液体噴射装置の一例であるインクジェットプリンター(以下、プリンターと呼ぶ)を含む液体噴射システムを例に、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、それぞれの構成を認識可能な程度の大きさにするために、構成や部材の縮尺が異なっていることがある。
(第1実施形態)
第1実施形態における液体噴射システム1は、図1に示すように、液体噴射装置の一例であるプリンター3と、液体供給装置の一例であるインク供給装置5と、を有している。プリンター3は、プリンターケース6を有している。プリンターケース6が、プリンター3の外殻を構成している。インク供給装置5は、タンクケース7と、複数(2個以上)のタンク9と、を有している。プリンターケース6とタンクケース7とが、液体噴射システム1の外殻を構成している。タンク9は、液体収容容器の一例である。
なお、図1には、相互に直交する座標軸であるXYZ軸が付されている。これ以降に示す図についても必要に応じてXYZ軸が付されている。XYZ軸のそれぞれにおいて、矢印の向きが+方向(正方向)を示しており、矢印の向きとは逆向きが−方向(負方向)を示している。液体噴射システム1が使用される状態において、液体噴射システム1は、X軸とY軸とによって規定される水平な平面に配置される。液体噴射システム1の使用状態において、Z軸は、水平な平面に直交する軸であり、−Z軸方向が鉛直下方向となる。
プリンターケース6は、給紙カバー11と、排紙カバー12とを含んでいる。給紙カバー11は、図2に示すように、プリンターケース6に対して、図中のR1方向に回動可能に構成されている。これにより、給紙カバー11は、プリンターケース6に対して開閉可能に構成されている。給紙カバー11がプリンターケース6に対して開いた状態(以下、開状態と呼ぶ)になると、印刷用紙などの印刷媒体Pを、給紙部13からプリンター3に導入できる状態になる。また、排紙カバー12は、プリンターケース6に対して、図中のR2方向に回動可能に構成されている。これにより、排紙カバー12は、プリンターケース6に対して開閉可能に構成されている。排紙カバー12がプリンターケース6に対して開状態になると、印刷媒体Pを、排紙部14からプリンター3の外に排出できる状態になる。なお、図2では、給紙カバー11及び排紙カバー12の開状態が示されている。他方で、図1では、給紙カバー11及び排紙カバー12の閉状態が示されている。
プリンターケース6には、プリンター3の機構ユニット15(図4)が収容されている。機構ユニット15は、プリンター3において、印刷動作を実行する機構部分である。機構ユニット15の詳細については、後述する。複数のタンク9は、図1に示すようにタンクケース7内に収容されており、それぞれ、印刷に供するインクを収容している。液体噴射システム1では、複数のタンク9が、プリンターケース6の外側に設けられている。このため、液体噴射システム1では、複数のタンク9は、機構ユニット15を覆うプリンターケース6に内蔵されていない。
プリンター3において、排紙部14(図2)が設けられている面が正面16とされている。また、プリンター3は、正面16に交差する上面17に操作パネル18を有している。操作パネル18には、電源ボタン19Aや、その他の操作ボタン19Bなどが設けられている。インク供給装置5は、プリンターケース6において、正面16と上面17とに交差する側部21に設けられている。タンクケース7には、窓部22が設けられている。窓部22は、タンクケース7において、正面23と上面25とに交差する側部27に設けられている。窓部22は、光透過性を有している。そして、窓部22に重なる位置に、複数のタンク9が設けられている。このため、液体噴射システム1を使用する作業者は、窓部22を介して複数のタンク9を視認することができる。なお、各タンク9において窓部22に重なる面は、タンク9内のインクを視認可能な視認面28として設定されている。この視認面28を介してタンク9内のインクの残量を視認することができる。
本実施形態では、各タンク9の窓部22に対面する部位が光透過性を有している。各タンク9の光透過性を有する部位から、タンク9内のインクが視認され得る。従って、作業者は、窓部22を介して複数のタンク9を視認することによって、各タンク9におけるインクの量を視認することができる。なお、プリンターケース6とタンクケース7とは、互いに別体で構成されている。そして、本実施形態では、図3に示すように、タンクケース7は、複数のタンク9を内包した状態で、プリンターケース6に対して着脱可能に構成されている。
プリンター3の機構ユニット15は、機構ユニット15とインク供給装置5とを示す斜視図である図4に示すように、印刷部41を有している。また、インク供給装置5は、供給チューブ43を有している。印刷部41は、図5に示すように、キャリッジ45と、液体噴射部の一例である印刷ヘッド47と、複数の中継ユニット49と、を有している。印刷ヘッド47と複数の中継ユニット49とは、キャリッジ45に搭載されている。供給チューブ43は、可撓性を有しており、タンク9(図4)と中継ユニット49との間に設けられている。タンク9内のインクは、供給チューブ43を介して中継ユニット49(図5)に送られる。中継ユニット49は、タンク9から供給チューブ43を介して供給されたインクを印刷ヘッド47に中継する。印刷ヘッド47は、供給されたインクをインク滴として吐出する。
また、液体噴射システム1は、制御部(図示せず)と、媒体搬送機構(図示せず)と、ヘッド搬送機構(図示せず)と、を有している。制御部は、液体噴射システム1の動作を司る。液体噴射システム1の動作は、制御部によって制御される。媒体搬送機構は、制御部からの指令に基づいて、モーター(図示せず)からの動力によって媒体搬送機構を駆動することによって、印刷媒体PをY軸方向に搬送する。ヘッド搬送機構は、制御部からの指令に基づいて、モーター(図示せず)からの動力をタイミングベルト(図示せず)を介してキャリッジ45に伝達することによって、キャリッジ45をX軸に沿って搬送する。印刷ヘッド47は、キャリッジ45に搭載されている。このため、印刷ヘッド47は、ヘッド搬送機構によって、キャリッジ45を介してX軸に沿って搬送され得る。なお、印刷ヘッド47は、印刷媒体Pに対面した状態でキャリッジ45に支持されている。媒体搬送機構及びヘッド搬送機構によって、印刷媒体Pに対する印刷ヘッド47の相対位置を変化させながら、印刷ヘッド47からインクを吐出することによって印刷媒体Pに印刷が施される。
なお、液体噴射システム1では、各タンク9にインク注入部(後述する)が設けられている。ユーザーや作業者は、インク注入部からタンク9内にインクを注入することができる。例えば、印刷にともなってタンク9内のインクが消費され、タンク9内のインク量が減少した場合などに、ユーザーや作業者は、インク注入部からタンク9内にインクを補充することができる。インク注入部は、タンクケース7の内側に納まっており、タンクケース7とプリンターケース6とによって覆われている。このため、タンクケース7がプリンターケース6に装着されている状態(図1に示す状態)では、ユーザーや作業者は、インク注入部を視認することができない。
インク注入部57は、図6に示すように、タンクケース7をプリンターケース6から取り外してからタンクケース7をプリンターケース6に対して横転させ、且つ上パネル62を回動させることによって開いた状態で、タンクケース7から露呈する。なお、上パネル62は、図1に示すタンクケース7の姿勢において上面25を構成している。インク注入部57には、キャップ58が施されている。インク注入部57は、キャップ58によって塞がれる。ユーザーや作業者は、タンク9内にインクを注入する場合に、キャップ58をインク注入部57から外してからタンク9内にインクを注入する。
タンクケース7を図6に示す状態に横転させるとき、タンクケース7の窓部22(図1)が−Z軸方向に向けられる。タンクケース7の窓部22が−Z軸方向に向けられた状態では、タンク9の視認面28(図1)も−Z軸方向に向く。タンク9の視認面28が−Z軸方向に向いた姿勢は、注入姿勢と呼ばれる。本実施形態では、注入姿勢において、インク注入部57は、図6に示すように、+Z軸方向に向く。これに対し、タンク9の視認面28がZ軸に交差する方向(例えば、図1に示すX軸方向やY軸方向など)に向いた姿勢は、使用姿勢と呼ばれる。本実施形態では、図1に示す使用姿勢において、インク注入部57は、−X軸方向に向く。
(実施例1)
