1mスパンで外周柱4が立設されている。板体5は、CLT(Cross Laminated Timber)により形成され、すくなくとも外周柱4のスパンと同じ1mの水平方向の長さを有する平板状の板体5である。なお、板体5はCLTに限定されるものではなく、その他の構造用合板であってもよい。板体5は両側の側端部が外周柱4の屋外側面に大壁仕様で図示しないビスによって固定されている。これによって外周柱4に加わる水平荷重は板体5が負担することができ、耐力壁を構成している。
木製下地6は、外周柱4よりも水平断面の面積が小さい角材により形成されている。木製下地6は、板体5を挟んで外周柱4の屋外側に当該外周柱4に沿って固定されており、外周柱4と同じように1mピッチで複数配置されている。木製下地6の屋外側の面には、幅方向の中央に上下方向に溝部7が設けられている。また木製下地6の屋外側の面の溝部7を含む範囲には防水シート9が貼付されている。互いに隣接する木製下地6の間には、断熱材8が収納されている。断熱材8を外周柱4よりも屋外側の木製下地6の間に配置することで、外周柱4の間に断熱材8を設ける必要がなくなる。そこで、例えば、屋内側に化粧壁を設けずに、外周柱4及び外周柱4間の空間を露出させることで外壁構造2の屋内側の空間を広げることができる。
外壁パネル3は、矩形平板状で屋外側に露出する外壁パネル本体31と、屋内側の側端部に固定される溝形鋼からなる係止溝部32とから構成される。係止溝部32は、側方向に向けて開口するように外壁パネル本体31の屋内側の面に一方のフランジが固定されている。なお、外壁パネル3の側方向とは、外壁パネル3を建築物の躯体に取り付けて、外壁を形成したときに、当該外壁面に対して平行で水平な方向をいう。
外壁取付具1は、図1及び図2に示すように、固定プレート10と、固定プレート10の屋外側面に基端部11bが回動可能に固定されるとともに、先端部11aが固定プレート10の側方に突出可能な2つの押さえ片11を有している。固定プレート10は、木製下地6に貼付された防水シート9に当接する背面プレート12と、背面プレート12の両側端における当該背面プレート12の中央近傍に設けられる背面プレート12に対して略垂直に立ち上がった垂直プレート17とを有する。背面プレート12には、その中央に外壁取付具1を木製下地6に固定するためのビス18を挿入するビス挿入孔13が設けられている。また背面プレート12のビス挿入孔13の上下には、それぞれねじ孔14が設けられている。なお、本実施形態においては、「上下」などの方向は外壁取付具1を木製下地6に取り付けたときに、上又は下となる方向をいう。
ねじ孔14には、押さえ片11を回動可能に固定する押さえボルト15が螺合する。押さえボルト15には、円錐バネ16が外嵌されている。押さえ片11は、その先端部11aが固定プレート10の背面プレート12に接近する方向に斜めに折曲されて形成されている。押さえ片11の先端部11aは幅方向の真ん中が切りかかれてその両側が延びる二叉状に形成されている。押さえ片11の基端部11bには、基端側に向かって細るように形成されており背面プレート12に接近する方向に湾曲している。また、押さえ片11の基端部11bには押さえボルト15が挿入されるボルト挿通孔17が設けられている。押さえボルト15は押さえ片11のボルト挿通孔17、及び円錐バネ16の中に挿入されて、ねじ孔14に螺合して固定されている。押さえボルト15がねじ孔14に螺合したときに、円錐バネ16は押さえ片11を押さえボルト15の頭に向かって付勢することになり、押さえ片11が押さえボルト15の回りを不必要に揺動することを抑え、作業性を向上させている。
外壁取付具1は、図2に示すように、押さえボルト15をねじ孔14の締結方向に回転させることにより、押さえ片11を固定プレート10の背面プレート12に接近する方向に移動させることができ、押さえボルト15をねじ孔14の弛緩方向に回転させることにより、押さえ片11を固定プレート10の背面プレート12の離反方向に移動させることができる。また、外壁取付具1は、図1及び図3に示すように、押さえ片11が押さえボルト15を中心に回転可能になっており、この押さえ片11の回転は、2つの垂直プレート17によって押さえ片11の回転を当該押さえ片11の長手方向が鉛直となる状態から押さえ片11の長手方向が水平となる状態までの範囲に規制されている。すなわち、押さえ片11は、当該押さえ片11と固定プレート10の長手方向が一致する図1に示す状態から、押さえ片11が固定プレート10に対して垂直となり、押さえ片11の先端部11aが固定プレート10の側方に突出する図2に示す状態まで回転できる。