実施例1のインク供給装置5Aについて説明する。実施例1のインク供給装置5Aは、図7に示すように、タンクケース7と、複数の供給チューブ43と、タンクユニット71と、支持フレーム73と、流路開閉装置75と、を有している。タンクユニット71は、相互に結合された複数のタンク9を含んでいる。実施例1のインク供給装置5Aでは、タンクユニット71に、6つのタンク9が含まれている。
図7に示すタンクユニット71では、インクの種類がタンク9ごとに異なる。インク供給装置5Aでは、インクの種類として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、ライトマゼンタ、ライトシアンの6種類が採用されている。そして、ブラックのインクを収容するタンク9と、イエローのインクを収容するタンク9と、マゼンタのインクを収容するタンク9と、シアンのインクを収容するタンク9と、ライトマゼンタのインクを収容するタンク9と、ライトシアンのインクを収容するタンク9とが、1つずつ設けられている。
供給チューブ43は、タンク9ごとに設けられている。このため、インク供給装置5Aでは、6本の供給チューブ43が設けられている。タンクユニット71は、支持フレーム73に支持されている。タンクユニット71において、各タンク9は、ねじによって支持フレーム73に固定されている。また、タンクケース7も、ねじによって支持フレーム73に固定されている。そして、支持フレーム73とタンクケース7とによって囲まれた領域内にタンクユニット71が収容される。
ここで、タンク9について説明する。タンク9は、図8に示すように、容器81と、シート部材83と、を有している。容器81には、凹部(図示せず)が設けられている。シート部材83は、容器81に接合されており、容器81の凹部を塞いでいる。容器81とシート部材83とによって囲まれた空間の少なくとも一部が、インク収容部として機能する。インクは、インク収容部に収容される。容器81には、前述したインク注入部57と、通気口84と、通気口部85と、供給口86とが設けられている。インク注入部57は、タンク9内のインク収容部に通じている。
通気口84及び供給口86も、それぞれインク収容部に通じている。通気口84は、容器81の側壁87に設けられている。通気口84は、通気口部85に形成されている。通気口部85は、容器81の側壁87から−X軸方向に突出している。通気口部85は、筒状に設けられている。通気口84は、通気口部85に形成された開口であり、インク収容部への大気の流入口(導入口ともいう)である。インク収容部内のインクが消費されてインク収容部内のインク量が減少すると、インク収容部内の圧力が大気圧よりも低くなる。このとき、通気口84から大気がインク収容部内に流入可能であり、インク収容部内の圧力が大気圧に維持されやすい。供給口86は、タンク9の底面89よりも−Z軸方向側に位置している。供給口86は、インク収容部内のインクをインク収容部の外へ排出可能な排出口である。インク収容部内のインクは、供給口86を介して印刷ヘッド47(図5)へ向けて供給される。供給口86には、図7に示す供給チューブ43が接続される。
側壁87と底面89との間には、側壁88が設けられている。側壁88は、底面89に交差しており、底面89からZ軸方向に延伸している。側壁88は、側壁87よりも−X軸方向側に位置している。このため、側壁87と側壁88との間には、X軸方向に段差が設けられている。タンクユニット71の6つのタンク9において、側壁87と側壁88との間の段差の空間の一部には、流路開閉装置75(図7)が配置される。
容器81の底面89には、底面89から−Z軸方向に向かって突出する側壁91が設けられている。側壁91には、側壁91を貫通する開口93が形成されている。開口93が形成された側壁91は、枠状を呈している。開口93は、供給チューブ43を挿入可能な大きさに形成されている。枠状を呈する側壁91は、開口93に挿入された供給チューブ43を支持可能に構成されている。また、容器81は、図9に示すように、側壁95からY軸方向に突出する嵌合部97と、嵌合部97とは反対側(−Y軸方向側)に設けられた被嵌合部99と、を有している。Y軸に沿って隣り合う2つのタンク9は、図10に示すように、一方のタンク9の嵌合部97と、他方のタンク9の被嵌合部99(図9)とが互いに嵌合することによって、結合可能に構成されている。このように、嵌合部97と被嵌合部99とによって、複数のタンク9を連結することができる。
タンクユニット71では、図11に示すように、6つのタンク9が連結された状態で、各タンク9が支持フレーム73に固定されている。なお、図11では、構成をわかりやすく示すため、支持フレーム73の一部を切断した状態が図示されている。タンク9の底面89と支持フレーム73の底面101との間には、隙間が設けられている。このため、タンク9の底面89と支持フレーム73の底面101との間には、空間103が設けられている。タンク9の供給口86に接続された供給チューブ43は、図12に示すように、空間103に配管されている。複数の供給チューブ43のうちの少なくとも一部の供給チューブ43は、枠状の側壁91の開口93を挿入された状態(通った状態)で配管されている。これにより、複数の供給チューブ43が空間103内に広がってしまうことを低く抑えることができる。つまり、複数の供給チューブ43を束ねやすい。
タンクユニット71には、図13に示すように、支持部材105が設けられている。支持部材105は、6つの供給チューブ43のうちの3つの供給チューブ43をZ軸方向に支持している。支持部材105は、タンクユニット71において最もY軸方向側に位置するタンク9A1から−Y軸方向に数えて3つ目のタンク9A3に設けられている。支持部材105は、タンク9A6に接続された供給チューブ43A6と、タンク9A6に隣り合うタンク9A5に接続された供給チューブ43A5と、タンク9A5に隣り合うタンク9A4に接続された供給チューブ43A4とを支持している。
タンク9A6に接続された供給チューブ43A6は、タンク9A6の開口93A6と、タンク9A5の開口93A5と、タンク9A4の開口93A4とを通ってから支持部材105に至っている。供給チューブ43A5は、タンク9A5の開口93A5と、タンク9A4の開口93A4とを通ってから支持部材105に至っている。供給チューブ43A4は、タンク9A4の開口93A4を通ってから支持部材105に至っている。なお、タンクユニット71では、1つの支持部材105が設けられているが、支持部材105の個数は、1つに限定されない。タンクユニット71としては、例えば、複数の支持部材105を設けた構成も採用され得る。
支持部材105は、図14に示すように、タンク9の側壁91に設けられる。支持部材105は、図15に示すように、タンク9に対して着脱可能に構成されている。支持部材105は、一対の嵌合部107と、係合部109と、を有している。また、支持部材105には、開口111と、切欠き部113とが形成されている。一対の嵌合部107は、開口111によって枠状を呈する枠部115からZ軸方向に突出している。Y軸方向において、一対の嵌合部107の間には、隙間が設けられている。係合部109は、枠部115からZ軸方向に突出している。開口111は、枠部115に設けられており、枠部115をY軸方向に貫通している。切欠き部113は、枠部115のZ軸方向側に形成されている。切欠き部113は、Z軸方向に向かって開口している。
上記の構成を有する支持部材105は、タンク9の側壁91に装着される。このとき、一対の嵌合部107に側壁91が嵌合し、係合部109が開口93に係合する。これにより、図14に示すように、タンク9に対して支持部材105が装着される。なお、支持部材105がタンク9に装着された状態において、支持部材105と側壁91とが支持部117を構成する。支持部材105がタンク9に装着された状態から、係合部109の係合を解除し、且つ支持部材105をタンク9に対して−Z軸方向に変位させると、支持部材105をタンク9から外すことができる。
支持部材105がタンク9に装着された状態において、切欠き部113は、タンク9の開口93に重なる。そして、図16に示すように、開口93と切欠き部113とによって開口119が形成される。図16では、構成をわかりやすく示すため、開口119の領域にハッチングが施されている。開口119は、供給チューブ43を挿入可能な大きさに設定されている。開口119に挿入された供給チューブ43は、開口119によってZ軸方向に支持される。また、開口119に挿入された供給チューブ43は、開口93と支持部材105とによってX軸方向及び−X軸方向の変位量が規制される。
開口119には、図17に示すように、タンク9A3に接続された供給チューブ43A3が挿入される。これにより、複数の供給チューブ43のうち供給チューブ43A6と、供給チューブ43A5と、供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とが、支持部117によって支持される。支持部117は、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とを、底面89に支持している。支持部117により、供給チューブ43A3は、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4よりもZ軸方向にずれている。換言すれば、支持部117は、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とを、底面89と交差する方向に並べて支持している。つまり、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とが、上下方向に並んでいる。これにより、供給チューブ43の配管に要する空間103(図12)がタンク9の底面89に沿って広がってしまうことを避けやすい。
なお、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とが並ぶ方向は、Z軸に沿った上下方向に限定されない。供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とが並ぶ方向としては、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4と、供給チューブ43A3とが上下にずれていれば、千鳥状に並ぶ構成も採用され得る。また、支持部117が供給チューブ43を支持する面は、底面89に限定されず、他の側面であってもよい。
タンク9では、供給チューブ43の折れ曲がりを防止しつつ開口93に挿入可能な供給チューブ43の本数を増大させるには、開口93の大きさを底面89に沿って、すなわち−X軸方向に拡張する必要がある。換言すれば、タンク9において、連続して並ぶ4つのタンク9に接続された4つの供給チューブ43をこれらの4つのタンク9のうちの1つの開口93にまとめて挿入することが困難である。これは、供給チューブ43の折れ曲がりやつぶれを防止する観点による。
このようなことに対して、タンクユニット71に支持部117(図17)を設ける構成によれば、複数の供給チューブ43のうちの少なくとも2つを、底面89に交差する方向に並べて支持することができる。これにより、2つの供給チューブ43が底面89に平行に並ぶことを避けることができるので、複数の供給チューブ43を配管するために必要な空間103が底面89に沿って広がっていくことを避けやすい。この結果、インク供給装置5を小型化しやすいので、プリンター3や液体噴射システム1を小型化しやすい。
また、支持部117では、複数の供給チューブ43が底面89と交差する方向に並ぶので、底面89と複数の供給チューブ43との間の距離を所望の距離に設定しやすい。底面89と支持部材105の開口111との間の距離が相互に異なる複数の支持部材105を準備すれば、底面89と複数の供給チューブ43との間の距離を所望の距離に設定しやすい。これにより、例えば、印刷ヘッド47とインク供給装置5Aとの水頭差を所望の水頭差に設定しやすい。
また、支持部117の開口119の一部が支持部材105の切欠き部113によって構成されている。切欠き部113は、Z軸方向に向かって開口している。このため、開口93(図15)に供給チューブ43を挿入してから支持部材105をタンク9に装着することができる。開口93に挿入された供給チューブ43に切欠き部113をZ軸方向に挿入することができるためである。これにより、例えば、支持部材105の開口111に供給チューブ43を挿入しておき、且つタンク9の開口93にも別の供給チューブ43を挿入しておいてから、支持部材105をタンク9に装着することができる。このため、タンクユニット71の組立て方法(順序)において、複数の組み合わせを用意することができる。なお、支持部117では、開口119(図16)が、タンク9の開口93と支持部材105の切欠き部113とで構成されているが、開口119の構成はこれに限定されない。開口119としては、例えば、切欠き部113だけで開口119を構成する例も採用され得る。この構成では、開口119としての切欠き部113に供給チューブ43を−Z軸方向に挿入すればよい。
流路開閉装置75は、図18に示すように、供給チューブ43A6、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A4の経路で、支持部材105よりもタンク9側とは反対側、すなわち支持部材105よりも印刷ヘッド47(図5)側に設けられている。前述したように、流路開閉装置75は、タンクユニット71の6つのタンク9において、側壁87と側壁88との間の段差の空間の一部に配置されている。インク供給装置5Aでは、流路開閉装置75は、Y軸方向において、タンク9A2からタンク9A1にまたがって設けられている。
流路開閉装置75は、図19に示すように、チューブ支持部131と、押圧部材133と、カム部材135と、操作つまみ137と、カバー139と、を有している。チューブ支持部131は、6つの供給チューブ43よりも−Z軸方向側に設けられている。押圧部材133は、6つの供給チューブ43のチューブ支持部131側とは反対側、すなわち6つの供給チューブ43よりもZ軸方向側に設けられている。カム部材135は、押圧部材133のチューブ支持部131側とは反対側、すなわち押圧部材133よりもZ軸方向側に設けられている。カバー139は、カム部材135のチューブ支持部131側とは反対側、すなわちカム部材135よりもZ軸方向側に設けられている。
チューブ支持部131には、複数の溝141が設けられている。複数の溝141は、Y軸に沿って並んでいる。溝141には、供給チューブ43が挿入される。供給チューブ43は、図20に示すように、溝141に沿って溝141内に敷かれる。これにより、6つの供給チューブ43は、チューブ支持部131においてY軸に沿って並ぶ。押圧部材133は、チューブ支持部131の複数の溝141にわたる長さを有している。このため、押圧部材133は、チューブ支持部131においてY軸に沿って並ぶ6つの供給チューブ43にわたる長さを有している。なお、図19に示す操作つまみ137は、カム部材135に装着可能に構成されている。操作つまみ137がカム部材135に装着されると、図20に示すように、カム部材135と操作つまみ137とが一体に構成される。操作つまみ137は、図4に示すように、タンクケース7の外に露出している。ユーザーや作業者が操作つまみ137を手指でつまんで操作つまみ137を回転させると、カム部材135が操作つまみ137の回転に連動して回転する。
チューブ支持部131には、図21に示すように、押圧部材133を挿入可能な凹部143が設けられている。本実施例では、押圧部材133が凹部143の底部に当接する位置まで押圧部材133を凹部143内に挿入することができる。押圧部材133には、被案内部145が設けられている。また、チューブ支持部131には、押圧部材133の被案内部145に対面する位置に、被案内部145を挿入可能な案内部147が設けられている。押圧部材133の被案内部145をチューブ支持部131の案内部147に挿入することによって、押圧部材133をチューブ支持部131の凹部143内に挿入することができる。
押圧部材133の被案内部145をチューブ支持部131の案内部147に挿入した状態で、被案内部145と案内部147との間には、隙間があく。さらに、押圧部材133を凹部143内に挿入した状態で、押圧部材133と凹部143との間には隙間があく設定になっている。このため、押圧部材133を凹部143内にスムーズに挿入し、且つ押圧部材133を凹部143内からスムーズに抜き出すことが可能となっている。また、押圧部材133を凹部143に対して挿入したり抜き出したりするとき、押圧部材133の被案内部145がチューブ支持部131の案内部147によって案内される。このため、押圧部材133がチューブ支持部131に対してXY平面に沿ってずれることを低く抑えることができる。
押圧部材133は、図22に示すように、チューブ支持部131の溝141内に供給チューブ43が敷かれた状態で、供給チューブ43を挟んで凹部143(図21)に対面する位置に配置される。これにより、6つの供給チューブ43は、チューブ支持部131と押圧部材133とによって挟まれる。ここで、押圧部材133は、第1領域148と、第2領域149とに区分され得る。第1領域148は、チューブ支持部131に敷かれた6つの供給チューブ43のうち供給チューブ43A1、供給チューブ43A2、及び供給チューブ43A3に交差する領域である。第2領域149は、チューブ支持部131に敷かれた6つの供給チューブ43のうち供給チューブ43A4、供給チューブ43A5、及び供給チューブ43A6に交差する領域である。