以上のように構成される外壁取付具1により外壁パネル3を取り付ける際には、まず、図4に示すように、外周柱4の屋外側に板体5をビス固定し、この板体5の屋外側で外周柱4に沿った位置に木製下地6を固定する。なお、この段階で隣接する木製下地6の間には断熱材8を収納する。そして、木製下地6の屋外側に防水シート9を貼付し、その屋外側に外壁取付具1を配置する。この際、図2に示すように、外壁取付具1の押さえ片11は長手方向が鉛直方向を向くように配置しておく。
そして、図4から図6に示すように、外壁取付具1の固定プレート10の中央に設けられたビス挿入孔13を通してビス18を木製下地6に打ち込んで、外壁取付具1を木製下地6に固定する。そして、次に、図7に示すように、外壁パネル3の係止溝部32が木製下地6に当接するように外壁パネル3を外壁取付具1の両側に配置して、外壁目地19を形成する。
そして、図8に示すように、外壁目地19から図示しない工具を挿入して、押さえ片11が固定プレート10に対して垂直となり、押さえ片11の先端部11aが固定プレート10の側方に突出するように、上下の押さえ片11を回転させる。このように押さえ片11を回転させると、押さえ片11の先端部11aが係止溝部32に挿入される。そして、六角レンチのような工具を外壁目地19から挿入して、押さえ片11を固定している押さえボルト15を締結方向に回転させ、図9に示すように、押さえ片11を木製下地6側に移動させる。押さえ片11が移動されると、係止溝部32に挿入されている押さえ片11の先端が係止溝部32の屋内側のフランジを木製下地6及び防水シート9に押し付けることになり、外壁パネル3が木製下地6に固定される。
このように、本実施形態の外壁パネル3取付具によると、外壁パネル3の側端部の係止溝に押さえ片11を引っ掛けるだけで、きわめて簡単に外壁パネル3を取り付けることができる。特に押さえ片11は外壁パネル3の側端部に引っ掛けるものであるので、互いに隣接する外壁目地19から押さえ片11を操作することが可能であり、簡単に施工することができ、また、リフォームなどの際に簡単に外壁パネル3を取り替えることができる。しかも、ビス挿入孔13の上下に押さえ片11の基端部11bが配置されているので、外壁目地19にビス挿入孔13及び上下の押さえ片11の基端部11bを固定している押さえボルト15の頭が露出するので、屋外側から簡単な操作で外壁パネル3を取り付け及び取り外しすることができる。
また、外周柱4から外壁パネル3までの間に、板体5及び木製下地6が設けられているので、外周柱4に直接固定される場合に比べて屋内側の空間を広げることができ、また、木製下地6の間に断熱材8を収納することができるので、隣接する外周柱4の間には断熱材などを収納する必要がなくなり、屋内空間を広げることができる。
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本発明に係る外壁取付具1及び外壁構造2は、例えば木造住宅の外壁取付具1及び外壁構造2として、好適に用いることができる。
1 外壁取付具
2 外壁構造
3 外壁パネル
4 外周柱
5 板体
6 木製下地
10 固定プレート
11 押さえ片
32 係止溝部(係止溝)

Claims (1)

  1. 木造建築物の外周に間隔を開けて複数立設される外周柱と、
    互いに隣接する前記外周柱の間を覆うように当該外周柱の屋外面に側端縁が固定される板体と、
    前記板体の屋外側に前記外周柱に沿ってそれぞれ固定され、屋外側の面に上下方向へ延びる溝を設けた木製下地と、
    前記木製下地に該木製下地の屋外側の面から螺着される固定プレートと、前記固定プレートの屋外面に回動可能に固定されるとともに、先端部が前記固定プレートの片側に突出可能な2つの押さえ片と、を有する外壁取付具と、
    屋内側の側端部に前記押さえ片の前記先端部が挿入可能な係止溝を有し、前記押さえ片により、前記係止溝が前記木製下地側に押えられることによって木造建築物の屋外面に取り付けられる外壁パネルと、を備え、
    一方の前記押さえ片の前記先端部と他方の前記押さえ片の前記先端部は、固定プレートの側方であり、且つ、互いに逆方向へのみ突出可能であり、
    前記固定プレートは、中央に前記木製下地に螺着するビスを挿入可能なビス挿入孔を有するとともに、前記ビス挿入孔の上下それぞれに、前記押さえ片を回動可能に固定する押さえボルトを螺着させるねじ孔を有し、
    前記押さえボルトは、先端を前記溝に挿入することを特徴とする外壁構造。
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