カム部材135は、図22に示すように、軸部161と、第1カム163と、第2カム165と、を有している。軸部161は、Y軸に沿って延在しており、チューブ支持部131においてY軸に沿って並ぶ6つの供給チューブ43にわたる長さを有している。第1カム163と、第2カム165とは、それぞれ軸部161に設けられている。第1カム163と、第2カム165とは、Y軸に沿って並んでいる。第1カム163は、第2カム165よりも操作つまみ137側、すなわち第2カム165よりもY軸方向側に位置している。第1カム163は、押圧部材133のうち第1領域148に対面する位置に設けられている。第2カム165は、押圧部材133のうち第2領域149に対面する位置に設けられている。そして、カム部材135は、図23に示すように、押圧部材133に当接可能な位置に配置される。このとき、カム部材135の第1カム163は、押圧部材133の第1領域148(図22)に当接可能である。また、第2カム165は、押圧部材133の第2領域149(図22)に当接可能である。
カム部材135の軸部161は、軸状を呈しており、図23中のA−A線における断面図である図24に示すように、点Jを中心とする円状の外周を有している。第1カム163及び第2カム165は、それぞれ、点Kを中心とする円弧状の輪郭を含む外周を有している。点Jと点Kとは、互いにずれている。つまり、軸部161と第1カム163とは、互いに中心がずれている(偏心している)。また、軸部161及び第2カム165も、互いに中心がずれている(偏心している)。カム部材135は、操作つまみ137の回転に連動して、軸部161を中心に回転する。
このとき、点Jと点Kとが互いにずれているため、第1カム163及び第2カム165の外周は、図25に示すように、軸部161の回転に連動して変位する。これにより、第1カム163及び第2カム165が軸部161を回転中心として昇降するカムとして機能する。図24には、第1カム163及び第2カム165が上昇した状態が示されている。他方で、図25には、第1カム163及び第2カム165が下降した状態が示されている。
押圧部材133は、図24に示すように、供給チューブ43の外周に載置されている。このとき、図23中のB−B線における断面図である図26に示すように、供給チューブ43の流路168は、開放している。第1カム163及び第2カム165が下降すると、押圧部材133は、図25に示すように、第1カム163及び第2カム165の下降に連動して供給チューブ43側に向かって下降する。これにより、供給チューブ43が押圧部材133によって潰される。ここで、供給チューブ43は、弾性を有する材料で構成されている。この結果、供給チューブ43の流路168は、図27に示すように、閉塞される。なお、このとき、供給チューブ43の流路168は、完全に閉じられなくてもよい。そして、第1カム163及び第2カム165が下降した状態から第1カム163及び第2カム165を上昇させると、押圧部材133は、図24に示すように、供給チューブ43の弾力で上昇する。これにより、供給チューブ43の流路が開放される(図26)。
カバー139は、図28に示すように、チューブ支持部131に係合可能に構成されており、押圧部材133(図22)、第1カム163及び第2カム165をZ軸方向側から覆っている。これにより、押圧部材133(図22)、第1カム163及び第2カム165が、カバー139によって保護される。
流路開閉装置75により、6つの供給チューブ43の流路168を開閉することができる。これにより、例えば、液体噴射装置1を移動させたり搬送したりするときに、流路開閉装置75で流路168を閉塞しておけば、印刷ヘッド47からインクが漏れ出ることを抑えやすい。液体噴射装置1を移動させたり搬送したりすると、タンク9や供給チューブ43内のインクに振動や衝撃が作用することがある。タンク9や供給チューブ43内のインクに振動や衝撃が作用すると、印刷ヘッド47内のインクに圧力が作用することがある。このため、液体噴射装置1を移動させたり搬送したりすると、印刷ヘッド47からインクが漏れ出ることがある。このようなことに対して、流路開閉装置75は有効である。液体噴射装置1を移動させたり搬送したりする前に流路開閉装置75で流路168を閉塞しておけば、印刷ヘッド47内のインクに作用する圧力変動を低く抑えることができる。このため、印刷ヘッド47からインクが漏れ出ることを低く抑えることができる。また、例えば、タンク9にインクを注入する前に流路開閉装置75で流路168を閉塞することも有効である。タンク9を使用姿勢から注入姿勢に変化させるときに、印刷ヘッド47内のインクに作用する圧力変動を低く抑えることができるためである。
(実施例2)
実施例2のインク供給装置5Bについて説明する。なお、実施例2において、実施例1の構成と同一の構成については、実施例1と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。実施例2のインク供給装置5Bは、図29に示すように、タンクケース7と、複数の供給チューブ43と、タンクユニット191と、支持フレーム73と、流路開閉装置193と、を有している。タンクユニット191は、相互に結合された複数のタンク9を含んでいる。実施例2のインク供給装置5Bでは、タンクユニット191に、5つのタンク9が含まれている。つまり、実施例2のタンクユニット191では、5つのタンク9が連結されている。
図29に示すタンクユニット191では、インクの種類がタンク9ごとに異なる。インク供給装置5Bでは、インクの種類として、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4種類が採用されている。そして、5つのタンク9のうち2つのタンク9に、ブラックのインクが収容される。残りの3つのタンク9には、それぞれ、イエローのインクと、マゼンタのインクと、シアンのインクとが収容される。ブラックのインクは、タンクユニット191において最もY軸方向側に位置するタンク9B1から−Y軸方向に数えて4つ目のタンク9B4と、5つ目のタンク9B5とに収容されている。なお、各タンク9の構成は、実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
インク供給装置5Bにおいても、供給チューブ43は、タンク9ごとに設けられている。このため、インク供給装置5Bでは、5本の供給チューブ43が設けられている。タンクユニット191は、支持フレーム73に支持されている。タンクユニット191において、各タンク9は、ねじによって支持フレーム73に固定されている。また、タンクケース7も、ねじによって支持フレーム73に固定されている。そして、支持フレーム73とタンクケース7とによって囲まれた領域内にタンクユニット71が収容される。
そして、実施例1と同様に、タンク9の底面89(図11)と支持フレーム73の底面101との間には、空間103が設けられている。実施例2においても、タンク9の供給口86に接続された供給チューブ43は、空間103に配管されている(図12)。また、実施例2においても、複数の供給チューブ43のうちの少なくとも一部の供給チューブ43は、枠状の側壁91の開口93を挿入された状態(通った状態)で配管されている。これにより、複数の供給チューブ43が空間103内に広がってしまうことを低く抑えることができる。つまり、複数の供給チューブ43を束ねやすい。
タンクユニット191には、図30に示すように、支持部材195が設けられている。支持部材195は、5つの供給チューブ43のうちの3つの供給チューブ43をZ軸方向に支持している。支持部材195は、タンクユニット191において最もY軸方向側に位置するタンク9B1から−Y軸方向に数えて3つ目のタンク9B3に設けられている。支持部材195は、タンク9B5に接続された供給チューブ43B5と、タンク9B5に隣り合うタンク9B4に接続された供給チューブ43B4と、タンク9B4に隣り合うタンク9B3に接続された供給チューブ43B3とを支持している。
タンク9B5に接続された供給チューブ43B5は、タンク9B5の開口93B5と、タンク9B4の開口93B4とを通ってから支持部材195に至っている。供給チューブ43B4は、タンク9B4の開口93B4を通ってから支持部材195に至っている。なお、タンクユニット191では、1つの支持部材195が設けられているが、支持部材195の個数は、1つに限定されない。タンクユニット191としては、例えば、複数の支持部材195を設けた構成も採用され得る。
支持部材195は、図31に示すように、タンク9の側壁91に設けられる。支持部材195は、図32に示すように、タンク9に対して着脱可能に構成されている。支持部材195は、実施例1と同様に、一対の嵌合部107と、係合部109と、を有している。また、支持部材195には、実施例1と同様に、切欠き部113が形成されている。他方で、支持部材195は、継合部196を有している点で実施例1とは異なっている。支持部材195には、2つの継合部196が設けられている。継合部196の個数は、2つに限定されず、1つでも、3つ以上でもよい。以下において、2つの継合部196を識別する場合に、2つの継合部196は、それぞれ、継合部196A、及び継合部196Bと表記される。
継合部196は、図33に示すように、Y軸に沿って延在している。継合部196には、第1嵌合部197と、第2嵌合部198とが設けられている。図33中のC−C線における断面図である図34に示すように、継合部196には、継合部196をY軸に沿って貫通する貫通孔199が形成されている。第1嵌合部197及び第2嵌合部198には、それぞれ、供給チューブ43が嵌合する。第1嵌合部197に嵌合する供給チューブ43と、第2嵌合部198に嵌合する供給チューブ43とが、貫通孔199を介して互いに連通する。これにより、継合部196は、2つの供給チューブ43を継ぎ合わせ可能に構成されている。なお、以下において、第2嵌合部198に嵌合する供給チューブ43は、延長チューブ43Eと表記される。
実施例2では、第1嵌合部197の太さと、第2嵌合部198の太さとが、互いに異なっている。この実施例では、第2嵌合部198の太さが第1嵌合部197の太さよりも太い。また、第2嵌合部198に嵌合する延長チューブ43Eの太さは、第1嵌合部197に嵌合する供給チューブ43の太さよりも太い。このため、第2嵌合部198に嵌合する延長チューブ43Eの流路168が、第1嵌合部197に嵌合する供給チューブ43の流路168よりも広い。実施例2では、図35に示すように、供給チューブ43B4、及び供給チューブ43B5が、それぞれ、支持部材195を介して延長チューブ43Eに継合されている。
上記の構成を有する支持部材195は、図36に示すように、タンク9の側壁91に装着される。なお、支持部材195がタンク9に装着された状態において、支持部材195と側壁91とが支持部117を構成する。支持部材195がタンク9に装着された状態から、係合部109の係合を解除し、且つ支持部材105をタンク9に対して−Z軸方向に変位させると、支持部材195をタンク9から外すことができる。
支持部材195がタンク9に装着された状態において、切欠き部113は、タンク9の開口93に重なる。そして、開口93と切欠き部113とによって開口119が形成される。図36では、構成をわかりやすく示すため、開口119の領域にハッチングが施されている。開口119は、供給チューブ43を挿入可能な大きさに設定されている。開口119に挿入された供給チューブ43は、開口119によってZ軸方向に支持される。また、開口119に挿入された供給チューブ43は、開口93と支持部材105とによってX軸方向及び−X軸方向の変位量が規制される。
開口119には、図37に示すように、タンク9B3に接続された供給チューブ43B3が挿入される。これにより、複数の供給チューブ43のうち供給チューブ43B5と、供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3と、2つの延長チューブ43Eとが、支持部117によって支持される。支持部117は、供給チューブ43B5と、供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3と、2つの延長チューブ43Eとを、底面89に支持している。支持部117により、供給チューブ43B3は、供給チューブ43B5、及び供給チューブ43B4よりもZ軸方向にずれている。換言すれば、支持部117は、供給チューブ43B5、及び供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3とを、底面89と交差する方向に並べて支持している。つまり、供給チューブ43B5、及び供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3とが、上下方向に並んでいる。これにより、供給チューブ43の配管に要する空間103(図12)がタンク9の底面89に沿って広がってしまうことを避けやすい。
実施例2における支持部117においても、実施例1における支持部117と同様の効果が得られる。なお、供給チューブ43B5、及び供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3とが並ぶ方向は、Z軸に沿った上下方向に限定されない。供給チューブ43B5、及び供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3とが並ぶ方向としては、供給チューブ43B5、及び供給チューブ43B4と、供給チューブ43B3とが上下にずれていれば、千鳥状に並ぶ構成も採用され得る。また、支持部117が供給チューブ43を支持する面は、底面89に限定されず、他の側面であってもよい。また、供給チューブ43の太さと、延長チューブ43Eの太さとは、上記に限定されず、供給チューブ43の太さが延長チューブ43Eの太さよりも太い構成も採用され得る。さらに、供給チューブ43の太さと延長チューブ43Eの太さとが互いに同等である構成も採用され得る。
流路開閉装置193は、図38に示すように、供給チューブ43B5、供給チューブ43B4、及び供給チューブ43B3の経路で、支持部材195よりもタンク9側とは反対側、すなわち支持部材195よりも印刷ヘッド47(図5)側に設けられている。実施例1と同様に、流路開閉装置193は、タンクユニット191の5つのタンク9において、側壁87と側壁88との間の段差の空間の一部に配置されている。インク供給装置5Bでは、流路開閉装置193は、Y軸方向において、タンク9B2からタンク9B1にまたがって設けられている。
流路開閉装置193は、図39に示すように、チューブ支持部201と、押圧部材203と、カム部材205と、操作つまみ137と、カバー207と、を有している。チューブ支持部201は、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、供給チューブ43B1、及び2つの延長チューブ43Eよりも−Z軸方向側に設けられている。チューブ支持部201は、第1チューブ支持部201Aと、第2チューブ支持部201Bとに区分される。押圧部材203は、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、供給チューブ43B1、及び2つの延長チューブ43Eのチューブ支持部201側とは反対側に設けられている。押圧部材203は、第1押圧部材203Aと、第2押圧部材203Bとを含む。第1押圧部材203Aと、第2押圧部材203Bとは、互いに別体で構成されている。カム部材205は、押圧部材203のチューブ支持部201側とは反対側、すなわち押圧部材203のZ軸方向側に設けられている。カバー207は、カム部材205のチューブ支持部201側とは反対側、すなわちカム部材205のZ軸方向側に設けられている。
チューブ支持部201の第1チューブ支持部201Aには、複数の溝221が設けられている。第2チューブ支持部201Bには、複数の溝223が設けられている。第1チューブ支持部201Aは、複数の溝221が設けられている領域である。第2チューブ支持部201Bは、複数の溝223が設けられている領域である。複数の溝221は、第1チューブ支持部201AにおいてY軸に沿って並んでいる。複数の溝223は、第2チューブ支持部201BにおいてY軸に沿って並んでいる。各溝221には、複数の供給チューブ43のうち供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B1のそれぞれが挿入される。各溝223には、延長チューブ43Eが挿入される。
供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B1は、図40に示すように、溝221に沿って溝221内に敷かれる。このため、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B1は、チューブ支持部201のうち第1チューブ支持部201A(図39)に支持される。また、各延長チューブ43Eは、溝223に沿って溝223内に敷かれる。このため、各延長チューブ43Eは、チューブ支持部201のうち第2チューブ支持部201B(図39)に支持される。上記により、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、供給チューブ43B1、及び2つの延長チューブ43Eは、チューブ支持部201においてY軸に沿って並ぶ。
第1押圧部材203Aは、図40に示すように、チューブ支持部201において供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B1に交差してY軸に沿って延在している。第1押圧部材203Aは、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B1をY軸に沿ってまたぐ長さを有している。第2押圧部材203Bは、チューブ支持部201において2つの延長チューブ43Eに交差してY軸に沿って延在している。第2押圧部材203Bは、2つの延長チューブ43EをY軸に沿ってまたぐ長さを有している。
チューブ支持部201には、図41に示すように、第1チューブ支持部201Aと第2チューブ支持部201Bとにまたがって、押圧部材203を挿入可能な凹部231が設けられている。本実施例では、第1チューブ支持部201Aにおいて、第1押圧部材203Aが凹部231の底部に当接する位置まで第1押圧部材203Aを凹部231内に挿入することができる。また、第2チューブ支持部201Bにおいて、第2押圧部材203Bが凹部231の底部に当接する位置まで第2押圧部材203Bを凹部231内に挿入することができる。第1押圧部材203Aには、被案内部233Aと、被案内部233Bとが設けられている。第2押圧部材203Bには、被案内部235Aと、被案内部235Bとが設けられている。
また、チューブ支持部201には、第1押圧部材203Aの被案内部233Aに対面する位置に、被案内部233Aを挿入可能な案内部237が設けられている。チューブ支持部201において、第2押圧部材203Bの被案内部235Aに対面する位置に、被案内部235Aを挿入可能な案内部238が設けられている。そして、チューブ支持部201において、第1押圧部材203Aの被案内部233Bと、第2押圧部材203Bの被案内部235Bとに対面する位置に、被案内部233Bと被案内部235Bとを挿入可能な案内部239が設けられている。
第1押圧部材203A及びチューブ支持部201において、被案内部233Aを案内部237に挿入し、被案内部233Bを案内部239に挿入することによって、第1押圧部材203Aをチューブ支持部201の凹部231内に挿入することができる。また、第2押圧部材203B及びチューブ支持部201において、被案内部235Aを案内部238に挿入し、被案内部235Bを案内部239に挿入することによって、第2押圧部材203Bをチューブ支持部201の凹部231内に挿入することができる。
第1押圧部材203Aを凹部231内に挿入した状態において、第1押圧部材203Aと凹部231との間には隙間があく設定になっている。さらに、第1押圧部材203Aを凹部231内に挿入した状態において、被案内部233Aと案内部237との間、及び、被案内部233Bと案内部239との間には、それぞれ隙間があく。第2押圧部材203Bを凹部231内に挿入した状態において、第2押圧部材203Bと凹部231との間には隙間があく設定になっている。さらに、第2押圧部材203Bを凹部231内に挿入した状態において、被案内部235Aと案内部238との間、及び、被案内部235Bと案内部239との間には、それぞれ隙間があく。
このため、押圧部材203を凹部231内にスムーズに挿入し、且つ押圧部材203を凹部231内からスムーズに抜き出すことが可能となっている。また、押圧部材203を凹部231に対して挿入したり抜き出したりするとき、被案内部233Aが案内部237によって案内され、被案内部235Aが案内部238によって案内され、被案内部233B及び被案内部235Bが案内部239によって案内される。このため、押圧部材203がチューブ支持部201に対してXY平面に沿ってずれることを低く抑えることができる。
第1押圧部材203Aは、図42に示すように、チューブ支持部201の溝221(図41)内に供給チューブ43が敷かれた状態で、供給チューブ43を挟んで凹部231(図41)に対面する位置に配置される。これにより、3つの供給チューブ43は、チューブ支持部201と第1押圧部材203Aとによって挟まれる。第2押圧部材203Bは、図42に示すように、チューブ支持部201の溝223(図41)内に延長チューブ43Eが敷かれた状態で、延長チューブ43Eを挟んで凹部231(図41)に対面する位置に配置される。これにより、2つの延長チューブ43Eは、チューブ支持部201と第2押圧部材203Bとによって挟まれる。なお、第1押圧部材203AのY軸に沿った長さと、第2押圧部材203BのY軸に沿った長さとは、互いに略同等の長さに設定されている。これにより、供給チューブ43及び延長チューブ43Eに応じて配列しやすく、製造が容易になる。
カム部材205は、図42に示すように、軸部251と、第1カム253と、第2カム255と、を有している。軸部251は、Y軸に沿って延在しており、チューブ支持部201においてY軸に沿って並ぶ3つの供給チューブ43及び2つの延長チューブ43Eにわたる長さを有している。第1カム253と、第2カム255とは、それぞれ軸部251に設けられている。第1カム253と、第2カム255とは、Y軸に沿って並んでいる。第1カム253は、第2カム255よりも操作つまみ137側、すなわち第2カム255よりもY軸方向側に位置している。第1カム253は、第1押圧部材203Aに対面する位置に設けられている。第2カム255は、第2押圧部材203Bに対面する位置に設けられている。そして、カム部材205は、図43に示すように、第1押圧部材203A及び第2押圧部材203Bに当接可能な位置に配置される。このとき、カム部材205の第1カム253が第1押圧部材203Aに当接可能である。また、第2カム255が第2押圧部材203Bに当接可能である。
カム部材205の軸部251は、図43中のD−D線における断面図である図44に示すように、軸状を呈しており、線J1を中心とする円状の外周を有している。第1カム253は、線K1を中心とする円弧状の輪郭を含む外周を有している。第2カム255は、線L1を中心とする円弧状の輪郭を含む外周を有している。線J1と線K1と線L1とは、相互にずれている。つまり、軸部251と第1カム253とは、互いに中心がずれている(偏心している)。また、軸部251及び第2カム255も、互いに中心がずれている(偏心している)。さらに、第1カム253及び第2カム255も、互いに中心がずれている(偏心している)。第1カム253と第2カム255とは、第1カム253と第2カム255とのXZ平面における断面を模式的に示す図である図45に示すように、互いに大きさが異なる略相似形の断面を有している。第2カム255の断面が第1カム253の断面よりも大きい。
カム部材205は、操作つまみ137(図43)の回転に連動して、軸部251を中心に回転する。このとき、線J1と線K1と線L1とが相互にずれているため、第1カム253及び第2カム255の外周は、図46に示すように、軸部251の回転に連動して変位する。これにより、第1カム253及び第2カム255が軸部251を回転中心として昇降するカムとして機能する。上述したように、第2カム255の断面が第1カム253の断面よりも大きいことと、線K1と線L1とが互いにずれていることとによって、第2カム255の変位量が第1カム253の変位量よりも多い。つまり、第2カム255による昇降量が、第1カム253による昇降量よりも多い。なお、図44には、第1カム253及び第2カム255が上昇した状態が示されている。他方で、図46には、第1カム253及び第2カム255が下降した状態が示されている。
第1押圧部材203Aは、図44に示すように、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B3の外周に載置されている。このとき、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B3のそれぞれの流路168は、開放している。また、第2押圧部材203Bは、2つの延長チューブ43Eの外周に載置されている。このとき、2つの延長チューブ43Eのそれぞれの流路168は、開放している。
第1カム253が下降すると、第1押圧部材203Aは、図46に示すように、第1カム253の下降に連動して供給チューブ43側に向かって下降する。これにより、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B3が第1押圧部材203Aによって潰される。また、第2カム255が下降すると、第2押圧部材203Bは、第2カム255の下降に連動して延長チューブ43E側に向かって下降する。これにより、2つの延長チューブ43Eが第2押圧部材203Bによって潰される。この結果、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、供給チューブ43B3、及び2つの延長チューブ43Eの流路168(図44)が閉塞される。なお、このとき、流路168は、完全に閉じられなくてもよい。
そして、第1カム253及び第2カム255が下降した状態から第1カム253及び第2カム255を上昇させると、第1押圧部材203A及び第2押圧部材203Bは、図44に示すように、それぞれ供給チューブ43及び延長チューブ43Eの弾力で上昇する。これにより、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、供給チューブ43B3、及び2つの延長チューブ43Eの流路が開放される。
カバー207は、図47に示すように、チューブ支持部201に係合可能に構成されており、押圧部材203(図39)、第1カム253及び第2カム255をZ軸方向側から覆っている。これにより、押圧部材203(図39)、第1カム253及び第2カム255が、カバー207によって保護される。上記の実施例2においても、実施例1と同様の効果が得られる。なお、実施例2において、供給チューブ43B1、供給チューブ43B2、及び供給チューブ43B3のそれぞれが第1のチューブに対応し、延長チューブ43Eが第2のチューブに対応している。また、軸部251が動作部材に対応し、操作つまみ137が操作部に対応し、案内部239がガイド部に対応し、カバー207が保護カバーに対応している。実施例2における流路開閉装置193においても、実施例1の流路開閉装置75と同様の効果が得られる。
(実施例3)
実施例1の流路開閉装置75では、押圧部材133をカム部材135で駆動する構成が採用されている。また、実施例2の流路開閉装置193では、押圧部材203をカム部材205で駆動する構成が採用されている。しかしながら、流路開閉装置75や流路開閉装置193の構成は、これらに限定されない。流路開閉装置75や流路開閉装置193の構成としては、カム部材135やカム部材205を省略した構成も採用され得る。流路開閉装置75や流路開閉装置193からカム部材135やカム部材205を省略した構成について、流路開閉装置75を例に実施例3として説明する。なお、実施例3において、実施例1や実施例2と同一の構成については、実施例1や実施例2と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
実施例3における流路開閉装置281は、図48に示すように、チューブ支持部283と、押圧部材285と、カバー287と、を有している。流路開閉装置281では、流路開閉装置75のカム部材135や、流路開閉装置193のカム部材205が省略されている。チューブ支持部283には、実施例1と同様に複数の溝141が設けられている。なお、複数の溝141は、実施例2における溝221や溝223であってもよい。押圧部材285は、6つの供給チューブ43のチューブ支持部283側とは反対側、すなわち6つの供給チューブ43よりもZ軸方向側に設けられている。カバー287は、押圧部材285のチューブ支持部283側とは反対側、すなわち押圧部材285よりもZ軸方向側に設けられている。カバー287は、実施例1のカバー139や実施例2のカバー207と同様であるので、詳細な説明を省略する。
押圧部材285は、押圧部288と、操作部289と、係止ピン291と、を有している。チューブ支持部283には、実施例1と同様に押圧部材285を挿入可能な凹部143が設けられている。押圧部材285の押圧部288が凹部143内に挿入される。押圧部材285の操作部289は、押圧部288からY軸方向に突出している。係止ピン291は、押圧部材285の一端に設けられており、X軸に沿って突出している。チューブ支持部283には、押圧部材285の係止ピン291が挿入される軸受部(図示せず)が設けられている。押圧部材285は、チューブ支持部283の軸受部に挿入された係止ピン291を回動中心として、チューブ支持部283に対して回動可能に構成されている。
供給チューブ43が溝141内に敷かれ、押圧部材285の係止ピン291がチューブ支持部283の軸受部に挿入されると、図49に示すように、押圧部材285は、押圧部288が供給チューブ43に載置されて、チューブ支持部283に対して傾斜した状態で静止する。そして、操作部289に力を作用させることによって、押圧部材285を図中R3方向に回動させると、図50に示すように、供給チューブ43が押圧部材285によって潰される。これにより、供給チューブ43の流路168(図26、図44)が閉塞される。このように、実施例3の流路開閉装置281においても、実施例1や実施例2と同様に、流路168を開閉することができる。
実施例3の流路開閉装置281を適用可能なインク供給装置5では、図51に示すように、操作部289がタンクケース7から露出している。タンクケース7には、Z軸に沿って延在する開口部295が形成されている。操作部289は、開口部295を介してタンクケース7の外側に露出している。作業者やユーザーは、図52に示すように、開口部295に沿って操作部289を−Z軸方向に押し下げることができる。開口部295には、屈曲部297が設けられている。屈曲部297において、開口部295がX軸方向に屈曲している。そして、図53に示すように、操作部289を屈曲部297に挿入することができる。これにより、図54に示すように、操作部289を屈曲部297で固定(ロック)することができる。
実施例1〜実施例3のそれぞれにおいて、タンクユニット71やタンクユニット191が、複数のタンク9を連結した構成を有している。しかしながら、タンクユニット71やタンクユニット191の構成は、これに限定されない。タンクユニット71やタンクユニット191の構成としては、例えば、1つの液体収容容器を複数のインク収容部(液体収容部)に仕切った構成も採用され得る。
(実施例4)
実施例4のタンク9Dについて説明する。実施例4のタンク9Dは、タンク9の通気口部85(図9)の構成が異なることを除いて、実施例1〜実施例3のそれぞれにおけるタンク9と同様の構成を有している。このため、以下において、タンク9と同一の構成については、実施例1〜実施例3のそれぞれと同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。なお、実施例4のタンク9Dにおける通気口部85は、実施例1〜実施例3のそれぞれにおけるタンク9の通気口部85と区別するため、通気口部85Dと表記される。
液体噴射システム1では、図3に示すように、インク供給装置5とプリンター3との間において供給チューブ43にたるみが設けられている。供給チューブ43にたるみが設けられていることによって、図6に示すように、インク供給装置5をプリンター3に対して横転させることが可能になっている。ところで、インク供給装置5をプリンター3に装着したとき(図1に示す状態)に、インク供給装置5から印刷ヘッド47に向かって延在する供給チューブ43は、図55に示すように、インク供給装置5とプリンター3との間に屈曲した状態で収納されている。
このとき、供給チューブ43と通気口84とが重なることが考えられる。供給チューブ43と通気口84とが重なると、通気口84が供給チューブ43によって塞がれてしまうことがある。このようなことが発生すると、タンク9内に大気が導入されにくくなり、タンク9内の圧力が下がるので、タンク9内のインクが印刷ヘッド47に供給されにくくなる。この結果、印刷が阻害されやすいので、液体噴射システム1の機能が発揮されず、液体噴射システム1としての信頼性が損なわれることが考えられる。
実施例4のタンク9Dは、図56に示すように、通気口部85Dを有している。通気口部85Dは、容器81の側壁87から−X軸方向に突出している。通気口部85Dは、筒状に設けられている。以下に、実施例4のタンク9Dについて、いくつかの例を挙げ、それぞれについて説明する。以下においては、タンク9Dのいくつかの例を個別に識別するために、例ごとに異なる数字を付加する。
(実施例4−1)
実施例4−1のタンク9D1は、図56に示すように、通気口部85D1を有している。通気口部85D1には、図56中のF部の拡大図である図57に示すように、通気口部85D1が突出する方向である突出方向(本例では、−X軸方向)とは異なる方向に開口する開口301が形成されている。図57中のG−G線における断面図である図58に示すように、通気口84が供給チューブ43によって塞がれても、通気口部85D1に形成されている開口301を介して、通気口部85D1の通気流路303が大気に連通する。通気流路303は、通気口84からタンク9D内に通じる流路である。これにより、タンク9D1内が大気に連通する。このため、タンク9D1内の圧力が大気圧に維持されやすいので、印刷機能の低下を抑えやすい。よって、液体噴射システム1の信頼性を維持しやすい。なお、開口301の個数は、1つでも、1つを超える複数でもよい。
(実施例4−2)
実施例4−2のタンク9D2は、図59に示すように、通気口部85D2を有している。通気口部85D2には、図59中のH部の拡大図である図60に示すように、通気口部85D2の先端から側壁87側とは反対側に向かって突出する複数の凸部305が形成されている。図60中のM−M線における断面図である図61に示すように、通気口84に供給チューブ43が重なっても、複数の凸部305の間に開口307が保たれる。開口307を介して、通気口部85D2の通気流路303が大気に連通する。これにより、タンク9D2内が大気に連通する。このため、タンク9D2内の圧力が大気圧に維持されやすいので、印刷機能の低下を抑えやすい。よって、液体噴射システム1の信頼性を維持しやすい。なお、凸部305の個数は、通気口84に供給チューブ43が重なったときに隙間を確保することができれば1つでもよい。
(実施例4−3)
実施例4−3のタンク9D3は、図62に示すように、通気口部85D3を有している。通気口部85D3には、図62中のN部の拡大図である図63に示すように、通気口部85D3の先端から側壁87側に向かって切り欠かれた複数の切欠き部309が形成されている。図63中のQ−Q線における断面図である図64に示すように、通気口84に供給チューブ43が重なっても、複数の切欠き部309によって開口311が保たれる。開口311を介して、通気口部85D3の通気流路303が大気に連通する。これにより、タンク9D3内が大気に連通する。このため、タンク9D3内の圧力が大気圧に維持されやすいので、印刷機能の低下を抑えやすい。よって、液体噴射システム1の信頼性を維持しやすい。
(実施例4−4)
実施例4−4のタンク9D4は、図65に示すように、通気口部85D4を有している。通気口部85D4には、図65中のS部の拡大図である図66に示すように、通気口部85D4が延長部313を含む。延長部313は、突出方向である−X軸方向とは異なる方向(本例では、Z軸方向)に延びている。つまり、本例では、通気口部85D4は、側壁87から−X軸方向に突出し、延長部313でZ軸方向に屈曲している。そして、延長部313の端部に通気口84が形成されている。これにより、通気口84は、突出方向である−X軸方向とは異なる方向(本例では、Z軸方向)に向かって開口している。このため、図66中のT−T線における断面図である図67に示すように、通気口部85D4に供給チューブ43が重なっても、通気口84によって通気流路315が大気に連通する。通気流路315は、通気口84からタンク9D4内に通じる流路である。これにより、タンク9D4内が大気に連通する。このため、タンク9D4内の圧力が大気圧に維持されやすいので、印刷機能の低下を抑えやすい。よって、液体噴射システム1の信頼性を維持しやすい。なお、延長部313が延在する方向は、Z軸方向に限定されず、種々の方向が採用され得る。
(実施例4−5)
実施例4−5のタンク9D5は、図68に示すように、通気口部85D5を有している。通気口部85D5には、図68中のV部の拡大図である図69に示すように、通気口部85D5の先端から側壁87側とは反対側に向かって突出する複数の凸部317が形成されている。複数の凸部317は、図69中のW−W線における断面図である図70に示すように、通気口84の縁よりも−X軸方向側に突出している。このため、通気口84に供給チューブ43が重なっても、複数の凸部317の間に開口318が保たれる。即ち、開口318は、通気口部85D5の突出方向−X方向とは異なる方向を向く開口318を介して、通気口部85D5の通気流路303が大気に連通する。これにより、タンク9D5内が大気に連通する。このため、タンク9D5内の圧力が大気圧に維持されやすいので、印刷機能の低下を抑えやすい。よって、液体噴射システム1の信頼性を維持しやすい。なお、凸部317の個数は、通気口84に供給チューブ43が重なったときに隙間を確保することができれば1つでもよい。
実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3、及び実施例4−5において、通気流路303が、図58、図61、図64、及び図70に示すように、外部側からタンク9Dの内側に向かって細くなるテーパー状に形成されている。これによれば、タンク9Dの内側からインクが通気口部85D内に流入した場合でも、毛細管現象によりインクが通気流路303の細い側に向かって引っ張られやすいので、通気口部85Dから外にインクが漏れ出ることを避けやすい。なお、これらの実施例において、通気流路303がテーパー部に対応している。
実施例1〜実施例4におけるタンク9やタンク9A、タンク9B、タンク9Dには、通気口部85や通気口部85Dに着脱可能なキャップ部材321(図71)が付属している。キャップ部材321は、図71に示すように、キャップ部323と、つまみ部325と、を有している。キャップ部323は、図72に示すように、通気口部85や通気口部85Dに嵌合可能に構成されている。通気口部85や通気口部85Dにキャップ部材321を装着することによって、通気口84をキャップ部323で塞ぐことができる。これにより、通気口84からインクを蒸発させにくくすることができる。なお、作業者やユーザーは、キャップ部材321のつまみ部325をつまんだ状態で、キャップ部材321をZ軸方向に引き抜くことによって、キャップ部材321をタンク9やタンク9Dから外すことができる。
実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3、及び実施例4−5において、それぞれ、キャップ部材321を通気口部85D(85D1、85D2、85D3、85D5)に装着することができる。キャップ部材321を通気口部85D1(図57)に装着すると、開口301がキャップ部323によって塞がれる。キャップ部材321を通気口部85D2(図61)に装着すると、2つの凸部305の間の開口307がキャップ部323によって塞がれる。キャップ部材321を通気口部85D3(図64)に装着すると、切欠き部309によって形成される開口311がキャップ部323によって塞がれる。キャップ部材321を通気口部85D5(図70)に装着すると、2つの凸部317の間の開口318がキャップ部323によって塞がれる。従って、実施例4−1、実施例4−2、実施例4−3、及び実施例4−5においても、通気口部85Dからインクを蒸発させにくくすることができる。
実施例4−3のタンク9D4に適用可能なキャップ部材321は、図73に示すように、キャップ部323が−Z軸方向に向けられた構成を有している。これにより、延長部313(図66)にキャップ部323を嵌合させることによって、タンク9D4にキャップ部材321を装着することができる。これにより、タンク9D4においても通気口84からインクを蒸発させにくくすることができる。なお、作業者やユーザーは、キャップ部材321のつまみ部325をつまんだ状態で、キャップ部材321をZ軸方向に引き抜くことによって、キャップ部材321をタンク9D4から外すことができる。
上記各実施形態において、液体噴射装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したり塗布したりして消費する液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体噴射装置で消費させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては、上記各実施形態で説明したようなインクの他、液晶等も挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。